上 下
24 / 39

23

しおりを挟む

今日は、いつもよりも学園内がざわめきだっていた。
まぁ、それも分からなくはない。
なぜなら今日は、対抗戦のメンバーの正式発表があるのだから。
発表は伝達の水晶を使い、王国内全ての学園に繋いでの発表となるため、私達生徒は全員ホールへと集められていた。


ようやく、長い前置きが終わり、メンバーの発表となった。


「……では、一人目、ジェラルド・ルードバルト!」


一人目として名を挙げられたのは、ルドだった。
本人は、周りからの視線に苦笑していたが、心做しか嬉しそうに見える。


「二人目、レイト!」


二人目も分かっていたせいか、驚きはなかった。
ただ、本人がこの場にいないのが少し残念ではある。


「三人目、グラン・レスカー!」


レイの時よりもざわめかないのは、それだけレスカー家の威光が強いということだろう。
にしても、残る枠は2枠か。
それももう決まっているようだけど。


「四人目、シェード・エレストロイヤ!」


ここで、令嬢から黄色い歓声が上がる。
控えめに言って、うるさい。
もう少し静かに出来ないものか。


「そして五人目……ルーディア!」


決まっていたことなので特に驚くこともなく、受け入れた。
ただ、その後にあったもう1つの学生以外の発表では驚いた。

なんと、三人目にあのカーフィスが呼ばれたのだ。
私の騎士が、認められた。
そのことが嬉しかった。


「ルー、明日と明後日の授業は休みだそうだ。
かわりに、王宮で大人達の方の代表者も交えて説明をするそうだ」

「服装は、制服でしょうか?
それとも、回復術士の?」

「学園の制服でいいと思うぞ」

「承知致しました」


私はシェードから知らせを受けると、お礼を口にして治療院へと向かう。
今日は授業が無いようだから残りの時間は治療に専念できる。


「でも、そっか。
カーフィスも一緒なんだ。
じゃあ、二人でまた戦えるかな?」


この対抗戦の最終種目は、タッグバトルだ。
それも、学生と大人の部の出場者が組む形となる。
だからこそ、私はカーフィスと再び共に戦うことを考えて胸を踊らせた。
しおりを挟む

処理中です...