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NUMBER’S CONSCIOUSNESS

【#高野由利亜】11

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「……というわけで」
 食堂に戻られたワン様と喜多さんに、大量のチキンを食べ続けるフードファイター(宇宙人)達を見せて、事情を説明した。
「…凄いね? 君は秘密のキーボックスまでも手懐けてしまうなんて…」
「美味しそう。由利亜ちゃん、うちも食べてもいい?」
「え、あ、どうぞ」
 喜多さんも由利亜のチキンを手に取って食べた。
「あっ、美味しい。ワン様も食べれたら良かったのに…んぐ、ストロベリーシェイク、飲みたくなったな。飲む人ー?」
「「「はーい!」」」
 二匹と勿論、由利亜も手を挙げた。
 ワン様はお肉を召し上がれない、ということは。
「ワン様はベジタリアンなの?」
 ワン様は苦笑を浮かべる。
「僕は電流の流れてる、生きた機械が好きなんだ」


「……」


 いっけなぁい☆ 思考が止まっちゃった☆


 えーと…ん? 急にSFの話?
 由利亜、今の流れだと食べ物の話してるつもりだけど違った?
 ストロベリーシェイクをちょうど持ってきてくれた喜多さんに目線を送ってみる。
「あ~えぇ~っと、ワン様は地球産宇宙人なのよ。でもワン様は外見だけが人間の形に生まれたこそすれ、中身は全くの別物なんだ」
 ワン様が笑っている。
「僕は人間のガワを被った機械喰いのこわ~い宇宙人なのさ」
「ほぅー……」
 中身が気になる。あの白い歯で機械を貪るのか…、見てみたいかも。
「ま、僕の話は置いておいて。さっき連絡があって、君と京子さんは正式にコロニー12オムニバスの管理化になった。悪いけど、君達が義務教育を終えたら、すぐにオムニバスで働いて貰うことになる」
「! それって!」
 京子に背中を叩かれた。
「やったやん、あたしら永久就職先ゲットだよ。受験しなくてもいいんだよ」
「…やったわ、やっと…」
 イエスッ! パパが人間じゃなくて、宇宙人とのお見合いをセッティングしてくれるかも!
「喜んでるとこ悪いけど、試験はあるから」
「ぶほっ! げほっおほっ」
 噴き出す京子の背中を摩ってあげた。
「京子、これ飲んで」
 シェイクを渡すと、ズゴゴゴゴゴゴと物凄い吸引力で吸った。そうよなぁ、京子は本当にテストが大嫌いだもんね。
「といっても何が適任かのテストだけどね」
「わっ」
 がしっと京子に抱きつかれた。
「あああああたしは由利亜と同じじゃなきゃ嫌!」
「…京子…」
 さみしがり屋さんだなぁ本当に。なぁんてまぁチキンがすぐに食べたいだけだろうけど。
「うん、そこでだ」
 にっこりとワン様は微笑む。
「ラムラである京子さんは、由利亜さんを『食べない』唯一無二にした。それはラムラ界隈ではツガイ、言わばの契りと同じだ」
 あらま。
「ブホッ! ゲッホホエッ!」
 また京子は涙目になって噴き出す。
「ふふふふふううううふふふっ!?」
「ラムラ族は自分とツガイ以外は『喰らうもの』だという認識化にある。つまりは、自分以外の他者を『食べない』認定するのはツガイ、それ以外ない」
 おやまぁ。
 京子がみるみる顔を真っ赤にしていく。
「由利亜! ち、違うの! あたし知らなかったの! ほんとだよ!?」
「もともとラムラ族は雌雄はないし、どう繁殖するかは謎だけど。京子さんが何にせよ由利亜さんを『食べない』と決めたのなら、……由利亜さん」
 ワン様はまじまじと由利亜を見てくる。あぁカッコいい。だけど機械が食事。
「京子さんと『共鳴シンクロ』すれば、君は【人間のまま】、宇宙人に成れる」
「…それって……」
 京子にさっき言われた言葉が反芻する。

ーあたしが由利亜を宇宙人にしてあげる

 京子を見やると、にこっと笑った。
「やっぱそうだよね。人間の身じゃコロニーじゃ危険だもんね」
「ご名答。安全に徹しているとはいえ、何が起きたら地球人の身ではまず無理だろう。そこでだ、京子さんは寄生型だ、初めてそこで真価を得ると以前言ったように、由利亜さんは別の意味で進化できる」
「…【人間のまま】ってことね」
「でも由利亜ちゃん、よく考えて。それでも地球の理から外れるということに」
 十二分に考えている。
 由利亜自身が、ずっと望んでいたことだもの。
「由利亜はずっと人間じゃ無くなりたかった。ワン様は輪廻転生って言葉、知ってるよね?」
「あぁ、簡単に言えば『魂とは生まれ変わる』ということだよね? 前世の人間が、今世で全く違う自分になっても、その根底にある魂が今世でも後世でも同じ意志を持って人生を繰り返す」
「そう、魂はずっと繋がってるの。由利亜は生まれた時から、この狭い世界で生きていくことが嫌だった。世界は、宇宙はもっと広いことを知ってたんだ、だから」
 由利亜はこの時を待っていた。
 きっと、由利亜の前世のもっともっともっとの前世も、この広い宇宙を見てきたんだ。だから由利亜の魂は知ってる。世界は地球だけじゃないことを。
「由利亜は京子とするよ!」
「ぶほぁっ!」
 何故か隣で鼻血を噴き出す京子がいた。

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