生きるまえに死のうか

ここ嬢

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かいわ

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「私の名前は白川しらかわ 椿つばき。」

その男の子は相変わらず口元に笑みを浮かべている。でも何か心の落ち着かない笑みだ。

「それでなんで消えたいの?」

そう言いながら、ピアノから離れて私のすぐそばまで歩み寄る。私が見上げていると、彼は腰を曲げて私の顔を覗き込んだ。

「別に、なんていうか、楽しくないだけ。だって楽しくなきゃ生きてるのも辛いだけでしょ。」

彼の顔から目をそらして答える。近い。夕日に反射した髪はさらさらと彼の頬を撫でる。
そして彼は目を細めてさらに口角を上げる。

「ふうん。なんだ。面白くないね。」

何をいうのかと思ったら、笑顔でそんなことを言われて私は軽く混乱する。何も言えないでいると彼はまた口を開いた。

「こんな所でうずくまって、嘆いてるだけじゃん。楽しくないに決まってる。自分のしてることで楽しくないとか言えるの、それ自分のせいだよねー。」

私は思わず言葉を失って、彼の端正な顔を見つめることしかできなかった。

「あなたに何がわかるの?理解されなくてもいいけど、そんな風に言う必要ないでしょ。」

正直、そんなことは分かっている。自分が悪いんだって。でもそんなこと他人に言われて再確認なんかしたくない。


私は、誰かに救って欲しいのかもしれない。

自分では諦めてしまっていること。

私は、弱いくせに狡いのかもしれない。でもー。


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