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はじめての夜会②

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 城に到着し、ルイス様にエスコートされ馬車を降りた。少し緊張しているのを悟られたのか手を優しく握ってくれる。ふとルイス様の顔を見上げると、こちらを見て微笑んでいた。心臓に悪いわ。

「お熱いことで」

 声のした方に顔を向けると、ノックス様が不機嫌な顔を隠そうともせず、そこに立っていた。

「団長。いやブライアン。約束は守れよ」
「……分かったよ。リックメラー公爵夫人、先日の私による失礼な態度、大変申し訳ありませんでした」

 急にかしこまられても困るけど、きちんと誤ってくれたのだ。私も鬼ではない。

「もう気にしておりませんので、どうかお気になさらず」
「お許し頂き、ありがとうございます。ルイス、これでいいか」
「……ああ」

 それより気になることがある。ノックス団長は騎士服を着ているのだ。確かノックス様は伯爵家の次男だったはず。

「ノックス団長は夜会にはお出になられませんの?」
「ああ。今日は警備責任者なもんでね」

 貴族はほとんど参加しているが、警備も必要であるため全員参加とはいかないようだ。

「残念ですわ。これを機に親交を深めようと思いましたのに」

 嫌味交じりに言ってやった。なんだかんだ言って根に持っていたらしい。

「深めなくていい」

 とすかさずルイス様が言った。カッコいい。

「ハイハイ。それじゃ思う存分楽しめよ」

 ノックス団長は顔を引きつらせながら去っていった。


 ホールの中はとても煌びやかで目がチカチカした。普通の会社員だった私が、こんなに素敵なドレスを着て、大好きな人と夜会に出席できるなんて。夢みたいだ。
 途中見知った人と顔を合わせ(アメリアの)記憶と照らし合わせながら挨拶をしていった。

 会場の雰囲気はそこそこあたたまっていて、どうやら会が始まって結構な時間が経っているようだった。厳密に言うと遅刻となる。しかし公爵が早く来ては、下の爵位の人はもっと早く来なくてはいけないのだそう。日本人的にはどうも落ち着かない。

 会場に流れていた音楽が止まり、王族の方々が入場してきた。さすがの王家、美形揃いである。

「皆の者! 我が息子、エドワードが無事成人を迎えた。昨年婚約者も決まり、我が国は安泰である。これもすべて皆の力あってのこと。今夜は思う存分楽しんでいって欲しい」

「本日は私の誕生パーティに参加してくれて感謝する。成人したとは言えまだまだ未熟な私だが、ここにいる婚約者ソフィア・マルテロと共により良い国を築いていきたいと思う。皆これからもよろしく頼む」

 国王陛下、王太子殿下の挨拶が終わると盛大な拍手が巻き起こり、それが落ち着いたところで再び音楽が流れ始めた。
 王太子殿下と公爵令嬢である婚約者のファーストダンスがはじまった。

 陛下は、最近体調のお悪い王妃陛下のために、ご一緒に退場されたようだ。

 美男美女で一枚の絵のようなお二人だ。ダンスもお上手で、軽やかなステップを踏んでいる。私もあんな風に踊れるかしら。体が覚えていても実体験がなかったので、練習はさせてもらったのだけど。

 そして私たちの踊る時がやってきた。緊張する……!
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