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最後の神器を求めて

ダンジョン2層目〜エルザside〜

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1層を降りて、2層目に今、私とグリーンはあるはずなのですけど...

パタパタパタパタ

あ、鎧は置いてきたわよ。人目を気にする必要はない...2層目に入ると、人通りは極端に少なくなるらしい。罠の確認などが困難だからなんでしょうね。

パタパタパタパタ

あ、今?

地上にある罠を回避するために、グリーンに足に捕まってもらって、超低空飛行の真っ最中よ。

え、重くないかって?舐めないで頂戴、人一人くらい余裕よ。

それはいいんだけど...

さっきからグリーンの様子が変なの。

なんか喋り方とか仕草とかがおかしいし、

ふざけてるのかと思ってたのだけど、地上に罠が張り巡らされているのも見抜いたし、真面目にやっているのは確かなのよね。

さっき魔物が来たのだけれども、地上の罠を踏んで、ドロドロに溶けていったわ...恐るべしトラップ。

よくグリーンは罠を見抜けたわね...

かと思っていたら、洞窟の奥から、数十匹の魔物が出現した。

空を飛ぶ魔物かしら

魔物は蝙蝠のような魔物であった。

集団として一糸乱れぬ動きで、こちらに向かってくる。

どうやら2層目は、地上のトラップと、空中の魔物の2重攻めらしいわね空からの魔物、地上のトラップ...考えただけでゾッとするわ。

まぁ、私たちは空が飛べるから、地上のトラップは意味をなさないのだけど...

地上の敵も、私が倒せるしね。

グリーン!空の魔物がいることを伝えると、任せるわぁ~という、気の抜けた声が返ってきた。

あら、やらないのね。

まぁ...いいか『ホーリーショット!(聖なる拡散弾)』

羽から、銃口のような小さな穴が多量に出現し、そこからでる一発一発の弾が破裂し、コウモリ型魔物に襲いかかる。

魔物は粉砕され、バラバラにされ、全滅した。

『さっすがエルザちゃん!そろそろ下ろしてもらっていいわよ~もうすぐ2層目も突破だから。』

......もうツッコマないわよ、なんなの、どうしてしまったのかしら?

小一時間ほど歩く。

道中魔物が出たりもしたが、全てグリーンが蹴散らしてくれた。飛ぶのを頑張ってくれたお礼らしいが...

ふぅん!!とか、すっごい声が低いのだけど、パワーのみで魔物を叩き潰していく。

神器はバトルアクスに変化しており、一撃一撃が、ダンジョンを揺るがしている。

ちょっと、壊さないようにね

2層の出口(らしき大きい場所)に、門番らしきミノタウロスがいたけど、それもパワー勝ちで倒してしまったわ...

『ふ~いい運動だった、あら、ここから3層目らしいわね、エルザちゃん、先を急ぎましょう』

ええ、そう答える。

まぁ...いいでしょう。

あのパンドラの箱に閉じ込められていたのを助けてくれたのも、あのクソ神から助けてくれたのも、そして今、ちょっと変な感じになっているのも。全部グリーンなんですもの。

あの檻に囚われてから

退屈で退屈で退屈で退屈で仕方がなかった。

そんな退屈な日々を、グリーンは打ち破ってくれた。

王都まで逃げ切ったあと、グリーンは何も聞いてこなかった、なんであのクソ神に狙われてる、とか。聞きたいことは山程あったはずなのに。

興味がないからなのかもね、知らないけど。

王都で自由だ、といきなり言われて、グリーンが王都を出ようとするのを見かけたとき、また退屈になるのか、と想像しちゃった。

だから追っていった、絶対について行く。そう決めちゃったから。

ねぇ、グリーン

私を退屈させないでね。

早く行くわよ!そう聞いてくるグリーンの背を、羽をパタパタと動かしながら、エルザは彼の後ろを追いかけていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

オワリノ国のアズチ城、その一室で、その男は報告を聞いていた

『ーーーーーふむ、ダンジョンに挑んだ男の正体は、お前が王都のトーナメントに出場したとき、優勝した男だったのだな?クレナイ』

『はっ、その通りでございます。』

男は着物をきており、片手にキセルを吹かし、後ろで報告をしている女忍びの声を聞いていた。

『ーーーふむ、一応ダンジョンの外を警戒させろ、お前と...シズカを連れて行け。』

『ーーーしかし奴ではまだ未熟なのでは?』

『たわけ、魔族と王国、帝国の戦争の情報、そして神の情報を調べるので、全員出張っておるわ、使えるのが奴しかおらん。お前が面倒を見てやれ』

御意、そう言いながらクレナイと名乗るクノイチは、蝋燭の火の揺らめきとともに消える。

あのダンジョンを攻略できるとは思えんがーーー

もし攻略できたとしたならばーーー

そう思いながら、男は、キセルに火をつけるのであった。



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