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しおりを挟む『炎よ我が意に従え』
本当にやりにくい。
シェードは風と火の合成魔法を難なく使ってくる。
「っ……早速ですかっ!!」
私は咄嗟に聖から闇へと属性を反転させる。
『闇よ、打ち消せ!』
「ふっ……使ったな?」
「……えぇ。
ですが、これだけだと、思っていませんよね?」
少し得意気になるシェードに私は笑みを浮かべると黒い球体を幾つか作り出した。
そして、シャボン玉のように飛ばす。
「先に注告しておきます。
シェードはこれに触れない方がいいですよ?」
この球体は闇魔法の1つ。
私も一つ一つに入っているものは分かってはいないが……取り敢えず麻痺や魔力吸収などの魔法が入っている。
私には無効だけどね。
ということで、私は球体から球体へと飛び移り上へ上へと向かっていく。
上から少し大きめの魔法を放ち終わらせようと思ったのだ。
だが、シェードは私の注告を聞かず私の乗った球体へと乗ろうとした。
幸い、その球体に入っていた魔法は麻痺。
魔法で事なきを得たが……。
「くっ……」
「……予定は変わりますが」
痺れているシェードに私は近付くと闇の刃を首元にピタリとつけた。
「勝者、ルーディア!」
『解除』
取り敢えず球体を全て消すと、シェードの麻痺を回復させる。
幸い怪我はしていないようだったので良かった。
「……さすがだな。
まだまだ適わないな」
「当然です。
回復術師の訓練は、そう簡単に追いつかれるような程優しいものではありませんから」
「……あぁ」
シェードは何か思うことがあるのか黙ってしまう。
「シェード?」
「あ、いや……何でもない」
「そう、ですか?」
まぁ、特に興味もないので放置しておくが。
……本気で悩んでいるようならまたその時相談に乗るかもだけど。
「あ……もしかして、今度の対抗戦、メンバー変更あるかも……!!」
「ルーディアさんが入るかもしれない!」
などとクラスメイト達が話し始めるが、私とシェード、ルドにとっては苦笑ものでしかないのだが。
……だって、私もう既にメンバー入ってるし。
「ルーは既にメンバーに入っていますよ」
「回復術師となってはいるがな」
「……私は正真正銘、回復術師ですが?」
「どこがだ」
「どこがですか」
……え、ルドにまで否定された!?
色々とショックなんだけど!?
というか、何故反転使ったのに回復術師だあることを否定される!?
「……これでも、国内では回復術師としての技術はある方だと自負しているのですが?」
「あ、あの……ルーディアさんはどのくらいまで回復魔法を使うことが出来るんですか?」
「そう、ですね……。
死んでいなければどの状態であろうとも治せる、とは言われていますが……そのような状態の方を担当したことがありませんので分かりません」
死の淵からでも……なんて言われてるけどさ、そこまでやることないし。
戦場でも初級で回復させられる程までに癒したら次行くからな。
それに、そんな重傷者は出ない方がいいし。
「大抵の傷なら一瞬で治すよな?」
「骨折などは少し時間がかかりますが」
骨折は適当にやると変にくっつくことがあるから大変なのだ。
そのため下手な回復術師には使用許可が降りない。
私は勿論、とっくに許可を貰っているけど。
「ルー、今日の授業は終わりのようです。
私で良ければ学園内を案内しますが……どうしますか?」
「では、お願いしてもいいですか?
図書室と授業で使用する教室のみで大丈夫ですので……」
「分かりました。
では、行きましょう」
ルドの好意に甘え、案内をしてもらおうとすると、何が気に入らないのかシェードが顰めっ面になっていた。
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