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第一章 エルフの里

第18話 初の放出魔法!!

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 気づけば一週間が経っていた。

 前回の魔力循環同様に毎日少しずつ身体強化に流す魔力量が増えていき、現在では蹴るだけで木をなぎ倒せる程だ(長老の前で)。
 身体強化を初めて三日目に試しで気を蹴ってみたが、中途半端に日々が入りサリアの方に木が倒れてしまった。
 魔力循環をしっかりしていたから突発的な動きを完璧にこなしていたが、もしもできなかったと考えると……
 魔力は便利だけど、気をつけて使わなくては仲間に怪我をさせてしまう。これから魔法を試す時は少し離れてから試そう。

 それと今日から火魔法の練習を開始するので、魔力量に気をつけながら撃っていかなくては……。
 紗夜ちゃんのおかげで魔力量がおかしいことになってるからね。


 結局カツ丼以外の丼物のことを話してしまったので、次の日から豚丼、牛丼、親子丼、カツ丼をループしている。
 家族は十分に喜んでいるがさすがに毎日丼物はやめて欲しい。たまにはキノコのソテーだったりパンが主食の料理だったりが食べたくなっていた。
 昨日家族に提案したところ、少し悲しい顔をしながら分かったと言ってくれた。
 多分これはこのままでは新しい料理を作らなくなるのでは!!という心配があるからだろう。
 今日の夕食は久しぶりのうどんらしいので非常に楽しみ。
 お米はカツ丼を食べた次の日にお父さんが大量に買い込んで帰ってきたので底はつかない。
 私が家を出たら、野菜を食べる量が減りそうで心配。魔法の練習をしっかりして瞬間移動魔法を覚え、家族の健康を見守るつもりだ。

 「ははぁ~」

 大きなあくびと共に私は起床した。この一週間の出来事を振り返るような夢だった。
 そうか、ついに今日から火の魔法科。
 喜びとともに不安が募る。
 それの原因は、魔力量だ。自分でもどこまであるか測れないほどの魔力。しかも紗夜ちゃん曰くこの世の一、二位を競うほどの魔力量。
 そんな魔力を放出するので力加減を間違えたらエルフの里が山火事で無くなってしまう。

 今の時点で、脚の身体魔法を使い空中を蹴ると空気の刃が走り目の前の木が十本倒れるほどだ。
 もちろん長老の前では出ていないが……。
 サリアに見えたところ習得したい!!との事で一生懸命練習をしている。
 私よりは小さいが1本切るぐらいなら余裕らしい。

 いつもする身体強化の魔力量で火を出したのなら軽く目の前の木々は無くなるだろう……
 気をつけなければ……

 私は心に手加減をして練習することを誓い布団から出る。

 「今日から火を出す練習か……。あんなに短い間にあそこまで身体強化をものにするとは思っていなかったから、こっちでも驚かされるんだろうな。くれぐれも本気でやらないでくれ。マジで里が無くなる。」
 「大丈夫。その為に魔力循環に力を注いだんだから。最近は、少ない魔力で循環させ、何が起きても魔力量を増やさないトレーニングもしてるから。」
 「それはそうなんだけど、新しいことに挑戦すると夢中になって、つい力加減を忘れてしまいがちだからね。」

 心配してくれる紗夜ちゃんは、小さな声で「先に練習させるべきだったのか」だったり、「魔力を少しづつあげていけば良かった」とか言っていた。
 私は不安な気持ちゲージが上昇しながら、1階に降りる。顔を洗いリビングへ。

 「おはよう」
 「「おはよう」」

 リビングにつくと同時にあるものに目がいってしまう。

 「お父さん今日も朝からカツ丼食べてるの……流石に食べ過ぎじゃない?」
 「そんなことないと思うぞ。今日の夕食から丼物が無くなるんだから、食べ納めだよ。さすがに食べなさすぎたらおかしくなりそうだから、1週間に一回は必ず食べよう。あとタルタルソースも。」
 「……」

 お父さんはカツ丼を食べてから毎朝カツ丼を食べてから仕事に向かっている。それを見たサリアも毎朝食べている……
 エルフにとっては一週間なんてあまり気にすることでは無いが、疑似体験を行った私だからこそ人生の短さを実感している。
 この間も若い頃なんて1年間一緒のものしか食べなかったぞ!!と聞いた時はすごく驚いた。
 これはエルフ独特な考え方なのか?それとも父がおかしいだけなのか……

 「アリアも朝食はカツ丼食べる?それとも、何が別のもの食べる?」
 「別のもの!!」

 私は胸を張って言った。

 お母さんが料理を作っている間、私は新たに教えるメニューを考える。
 最近は肉系が多いので魚系を出すか?それともエルフらしく山菜やキノコを使った料理を出すか?ん~ん。と悩んでいたら、

 「アリア今度一緒に里外に出てみるか?里では見ることのできない食材が並んでいるから見てるだけでも楽しいと思うし、また美味しい料理を作って欲しいからな。それに、料理を作ってる時すごい楽しそうに作ってるから。」
 「行きたい!!」

 今まで里外の国や街に行ったことがないので非常に楽しみ。
 それにカツ丼を食べてからカツカレーの食べたい欲ゲージが上昇中!!
 疑似体験では、食べたい時にいつでも食べられる環境が当たり前だったが、今となってはどれほど素晴らしいことなのか!!とよく思う。

 私はソワソワしながらどんなメニューを作ろうか考えているとサリアが起きてきた。

 「おはよう」
 「「おはよう」」

 サリアの胸の位置に書かれている猫のイラストが胸が大きいせいで少し太ってる猫になってしまっている……。
 私はついついイラストをじっと見てしまうが、決して羨ましい訳では無い。決してだ……
 サリアが正面に座ったので、胸から視界をずらす。ずっと見ていたら自分の無さに悲しみを覚えるからねり

 そしてサリアも朝食にカツ丼を食べるらしい。
 お父さんと同じで食べ納め……

 お母さんがキッチンからリビングに来て私に目玉焼きと食パンとキノコソテーを出してくれた。
 よく見るとお父さんもキノコソテーが入っていたと思われる器が存在する。私の為だけに作った感じではなくて安心する。
 お母さんもさすがに毎日は飽きたのか私と同じメニューだ。

 ご飯が食べ終わったあと、自室へ戻り着替えて長老の修行に向かう。

 サリアは着替えるのが面倒くさくなったのかこのまま行く!!と言い出したのでしっかりと止めといた。
 家族以外に少し太った猫ちゃん見せたくないからね。
 お姉ちゃん着替えさせて!!と甘えてきたので今日だけは着替えさせた。
 だって、上辺使いで可愛い声で言われたら誰でも断れないだろう。
 そしてプリントされてる猫ちゃんも早く戻に戻して欲しいにゃー。とか言ってるように思うし。

 着替えが終わり急いで家を出る。
 本来は余裕で家を出れたが、自分には無いものをゆっくり見てしまった為時間が無くなってしまったのだ……羨ましくないんだから!!


 サリアもあれから修行を頑張り、火魔法の他に水魔法まで習得している。
 今日から風魔法を勉強するらしい。
 人によって得意とする魔法の種類が変わってくるが何故かサリアはないらしい……。
 魔力量も生まれつき多いし、将来は期待の新人と長老が言っていた。

 「お姉ちゃん。ほんとに今日から丼物食べられなくなっちゃうの?もっと食べたいよ!!」

 サリアは、お父さんに似たのか何日食べても飽きることがないらしい。
 ちょっと待てよ。私とお母さんはさすがに5日間以上連続で食べると飽きてしまう代わりに貧乳。
 サリアは、何日でも食べられるので巨乳……こういうことなのか……

 「お姉ちゃん?」
 「なんでもないよ。美味しいものはたまに食べるからこそ大切に食べようとか、いい思い出になったりするんだよ。毎日食べていたら、感動が薄れてくるでしょ。」
 「お姉ちゃん頭いい!!だから毎日食べなかったんだね!!さすがお姉ちゃん!!」

 サリアの顔がお花が咲いたようにパァーっと明るくなる。
 私はこの笑顔に弱いのだ。なにか頼まれ事をされた時この顔を見てしまうと断れなくなってしまう……。
 可愛いのだからしょうがない。

 私とサリアはいつも通り手を繋ぎながら、修行場所に到着した。


 いつも通り長老達は揃って、修行の指示を先に出している。

 「では修行を始めるぞ!!ラッサーとマーサはさっき教えたことを中心にやってくれ。サリアは、火と水同様に想像しながら少しづつ魔力を込めて風魔法を放っていってくれ。分からないことがあればいつでも声がけするように。ではアリア指示を出していくぞ。」
 「「はーい」」

 サリアは、既に魔法が使えるので指示があっという間に終わってしまった。
 それに対して私は今回放出する魔法が初めてなので詳しいやり方はイメージの仕方などを教えてくれるらしい。
 魔力を込めすぎないように注意しなくては……


 長老が指示出しを終え、私のところまで歩いてくる。
 その間にサリアは少し離れたところに行き魔法の練習を始める。

 「まず知ってほしいのだけど、放出する魔力は身体強化の魔力の使い方と全く違う。身体強化は、全体に魔力循環をするが、放出する魔力は放出する場所に魔力を込めて放出する感じじゃ。身体強化しながら魔法を打つ例もあるがそれはその時に説明する。魔法を打つとなっても杖を使うのか?それとも使わずに撃つのか?と別れてくるが、実際に杖を使った方がより強大な魔法を打つことが出来る。これは、予め杖に魔力を込めることでより大きな魔法を撃てるってことになる。杖によっては魔法を強化するものもあるので買う時にしっかりと見極めて欲しい。今回教えるのは杖を使わない魔法の撃ち方だ。実際問題杖が壊れた時に素手で打てなかったらなんにも役に立たないからな。そうなったら人質にされるかもしれない。今回だけど火の魔法を練習してもらう。まずは手に魔力を込めて火をイメージして放出していく。今まで体内の魔力が急に無くなるという感じを味わったことがないと思うから、驚くと思うが練習していくうちに慣れていくと思う。始めは少ない魔力からするように。何か分からないことがあったら声掛けてくれ。」
 「はい!!」

 私は腕に少し魔力を込めて、火をイメージしていく。
 イメージするのはアニメで見た事がある火球。
 火の玉を目標に目掛けて打つのに使う魔法。
 アニメや漫画を読んだり見たりしたおかげでイメージが着きやすくなっている。


 放出!!


 「……」


 放出!!


 「……」


 何も出てこない……


 魔力量が少なかったのか、それともなにかコツがあるのか……

 試行錯誤しているうちに一時間が経っていた……
 サリアも休憩をしているのでサリアの元まで行って聞いてみる。

 「魔法が全く出てこないんだけど何からコツとかあるの?それとどんなイメージをして魔法を打ってるの?」
 「最初は小さな魔力の玉を手の中に作ってそれを放出する時に火をイメージする感じかな?いきなり火を出す!!とかやったんだけど全くできなくて、これに行き着いたんだ。」
 「ありがとう。やってみるよ。」

 その後、たわいでもないお話をした後休憩を終わり、練習に励んでいく。

 サリアが言っていたイメージをして魔力を撃ってみる。
 この時に魔力量を少なめにすることを忘れてはいけない。


 放出!!


 ぼっ!!


 「あちっ!!」


 出た!!ついに出た!!

 サリアのおかげで火の魔法を撃つことに成功。
 火の魔法の練習でサリアがよく撃っていたがこれだけ熱かったのか……。慣れるのか……。
 疑似体験では、油に他を入れても大丈夫な方もいたぐらいだし……。
 とりあえず、もっと練習しないと!!

 「お姉ちゃんおめでとう!!」
 「ありがとう。」
 「「アリアお姉ちゃんおめでとう!!」」
 「アリアおめでとう」
 「ありがとう!!」

 ここまで褒められたら、やる気が上がる。
 褒められて伸びると言うのはこういうことなのか。と実感する。
 疑似体験で、大人になってから一切褒められることがなかったので褒められるとつい笑顔になってしまう。
 私は時間になるまで火魔法の練習をする。
 二回目以降の火魔法は、暑く感じなかった。多分反射で言ってしまったのだろう。

 「今日はここまで!!それにしてもサリアとアリアは魔法の才能があるな。さすがにここまで早いと思って無かったから、一人前になるのもあっという間かもしれないな。ラッサーもマーサも頑張るんじゃよ」
 「「はい!!」」

 「「お疲れ様でした!!」」

 長老達とはここで別れ、自宅に向かう。

  「お姉ちゃん朝少し聞こえたんだけど、お父さんと一緒に街に行くんでしょ。いいな。私も連れて行ってくれないかな?多分お父さんのことだから、二人だと何かあった時に面倒が見れないからって却下すると思うんだよ。だから一緒にお母さんを説得して!!お願い。」
 「もちろん!!」

 お父さんが私を誘った時にお母さんも一緒に行きたいオーラをすごい出していたから多分一緒に行けると思う。
 お母さんもあまり里外に出ることがないので、久しぶりに外に出たいのだろう。
 最近知ったのだが、お母さんは昔冒険者をしていたらしい。長老が私たちの魔法の進みが良いと言ってくれた時にコソッと言っていた。

 私たちはお母さんになんて言うか一緒に考えながら帰宅したのであった。

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 もうすぐ二十話に突入します!!
 物語を書く時は十話を目標にして頑張ってきたので、ここまで続けることが出来て嬉しいです。
 しかも毎日投稿を今までも続けることができているのでよく頑張ってると思います!!

【お知らせ】
今後は思い浮かばなかったり忙しかったりする時は投稿なしって感じになります。(前日に進捗状況みたいなのでアナウンスします。)
それ以外は毎日投稿する予定ですのでお楽しみに!!

最後まで読んで頂きありがとうございます。
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