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しおりを挟む私はルドを目の前にし、少しだけ悩む。
自己紹介の時、一番よく使うのは回復魔法だ、などと言っておきながらまだ一度も使っていなかったからだ。
これからは回復術師として戦おうか、などとも思ったが別に使わなくても問題ないよね、と今までのように戦うことにした。
……まず、回復術師って戦闘向きじゃないしね。
シヴァを使わないと言った以上、水は使えない。
と、なれば私にあるのは聖か。
『風よ!』
ルドは風の扱いに長けているらしく、その一言で用意に風を操り空へと浮かぶ。
流石に上にいられては色々と面倒なので血に落とそうかと思う。
使うのは勿論、コレしかないよね。
回復術師としての力も見せられて一石二鳥、ってね!
『回復術師たる我が命じる。
反転せよ』
私の十八番、反転魔法だ。
魔力のかなりある私にとっては消費量もあまり気にならないし便利だし。
魔力面と扱いにくさを考えなければかなり使い勝手のいい魔法なのだ。
……ま、私には両方問題ないけど。
「……私が上に行けば良かったですね」
今更ながらに思う。
いやぁ、私も一応結界を使えば階段みたいに上がって行けるんだよね。
「っ……回復術師の中でも数える程しか使い手のいない反転魔法……。
まさか、ルーが使えたとは思いませんでしたよ」
「これでも、ライ先輩よりは扱いに長けているという自信はあります」
私の言葉にルドは驚いたような表情を浮かべたがそれも一瞬。
次の瞬間には魔法を発動させていた。
『風よ嵐となりて顕現せよ!』
……どうしようか。
反転させるのもいいけど……流石にそればかり使っているわけにはいかないしなぁ……。
……よし、聖属性で終わらせよう。
『聖なる光よ。
矢となりて天より降り注げ』
私が掲げていた手を下へと振り下ろす。
すると、何十、何百もの矢が降り注いだ。
「……降参します」
「……勝者、ルーディア!」
あー、手強かった。
私はルドに近付くと、私の負わせてしまった傷を癒す。
「ジェラルド、ルー」
「シェード、次、勝ってくださいね?」
「当然だろう」
その自信は一体どこから来るのか。
誰と当たろうとも私は負けるつもりは無いのだが。
「ジェラルド、ルーは強いだろう?」
「えぇ……。
ルーが回復術師という時点で反転魔法の注意をしなければいけませんでした」
「……ルーは結界よりも反転魔法の方が得意だぞ?」
結界ってさ、込める魔力が強すぎると逆に脆くなるらやりにくいんだよね。
普通はそうなることはないって言われたけど。
「……それは」
「……初級、中級程度のものが使えないだけで苦手と言うのはどうかと思います。
上級から上のものは使えますから」
「そこがおかしいと思うが」
シェードに言われなくともそれは承知している。
仕方ないじゃないか。
使えないものは使えないのだ。
弱体化を自分に使えばなんとか使えるがそこまでして使う意義を感じられないしね。
その後、シェードは難なく勝ち進み、私とシェードの戦いになった。
シェードの主な属性は炎。
ただ風属性も持っていたはずだ。
そのためかなりやりにくさが増す。
「シェード対ルーディアの試合を開始する。
初め!!」
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