伯爵と勝負

牧野きうい

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エマ視点 前編

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 私は田舎から出てきたエマ・ノックスと申します。18歳でございます。このローギル伯爵のお屋敷に行儀見習いという形の花嫁修業をさせて頂いております。

 期間は約2年程で、田舎に帰れば結婚する事になっております。



 現ローギル伯ラルフ様はそれはそれは素敵なお方で、お歳は25、銀の御髪に碧眼、背も高く、逞しい体をしていらっしゃいまして、独身既婚年齢に関わらず女子すべての憧れであります。

 ローギル伯と言えば国王の覚えもめでたく、この国唯一の1度もお取り潰しの無い歴史あるお家でございます。

 確かラルフ様で12代目とおっしゃっていらっしゃいましたでしょうか?
 勉強不足で申し訳ありません。


 そんな伯爵様が田舎のしかも父は爵位を賜っているとは言え、商人上がりの準男爵。その何の地位も無い娘をお抱きになるようになったのは半年程前からの事でした。

「あんっ、あんっ、あんっ」
「エマ、感じているんだね」

 ただいま私のアソコにラルフ様の肉棒が絶賛出し入れ中でございます。この間まで処女だった私はラルフ様に開発され、一ヶ月で中イキまでできるようになりました。

 ズチュズチュと漏れる水音。

 私が気持ちよくなれるポイントを的確に突いて下さるラルフ様には毎回翻弄されるばかりです。単調に出し入れするだけでなく、奥を小刻みに突いたり、円を描くようにぐるりと回したり……。

 私は気持ち良すぎて、喘ぐしかできません。ラルフ様は普通に喋っておられるのに……。

 所謂てくにしゃんと言うものなのでしょうか?

 さすがラルフ様でございます。



 そして中イキができるようになってから程なくラルフ様がとんでも無い事をおっしゃられました。

 「エマ。勝負をしようか。」

 こんな事を言われたのです。しかもラルフ様の肉棒が私の中に入っている時にでございます。

「んあっ……しょう、ぶ、でございますか?」

 限界も近く息も絶え絶えに答えた私に、ラルフ様はおっしゃいました。

 「そうだよ。エマより私の方が先にイったらエマの言うことを何でも一つ聞いてあげる」

 どうしてそんな事をおっしゃったのかは分かりませんが、私がラルフ様に勝てる筈がありません。

 現に今も恥ずかしながらイきそうなのです。

 「もう……あッ……駄目です。あぁっ!」

 イってしまいました……。

 自分でも中が痙攣してラルフ様のモノを締め付けているのが分かります。

「エマは我慢が効かないなぁ。それじゃぁ私も」

 ラルフ様は動かすスピードを速め、程なくイかれました。


 勝負を始めてからしばらくたちますが、皆様のご想像通り1度も勝った事はございません。


 コトを致したベッドのシーツ替えは私の仕事でございます。グチャグチャのドロドロになったシーツを他の方には見られたくはありませんので、これはとても助かっております。

 ある日ラルフ様のお部屋のシーツを交換した後、リネン室に向かった時の事でございました。中には先客がおり、私と同じ行儀見習いの子達が3人でおしゃべりをしていたようでした。

 普段でしたら何も考えず入っていくのですが、今回は偶然聞こえてしまった内容に足が止まってしまい、いけない事とは思いながらも、立ち聞きという形になってしまったのです。

「ラルフ様ってお強いわよね~」
「「ね~」」
「ラルフ様に1度でも勝った事ある?」
「ある訳ないじゃない! 私なんかこの前3度挑戦させて頂いたけど、すべて負けたの」
「あのお手は凄いわよね~」
「「ね~」」

 その後もまだ何か言っていたようですが、頭の中で色々な思いが駆け巡り、傍を通った同僚に声を掛けられるまでその場に突っ立っていたようでございます。

 確かにラルフ様の手淫は素晴らしいものでございます。ひよっ子の私などひとたまりもありません。

 でも私だけでは無かったのですね。私はうぬぼれていました。もしかしたら私だけがラルフ様のお体をお慰めしているのかと。
 いえ、お慰めできているのかどうかも分かりません。

 そういう事だったのですね。お勤めを果たした娘がシーツを交換するのですね。

 しかも私とはいつも1度だけでございます。あの子は3度したと言っておりました。ラルフ様は平等な方ですので、私の体に不満があっても順番で呼ばれているのですね。

 その日は夜になって自分のベッドに入ってからようやく涙を流す事ができました。
 ラルフ様はみんなのラルフ様です。独り占めしようとしていた自分が恥ずかしいです。

 明日からは身を弁えて行動致しますので、今夜だけは泣く事をお許し下さい。

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