伯爵と勝負

牧野きうい

文字の大きさ
上 下
1 / 4

エマ視点 前編

しおりを挟む
 私は田舎から出てきたエマ・ノックスと申します。18歳でございます。このローギル伯爵のお屋敷に行儀見習いという形の花嫁修業をさせて頂いております。

 期間は約2年程で、田舎に帰れば結婚する事になっております。



 現ローギル伯ラルフ様はそれはそれは素敵なお方で、お歳は25、銀の御髪に碧眼、背も高く、逞しい体をしていらっしゃいまして、独身既婚年齢に関わらず女子すべての憧れであります。

 ローギル伯と言えば国王の覚えもめでたく、この国唯一の1度もお取り潰しの無い歴史あるお家でございます。

 確かラルフ様で12代目とおっしゃっていらっしゃいましたでしょうか?
 勉強不足で申し訳ありません。


 そんな伯爵様が田舎のしかも父は爵位を賜っているとは言え、商人上がりの準男爵。その何の地位も無い娘をお抱きになるようになったのは半年程前からの事でした。

「あんっ、あんっ、あんっ」
「エマ、感じているんだね」

 ただいま私のアソコにラルフ様の肉棒が絶賛出し入れ中でございます。この間まで処女だった私はラルフ様に開発され、一ヶ月で中イキまでできるようになりました。

 ズチュズチュと漏れる水音。

 私が気持ちよくなれるポイントを的確に突いて下さるラルフ様には毎回翻弄されるばかりです。単調に出し入れするだけでなく、奥を小刻みに突いたり、円を描くようにぐるりと回したり……。

 私は気持ち良すぎて、喘ぐしかできません。ラルフ様は普通に喋っておられるのに……。

 所謂てくにしゃんと言うものなのでしょうか?

 さすがラルフ様でございます。



 そして中イキができるようになってから程なくラルフ様がとんでも無い事をおっしゃられました。

 「エマ。勝負をしようか。」

 こんな事を言われたのです。しかもラルフ様の肉棒が私の中に入っている時にでございます。

「んあっ……しょう、ぶ、でございますか?」

 限界も近く息も絶え絶えに答えた私に、ラルフ様はおっしゃいました。

 「そうだよ。エマより私の方が先にイったらエマの言うことを何でも一つ聞いてあげる」

 どうしてそんな事をおっしゃったのかは分かりませんが、私がラルフ様に勝てる筈がありません。

 現に今も恥ずかしながらイきそうなのです。

 「もう……あッ……駄目です。あぁっ!」

 イってしまいました……。

 自分でも中が痙攣してラルフ様のモノを締め付けているのが分かります。

「エマは我慢が効かないなぁ。それじゃぁ私も」

 ラルフ様は動かすスピードを速め、程なくイかれました。


 勝負を始めてからしばらくたちますが、皆様のご想像通り1度も勝った事はございません。


 コトを致したベッドのシーツ替えは私の仕事でございます。グチャグチャのドロドロになったシーツを他の方には見られたくはありませんので、これはとても助かっております。

 ある日ラルフ様のお部屋のシーツを交換した後、リネン室に向かった時の事でございました。中には先客がおり、私と同じ行儀見習いの子達が3人でおしゃべりをしていたようでした。

 普段でしたら何も考えず入っていくのですが、今回は偶然聞こえてしまった内容に足が止まってしまい、いけない事とは思いながらも、立ち聞きという形になってしまったのです。

「ラルフ様ってお強いわよね~」
「「ね~」」
「ラルフ様に1度でも勝った事ある?」
「ある訳ないじゃない! 私なんかこの前3度挑戦させて頂いたけど、すべて負けたの」
「あのお手は凄いわよね~」
「「ね~」」

 その後もまだ何か言っていたようですが、頭の中で色々な思いが駆け巡り、傍を通った同僚に声を掛けられるまでその場に突っ立っていたようでございます。

 確かにラルフ様の手淫は素晴らしいものでございます。ひよっ子の私などひとたまりもありません。

 でも私だけでは無かったのですね。私はうぬぼれていました。もしかしたら私だけがラルフ様のお体をお慰めしているのかと。
 いえ、お慰めできているのかどうかも分かりません。

 そういう事だったのですね。お勤めを果たした娘がシーツを交換するのですね。

 しかも私とはいつも1度だけでございます。あの子は3度したと言っておりました。ラルフ様は平等な方ですので、私の体に不満があっても順番で呼ばれているのですね。

 その日は夜になって自分のベッドに入ってからようやく涙を流す事ができました。
 ラルフ様はみんなのラルフ様です。独り占めしようとしていた自分が恥ずかしいです。

 明日からは身を弁えて行動致しますので、今夜だけは泣く事をお許し下さい。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない

絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

処理中です...