好き・嫌い?・大好きーイケメン同僚と甘い契約結婚ー

真夏の太陽

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4ー嫉妬ー

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「んーふぁ・・あ」
美希は、朝から類に激い口付けに翻弄されていた。
昨夜は美希が泣きながら寝てしまい。
類も聞き分けのない美希の身体に、無体をしようかとも思ったが。
涙の跡を見ると、かわいそうで抱きしめ、そのまま眠りについた。

だが美希が類に逆らう態度を改めないなら、無理にでも従わせるつもりで今朝は強引にでたのだ。
「昨日のはキスじゃないよ美希。僕のキスはこうゆうのじゃないと満足しないんだ、教えるからちゃんと覚えて」
舌を絡ませ吸われ、恥ずかしいほど水音をさせ口腔を嬲り続ける。
「ううーんう、あふーくるし、ふう」
わずかな息継ぎだけで何度も責め立てられ。
ぼうっとしたところで頭、うなじ、肩、背中、脇腹、太腿と手を這わせ、脚の付け根に、類の脚を差し入れ絡ませる。
酸素が足りず、朦朧としている美希に気付かれないよう、太腿で粒を押しあげる。
「ん~ああーーはぁ」
「ほら休んでないで自分から舌を出して」
「ううーーいやぁーはぁ、んんー身体に触らないで・・熱い・ふあ」
類はまた唇を塞ぎ、激しいキスで美希の言葉を封じる。
チュプチュプと唇を揺すったり舌を絡め、何度も出し入れする。
粒に充てがわれた太腿の、揺さぶる力を激しくすると『チュク』と水音が聞こえてくる。
すでに類のスウェットは蜜で濡れて生暖かい。
溢れた唾液を舐め取りながら、耳のすぐ近くまで唇を近づけ、フーッと耳に息を吹きかけ、うなじを指でなぞる。
もう片方の手は背中から脇腹を撫でさすっている。
「あ・あ・んーーーふ・あーー」
(いや、こんな声出したくないのに・・)
美希はあまりの激しいキスに泣きながら類にすがりついていた。
ガクガクと身体を揺すられわずかな呼吸で喘いでいる。
「はぁ、もう、ふーーはぁはぁ」
下半身がジクジクし、絡めた脚を外したいが、上からのし掛かっている類の体重はビクともしない。
「んーーーああーいやぁーーんん」
類はキスを深め、脚を激しく揺すりキツく美希を抱きしめた。
「あ!ああ・あ・あああーーーーーーーーー!」
額から汗の粒が吹き出し、激しく痙攣すると美希はグッタリと脱力する。
大きく息を吸い込み、まだ苦しそうに、はぁはぁとしばらく息をしていたが。
自分の身体に起きた感覚に戸惑い、また涙が溢れる。
「う、うう・・」
類はやり過ぎたと思い、優しく抱きしめ。
「ちょっと苦しかったか?ごめん・・今日は午後から出社でいい、壊れたスマホ買ってきてから会社においで。わかった?俺、シャワー浴びたら出るから、今日は朝一で会議がある、先に出るよ。美希はもう少しここで寝てな」
額の汗を拭いてやりキスを落とすと、類はベッドから出て行ってしまう。

残された美希は泣きながら何度となく見た夢を思い出していた。
(この感覚・・この前見た夢の中で類に身体を触られた時と同じ・・)
美希は下半身が濡れて、とても起き上がれそうになかった・・

美希がシャワーを浴びてリビングに行くと類からのメモが置いてあった。
そこには朝無理させたことの謝罪が書いてあり。
「謝るくらいならしなきゃいいのよ・・ふん」
続きを読むと、どのスマホを買えばいいのかが書かれていた。
どうやら美希が持っている古い型の機種は、ストレージが少ないようだ。
あまり興味がない美希は使えればなんでもいいタイプだが、類は違うようだ。
「私苦手なんだよね~こうゆうの選ぶの。メモに書いてあるやつ買えばいいんだな?これは楽だわ・・で?何々~あとパソコンも買って来いと?このメモ見せればいいわけね。考えるの面倒だからショップに行って丸投げしてこよう」

外は梅雨の晴れ間で少し蒸し暑いくらいの陽気だった。
美希は車から降り地下の駐車場内の熱気に、肩にかけていたカーデガンを脱ぎ腕に持った。
白いピタリと体にフィットしたノースリーブシャツは、襟から胸の下までフロントにフリルが付いたドレッシーなデザイン、黒のタイトなスカートで合わせ。高目のヒールでオトナ女子を意識したコーデでキメている。
「蒸し暑いな~でもまだ梅雨明けてないんだよね~」
ブツブツと文句を言いながらエレベーターが到着するのを待つ。

部屋に着いて、ドアを開けると加奈が類と楽しそうに喋っていた。
美希はその光景を見て頭に血がのぼる。
(ほらやっぱり巨乳がいいんじゃん)
「遅くなりました~」
やる気のない声で入っていく。
自分の机に座るとバッグから色々取り出し、机の上に置く。
そこへ加奈が来て。
「なに?スマホ壊しちゃったんだって?どうしたのよ~落としたの?」
「うん腹たつことあってさ~壁に投げつけたらヒビ入っちゃったから買いに行ってた。加奈いつからここにいたの?」
チラリと類に視線を送る。
「ん~いつからだろ?三十分前くらい?ま~た牧田課長からセクハラされたから逃げてきた。そしたら美希いないし・・待ってる間、相葉さんから牧田対策教えてもらってたの。このメモ見せればもう二度とセクハラしてこないこと確実だよ~すごい内容なんだよ!ほら読んでみて」
加奈が差し出すメモを、美希は。
「私はいいよ、人のそうゆう弱みを握ってまでどうにかしたくないから、それにセクハラされてるなら逃げずに会社に訴えたほうがよくない?」
「ああ~まあね、そりゃそうよね・・あ~私の場合ちょっとサボりもあるから強くは出られないっていうか・・もう帰るよ。ねえ実家の方どうにかなったの?私いつでも相談に乗るからさ、じゃあね」
加奈は美希の肩に優しく手を当てて、部屋から出ていく。
「ありがと加奈、セクハラ酷かったら私も助けるから」
「うん、じゃあね」
バタンと扉が閉まる。
すぐに類が扉まで行くと鍵をかけてしまった。
「何してるの?」
「鍵かけたんだよ、美希着替え持ってるよね?」
「なんで?」
「その服、体のライン出過ぎてない?もう人妻なんだから少し落ち着いた格好してよ」
「今更?それに会社ではまだ独身だし私」
「それでもだよ、僕が嫌なの!着替えて」
「嫌!」
「無理やり脱がされたいならそうやって逆らってたらいい」
美希は朝の一件を思い出し。また悔しさがこみ上げてくる。
黙って椅子に座り、腕と足を組み、考える。
(絶対無理やり脱がされそう・・どうする?)
「更衣室行ってきます」
そう言ってバッグを持ち、鍵を開けドアを開けた途端。
バタン!と大きな音をさせドアが閉まる。
類が美希の真後ろに立って片手でドアを閉めたからだ。
美希はその場から動けずジッと立っていた。
ドアに手をついたまま、もう片方の腕が美希の身体に巻きついて動きを止める。
「離してよ」
「更衣室ってどこの更衣室?」
「会社から割り当てられた女子ロッカー」
「そこには何も入ってないのに何しに行くの?」
(バレてる・・)
「スニーカーが入ってるの取りに行くだけだよ」
「ここにも靴たくさんある」
(詰んだな・・)
「わかったから離して」
類はパッと両手をあげると美希を放してやる。
美希は諦めて続き部屋へ入っていく。
小さいがシャワー室や仮眠できるスペースもある。
簡易ベッドの横にはクローゼットがあり2畳ほどのスペースの8割に美希の服や靴、バッグなどが収納されていた。
類の方はスーツ3着、出張用の着替え3日分と旅行用バッグとトランクが置いてあるだけ。
これではロッカーに行って、着替えると言っても誰も信用しないのは当然である。
仕方なく美希は着替え始めた。
「逆らったらもっと怒るかな・・」
美希はノーブラになり、白いフレンチ袖のヘソ出しカットソーを身に付け。
太腿のほとんどが見えるショート丈のオーバーオールを着た。
ヒールを脱ぎ捨てるとハイカットのスニーカーを履き。靴紐をしっかり結ぶ。
鏡に向かって濃いローズピンクのグロスをこれでもかと塗りたくり。
髪をアップにし、うなじや肩が強調されるよう、てっぺんでお団子を作る。
「次は絶対逃げてやる・・」
部屋に戻ると自分の机に行き、スケッチブックを開きラフ画を書き始めた。
類には視線も向けず声もかけない、居ない者として振る舞う。
「クック、ふふ・・あはは、あっはっはっは・・」
美希は類が笑うので、チラッと視線をやると。お腹を抱えて笑っている。
「バカみたい・・」
そう言ってデザインを考えながらスケッチブックに集中する。
「君みたいな女性は初めてだよ、どうしたもんかな・・僕には手に負えそうにない・・」
「だったらほっといてよ」
「ほっとけないよ妻だし、でも美希?次に逆らったら君を傷つけるかもしれない・・よく覚えといて」
「また脅し?」
美希はボケットに入れた車のキーをギュッと握りしめた。
(口ではああ言っても類は絶対私には手を出さないはず)
「脅してなんかいないでしょ?そうやって反抗するのやめてって言ってるだけ」
「傷つけるって・・私のこと抱くってこと?」
「どうかな・・」
類はパソコンを見ながらどうでもいいように返事をする。
「なんでハッキリ答えないの?」
「言ったら怯える」
「やっぱり抱くんじゃない。それで今までみたいに飽きたら捨てるんでしょ?」
「捨てた覚えはない、みんな僕から去って行っただけ」
「ふ~ん、もうどうでもいい」
美希はシャーペンを走らせ、会社に来る途中に花屋で見た紫陽花の絵を描き。
デザインのイメーを考えていた。
しばらくお互いの仕事をこなし室内はパソコンのタイピングの音と、紙の上を走るペンの音しか聞こえてこない。
こんな状況でも仕事になると美希の集中力は凄く。
類は床に散らばったデザイン画を見て。
(もっと勉強させてやりたいな・・学校行かせるとか専門の職場にツテがないわけじゃない。だが今は俺の側から離すつもりもない。でも勉強すればもっと良い作品が書けるはず)
類は美希に
「本格的に勉強したいか?」
「え?」
「いや、なんでもない・・」
美希は一瞬類の方を見たが、またペンを走らせる。
三時になり類がお茶とお菓子を机に運んでくれた。
「ありがと」
そう言うと、美希はまた隣の部屋に行きTシャツとジーンズに着替え、ティッシュでグロスを拭き取りながら出てくる。
「外の空気吸ってくる」
スケッチブックとペンを持って、スマホをポケットに入れると、美希は部屋から出て行った。
誰もいない屋上に来てしばらく空を眺める。
「もっと勉強しないと限界があるな・・紙の上だけじゃそりゃ無理だわ」
フーッと大きく息を吐く。
「だったら勉強するか?」
「きゃぁぁーーーーー!!」
「ビックリするから!心臓に悪いから!も~何度言ったらわかるのよ!」
「個人でやってる工房で勉強させてもらえるように頼んでやてもいい」
美希は類を見上げ。
「それは必要ない」
「なんで?」
「基礎的な事はどこの専門学校だろうが工房だろうが一緒だもん」
「そうなのか?」
「うん、だから自力で勉強するしかない、でもね、私だって女だし将来は子供とか欲しかったりするんだ・・以前は真希を見てて、24時間子供と旦那中心の生活で、家事を一人でこなし、若いのに自由がなくて可哀想って思ってた。でも真希から『私可哀想じゃないよ幸せだよ』って言われたの。それから結婚とか妊娠、出産に憧れた。お金かけてコネ使ってまで勉強しても、私女だから、長く仕事をできない時間があると思うの、もしかしたらもうデザインの仕事すらしないかもしれない・・」
「・・でも勉強しろって言ってくれて有難う」
美希は類に笑顔で返した。
「今日注文したパソコンな3D CAD や画像の編集なんかに使えるスペックのやつなんだよ。お前はデザインだけでそのあとの工程は外注に出してるだろ?だからCADで立ち上げるまでの工程ができたらもっと作業がはかどるんじゃないかなって」
「うそ!あれ見積もり見たけど80万超えてたよ・・多分もっと」
「ディスクトップだと持ち歩けないから、美希の仕事には少しくらい高くても良いパソコンは必要だよ」
「でも、あれ類のカードで支払ってる。そんなに気使わなくてもいいのに」
「でも買ってあげたかったんだ・・さ!もう戻ろう」
類は美希の背中に手を添えドアを開けた。

その日の夜、風呂上がりに二人でビールを飲んでいた。
「美希が子供とか欲しいと思ってたなんて思わなかった」
「私も真希の大変さ見てたからそう思ってたけど、それは学生の頃までかな~一応結婚願望もあるし子供も20代で産みたいって思ってる」
「この結婚が終わったら婚活でもするの?」
「ん~まだそこまでは考えてない。でも一年後私は今の会社辞めるから、他でいい出会いがあるかもしれないしね」
「え?辞める?なんでさ。辞めることないだろ?」
「いられないよ・・契約結婚決めた時から考えてた。もうこれ以上類の人生を、私の我儘で振り回したくないしね・・それに類が結婚した時、別れた元嫁が会社にいたら都合悪いでしょ?」
「結婚なんかしないよ・・」
「なんで言い切れるの?これから好きな人現れるかもしれないのに?」
「現れない、ずっと好きだった人いるから。きっと他の人好きになる事ないと思う」
「ふ~ん・・以外、類が恋してたなんて・・」
美希は少し、いや!かなり気分が悪くなった。
女性関係にだらしなかった類が一途に恋する相手がいた事に嫉妬をしていたのだ。
そのことに本人は全く気が付いていないので、言葉が刺々しくなる。
「だったらその人と結婚したらよかったのに」
チラリと類を見て様子を伺う。
「三回告白してフラれた。本当に好きなのか、単にフラれたから執着してるだけなのかよくわからなかったけど、毎日自分の中でいろんな変化があって、結構楽しんでるよ。なんて言っても飽きない人だからね。フフ」
美希はなぜだか無性に泣きたくなってきた。
(その人と会ってる?近くにいる人?・・・まさか!!!!)
美希は今日昼からの出勤で、加奈と類が楽しそうに喋っているのを思い出した。
加奈には片思い中の男性がいる。彼女の一途さは美希もよくわかっていて。
もしイケメンの類から告白されても加奈なら絶対断るだろう・・
「その人って会社の人?」
「あ?うんそうだよ」
(お前だよ!ば~か)
美希は一気にビールを飲むと。
「疲れたから先に寝る」
そう言って寝室に行ってしまう。

類はひとりリビングでビールを飲みながら考える。
「子供か~あいつのことだから仕事より子供を取るだろうな・・」
類は美希への想いを執着なのか愛なのかわからないと思っていたが、美希と衝突し本音で話す彼女に、いつしか自分も本音で話し、心を開いていたことに気が付いていた。
(一緒に暮らしてまだ二日しか経ってないのに、こんな気持ちは誰にも感じたことがない。認めるしかないのかな~好きだって・・愛してるって)
類は美希以外の女性と結婚など考えられなくなっていた。
それと同時に美希と離婚することも考えていなかった。
繋ぎ止める手段ならたくさんある。
「今から毎日抱いて妊娠させようか?・・いい考えだな」
類は立ち上がると寝室へ向かう。

美希はヘッドボードに寄りかかり宝石の図鑑を見ながらメモを取っていた。
ドアが開き類が入ってくると緊張で口の中が乾きだす。
「ベッドの中でも勉強?もっとすることあるんじゃない?」
「寝る以外に何があるのよ?馬鹿ね・・」
美希は呟き、ハッとして類を見る。
すでに美希の隣に座り肩を抱かれ本を取り上げられてしまった。
「そう寝るんだ・・でも眠らないで使うこともある」
美希は昼間、類に言われた『酷いこと』が頭の中をいっぱいにした。
顎を掴まれ唇が触れてくる・・
「嫌!」
「また嫌?何が嫌なの?」
「だって怖がるようなことする」
「キスが怖いの?」
「怖いよ、類のは怖いの!だから今したのでもういいでしょ?」
美希は小さくなって怯えている。
(朝のと、昼間言ったことで怯えさせたか・・)
類はベッドに散らばったメモと図鑑を片付け照明を落とす。
「怖いことはしないよ。もっとこっち来て。抱きしめて寝るくらいいいでしょ?ハグなんてほとんどさせてくれないし」
美希は確かに、類に近付くのも避けているほどだ。
素直に類の胸に身体を預け横になる。
「美希、処女か?」
いきなりの質問に美希は固まった。
「な・な・何よいきなり・・関係ないでしょセクハラだよそれ」
「ん~夫婦なんだし、そうゆう関係もありかなって思ってさ」
「そんなこと嫌よ!」
(あ~また『嫌』か・・面倒だな)
「なんで嫌なの?」
「愛する人とすることだから」
「昔の、見合い結婚した人とか、いきなり身体から入ってたんだし、別に問題ないでしょ?実際僕たち夫婦なのにそうゆう関係がない方が不自然じゃない?」
「一生添い遂げるつもりで見合い結婚した人と、契約結婚した人は違う!一緒にしないでよ」
類は美希の額にキスをし。
「そんな固いこと言わないで、相手が俺じゃ嫌?」
類は話しながら顔中にキスを降らすと、何度も唇にも啄ばむようにキスをする。
「ん~しつこい!固いも何も、類とはそうゆう関係になるつもりないもん」
チュッチュっとキスをやめない類の胸を押すが無駄な抵抗なのはわかっている。
「酷くしないで・・本当に怖いの」
「んーしないよ、だから少し大人しくしてて」
類は頭や顔、首筋に手を這わせながら、触れるだけのキスをゆっくり続け。
「可愛いって思ってた。最初から」
「嘘よ!」
「信じないの?」
「そうやって女の人口説いてきたんでしょ」
「ん~どっちかというと口説かれた方」
「そうゆうのが嫌いなの」
「僕は君が好きだよ、意地っ張りだけど素直ななところもあって、とにかくバレバレなとこが可愛いい」
背中やヒップにも手を這わせ優しく撫でられ、その手の熱さに美希の身体も反応し熱くなる。
「楽しそうに話してたじゃない、加奈と・・」
類は一瞬美希の顔を見る。
赤く腫れた唇を薄く開き、焦点が合わない目は潤み、ウットリしながら類の口づけに応えていた。
(ヤキモチ?なんて聞いてら一瞬でベッドから飛び出しそうだな)
「あ~彼女ね。セクハラで困ってるっていうから喋ってただけだよ」
「加奈は美人で巨乳だから」
「確かにあの胸は圧倒されるね」
美希は類のキスが心地よく、されるがまま受け入れていたが、今の一言で胸が苦しくなる。
「加奈のこと気に入ってるの?」
「どうだろう、嫌いなタイプじゃないね、性格もサバサバしてて」
「ふ、ん~もうやめて・・もうキスは嫌」
「また嫌なの?」
「・・・・」
「美人でもなんでも、類が誘えば抱けるじゃない、なんで私にこんなことするの」
類の手は相変わらず背中を撫でさすり、触れるだけのキスを繰り返していた。
美希は嫌という割には角度を変えると、ちゃんと合わせてくるし、キスにも応える。
「君も美人じゃないか、プラス可愛いし、君みたいな我儘で、世間知らずで、気が強くて面倒な女が僕のタイプ」
「だったら!!」
美希は思い切り類の肩を拳で叩いた。
「なんであの部屋で加奈と楽しそうに喋るのよ!!」
いきなり暴れ出したので類は頭を押さえ自分の胸に抱き寄せる。
「楽しいなんて思ってないよ」
「うそ!うそ!普段加奈とは喋らないくせに、私がいない時に・・うぅ」
「嘘じゃない!美希が一番可愛いし、他の女性と仲良くするつもりはないよ」
類は美希を落ち着かせるために抱きしめ、背中を撫でながら話しかける。
「今日はたまたまだよ、少し落ち着いて」
「美人なら誰でもいいんでしょ?ふ、うう~」
「美希、もう泣くな」
「泣いてない!!」
「そうなの?涙流れてるけど」
美希は暴れるのをやめて類を見上げる。
「類は嘘つきだし、女の敵だし、私を苦しめる」
「何を苦しんでるのさ、美人で巨乳の加奈ちゃんと楽しくお喋りしてたから?」
「ほら・・やっぱり」
美希は類の胸で本気で泣き出してしまった。
(こんなに激しく感情をぶつけてこられたら、どんな男でも惚れちゃうでしょ?無自覚で愛の告白しちゃうお嬢さんには到底敵わないよ。俺をどこまで本気にさせるの?)
「美希?結婚生活一年じゃなくて一生なら信じてくれる?」
「うう~そんな嘘、信じないから!そうやって抱いて捨てるんでしょ?私には無理」
「僕は院に行こうと思ってたけど、君のために親父の会社で働くことにした。告白して振られてもこうやって一緒にいたくて結婚したのに、美希はわかってない。さっきから森田加奈さんのことばかり気にしてるのはなぜ?」
「加奈を類から守るため・・」
「じゃあもう俺が一人の時は、部屋の鍵かけて女性は入れないよ。これでどお?」
「ティッシュ」
類はベッドサイドテーブルに置いてあるティッシュを美希に渡す。
涙を拭きながら鼻をかんでいる美希を見ると、全身真っ赤になって汗をかいている。
「風呂入ったのに汗かいてる、シャワー浴びておいで」
「・・」
「綺麗な肌があせもになるよ。それであの可愛いやつ着てよ。Tシャッツなんて可愛くない。美希にはああゆうのが、このふわふわの髪と、色の白い肌に合ってる、ね?お風呂行ってきな」
そう言ってベッドから抱き上げるとバスルームまで連れて行ってやる。
「美希、いつまでも泣いてないで、いつもみたいにいい匂させて綺麗にしておいで」
背中を押してバスルームのドアを閉め。
類はキッチンに向かい、またビールを取り出し飲み始める。
「うまい・・そして疲れる。あの子あれが素なら、かなり危険人物」
類は美希が加奈と自分のことで、嫉妬し泣くほど怒っているのが嬉しくてたまらなかった。
子供の話をした時もそうだ。
美希が子供を欲しいなら、絶対自分の子を産ませたいと思ったからだ。
(他の男に取られるようなことは絶対させない・・そのためには美希を力で押さえつけるよりは甘やかしてやったほうがいいのかもしれない・・)

美希は悩んでいた。
シャワーを済ませ、下着の入ったバスケットを目の前に、本当にベビードールを着ようかどうか・・
「でもこの前買ってもらったやつ結構可愛んだよね・・」
類と買い物に出たとき数着だが、ネグリジェとベビードールを買ってもらったのだ。
「やっぱり着たいし、言われたからじゃなくて自分が着たいから着るのよ!」
美希は自分で言い訳をし、愛くるしいデザインでレースがたくさんついたネグリジェを身につける。
「ちょっと透けてるかな?でも寝るだけだし・・」
『美希~風呂まだ?俺もシャワー浴びたいんだけど』
類がドアの外にいる!入ってこられるのが嫌で手早く着替えバスルームから出る。
「ごめん長引いた」
そう言って寝室に走って逃げ込む。
類は入れ替わりに風呂に入ると。
「可愛いな、今日のは結構透けてるし好みの下着だ・・」
嬉しそうにシャワーを浴び始める。

類が帰ってきてから、言い争いが絶えないことに美希は戸惑っていた。
なぜここまで自分がムキになって反抗し続けるのか。
「焦り?・・とも違う・・」
(たぶん私は、他の女性と同じに扱われたくないんだ。キスもその先も、処女ってバレちゃったから類は私を抱かない、きっと・・抱かれなければ捨てられない、でも類が他の女性の身体を求めたら?ここには帰ってこなくなるかも)

類が寝室に入ってくると同時に部屋の明かりが消える。
美希が恥ずかしくないように、配慮してくれていることは気が付いていた。
ベッドに入ると。
「電気いつもありがと・・」
「ん~もう寝るから、この前買ったやつ着たんだね。似合ってる」
「うん、せっかく買ったから着たかったの」
「美希、もっとこっちおいで」
美希は躊躇うが、素直に類に抱かれ美希も類の背中に腕を回す。
「落ち着いた?」
「うん」
「色々信じてもらえてないのは、自分が過去にやってきたこと考えたら仕方ないと思う。でも今は違うってことは信じてほしい。美希と結婚生活してる間は一切女性と関係を持つことはないから」
美希は類のその言葉にまた爆発した。
結婚が終わったら自分はどうなるのか?今の美希には悪い方にしか解釈できず。
「三回振られてもまだ好きな人がいるんでしょ?類は嘘つきよバカ!!その人が好きだって言った。きっと会って彼女を抱くんでしょ?」
また暴れて類の腕から逃げようとする美希を必死で押さえつけ。
(ああ!やっぱりとても激しい愛し方をするんだね君は、心臓を鷲掴みにされた気持ちだよ。囚われてしまう)
「バカは君だよ」
ニヤリと笑ってキスをしようとした時。
思いがけず反撃を喰らい一瞬怯んだ。
美希はその隙にベッドから飛び降り、寝室を出てリビングの窓の側まで逃げたが、呆気なく類に担ぎ上げられソファーに放り投げられてしまう。
ガッチリ押さえ込まれて類の膝の上に座らされ、両手を後ろで拘束されてしまった。
「嫌!う、うう、ふぅ・・」
「なんで泣くの?理由が聞きたい」
「泣いてない!!離して離してーーーー!」
脚をバタつかせ声を荒げる美希に
「ねぇ少し大人しくしてよ、僕を三回も振った。沢井美希さん」
「嫌よ!離して!・・はな・し・て・・」
美希は類を見て、大きく目を見開いている。
掴んでいた手首を離してやり、髪を撫でながら顎を掴み、美希と視線を合わせる。
「俺より残酷なことしてるのは美希でしょ?」
「私じゃない・・」
「美希だよ、三回とも同じ!旅館のお嬢さんに振られたの俺・・」
「だからこの場面で涙を流してるのは美希じゃなくて僕でしょ普通?」
「君は一体何と戦ってたの?フフフ」
「なんで言わなかったの?」
「気がつくと思ってた。それに言いたくないでしょ?普通は、就職決まった時の告白だって、今でも悪夢のような出来事でしかないのに、美希はそうやって容赦無く傷口広げるよね」
「・・・・」
「謝ってくれないの?腕痛かった」
美希はハッと顔を上げると、類の腕を取って傷跡を確かめる。
「ごめんなさい・・下ろして、手当てするから」
そう言ってスルリと類の腕から抜け出すと、リビングがパッと明るくなり、美希が救急セットを持ってきて、もう一度腕を確認する。
歯形がクッキリと付き、所々内出血を起こしていた。
「ああ、本当にゴメン・・消毒して包帯巻くから少しジッとしてて」
「これくらい平気だよ、うわ」
「ほら!やっぱり痛いでしょ」
手当てをしている美希は悩ましいネグリジェ姿だ。
類が選んだ透けるタイプのもので。
二つの膨らみのピンクの頂は、無防備に尖って薄い生地を押し上げている。
ショーツは総レースの小さいものでヒップの丸みが隠しきれずなんとも悩ましい。
「う・・」
類の下半身が見る間に反応し、スウェットを押し上げ痛いくらいに立ち上がってしまう。
「え?痛み酷い?どうしよう。この時間にお医者さんに診てもらうのは」
美希が心配そうに類の顔を覗き込む。
「これ以上はヤバイから顔近づけないで」
「どうしたの?類、もしバイ菌が入って痛みがあるなら」
「違うから・・あまりにも悩ましくて・・」
美希は類の視線を辿る・・
リビングの照明で完全に透けて見えてしまっている二つの膨らみ・・
「いやーーーー!!スケベ!」
美希は立ち上がろうとした弾みで足がもつれ、類の胸の倒れこみ、自分の腰にしっかり類の昂りを押し付けていた。
「きゃーーーー!!変態ーー!」
夜中に人騒がせな夫婦である・・


社内ではまだ二人が結婚をしているという事実は内緒にしている。
「沢井美希さん、帯留のリメイクのデータを昼までに送って下さい」
美希は朝から何度ため息をついたのか、スケッチブックの端に正の字でメモを取っていた。
「今ので29回目・・29回もフルネームで呼ばれ続けてるってことよね?」
(前々からよくわからな性格だとは思っていたけど、ひとつわかったのは根に持つタイプってことだわね、ふん!いいし気にしてないし)
「沢井さん、今日は外でランチでもします?デリバリーにも飽きましたし」
(はぁ・・30回目)
「相葉さんは、なんで社食使わないんですか~?安いし美味しいし、私は社食に行きたいんですけど?外暑いから出たくないんです。道産子なんで」
「美希!俺は好奇の目で他人から見られるのが嫌なんだって、何度言ったらわかってくれる?」
「それは類の問題でしょ?私には関係ないし、社長の息子ってバレて社内を歩き回れなくなったのは私のせいだとでも?」
「え?そうでしょ?美希のせいだよ。そのために僕、二回も親父に魂売ったんだから。一回目はこの部署立ち上げるお願いしたら、生涯会社に貢献しろって。本当なら院で勉強してから、ここ以外の職場探して自由を満喫しようと思ってたんだもん。二回目は美希んちの旅館と業務提携する代わりに、これからは相葉の跡取りとして営業での業務と役員の仕事もこなせって、毎日死にそうなくらい働かされてるんだよね~」
美希は机の下で色鉛筆をへし折っていた・・
「身バレしてからの僕に対する社内での好奇な目・・もう耐えられないんだ。だから外で食べようよ沢井さん」
(クッソ!31回目!!)
「わかりました相葉さん!外でランチですね。急いで仕事片付けますので」

二人はホテルの高層階、夜なら夜景を楽しみながら食事ができそうな、落ち着いた雰囲気のレストランで食事をしていた。
会社から近い店に行くのだと思っていた美希は、類のこうゆう感覚が庶民の自分とは違うと感じていた。
(ランチでどれだけお金使うんだか・・)
美希は嫌味の一つも言いたくなり。
「類、ここも誰かとデートで食べに来たの?」
「奥さんだけですが?・・また何か気に入らないことでもあるの?」
「ふ~ん、だってここってさ~カップル多いじゃない。それに類って男友達とランチするタイプに見えないし」
「男友達とこんなとこ来ないよ、取引先の人に教えてもらって、食べに来たら美味しかったから美希に食べさせたいと思ったの、なんでも女性に結びつける方が僕には不愉快なんだけど・・」
「どこの取引先?」
「え?ああ、スリアン工房の人・・」
「スリアンさんの誰?」
「徳さん?かな・・」
「営業の花笑さんじゃないの?」
(鋭い!)
「そうだったかも・・」
「髭面の徳さんと、花笑さんじゃ全然違うんだけど・・」
「んーそうかも・・花笑さんです」
「綺麗よね彼女、タイプ?」
(本当、ヤキモチが凄いな~他の女性見ただけで殺されそうな勢い、そんなに俺のこと好きなんだ~可愛いな~)
「なにヘラヘラ笑ってるの?気持ち悪、もう帰って仕事しないと」
類は席を立つと美希をエスコートし店を出る。
地下の駐車場からエレベーターに乗り込むと一階で止まり、外でランチから帰ってきた集団が乗り込んできた。
類は美希を壁際にやり、腰に腕を回し他の男性社員に触れさせないように庇った。
「わあ!相葉さんじゃないですか~外でランチしてたんですか?たまには誘ってくださいよ。秘書課全員、相葉さんのファンなんですから。あ!それと、後で会議の資料の説明があるので空いてるお時間教えて下さいます?」
「今から部署に戻るのでスケジュール見てから連絡します」
秘書課の佐藤明日香とその仲間たちは、ずっと類に話しかけてくるので、無視もできない類は適当に相槌をうって自分たちの階が来てようやく解放された。
(二人になったら暴れそうなオーラが美希から出てる・・怖い!)
パソコンでスケジュールを見ながら空いている時間を秘書課に電話したいのだが、内線を使うと美希の反応が怖いので社内メールを使って送ることにした。
類は恐怖でさっきからビクビクしていたが、美希は何も言わないし一言も喋らない・・
(今、俺から話し出したら藪蛇間違いない・・とにかく乗り切ることだけを考えよう、アーメン!)
美希は椅子の上で膝を抱え丸くなっている。
手にはペンを持っているが一向に書こうとはしない。
(なに?秘書課の人たち、私のこと凄い目で睨んでた。原因は類・・あ~女子からのああゆう態度、昔を思い出して気分が落ち込む)
美希があまりにも喋らないし動かないので。
類はドアに鍵をかけると、椅子の上で丸くなっている美希を抱き上げソファーに連れて行く。
「いや~類やめて!」
膝の上に座らせると頭を押さえ『ちゅ』っとキスをする。
「どうしたの?元気ないね仕事も手に付かないみたいだし」
ギュッと抱きしめ何度もチュッチュっとキスをしながら頭を撫でて様子を見る。
「別に・・」
「そう?ならいいけど・・」
美希は珍しく類の肩に頭を預け甘える。
(うわ~なにこの究極のツンデレは!押し倒したくなるじゃん)
「こんなに甘えられたら心臓壊れそう」
美希は類の胸に手を当てて。顔を上げると、息がかかるくらい近くで。
「ほんと、凄くドキドキしてるわ」
「当たり前でしょ惚れてる女から甘えられたら、男なんてイチコロでやられます」
「イチコロって、私、殺虫剤みたい。ふふ」
二人の視線が絡まり、類が美希の背中を撫でながら唇を重ねる。
「ふ・・」
美希は類の首に腕を回しキスに応えてくる。
積極的に口を開き類の舌が入ってくるのを待ち。
さっき直した口紅が類のキスで剥がれ落ちるくらい激しいキスに二人は没頭し、求めあっていた。
「色っぽい顔だ、君を抱きたいよ。許してくれないのが苦しい」
「秘書課に電話しなくていいの?」
(うわ!いきなり爆弾落としてきた)
「ああ~メール送っておいたから、時間になったら行ってくる・・」
美希はまだ類に抱きついてスリスリと甘えている。
「ねえ美希、本当に結婚生活長く続けたいんだよ俺、少しは考えてくれないかな?こうやって抱きしめてると一年後別れるなんて死んでも嫌だ。契約書は破棄して、少しづつでも俺を見てよ。全く振り向いてもらえないのは惨めだ・・」
「類のこと嫌いって言ってない・・不安になるのが嫌なだけ・・さっきだって・・」
美希は花笑のことも秘書課の美人たちも、類を狙う女性みんな嫌いだった。
考えると目が潤みだす。
「ああ~泣かないで・・昔は確かに酷かったけど今は君だけなんだよ、わかってよ」
「泣いてない!類が独身だって思ってるから、みんな私が側にいるのが邪魔だって顔する。そうゆう目で見てるもん」
「ねえ結婚指輪持ってるでしょ?あれ付けよう」
「でも・・」
類はワイシャツのボタンを外し首に掛けたチェーンからリングを外し、指輪を左手の薬指にはめた。
美希は類がそんなところに指輪を身につけていたと知らず。
涙が次々と溢れだす。
「どお?これからは一生この指輪を外さないから」
「私の指輪、家にあるの、高価なものだし」
「別に美希にもしろって強要してる訳じゃないから、初めて美希と繋がる物ができて嬉しくて、ずっとこうやっって身につけてただけだし」
そのとき類のデスクの電話が鳴り響いた、が。
「どうせ秘書課だ、今はこのお嬢さんが泣き止んでくれるまで手が離せない」
そう言ってキスを再開した。
散々甘いキスを与え美希を蕩けさせ。
「少し休んでから仕事すればいい。ちょっと出てくる何かあったら連絡して」
美希んは類に抱きついて、コクリと頷き腕を外す。
「君のこんな悩ましい顔見てたらここから出たくないくなる・・いい子で待ってて」
もう一度キスをすると椅子にかけてあった上着を着てネクタイを締め直す。

類が出た行ってから、しばらくキスの余韻でボンヤリしていたが、仕事に取り掛かろうと自分の机に向かう。
そのとき類のデスクの電話がまた鳴った。
美希は受話器を取り。
「はい!デザイン課です。あいにく相葉は少々席を外しております。わたくしでよろしければご用件を承りますが・・」
『スリアン工房のものです。・・スマホに連絡したら出ないからここに電話したんだけど、あなたデザイナーの方よね?私、山崎花笑です。類に用があるから戻ったら電話するように言ってといてもらえます』
そう言っていきなり電話を切られた。
「・・私は留守番係じゃないのよ!!何よこの女、いきなり切るって酷くない?」
「・・・・」
美希は、さっき話していた花笑ということもあり、類の女性関係に腹が立って仕方がなかった。
籍は入っていても自分は類に身体を差し出していない。
他に類と関係を持った女性が現れたら、きっと差し出さなくても捨てられるのではないかと思ってしまう。
「花笑さんとはどこまでの関係なのよ・・」
美希は結局一日仕事が手につかず。入社以来一枚も、何も書くことができなかった。
帰りの車の中で、午後中美希の様子がおかしかったのを類は心配していた。
「何かあったの?今日は一枚も書いてなかったね、初めてじゃない?」
「・・類、昼間言ってたこと本気なの?」
「本気とは?」
「結婚の継続・・一生って」
「本気」
「帰ったら話し合いしたいの・・」
「・・わかった。でも今すぐ離婚するとかっていうのは聞かないからね」
「・・・・」
類は嫌な予感がして仕方なかった。
(どうしたんだ?まさか実家に帰るとか言いださないよな?・・もしそんなこと言ってきたら強引に身体を奪って自分のものにするしかない、可哀想だけど・・その後から愛情を深めればいい。これでも女性を喜ばせることに関しては、十代の頃から年上の女性に手解きされ、経験だけは豊富だ。快楽で美希を虜にするのに十日もかからない。ああ美希の乱れる姿が・・・・今はヤバイ!無になれ俺)
自宅に着き類は契約書を持ってきて美希に渡す。
(もし今、拒絶されたらここで犯す・・ごめんな美希)
「お茶いれようか?美希は紅茶がいいでしょ?」
「類、座って」
「・・なんか真剣な話?」
「うん・・」
類は美希の隣に座って、いつでも襲かかれる準備をする・・
「類さ、結婚の期間を一生って言ったよね?」
「・・言った・・けど、それが?」
「それでいい」
「え?え?なに?よくわからないんだけど・・」
「一年間って契約だったけど期限はなくす」
「それは本当の夫婦になってもいいっていうこと?」
「ちょっと違うけど、そんな感じ・・私まだよく類のこと知らないし許せないこともたくさんある。でも嫌いじゃない、優しいところが好き。私のために二回もお義父に魂売ってくれた。それに私たち、家族騙して結婚したでしょ?少なくともお互い愛し合えるか努力してみて、ダメなら離婚って選択をしたいの」
「そう?そうだよね~うん、いいと思う!俺は大賛成だな~家族騙してるんだもん、二人で幸せになれば喜んでもらえる。孫とか作ったらもっと安心させられるしな!俺努力して良い旦那になる」
「でも!!身体の関係は・・まだ心の準備ができてないから嫌なの、今は準備期間って考えて欲しい。無理やり身体を求められても私には応えられない。その条件を類が守ってくれるなら、の話・・」
(まあさ~美味しい話には裏があるっていうことだ・・)
「わかった。守るよ!とりあえず俺たちもう本当の夫婦ってことでしょ?だったら待つし、全然待つ」
美希は類の胸に身体をすり寄せた。
「類、わがまま聞いてくれて有難う、私も今日から良い奥さんになるように頑張るから」
(うぉーーーなんだよ可愛い!!新妻プレイかよ~ああ早く美希としたい)
「美希は今のままで十分可愛いし良い奥さんだよ、美希の全部が早く欲しい、愛し合いたい。そのために俺も頑張るから」
美希はねだるように顔を上向いて類を見つめる。
類は人生でこれほど女性にドキドキしたことがなかった。
「君は本当に悪魔のような女だね、僕の心臓ごと奪っていく」
唇を重ねると美希は類の首に腕を回し膝に跨って積極的にキスに応えていた。
(本当にヤバい!今まで女なんてヤレればいいと思ってたけど、恋に落ちるってこういうことなのか?凄いなこの気持ち・・結構Sだと思ってたけど、俺ってM?)
「美希?あまり煽らないで、抱きたくなる・・」
「はぁ、今は待って、少しづつ私も類に寄り添うつもりだから、ね?」
「待つ!ごめんな待つよ、愛してる美希」
美希は類に抱きつきながら、心の中では違うことを考えていた。
(これで類は本当に私だけで満足できるのかしら?花笑さんにしても会社の女子社員や過去の女性関係、私だけを好きでいてくれないと嫌!真希みたくなりたくないの)
美希は類を試していた。
過去に三回振った話を聞き、それでも類がまだ美希に気持ちがあること。
就職の件と今回の契約結婚にしても類は美希のために多くの犠牲を払って助けてくれた。
確かに類は美希のために良くしてくれ。普通なら愛されてると安心するだろう。
だが今まで遊んできた類を、妻という立場だけでは引き止めておくことはできない。
浮気されたら終わりだからだ。イケメンで会社社長の息子、結婚してても女性が放っておくはずがない。
(いつかは類に身体を差し出さないといけない・・でもその後、私だけを見ていてくれるの?わからない)
嫉妬心が強い美希は類を信じられず、類に近づこうとする女性の存在に怯えていた。

それが爆発したのは風呂上がり、類が記念にと、シャンパンを開けてくれた時。
酒が入り美希はどんどん昼間の花笑からの電話のことが許せなくなり、とうとう。
「花笑さんって『類』って呼ぶんだね・・」
(まずいな・・暴れなきゃいいけど・・)
「美希が嫌ならあそこの工房とは取引やめるよ」
「そんなんじゃない、工房は、徳さんはいい人で腕も一流だから・・この一年、徳さんにいっぱい勉強させてもらったし、これからもお世話になりたいの、でも」
「花笑さんが気になる?」
その名前が出た途端、美希は唇を尖らせ顔を曇らせる。
(わかりやすい)
「類は花笑さんと仲良いみたいね・・」
「彼女は営業だからね、接待も受けたし打ち合わせで食事をすることもあった」
「なんで?なんでさ~二人で食事するのよ、私は?どうしてデザイン書いてる私には打ち合わせも食事もないの?」
「美希は徳さんとしか喋らないじゃない。花笑さんからは教わることないからって」
「そうだけど、断られても私を誘うのが営業の仕事でしょ?それに今日電話で私のこと名前じゃなく『デザイナーの人』って言ったんだよ!私じゃ話がわからないから類に電話かけさせろって、事務員みたいな扱いされた。私・・」
(ああ~もうこうなるとお嬢さんの機嫌はどうしたって治らない、俺が罵られ続ければいいのか?)
「美希、今日だけ!俺の中で本当に嬉しい日なんだ。お祝いだから怒らないで」
類は真剣な顔で美希を見る。
ソファーの下に座ってシャンパンを飲んでいた美希は立ち上がり。
「だって悔しかったんだもん・・名前さえ呼ばないって・・」
「それは・・嫌な思いしたな、美希こっちおいで」
類が差し出す手を無視して。
「もう寝る・・シャンパン飲んだせいか気分悪い・・」
美希は寝室に向かいながら。
(ほら、花笑さんのこと悪く言わない。まるで私が一方的に悪口言ってるみたいじゃない)
美希は寝室のカーテンを開け、外を眺めながら。
「高層マンションって私嫌い!買い物も大変だし、ご近所付き合いもないし。夜景なんか毎日見てたら飽きるっちゅーの!一軒家で庭があって、子供が伸び伸び暮らせる家が好きなのに・・」
「なら家買おうか?」
「キャァーーーーーーーーーーーーーー!!」
振り向くと類が立っている。
「だから!その登場の仕方やめてって何度言った?心臓止まるから!やめてよ」
類はそんなことは御構い無しに話し始める。
「ここは仮の住まいだよ、会社から近いから借りただけ、美希と結婚解消した時すぐに引っ越したかったから・・僕の鎌倉の実家、美希好きだって言ってくれたよね?俺も結婚したらマンションより戸建に住みたいって思ってた・・」
類はガラスの向こうに見える夜景を見ながら。
「家建てて二人で、家族で、夜空の星を見上げたいね。どお、家建てようか?」
美希はビックリして類を見た。
「本気なんだけど、明日から場所探ししない?」
「でも、私たちまだちゃんと夫婦になってないし」
「これからなるんだし問題ない、今ってさ自宅でも仕事できる時代じゃない?東京にこだわらなければ、結構広い土地安く買えるんだよ。俺そこにゴーカートのコース作るのが夢」
「はぁ?ゴーカートね・・良いんじゃない、自分ちなんだから。ふふ、変なの」
「やっと笑った」
類は美希を抱き寄せ頭にキスを落とす。
美希は巻きついた類の腕を握りしめ、窓の外を見ていた。
「美希はすご~くヤキモチ焼きだよね」
ギュッと腕に爪を立てられ。
「いて!」
「そんなことない!」
「花笑さんの態度が悪かったのは、明日にでも連絡しておくよ。うちからの依頼は向こうにとっても美味しい仕事だからね。立場はこっちの方が上、いうことはちゃんと言わないと」
「なんで『類』って呼ばせてるの?・・もしかして関係持ったの?別に結婚前はフリーだから誰と付き合おうが良いんだけど・・」
「会社に入ってから誰とも遊んでないよ、美希の裸を想像して毎晩シコシコし、あ~痛いから、爪たてるのやめて~」
「付き合ってもいないのにあんなに馴れ馴れしいの?」
「ん~まあ、いろいろ誘われているのは確か・・今も独身だって思ってるから狙われてる」
「だったら狙われないように私と付き合ってるって言ってよ」
「うん次に誘いの電話あったら君のこと話しておく」
「本当に?」
美希は振り向いて類に抱きつく。
「もちろん!もうベッドに行こう。ねえ着替えないの?可愛い下着に」
「今日は着替えない」
「ケチ!」
(今日は随分僕を困らせてくれたね美希、今夜も君を夢の中で絶頂に導いてあげるよ、そのくらいのご褒美がないと本気で奪ってしまいそうだから・・)


翌日から類は本当に土地を探し始めた。
パソコンにかじりつき、ネットでも土地の探し始めた。
「そんな簡単に土地って見つかるの?」
「見つける、それで半年以内には引っ越す」
「建売買うの?」
「注文に決まってるでしょ」
「注文なら一年くらいかかるんじゃない?半年なんか無理」
「使えるコネとツテは最大限に利用するから問題ない」
美希はもう止めても無駄だと思い、スケッチブックを持って屋上に出る。
昼休みが終わっていなかったので、まだ何人か人が残っていた。
出直してこようかと迷ったが、腕時計を見ると12時45分。
(あと10分もしたらみんないなくなる、それまで外の景色でも見てよう)
美希は人がいない場所まで来ると空を見上げデザインのイメージを始めた。
その時肩を叩かれ、振り向くと。
秘書課と受付の女性社員が数人立っていた。
「沢井さんってコネ入社なんですってね?」
美希が言い返そうとするのを遮り。
「それも相葉さんと二人だけの課でしょ?身体でも差し出して仕事もらってるの?まるで娼婦ね」
いきなりの酷い言われように美希はカッとなったが、気がつくと囲まれていて。
みんなが美希を蔑むように笑う。
「そんな関係じゃないわ、変なこと言わないでよ」
「でもコネなんでしょ?どうやって取り入ったのか私たち興味あるの、だって社長の息子であれだけのイケメンですもの。誰でも近付きたいわよ。ねぇみんなももそう思うでしょ?」
「沢井さんって自分が特別だと思ってるんじゃない?容姿が良いもんね、こうゆう人って、それだけで男の人が言うこと聞くって知ってるんじゃない?まあ見た目と身体使うしか能がないビッチなんて、羨ましくもなんともないけど」
みんなが一斉に笑う。美希はこういったイジメには昔から慣れている。
悔しいけど言い返したら余計イジメがひどくなるので美希は黙って耐えっていた。
「・・・・」
「あら図星だから黙っちゃった?ねえ、あまり相葉さんに近づかないでよ、この会社の一番人気なんだから。あなたならどんな男性も選り取り見取りでしょ?これから沢井さんが彼氏募集してるって社内に情報流してあげるわよ、男欲しいんでしょ?」
流石に美希も悔しくて涙がでそうになった。チラリと腕時計を見て。
(まだ、まだ溢れるな涙・・あと少しでこの人たちいなくなる)
「ねえ、もうすぐ時間だよ。そろそろ行かないと」
「あら、残念!じゃあねビッチちゃん。ああ!男の好みはHが上手い人で募集かけとくから、クック」
そう言って立ち去るとき数人が、わざと美希の身体にぶつかって扉から出て行った。
残された美希はしゃがみ込み、顔を両手で覆い泣いた。
(大人になってもこんなことがあるなんて・・)
小学校高学年くらいから美希は女子のイジメにあっていた。
単純に容姿が可愛いだけで無視され、悪口を言われ続けてきた。
こんなことに慣れるはずもなく、こうやって理不尽な思いをするたび、どんどん人と距離を置くようになっていった。そんな美希を心配した両親は、中学二年の夏休から転校させ私立の女子校に通わせてくれた。
男子がいなければ女子から嫉妬されることもなく、友達もたくさんできるようになり。
次第に明るさを取り戻したが、まさか社会人になってもイジメを受けるとは思っていなかった美希のショックは大きかった。
「加奈・・」
美希は加奈にメールを送っていた。
この会社で唯一、美希が友達と言える人だ。
[ゴメン!デザイン課から呼ばれたって言って屋上に来られる?]
[今、暇だから大丈夫]
5分とかからず加奈が屋上に上がってくる。手には缶コーヒーまで持ってサボる気満々だ。
初夏の日差しを避け壁際に設置されてあるベンチに座り、美希は先ほどの件を加奈に相談していた。
「まさかやらないとは思うけど、変な噂流されたら嫌だなって・・」
「私が裏で聞いてみるよ、総務の子たちなら人数多いからそういった情報簡単に手に入るし・・ねえ泣いてた?これからは誰かいるときは一人で屋上に来ない方がいいよ」
「うん、そうだね・・10分くらいで人いなくなるって思ってたから、それに一部の人間だけだから、ああいうことするの」
「私そろそろ行かないと、美希も一緒に帰ろうよ」
「まだここにいる。少ししたら戻るから心配しないで」
肩を落とし項垂れている美希を後にし、加奈は屋上の扉を出る。

ドアを閉めたところで腕を掴まれ、その人物を見上げると。
「相葉です。すいませんちょっと聞きたいことがあるので下まで来てくれますか?牧田さんにはさっき連絡入れておいたので」
二人は五階の空き会議室に入ると鍵を閉めテーブルに着いた。
「さっき美希が話したことでお願いが」
「相葉さんやっぱり美希のこと好きなんですね」
「バレてます?」
「ふふ、最初からバレバレですよ。私も片思い長いですから」
「確かに今の課は僕が美希のために作った課なので、周りからなんて言われてるかは知ってました。僕が正体をばらした時から、悪い噂が流れることも予想はしてましたし。でも美希にまで被害が及ぶとは思ってなくて、守りきれなかった自分が情けないです」
「相葉さんでも無理ですよ、女子の嫉妬を止めるのは。だからこれ以上美希が傷付かないように見守ってあげないといけませんね」
「加奈さん!これから社内での僕や美希に関する噂があったら教えてくれませんか?嫌じゃなかったら連絡先交換お願いします」
二人はお互いのスマホを出すとアドレスの交換をした。
目ざとい加奈は、類の指輪と美希の指輪がペアであることに気がつき。
「美希からOKもらったの?」
指輪に視線を送る加奈に
「はい、でもまだ色々制限があって、完全には恋人じゃないですけど」
「美希らしいね~これから相葉さんも苦労しますよ」
「まあ惚れた弱みなんで仕方ないです」
「何かあったらすぐ連絡します。さっき美希泣いてましたから、守ってやって下さい。ただ今は二人の関係がバレると女性社員から嫌がらせが酷くなりそうなので気を付けて」
「ええ、そうですね、気を付けます。あなたは本当に優しい人だ、加奈さんの恋も実るよう願っています。それじゃ僕は美希を迎えに行きますので」
二人は時間差で会議室から出る。

美希は屋上を後にしデザイン課に戻ると、類の姿はなく、スケッチブックを机に放り投げると、ソファーに深く身を沈めた。
「もう出勤拒否症になりそうだわ、あんな大勢で囲まれたら怖くていられない・・」
ドアのノブを掴んだまま類は美希の独り言に固まった。
(まずいな、これ以上美希へのイジメが過激にならなければ良いんだが・・)
屋上に美希がいないので戻ってきた類は、自分が思っているより悪い状況になっていることに戸惑っていた。
類は部屋に入ると上着を脱ぎ、美希の隣に座り身体を抱き寄せる。
「営業に呼ばれて席外してた。どうしたの?元気ないね?」
「少し疲れたみたい・・」
「そう・・美希目が赤い、泣いた?」
「泣いてない!」
(相変わらず『泣いてない!』だな、どうしたもんか・・家に閉じ込めておこうか)
「今日は早退する?美希は家でも仕事できるだろ、俺の車乗って帰っていいよ」
美希は類に擦り寄り、胸に顔を埋める。
「終わりまでいるからいい・・」
「そお?ならもう今日はここにいて二人でイチャイチャしてようか?」
類は優しく美希の頭を撫でながら、少しづつ唇へ距離を縮め、かすめるように、羽のように触れ合うキスをし、ソファーに寝かせると何度も唇を食み。
角度を変え舌で唇を擽り、堪りかねた美希が唇を開くと。
「本当に可愛いね美希、もう君しか見えない、愛してる」
類の舌が美希の口腔に差し込まれ美希の舌を追いかけて捉える。
「んん」
類は優しく声をかけながら抱きしめ、美希の心に安らぎ与える。
瞑った美希の目から涙が溢れ、類に抱きつき守って欲しいと心の中で叫んでいた。
「うう、う~」
「どうしたの?本当は何かあったんじゃない?話してみて」
類は涙を唇で吸い取りながら美希に話しかける。
「怖い・・」
「何が怖い?僕が守るよ、言って」
「言いたくないの・・」
「ん~信用ないね僕は、寂しいよ」
「そんなんじゃないの、私の問題だから」
(あの女ども絶対許さない!こんなに美希を怯えさせやがって)
「美希、やっぱり家一日も早く建ててそこで仕事できるようにしよう。お前会社勤め向いてないよ、だいたいデザイナーとか芸術家は自分のアトリエや工房持ってもんだろ?そういった環境の方が精神が落ち着いて、想像力や感性が高まる。美希もそうした方がいい。な?そうしろ」
美希は泣きながら類にしがみつくと。
「私、ここで仕事する・・加奈と離れるの嫌だし」
(類を見張ってないと不安なの)
「加奈さんとさっきすれ違った時、このペアのリングのこと突っ込まれたから、美希と交際してるって彼女には話した。だから家に呼べばいい。遊びに来てくれるよきっと」
「加奈に言ったの?」
「ああ、信用できる人だからね」
類は美希を起こし涙を拭いてやりながら
「どうしても家が完成するのに半年はかかる。美希も自分のアトリエのデザイン考えとけよ」
「うん・・私仕事しないと、帯留のリメイクはできてるから、類がチェックして徳さんに送って」
美希は立ち上がると机に向かいスケッチブックを広げた。
(家で仕事・・そうなると会社での類が何しても私にはわからなくなる、何があっても我慢して出社しないと)
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