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桜田門一家の戦い
桜田門一家の戦い
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「桜田門一家の戦い」原作者 献残屋藤吉郎
第一話「桜田門の櫻」
極悪刑事「流川京十郎」の警視庁刑事物語、、
警視庁捜査一課に「鬼も黙る怖い刑事」と、恐れられている「流川京十郎」という鬼警部が居た。
彼はグループ捜査を嫌い、常に担当課長や上層部から睨まれていた。
何と云われようと単独捜査を行うのであったが、検挙率は警視庁切っての辣腕であり、ナンバーワンを誇っていた。
そんなことから嫌われてはいたが、文句は言えなかった。
事件が起きた時に「合同捜査会議」には出るが、話を聞くだけで、自分の意見は云わなかった。
警視庁内部ではやりずらい「鬼警部」であった。
そのために部下を持つこともなかったのである。
そんなある日、事件が起きた、、、警視庁捜査一課では普段なら扱わないのであるが、、大きな事件の捜査が無かったので、、現場に捜査員が数人出かけた。
流川京十郎も何となく現場に出かけて、現場検証に立ち会ったのである。
四谷の裏通りの十字路での引き逃げ事故であった。なんの不思議もない交通事故であり、若い女性が車に曳かれたという事故のようであった。
何を思ったか、、流川京十郎は付近の監視カメラを調べて覗いてみたら、、疑問点が出たのであった。
これは流川京十郎が持つ、刑事の勘であり、、監視カメラの中の動きに不自然さを感じたのであった。
これは単なる交通事故ではないぞ、、、巧みに工作された「殺しだ」と、、彼は動物的な本能で直観したのであった。
誰しもが交通事故で片付けてしまう事件として扱われて終わりである。
しかし、流川京十郎の勘は違っていた。今までにも人と違った見方から、度々事件を解決したのであった。
一度、疑問や疑惑を持ったら、、納得するまで究明していくのが彼の捜査方法であった。今
回は疑問を持ち。。そして、彼独自の捜査がはじまった、
2)疑惑を抱いた交通事故
ただ単に交通事故として扱われた、今回の轢逃げが不自然に思えたのであった。
そして、数少ない監視カメラを探して調べた。
やはり、、どう見ても可笑しいと思い、何度も何度も見たのであった。
引いた車の動きが可笑しく見得た、、歩く女性を目掛けて発信させたような気がしたのであった。それで、引き逃げされた女性を調べた。
普通に考えたら、その女性はその引かれた場所には絶対に来ない筈で有った。
その場所を歩いていることはないのであった。
そんな女性が世田谷区成城の街角で車にかれる筈がない、、、なんか不自然であり、謎が潜んでいるような、、鬼警部の勘には閃いたものがある。
そこで、引き逃げされた秘書課の女課長「大和田光代」について調べてみた。
彼女はやり手経理ウーマンだったので、、抜擢されて大東京銀行の代表取締役、大河内要之助の秘書課勤務となり、大河内要之助の無くてはならない秘書課長になったのであった。
そんな大東京銀行に脱税汚職の疑惑があり、、警視庁捜査二課と検察庁の捜査がはいっているのであった。
そんなことから、流川京十郎は今回の交通事故は偶然に起こったものではなく、故意に図られた交通事故だと勝手に判断したのであった。
そこで、大和田光代は世田谷成城の誰に会いに来たのか調べる必要があり、、関係者を調べてみた。銀行関係ではいないのであった、、流川警部が調べた限りでは、またまた、謎が残った。
3)大和田光代は誰を訪ねたか。。。
流川京十郎は疑問に思ったひとつである、、大和田光代の尋ね先を調べた、、まずは「大東京銀行」の中の役員で東京都世田谷区成城に住んでいるものはいないかを当たったが居なかった。
そして、昔仲間の警視庁の捜査力を利用して、、大東京銀行の株主を調べてもらった。
個人株主で資産家の大株主が一人いた、「太田黒清三」で、、世田谷区成城に住んでいた。
その太田黒清三の家が、今度の交通事故現場から近かったのである。
それだけの理由では今回の交通事故には繋がらなかったが、、流川京十郎警部には疑うのには十分であった。
そして、大和田光代は大東京銀行の頭取である「大河内要之助」の秘書で有り、何らかの連絡係りをしていても不思議ではなかった。
ましてや「脱税及び贈収賄容疑」で警視庁第二課及び検察庁の捜査が疑惑を持ち、捜査をして居るのであった。
そんな大東京銀行の疑惑の中での交通事故で有るので、流川京十郎警部は疑い興味をもったのであった。
一旦気にして、目を付けた事件には貪欲なまでに執拗であった。流川警部は突っ込んで調べることにしたのであった。
今までに目を付けて、捜査を始めたら、、必ず仕留めていたのである、、その捜査には違法的なことも有り、、強引な捜査なので「極悪刑事」の異名をとっていた。
警視庁捜査一課に顔を出した流川警部は、、「流川、、お前の今、捜査している事件は二課と検察庁が追っているので、、邪魔をするなよ、、」
と、、捜査一課長の江戸三郎に釘を刺された。
「分かっていますよ、、課長。。俺も二課と喧嘩するつもりはないから、、大丈夫だよ、、」
と、、返事をする流川警部であった。
「お前が、、分かったわ、、は危ないからな、、まずは分かっていないな、、しかし、、気をつけろよ、、」と、、云ってくれた。
単独捜査が好きな流川警部だから、、どうせやるだろうと思っていたのであった。
江戸課長は流川警部の性格を知っているので好きにやらせることにした。
4)流川京十郎警部、当たらずとも近付いた。
流川警部には何も言っても、走り出したら無駄であった、それを知っている江戸課長は好きにやらせていた、、捜査はどこかで一緒になっていくことを分かったいた。
今回の交通事故が不自然であることを、捜査一課も疑っていたのである。
警察も馬鹿ではない、、、それを表立って動いては「捜査二課」との問題が起きるのであった、、、今は流川警部に任せておけばいいのだと、、江戸課長は結果を待っていた。
「いいか、、、俺たちが動けば目立つ、、しかし、流川警部が一人で動けば、責任はあいつのせいになる、、、だから、やらせておけばいいのだ、、」と、、
江戸課長はほくそ笑んでいた。
そして、流川警部は信じてた、、、必ず、突き止めると、、、
彼の刑事としての勘、、捜査力を分かっていたのであった。
流川警部は一人で動き回っていた。そして、、大東京銀行の脱税疑惑も明らかになり、、取り引き先の「光友不動産株式会社」との贈収賄事件も訴訟にまで持ち込まれた。
しかし、大和田光代秘書課長の交通事故は未解決であった。
どうしても、流川警部は「殺人事件」に持ち込みたかったので、立証に必死であった。
今回の贈収賄に絡んで、世田谷区成城に住んでいる「太田黒清三」に目を付けていた。
彼は「光友不動産(株)」の顧問をしており、、政界財界に顔が利く、大物権力者、それも悪名高き、やり手だった。更に始末が悪いのは「組織暴力団暁会の会長」でもあった。その地位を利用して、大和田光代を抹殺するくらいは朝飯前だった。
流川警部は事件の流れを掴んだので、、証拠固めをしていた。
どうせやるなら、、流川警部は「殺人」を起こした実行犯よりも、、強引でもいいから「殺人教唆」で大物「太田黒清三」を吊り上げたかった。
流川警部は密かに思っていた、、、「今に見てろよ、、ふんぞり返っていられるのも、、娑婆に入れれるのもあと少しだからな、、、待ってろよ、、古狸、、」と、、闘志を燃やしていた。誰にも出来ないことをやるのが「俺」だって、教えてやるよ、、と、、
5)流川京十郎警部、、大いに怒る。
流川警部は政界財界の権力者であり、「組織暴力団」の会長でもある、、、「太田黒清三」の捜査を始めたら、、すぐに政治的な圧力がかかった、、横槍である。。
流川警部は警視庁刑事局本部長の「黒田清輝警視正」から呼び出されて。。「太田黒清三」に関する捜査を打ち切る様にと指示を受けた。
「なぜ、、贈賄の疑惑がある容疑者の捜査を打ち切るのですか、、、」と、、一言だけ文句を云った。どうせダメと分かっていたが、、流川警部は意地を見せたのであった。
「誰が止めるものか、、止められるものならやってみな、、首を掛けて、てめえ、、と心中をしてやるからな、、、糞くらえ、、」と、思いながら刑事局長の部屋から出て来た。
刑事対策課の江戸課長が待っていた。
「大丈夫かよ、、京十郎、、無理するなよ、、、やっぱりな横槍か、、まったく、やりずらいよな、、刑事をやってられなくなる時があるよな、、、でも、、頑張れや、、」
と、、励ましてくれたような、冷やかしてくれるような言葉が返ってきた。
流川警部は「ふざけやがって、、、誰が、お偉いさんの言うことなんぞ聞くものか、、今に見てろってんだ、、」と、、憤慨しながら警視庁を出た。
江戸課長は期待していた、、、あれだけ怒った京十郎は久しぶりだった。
あいつならやるぞ、、と思いながら、、他の捜査員には「京十郎には出来るだけ、協力をしてやれ、、」と、、声を掛けて置いた。
少々、やきもきした気分で、昼間からやっている飲み屋に流川警部は顔を出した、その店は、、
「パラダイス」といった、、「太田黒清三」の組織暴力団暁会の経営している店であり、、麻薬密売や売春の噂の多い飲み屋であり、、ごろつきの溜まり場でもあった。
そこには組、組織員も入れば、半端な極道もいる、、いわゆる流れ者や無法者が集まっていたので、、裏社会の情報が得られやすかったのである。
そこには義理人情の世界もなく、、全てが「金次第」の薄汚れた世界であった。
流川警部はチョクチョク顔を出していた。
悪人仲間からは「極悪デカ」と呼ばれていた。何でも手を出し、、情報を手に入れていたので、
非情な極悪人と思われた居た。
「旦那、、、久ぶりですね、、情報が回っていますよ、、、旦那には近づくな、、情報を流すなと、、、」と、、教えてくれたのは流川警部が情報屋として使っている、、「通称、鼠」であった。すばしこっくて、度胸もあり、知恵もあったので、、流川警部は面倒を見ていたのであった。
「旦那、、気を付けて下さいよ、、あんたの命を狙っている奴が居るからね、、それと、、あんたには賞金首が出たよ、、、いくらだと思います、、、1000万だからね、、此処へは来ないほうがいいよ、、、躍起になって狙うから、、何かあったら、俺の方から連絡するよ、、」
と、、云って「鼠」は消えた。
「そうか、道理でよそよそよしかったわけだ、、、ありがとうよ鼠、、オンに着るぜ」と、、云いながら、流川警部も警視庁に戻った。
これからは外出す時には「防弾チョッキ」をつけて、拳銃携帯で出掛けることにした。
そして、そこまで警戒していて、ガードを固めたのには、やはり、調べれられて不味いことがある証拠であったと確信した流川警部であった。
そして、彼は燃えた、、燃え上がったのである。
6)賞金首にされた流川京十郎警部、、、
流川警部は確信をしたのであった。あの「太田黒清三」が流川警部に危険を覚えて、政治力でも圧力をかけても迫ってくる、猪突猛進の鬼警部に危機を感じて、抹殺を計ったのであった。
命を的にされた流川警部は、そこまでやるなら、、とことん命がけで、追い詰めてやると覚悟を決めたのであった。
ここまで宣戦布告をされたので有るから、本人は穴倉からは出てこないだろう、罠を仕掛けておびき出さなければ、そう思いながら考えた。
東京芝浦に有る倉庫街の「パラダイス」に、網をはり、、罠を掛けてやろうと、、流川警部は芝浦桟橋に立ち並ぶ倉庫街に顔を出した。
すると、、情報屋の「鼠」がやって来て、、、「旦那、、気を付けてよ、、、奴らは本気で狙っているからね、、、今日あたりは狙う奴らが、うろうろしてるから、、本当に気を付けてな、、俺は何にも出来ないが、、勘弁してよ、、、あいつらに狙われたらたまったもんじゃないから、、命いくつあっても足りないのでね、、なんかわかったら、必ず知らせるよ、、、」と、、云って離れていった。
流川警部はいつでも撃てるように「拳銃」を確認した。今日は彼は拳銃を二丁持っていたのである。。
流川警部から情報屋「鼠」が離れた瞬間に一発の銃声が響いた。
彼のすぐ傍のカウンターの上に有ったビール瓶が割れた、、流川警部は拳銃を構えた。
そして、撃ってきた方角に銃弾を放った、、、一人の男が倒れた。
「おい、、、俺は警視庁の流川だと分かって、、撃っているんだろうな、、いいか、、俺は容赦なく撃ってきた奴を殺すぞ、、いいな、、」
と、、流川鬼警部は怒鳴った。
そして、、「死にたい奴は出てこい、、」と、、云いながら威嚇発砲をしたのだった。
今回の襲撃犯は逃げたが、、次がいつ襲ってくるか分からなかった。
銃弾を撃ち込まれた流川鬼警部は「パラダイス」の監理事務所に乗り込んだ。
頭に血が上っていた流川鬼警部は、いつもはやらないが、、事務省に入るなり、拳銃を数発撃ち込んで入って行った。
やくざと云えども、拳銃を撃ちこまれては動けなかった。。
「どうしたんですか、、流川の旦那、、今日は、、」と、、取り繕う間もなく、、、
「ふざけるなよ、、、太田、、手前が居ながら、俺に弾を撃ち込ませたな、、、返答によっては殺すぞ、、、」
「太田、、お前、、俺の賞金首の事は知ってるな、、、」と、、拳銃を向けられて聞かれた太田は、、「知ってますよ、、しかし、、俺たちは上からの命令でも、そんなことはしませんよ、、
本当ですから、、いつも旦那には助けてもらっていますので、、」と、、答えた。
「少しは義理を知っている積りですよ、、」と、、云うことに嘘はないと思えた。
賞金首は半端者が金欲しさにやっていることですよ.、、とも言っていた。
「流川の旦那、、俺たちやくざ者にも義はありすよ、、どんな命令でも聞く時代は終わってますよ。。無理な押し付けはヤクザの世界でも、跳ね返されますよ今は、、筋の通らない無理は駄目なのですから、、俺でさえも跳ね返しますから、、、」と、、今回の賞金首の話は組織内でも問題になってるんですから、、と、、うちわ話をしてくれた。。刑事で無かったら舎弟分に成りたいほどの男意気である鬼警部であった。
7)やくざに好かれた鬼警部
流川鬼警部は悪人には滅法強いが、、やくざにも好かれれる警察官であった。
彼はめちゃくちゃ強い男であったが、義に熱く、情にも優しい刑事であったので、陰ひなたに味方がいた。
組織のトップから指示があっても、背く不良ややくざが居たのであった。
それで、「パラダイス」の責任者である暁会の幹部の太田次郎が教えてくれた。
「旦那、、やくざの中にあんたを殺そうと思う奴は居ないヨ、、、今回の太田黒会長の指示を守っているのは若頭大枝恒夫ぐらいだから、、でもな、、気を付けてな、、」と、、
言ってくれたのであった。
「ありがとう、、、恩にきるよ、、、」と言ってパラダイスの事務所を出た時だった、、
一発の銃弾が飛んできた。流川警部に命中して、その場に倒れた、、、しかし、、防弾チョッキをつけていたので、鬼警部は助かった。
流川鬼警部を襲った狙撃犯が近づいてきた、、、流川鬼警部は寝ながら、、近付いた犯人を撃ち殺した。
そして、襲ってきた狙撃犯の脚を撃って、動けなくしたのであった、流川警部は射撃では一流だった。狙ったら外すことは無かった。
起き上がった流川警部は、脚を撃たれて動けなくなった狙撃犯を捕まえて、拷問に近い取り調べをした。そして,、吐かせたのであった。
流川鬼警部は録音を執った、、、若頭大枝恒夫の指示であることを認めた、鬼警部の拷問に耐えられなかったのである、、、鬼警部は自分を殺そうとした人間を許すわけがなく、その場で撃ち殺したのであった、極悪刑事と言われる所以である。
これで2度、3度と狙われた流川鬼警部は、、暁会本部のある赤坂の事務所に乗り込んだ。
そして、暁会事務所に入るなりに、数発の銃弾を撃ち込んで、、、
「若頭の大枝恒夫、、居たら出てこい、、、」と、、更に銃弾を撃ち込んだ。
その撃ち込まれた銃弾の奥の部屋から、、大枝若頭が出て来た、、、
「なんですか、、いきなり、、銃を撃ち込んだりして、、刑事だからって、そんな無茶をするなら許さなねぇーよ、、」と、、粋がって怒鳴って来た。
「バカやろう、、、ふざけるなよ、、、殺人教唆の現行犯で、お前を逮捕するよ、、分かったか、、」と、、更に数発を撃ち込んだ。
そして、傍にいたやくざ者に手錠を投げて、、大枝に嵌めろ、、、と命令を出した。
「こら、、お前だ、、:やらないなら、お前を撃ち殺すぞ、、」と、脅してやらせた。
そして、大枝若頭を引っ張り出して、連行していった。
警視庁殺人課での「殺人教唆容疑」での逮捕だった。
警視庁内部でも慌てた、、、警視庁内部の上層部からの通達で、「太田黒清三」には関わらないようにと指示が出ていたのであるから、、、
警視庁殺人課の江戸課長はすぐに上層部に呼びつけられた。
流川警部に伝達されたが、、「馬鹿野郎、、何が関わるなだよ、、俺が的に掛けられて撃たれたんだよ、、、俺を殺そうとした奴は正当防衛で殺した、、然し、それを指示した大枝若頭を逮捕して何が悪い、、こら、、出てこい、、内部の悪党ども、、」
と、、怒鳴り廻していた。
証拠があるのに、無視するのか、、徹底的にやってやるぞと、、、息巻いた流川鬼警部であった。
ここまで来たら、政治的な権力で納めることは不可能だった。
と、、怒鳴りながら、逮捕した大枝若頭を警視庁内の留置所に入れた。
その様子を見ていた江戸課長たちは、、、内心で「やれやれ」と応援したのであった。
ここまでくると刑事局長の一存では決められずに、、「警視総監」が出てきたのであった。
そして、法律の元にすべてを合法的に取り調べて、証拠固めをして起訴するより仕方がなかったのである。
全てが流川鬼警部の思うように進んだのであった。
8)流川鬼警部は強引に暴力団暁会の若頭を逮捕した。
警視庁内部では騒めきだしたのであった、、政治的圧力により、、「太田黒清三」には構うなと言い渡したのに、その足元を掬ったのであったから、、、
そんなお達しなど「くそくらえ、、、」という考えで動いた流川鬼警部だった。
常に、、「やれるものなら、、やってみな」の命がけの捜査であるから、、怖いものは無かったのである。
正しいものは正しい、、、何が悪いという度胸の元の行動であった。
警視庁上層部でもどうにもできない行動であり、政治的圧力も、警察内部の威圧でも聞かないのだった。
流川鬼警部は暁会若頭大枝を締め上げてやると、、思いながら作戦を練っていた。
さあ、、取り調べを始めようと、留置所から、若頭大枝を連れてくる指示を出したのであった。
すると、留置所内で若頭大枝恒夫が殺されたと言うのであった。
朝の洗面の時間に、別の房の容疑者が二人がかりで、大枝恒夫と喧嘩になり、、二人のやくざ者に絞殺されてしまったのである。
流川鬼警部からみたら計画的に殺されたと見えたのであったが、、喧嘩相手のやくざ者はあくまで、喧嘩の上のいざこざからと言いはったので、、それ以上の追及は出来なかった。
流川鬼警部は警視庁内部の手引きがあって、証拠隠滅のための「太田黒清三」の謀略だと思えたのであった。
これでまた、、逃げられたと思ったが、、「くそ、、今に見てろよ、、」と、、流川鬼警部は燃えた。
内心、やられたと思えたのであった、組織暴力からの攻めは出来なくなったから、次の手段を見つけるまでは、太田黒清三を泳がして置くしかなかった。
権力者であるためには「資金」が必要だったので、、その資金回収のルートを見つけてやると、流川鬼警部は捜査を始めた。
中途半端な資金では人は動かせない、、太田黒清三の場合は人格では人は附いてこない、、金と暴力の二刀流しかない筈だ。
その資金元を探して、息の根を止めてやるよりしか方法はないのだった。
前回の脱税疑惑の時の「大東京銀行」絡みの取引先の企業の中に資金元が有る筈だと狙いをつけて、情報屋たちからも情報を集めて、関係企業の捜査を始めたのであった。
情報屋「鼠」も動いてくれた。
そして、怪しい動きのある企業が浮かんできたのである。
流川鬼警部の刑事としての「勘」はずば抜けたものを持っていた。
そして、、町金融の「毒島金融株式会社」と、、「大橋スクラップ再生株式会社」に突き当たったのである。
毒島金融(株)は黒い噂の有るやくざ金融であった、闇金融であり、貸し出す先は組織やくざであり、その資金は「覚せい剤密輸」及び「銃密輸」などに巧妙に使われていた。
また、「大橋スクラップ再生(株)」は窃盗物でも盗品でも買い入れる噂の有る業者であり、その手口は巧妙であった。
警察関係も目を付けていたが、一向にボロを出さないで、盗品買をしていた。
今はやりの「太陽光発電の銅線買収」を安く買入れているが、窃盗犯には都合のいい、、業者であった。
それら三流の業者を利用して、荒稼ぎをして、資金を創って、陰の権力者面をしていたのであった。
今に潰してやるからと、流川鬼警部は闘志を燃やしていたのである。
「大橋スクラップ再生(株)」は隅田川の川筋にヤードを構えていたので、、踏査がてら見に行った、、、隅田川の春の桜堤は見事に咲いていた、、、遠山の金さんではないが、、見事に散らしてやるからな、、待っていろよ、、太田黒清三、、お前のドス黒い、黒の花弁を隅田川に散らしてやるから、、、と、、一人、ほくそ笑んだ、鬼警部であった。
9)太田黒清三の急所を見つけた「流川鬼警部」
流川鬼警部は、上層部の命令指示を無視して行った。そんな時に警視庁刑事部長「柳沢藤蔵」は、自民党幹事長「大内佐一郎」に呼びつけられた。
そして、政治的圧力による横槍が入れられた、、
「なぜ、、柳沢刑事部長、、流川京十郎を止められないのだ、、あんたの出世も此処までかな、、何とかしたまえ、、、」と、告げられた。
「申し訳ありません、、今回は警視総監勝象二郎が決済を出しましたので、なんとも出来ないのです、、誠に申し訳ありません。。」と、、謝った。
そして、、「分かった、、わしの方で何とかする、、あんたは引っ込んでいなさい、、」と、、帰された。
柳沢刑事部長は自分の出世を諦めたのだった、、出世の道を絶たれたような気がしたのだった。それならと、、覚悟を決めて、流川鬼警部の考えを応援する羽目になった。
警視庁に戻った、柳沢刑事部長は流川鬼警部は呼んで、、伝えた。
「流川警部、、今回の太田黒清三の件は、精一杯やりなさい、、いいかな、、中途半端ではやめるなよ、、どうせやるなら、、最後までな、、」と、、背中を押してくれた。
警視庁としては、政治的圧力に面と向かって立ち向かう、体制を整えて、立法に対して司法は毅然とする戦いを挑んだ。
そして、自民党幹事長「大内佐一郎」は政治力を掛けて、検察庁に圧力を向けたのだった。
検察庁としても、困って、、警視庁警視総監「勝象二郎」に助けを求めてきた。
しかし、、上層部の管理職だけでは対応できない状況になっていたので、、検察庁は申し入れを断られた。
これで、太田黒清三は窮地に陥ったのであった。
自民党としても、司法と正面切っての喧嘩は出来なかった。政治政党としても、自分たちの道が不味いとなったら、、たとえ、権力者であろうとも、見切らなければならなかった。
そして、、太田黒清三という権力者は、政治にも見放されたのであった。
いつまでも「金力」と「暴力」で、世の中を捻じ曲げて来た、悪人権力者が歩く道はなくなったのであった。
そんな状況を知った「太田黒清三」は消えたのである。
流川鬼警部は、隙を作ってしまって、、今回逮捕した、暁会若頭大枝の判決が出るまではと、、検挙を控えてしまったことであった。
この間に、太田黒清三は逃げたのであったが、、流川鬼警部は何処までも追いつめてやろうと決意したのであった。
10)太田黒清三は闇夜に消えた、、、
太田黒清三は、政治的なごり押しが出来なくなり、、司法を敵にしたのだから、逃げ道はひとつであった。
彼得意の暗黒の闇夜にしか生きる道は残されていなかった、、、他の世界の人間と違い、あくどく活きるすべは持っていたのである。
金と暴力は残っているのだから、、闇の世界では活けるのであった。
強い人種であった、、、太田黒清三は表舞台からは消えたが、彼には「裏舞台」があった、
やくざと言う社会の「寄生虫」は何処にでも、住めるようだった。
一旦、表舞台から消えると厄介であった.どんな人間にでも変身できるので、、
やりづらいのは「金」が有って「暴力」が有るから面倒なのであった。
世間体を気にせず、、何でも出来るので困ったものなのだ。
太田黒清三は裏舞台演出家になり、、世の中の都合の悪い人間を舞台から側の人間となり、、闇の暗殺者となるのであった、
誰に遠慮することなく、権力者が、政治的な力ではなく、暴力の支配者となって、金の力だけで依頼を受けて、邪魔者を抹殺していく「闇の暗殺者」となるのであるから、、ますます始末が悪く成ってしまった。
流川鬼警部は初めから逆らっていたのだから、なんとも思わなかったが、、今回、権力者であった太田黒清三に刃を向けた官僚たちは、毎日、おどおどしていた。
そして、一番先に逆らった、警視庁刑事部長の「柳沢圭吾」は毎日、脅されて、びくびくしていたが、、ある日、交通事故で死亡したのであった。
次は当時、太田黒清三の意に従わなかった、自民党の大内佐一郎幹事長は何とか太田黒清三に連絡をとって謝罪をしようとしたが、すでに手遅れだった。連絡が取れなかったので慌てた。
しかし、やくざの世界では裏切りは許されなかったのである。
そして、大内佐一郎幹事長は女と温泉旅行中に旅先の川で溺れて死んだのだった。
そんな話を聞くと恐ろしく成り、、誰でも死ぬことは怖く、暴力的な支配に屈伏してしまうのであった、、、そして、、今度は「闇の暗殺者」が怖く成り、恐ろしさのあまりに、言うことをきくこととなってしまったのである。
「闇の暗殺者」が裏の権力者となり、、社会の表舞台も裏舞台も支配してしまったのであった。
流川鬼警部は「闇の暗殺者」を追って、燃えたのである。
11)太田黒清三、闇に消える、そして陰の権力者に
太田黒清三は闇に消えてから、以前より強引な悪徳権力者になったようだった。消えた太田黒清三は誰彼はばかることなく、己の思うままに動き出したのであった。
流川鬼警部もやりづらくなった。進出鬼没であったために、予測がなかなか出来なくなったのである、、更に住所不定になってしまったので、、追跡調査が思うように出来なくなってしまった。
太田黒清三が会長を務めるやくざ組織「暁会」は若頭大枝が逮捕されているので、副若頭の斎藤龍二が会長太田黒清三の指示で動いていた。
しかし、その実態は分からなった。
現実に太田黒清三の意に従わなかった、警視庁の刑事部長は交通事故で、更に自民党幹事長の「大内佐一郎」も旅先で死亡していたのである。。そんなことから、以前より「太田黒清三」の権力は強くなった。
始末が悪いの彼が表舞台に出てこないことであった。
そして、「闇の権力者」となり、、政界にも経済界にも圧力をかけて、悪行を撞いる尽くしてることであった。
流川鬼警部は「クソ、、忌々しい野郎だ、、必ず、尻尾を掴んでやるからな。。待ってろよ、、」と言いながら、
闇の権力者になった「太田黒清三」を追い求めていた。
流川鬼警部は充てもなく、、無法者の溜まり場、、「パラダイス」を覗いてみた。
情報屋の「鼠」と久し振りにあった。
「おう、、鼠か、、久しぶりだな、、どこへ消えていたんだよ、、
お前の顔を見ないと寂しいな、、、、」と、云いながら流川鬼警部は鼠に近付いた。
「ご無沙汰してます、、、ああ、、そうだ、、旦那、この前ですが、有馬温泉で珍しい人に会いましたよ、、」と言いながらにやにやしていた。
「誰だと思います、、、旦那、、あんたが知りたい人ですよ、、あの太田黒清三ですからね、、俺もびっくりしましたよ、、」
「そうか、、お前のことだ、、調べたんだろうな。。」
と、、言うなり、、鼠は話してくれた。
いくら探しても消えていた「太田黒清三」が有馬温泉にいたのであった。
全ての情報を鼠から貰った、流川鬼警部は有馬温泉に飛んでいった。
用心深い奴だから、常に塒は変えているだろうが、念の為に出かけたのであった。
12)有馬温泉で、追い込む
流川鬼警部は情報屋「鼠」から聞いた有馬温泉の「太閤の湯温泉」を訪ねた。予約していた部屋に入り、とりあえずは温泉にと、、、今までの疲れを癒した。
有馬温泉は「鉄分を含んだ赤い湯」と「炭酸の白い湯というか透明な温泉」があった、一つの温泉で2種類の温泉を楽しむことが出来た。
その昔、豊臣秀吉がこよなく愛した有馬温泉には「太閤の湯」とか、太閤となずけたゆかりの物が多かった。そんな感傷に浸かりながら、流川京十郎は温泉に一人静かに温もりにしたっていた。
そんな時に数人の男達が入って来た、関東の人間らしかった。
そのうちの一人が,大きい声じゃあ、云えないがな、、「少々、親父にも頭に来るな、、最近の親父は我儘が過ぎないか、、兄弟、、」とか話していた。
その話を聞いていた流川警部は、、「こいつら、やくざ者か、、それに関東か」と、思いながら、もしかしたら、暁会のやつらかも知れないな、、と、、
聞き耳を立てていた。
警視庁切っての極道刑事、流川鬼警部が聞いているとも知らずに、話を続けたので、他の者ならいざ知らず、内容はほぼ理解できた。
やくざ者たちの話では「太田黒清三」はまだ、有馬温泉にいるようだった。それも近くに、、どうやら、この「太閤の湯」に逗留していたのだ。
流川鬼警部は内心憑いていると思った、、、まさかというところにいたのである、、ホテルでそれとなく聞いたら、離れの「特別室」にいた。
追い求め、やっと、探し当てた獲物だった。というよりは恋人に会うようにわくわくしたのであった。
夕食を済ませた流川鬼警部は背広姿に着替えて、、太田黒清三の離れに訪問したのである。
突然、尋ねられた「太田黒清三」も驚いたが、、さすが、大物と言われた権力者であった。
鬼警部が挨拶をしても、慌てなかった、、傍に控えたやくざ者たちがおろおろしていたのである。「太田黒会長、、今夜は私も私用で温泉に来ただけですから、、ご挨拶に来ただけです。
お元気なご様子でよかったですよ、、表舞台に出てこないから、心配してました。。」
と、、挨拶をして、流川鬼警部席を立とうしたら、、、
「まあ、、急ぎ旅じゃあなそうだ、、どうですか、、こうして会えたのですから、、一杯ぐらい、付き合いませんか」と、、盃を勧められた。
傍についていたやくざ者たちは落ち着かなかったのである、賞金首がいるのであるから、、
どうしたらいいか、分からなかつた。
そんなことには一向構わずに、二人は盃をかわしながら、談笑をしていた。
帰り際に、流川鬼警部は一言だけ呟いた、、「会長、、いずれはそのうちに、お邪魔しますので、、楽しみに待っていてください、、」と、、、
太田黒清三会長も「君もな、、精々首がいつまでも、繋がっているようにな、、今夜は楽しかった、、いい酒だった、、」と、、送り出してくれた。
二人の闘いは終焉に近付いているような気がする 、流川鬼警部だった。
有馬温泉の湯煙の街に、静かに男の炎は燃えた。
13)有馬温泉から帰った鬼警部は、、、
流川鬼警部は有馬温泉では、太田黒清三の確認をして、元気だったのでやる気を、ますます起こしたのであった。
流川鬼警部は姿形が見えなかったので、少し不安だったのである。
余りにも表舞台に出てこないから、、もしかしたら、死んだのではと疑ったくらいであった。
しかし、有馬温泉で悪人丸出しの男が厳然として、元気だったので安心感も出て、太田黒清三という「影の権力者」に燃えた。
太田黒清三の事だから、もう、有馬温泉からは姿を隠しただろう、、
そんなことを思いながら、一つの足掛かりになるだろう「パラダイス」を訪ねた。
監理事務所に太田次郎は相変わらずいたが、、「旦那、此処のパラダイスは経営者が変わったんですよ、、俺もついでに組を抜けましたんでね、、子分たちのことを考えてくれない会長なんかは糞くらえですよ、、愛想がついたんでね、、、」
そんな話を太田次郎はしてくれた。
「噂ですが、、大阪の方へ拠点を移したそうですよ、、もともと、太田黒会長は大阪が極道への出発なので、、、古巣へ戻ったみたいですね、、今のところ、俺の知っていることはそんなとこです、、
何かあったら連絡しますけど、、気をつけてよ、、あの会長はしつこいから、、、蝮みたいな男だからね、、、」
と、、教えてくれた。
「ありがとうよ、、」礼を述べてパラダイスを出た流川鬼警部である。
警視庁に戻った、鬼警部は調べた、太田黒清三の古巣のやくざ組織を、、今は「大阪天王寺一家」が名称を改めて「大阪天王寺興行株式会社」となって、太田黒清三の実弟が跡目を継いでいた。
成合は「金融業」を手広くやっていたのである。
流川鬼警部は「なるほどな、、」と、、合点がいった。
悪は悪人らしく、用意周到に権力者になるための準備をしていた。
「影の権力者」とか「影の暗殺者」とか言われても可笑しくない組織創りをしていたのであった。
流川鬼警部は特別捜犯の江戸課長に報告をして、事情を説明したうえで、承諾をもらったのである。
14)大阪での捜査
流川鬼警部は新幹線で大阪に向かった。長期出張なので安いビジネスホテルを探して宿泊をすることにしたのである。捜査目的の「大阪天王寺興行(株)」が大阪市天王寺駅近くにあったので、その周辺の「ホテル天王寺」に決めての捜査活動であった。
まずは警視庁で調べた住所から会社のある所在地を訪れた、、5階建ての立派なビルで、しかも本社ビルとなっていた。そこで法務局に行き、会社謄本と土地謄本を取ってみたのである。
流川鬼警部は感心した、土地も建物も「大阪天王寺興行(株)」の名義になっていた、相当、あくどい金儲けをしているようだった。
会社の代表取締役は太田黒清三の実弟「太田黒征四郎」が登記されていた、実務実権は太田黒清三であろうと想像がつく。
会社所在地の周辺での聞き込みをすると、、やはり、あくどい「金貸し」で、暴力団だった。
その後は大阪府警天王寺警察署を訪問した、流川鬼警部であった。
そして、暴力対策課「通称丸棒」の浜田警部補が応対してくれたので、流川鬼警部も警視庁特捜部の手帳を示したのである。
そこで「大阪天王寺興行株式会社」のことを聞いて、浜田警部補から現在の状況を教えてもらった
古くからの大阪の「天王寺一家」の流れを組む博徒であり、もともと、天王寺周辺を縄張りとしていたが、今は「金融業」を主体とした、企業やくざであると 、、
金融業と言っても早い話が「高金利の金貸し」で、誰にでも貸すが、その取り立ては厳しいとのことであった。
しかし、法律で定められた金利範囲なので、文句は言えなかったらしい。
その取り立てには情容赦がなかったので、その間に関してはトラブルは起きていたが、問題が大きくなると「顧問弁護士の田沼正二郎」という、悪名高き弁護士事務所が対処していたので始末が悪かったのであった。
あくどい金貸ではあるが、全てを合法的して居るので、警察としては手出しが出来なかったのである。
流川鬼警部は浜田警部補から話を聞き、大枠では理解できた。あの太田黒清三のことがやることだから想像は付いた。
そして、浜田警部補にお礼を述べて、今後の協力もお願いして引き上げた。
大阪での捜査活動も最初なので少し疲れたので、、好きな酒でも飲んでからホテルへ戻ろうと思い、、酒どころを探そうと、夜の赤提灯街を歩いてみた。
秋も深まり、夜風が少しだけ肌寒く感じるようになったので、程よい暖かさの酒が恋しくなってきたのだった。
赤提灯がぼんやりと綺麗に見えた、小ぎれいな縄暖簾を潜り、入って行ったカウンターだけの中に一人の美人ママらしき女(ひと)が一人いた。
流川鬼警部は何となく「いい店だ、、大坂にいる間はここで呑もう」と決めて、カウンターに座った。そして、熱燗での日本酒を頼んだのであった。
15)流川鬼警部の強硬捜査
ビジネスホテルで目が覚めた流川京十郎警部は、ホテルで朝食をすませて、、太田黒清三の事務所に出かけた。。。
こせこせ、捜査するより本人に、まずは会ってやれと言う、、捨て身の戦法を執ったのであった。
金融業をしている「大阪天王寺興行(株)」の看板の出ている事務所に入って行き、、「ごめんよ、、太田黒清三会長はいるかな、、警視庁の流川京十郎が来たと伝えて欲しいんだが、、、」と、、受付の女子社員に告げた。
「はい、、分かりましたけど、太田黒会長は見えてません、、」と、、云われた。
そして、「太田黒会長は約束をしないと、こちらに、来ることはありませんが、、何か約束はありましたか、、」と、、聞かれた。
ガードが固く、しっかり太田黒清三は守られていたのである。
やはり、大阪の場合も太田黒清三は隠れて、陰の支配者になっていた。何とか、太田黒清三を引きづり出さないと、、、
なんか旨い餌を巻かないと駄目だと考えた流川鬼警部であった。
そんな時に情報屋の「鼠」を思い出した。
そして、早速連絡を取った、、暫くすると、情報屋の「鼠」から電話が入ったのであった。
丁度、「鼠」は京都に来ていたので、その晩に会う約束をした。
昨日、行ったばかりの赤提灯の「曙」を教えて、待ち合わせをしたのである。赤提灯街の灯りが真っ赤に燃えているような飲み屋街であった。
鼠は7時丁度に来てくれた、、流川鬼警部はカウンターの隅に座って待っていた。
「悪いな、、京都に来てる、お前を呼び出したりしてな、しかし、お前が頼りなんだよ、、」と、、言いながら、酒を勧めた。
「いえ、、いいですよ、、旦那には世話に成ってますからね、、こんな時にしか役に立ちませんで、、」と言いながら、、鼠はビールしか飲まないことを告げて、冷たいビールに変えてもらった。
「いいお店ですね、、、酒好きな旦那にはぴったりですよ、、」と、、挨拶をしてから本題にはいった。
鼠は流川警部とだけが分かるような話し方をしたのであった。
「旦那が知りたいのはあの有馬温泉の人でしょう、、やはり、消えましたか、、、そうですか、、、」と、、鼠は大阪の仲間を使って、探すことを約束してくれた。
「旦那、東京では若頭があんなことになったので、副若頭が頭になって、狙っていますよ、、しつこくね、、会長の件は引き受けましたけど、、気を付けてくださいよ、、」と、、鼠と1時間ぐらいは食事をしながら飲んだのだった。
鼠が帰った後、流川警部は一人で酒を呑んだ、寒い冬なので熱燗は五臓六腑に染み渡った。
他に客もいなかったので、、ママが話掛けて来た、ママの名前は砂由美と云った。
「はずれたら、ごめんなさいね、、お客さんは刑事さんですか、、」と、聞いてきたので、刑事では不味いかな、、と、、聞き返した。
「いえ、そんなことはありません、、心配しないでください」と、、言いながらお酌をしてくれた。
そして、美味しい料理を出してくるれので、嬉しくもあり、料理を楽しんでいる京十郎であった。
暫くは捜査で大坂にいるので、寄らせてもらいますと、、言って、その晩は大阪の冬の風を受けながら、ホテルに戻った。
そして、情報屋の鼠の連絡を待つことにしたのである。
16)情報屋「鼠」から連絡が、、、
流川鬼警部は楽しみに「鼠」からの連絡を待っていた、、その待ち合わせ場所が
赤提灯「曙」だった。しかし、待ち合わせ時間になっても「鼠」は来なかった。
代わりに来たのは、「鼠」の仲間で託を持って来てくれた。
「すいません、、流川さんですか、、、大室さん「鼠の本名だった」から、これを預かってきました、、」と、、メモ書きを渡された。
そして、、鼠がこれ無い理由を聞かされたのである、、太田黒一家に殺されたというのであった。太田黒清三会長の住処を聞きこんでいた時に、太田黒一家にその聞き込みがバレて、掴まり、誰に頼まれたかと、、拷問されたという噂ですが、確かな殺され方は分かりません、、と、言って、そのメモ書きを持ってきた男は帰って行った。
流川鬼警部は「くそ、、鼠すまんな、、勘弁してれ、、」と、、地団駄を踏んだ。
そして、、「鼠、仇は執るからな、、本当に済まなかった、、」と、、心の中で手を合わせた。「あの、太田黒の野郎、、必ず、しとめてやるぞ、、今にみていろよ、、」と、鼠の為の「弔い酒」を飲んだ。
流川鬼警部の目には「鬼の涙」が零れた。
「曙」の砂由美ママは無言で、酒を注いでくれた。その晩は黙って酒を呑んで、流川鬼警部は帰って行った、その夜の世風は冷たかった。人の世の儚さを知った夜の帰り道だった。
17)流川鬼警部の目に涙が、、
流川鬼警部は怒りに燃えた、、都合が悪ければ抹殺するという、太田黒清三のやり口にはどうにも我慢が出来なかった。今回の情報屋「鼠」の、死には悔し涙が溢れた。
彼は悪党ではあったが、「義」を弁えた子悪党だった。そして、流川鬼警部には協力もしてくれたし、考え方によっては「良き友」でもあった。
独りホテルに帰った流川鬼警部は、今回は自分のために、わざわざ、京都から,来なくてもよかった大阪で殺されてしまったのである、心から済まないと、手を合わせて謝り、祈った。
流川鬼警部は、もし仮に、この世に天国があったなら、「鼠」には成仏して欲しかったのである。
「ありがとう、、わが友よ、、」と、一人、涙したのであった。
」に誓ったのである。
太田黒清三に関する確かな情報源の一つが消えたのであった。
東京駅へ着いた,その脚で芝浦桟橋へ向かったのだった。そして、流れ者たちの溜まり場でもある「パラダイス」を訪ねた。
そして、元「暁会の幹部」の太田次郎のいる、事務所に顔を出した。
「あれ、、暫くですね、、旦那、元気でしたか、、、そう云えば鼠が大阪で殺されたってね、、噂が入って、、きましたよ、、太田黒会長に、、」
「そう何だよ、、実は俺が頼んだ件でな、、本当に済まないことをしてしまったよ、、」と、、言いながら、頼みがあって,お前のところに来たことを話した。
「そうですか、、まだ、太田黒会長には手をやいているみたいですね、、あの人は腹黒狸みたいだから、、大変ですよね、、」と,、同情してくれたのだった。
「兎に角、あいつは逃げ足が速くてな、、いつも、後手に回ってしまう、、この前、有馬温泉で会った時にケリをつけて置けばよかた、、」と、、後悔している流川鬼警部だった。
「旦那、、鼠と同じくらいに、悪知恵の回る情報屋を一人,紹介しますよ、、そいつは、あだ名がルパンという男ですが、、明日、来ますので、此処へ来てください、、」と言われた。
そして、次の日に決められた時刻に、流川鬼警部は太田次郎を訪ねたのである。
「旦那、この男がルパンですよ、、、名前は名乗りたがらないので、おいおい、聞いてください」と、、一人の小男を紹介してくれた。
「ただし、、このルパンは金をとりますよ、、それで寡黙だし、、いい仕事をしますから、、それは俺が保証します、、使って見てください、、料金も後払いで、納得しない情報なら払わなくても大丈夫ですので、、」と、、太田次郎は言ってくれた。
流川鬼警部は、太田黒清三の調査を依頼した、、連絡はルパンからの一方通行であった、、
始めは太田次郎が仲介をして、連絡を問いますから、信頼関係が出来たら直接の連絡をということになったのである。用心深い男だったので、逆に流川鬼警部は安心したのであった。
そして、流川鬼警部はパラダイスを出て、、警視庁にも寄らずにに大坂へ向かったのである。
今度こそは、太田黒清三を逃がさないぞと覚悟の上での大坂入りであった。
18)情報屋「ルパン」から連絡が、、、
流川鬼警部が大阪のホテルに着いた時だった、情報屋ルパンから電話が鳴り、太田黒清三の隠れ家が分かった、、神戸にある「六甲山の高級別荘地の一角」に城壁のような塀を巡らした屋敷に居たのだった。
その砦のような屋敷からは外には出ずに、指令を出していたのである。
そんな訳で消息は掴めなかったのだった。
その砦のような屋敷の前に立った、流川鬼警部は考えた、真正面から行っても出てこないだろうし、どうしたものかと、、、少しばかり困った。
太田黒清三も今度ばかりは逃げないで、屋敷で悠然と構えていることと思うのであった。
まさか、流川鬼警部が、自分の屋敷の前まで来ているとは夢にも思わないだろうと、、安心はしていた。
しかし、普通の警察官とは違うのであった。
泥棒の真似をしても、中に入ろうと考えていた流川鬼警部である。
太田黒清三のことだから、警備は固くしていると思われた。
しかし、何かある筈だと、様子を見ていて、今更、捜査令状を取ったところで間に合わない筈であり、、そんな情報は流れて、太田黒清三には逃げられるのであった。
そんな時に、出前が正門の脇にある、くぐり戸から入って行った。出前は寿司屋で、流川鬼警部はしっかり、寿司屋の名前を覚えた。そして、その寿司屋を訪ねた。
流川鬼警部はその寿司屋の大将に会い、事情を説明して、了解してもらった。最初は大事なお客なので出来ないと断られたのであるが、太田黒清三の素性を話し、とんでもない極悪人であることを、流川鬼警部は説明して納得してもらった。
彼の為に、どれだけの人が、、ただ,欲徳の為に殺されたかを話したのである。本来は捜査内容を話してはいけないのであったが、、そして、今回は自分が一人で、乗り込み、社会の悪人を退治することまで話したのであった。
寿司屋の大将も流川鬼警部の覚悟を聞いて、「分かりました、、いいでしょう、、おなたの男義に感じました、、、協力しましょう」と、言ってくれた。
「私が、失敗して、、太田黒清三の一派に殺された時には、大将、、あなたにも迷惑が掛かりますので、
その時は警視庁特捜班の江戸警視課長に連絡してください、、守ってくれますので、、本当に無理な頼み事で申し訳ありません。」と流川警部は大将に頭を下げた。
「いいですよ、、あなたも命がけで、国民の為に闘っているんですから、、頑張ってください」と、、言って、その寿司屋の出前用の車を貸してくれたのであった。
流川鬼警部は感謝し、、寿司屋の出前の半纏まで貸してもらって、すし皿の受け取りに出かけたのである。流川鬼警部は覚悟を決めていた、、半纏の下には防弾チョッキを付けて、彼得意の拳銃を隠した。
流川鬼警部も今度ばかりは問答無用の「極悪刑事」に成りきろうと、、、、
19)流川鬼刑事、決戦へ
流川鬼刑事は太田黒清三の堅固な城攻めを始める決意をして、出前のカラ皿を受け取りに太田黒邸の正門脇の潜り戸を叩いて、開けられた小門から中へ入った。
警護の者も不審に思わずに、流川鬼警部を入れてしまったのである。
その後は太田黒清三宅の裏口に廻り、、堂々と邸宅内に侵入して行き、、来ていた寿司屋の半纏を脱ぎ捨て、大声を出した。
「おーーい、、太田黒、、出て来い、、今から行くぞ、、覚悟しろよ、、」と、、怒鳴りながら奥へ進んだ。
途中から警護のやくざ連中が出たきたので、、、
流川鬼警部は出て来て、前を遮る奴らに片っ端から銃弾を撃ち込んでいった。情無用の銃殺であった。
騒ぎを知った太田黒清三は慌てて、、警護のやくざ達を叱咤しながら、大声を張り上げていた。
「馬鹿野郎、、何をもたもたしてるんだ、、相手は一人じゃないか、、早く、片付けろ、、みんなを集めて、撃ち殺せ、、」と、怒鳴り廻していた。
しかし、流川鬼警部の方が進入が早く、迎え撃つ、やくざ簾中の方が後手後手に回っていたのである。
「どけ、どけ、、邪魔するな、、お前ら雑魚には用がないんじゃ、、死にたくなかったら、どくんじゃ、、」と、叫びながら、拳銃を撃ち込み、やくざ達を片付けて行った。
そして、銃を構えた警護のやくざ達に守れた部屋に、流川鬼警部が入って行った、、一斉に鬼警部に銃弾が放たれたが、、同時に流川鬼警部も撃ち返した。
やくざ連中も全員倒れた、、流川鬼警部も撃たれた、、しかし、力を振り絞って、太田黒清三の前に立ち塞がったのである。
そして、、「太田黒、、今日はお前の命日だな、、死ねや、、」と言って、これでもかと銃弾を撃ち込んだ。
流川鬼警部は太田黒清三の最後を確認してから、床に膝まづいたのである、、
「やっと、、決着がついたな、、、少し、疲れたよ。。」と言いながら、撃たれた流川鬼警部も倒れた。
警視庁特捜部の江戸課長は大阪府警から連絡を受けて、飛んで来ていた。。江戸課長は特捜部の仲間を引き連れて、大阪府警の力を借りて乗り込んで行ったのであった。
そして、倒れた流川鬼警部に駆け寄り、、「しっかりしろ、、死ぬなよ、、京十郎、、こんなに撃たれやがって、、救急車呼んで有るからな、、死ぬなよ、、馬鹿野郎、、」と、、抱きげた。
20)誰を守る、、警察とは、、捜査とは、、、
流川鬼警部は倒れて、、救急車で運ばれた。運ばれる救急車の中には、江戸警視課長が付き添っていたのである。
「死ぬんじゃあ、無いぞ、、お前みたいな阿呆はいないよ、、いいか、、死ぬなよ、、」と、、祈りながら病院に着いた。
流川鬼警部には家族は居なかった、恋女房はいたが、やり過ぎた捜査の果てに、逮捕した犯人の家族の恨みをかって、殺されたのであった。その日から、彼の犯罪を犯した者への態度は変わった。
捜査態度も一変して、一人捜査が多くなったのである。
そして、犯罪者、特に権力者に対しては容赦なく対応していった。まるで、復讐者のような態度で、、誰の言うことも聞かなく、強引な捜査をして行くようになった。
しかし、、そんな捜査をする流川鬼警部を、陰ひなたで援護していた江戸警視課長であった。
組織第一にしている警察の中に、流川鬼警部のような、権力者に立ち向かう捜査官が居てもいいと、、思っていた江戸警視課長であった。
そんな意味でも、流川鬼警部には死んで欲しくはなかった、
警察がなんであるか、、国民の安全を守るために、誰にも出来ない、持つことの出来る「捜査権」があるのではないのか、、、
その捜査権を束縛したり、、抑止のために圧力をかけるような、警察であってはならない、、、そう、思い、信じていた江戸警視課長であった。
一人、手術室の前で、、待っていた時間は長かった。
手術室の赤い灯りが消えて、担当医師が出たきた、、そして、、
「命は取り留めました、、、凄いですな、、あれだけ撃たれて生きていることが不思議です、、」と、、江戸警視課長に告げた。
「よかった、、、本当に良かった」と、、呟いていたのである。
第二話「桜田門一家の戦い、、無常道」
「無常道」原作者 献残屋藤吉郎
1)非情な無常道を走る刑事
この世には巨悪な悪事を働き、、弱者を叩き潰す悪人が多い。
その巨悪に立ち向かう熱血漢刑事の物語で、、傷つき痛められようと立ち上がる男もいるのだった。今の世のなか、、弱きものが悪人になることも有り、、悪人が正当化されてしまうことも多い、、変な世の中でである。
間違いを間違いと云えないようなことも有るのだから不思議なのだ。
それを「間違いだ」「悪いのだ」と言える人間に成りたいもの、、、しかし、、捻じ曲げらることも有るような、、、
世の中で起きる事件にはいろいろある、、「殺人」「強盗」「傷害」「談合」「脱税」「贈収賄」
とあるのだ、、、それにかかわる関係事件と多種多様だ。
しかし、、人は何故、悪行をするのだろう、、誰も悪行はしてはいけない、、と人は思うのである。
この世に生まれたばかりの幼子や子供たちには「悪事」をやろうとか、悪行をしてやろうとかの心は無い筈だ、、、あったら、それは「悪魔」だ。
その純真無垢な人間が社会の波や風に吹かれていくうちに、世の中の「ごみ」が染みつき,やがては知恵となっていくような、、、
それがいい知恵であれば善行の道を歩き、、卑しき、悪知恵であれば悪行の道を歩くのかも知れない。
そんな世の中で、悪行に走った人間を取り締まる人間も必要なのだ。
だからこそ、、間違いのない正しい道へ導くためにも、警察や検察、司法機関が必要な筈であり、、、
間違った取り締まりや間違った判決は駄目なのである。
しかし、世の中は矛盾ばかりが横行する、、、権力や金力で、法律を捻じ曲げることも有るようだ。
そんな時こそ、、矛盾をただし、、、非情なまでにも悪を正す力が必要であり、、規則を守る
非情なまでの「無常道」を歩かなければならない。
2)警視庁特捜部、、詐欺集団を追いかけて。。
警視庁の中には「詐欺集団や詐欺師」を専門に追いかけ、取り締まっている「特捜部」がある。
世の中には騙される人が多い。。そして、騙す人間が居るのだ。
通常「詐欺」は捜査二課が担当している、、知能犯係は特別な捜査員が追跡をしている。
最近は携帯電話の普及、特にスマートホンによる、「詐欺が多い」のだ、、、特に老人が騙される、、、「投資詐欺」とか「オレオレ詐欺」とかが多い。
スマートホンによる詐欺が多く、、つい、うっかりとメールなどを空けていまうと、、それだけで騙されるようだ、、、
騙す側に、知恵の働く、、スマホの扱いが旨い人間が居ると堪らない、、、情報化時代であるから、、、うっかり「カード暗証番号」などを教えてしまうと、、自分の預金通帳から現金が引き出されて利用されるのだった。そして、利用された現金は数日後には戻されているのであった、、
その数日間に現金は利用されて、その現金で儲けて、元金だけは戻されるのだから始末が悪い。。その利用する金額が大きいほど、儲けは大きい、、、
これはスマートホンがあっての悪行だ、、、一時的には詐欺行為であるが、、一時的に借りて、元金を戻すのだから、、本質的には執られていないのだった。
とんでもない詐欺だ。
しかし、今どきの詐欺は「スマートホン」を利用して、、世界中のどこからでも指示が出来て、詐欺が出来るのだから、、どうして防げばいいのか、、特別捜査班が必要になってきたのであった。
これから、ますます、、増えるであろう携帯電話に関する詐欺事件には防ぎきれないこともあり、、問題が多すぎると思われる。
高齢化社会に向かって便利になった携帯電話に絡んだ、詐欺を防ぐのは容易ではないように思われた。
特殊班の活躍が期待される。
3)ますます増える知能犯、若者に、、
現代は「パソコン」「スマートホン」という風に、電子化社会に進でいる。
どうにも高齢者には棲みにくい社会になってきたようだ。
すべてが、いずれは「カード化社会に」行政も「マイカード」を、推し進めている。
銀行もすべての金融会社でも、、便利なカードを進めている。
まるで「犯罪」を推奨しているようだ。
最終的には全て、自分のする側の都合にしか見えないのだ。
行政は「カード化」することにより、管理が容易となり、、税金などの回収が簡単に管理できるという便利さからではないのか、、、「盗難防止か言っているが、少し意味が違うような、、、金融関係も管理が一目で分かり、金を集中管理が出来るという一言のような、、盗難がどうのこうの言うなら「現金」が一番安全なのだ。
いろんな各種の販売店でも、レジでの計算が簡単になり、、経費節約となることが多く、、その設備投資は馬鹿にならない。。。
あらゆることで、「カード化」は利点が多いようだが、、難点、欠点もある。
そんなかでの、盗難防止を防ぐことも困難である。
「カード化」すればするほど、、進むのが「頭脳的詐欺」だ、、、機械化すればするほど、増える犯罪でもあり、、対応する人間が機械に特化した
人間が必要になってくるのだった。
やはり、、パソコンやスマートホンの取り扱いに慣れた、若い年代の捜査官を養成しなければならないようだ。
そこ で警視庁特別捜犯として「特別電子化組織捜査班」を設けた。
指揮官に吉良純一警視を任命したのであった、年齢は30歳の若さであるが「電子工学」に長けた東大卒業のエリート官僚だった。
ただエリートというだけでなく「空手4段の猛者」であり、、射撃も警察の中で優秀であった。
かと思えば「落語愛好家」でもあり、、ユウモアもあった。
そんな指揮官の元に全国の警察署から、選び抜かれた「電子工学の猛者」が集まって来た。
4)特別電子化組織捜査班が動き出す。。。
警視庁特捜部の中に「特別電子化組織捜査班]が、設けられた。警視庁内部でもあまりにも問題になって来た「知能犯による組織サギ」を撲滅するために本部刑事部長境原浩一郎警視正の指揮下に設けた捜査班であった。
そのトップに東大卒業のエリート官僚の吉良純一警視が任命されて、その部下に全国の電子工学の猛者を集めたのであった、その猛者は10名ほどであった。
好き勝手にパソコンや携帯電話などの電子機器を操って来た、犯罪集団を撲滅するための「狼煙」を国家権力の組織警察が挙げたのであった。
やる気にな成れば、国家暴力組織の警察が一番だった。
吉良純一警視はやる気十分な若さもあり、、心配す家族もなく、後ろ髪惹かれるものとていない一人身であった。
全国の警察署から配属になって来た警察官も、独身者が選ばれた。
組織犯罪、特に知能犯と言われる、頭脳的犯人と対処するには決められた時間もなく、、始まったら終わるまで、、これで良しという終わりはなかった。
24時間、世界中を相手に戦うことしかなかった。
眠ることがなかったのである、、、電子犯罪は休みがなく、、常に闘わなければならなかった、、、殲滅させるまで終わりがないのである。
その覚悟で吉良純一警視は就任したのであった。
そして、全国から集まって来た電子工学の専門警察官を前にして訓示を言い渡した。吉良警視の覚悟を伝えたのだった。
「特別電子化組織捜査班」は警視庁庁舎の最上階に設置されて、部屋中にパソコンなどのコンピューターがびっしり詰まったいた。まるで、何かの研究所の様相を呈したいた。
そんな部屋には常に,科学者のような警察官が10人ぐらい、パソコンを捜査していたので、、警察署とは思えなかった。
常に機械とのにらめっこのような捜査員が、無線や携帯電話で連絡を取りながらの捜査なので、今までのような歩いて、車で追跡捜査をするのではなかった。
そして、詳細が分かった時に、警視庁庁舎の一階に待機していた,機動捜査部隊の警察官が動き出す仕組みになっていた。
その機動捜査隊は常に完全武装で、目的地に向かう体制が出来ていたのであった。
機動捜査隊の隊長は大石隆警部で、荒法師と言われる坊主出身の殺し屋でもあった。
「電子化組織捜査班」が入手した情報をもとに、速やかに動き出して、「振込詐欺」や「投資詐欺」の指示者の元を急襲していた。
そして、どんな場所であろうとも、殲滅をしていたのである、、、必ず、何らかの指示があり、何らかの方法で連絡を受けた手段を見つけ出しての、、組織犯罪対策であった。
目的は詐欺グループの撲滅であった、、、従って、逮捕が目的ではなかった。
あくまでも撲滅をはかり、、容赦なく一人残らずに皆殺しを狙っていた。
電子化による詐欺集団の全滅を狙っての、犯罪撲滅国家権力であった。
誰もが「詐欺を働き」人の金を騙しとったら、、命は助からいぞという、、国家威嚇であった。
詐欺という手段で人の物を執ったり、騙したりしたものは「裁判もへちまも無いぞ、、」という国家の脅しであった。。
やるからには「死」を覚悟して、詐欺をしろという、、最後通達であり、死の宣告を与える警察署であるぞ云う姿勢を示していた。
5)詐欺集団に情けは無用。。。
吉良純一警視班長は詐欺集団の元凶である「組織暴力団」を殲滅すことが大事ではあったが、、目の前の実行犯を潰していく方が早道だと考えて、、特別機動捜査隊の大石警部と打ち合わせをしたうえで、、ローラー方式で撲滅することにしたのであった。
詐欺をしたら、、人を騙したら、、許さないという方針で、詐欺集団に臨んでいった。
そして、吉良警視特別班は「特権」を持って、「振込詐害」や「投資詐欺」の関係犯罪人には容赦なく排斥していったのである。
「罪」の重い、軽いは関係なく、同罪と見なして、殲滅を計っていったのであった。
詐欺をしたら、、見つかる、見つからないに関わらず、、詐欺行為に携わったら「死刑」だと思い知らせることが大事であった。
起訴してから、裁判がどうだとか、、罪が軽いとかも言わさせずに、、詐欺をしたら「死刑」になると思わせることが必要な気がする、世の中だ。
詐欺集団の犯人の「人権」とか言うけど、、騙された人間の人権はどうするのだと、、と、、云いたい。
そんなことを考えながら吉良警視班長は、特別機動隊隊長の大石警部と会って、お昼を一緒に過ごした。
そして、機械に囲まれ、、詐欺悪人に囲まれ、、悪人面に囲まれている警察署内から、二人で逃げ出した。
桜田門外の日比谷公園にいた、、、木陰のベンチに座り、、少しでも緑の風にあたりたかた、、そして、二人は無言でベンチに横たわっていた。
二人の警察官は警視庁でははみ出して居た、、、上層部のお偉いさんからは、、、
「我が国は法治国家なのだから、、犯人検挙の際には、出来るだけ無傷で逮捕して、射殺は控えるようにと、、、」指示を受けていた。
しかし、日本の裁判のなまるっこさを嫌い、、ついつい、、過剰逮捕に走ってしまっていた。
そんな二人は検挙した後の後始末を見ながら、、いつも笑みを浮かべて頷いていた。
過剰防衛の逮捕劇に、、、、
悪事を働く人間に情けは無用なのだと、、、言い聞かせて犯人逮捕の現場に臨んでいた。
悪行を働くものを許してはいけないのだ、、、間違いを正して、云うことを聞くのは人間も3歳ぐらいなものだ、、、だから、間違ってやったという「悪事」「悪行」は無いのだから、、罰するしかないのだと、、、吉良警視班長は思うであった。
庭木が間違った方向に延びれば剪定をするのだ、、森の木々も余計な枝は切り落とし、、花も余計な枝葉は取り除く様に。。人の世界の悪人は「悪行」は排斥しなくては、、
出来れば早い方がいい、、、、
6)騙す人間は「人間の屑だ」容赦なく叩け、、、
詐欺事件の犯罪組織撲滅班の責任者となった「吉良警視班長」は情無用と取り締まりを容赦なく始めた、同時に機動特別捜査班の大石警部隊長も検挙の際の協力を惜しまずにしてくれた,その成果も挙がり、詐欺犯罪の検挙率が高く成り、、詐欺犯罪組織を少しは怖がらせ始めたのであった。
携帯での高級アルバイト募集が目立って、減少をして来たのであった。それは表面上のことかもしれないが、、その広告は無くなって来た。
詐欺行為の「呼子」や「受け子」は逮捕された時のリスクが大きく成り、、間違えば命を失うことが起きるようになった為であった。
吉良警視班長の方針は当たったようであるが、、まだまだ、振り込み詐欺や投資詐欺は減少しなかったのである。。
元の悪人たち、、組織やくざは悧巧であるから、、違う方法を考えたようだった。
吉良警視班長達は見つけなければならなかった。
悪人たちはまた、、何かを見つけたような、、、吉良警視班長は考えた。
何かある筈だと、、、そうしないと、オレオレ犯罪が出来ないのだから、、詐欺した資金を回収する方法を考えた筈で有る。
そして、吉良警視班長は組織犯罪班の捜査員にも考えてもらった。
直接、受け子などを使わずに、詐欺した資金の回収方法を、、、今の時代はやはり、、利用するのは「カード」であった。
そのカードの「暗証番号」を聞き出す方法手段を考えたのであった。
その結果、今なら「高齢者狙い」を徹底してやれば、、「下手な鉄砲も数うちゃ当たる」の例えで、電話攻撃をかけてくるようだった、
その電話攻撃をするアルバイトの募集は、懲りない携帯電話募集を掛けていたのだった。これも「犬も歩けば棒に当たる作戦」で、数多く出しているようだった。今の時代、携帯電話、スマートホンを止めることは不可能だった。
まるで悪業をするために、犯罪を起こすために有るような気がするものだった。
しかし、何かある筈だと思いながら、悶々とする吉良警視班長だった。
毎晩、桜田門一家の屋上にあがり、、夜空の星屑を眺めながら、、黒い闇の世界を恨んだ、、何故に流れ星のように、きれいな人たちが流されていくのだろうと、、止めることの出来ない流れ星か、、、
7)吉良警視班長は考えた、、詐欺防止を、、
悪行を働く詐欺集団の屑人間たちは、更にどうしたら、人を騙せるかと考えていたのである、、、騙される人を守るのは難しい、、騙す悪を、目につくところから叩き出すことを考えた。
電子工学犯罪部門で、徹底的にサーバー乗っ取りを考える奴を見つけ出して、潰していくという、、地道ではあるが、どんな小さな携帯電話利用違反でも見つけ出すことに集中もした。そして、不審と思う記事を叩き出していく方針を執っていったのである。
犬も歩けば棒に当たるとか、、下手な鉄砲も数うちゃ当たるとかであった。
そして、どんな小さな不審点も見つけ出す方法を執っていったのである。
何処までも追いかけて、極刑にして行った。
詐欺は呼子も売り子もみんな同じであるという考えから、、罰していった。
此処までの犯罪なら軽いとかはなく、「騙し」は悪行で有るから、許してはならないのであった。
そうすることにより、罰が重いので、恐ろしく成り、やらなくなるという作戦をとっていったのであった。
極端な話が「人を騙したら死刑」という、、「死」が待っていることを知らせたのである、、騙しをしたら「死」だと、、簡単に手を出せないように仕向けたのであった。
「呼子」をさせられたから「勘弁してください、、二度としません」は無いのだと、、
「受け子」だとは知らないでやったも「無いのである、、絶対にダメなのであった、、」
この世で人を騙して、「金」を巻き上げてはならないのであることを徹底させることを、目的とした犯罪取り締まり係りなのであった。
吉良警視班長は容赦なく行ったので、、いつのまにか「鬼警視」と呼ばれるようになった。桜田門に咲いた「鬼花」であった。
8)吉良警視班長、暴漢に
警視庁組織犯罪班の吉良警視班長は、余りにも強引な捜査手段方法を講じていたので、警察内部でも少々、問題になっていた。
しかし、「オレオレ詐欺」や「投資詐欺」が減少していることも事実であり、、効果が出ているので無下には駄目とも言えなかった。
そうは言っても「マスコミ」などでも叩かれているので、警視庁上層部としては頭が痛かったのである。
肝心の吉良警視班長は一向に気にしていなかった。
上層部が何を云おうが、、無視であった。。云えば、、「そんなんことを云うなら、、自分を首にすればいいじゃあないか、、」と、、居直るのであった。
始末が悪いのだ、、悪行や違反をしている訳ではないので、、、
そんな吉良警視班長が狙われているという噂が入ったが、それも無視であった。
少々、甘く見ていた悪組織の暴力を、、ついに、狙われたのだ。
吉良警視班長の昼食は日比谷公園の中で販売している「ほっドック2本と、その店のミルクセーキ」が好きで、よく食べていた。
天気のいい日は決まって,日比谷公園のベンチで、木々に囲まれて過ごすのが日課であった。
そして、日当たりのいい、ベンチでうたた寝をするのが好きだったのである。
そんな吉良警視班長の日常を調べて、一番隙を見せている時に狙われたのであった。
吉良警視班長は銃弾を数発、撃ち込まれ即死状態で、連絡を受けた。
警視庁殺人課の捜査員が駆けつけたが、息絶えていたのである。
警視庁上層部では連絡を受けて、、「やっぱりな、、」と、、ため息が出ていた。
しかし、慌てた、、すぐに、上層部では次期責任者を決めなければならないこともあって、もめたのである。。
9)特別機動隊捜査班の大石隆一隊長を抜擢。。
吉良警視班長と共に組織犯罪逮捕に貢献していた、特別機動隊捜査班の大石警部を組織犯罪班の責任者に抜擢したのだった。
大石警部は組織犯罪班の捜査員とも顔馴染であり、気心が知れていたので、引き継ぐことに支障が少なかったことも有ったのである。
そして、吉良警視とも気が合っていたので、、今回の暗殺は許せなかった、、何が何でも大石警部は自分の手で、検挙したかったのだった。
吉良警視班長の捜査は強引ではあったが、、詐欺集団には効き目があった筈で、、かなりの痛手であった。そのための報復手段であり、、詐欺集団にとって、吉良警視は目障りだったからの暗殺であったのだ、、、そんな道理が通って溜まるかと、、大石警部班長は憤慨していた。
吉良警視を暗殺した詐欺集団は、そのグループを動かして、反ぐれ集団の辰巳会を操っている「関東連合東西会」だと睨んでいたのである。。吉良警視はその組織暴力団に的を絞り、追い詰めていったのであった。
関東連合会東西会の目黒浩二若頭の逮捕の為の証拠固めをしていた矢先の狙撃であり、狙いは若頭検挙の阻止のためであった。
引き継いだ、大石警部班長は燃えていた、、そのために、違法ではあったが潜入捜査もしていたのである。
なにがなんでも、組織暴力団の勝手な暴力に対しては、国家暴力で対抗しようとしていた。
そして、、大石警部班長は、自ら捜査にも参加して、反ぐれ集団辰巳会の覚せい剤密売を
していた、辰巳会の幹部の大森三郎を現行犯で逮捕して、強制的に吐かせたのであった。
新宿歌舞伎町での一斉取り締まりの網にかかったので、、大石警部班長は半ば、拷問的な攻めをしたのだった。
吉良警視が暗殺されていたので、、大石警部班長は殺してもいいと思い、大森三郎をゆさぶったのである。
そして、、そのまま、反ぐれ集団辰巳会の事務所に急遽、乗り込んでガさ入れをしたのだった、、その結果、覚せい剤を押収、更に銃刀法違反で拳銃と日本刀を押収した。
更に、反ぐれ集団辰巳会リーダーの辰巳修一を検挙したのであった。
その後の取り調べの結果で東西会へのガさ入れの足掛かりをつけようとしていたのであった。
10)吉良警視の後を引き継いだ大石警部班長は敵討ちと燃えた。
組織犯罪の撲滅を狙い、、吉良警視は電子工学の専門家で構成する捜査班を立ち上げ、「オレオレ詐欺」や「投資詐欺」などの捜査や摘発を強行的に行い、指揮してきた、吉良警視が暗殺をされて、その逮捕に協力してきた大石警部特別機動隊の隊長が吉良警視の後を引き継ぎ、燃えたのである。
大石警部班長は「詐欺集団」の元締めは組織暴力団が巧妙に操っていることは分かっていたので、、組織犯罪班は反ぐれ集団の辰巳会代表「辰巳修一」を逮捕してから、攻めまくり、更に関東連合会東西会の幹部、大森三郎も逮捕して、二人の東西会幹部と傘下の反ぐれ辰巳会のリーダーを徹底的に、拷問に近い形で吐かせたのである。
関東連合会東西会の若頭目黒浩二を「暴行教唆」で、検挙に連合会事務所に向かったが逃げた後であった。
完全に逃亡したのである、、大石警部班長は組織犯罪班を上げて、東西会の目黒浩二若頭を追ったが、行方をくらました。
地下組織に隠れ、、指示を出していたのである。
大石警部班長も、亡くなった吉良警視も元を絶たなければ、、臭いものには蓋をしろ、、の考えだったので、関東連合会東西会を潰さなければ、今回の一連の「詐欺事件」は解決しないと、、、全力を挙げて、若頭の目黒浩二を逮捕しなければ、と、、動いていた。
関東連合会東西会でも、目黒浩二若頭の指令で、吉良警視の時と同じような「暗殺命令」が出ていたのである。
その情報が入った時に、、「ふざけれな、、、馬鹿野郎、、二度と同じ手は食わぬわ、、」と大石警部班長は警戒をしていた。
「来るなら、、来てみな、、皆殺しにいてやるぞ、、、」と、言いながら手ぐすねを引いていたのである。
東西会も必死であり、、桜田門の警視庁に、、一人の男が入り口で大石警部班長に発砲したのであった。警視庁の警察官が居るところで、、しかし、防弾チョッキを付けていたので、命拾いをしたが、、、警察官が集まり、、騒めいていた間から一発の銃弾が撃ち込また。敵も考えての命がけの殴り込みであった。
大石警部班長は右脚を撃たれたのである。警察側は不味いと思い、囲みを人波で警護したのである。
犯人たちは捨て身であり、鉄砲玉であった。
11)大石警部、、大いに怒る
桜田門一家の警視庁入り口で狙われた大石警部は怒りに燃えた。。
「嘗めたことをしてくれたな、、警察をなんだと思ってんだ。」
腹から憤慨した。
負傷した大石警部は、入院中のベット中から組織犯罪班の部下たちに指示を出したのである。
「俺が退院するまでに、、狙撃犯の身元を調査しておいてくれ、、どの係よりも、突き止めて置く様に、」と、強く厳命をしたのであった。
吉良警視に引き続き、またも、担当責任者を狙撃してきた、「詐欺グループ」集団の悪行を許す訳にはいかなかったのである。
警察の威信とかではなく、大石警部の誇りが黙ってはいられなかった。。そして、大石警部班長は松葉杖を附いて、早めに退院して、陣頭指揮にあたったのである。
何がなんでも、今回の様な暴挙を認める訳には出来なかったのだった。
警視庁の上層部が何と云おうとと、、強引でも、関係暴力団事務所を急襲しようとしていた。
その為の、どんな小さな「綻び」でも探して、こじつけてでも、その関係やくざ組織を潰してやろうと考えていたのである。
秋も深まり、年末が近づき、騒がしくなってきた初冬の街に、大石組織対策班は動き回った。
そして、組織対策班の沢田警部補が常に使っている情報屋の「街の蝙蝠」と言われる男から、耳よりの情報が入って来た。
関東連合会東西会の逃げた目黒若頭の隠れ家が分かったのである。
すぐに組織対策班の沢田警部補たち精鋭を向かわせたが、またしても逃げられたのだった。
大石警部は不思議に思った、、その時、大石警部は考えたのだった。あまりにも早い逃亡であったので、、情報が洩れているのではと疑いを持った。誰か通報者がいるのではないか、、警察内部に、、
そんなことまで考えるようになった。
大石警部班長は、、なんとなく理解が出来た、、吉良警視が暗殺されたのも、大石警部自身が狙撃されたことも、全て、情報が洩れていたのだと、、
この「詐欺集団グループ」の捜索に関しては、捜査員を厳密に調査して、選び抜かなくてはと、、少数精鋭で、検挙時には当たらないと駄目だなと思ったのである。
そして、信頼のできる沢田警部補と、、組織対策班の中から、寡黙で行動力の有る警察官を3人選んだ。
そして、突入するまでは特別機動隊には場所を告げずに、行動を起こすことにしたのであった。
今度こそは、逃がすものかと沢田警部補たちが網を張ったのである。
12)詐欺グループを殲滅するためには、、、、
大石警部班長は負傷した傷も痛々しく、松葉杖を付いての指揮であった。
常に隠れて、甘い汁を吸っているやくざ組織を崩さなくてはと思う、大石警部班長であった。人を騙して、人の物をもぎ取る行為を許すことが出来ないという、一心で捜査に臨んでいる大石警部班長の指揮する「組織犯罪班」であった。
その詐欺犯罪も、文明の発展の科学の成果である「携帯電話」が利用されているという皮肉が悲しかったのである。
詐欺犯罪の被害者には高齢者がほとんどであることも皮肉であった。
騙す側は携帯電話特に「スマートホン」の扱いに慣れている悪人たちが、、文明の成果の「スマートホン」の扱いに不慣れな高齢者が騙されているのであった。
騙される人の話を聞くと、恐ろしい、、知らず知らずの間に、詐欺の道へ導かれてしまうのだった。
その騙された人も80歳近い人だったので、、携帯に入ってくるメールには手を出さないことが肝心であると言っていた。
誘導が巧みであって、気が付くと詐欺集団の罠に嵌ってしまうらしい。
騙されないためには、知らないメールは無視することが一番だと、、、防犯側のガードである。
そして、警察署関係に相談することが大事であり、、素人判断をしないことである。
知らないことや知識のないことを知ったふりはしないことが肝心であった。
その為に、どんな小さな情報でも、大石警部の組織犯罪班は捜査を繰り返し,見逃がさないことを、各捜査員に指示を出していた。
「いいか、、どんな小さな情報も漏らすなよ、、、それからな、、内部情報を漏らすなよ、、いいな、、」と、、強く言い渡したのである。
そんな捜査体制の中で、関東連合会東西会の目黒浩二若頭の潜伏先の情報が入ったので、、大石警部班長は沢田警補たち、数名に特別捜査機動隊20数名を待機させながら、隠密裏に動いた。
年も明けた冬の寒い明け方だった、、場所は箱根の別荘地の一角の隠れ家を取り囲み、蟻の出る隙も無いくらいに特別捜査機動隊を配置した。その別荘の裏手は芦ノ湖で有るので、もしもとい
うことで船も手配していたのである。
箱根の朝は雪が降っていた、、まるで忠臣蔵の討ち入りさながらであり、、大石警部班長も松葉杖支度で、陣頭指揮をしたのであった。
大石警部班長の合図の元に、乗り込んだ、、銃声も鳴り響いたが、正月気分でいた東西会の連中も取り押さえられて、その中にパジャマ姿の目黒浩二若頭も、負傷しながら雑じっていた。
そして、、大石警部班長は目黒浩二若頭を、沢田警部補と二人だけで本人確認をしたのちに、、「やっと、、会えたな、、目黒さんよ、、あんたは人間の屑だ、、この銃撃戦で死んでも
誰も可哀そうだとは思わないからな、、俺があんたを殺してやろうか、、
お前なんか、正当な裁判など駆ける価値もないからな、、」と言いながら拳銃を目黒若頭の額に当てた。
「なんだよ、、あんた、警察官だろう、、そんなことしていいのかよ、、」と、、食って掛かってきたので、
「何を寝惚けてやがる、、そんな口を、一兆前に聞くなよ、、この野郎」と、突き付けていた拳銃で。目黒若頭を殴りつけた。
「いくら、殺しても飽きたれねぇ、、野郎だ、、、俺を他の警察官と同じにみるなよ、、」
と、、言って、もう一発殴りつけた。
そして、若頭目黒浩二の脚に銃弾を一発撃ち込んだのである。
13)東西会本部を急襲
大石警部班長は、ここで一気に関東連合会東西会を殲滅してやろうと、目黒浩二若頭を検挙した勢いで、東西会本部事務所を急襲した。箱根山荘襲撃から日をおかずでのガさ入れだったので、
東西会もまさかと、少々油断をしていたのであった。
また、東西会本部では目黒浩二若頭が逮捕されたので、今後の対策を練るために、大岩檀次郎会
長も出席しての会合であるために、東西会幹部の殆どが顔を揃えていた。
その会合への大石警部班長の家宅捜索であるために、会合場所の東西会本部ビルには多数のやくざ達がガードしていたので、入り口付近で銃撃戦が始まった。
親分たちを逃がすために、子分のやくざ達は必死に抵抗したのである、、、駄目な時代とは言ってもやくざはやくざだった、命がけで自分たちの親分を守るために奮闘していた。
そして、東西会やくざは、いざという時を考えて、逃げ道を造っていたのだった。
東西会本部ビルの隣の古びたビルに屋上で繋げてあり、、大岩檀次郎会長以下の数名の幹部は逃げて、逮捕から免れたのである。
一挙に壊滅してやろうと計画した大石警部班長の目論見は崩れたのであった。
逃走した大岩檀次郎会長たちと、国家権力警察の暴力戦争は過激さを増したのである。
何としても「詐欺犯罪」の元を断ち切るためには必要な、暴力団壊滅であったので、、、
大石警部班長は「組織犯罪対策班」の力と情報を結集して、大岩檀次郎会長たちの追跡捜査を強化していった。
闇に消えて、地下組織に潜った、彼らを追うことは困難を極めたのである、、大石警部班長は今回の強硬ガさ入れを失敗したことを悔いた、、もう少し、調査してからの踏み込みをすればよ
かったと、自分を責めた。
闇に隠れた大岩檀次郎会長たちは、これからの活動には用心して、容易に表に出てこないので、
組織暴力団の壊滅が難しくなったのある。
ますます、、「詐欺犯罪」は巧妙化していくだろう、、、と、心配した大石警部班長であった。
その為に「組織犯罪対策課」の電子工学部門の活躍を期待する大石警部班長であった。
そして、今までに逮捕したなかに、詐欺グループでパソコン専門に携わっていた男を見つけたのである、、、どう見ても、やくざには見えず、犯罪組織に何等かの理由で巻き込まれたような、気がしたので、大石警部班長が特別に取り調べることにした。
大石警部班長の勘は鋭かった、、案の定、弱みに付け込まれて、無理やりにやらされたいたのだった。そこで、身の保全と、弱みであった家族の保全を図り、その男を説得したのである、、
最初は組織の怖さを知らされている男は話に乗らず、口を噤んでいた。
そこで、まずはその男の家族を、大石警部班長は国家力で住居移転をして、身の全確保を示したのである。勿論、移転先は記載せずに。。。
それを確認した男は、初めて口を開き、自分の名前
そして、詐欺グループの巧妙な仕組みを話してくれたのである、彼の作った罠である、誘い携帯電話の仕組みや、資金回収システム、更には高齢者向きの罠の数々を説明してくれた。
警視庁組織犯罪対策課としては参考になったのである、、これからも男「名島達夫」は
詐欺対策には役に立つ人間であろうと思われた、
そして、一番肝心なっシステムを考案していたのであった、電話回線でもなく、無線でもなく、特殊な連絡技術をもっていた、、そのための、今回の脱出劇であったのである。
14)名島達夫の活躍、、、
犯罪組織やくざの「詐欺の手口」は大石警部班長達も、、警視庁電子計算班の研究、捜査でおおよその検討は付いていたが、、回収した資金の流れはまだ、解明できていなかった。
黒い金は全て、ロンダリングされて、暴力団の資金源となり、覚せい剤の購入資金や銃など武器の購入資金などにも流用されたが、、ほとんどは「闇金融」に流れて、更に資金を増やしていたのである。。
また、構成員の増強資金などにも、、更に、いざという時の「逃亡資金」にも準備したいたので
あった。
組織やくざが使用する場所、設備には逃げ道を造っていたので、、その設備にも金はかけていた、、更に、一番肝心な情報収集の手段には、さらなる資金を投入していた。
悪行をするからには、、必ず「警察」が動くので、その対策、、つまり、逃げる方法は常に準備
したいたのである。
いくら金儲けをしても、掴まっては元も子も無いので、、やるからには捕まらない手を打たなければならなかった、、いざとなれば、、やくざの大本の幹部連中は残酷であった、蜥蜴の尻尾きりを平気で行う、、自分たちが助かるなら、捨てるのであるから、恐ろしい。
やくざとはそんなものである、、、そん訳で雑魚は逮捕されるが、大物はにげてしまうのであった。そのための通信方法は特別で、、末端のやくざ幹部にも教えられていなかったのである。
本当の大幹部だけが持っている、特殊携帯電話であるために、分からなかった筈なのだった。
その特殊電話は警視庁と繋がっていたのである、、そのことが分かった時に、、大石警部班長は怒りに怒った。命まで駆けて、詐欺グプと闘い、組織暴力団を追いつめて、最後の詰めで味方に裏切られていたので、あったのだから悔しかった。
15)警察内部に裏切りが、、、
詐欺グループの司令塔というか、一番の元になっていたのが組織暴力団ではあったが、、常に本部を急襲して逮捕を目前に親玉が消えるのである、、それは、家宅捜査が直前に漏れるのだった。
それは内通者に直前に漏れて、連絡が行くからであった。
その罠を仕掛けたのが「名島達夫」であったのである。元警視庁の通信担当を受け持ち、警視庁
上層部の担当者の弱みを掴み、脅しての内通であった。そのために、内通されていたのである。
大石警部班長にしてみれば、、「この野郎だ、、今にみてろよ、、必ず、失態をさせてやるからな、、」そのためにも名島達夫は利用できるのであった。
「いくら、、命がけで捜査して、がさ入れをしても、、仕掛けた罠から逃げられたのも、ふざけた野郎が居るからだったと、、悔しがった大石警部だった。
詐欺グループの本拠地の組織暴力団へのガさ入れは、大石警部班長の特捜班だけで、秘密裏に動く計画を立てることにした。
そして、電子工学部係りにも情報は漏らさないように厳命を下した、連絡は全て、今回の決着が
着くまでは、大石警部班長のみとしたのであった。
なにがなんでも、詐欺グループの本部を、肝心の頭を押さえたかったのである。
雑魚をいくら、釣り上げても留置所がいっぱいになるだけで、拉致があかないのであった。
例え、繰り返し、やくざ組織が変わり、犯罪が行われようが、、罪を重くして,悪事の代償としての代価が合わなければ、、現在、行われている犯罪は減る筈である、
しかし、時代が変われば、犯罪も巧みになるが犯罪は、また、増えるだろう。。その時はその時
の捜査方法も変わる筈だ、、世のなかの「善と悪」は消えることがないだろう。。
まったく、イタチごっこかも知れない。
16)組織を大事にする警察、、「それも大事ではあるが、、馬鹿野郎だ」
大石警部班長は「詐欺グループ」を陰に隠れて操る知能的を許すことが出来なかった、、そのための、今回の組織やくざ団体である、、関東連合会東西会を潰すまでは諦めないと決めていたのである。特に、大岩檀次郎会長一派は逃がさないと、、更に、捜査網を強化して行ったのであった。
詐欺で荒稼ぎをしている東西会には「資金」があったので、資金にものを言わせて、政治家たちに鼻薬を聞かせていた。たちが悪い、、今の世の中、どうも「金力」と「暴力」が大手を振って歩いているようだった。
考え方によると「金が一番」、そして、その金に群がる「ハエエナ」が金欲しさに、悪行を平気で行う社会構造のような、、、
その資金源の元を潰さなければと、、、「臭い物には蓋を」の精神で、徹底的に壊滅しなくてはと、、大石警部班長は、捜査員たちに激を飛ばしていた。
そして、情報を集めて、大岩檀次郎たちの隠れ家を突き止めたのだった。
今回こそは逃がさないという体制を整えて、準備をして、、、隠れ家を急襲した。
情報が漏れないように,急襲現場は一部の捜査員だけで、特別捜査機動隊の隊員にも知らせずに、
襲ったのである。
今回の襲撃には大石警部班長が自らが指揮を執って、隠れ家の別荘を二重、三重に取り囲んだのであった。
襲撃班には銃の携帯を許し、、囲いを破って突破する者は射殺を命じて、狙撃班を配置したので
ある、、今回は絶対に逃がさないぞ、、と、、言う覚悟であった、
大石警部班長が指揮して、暴力団との銃撃戦は1時間も経たないうちに、鳴りやんだ。
東西会のやくざ連中もしつこく立ち向かってきたが、、最終的には国家暴力の警察には制圧されたのだった。
大石警部班長は乗り込んで、大岩檀次郎会長に云ったのである、、、
「大岩会長、、あんたは許せない、、」と、、言ってから、、周囲には信頼できる部下だけだったので、、「あんたは、、死ねや、、絶対に許せない、、、」と、、言いながら銃弾を数発、撃ち込んだ。
自分が殺人罪になっても、、「詐欺グループ」のトップの大岩檀次郎を許せなかったのである。
第三話「桜田門一家の戦い、 紙風船」原作者献残屋藤吉郎
1)新宿警察署に起きた「殺人事件」
新宿警察署刑事課に特別捜査班が設置された、、、それは新宿管内では風俗に絡んだ事件が
多かったので、風俗取り締まり班を特別に置き、管理指導するための捜査班であった。
責任者に浜野内涼子警部が就任して、担当捜査官が5人配属になった。
いずれも各課のはみ出し刑事ばかりで、一癖も二癖もあるような捜査官であった。
班長に就任した浜野内涼子警部は北海道警からの転属であり、、その異名が「暴力女デカ」であった、柔道3段の猛者で、、取り調べも荒ポッカたのである。
二人の警部補がいた、、、荒木由美、添田真澄の覚せい剤取り締まりの専門警部補であったが警視庁からの配属であった。
残る3人のうち二人は若手の巡査部長であり、、管内の交番勤務からの配属であった。
残る一人はベテラン刑事で出世などには程遠い、巡査部長で、新宿警察署内から移った物知りオジサン的な警察官であった。
そんな刑事集団が新宿の繁華街を取り締まるのであるが、、朝から晩まで市中見回りが多かった。
海千山千の風俗街の女たちや男達なので、、、取り締まるのではなく取り締まられてしまうのではないかと思われた。
しかし、、浜野内班長の取り締まりは厳しかったのである、、更に二人の女警部補の覚せい剤摘発取り締まりも激しかった、、そして、二人の後輩の若手部下も一緒に強く厳しく取り締まっていった。
一人だけベテラン刑事の平松権兵衛はのんびり構えて、、事後処理をこなしていた。
周囲から見ると動きが激しく、、取り締まりも厳しくしており、、いつも神経を研ぎ澄ましているようで、、いつ弾けても、破裂しても可笑しくないように見えた。
ベテラン刑事の平松権兵衛には気を張り過ぎて、、、危なくみえたのであった。
たずなを執る浜野内班長は一人で走り過ぎるように見えるし、、、二人の女警部補も手柄優先で検挙を急ぎ過ぎるので、、若い二人の部下ももたもたしているように見えて、いつ破裂しても可笑しくない集団に見えた。
ベテラン刑事の平松権兵衛は、その危なっかしい集団を「紙風船集団」と呼んでいた。、、
そのためについたあだ名が「紙風船」だった。
2)風俗取り締まり班「紙風船」が出会った「田舎育ち」
新宿繁華街は夜中でも人通りが多かった、しかし、酔っ払いが多く、、道路に座り込んでいる若者や、路地裏でシャブ「覚せい剤」を密売している奴や、、酔っぱらって喧嘩をして居る奴とか、、いろいろだ。
そんな若者の集団の中には寝る所もなく、、路上で寝る奴もいた。
見回りをしていた「紙風船」が叫び声を耳にして路地裏にとんでいった。
「きやぁ、、、誰か死んでるみたいだよ、、、」と、、らりってる風な女が悲鳴を上げていた。
「紙風船」の荒木由美警部補と若手の杉田巡査部長が駆けつけた。
確かに確認したが「死んで一人の男が横たわっていた」ので、、応援を要請した。
見た目には殺人事件に見えた。
すぐに、浜野内涼子班長が飛んできた、、一緒に新宿管内の事に詳しい、平松権兵衛刑事が付いてきていた。。
浜野内班長は北海道警察から転属なので新宿管内、歌舞伎町繁華街の状況が把握できていなかったので、、その補佐役として、平松権兵衛刑事が付いてきた。
放置された死体は「新宿紅組」という反ぐれ集団の副長太田武と分かったが。
赴任したばかりの浜野内班長は気が短かったので、すぐに、身元確認を兼ねて反ぐれ集団紅組に踏み込もうとした、、しかし、平松権兵衛刑事は止めた。
死体が出たからには用心している筈なので、、調べてから乗り込んだ方がいいと、、
新宿界隈を知っている平松権兵衛刑事は助言をしたのであった。
用意周到に準備した事務所に捜査に入ってたところで何も出ないのがいいところであり。
殺人は殺人課の担当刑事に任せた方が、いいのだと考えた。
その辺の事情を知っていた平松権兵衛刑事は止めた。その晩は「紙風船」忙しかったのである。。。
青森からの家出娘を5人も補導したのであるから。
3)家出娘にてこずる「紙風船」
殺人事件は警視庁殺人課に任せて、新宿区歌舞伎町で補導した5人の女のこたちに、振り回された「紙風船」であった。
担当した「荒木由美」「添田真澄」の警部補二人と、交番勤務から来た若い警察官は、田舎弁というか「東北弁丸出しの言葉」に、、その晩は振り回されていた。
荒木由美警部補がまず、尋ねた、、、
「あなたたちは何処から来たの、、新宿歌舞伎町に何しに来たの、、、」と、、、
すると、年長者のようだった女が答えた。
「あれぇ、、おらーたち、青森からきたんだよ、、、ホストクラブをみたくってよ、、
いい女ならモテるっていうべえ、、だから、来てみたんだべーな。。」
と言われて唖然とした。
すると、添田警部補が、、答えた、、、
「そのホストクラブは危険なところだから、、いかないように、、」と、、諭した。
飛んでも無い「甘い情報」で、つられてくるものだとおもった、
5人の女の子は年が15歳から17歳までの世間を知らない田舎育ちであった。
荒木由美、添田真澄の二人の警部補は恐ろしかった、、こんな純真無垢な女の子が騙されて、いずれは夜の蝶になるのかと。。。
二人の警部補は自分たちの仕事が、、補導がいかに大事で、、必要であるかを実感したのであった。
新宿歌舞伎町をふわふわと飛んで流れる「紙風船」がいかに大事かを知った夜だった。
4)新宿歌舞伎町にきらきら舞う不良花一輪
新宿歌舞伎町には毎夜の如く、不良花が咲いては散っていくような甘い蜜を振りまく毒蜂が飛んでいるような溜まり池があるようだった。
飛んでいる毒蜂を振り払い、、汚れそうな花を守る「紙風船」も、毎夜飛んでいる。
通称「紙風船」の荒木由美警部補は「麻薬取り締まりのエキスパート」であったので、、部下の若手の杉田巡査部長がペアを組んで巡回していた。
もう一組は添田真澄警部補と若手の中村巡査部長がペアを組み,ミニパトーカーで不審者の取り締まりをしていた。
荒木由美警部補と杉田巡査部長が屯する少女たちを見つけて、、傍に近付いていった。
彼女たちは「覚せい剤」を買う金が無いので、、俗にいう「アンパン」を使用して、ふらふらと正気を失って「らりって」いたのである、、、まるで、夢遊病者の如くに、意識が半分ぐらいなくなっていた。そして、悪ガキが近づき、売春をさせていたのであった。
悪ガキの上の組織には「反ぐれ集団」が居た。やくざより始末が悪かった。
彼らは組織と言っても、若さでぐれて、、やくざの真似事のような集団をつくり、麻薬密売、売春管理などをしていたので、、不良少女は彼らの餌食になっていたのであった。
しかし、、反ぐれ集団も最終的には麻薬を扱うので、組織暴力団に組み込まれていった。
新宿には全国の指定暴力団が入り込み、しのぎを削りあっていた。
そんな組織の力と資金力で、反ぐれ集団が組織化されていった。
新宿歌舞伎町では、反ぐれや不良少女が粋がる場所はなく、暴力で抑え込まれていき、その組織で動かされるようになるのであった。
現代やくざは頭脳的であり、巧妙であった。
そんな環境の中の不良少女たちを少しでも救おうと、、「紙風船」は日ごと巡回を繰り返して、努力していた。
荒木由美警部補と部下の杉田巡査部長を意識朦朧な少女たちを補導した。
そして、保護したのであった。
一旦は警察署内に留置して、正常な状態になってから事情いて、対処していった。
補導した少女たちは全てが家出娘だった。
事情を聴くと、、親と旨く行かずに家を飛び出している、、、中には、付き合い家出もあった。
しかし、、大部分が両親との不仲が原因であり、、荒木由美警部補たちは悩んだ。
どうすれば、、家出を防ぐことができるのかと、、家出をした少女たちの話を聞くと同情するところもあった。
紙風船では補導だけして、その事情で補導施設に送ればいいという問題ではないことを痛感させられた。それでも、、悪の牙から守るためには「補導」するしか、今は方法手段がないと、、思われたのであった。
5)新宿歌舞伎町で奮闘する「紙風船」、、、
新宿警察署の中に「風俗取り締まり班」が設けられて、、北海道警察署からの転属であり、、その捜査は男勝りであり、新宿とは何の癒着も関係のない「女猛者の警部」が赴任して来ての取り締まりだった。しかし、、新宿歌舞伎町の隅から隅まで知る尽くしているベテラン刑事の「平松権兵衛」が補佐役として、新宿警察生活指導から配属となっていた。
そして、若手女警部補の荒木由美、麻薬密売専門の刑事が公安から配属になり、新宿歌舞伎町管内の麻薬密売撲滅を推進することになった。
もう一人の女警部補は「売春取り締まり専門職」の添田真澄で、大阪府警からの転属となっていた。
他に若手の巡査部長二人を、、東京都内の交番勤務と機動隊から選抜したのであった、、、全てを、新宿歌舞伎町という、、悪のやくざ組織が蔓延る街の清涼剤にと、、警視庁本部の刑事局長「大前田総一郎」の計らいで、、新宿警察署内に設置してあるが、、直属の指揮系統は警視庁に属している、、特務機関であった。
若手の巡査部長は二人とも柔道と剣道の有段者を選び、射撃の腕も一流である、、、中村太一巡査部長と杉田寿三郎巡査部長で、、、敏腕な女警部補の早い話がボディーガードであった。
荒木由美警部補と杉田巡査部長がペアで、、添田真澄警部補と中村巡査部長が一緒の巡回をしていた。
二人の女警部補はやる気満々で、、捜査取り締まりをビシビシやっていった。
特に「反ぐれ集団、紅グループ」の関係事務所や経営する店舗には毎日のように顔を出して、、、「今日は大丈夫かな、、責任者の青山にいっとくようにな、、薬はやるなよ、、すぐに情報が入るから、、がさ入れをするからと、、、」
麻薬を扱わなければ維持できない「反ぐれ」に意地の悪い冗談を言っては帰った言った。
「まったく、うるせえ奴らだな、、糞くらえ、、」と言いながら、毎日塩を巻かれていた。そんなことは百も承知の荒木警部補たちであった。
とにかく、毎日顔を出して、すこしでも権勢を掛けて、忘れたころにがさを入れて、違反者を検挙を繰り返していた。そして、、添田警部補の売春取り締まり班は目星を付けたクラブや酒場を巡回して、様子を見ていたのであった。
荒木班も添田班も手を緩めずに巡回取り締まりをして、、時たま「がさ入れ」をして、、事件を未然に防ぐことに専念していた。
そして、時たま班長の「浜野内警部」が同道することもあった。
荒木警部補も添田警部補も手抜き捜査や巡回をすることは無く、、歌舞伎町内の街角で屯している少年少女たちには気配りをしていた。
そんなある晩に、、新宿警察風俗係りに連絡が入った、、、「助けてーー殺される、、」という悲鳴にも似た叫びであった。夜の巡回をしていた、添田班に至急、連絡を取り、現場に行かせた。
不良少女たちが喧嘩をしていたので、、駆け付けた添田警部補と中村巡査部長は仲裁に入り、喧嘩をとめた。
その中の一人の少女が、ナイフを振り回していたので、それをとめた、、さすが中村巡査部長であった。
そして,落ち着かせてから添田警部補が事情を聴いた、、、理由は不良少女たちの縄張りがどうのこうのであり、、売春行為でもめていたのであった。
彼女たちには売春による売り上げが、縄張りによっては客の取り合いがあるようなのだ。
添田警部補によれば、、「ふざけるな、、他人の土地で、、しかも売春だよ、、何が縄張りだと言いたい、、」のであった。
その個人的な感情は抑えて、警察仕事をした。
彼女たちを管理しているのは「反ぐれ集団、紅グループ」であり、、売春管理元はひとつであった。そこで応援を呼んだ。
その場の喧嘩していた全員を補導した。「売春取り締まり」で、、そして、詳しく取り調べて、今回は「反ぐれ集団紅グループ」と、それらを管理している「組織暴力団」の捜査まで食い込んでやろうと、、浜野内班長警部は燃えたのであった。
6)浜野辺警部班長は燃えた。
毎日、荒木警部補の話を聞き、添田警部補の報告を聞いているうちに、浜野内警部班長は腹が立ってきたのだった、、二人の警部補と二人の若手巡査部長が張り切って、新宿歌舞伎町管内を巡回して、取り締まりを繰り返しても、検挙できるのは末端の雑魚ばかりだった。
それでも立派に社会には貢献してはいるが、、おおもとで胡坐をかいている、組織やくざたちを許せなかったのである。。。なんとしても、、竈の火を消さないと、、煮だったお湯は焼けどを繰り返すのだった。
そこで、浜野内警部班長は部下の捜査員全員で相談をしたのであった。
特にベテラン刑事の平松権兵衛捜査員には、いいアイデアを期待したのだったが、、それは外れた。
彼は経験は豊富であったが、新宿歌舞伎町に慣れ過ぎというか、なれ合いに染まってしまっていた。
刷新的なアイデアは若手巡査部長たちの方が、その考え方はユニークであった。
不良グループに潜入スパイを潜り込ませるとか、、、軽い罪の不良たちを許す代わりに情報屋に仕立てるとか、、極端な話は「国家権力」を盾にとって、拷問に近い脅しをかけて、白状させるとか強硬な考えまで飛び出した。
浜野辺警部班長は聞いていて、どれもいいアイデアではないように思われたが、意見が無いよりはましだと考えた。
二人の女警部補は、裏付けというか「証拠固め」のための、、絶対的な証拠がほ欲しかった。
そのためには、「違法捜査」ではあるが、、若手巡査部長たちが言っていた「潜入捜査員」を送り込んだ方が早道ではあるという結論が出たのであった。
危険ではあったが、、その方法をとることにしたのである。
浜野辺警部班長は全国の女囚刑務所の中から、気骨があって、度胸も備わっていて、、頭脳明晰な模範囚を二人、選んで来たのであった。
危険な賭けではあったが、、浜野内警部班長は自分の警察官生命をかけたのである。
浜野内警部班長は警視庁刑事部長「大前田総一郎警視」の許可をもらっての行動であった。
そして、浜野内警部班長は若手の杉田巡査部長を連れて、九州佐賀刑務所へ向かった。まずは暴行障害の懲役に服している「御影京子20歳」を迎えに行った。
始めた有った浜野内警部は、、静観な狐顔をしたいい女だったので、直観ではあるが気にいった。
そして、佐賀刑務所を出る時にも、、「いいんですか、、手錠をはめないで、、」と、、刑務所担当係りに云われたが、、、「ああ、、いいよ、、心配しなくても、、」と、、豪快な笑いが出たのであった。
もともと、浜野内警部は男勝りの女刑事であった。
行動そのものが男ぽっく、大胆であったのである、、、性格的に一目見て信用できると思えば、どこまでも信じ、騙されるまで付き合うのであった。
そんな彼女の性格を知った上での登用であった、、警視庁刑事部長「大前田総一郎」は彼女の父親を良く知ってもいたので。
一緒に行った杉田巡査部長も心配そうに「大丈夫ですか、、、」とっ言ってきたが、笑い飛ばした。
帰りの新幹線の中で、、御影京子に対して「あんた、、お昼の弁当はなにがいい、、」と、聞いておいて、、「そうだ、自分で好きな弁当を買ってくればいいと、、」と、、お金を渡した。
そして、「私の弁当も買って来てくれ、、、肉がいいな、、、」と、、一人で行かせたのであった。
御影京子は二つ弁当を買って戻って来た。
それを見た杉田巡査部長は「凄いな、、、」と感心したのである。
帰りの新幹線の中では、まるで母娘のような感じで東京についた。
そして、東京駅に迎えに来ていた平松権兵衛刑事と荒木警部補に、御影京子を預けて、その足で栃木刑務所に向かった。御影京子を手配しておいたワンルームのマンションに連れていく指示をだして、、、
同じように栃木刑務所からも障害暴行の刑で服している「白鳥恵子」を連れて、浜野内警部は戻った。
7)浜野内警部は大胆な潜入捜査を指示した。
浜野内警部班長は全国から選んで連れて来た女囚二人を一日だけ特訓したのであった。
頭のいい、悪女である二人の女囚の、、御影京子と白鳥恵子は呑み込みも早かった。
「ねぇ、、警部さん、私らを信用して大丈夫なの、、途中で屯ずらしたらどうするの、、私ね、、あんたには義理も恩もないから、逃げるよ。。」と、言い出した
すると、、もう一人も「私なんか、、鼠とりが鼠になるよ、、、面白いもの、、、新宿歌舞伎町だもな、、天下の歌舞伎町だ、、、薬も手に入るしな。。遊んじゃうよ、、きっとな、、
まるっきり、警部さんの言うとりにはならないけど、、いいの、、」
と、、二人とも今から、遊びに行く気分であった。
浜野内警部班長は平然として云った。。。
そして、、「好きなようにするといいよ、、、私はそんな軟じゃあないからな、、お前らを信じることにしたから、、、一度決めたら、どこまでも一緒だ、、、、あはあはあはっ、、」と、笑い飛ばした。
二人の女囚は驚いた、、「たまげたな、、あはあはは、、そこまで信じられたら、、やるしかないな、、、私は引き受けたよ、、、」御影京子は承諾した。
すると、、白鳥恵子も「面白そうだ、、やってみるか、、」と、、然し、、「まずく成ったら、私は逃げるからね、、命あってのものだからね、、」と、、やることにしたのであった。
二人の女囚の御影京子と白鳥恵子は新宿歌舞伎町の夜の雑踏に消えたいった。
歌舞伎町の闇は深かった。
浜野内警部班長は心配する部下たちを気遣いながら、、夜の巷に消えた行った二人の女囚を信じて待つことにしたのであった。
ネオン輝く街並み、彩る女たちの夜の蝶が羽ばたく歌舞伎町に、今夜も散るであろう花弁を、どれだけ救えるかと、巡回する「紙風船」であった。
そんな潜入捜査を進めながら、荒木警部補チームと添田警部補チームは、夜の街なみを、、公園のベンチに寝てはいないかと心配しながら、歩き廻っていた。
僅かに残る街路樹の木々の葉が風にそよぐのを見ては秋が深まってきたことを肌で感じながら。。頑張る「紙風船」であった。
8)潜入捜査の御影京子から連絡が入る、、
新宿歌舞伎町の暮れも押し迫り、、街路樹に木枯らしが吹きあたり、落ち葉もなくなった、そんな夜に潜り込んだクラブ「花弁」の御影京子から連絡が入った。
連絡内容は、「売春現場」を見つけ、その仕組みを明るみにしたので、一度,下見がてらに来て欲しいと言ってきた。
場合によっては、その時に現行犯で、売春元の主犯格やくざを挙げてもいいのではないかと言ってきたのであった。
浜野内警部班長は考えた、、「やるなら、、一気に潰したいので、、」と言って、警視庁特別警察官の「響竜子警部補」を行かせたのであった。
潜入捜査の更に潜入捜査であった。
御影京子を疑うわけではないが、、更に念押しをしたうえで、がさ入れに入ろうと決めたのであった。
寒い冬空の暑い戦いであった。
新宿歌舞伎町は女の闘いで燃えたいたのである、、黒い闇夜に赤々と、、、
そして、御影京子がクラブ「花弁」で、売れっ子になり、、そのクラブを経営している「新宿花園会の若頭、花岡寿」に気に入られていたのだった。
危ない賭けでもあった。
御影京子は半年をかけて、新宿花園会に食い込んでいた。
そして、、男と女である、、売春の仕組みを知ることが出来たのであった。
そこで、更に警視庁特別捜査官の「響竜子」が更に潜り込んだのであるから、、浜野内警部班長はしたたかであった。
そして、確証を掴んで、浜野内警部班長は、警視庁特別機動隊を引き連れて、新宿花園会本部の事務所に乗り込んだ。
有無を言わさず、、がさ入れだった、、「銃刀法違反での検挙」「売春防止管理法違反」や。「反ぐれ集団紅グループの覚せい剤密売」などの一斉検挙で、新宿花園会の花岡寿若頭を始め、数人の幹部連中を連行して留置したのであった。
浜野内警部班長はこれで、売春組織の一角を潰すことは出来たと確信した。
まだまだ、、その他の指定暴力団が仕切る犯罪組織は多い、、気は抜けなかった。
更に、捜査方法は手段を考えないと、、、思う浜野内警部班長であった。
そして、もう一人の潜入捜査の「白鳥恵子」の連絡を待ったのである。
浜野内警部班長は年の瀬も押し迫った、新宿歌舞伎町の夕暮れを独り歩きながら、枯れ葉舞い散る街並みを、、、この花街を守ることの難しさを冬空の星屑を見つけるより難しいと思ったのであった。
9)潜入捜査員、「不良女囚、白鳥恵子」
浜野内警部班長が送り込んでおいた潜入捜査の「女囚白鳥恵子」は新宿歌舞伎町で女不良番長になっていた。関西からの流れよたくれ女として、名前を売っていたのであった。
当然のことに。反ぐれ集団「紅グループ」に目を付けられて、もめた挙句に。
そして、歌舞伎町で女番長にのし上り、、歌舞伎町のネオン街を闊歩して歩いていた。
証拠の裏付けを執るために、、覚せい剤の密売にも関わっていったのであるが、、白鳥恵子は、潜入捜査でやってはいけない、、情を絡めてしまい、、同じ田舎「福島」から出て来た少女を助けて、逃がしたのであった。
それが、反ぐれ集団のリーダー、青木次郎にバレて、リンチをされたのであった。
グループでの掟ともいうべき、決めごとを破ってしまい、、わからない筈の少女を逃がしたことが、反ぐれ集団の中でしのぎを争っていた、別女番長グループにチクられてしまったのであった。
裏切りに対する見せしめともいうべきリンチはきつかった。
大概の拷問には平気であった白鳥恵子も,、根を挙げそうになったのであるが、、逃がしたはずの少女が戻って来た、助けてくれたのであった。
もともと悪の女囚の白鳥恵子も黙っては居なかった、新宿警察署の浜野内警部班長に連絡する前に、リンチをしてくれた、、反ぐれ集団の青木次郎リーダーと、同グループの別不良女番長「矢島洋子」に報復をしたのであった。
女囚白鳥恵子は暴力的な残虐をしての服役であったから、、歌舞伎町で女不良グループを集めて反撃に出たのであった。
男も女も喧嘩すれば、、道具をもってすれば女も強かった。
新宿歌舞伎町のネオン街で、集団でリンチをすれば、ビルの合間の出来事だから目立たなかった。
その喧嘩様子を、白鳥恵子は浜野内警部班長に連絡をとり、、一斉に検挙させたので
有った。。。頭脳的な反ぐれ集団のリーダー青木次郎の逮捕であり、、女不良グループの摘発であった。覚せい剤の密売も暴かれて、反ぐれ集団茜グループの解体に繋がった。
浜野内警部班長の潜入捜査摘発は上手く行ったので、、違法捜査ではあるが、青少年を守るために、、社会悪の毒我退治にはいいような気がした、浜野内警部であった。
10)秘密警察組織を創る。。。
浜野内警部班長は進言をした、、、今回の潜入捜査による成果を、、そして、覚せい剤密売組織撲滅には浜野内警部班長が計画した、女囚犯による秘密裏に行った捜査が組織やくざの一部を壊したのであった。
その結果を管理職である、警視庁刑事部長「大前田総一郎」に相談をしたのであった。
「危険すぎると反対をされたが、、」浜野内警部の熱意に押し切られて、承諾をしたのだった。
浜野内警部はせめて、自分が管轄する新宿警察署管内だけでも、彼女は「秘密警察」なるものを創り、覚せい剤密売や売春から若い少年少女を守りたかったのであった。
新宿歌舞伎町の夜の街で、、反ぐれや組織やくざの資金源に利用されていると分かっていながら、阻止できない悔しさを味わってきた警察であった。
そして、そのことを知ってか知らずか、、肩で風切る無法者を許せなかった。
浜野内警部班長であった。
「秘密警察」組織から得た情報をもとに、、荒木警部補や添田警部補たちが巡回や捜査がやり易い環境を確立したかったのである。
今一歩のところで逃げられた、犯罪を阻止して、悪行が蔓延る世界を少しでも無くしたかったのであった。
今回の御影京子や白鳥恵子が任務遂行して、、浜野内警部班長の元に帰ってきた時に、心の底から感謝した。「ありがとう、、二人ともお疲れさまでした、、これで、あんたらは自由の身だからね、、自分の好きな道を歩けばいい、、本当にありがとう、、」と、、二人が無事に戻ってくれたことを喜んだのだった。
二人は意外とけろっとしていた、、「良いよ、、そんなに頭下げなくても、、」と京子は言ってくれた。そして、恵子も「結構、楽しんだよ、、こっちこそありがとう」
と、、笑顔を見せてくれた。
「案外さ、、人の為になるって思いながら、悪さをするのも、なかなかいいもんだな、、」と、、云いながら、二人で相談したのかも知れなかっが、、、
「班長さん、、暫く、警察の真似事してもいいかな、、これといって、やることもないから、、手伝うよ、、」と、言ってくれた。
浜野内警部班長はこの二人なら大丈夫だと確信したのだった。
そして、、浜野内警部は休暇を取り、二人を連れて骨休みを兼ねて、温泉旅行に出かけた。
二人も喜んでついてきたのだった。浜野内警部班長は二人の頼もしい「秘密警察官」が出来たと嬉しかった。
寒い冬も終わり、心地よい春風が吹く、、日光の温泉街を歩く3人の姿があった。
11)女囚探し、、、全国の刑務所へ。
春風がそよぎ、、桜の花もつぼみが大きく膨らみ、桃色の淡い花が開くのもまじか、中禅寺湖畔を散歩しながら、浜野内警部は呟いた。
湖畔を渡る波風が清々しかった、、、「京子、、恵子、、今回は本当にご苦労様でした、、あなたたちは凄いよ、、本当は素敵な女(人)だったのね、、、よかったら、これからも付き合ってほしいな、、」と、、云いながら、二人の素敵な悪女を眺めていた。
「一度は捨てた女だから、、チャンスをくれた班長には感謝してるよ、、、素敵な楽しい人生をありがとう、、」と、いう、、御影京子だった
白鳥恵子も、、「私みたいな、、世の中のはみ出し女を信じてくれて、ありがとう、、私も楽しかったよ、、、」笑みを浮かべてた。
そして、自由の身にはなったが、、自分たちと一緒で、、中途半端なやさぐれ人生を歩いている奴らを救ってやりたいと思い、、これからも、浜野内警部の唱える「秘密警察」とか、、云い組織で動いてもいいと、、承諾をした二人であった。
春うらうらの東武東急電車で東京浅草に戻った二人は、、雑踏の中に消えて行った。
連絡は常に浜野内警部班長に直接取ることで、、二人の「女囚秘密捜査員」は東京の巷を徘徊し始めた。
浜野内警部班長に連絡が取れない場合は、、新宿警察署風俗取締り課の平松徳兵衛刑事に連絡をすることにしていた。
浜野内警部班長は、更に、全国の女囚から、、秘密捜査員にするための、女囚候補者を絞って、選んでいた。
そのために、全国の女囚刑務所を訪ねた。広島刑務所の青少年育成施設から、一人の女囚を見つけた面接をしたのであった。
集団強盗の一員であったが、、その責任の取り方の潔さと、、腕っぷしの強さに目を付けたのであった。運動神経も抜群であり、、頭脳テストも群を抜いていた。
名前は「海道八千代」であった。
そして、もう一人は仙台刑務所の障害で服役していた、、「大鳥竜子」であった。両親に早く死なれて、里子に出されて、15歳から流浪の旅をしていた不良少女であった。流れ着いた先が的屋の貸元の家であったために、「女的屋」の修行をしていた。
その家業のいざこざから出入りになり、、女だてらに斬りこんで、怪我して、挙句の果てに逮捕された女極道であった。
そんな二人を、浜野内警部班長は東京へ連れてきたのであった。
12)女囚「海道八千代」「大鳥竜子」が秘密捜査員に、、、
浜野内警部班長は新宿歌舞伎町から「覚せい剤密売」「売春」を殲滅するために、新たな潜入捜
査を計画していた。
新宿歌舞伎町の街並みに、さわやかな春風が吹くような、誰もが安心して楽しめる街にしたかったのである、、日本の町は何処へ行っても、濁った風は吹いているが、、せめて、女の涙風が吹かないような、、健全な街並みにしたいのだった。
そのために、、どんな小さなことでも努力をしていきたかった。
そして、荒木由美警部補チームも添田真澄警部補チームも歌舞伎町の巡回、捜査摘発を日々、努力していた、、更に、秘密捜査員の御影京子も大鳥恵子も悪行退治のために地下組織に潜入していたのであった。その上に秘密捜査員を二人増やしたので、浜野内警部班長はその管理で忙しかった、その補佐役をベテラン刑事の平松権兵衛が補っていた。
平松権兵衛刑事は警察組織内のことも、新宿歌舞伎町の事も知り尽くしているので、浜野内警部班長は助けられていた。
彼は出世欲もなく、、黙々と刑事生活を送ってきたので、冷静に物事を判断できる男であった。
そんな体制を敷いている、新宿警察署風俗係に、秘密捜査員の「大鳥恵子」から連絡が入った。その日は浜野内警部班長が法事で、北海道に帰っていたので、平松権兵衛刑事が対応した。
新宿歌舞伎町には「反ぐれ集団紅グループ」とは別に、、指定暴力団「関東連合会」の傘下の
「反ぐれ集団があって、それらの勢力争いも激しかった。
彼らの資金源である「覚せい剤の密売」は鎬を削っていたのだった。その、縄張り争いは日ごとに起きていた。
その争いに関して、秘密捜査員の大鳥恵子が情報を入れてきた。
新宿警察としても、その都度、取り締まることは大事であったが、覚せい剤密売の取り引きが、まとめて行われるという事実を知ったので、連絡を受けた平松権兵衛刑事はすぐに、浜野内警部班長の了解をもらって、警視庁本部に連絡を入れた。
そして、その取引は未然に防ぎ、関係した「反ぐれ集団橘会幹部」や立ち会った「関東連合会」幹部やくざ数人を検挙出来たのであった。
足がかりを付けた警視庁麻薬対策課が、それらの組織の撲滅を計った。
13)新宿警察署風俗係の荒木警部補チームを助ける大鳥竜子
覚せい剤や「あんぱん」を使用して、幻覚症状を起こしている不良少女グループに絡まれて、歌舞伎町の裏通りに曳きづり込まてた、荒木警部補チームの二人が警察官にも関わらず、暴行を受けていた時、、
極道崩れの女囚「大鳥竜子」に、助けられた。
「こら、、てめぇら、何晒してんねぇ、、、辞めんか」と言って、不良少女たちを蹴散らしてきた、女番長がいた、、、いかにも極道ねぇーちゃんみたいだった。
10人ぐらいいた不良少女たちはたじろいた。
「お前ら、、まっぽをいびって、どうするんね、掴まるのがいいとこだろ、、くだらん、辞めときゃ」
と言って、「それより、、お前ら、歌舞伎町でとぐろ巻いているんなら、もっと、金になることせんか、、」と、、云いながら、不良少女をまとめてしまった。
、不良女たちを連れて、ネオン街の闇に消えていった。今、新宿歌舞伎町で売り出し中、、
「大阪の龍」という女番長だったのである。
浜野内警部班長が潜り込ませた「女囚秘密警察官」であった。
荒木由美警部補と杉田巡査部長は急場を救ってくれた、、二人とも武道は有段者であり、決して不良少女たちに劣っては居なかったが、、女子供相手では状況が悪かったので、辛抱していた。
そして、二人は救ってくれた女極道のような女番長が「女囚秘密警察」とは知らないのであった。
そのころ、浜野内警部班長が新しく、ネオン街のクラブ「花美」に潜入させた、街道八千代は夜の蝶に紛れて羽ばたいていた。容姿健美な海道八千代は、源氏名を「さゆみ」と名乗り、男好きのする顔で男を酔わせたいた。
そのクラブ「花美」で瞬く間に、ナンバー1に追いつく売り上げを挙げる女になっていた。
毎夜、通ってくる助兵衛な男蜂からちやほやされていた。そんな女、街道八千代に目を付けたやくざがいた。新宿に巣くうやくざ組織「中道狂人会」という、武闘やくざ集団の大浜参与部長という男だった。凶暴でいったん怒ったら、相手を殺すか片和になるまで殴り倒すような大男でもあった。
そんな危険な男に目を付けられたのでは、不味いと思った、街道八千代であった。
頃合いを見て、、消えた方がいいと、、女の勘で思えたのである。
そんな二人の「女囚秘密捜査官」の身の危険も察知したので、守らなければならなかった、浜野内警部班長は気の休まる暇はなかった。
今夜も歌舞伎町には色とりどりの夜の花が咲き、、そして、散っていくのだと思うと、、寂しい街だった。
14)女囚「御影京子」組織やくざに正体がバレる
潜入捜査してた女囚「御影洋子」が、やくざ組織の懐深く入り過ぎたために、その組織の幹部「服部五郎」に、その正体がバレたのであった。
服部五郎は関東連合会櫻木会の中でも知恵者で通り、会長二階堂譲三の信任が厚かった、、次期若頭の出頭候補で有った。
そして、新宿歌舞伎町に乱立する組織暴力団の中でも、巧妙さでは群を抜いていたのである。また、経営する高級クラブ「花の園」は、監理売春でも有名であったが、掴まるようなミスはしていなかったのであった。
浜野内警部班長も何度も試みたががさ入れは失敗していたので、、女囚御影京子を、高級クラブ「花の園」に潜入させていたのであったが、
服部五郎に見抜かれ、組織やくざの事務所内に監禁されてしまっていた、、そして、拷問を受けた。
その話を、後から潜入した女囚「白鳥恵子」が知り、、浜野内警部班長へ連絡をしたのであった。
それを知った浜野内警部班長は関東連合会櫻木会事務所に乗り込んだ。
なにがなんでも助けないと、、自分の命に代えても救出しなければならないと、、腹を括って、部下の杉田巡査部長と中村巡査部長の猛者を引き連れて、、服部五郎を目掛けて飛び込んだ。
そして、強引に銃で威嚇射撃して、服部五郎を捻じ伏せた、、、
「この野郎、、舐めるなよ、、監禁した女を出しな、、、」
「捜査令状だと、、ふざけるな、、手前のような屑には、関係ねえ、、」
と、、威嚇どころか、脚に銃弾を撃ち込んだのであった。
服部五郎が悲鳴のような声で叫んだ。
「助けてくれ、、警察がこんな非道をしていいのか、、」と、、、
浜野内警部班長は、、「何がたすけてくれーだ、、この下種野郎、云わないと、、殺すぞ。。」と、、云いながらに二発目の銃弾をもう一方の脚に打ち込んだのだった。
服部五郎も浜野内警部の鬼のような形相に肝を冷やして、、
呻くような声で、、「誰か、、奥の部屋の女をつれて来い、、」と、命令をしたのであった。
御影京子が血だらけになって、連れて来られた。
すぐに、杉田巡査と中村巡査が近づき、ぐったりした御影京子を支えたのであった。
その姿を見た浜野内警部班長は腹の底から怒りがこみあげて来たと同時に涙が何故か溢れた。
そして、浜野内警部班長は、服部五郎に銃弾をこれでもかと打ち込んで殺したのであった。
更に、事務所内にいた「関東連合会桜木会」全員を皆殺しにしたのである。。
それを見ていた杉田巡査と中村巡査は恐怖を覚えた。
ぐったりした女囚「御影京子」を病院に連れて行ったが、、彼女は意識が無くなっていた。
新宿総合病院で手当てがすんで、病室のベットに、、、その横顔は拷問を受けた彼女にしては清々しかった。
浜野内警部は、、「すまない、、ごめんな、、京子、、許してくれ。。」と、、御影京子の無事を祈った。
「京子、、死ぬなよ、、生き延びてくれ、、頼む、、」と、、願いながら、京子の病室から離れられなかった。
一緒に日光へ温泉旅行に行った、「白鳥恵子」も来てくれた。
15)女囚秘密捜査員「御影京子」療養に、、、
関東連合会桜木会の本部事務所に乗り込んだ、浜野内警部班長たち3人は、御影京子を救い出して、覚せい剤密輸関係の服部五郎幹部やくざたちを殲滅したが、その見返りに受けた、
御影京子の拷問の傷は大きかった。
浜野内警部の心は痛んだ、、「すまなかった、、京子、許してくれ、、もう少し早く、助けだすことが出来なかったと、、」後悔した。
今は、御影京子が元気になってくれることだけを願った。
そして、女囚秘密捜査員「白鳥恵子」が、病院に駆けつけてくれたので、浜野内警部班長は頼んだのだった。
「恵子、、関東連合会桜木会の潜入捜査は中止して、、京子についていてやってくれ、、
それから、完全に回復するまでの間、療養中もや頼むな、、」と、、頼んだのであった。
「分かった、、任せておいて、、」と、、京子の身を心配してくれた。
その後、浜野内警部班長は、新宿警察署風俗係を挙げて、関東連合会桜木会のガさ入れを行い、、変わったばかりの櫻木会の櫻木太蔵会長を「暴行教唆」や「麻薬取締法違反」更には「銃刀法違反」などで検挙したのであった。
関係幹部やくざ連中の事務所も方端から、浜野内警部班長は無茶とも思える捜査検挙を行っていった。
傍から見れば、国家暴力の暴走とも取れた、、彼女から言えば悪くいえば「報復」であったような、、、そんな風評はお構いなしだった。
そんな行動に、白鳥恵子は嬉しかった、、自分のような女囚の為に命を掛けてくれたことに感謝したのだった。後でその話を聞いた御影京子も、嬉し涙を流した。
そして、今、歌舞伎町の潜入捜査をしている、、
「海道八千代」と「大鳥竜子」にも連絡をとり、、「中道狂人会」の大浜参与には十分気を付けるようにと指示をしたのだった。
今までの組織やくざの中では武闘派で危険すぎるので、深入りをしないように念を押した。
なるべく早く、引き揚げるようにと、、
確かに潜入捜査は成果を上げてはいるが、今回の御影京子を見ると、、やはり、危険すぎたと反省する浜野内警部であった。新宿歌舞伎町の夜のネオン花も、気持ちではあるが、濁った花が綺麗になったような気もしたのであった。
今年の夏こそは古き時代の打ち水が似合う街並みなって欲しいと願うばかりであった。
16)女囚「海道八千代」と「大鳥竜子」の働き
新宿歌舞伎町で最も武闘派で、悧巧な商売をしているのが「中道狂人会」であり、、その陣頭指揮を執っているのが大浜五男参与部長であった。
思いっきりがよくて、ことが起きた時の後始末がいいのである、、、証拠をすべて消滅させてしまうのである。早い話が、この世から消してしまうのであったから、、彼には「もったいない」の心がないのであった。
どんなに自分が必要であっても、「まずい」「やばい」と思ったもの、、思った人間は切り離し、処分してしまうのである。言い換えれば「冷酷無比」というか「残忍」な男であった。
「間違いました、、、許してください、、、勘弁してください」は無いのである。
それを知っている人間は、謝る前に逃げ出していた、、然し、どこまでも追いかけて始末するのであった、、、睨まれたカエルのごとくであり、、逃げた者に対しての処刑は「残酷残忍」であった。
そんな男が経営する、高級売春クラブ「花美」へ、潜入捜査で潜り込んだ,海道八千代と大鳥竜子の二人に、なぜか不安と危険を感じた、浜野内警部班長は引き上げの指示を出したのである。
以前より、潜入捜査員の女囚の彼女たちを守るために警視庁特任課の「響竜子警部補」を潜り込ませたいた浜野内警部であった。
そして、響竜子警部補から連絡があり、、中道狂人会の大浜参与部長の動きが可笑しい、、二人の女囚秘密捜査員が「危険だと、、、」
それで、、浜野内警部班長は二人に指示を出したのであった。
海道八千代は間に合ったが、、大鳥竜子はすでに、大浜参与部長たちに拉致されたあとだった。
「まずい、、、」と、思い、単身で浜野内警部班長はクラブ「花美」に急いだ。
そして、、クラブ「花美」はオープン前だったので、クラブ事務所に大浜参与部長は数人の配下を従えて、大鳥竜子を拷問にかけようとしていたところだった。
一糸まとわぬ白鳥竜子は天井から下げたロープで吊るされていた。
「やめろ、、、てめーら、、ぶち殺すぞ、、」と、、云いながら、浜野内警部は自摸の通りに、拳銃を撃ちながら、大浜参与部長に、、云うなり銃弾を撃ち込んだ。
廻りにいた数人のやくざ達にも銃弾を放った。
大浜参与部長も撃たれながら、、浜野内警部班長に撃ち返したのであった。
彼女も慌ててきたために防弾チョッキを付けていなかったので、撃たれた、、しかし、怯まずに、大浜参与部長に、、「この野郎、、」と、云いながら行き根が止まるまで打ち込んで、
彼女も倒れた。
銃撃戦が終わったところに、、潜入捜査で潜り込んでいた響警部補が飛び込んで来た。
「浜野内警部、、、しっかりしてください、、、大丈夫ですか、、」と、、抱き起すと、、
「大丈夫だ、、大鳥竜子をおろしてくれ、、頼む、、」と、、云いながら、響警部補に指示をしたのだった。
下ろされた大鳥竜子は浜野内警部に近寄り、、「班長、しっかつしてください、、」と、、云いながら、抱き着いて泣きじゃくった。
「班長、、死なないで、、起きてよ、、」と、、自分の姿より、浜野内警部を心配したのだった
その後の処理は響警部補がてきぱきと片付けた、そして、、救急車もすぐに来て浜野内警部は警察病院に運ばれた、白鳥竜子は付き添っていった。
中道狂人会は監理売春法違反、麻薬取締法違反、銃刀法違反、暴力教唆違反などで、多数の逮捕者が出て、、解散までに追い込まれたのであった。
今回の浜野内警部班長の活躍で、新宿歌舞伎町の夜の巷は。かなり静かになった。
しかし、悪行の栄える夜のネオン街は、また、そのうちに濁るのであろうと、、繰り返し繰り返し人は、悪を好んで蜜を吸い求めてやってくるから不思議だ。
浜野内警部は危機一髪で有ったが、一命を取り留めたのだった。
ある晴れた春の陽に、、怪我をした浜野内涼子が4人の女囚と言われた女たちと、中前寺湖の水辺の洒落た山荘にいた。
浜野内涼子は銃弾で撃たれ、下半身麻痺を起こして、車いす生活になったので。
警察を辞めて、、4人の女囚と山荘経営を始めたのであった。
湖畔には5人の笑い声が響いていた。
17)女囚と共に。。。。
浜野内涼子は清々しかった。車椅子の生活になったが、素晴らしい女性4人に囲まれていた。
人は悪女というけれど、この世で最も素晴らしい彼女たちであった。
浜野内涼子の人生は悔いのない、、充実した日々を過ごし、、今また、悔いのない人生を歩いていた。
小さな山荘ホテルだけど、娘たち4人に恵まれた、いつも笑いの絶えない、日々を楽しんでいた。
そんな、ある日、嬉しい客が来てくれた。
新宿警察署の風俗係りの連中と、、昔の仲間が揃って、顔を出したのであった。
退職した平松権兵衛さんと、、新宿警察署風俗係りの班長に出世した響警部補が、警部に昇進して、二人の荒木警部補と添田警部補を連れて、、、
風俗係りも捜査員が増えたので、揃って来られたのであった。
杉田巡査と中村巡査は今回は来られなかったが、次回は参加したいということで。。。
「浜野内警部、、班長のお陰で、みんな元気です、、そして、逞しく成長しましたよ、、ありがとうございました、、、」と、、響警部は深々と頭を下げた。
「みんな、浜野内警部の働きで、新宿歌舞伎町も大分、静かになりましたよ、、それを持続したいとみんなで頑張りますから、、見ててください、、
更に、4人のあなたたちの働きは素晴らしかったわ、、本当にありがとうね、、」と、、4人の元秘密捜査員であった彼女たちに礼を尽くした。
そして、その晩は楽しい食事会になり、、それぞれに歌舞伎町の街を懐かしんだのだった。
第四話「桜田門一家の戦い、、危険な刑事」
1)太一警部補
法治国家の大物政治家と言われる建長寺雄一郎を親に持ち、何一つ不自由なく育った、はみ出し刑事が建長寺太一で、国立大学京都大学卒業のエリートで、将来の官僚警察官を約束されたいた。
エリートでありながら、大学時代には空手の選手として活躍して、空手会では有望視されていた。空手4段の猛者でもあり、金持ちのおぼちゃんタイプではなかった。
そんな建長寺太一は官僚警察官になるようなタイプではなく、捜査刑事として、現場畑から出発した。
もともと、優秀だったので試験で昇給する警察組織では、すぐに警部補となり、警視庁捜査第一課に配属となった。
建長寺太一は利口ぶるでもなく、エリート意識は全くなく、刑事仲間に打ち解けていった。
元来が負けん気で、正義感の強い男だったので、悪行犯罪には燃えていったのである。
勢い余って、勇足も何度かあったが、警視庁捜査第一課に勤務してからは、刑事としての検挙率は群を抜いていた。
常に先頭に立ち、捜査に立ち向かい、悪事を憎んでいるようだった。
建長寺太一の父は民友党幹事長の建長寺雄一郎であったが、その権力を利用するようなことは無かった。
建長寺太一の母親は、政治家の妻と言うこともあり、ある講演会で暴漢に襲われて死亡していた。そんなこともあって、悪事を憎んでいた。
ある時に談合贈収賄事件が起きた時にも、父の建長寺雄一郎の立場を離れて、捜査に打ち込んでいた。
父が関係していた事件でもあったので、建長寺太一警部補は家を出て、一人住まいをした。
そして、今も一人住まいを続けている太一であった。
(2)燃える刑事「太一」は走る
建長寺太一は警視庁捜査一課に配属になり、意欲に燃えていた。彼は大物政治家、建長寺雄一郎の長男に生まれたが、父が後妻を貰ってからは、その継母とは反りが合わなかった。
大学卒業までは親の元にいたが、卒業と同時に独立して、一人住まいを始めた。
異母兄弟ではあったが、弟の裕次郎とは気が合い、学生時代は好きな野球を一緒に見に行っていた。
弟は高校時代から、剣道に励んでいた。そして、スポーツマンらしく、すがすがしく、誰からも好かれていた。
太一が家を出てからも、兄弟中がよく、弟裕次郎は兄太一を訪ねてきていた。
太一が警視庁捜査一課に配属なってから、初めての事件を担当したのが殺人事件だった。
捜査一課の直接の上司となり捜査を担当したのが西園寺警部だった。経験豊富な刑事であり、面倒見のいいような刑事に見えた。
「おい、建長寺警部補、今夜は時間は空いてるか。。」
と、誘われて、西園寺警部の馴染の居酒屋に出かけた。
「よろしくな、、、建長寺警部補、、、これからは太一でいいかな、、呼び捨てにするけど」
ぶっきらぼうな、男らしい刑事だった。
そして、「太一、、、刑事になったんだから、事件に集中して、因果関係は忘れろよ、、」
と、、、初めから、親の力などは関係ないからなと、釘を刺されたような気がした。
勿論、太一は自分の力で、警察の中で生きていこうと思っていた。
「西園寺警部、、、大丈夫です。人を頼らなく、自分の力で生きていくつもりです、、、よろしくお願いします」
と、、太一も覚悟を決めて、刑事道を歩こうと、自分に云い聞かせた。
いい酒を飲んで家に戻った。
3)(男一匹刑事野郎)
太一は一人暮らしを始めて、朝は目覚ましをかけて、やっと起きていた。朝飯は抜きの状態が多かったので、移動中にいつもサンドかハンバーグをかじりながら朝食を取っていた。
その様子を何回か見ていたので、先輩刑事の西園寺警部が、、、
「太一、、おにぎりを持ってきたから、、、お前はいつも寝坊助か、、朝飯も食う暇がないのだったら、ちょとだけ早く起きて家へ来い、、、朝飯ぐらい用意してやるから。」
西園寺警部は言った。
「太一、、朝飯ぐらい食べないと、いい仕事が出来ないからな、、明日から、必ず来いよ」
と言うことになり、太一は毎朝、西園寺警部の家に通った。
何か力が入るような、一日、頑張ってやろうという気になるようだった。
警視庁捜査一課に事件が舞い込んできた。
銀座で殺人事件が起きた、、、夜の銀座のクラブ街で、酔っぱらった客同士の喧嘩で人が殺された。
太一には初めての殺人事件であるので、なんか張り切って現場に向かった。
先輩刑事に従って、現場検証に立ち会った。
ナイフのようなもので、腹を刺され、血だらけになって倒れていた。
犯人はすぐに分かった。クラブの女から聞いて、すぐに逮捕に向かった。
犯人は室町明と言う、反ぐれの男だった。その男のアパートを訪ねたが留守だった。
住まいの近所で聞き込みをしたが、昨夜から戻っていなかったようだった。それで、反ぐれの室町明がいつも屯している
御徒町の麻雀屋を訪ねた。とんずらをしたようだった。
太一が西園寺警部と捜査をして分かった事は彼らは覚せい剤を巡ってトラブルをしていたようだった。
新宿に事務所を構える暴力団「あかね連合」に組する反ぐれ集団に室町明はいたのだが、覚せい剤の集金をゴマかしたということで、追われていたようだった。
太一たちも聞き込みをして、室町明を探した。どこに逃げたのか見つからなかった。
そこで室町明の実家のある千葉市市川を訪ねた。聞き込みでは一度は来たようだったが、行方をくらましていた。
室町明の友達関係を当たっていた時だった、偶然に太一は室町明に出会った。
先輩刑事の西園寺警部は、その時に昼食用のパンと牛乳を買いにお店に入って行った。
室町明に出会った太一は、相手が逃げたので追いかけた。
逃げる途中で子供が飛び出し、運悪く犯人に捕まり、人質になってしまったのである。
「こらーーそれ以上、動くと撃つぞ」と、、、拳銃を取り出して、子供の頭に擦り付けていた。
太一は咄嗟に、拳銃を撃った、自信があったのだ。
射撃では警察学校でも一番だったので。。
運よく、命中した。犯人の頭を打ち抜いていた。
偶然に犯人を倒し、子供も無事に救えた。。。結果的は良かったのだが、、、銃声を聞いて、飛んできた西園寺警部に殴り飛ばされた。
4)(殺しの太一刑事となる)
建長寺太一警部補が捜査一課に配属になり、二つ目の殺人事件が起きた。
大手企業である「総武不動産開発株式会社」の営業第一課の長嶋係長が本社営業室で倒れていたのであった。頭から血を流して即死状態だった。
太一警部補の上司西園寺警部は思った、、、厄介な事件が起きたなと。
総武不動産開発株式会社にはいろいろ政界の大物政治家、経済界の重鎮が絡んでおり、今までにも談合贈収賄事件、汚職絡みで黒い噂が流れていた。
その上に反社会勢力と言われるやくざ組織までが絡んで、ことごとく談合や贈収賄、汚職に絡んだ事件を揉み消したり、捩じ上げた判決を生み出していた。
それらの事情を知っていた西園寺警部は気が進まなかった。
弟分の太一警部補は燃えていた。
「太一、、お前、大分やる気でいるな、、、褌を占めてかかれよ。」と、、、
西園寺警部は激を飛ばしていた。
いつもの通り、二人は今回も相棒を組んでの捜査に当たることになり、、とりあえずは「総武不動産開発」の本社現場に行った。
「ひどいな、、、鋭利なもので、刺され、その上を鈍器なようなもので割られているよ。」
西園寺警部は見立て、、、「結構、恨まれているな。この殺し方は、、」と、、太一警部補に呟いた。
「太一、、会社の人間に事情聴収といくか、、、」と言ってから、当たり前の筋書き通りの事情を聞いて回った。
西園寺警部は太一警部補にあらかじめ、会社状況を説明しておいた。これからの捜査には気を配るようにと。。
最新の注意を払って、人間関係を捜査することと念を押した。
下手な捜査をすると、裏から、、、上から圧力が掛かることを教えておいた。
西園寺警部と太一警部補の凸凹コンビの捜査を大雑把にまとめると、汚職臭いと考えた。
会社の裏金隠しに纏わるトラブルと睨んだのだった。
兄貴分の西園寺警部は、、、気を付けないと、気を引き締めた。
「太一、今のうちに言っとくぞ、、、今回は一人では絶対に動くなよ。」と、、、
初めから、西園寺警部は嫌な予感がしたのだった。
その夜、太一を誘って夕食をした、、美味い蕎麦屋があるので。。。
5)(最初の圧力が始まる)
日本の国とは不思議な処だ。法治国家なのに悪事が罷りとおってしまう。捻じ曲げられてしまう。
なんと不思議な国だろう。
西園寺警部は、弟分の太一警部補に言って聞かせた。今回の事件は気を付けないと警察官破滅があるからと。
今までの経験だと金持ちが絡んだ事件、裏金作りには余程気を付けないと馬鹿を見るからだ。
権力者たちは、自分の身を守るためには何でもするということだ。あらゆる手段、攻略を講じる、、人の命までも犠牲にして、、、何が正儀か分からない。
己の地位を守り、堅持するためには、時には悪行も断行するのであった。
その時のために、手を汚す人間たちまでも買っているようだ。さらに、法を守る人間にまで毒牙を伸ばしているのだった。
だから、汚職が絡んだ事件、殺人などを突き詰めていくと、初めから答えが準備されているのであった。
そして、都合が悪くなると、担当警察官などが責任を取らされてしまい、事件は幕が引かれる。
そんなことがあるから、弟分の太一警部補には苦湯を飲ませたくなかった。どういう訳か、西園寺警部には自分を慕ってくれる太一が可愛かったのである。
しかし、親心、子知らずなのか、太一警部補は燃えていた。今回の事件に、やけに熱心であった。
そして、抜き差しならない羽目になったのであった。
今回の総武不動産開発株式会社には、父親の建長寺雄一郎が絡んで来たからだった。
太一警部補が捜査を始めたのは、死亡した長嶋係長の身辺からだった。
家族にあたった。奥さんの長嶋智子は総武不動産開発の経理部に勤務していた。従って、総武不動産開発の経理部の仕組みと言うか、内情を良く知っていた。
そして、夫の長嶋三郎係長が営業に関する資金管理をしていたので、資金運用が会社社長である、二階堂保の決済である程度処理できたのである。
捜査によれば、北海道小樽のリゾート用地買収に50億を要していた。しかし、太一の調べでは30億と分かった。
それでは残りの20億はどうしたのかとなる。
そのカラクリは見事なものだった。
太一警部補たちの捜査でも、用地買収には50億が使われていた、しかし、太一警部補の執拗な調べで、そのカラクリが暴かれたのであった。
その結果、西園寺警部は「やばい、、まずいな」と、思った。
その資金内訳が暴かれなけらば、長嶋係長の事件は自殺で処理されていたのであった。
6)(太一警部補に試練が、、、)
太一警部補が小樽に捜査に言った時だった。その時は西園寺警部が都合が悪かったので、同僚の大石警部補と捜査をしていた。
総武不動産開発の用地買収に関わった地元の柴田不動産を調査した時だった。偶然、同僚の大石と洒落た居酒屋に入った、先方は気が付かなかったが、噂話をしていた。
その話を聞いていた太一警部補は、、、、
「そうだったのか、、、ごまかしがあったのか、、、」
反面、どえらいネタを掴んだなと思い、、
翌日、柴田不動産を責めた。少し、強引過ぎたかも知れないが、その裏付けを取った。
太一警部補は鬼の首を取った気分で、東京に戻った。
太一警部補は正儀溢れる、熱血漢刑事であった、誰が何と言おうと、今回の裏付けを取ったネタは折れないという覚悟を持って警視庁に帰り、上司の西園寺警部に報告をした。
話を聞いた西園寺警部は「まずい、、」と唸った。
必ず、今回の事件はクレームがつく筈だと、、、
しかし、太一警部補は強い意志を表して、クレーム覚悟していた。
今、横槍が入っいてることも知っていた。
西園寺警部補は、、「太一、本当にいいのか、、覚悟は出来ているのか、、」と、念を押してきた。
横槍は警察幹部や政治家絡みのものであり、最終的には民友党幹事長の建長寺雄一郎が出張ってくる筈だ。
太一警部補は覚悟していた。
自分の首をかけて、、、、、
一度は父親と対決しようと思っていたので。
兄貴分の西園寺警部は太一警部補の覚悟を知り、確認した。
そして、自分も一度ぐらいは警察官としての誇りを持って、望むことにしたのであった。
警視庁内部では大騒ぎとなった。
何としても、揉み消そうという、警視庁組織、、、しかし、太一警部補は引き下がらなかった。
7)命を賭けた警察官としての誇り
(誇り高き男たち)
西園寺警部は、安定した生活を送ることも一生、男一匹、人生最後を太一警部補にかけてみたくなった。
男としてロマンに夢にかけてもいいような。。。太一警部補には何かを感じていたのであった。
「太一、、、お前の思う通りにやってみな、、、俺な、、人生を間違うかも知れないが、、お前にかけるからな。。。」
「太一、お前の馬にのったぞ、、、走れよ、、しっかりな」
西園寺警部に尻を叩かれた。
太一警部補も走り出したのであった。
もう何があっても戻ることは無い。。。。
競馬で言えば最終コーナーだ。
走って見せるぞ、、、太一は心に誓った。
「西園寺先輩、ありがとうございます。力が湧いて来ましたよ。。。警察官生命をかけて、頑張ります」
太一警部補は父親との確執もあったが、跳ねのける覚悟をしていた。
場合によっては警察官生命を絶たれるかも知れなかった。
太一警部補の見方は西園寺警部だけだった。
8)父親建長寺雄一郎との対決
太一警部補は呼ばれた。父、建長寺雄一郎に、、、
太一に電話があり、、、「太一、、今夜でも明日でもいいから、久しぶりに飯でも食わないか。。」と。誘いがあった。
太一は「来たか、、、覚悟するかな」と、思いながら父の誘いに向かった。
向かった先は六本木の寿司屋だ、、、父、建長寺雄一郎が好きな寿司屋で、注文の出来ない寿司屋であった。
しかし、魚は超一流のものが揃っている。
太一警部補に言わせれば、大人の見栄だ。不思議なことに太一は、その寿司屋へ行くと、決まって、次の日には腹を壊していた。行きたくなかったけど、今回は父親に顔を立てたのであった、
「太一、、お前、頑張ってるみたいだな、、張り切り過ぎるなよ、、、話は聞いているけど」
「ああ、親父の脚は引っ張らないようにとは思っている」
「おやじ殿、俺はやっぱり、カエルの子だよ。。。。こうと決めたら、止まらないようだ。。。」
太一と父雄一郎は酒を酌み交わした。
そして、 太一は言った。
「おやじ殿、、、俺に構わずに親父は親父の道を行ってくれ、、」
無言だけど、親父の道にあがらうと、決心をしていることを太一は告げた。
「そうか、、、太一、、お前は俺の子だ、、、分かった」
そう言って、父、雄一郎は盃を干した。
「太一、、、俺は帰るぞ」と、お店を後にした。
何処かに息子を誇らしげに思いながら、いつもの黒のハットを被りながら、背中で手を振ったようだった。
太一も思った。
「おやじ殿、、ありがとう、、、命を賭けてぶつかっていくよ」
頑固な親子の話し合いは終わった。
太一が夕闇の六本木の街へでた、、、明日もまた、腹が痛くなるだろう、、、、
(9)男の戦い
太一警部補は思った。これで悔いなく思いっきり戦えると、、、今回の汚職事件を解決するためには、幕引きをするためには、どうしても父、雄一郎との対決を避けずには通れない道であった。
西園寺警部には本音を話した。今回の決着をつけるためには、どうしても、民友党幹事長、建長寺雄一郎をも潰さなけらばならに事を、、、
西園寺警部は太一警部補の覚悟を聞いて、どこまでも応援しようと決めたのであった。警察官の誇りをかけて、最悪の場合は警察官の職を辞しても仕方がないと。。。
「太一、、、わかった。思いきりやれよ、、、悔いを残さないように。」
二人は覚悟を決めて、今回の汚職及び殺人教唆事件の最終捜査会議に臨んだ。
合同捜査会議に入り、まずは担当課長から話があった。
「今回の汚職疑惑及び殺人教唆の疑惑に関して説明をします。、、、捜査の結果、汚職は無かった、また、殺人教唆ではなく、本人の自殺であったことが判明した。そのことによって、今回の事件は終了。」
と言う捜査結論に達した。
太一は怒りをぶちまけることにして、反論をした。勿論、全ての捜査からなる証拠を出して、警察の今回の暴挙に対して自分の警察官生命をかけて、捜査結論に対する意見を述べた。
捻じ曲げられた事実を訴えた。法治国家であるべき日本の警察のやるべきことではないと。。。
そして、太一警部補は自分の意見を取り入れて、再捜査なり、再検討をしてくれと訴えた。
しかし、結論は変えられなかった。初めから覚悟していたので、その場の報道機関に訴えたのであった。
会議は大混乱を起こした。警察内部の上層部も慌てた。
まさか、太一警部補がここまでやるとは思ってもいなかったのである。
この捜査会議の記事が報道された。
パニックを起こしたのであった、警察内部でも責任問題が起こり、収まりがつかなくなっていた。
(10)決着
太一警部補の反乱ともいうべき行動によって、警視庁内部は大パニックになった、、、検察庁も同然であった。民友党事務局内でもてんやわんやの大騒動になった。
普通なら、政治力により捻じ伏せられた事件であったが、太一警部補が警察官生命をかけて、ぶちまけたことにより、全てが白日の下にさらけ出されたのであった。
どうにも止まらない、止めることが出来ない状況になり、社会悪が表面化したのであった。
手始めに民友党幹事長、建長寺雄一郎が辞任に追い込まれるとともに今回の汚職に絡む賄賂受託罪に問われた。
警察内部の刑事局長水野忠助、検察庁検事副総裁が起訴された。
また、総武不動産開発株式会社の鳳社長、経理部長の堀尾利助が汚職に絡む嫌疑で逮捕された。
更に北海道小樽の柴田不動産の柴田社長も汚職に絡んだ嫌疑で逮捕され。
一網打尽であった。
更に、殺人教唆に関わったと思われる暴力団青龍会の青田隆二幹部も逮捕された。
これまでの汚職などに関する事件では、大部分が隠蔽されてしまったいた。しかし、今回は処罰されたのである。
勿論、正義の味方である、太一警部補は警視庁から飛ばされた。遠い南の沖縄に左遷となった。
警部補から一巡査に格下げされて、交番勤務となったのである。
西園寺警部も左遷となった。
日本と云う法治国家では社会悪を撃退すると、はるか彼方に飛ばされてしまうようだ。。。
なんとも空しい、馬鹿げた法治国家なんだろう。。。。
優秀な熱血刑事は消えたしまったのである。
11)沖縄に流されて。。。
建長寺太一は警視庁時代は警部補を拝命していたが、今回の脱税汚職事件の摘発に関しての功労者ではあるが、、日本の法治国家の不都合で、不始末を咎められ沖縄県波照間島にある警察署管内の交番勤務になり、、、巡査部長として転属なったのである。
早い話が左遷であり、、日本最南端の波照間島に飛ばされた。
八重垣山警察署管轄の「最南端の交番「波照間駐在所」に転属になったのである。
波照間島駐在の先任者が定年となったためのことであり、、駐在員は1人だけであった。
沖縄県石垣市矢崎町に存在する波照間駐在があるところは「日本最南端で南十字星に一番近い島」であり、、空がきれいで海が美しい島である。
人口500人足らずで、面積も約13キロメートルと小さな島であるが、、最近観光客が多くなってきた。
島内にはホテルや民宿、ペンションもあり、、、観光ツアーが組まれている。
東京からは羽田空港経由で石垣島空港へ約3時間、そして、高速船で波照間島まで約1時間40分の距離であった。
太一巡査部長は交番勤務も一人なので気楽であり、、、島の人々も親切でやさしく住みやすかった、、
二人住まいの老夫婦の所に下宿をしたので、、、近所の人たちも面倒を見てくれたのである。。
下宿先の中曽根忠治さんは釣りが好きで、太一が休みのたびに連れて行ってくれた。
海も綺麗だし、、、食べる魚も新鮮なので、太一は色も黒くなり、、少し太ったのである。。沖縄の波照間島に来て、心が落ち着き、ゆったりして、、左遷ではあったが良かったと思っていた。
波照間島の部落の屋根は「赤煉瓦屋根が残り」塀はサンゴの石垣が、、、白砂の道の上を「水牛車がゆっくり歩いている」そして、屋根の上には「シーサー」がある。
太一は沖縄で生きていることを肌で感じた。ずっと、沖縄に居てもいいかなと思うようになっていたのである。
そんなある日,警視庁時代の上司でもあり、、兄貴のように世話に成った西園寺警部から電話が入った。
現在は太一と同じに左遷をさせられて北海道警察勤務であり、、警部補に格下げになっている、、、その西園寺警部補が尋ねて来るというのであった。
仕事を兼ねての来訪であるが,、、太一には嬉しかった。
8)恩人の西園寺警部補が訪ねて来た。
西園寺警部補が沖縄県波照間島まで北海道から来たのであった、、、仕事を兼ねての警察旅である、、、飛行機で石垣島まで来て、高速船で最南端の島までの旅であった。
太一の赴任した波照間島駐在には太一が一人勤務するだけであるが、ホテルや民宿、ペンションはいくつかあるので、、、太一が世話に成ってる「民宿うるま家」を予約しておいたのである。
「民宿うるま家」は海が見える大浴場が気持ちがよく、、魚料理が旨いのであった。
西園寺警部補が港に着くころに太一は,駐在のぼろ車で迎えにだたのである。。。。
西園寺警部補と同僚の大和警部補を車に乗せて「民宿うるま家」に案内する間、、太一は波照間島のガイドをしていた。
「この波照間島は日本の最南端で、、、南十字星が見られる島なんです、、空の綺麗な海の素敵な島で、最近は観光客も多いよ、、」
と、自分の家を自慢するように話したのである。
「西園寺のおやじさん、、、今夜の民宿のお風呂はいいですよ、、魚も旨し楽しみして居てください、、、」と、太一は旅行でも行くようにはしゃいでいた。
「事件のことは大体、聞いていますけど、、本人は家にはまだ、もどっていませんよ、、」と、、太一は報告だけはしておいたのである。
「わかった、、細かい話は飯でも食いながら、夜話そう」ということで、目的の民宿に着いた。
「親父さん、、まずはお風呂に入ってください、、」と、、太一は案内したのである、、、我が家を案内するように。。。
太一も一緒に風呂に入った、、
「親父さん、、、久しぶりに背なかを流すよ、、どうです、、海が眺めていいお風呂でしょう、、」
太一は久しぶりに会う西園寺警部補が懐かしかった。
夕食の時に民宿の中曽根夫婦が挨拶に来てくれたのである。。
「初めまして中曽根です、、太一さんからお話は聞いていますので、宜しくお願いします。。。」と、、、
西園寺警部補も軽く会釈をして「よろしくお願いします、、西園寺です、、、一緒に来ているのが大和です、、今回はしばらく、お世話に成りますので、、、」と、、中曾根さんの釣ってきてくれた魚の刺身と煮つけを食べた。
西園その恨みで寺警部補と大和警部補は舌鼓をうつほどの美味しさであった。
太一たちも仕事の話は明日ということにして、美味しい料理と旨い酒に包まれて、南海の島の夜を楽しんだのである。
ほんのわずかな警察官の癒し時間であった。
12)太一の刑事魂が燃える
沖縄県の最南端である波照間島の駐在に赴任してからの太一は自然に恵まれて、精神的にのんびりし過ぎた気がした。。
余りにも綺麗な海や南十字星の見える島で、正直言って事件らしい事件も起きないので、太一は警察官でいることを忘れてしまったようだった。
そこに、西園寺警部補が刑事としての仕事を持ってきてくれたのである。
その犯人に今の自由党幹事長である松平重太郎の娘婿の松平史郎が殺されたと、、、そして、その犯人が実家のある沖縄波照間島に逃げてきているというのであった。犯人の名は中曽根三郎といい、、その犯人の母親が重病で明日をも知れぬ命であるというのであった。
西園寺警部補から話を聞くと、、、犯人の中曽根三郎はやくざ組織の組員とのことであり、、、北海道開発(株)とはリゾート開発での利権が絡んでるようだった。
詳しい話では、、、東京の本社「北海道開発(株)」が自由党幹事長松平重太郎の口利きで始まった開発事業であり、、「1000億円」からの開発内容で、、ホテルからスキー場施設やカジノまで併設した事業規模であった。
プロ野球球団の総合野球施設も含んだ大規模開発であるらしい。
そんな開発事業に黙って指を咥えてみているようなやくざ組織はいなかった。北海道に勢力を持っている「北海東北連合榎本会」が横車を押してきたのであった。
そんな利権争いの渦の中で、北海道開発(株)本社から松平史郎専務取締役が、、支社長として送り込まれてきたのである。
松平史郎支社長は「イケイケ行動派」だったので、強気の営業展開をしていたのであった。
札幌に近い石狩平野のどまんなかでの開発事業だった。
強きの松平史郎支社長は、「北海東北連合榎本会」にしてみれば、、邪魔だ
榎本連合会の榎本武会長は、、、
「幹部会を開き、、松平支社長は今回の俺たちの仕事には目障りだ、、邪魔だよ。。」
と、、言っただけで石田若頭が動いたのである。
そして、、今回の中曽根三郎組員が松平史郎支社長の暗殺となったのだった。
やられた「北海道開発(株)」の後ろ盾の自由党幹事長松平重太郎も黙ってはいなかったのである。。。
松平幹事長が悪事商売を全てやらせていた、東京赤坂の総武不動産(株)の二階堂保社長に連絡を取り手を打たせた。。。総武不動産は反社会勢力のやくざ組織であったので、、
母体組織の「東京連合睦会」と今後の打ち合わせをしたのであった。
総武不動産(株)の不動産トラブルの専門やくざを3人チームを作って北海道へ乗り込ませたのである。
西園寺警部たちも太一を入れて、、、3人で波照間島へ来た犯人、中曽根三郎を探した。
太一も本来が熱血刑事であるので、、暇を惜しんで探したのである。
狭い島である、、人口500足らずの島なので簡単に探せると思っていたが、、、なかなか、思うようにはいかなかった。
犯人の中曽根は必ず、会いに来ると思っていた、、、
島の人たちの話では「母親思いの息子」らしいので、必ず来る筈だと、、太一たちは辛抱して待っていたのである。
しかし、中曽根三郎は現れなかつた、、
こない筈で有った、、、彼も島では「いい人」」で通っていたのである。
警察に追われているけれど、、、島の彼を知る人たちは「一目だけでも」会わせてやりたいというのが人情であり、、たとえ逮捕されても、その前に会わせてやりたいと思っていたのであった。
そんために彼を知る人たちの協力が得られなかったのである、、、そして、太一も警察でも社会でも「苦水」を飲まされいるので,その辺の「武士の情け」を知っていたのである。
そして、、、中曽根三郎が母親を尋ねて来た夜に、太一は寝ずの見張り番だったが、、寝た振りをして、彼を見逃した。
親子の別れは出来た筈だった、、
中曽根三郎が母親と別れを済ませて出てきたので、、「中曽根、、別れは出来たかな。。」と、、太一は声を掛けた。
彼は頭を下げて、、、「ありがとうございました、、、母とは別れを済ませました」と、、潔く太一に両手を差し出したのである。
「よかったな、、、お母さんと会えて、そして、別れが言えて」、、、、
太一は思った、、、中曽根三郎は男だったなと、、、
自分は親父に別れを言ってなかったと後悔をしていたのである「残念無念」だ。。。
13)太一刑事、、転属に成る。。。
西園寺警部補たちが中曽根三郎を逮捕して、北海道に帰ってから、しばらくして太一刑事のもとに「転属命令書」が届いた。
海の綺麗な南十字星の見える南の島から、、冬は雪景色ばかりの北海道警察署への移動である太一刑事にしてみれば「復帰昇給」の嬉しい知らせであった。
しかし、太一刑事は心から喜べなかったのである、、、余りにも沖縄の波照間島の美しい自然に惹かれていたからであった。
世話に成った優しい人たちと別れての旅たちであったのだ。
そして、波照間島に別れを告げて北の新天地札幌にある、「北海道警察捜査一課」に向かった。
急の転属であった日が、、真っ白な雪景色に覆われた寒い冬だったのである。
西園寺警部補が寒い朝の札幌駅に出迎えてくれた。
「太一、、寒いだろう、、大丈夫か、、よく来たな、、警部補に昇給出来ておめでとう、、、」と、、歓迎してくれたのである。
「太一、、今回の昇給は犯人逮捕というお手柄の褒美でもあるが、、、注意しろよ、、、お前の悪に対する正義感が功をなしてるが、、、転属,昇給は政治力によるものだからな、、、」と、、話してくれた。
更に、自由党松平幹事長の思惑での事情のようだったのである。
それは組織暴力団「北海東北連合榎本会」に、太一警部補を担当させて、それらの行動を封じ込めようとしての陽動作戦だった。
松平幹事長は国家権力を利用しての金儲けの事業対策であり、、前回の父親であった「建長寺幹事長」を引きずり下ろした手腕をかってのことだった。。。
松平幹事長は自分は建長寺幹事長の二の舞はごめんなので、、、用意周到に準備はしていたのである。
悪くいえば罠を張っての悪巧みの国家権力の利用であった。
西園寺警部補は承知の上で、太一に今回の捜査作戦を打ち明けたのである、、、二人だけの作戦であり、企業秘密でするからな。。」
と、、、西園寺警部補は太一警部補に作戦を授けた、、、
その上で太一警部補にも考えて行動を擦る様にと告げたのである。
今回は警察の都合や面子ばかりで動くのではなく、、あくまでの二人のここまでの経験を生かしての捜査をしていくことにしたのであった。
勿論、松平幹事長たちの都合は後回しであったのである。
寒い北海道で燃えるような熱血漢が吠えたのであった、、、燃える相棒の復活である。
14)西園寺警部補は気になった、、、政治家の罠ではないのかと、、、
「太一、、今晩、飯でも食いに行こうか、、北海道にも馴染の店が出来たのでな、、
お前、、寿司が好きだったな、、帰りは一緒に出ようか、、」
と、、西園寺警部補と約束をしたのであった。
西園寺警部補は心配なのだ、、、今回も政治家が絡んでの転勤であったので、、、
どうも、太一の過去の実績を見ての自由党松平幹事長の思惑がありそうなのである。
太一警部補の行動力、捜査能力をかっての移動であってと思う西園寺警部補であった。
今度だけは政治力に、、悪だくみに利用されないように注意しないと、、そればっかりを考えていた西園寺警部補であった。
夜、、太一警部補は西園寺警部補に連れられて、、札幌市内の「狸小路商店街」にある、縄のれんの有る寿司屋に入った。
小ぎれいなカウンターだけの寿司屋で、老夫婦でやっているようだった。
「いらっしゃい、、西園寺の旦那、ご無沙汰ですね。。。」
と、、意気のいい声で挨拶をされた。
「おお、、こんばんわ、、今夜は俺の警視庁時代の愛弟子を連れ来たので、、
親父さんお奨めの寿司を握ってくれ、、」
頼むと威勢のいい返事が返ってきたのである。。
「西園寺の旦那は元気でしたか、、、」と言いながら,おかみさんがお茶を出してくれた。
そして、、太一警部補の前に旨いと言われる寿司が出てきた。
「旨いです、、久しぶりの美味しい寿司ですね、、ありがとうございます」
と、、太一は旨そうに頬張っていた。
「ところで、太一、、今回の締めくくりは上手くな、、、馬鹿を見ての責任取は絶対に御免だからな、、」
念を押したのである。。
「いいか、太一、どんなことがあっても最後は松平に、、そして、連合に泥を被せないとな、、、忘れるなよ」
と、、西園寺警部は何度も念を押したのであった。
「太一、、よくよく考えとけよ、、、俺たちが責任を取るのではなく、、仕掛けてきた奴らに、全てを押しつけて責任を負わせることを絶対に忘れるなよ、、」
と、言いながら西園寺警部補は好きな日本酒を「冷酒」飲んだ。
15)太一警部補に戻っての初仕事
夕べは西園寺警部補と久しぶりに、、、「親父、、、太一、、」と呼び合いながら楽しい夜を過ごした。
そして、太一は肝に銘じたのである、、、今回は前回のようなバカな責任を取らずに、事件を解決してやろうと自分に言い聞かせた。
北海道警察に赴任した朝に、、上司の清水捜査課長から言い渡させられたこと、、それは「北海道開発(株)」と「北海東北連合榎本会」の争いを鎮てもらいたいことであった。今回の北海道開発の松平支社長暗殺の逮捕の実績から突破口を見つけて、事件解決に奮励努力をして欲しいと、、、言うことであった。
そして、、「西園寺警部補と力を合わせて欲しい、、」
指示命令を受けての捜査開始であった。
そのあとで太一警部補は西園寺警部補から云われたのである、、、
「太一、、慌てるな、、じっくり構えていくぜ、、いいな、、」と、、念を押された。
「太一、、まずは逮捕した中曽根三郎の取り調べから行くからな、、、事情をしっかり聴けよ」
ということで、、暗殺犯人を取り調べ室に呼んで事情聴取から始めたのである。
中曽根三郎は逮捕時の太一警部補の対応に感謝していたので、、「刑事さん、、沖縄ではありがとうございました、、
本当にありがとうございました、、」と、、何度も頭を下げた。
西園寺警部補と太一に感謝の態度を見せながら、取り調べに素直に話をしてくれたのであった。
中曽根三郎組員は自分が事実を話せば、どうなるかを覚悟しての「やくざ掟」を破っての暴露である、、、
それは沖縄で取った太一の中曽根に対する対応であった、、、死に際の母親に合わせてくれた温情であり、、人間としての思いやり、やさしであった。
その行為に引き換えても余りあると、中曽根は感謝していたからであった。
中曽根の供述があったことで、、「殺人教唆」で「北海東北連合榎本会の榎本会長」を逮捕出来たのである。。
榎本会では慌てた、、今後の相談をして、北海東北連合の指示を仰いだのである。
一方、北海道警察側は「中曽根三郎」の身の安全を守るために、警戒を厳重にしたのであった、警察側も中曽根三郎を釈放はせずに、、逆に監禁状態にして、ヤクザからの報復を守つたのである。。
太一たちは知っていた、、、「やくざ所以は殺しが出来るから、、裏切りは死に値する」というやくざ組織の鉄の掟があった。
そして、今回は裏切った中曽根を許す筈がないと、、、太一は真実を話してくれた中曽根三郎を殺させる訳にはいかなかったのである。。
裏切ったやくざは、、いつか娑婆に出た時に狙われ殺されるのであった、、、「殺された後はミンチにされて、豚か鶏の餌にされてしまうのであるか、、または海に蒔かれて魚の餌になる」
そして、、死体が消えるのであった。
この世の怖ろしい残酷物語がある、、それが「やくざの恐ろしさ」である。。
太一は事件解明に当たると同時に、、中曽根三郎の身の安全を考えた、、、どんなことがあっても、、
守ると決めたのであった。
16)太一警部補の作戦、、、
太一警部補は中曽根三郎の命がけの証言により、、「北海東北連合榎本会」の榎本会長を殺人教唆で逮捕出来たのであった。、、「北海東北連合会」の大熊繁蔵会長は、月野若頭に号令をかけて幹部会を招集したのである。
「月野、、、いいか、、榎本が挙げられたのだから、、けじめはつけろよ、、、今回の「北海道開発(株)」の事業は潰せよ、、、いいな。。」
と、、大熊繁蔵会長から厳命が出された、、、「北海東北連合会の面子にかけてな、、」と、、、
月野若頭が先頭を切っての戦争であった。
そして、月野若頭を中心に作戦を練ったのである。
「殺人教唆」でトップが執られたからにはトップを狙えでいくことにしたのであった。
月野若頭のもとに「ヒットマン」が仕立てられた、、、「榎本会」と「連合会本部」から4人が決められたのである。
北海道開発(株)本社の松平社長と自由党幹事長松平重太郎が今回のターゲットであった。
榎本会の狙いは二人である、、、そのほかの関係者は枝葉であり、、戦いを望んできたら料理すればよかっただけである。
準備の出来た北海東北連合会榎本会は動き出したのであった。
連合会と榎本会の「ヒットマン4人」は東京へ向かったのである。
太一警部補が仕組んだ作戦、、、それは、後処理で「政治力が圧力」がかからないように、、喧嘩相手に始末をさせるということだった。。
東京へ出た「4人のヒットマンたち」は獲物を狙って、機会を待っていた。
そして、、関東連合会睦会が放った不動産プロたちよりも行動が早かったのである。
自由党幹事長松平重太郎と、、、北海道開発(株)の松平社長を暗殺したのであった。
テレビニュースなどで、、、大題的に報道された。
北海道開発(株)のリゾート開発に絡んだ事業は頓挫したのであった。
17)企業は強い、、頭なしでも前に、、、
北海道開発(株)の平林専務取締役は総武不動産(株)の二階堂保社長と相談をしたのであった。松平社長と自由党幹事長の松平重太郎が暗殺された後は事業が頓挫したように見えたが、、、残った幹部社員と総武不動産が力を発揮したのである。。
特に総武不動産(株)の二階堂保社長は本来のやくざ魂をむき出しにして前に出てきたのであった。
総武不動産(株)は「東京連合会睦会」の傘下であり、まるっきりのやくざ不動産屋なので、、二階堂保社長は思っていたのであった。
二階堂社長は「やられたな、、田舎ヤクザに参ったな、、何が何でもやり返したやるよ、、東京やくざの面子に懸けてな、、、」
と、、イラついていたのである。
今までは北海道開発(株)の言いなりに動いていたが、、今度はそうはいかないぞと、、意気が上がっていたのであった。
北海道開発(株)グループの中心的な存在になっての開発業務の推進を図った。
二階堂社長は「東京連合会睦会」本部から指示を受けて、今回の北海道開発の指揮権を任せられたのである。
そして、、攻めた。
「北海東北連合会榎本会」の月野若頭を狙えということで、、睦会の鉄砲球が飛んだのである。
やったらやり返せということになり、、やくざ同士の戦争が始まったのであった。
太一警部と西園寺警部補の思う通りになってきたのであった。
お互いのやくざ同士の争いになり、、警察としては取り締まるだけとなったのである。
政治力の圧力はかからなかったのであった。
18)やくざ抗争始まる、、、
東京連合会睦会の黒田利三郎会長に自由党沼田源太郎幹事長から直接に言い伝えがあった。
組内の総部不動産(株)二階堂保社長を引き立ててやって欲しいと、、、北海道開発の仕事を引継いだので、これからの指揮を執るからということになったのである。
太一警部も西園寺警部補もうんざりしたのであった。
頭を失っても、、尻尾を斬っても、、入れ替わり立ち代り、、諦めずに攻めてくるしつこさに参ったのである。
何を斬り落とせば止まるのか、、、悪事事業はと思った太一警部であった。
太一と西園寺警部補は捜査会議方針とは違った動きをしないと、北海道開発の事業に絡んだトラブルを解決するのは難しいと考えた。
しかし、一度には出来ないので個々に潰していく作戦を立てたのである。
まずはやくざ抗争で一番困るのは、一般市民が巻き込まれることであった。
太一たちは正確な情報を仕入れることに集中した、、、そのためには常に情報屋を駆使したのである。
まずは東京連合会が放った「鉄砲球」を探すことだった。その結果、太一たちは血眼に成って炙り出したのである。
秘密裏に逮捕して、裏付け捜査をして証拠固めをしたのであった。
そして、北海東北連合会榎本会の月野若頭に太一たちは情報を流したのである、、
街の情報屋を使ってであった。
その情報をもとに榎本会の月野若頭は再びヒットマンを東京へ送ったのである。
北海東北連合会の大熊繁蔵会長は気が荒くて、決めたら相手を殺すというやくざ戦法を取っていたので、今回も
月野若頭に命令指示を出していた、「絶対に引くな、、最後まで闘い続けろ、、」と、、
それに常に忠実に随ってきたのが月野若頭であり、、大熊会長の信頼も厚かった。
東京へ向かったヒットマンは数人で、一挙にかたずける指示を出していたのである。
狙われる者は弱く、、狙うものは強かった。
そして、総武不動産(株)の二階堂保社長、東京連合会の大橋若頭が銃撃されて死亡したのである。
更に二人の葬儀の時に連合会黒田利三郎会長が襲撃された。
その襲撃事件で警視庁特捜部が動いたのである。
警視庁特捜部と北海道警察が合同で、、北海東北のがさ入れが行われた。
その結果、北海東北連合会の大熊繁蔵会長と榎本会の月野若頭は「殺人教唆」で、、幹部連中は「銃刀法違反」で、
犯行に携わった組員たちは「殺人罪」で逮捕されたのである。
太一と西園寺警部補の計画は上手くいった。前回の失敗そして左遷を考えての作戦であった。
二つの組織暴力団を壊滅状態に追い込み,「解散届」までに至ったのである。
ここまでくると、政治力も役に立たなかった、、、マスコミが大々的に報道したので、、、
北海道開発事業も頓挫した、、、そして、法律的な処理が行われた。
今回は太一警部の悪人退治が出来たのである。
19)太一東京へ帰る。
太一警部と西園寺警部補は今回の北海道事件の解決で警視庁特捜部に復帰できたのであった。
反社会勢力の暴力団「北海東北連合会榎本会」を解散に追い込み、、更に「東京連合睦会」を壊滅状態にまで攻めこんだ業績で褒美のような形での名誉を回復しての転属である。。
太一は警部のままで、、西園寺警部補は定年を控えての警部昇進で戻って来たのであった。
二人は「よかった、、よかった、、」と、喜んだ。
そして、西園寺警部の家で、辛抱して待っていた奥さんと三人で乾杯をしたのであった。
久しぶりの我が家であり、奥さんの手料理が美味しくて堪らないという風な西園寺警部である。。
「太一、ありがとうな、、、すべて、お前のお陰だよ、、、定年を東京で迎えられるとは思ってもいなかったので、、本当に嬉しい。。。」
と、、笑顔を見せていた。
「親父さん、、本当によかったよ、、奥さんにも心配を掛けてすいませんでした、、」
今夜の西園寺家には明るい笑顔があった。
「親父さん、、定年までは1年ちょっとだから、、しばらくはじっとしていますか、、、あはっあふぁっ、、、」
太一は心から今日が戻って来たことを心から喜べたのであった。
20)反社会勢力「暴力団」やくざ組織は生き返るのだった。。。
警視庁捜査一課に警部として戻れた太一と西園寺の親父は、出来れば「親父」が定年までは静かに平穏に暮らしていたかった。
しかし、、東京大都会の悪人たちは静かにはしていなかったのである。
日本の中心に「巣喰っている悪の亡者たち」は夜も眠らずに蠢いていた、、、
東京連合会睦会は黒田会長に代わって、、新しい会長が出来た。睦会直系の大前田会の大前田健次郎が総裁になり、、若頭も大前田会の熊田純一が就任して、、組織固めが行われたのである。
武闘派で慣らした大前田総裁と、東大出身のエリートやくざと言われる知恵者の熊田純一若頭が東京へ事務所を構えたのであった。
熊田若頭の指揮下のもとに組織もやくざ幹部の人事も一新した。そして、関東全域の責任者を決めて、、それぞれの地域を大前田会の幹部やくざが本部の熊田若頭の補佐役として「副若頭」となり
指揮系統を一本化したのである。
そして、、東京連合会大前田会は動き出した、、、北海道開発(株)の後始末を引き受けて、北海道に総武不動産(株)も復活させたのであった。
大前田会の熊田若頭の動きは目覚ましかったのでる。
北海東北連合会も立て直しを計り、、榎本会に代わり、「旭会の篠田大四郎組長」が北海東北連合会の理事長に収まり、、旭会の若頭である「藤堂肇」が同じように連合会の若頭に就いた。
そして、新しい対立抗争が始まったのである。
その話を聞いた太一は思った。
世の中の悪人どもの「欲望」は収まることがないと、、これからも続く、社会悪の汚い闘いが、、、
そんなことで、太一たち警察官に安らぐ時はないような、、、うんざりするのであった。
悪人たちが永久に眠ることはないなと、、太一は覚悟した。
これからも、徹底した悪人退治をして行こうと、、唸ったのである。
21)西園寺警部が定年を迎える。。。
「おめでとうございます、、、」太一は心から西園寺警部の定年退職を祝った。
「本当によかった、、親父さん、いろいろありがとうございました、、、これからは奥さん孝行をしてください。。」
と、、西園寺警部の家で、奥さんの手料理でお祝いをしたのであった。
「太一、、本当にありがとう、、子供の居ない俺たちにはお前は、俺たちの子供だ、、これからも遊びに来てくれよ」
と、、無事に退職が出来たことが嬉しかったようであり、、西園寺警部も奥さんに感謝の気持ちを表したのである。
「今日からはもう、警部ではなく,、ただの親父さんだな、、ゆっくり骨休みをしてください、、」
と、、太一もその夜は楽しく呑んだ。
一晩泊まって、太一は朝飯を食べて出かけたのである、、
「太一、、、無理はするなよ、、、困った時にはいつでも来いよ、、、」と言われて、出かけた。
太一は少し寂しかった、、、
警視庁特別捜査課に出勤した太一にはゆっくりする暇はなかった。
北海道警察から連絡が入り、、東京連合会の大前田会が札幌に関連企業の「総武不動産(株)」の支店を出して、北海東北連合会の旭会との問題を起こしたというのであった。
それで警視庁特別捜査班に応援の要請の相談が入ったので、、、北海道警察にいたことのある太一警部に白羽の矢が当たったのであった。
西園寺警部が退職したので、その補強人材で「沖田守警部補(29歳)」が東京機動隊から転属になったのである。。その新人警部補と北海道警察に行くことになったのである。
沖田守警部補は185cmの大男であった、そして、射撃が得意とのことであった。
22)北海の地で再び、、、太一暴れる。。
北海道開発(株)の手掛けたリゾート開発事業の不動産は競売に掛けられたのであった。、、不動産の固定資産税や脱税の疑いで「国税」の調査が入り、不動産取得税や事業税の滞納からの競売であった。
構造物が未完成の為に「価値はなかった」のである、、、もともとが山林原野がほとんどなので「評価証明」低かった。。
従った「競売価格」も低かったが、、、「構造物が未完成」の為と、誰もが知っていたのである、、ヤクザ抗争があり、、関係政治家が逮捕されたり、、関係者が死亡というか「殺されている」事を、、、
そのために「競売」に参加する者がいなかったのである。
反社会勢力のやくざ組織にとってはありがたいことであった。
東京連合会傘下の「総武不動産(株)」の支店を札幌に出していたので、、、その段取りをしたのが連合会大前田会の熊田純一若頭が、、大前田健次郎総裁の意を組んで、北海道開発(株)の競売に乗り出したのであった。
そして、「競売価格」の2倍で落札したのである、、、「総武不動産(株)」と関連のある、、「北海道不動産(株)」を使ってのことであったが、、、
誰が見ても見え見えの行動である。。。
北海道不動産(株)の社員は前から準備をして、東京連合会の企業舎弟を養成して大前田会から出向していたのであった、、、全て、熊田若頭の采配であり、、着々と事業を合法的に進めたいた。
黒田会長たちの失敗はしたくなかった、エリートやくざの熊田若頭は作戦を練り、、北海東北連合会旭会との「連合開発」を考えたいたのである。
東京連合会大前田会の前田健次郎会長の強気に、知恵が混じっての、熊田若頭であった。。。
そんために、噂だけで北海東北連合会旭会の下部組織が動いたのであるが、、、
熊田若頭からの連絡で収まり、、その話合いの日を待ったのであった。
23)太一警部と熊田若頭の知恵比べ
太一警部は考えた、、、今までのやくざとは違うぞと、、、、
今までは勢力争いをして、力で抗争を起こして仕事を奪う。それがやくざ商法だったのである。
しかし、大前田会の熊田若頭は、敵対して争わずに協力して、助け合って、利益を分配しようとしているのだから、
始末が悪いのだ。
この話は時間はかかったが、北海東北連合会旭会も手を打ったのであった。残る問題は「利益分配」だけとなった。
この利益分配のシステムが凄かった。熊田若頭は欲張らずに、地元やくざに花を持たせて、、北海東北連合会旭会に「利益の6分」そして、熊田若頭たちは「4分」としたのである。
文句のつけようがない采配だった。
「北海道開発(株)」の監理は地元の「旭会」に任せ、、東京聯合会大前田会は利益だけを徴収した。しかし、会社経営の管理者は大前田会の企業舎弟が加わった。
これで北海道開発(株)のトラブルは全て解決して、、企業運営も動き出した。
北海道警察が心配した暴力団抗争は無くなったのである。
やくざ組織も、見てくれは「やくざ」ではなくなったが、、一皮剥けばやくざはやくざであった。
なんの問題も起きずに、商いが平穏に進めば、ヤクザは出てこない、、、これからのやくざは企業戦士にならなければという、、大前田会の熊田若頭の方針通りに動き出したのである。
北海道警察捜査課から相談を受けた太一警部は、やくざ組織が巧妙になり、、ヤクザの組員が「やくざ戦士」となって、企業戦士になり動くとなると厄介であった。これからのやくざは表向きには会社員であり、、一皮剥けばやくざになるという構図が出来る。
この熊田若頭のやり方というか「やくざ運営」が広まると、組織暴力団は地下に潜ってしまう。
見てくれは、恰好では「一般サラリーマンもやくざも」見分けがつかなくなるような。。そんなことを考えながら、警視庁に戻った。
第一話「桜田門の櫻」
極悪刑事「流川京十郎」の警視庁刑事物語、、
警視庁捜査一課に「鬼も黙る怖い刑事」と、恐れられている「流川京十郎」という鬼警部が居た。
彼はグループ捜査を嫌い、常に担当課長や上層部から睨まれていた。
何と云われようと単独捜査を行うのであったが、検挙率は警視庁切っての辣腕であり、ナンバーワンを誇っていた。
そんなことから嫌われてはいたが、文句は言えなかった。
事件が起きた時に「合同捜査会議」には出るが、話を聞くだけで、自分の意見は云わなかった。
警視庁内部ではやりずらい「鬼警部」であった。
そのために部下を持つこともなかったのである。
そんなある日、事件が起きた、、、警視庁捜査一課では普段なら扱わないのであるが、、大きな事件の捜査が無かったので、、現場に捜査員が数人出かけた。
流川京十郎も何となく現場に出かけて、現場検証に立ち会ったのである。
四谷の裏通りの十字路での引き逃げ事故であった。なんの不思議もない交通事故であり、若い女性が車に曳かれたという事故のようであった。
何を思ったか、、流川京十郎は付近の監視カメラを調べて覗いてみたら、、疑問点が出たのであった。
これは流川京十郎が持つ、刑事の勘であり、、監視カメラの中の動きに不自然さを感じたのであった。
これは単なる交通事故ではないぞ、、、巧みに工作された「殺しだ」と、、彼は動物的な本能で直観したのであった。
誰しもが交通事故で片付けてしまう事件として扱われて終わりである。
しかし、流川京十郎の勘は違っていた。今までにも人と違った見方から、度々事件を解決したのであった。
一度、疑問や疑惑を持ったら、、納得するまで究明していくのが彼の捜査方法であった。今
回は疑問を持ち。。そして、彼独自の捜査がはじまった、
2)疑惑を抱いた交通事故
ただ単に交通事故として扱われた、今回の轢逃げが不自然に思えたのであった。
そして、数少ない監視カメラを探して調べた。
やはり、、どう見ても可笑しいと思い、何度も何度も見たのであった。
引いた車の動きが可笑しく見得た、、歩く女性を目掛けて発信させたような気がしたのであった。それで、引き逃げされた女性を調べた。
普通に考えたら、その女性はその引かれた場所には絶対に来ない筈で有った。
その場所を歩いていることはないのであった。
そんな女性が世田谷区成城の街角で車にかれる筈がない、、、なんか不自然であり、謎が潜んでいるような、、鬼警部の勘には閃いたものがある。
そこで、引き逃げされた秘書課の女課長「大和田光代」について調べてみた。
彼女はやり手経理ウーマンだったので、、抜擢されて大東京銀行の代表取締役、大河内要之助の秘書課勤務となり、大河内要之助の無くてはならない秘書課長になったのであった。
そんな大東京銀行に脱税汚職の疑惑があり、、警視庁捜査二課と検察庁の捜査がはいっているのであった。
そんなことから、流川京十郎は今回の交通事故は偶然に起こったものではなく、故意に図られた交通事故だと勝手に判断したのであった。
そこで、大和田光代は世田谷成城の誰に会いに来たのか調べる必要があり、、関係者を調べてみた。銀行関係ではいないのであった、、流川警部が調べた限りでは、またまた、謎が残った。
3)大和田光代は誰を訪ねたか。。。
流川京十郎は疑問に思ったひとつである、、大和田光代の尋ね先を調べた、、まずは「大東京銀行」の中の役員で東京都世田谷区成城に住んでいるものはいないかを当たったが居なかった。
そして、昔仲間の警視庁の捜査力を利用して、、大東京銀行の株主を調べてもらった。
個人株主で資産家の大株主が一人いた、「太田黒清三」で、、世田谷区成城に住んでいた。
その太田黒清三の家が、今度の交通事故現場から近かったのである。
それだけの理由では今回の交通事故には繋がらなかったが、、流川京十郎警部には疑うのには十分であった。
そして、大和田光代は大東京銀行の頭取である「大河内要之助」の秘書で有り、何らかの連絡係りをしていても不思議ではなかった。
ましてや「脱税及び贈収賄容疑」で警視庁第二課及び検察庁の捜査が疑惑を持ち、捜査をして居るのであった。
そんな大東京銀行の疑惑の中での交通事故で有るので、流川京十郎警部は疑い興味をもったのであった。
一旦気にして、目を付けた事件には貪欲なまでに執拗であった。流川警部は突っ込んで調べることにしたのであった。
今までに目を付けて、捜査を始めたら、、必ず仕留めていたのである、、その捜査には違法的なことも有り、、強引な捜査なので「極悪刑事」の異名をとっていた。
警視庁捜査一課に顔を出した流川警部は、、「流川、、お前の今、捜査している事件は二課と検察庁が追っているので、、邪魔をするなよ、、」
と、、捜査一課長の江戸三郎に釘を刺された。
「分かっていますよ、、課長。。俺も二課と喧嘩するつもりはないから、、大丈夫だよ、、」
と、、返事をする流川警部であった。
「お前が、、分かったわ、、は危ないからな、、まずは分かっていないな、、しかし、、気をつけろよ、、」と、、云ってくれた。
単独捜査が好きな流川警部だから、、どうせやるだろうと思っていたのであった。
江戸課長は流川警部の性格を知っているので好きにやらせることにした。
4)流川京十郎警部、当たらずとも近付いた。
流川警部には何も言っても、走り出したら無駄であった、それを知っている江戸課長は好きにやらせていた、、捜査はどこかで一緒になっていくことを分かったいた。
今回の交通事故が不自然であることを、捜査一課も疑っていたのである。
警察も馬鹿ではない、、、それを表立って動いては「捜査二課」との問題が起きるのであった、、、今は流川警部に任せておけばいいのだと、、江戸課長は結果を待っていた。
「いいか、、、俺たちが動けば目立つ、、しかし、流川警部が一人で動けば、責任はあいつのせいになる、、、だから、やらせておけばいいのだ、、」と、、
江戸課長はほくそ笑んでいた。
そして、流川警部は信じてた、、、必ず、突き止めると、、、
彼の刑事としての勘、、捜査力を分かっていたのであった。
流川警部は一人で動き回っていた。そして、、大東京銀行の脱税疑惑も明らかになり、、取り引き先の「光友不動産株式会社」との贈収賄事件も訴訟にまで持ち込まれた。
しかし、大和田光代秘書課長の交通事故は未解決であった。
どうしても、流川警部は「殺人事件」に持ち込みたかったので、立証に必死であった。
今回の贈収賄に絡んで、世田谷区成城に住んでいる「太田黒清三」に目を付けていた。
彼は「光友不動産(株)」の顧問をしており、、政界財界に顔が利く、大物権力者、それも悪名高き、やり手だった。更に始末が悪いのは「組織暴力団暁会の会長」でもあった。その地位を利用して、大和田光代を抹殺するくらいは朝飯前だった。
流川警部は事件の流れを掴んだので、、証拠固めをしていた。
どうせやるなら、、流川警部は「殺人」を起こした実行犯よりも、、強引でもいいから「殺人教唆」で大物「太田黒清三」を吊り上げたかった。
流川警部は密かに思っていた、、、「今に見てろよ、、ふんぞり返っていられるのも、、娑婆に入れれるのもあと少しだからな、、、待ってろよ、、古狸、、」と、、闘志を燃やしていた。誰にも出来ないことをやるのが「俺」だって、教えてやるよ、、と、、
5)流川京十郎警部、、大いに怒る。
流川警部は政界財界の権力者であり、「組織暴力団」の会長でもある、、、「太田黒清三」の捜査を始めたら、、すぐに政治的な圧力がかかった、、横槍である。。
流川警部は警視庁刑事局本部長の「黒田清輝警視正」から呼び出されて。。「太田黒清三」に関する捜査を打ち切る様にと指示を受けた。
「なぜ、、贈賄の疑惑がある容疑者の捜査を打ち切るのですか、、、」と、、一言だけ文句を云った。どうせダメと分かっていたが、、流川警部は意地を見せたのであった。
「誰が止めるものか、、止められるものならやってみな、、首を掛けて、てめえ、、と心中をしてやるからな、、、糞くらえ、、」と、思いながら刑事局長の部屋から出て来た。
刑事対策課の江戸課長が待っていた。
「大丈夫かよ、、京十郎、、無理するなよ、、、やっぱりな横槍か、、まったく、やりずらいよな、、刑事をやってられなくなる時があるよな、、、でも、、頑張れや、、」
と、、励ましてくれたような、冷やかしてくれるような言葉が返ってきた。
流川警部は「ふざけやがって、、、誰が、お偉いさんの言うことなんぞ聞くものか、、今に見てろってんだ、、」と、、憤慨しながら警視庁を出た。
江戸課長は期待していた、、、あれだけ怒った京十郎は久しぶりだった。
あいつならやるぞ、、と思いながら、、他の捜査員には「京十郎には出来るだけ、協力をしてやれ、、」と、、声を掛けて置いた。
少々、やきもきした気分で、昼間からやっている飲み屋に流川警部は顔を出した、その店は、、
「パラダイス」といった、、「太田黒清三」の組織暴力団暁会の経営している店であり、、麻薬密売や売春の噂の多い飲み屋であり、、ごろつきの溜まり場でもあった。
そこには組、組織員も入れば、半端な極道もいる、、いわゆる流れ者や無法者が集まっていたので、、裏社会の情報が得られやすかったのである。
そこには義理人情の世界もなく、、全てが「金次第」の薄汚れた世界であった。
流川警部はチョクチョク顔を出していた。
悪人仲間からは「極悪デカ」と呼ばれていた。何でも手を出し、、情報を手に入れていたので、
非情な極悪人と思われた居た。
「旦那、、、久ぶりですね、、情報が回っていますよ、、、旦那には近づくな、、情報を流すなと、、、」と、、教えてくれたのは流川警部が情報屋として使っている、、「通称、鼠」であった。すばしこっくて、度胸もあり、知恵もあったので、、流川警部は面倒を見ていたのであった。
「旦那、、気を付けて下さいよ、、あんたの命を狙っている奴が居るからね、、それと、、あんたには賞金首が出たよ、、、いくらだと思います、、、1000万だからね、、此処へは来ないほうがいいよ、、、躍起になって狙うから、、何かあったら、俺の方から連絡するよ、、」
と、、云って「鼠」は消えた。
「そうか、道理でよそよそよしかったわけだ、、、ありがとうよ鼠、、オンに着るぜ」と、、云いながら、流川警部も警視庁に戻った。
これからは外出す時には「防弾チョッキ」をつけて、拳銃携帯で出掛けることにした。
そして、そこまで警戒していて、ガードを固めたのには、やはり、調べれられて不味いことがある証拠であったと確信した流川警部であった。
そして、彼は燃えた、、燃え上がったのである。
6)賞金首にされた流川京十郎警部、、、
流川警部は確信をしたのであった。あの「太田黒清三」が流川警部に危険を覚えて、政治力でも圧力をかけても迫ってくる、猪突猛進の鬼警部に危機を感じて、抹殺を計ったのであった。
命を的にされた流川警部は、そこまでやるなら、、とことん命がけで、追い詰めてやると覚悟を決めたのであった。
ここまで宣戦布告をされたので有るから、本人は穴倉からは出てこないだろう、罠を仕掛けておびき出さなければ、そう思いながら考えた。
東京芝浦に有る倉庫街の「パラダイス」に、網をはり、、罠を掛けてやろうと、、流川警部は芝浦桟橋に立ち並ぶ倉庫街に顔を出した。
すると、、情報屋の「鼠」がやって来て、、、「旦那、、気を付けてよ、、、奴らは本気で狙っているからね、、、今日あたりは狙う奴らが、うろうろしてるから、、本当に気を付けてな、、俺は何にも出来ないが、、勘弁してよ、、、あいつらに狙われたらたまったもんじゃないから、、命いくつあっても足りないのでね、、なんかわかったら、必ず知らせるよ、、、」と、、云って離れていった。
流川警部はいつでも撃てるように「拳銃」を確認した。今日は彼は拳銃を二丁持っていたのである。。
流川警部から情報屋「鼠」が離れた瞬間に一発の銃声が響いた。
彼のすぐ傍のカウンターの上に有ったビール瓶が割れた、、流川警部は拳銃を構えた。
そして、撃ってきた方角に銃弾を放った、、、一人の男が倒れた。
「おい、、、俺は警視庁の流川だと分かって、、撃っているんだろうな、、いいか、、俺は容赦なく撃ってきた奴を殺すぞ、、いいな、、」
と、、流川鬼警部は怒鳴った。
そして、、「死にたい奴は出てこい、、」と、、云いながら威嚇発砲をしたのだった。
今回の襲撃犯は逃げたが、、次がいつ襲ってくるか分からなかった。
銃弾を撃ち込まれた流川鬼警部は「パラダイス」の監理事務所に乗り込んだ。
頭に血が上っていた流川鬼警部は、いつもはやらないが、、事務省に入るなり、拳銃を数発撃ち込んで入って行った。
やくざと云えども、拳銃を撃ちこまれては動けなかった。。
「どうしたんですか、、流川の旦那、、今日は、、」と、、取り繕う間もなく、、、
「ふざけるなよ、、、太田、、手前が居ながら、俺に弾を撃ち込ませたな、、、返答によっては殺すぞ、、、」
「太田、、お前、、俺の賞金首の事は知ってるな、、、」と、、拳銃を向けられて聞かれた太田は、、「知ってますよ、、しかし、、俺たちは上からの命令でも、そんなことはしませんよ、、
本当ですから、、いつも旦那には助けてもらっていますので、、」と、、答えた。
「少しは義理を知っている積りですよ、、」と、、云うことに嘘はないと思えた。
賞金首は半端者が金欲しさにやっていることですよ.、、とも言っていた。
「流川の旦那、、俺たちやくざ者にも義はありすよ、、どんな命令でも聞く時代は終わってますよ。。無理な押し付けはヤクザの世界でも、跳ね返されますよ今は、、筋の通らない無理は駄目なのですから、、俺でさえも跳ね返しますから、、、」と、、今回の賞金首の話は組織内でも問題になってるんですから、、と、、うちわ話をしてくれた。。刑事で無かったら舎弟分に成りたいほどの男意気である鬼警部であった。
7)やくざに好かれた鬼警部
流川鬼警部は悪人には滅法強いが、、やくざにも好かれれる警察官であった。
彼はめちゃくちゃ強い男であったが、義に熱く、情にも優しい刑事であったので、陰ひなたに味方がいた。
組織のトップから指示があっても、背く不良ややくざが居たのであった。
それで、「パラダイス」の責任者である暁会の幹部の太田次郎が教えてくれた。
「旦那、、やくざの中にあんたを殺そうと思う奴は居ないヨ、、、今回の太田黒会長の指示を守っているのは若頭大枝恒夫ぐらいだから、、でもな、、気を付けてな、、」と、、
言ってくれたのであった。
「ありがとう、、、恩にきるよ、、、」と言ってパラダイスの事務所を出た時だった、、
一発の銃弾が飛んできた。流川警部に命中して、その場に倒れた、、、しかし、、防弾チョッキをつけていたので、鬼警部は助かった。
流川鬼警部を襲った狙撃犯が近づいてきた、、、流川鬼警部は寝ながら、、近付いた犯人を撃ち殺した。
そして、襲ってきた狙撃犯の脚を撃って、動けなくしたのであった、流川警部は射撃では一流だった。狙ったら外すことは無かった。
起き上がった流川警部は、脚を撃たれて動けなくなった狙撃犯を捕まえて、拷問に近い取り調べをした。そして,、吐かせたのであった。
流川鬼警部は録音を執った、、、若頭大枝恒夫の指示であることを認めた、鬼警部の拷問に耐えられなかったのである、、、鬼警部は自分を殺そうとした人間を許すわけがなく、その場で撃ち殺したのであった、極悪刑事と言われる所以である。
これで2度、3度と狙われた流川鬼警部は、、暁会本部のある赤坂の事務所に乗り込んだ。
そして、暁会事務所に入るなりに、数発の銃弾を撃ち込んで、、、
「若頭の大枝恒夫、、居たら出てこい、、、」と、、更に銃弾を撃ち込んだ。
その撃ち込まれた銃弾の奥の部屋から、、大枝若頭が出て来た、、、
「なんですか、、いきなり、、銃を撃ち込んだりして、、刑事だからって、そんな無茶をするなら許さなねぇーよ、、」と、、粋がって怒鳴って来た。
「バカやろう、、、ふざけるなよ、、、殺人教唆の現行犯で、お前を逮捕するよ、、分かったか、、」と、、更に数発を撃ち込んだ。
そして、傍にいたやくざ者に手錠を投げて、、大枝に嵌めろ、、、と命令を出した。
「こら、、お前だ、、:やらないなら、お前を撃ち殺すぞ、、」と、脅してやらせた。
そして、大枝若頭を引っ張り出して、連行していった。
警視庁殺人課での「殺人教唆容疑」での逮捕だった。
警視庁内部でも慌てた、、、警視庁内部の上層部からの通達で、「太田黒清三」には関わらないようにと指示が出ていたのであるから、、、
警視庁殺人課の江戸課長はすぐに上層部に呼びつけられた。
流川警部に伝達されたが、、「馬鹿野郎、、何が関わるなだよ、、俺が的に掛けられて撃たれたんだよ、、、俺を殺そうとした奴は正当防衛で殺した、、然し、それを指示した大枝若頭を逮捕して何が悪い、、こら、、出てこい、、内部の悪党ども、、」
と、、怒鳴り廻していた。
証拠があるのに、無視するのか、、徹底的にやってやるぞと、、、息巻いた流川鬼警部であった。
ここまで来たら、政治的な権力で納めることは不可能だった。
と、、怒鳴りながら、逮捕した大枝若頭を警視庁内の留置所に入れた。
その様子を見ていた江戸課長たちは、、、内心で「やれやれ」と応援したのであった。
ここまでくると刑事局長の一存では決められずに、、「警視総監」が出てきたのであった。
そして、法律の元にすべてを合法的に取り調べて、証拠固めをして起訴するより仕方がなかったのである。
全てが流川鬼警部の思うように進んだのであった。
8)流川鬼警部は強引に暴力団暁会の若頭を逮捕した。
警視庁内部では騒めきだしたのであった、、政治的圧力により、、「太田黒清三」には構うなと言い渡したのに、その足元を掬ったのであったから、、、
そんなお達しなど「くそくらえ、、、」という考えで動いた流川鬼警部だった。
常に、、「やれるものなら、、やってみな」の命がけの捜査であるから、、怖いものは無かったのである。
正しいものは正しい、、、何が悪いという度胸の元の行動であった。
警視庁上層部でもどうにもできない行動であり、政治的圧力も、警察内部の威圧でも聞かないのだった。
流川鬼警部は暁会若頭大枝を締め上げてやると、、思いながら作戦を練っていた。
さあ、、取り調べを始めようと、留置所から、若頭大枝を連れてくる指示を出したのであった。
すると、留置所内で若頭大枝恒夫が殺されたと言うのであった。
朝の洗面の時間に、別の房の容疑者が二人がかりで、大枝恒夫と喧嘩になり、、二人のやくざ者に絞殺されてしまったのである。
流川鬼警部からみたら計画的に殺されたと見えたのであったが、、喧嘩相手のやくざ者はあくまで、喧嘩の上のいざこざからと言いはったので、、それ以上の追及は出来なかった。
流川鬼警部は警視庁内部の手引きがあって、証拠隠滅のための「太田黒清三」の謀略だと思えたのであった。
これでまた、、逃げられたと思ったが、、「くそ、、今に見てろよ、、」と、、流川鬼警部は燃えた。
内心、やられたと思えたのであった、組織暴力からの攻めは出来なくなったから、次の手段を見つけるまでは、太田黒清三を泳がして置くしかなかった。
権力者であるためには「資金」が必要だったので、、その資金回収のルートを見つけてやると、流川鬼警部は捜査を始めた。
中途半端な資金では人は動かせない、、太田黒清三の場合は人格では人は附いてこない、、金と暴力の二刀流しかない筈だ。
その資金元を探して、息の根を止めてやるよりしか方法はないのだった。
前回の脱税疑惑の時の「大東京銀行」絡みの取引先の企業の中に資金元が有る筈だと狙いをつけて、情報屋たちからも情報を集めて、関係企業の捜査を始めたのであった。
情報屋「鼠」も動いてくれた。
そして、怪しい動きのある企業が浮かんできたのである。
流川鬼警部の刑事としての「勘」はずば抜けたものを持っていた。
そして、、町金融の「毒島金融株式会社」と、、「大橋スクラップ再生株式会社」に突き当たったのである。
毒島金融(株)は黒い噂の有るやくざ金融であった、闇金融であり、貸し出す先は組織やくざであり、その資金は「覚せい剤密輸」及び「銃密輸」などに巧妙に使われていた。
また、「大橋スクラップ再生(株)」は窃盗物でも盗品でも買い入れる噂の有る業者であり、その手口は巧妙であった。
警察関係も目を付けていたが、一向にボロを出さないで、盗品買をしていた。
今はやりの「太陽光発電の銅線買収」を安く買入れているが、窃盗犯には都合のいい、、業者であった。
それら三流の業者を利用して、荒稼ぎをして、資金を創って、陰の権力者面をしていたのであった。
今に潰してやるからと、流川鬼警部は闘志を燃やしていたのである。
「大橋スクラップ再生(株)」は隅田川の川筋にヤードを構えていたので、、踏査がてら見に行った、、、隅田川の春の桜堤は見事に咲いていた、、、遠山の金さんではないが、、見事に散らしてやるからな、、待っていろよ、、太田黒清三、、お前のドス黒い、黒の花弁を隅田川に散らしてやるから、、、と、、一人、ほくそ笑んだ、鬼警部であった。
9)太田黒清三の急所を見つけた「流川鬼警部」
流川鬼警部は、上層部の命令指示を無視して行った。そんな時に警視庁刑事部長「柳沢藤蔵」は、自民党幹事長「大内佐一郎」に呼びつけられた。
そして、政治的圧力による横槍が入れられた、、
「なぜ、、柳沢刑事部長、、流川京十郎を止められないのだ、、あんたの出世も此処までかな、、何とかしたまえ、、、」と、告げられた。
「申し訳ありません、、今回は警視総監勝象二郎が決済を出しましたので、なんとも出来ないのです、、誠に申し訳ありません。。」と、、謝った。
そして、、「分かった、、わしの方で何とかする、、あんたは引っ込んでいなさい、、」と、、帰された。
柳沢刑事部長は自分の出世を諦めたのだった、、出世の道を絶たれたような気がしたのだった。それならと、、覚悟を決めて、流川鬼警部の考えを応援する羽目になった。
警視庁に戻った、柳沢刑事部長は流川鬼警部は呼んで、、伝えた。
「流川警部、、今回の太田黒清三の件は、精一杯やりなさい、、いいかな、、中途半端ではやめるなよ、、どうせやるなら、、最後までな、、」と、、背中を押してくれた。
警視庁としては、政治的圧力に面と向かって立ち向かう、体制を整えて、立法に対して司法は毅然とする戦いを挑んだ。
そして、自民党幹事長「大内佐一郎」は政治力を掛けて、検察庁に圧力を向けたのだった。
検察庁としても、困って、、警視庁警視総監「勝象二郎」に助けを求めてきた。
しかし、、上層部の管理職だけでは対応できない状況になっていたので、、検察庁は申し入れを断られた。
これで、太田黒清三は窮地に陥ったのであった。
自民党としても、司法と正面切っての喧嘩は出来なかった。政治政党としても、自分たちの道が不味いとなったら、、たとえ、権力者であろうとも、見切らなければならなかった。
そして、、太田黒清三という権力者は、政治にも見放されたのであった。
いつまでも「金力」と「暴力」で、世の中を捻じ曲げて来た、悪人権力者が歩く道はなくなったのであった。
そんな状況を知った「太田黒清三」は消えたのである。
流川鬼警部は、隙を作ってしまって、、今回逮捕した、暁会若頭大枝の判決が出るまではと、、検挙を控えてしまったことであった。
この間に、太田黒清三は逃げたのであったが、、流川鬼警部は何処までも追いつめてやろうと決意したのであった。
10)太田黒清三は闇夜に消えた、、、
太田黒清三は、政治的なごり押しが出来なくなり、、司法を敵にしたのだから、逃げ道はひとつであった。
彼得意の暗黒の闇夜にしか生きる道は残されていなかった、、、他の世界の人間と違い、あくどく活きるすべは持っていたのである。
金と暴力は残っているのだから、、闇の世界では活けるのであった。
強い人種であった、、、太田黒清三は表舞台からは消えたが、彼には「裏舞台」があった、
やくざと言う社会の「寄生虫」は何処にでも、住めるようだった。
一旦、表舞台から消えると厄介であった.どんな人間にでも変身できるので、、
やりづらいのは「金」が有って「暴力」が有るから面倒なのであった。
世間体を気にせず、、何でも出来るので困ったものなのだ。
太田黒清三は裏舞台演出家になり、、世の中の都合の悪い人間を舞台から側の人間となり、、闇の暗殺者となるのであった、
誰に遠慮することなく、権力者が、政治的な力ではなく、暴力の支配者となって、金の力だけで依頼を受けて、邪魔者を抹殺していく「闇の暗殺者」となるのであるから、、ますます始末が悪く成ってしまった。
流川鬼警部は初めから逆らっていたのだから、なんとも思わなかったが、、今回、権力者であった太田黒清三に刃を向けた官僚たちは、毎日、おどおどしていた。
そして、一番先に逆らった、警視庁刑事部長の「柳沢圭吾」は毎日、脅されて、びくびくしていたが、、ある日、交通事故で死亡したのであった。
次は当時、太田黒清三の意に従わなかった、自民党の大内佐一郎幹事長は何とか太田黒清三に連絡をとって謝罪をしようとしたが、すでに手遅れだった。連絡が取れなかったので慌てた。
しかし、やくざの世界では裏切りは許されなかったのである。
そして、大内佐一郎幹事長は女と温泉旅行中に旅先の川で溺れて死んだのだった。
そんな話を聞くと恐ろしく成り、、誰でも死ぬことは怖く、暴力的な支配に屈伏してしまうのであった、、、そして、、今度は「闇の暗殺者」が怖く成り、恐ろしさのあまりに、言うことをきくこととなってしまったのである。
「闇の暗殺者」が裏の権力者となり、、社会の表舞台も裏舞台も支配してしまったのであった。
流川鬼警部は「闇の暗殺者」を追って、燃えたのである。
11)太田黒清三、闇に消える、そして陰の権力者に
太田黒清三は闇に消えてから、以前より強引な悪徳権力者になったようだった。消えた太田黒清三は誰彼はばかることなく、己の思うままに動き出したのであった。
流川鬼警部もやりづらくなった。進出鬼没であったために、予測がなかなか出来なくなったのである、、更に住所不定になってしまったので、、追跡調査が思うように出来なくなってしまった。
太田黒清三が会長を務めるやくざ組織「暁会」は若頭大枝が逮捕されているので、副若頭の斎藤龍二が会長太田黒清三の指示で動いていた。
しかし、その実態は分からなった。
現実に太田黒清三の意に従わなかった、警視庁の刑事部長は交通事故で、更に自民党幹事長の「大内佐一郎」も旅先で死亡していたのである。。そんなことから、以前より「太田黒清三」の権力は強くなった。
始末が悪いの彼が表舞台に出てこないことであった。
そして、「闇の権力者」となり、、政界にも経済界にも圧力をかけて、悪行を撞いる尽くしてることであった。
流川鬼警部は「クソ、、忌々しい野郎だ、、必ず、尻尾を掴んでやるからな。。待ってろよ、、」と言いながら、
闇の権力者になった「太田黒清三」を追い求めていた。
流川鬼警部は充てもなく、、無法者の溜まり場、、「パラダイス」を覗いてみた。
情報屋の「鼠」と久し振りにあった。
「おう、、鼠か、、久しぶりだな、、どこへ消えていたんだよ、、
お前の顔を見ないと寂しいな、、、、」と、云いながら流川鬼警部は鼠に近付いた。
「ご無沙汰してます、、、ああ、、そうだ、、旦那、この前ですが、有馬温泉で珍しい人に会いましたよ、、」と言いながらにやにやしていた。
「誰だと思います、、、旦那、、あんたが知りたい人ですよ、、あの太田黒清三ですからね、、俺もびっくりしましたよ、、」
「そうか、、お前のことだ、、調べたんだろうな。。」
と、、言うなり、、鼠は話してくれた。
いくら探しても消えていた「太田黒清三」が有馬温泉にいたのであった。
全ての情報を鼠から貰った、流川鬼警部は有馬温泉に飛んでいった。
用心深い奴だから、常に塒は変えているだろうが、念の為に出かけたのであった。
12)有馬温泉で、追い込む
流川鬼警部は情報屋「鼠」から聞いた有馬温泉の「太閤の湯温泉」を訪ねた。予約していた部屋に入り、とりあえずは温泉にと、、、今までの疲れを癒した。
有馬温泉は「鉄分を含んだ赤い湯」と「炭酸の白い湯というか透明な温泉」があった、一つの温泉で2種類の温泉を楽しむことが出来た。
その昔、豊臣秀吉がこよなく愛した有馬温泉には「太閤の湯」とか、太閤となずけたゆかりの物が多かった。そんな感傷に浸かりながら、流川京十郎は温泉に一人静かに温もりにしたっていた。
そんな時に数人の男達が入って来た、関東の人間らしかった。
そのうちの一人が,大きい声じゃあ、云えないがな、、「少々、親父にも頭に来るな、、最近の親父は我儘が過ぎないか、、兄弟、、」とか話していた。
その話を聞いていた流川警部は、、「こいつら、やくざ者か、、それに関東か」と、思いながら、もしかしたら、暁会のやつらかも知れないな、、と、、
聞き耳を立てていた。
警視庁切っての極道刑事、流川鬼警部が聞いているとも知らずに、話を続けたので、他の者ならいざ知らず、内容はほぼ理解できた。
やくざ者たちの話では「太田黒清三」はまだ、有馬温泉にいるようだった。それも近くに、、どうやら、この「太閤の湯」に逗留していたのだ。
流川鬼警部は内心憑いていると思った、、、まさかというところにいたのである、、ホテルでそれとなく聞いたら、離れの「特別室」にいた。
追い求め、やっと、探し当てた獲物だった。というよりは恋人に会うようにわくわくしたのであった。
夕食を済ませた流川鬼警部は背広姿に着替えて、、太田黒清三の離れに訪問したのである。
突然、尋ねられた「太田黒清三」も驚いたが、、さすが、大物と言われた権力者であった。
鬼警部が挨拶をしても、慌てなかった、、傍に控えたやくざ者たちがおろおろしていたのである。「太田黒会長、、今夜は私も私用で温泉に来ただけですから、、ご挨拶に来ただけです。
お元気なご様子でよかったですよ、、表舞台に出てこないから、心配してました。。」
と、、挨拶をして、流川鬼警部席を立とうしたら、、、
「まあ、、急ぎ旅じゃあなそうだ、、どうですか、、こうして会えたのですから、、一杯ぐらい、付き合いませんか」と、、盃を勧められた。
傍についていたやくざ者たちは落ち着かなかったのである、賞金首がいるのであるから、、
どうしたらいいか、分からなかつた。
そんなことには一向構わずに、二人は盃をかわしながら、談笑をしていた。
帰り際に、流川鬼警部は一言だけ呟いた、、「会長、、いずれはそのうちに、お邪魔しますので、、楽しみに待っていてください、、」と、、、
太田黒清三会長も「君もな、、精々首がいつまでも、繋がっているようにな、、今夜は楽しかった、、いい酒だった、、」と、、送り出してくれた。
二人の闘いは終焉に近付いているような気がする 、流川鬼警部だった。
有馬温泉の湯煙の街に、静かに男の炎は燃えた。
13)有馬温泉から帰った鬼警部は、、、
流川鬼警部は有馬温泉では、太田黒清三の確認をして、元気だったのでやる気を、ますます起こしたのであった。
流川鬼警部は姿形が見えなかったので、少し不安だったのである。
余りにも表舞台に出てこないから、、もしかしたら、死んだのではと疑ったくらいであった。
しかし、有馬温泉で悪人丸出しの男が厳然として、元気だったので安心感も出て、太田黒清三という「影の権力者」に燃えた。
太田黒清三の事だから、もう、有馬温泉からは姿を隠しただろう、、
そんなことを思いながら、一つの足掛かりになるだろう「パラダイス」を訪ねた。
監理事務所に太田次郎は相変わらずいたが、、「旦那、此処のパラダイスは経営者が変わったんですよ、、俺もついでに組を抜けましたんでね、、子分たちのことを考えてくれない会長なんかは糞くらえですよ、、愛想がついたんでね、、、」
そんな話を太田次郎はしてくれた。
「噂ですが、、大阪の方へ拠点を移したそうですよ、、もともと、太田黒会長は大阪が極道への出発なので、、、古巣へ戻ったみたいですね、、今のところ、俺の知っていることはそんなとこです、、
何かあったら連絡しますけど、、気をつけてよ、、あの会長はしつこいから、、、蝮みたいな男だからね、、、」
と、、教えてくれた。
「ありがとうよ、、」礼を述べてパラダイスを出た流川鬼警部である。
警視庁に戻った、鬼警部は調べた、太田黒清三の古巣のやくざ組織を、、今は「大阪天王寺一家」が名称を改めて「大阪天王寺興行株式会社」となって、太田黒清三の実弟が跡目を継いでいた。
成合は「金融業」を手広くやっていたのである。
流川鬼警部は「なるほどな、、」と、、合点がいった。
悪は悪人らしく、用意周到に権力者になるための準備をしていた。
「影の権力者」とか「影の暗殺者」とか言われても可笑しくない組織創りをしていたのであった。
流川鬼警部は特別捜犯の江戸課長に報告をして、事情を説明したうえで、承諾をもらったのである。
14)大阪での捜査
流川鬼警部は新幹線で大阪に向かった。長期出張なので安いビジネスホテルを探して宿泊をすることにしたのである。捜査目的の「大阪天王寺興行(株)」が大阪市天王寺駅近くにあったので、その周辺の「ホテル天王寺」に決めての捜査活動であった。
まずは警視庁で調べた住所から会社のある所在地を訪れた、、5階建ての立派なビルで、しかも本社ビルとなっていた。そこで法務局に行き、会社謄本と土地謄本を取ってみたのである。
流川鬼警部は感心した、土地も建物も「大阪天王寺興行(株)」の名義になっていた、相当、あくどい金儲けをしているようだった。
会社の代表取締役は太田黒清三の実弟「太田黒征四郎」が登記されていた、実務実権は太田黒清三であろうと想像がつく。
会社所在地の周辺での聞き込みをすると、、やはり、あくどい「金貸し」で、暴力団だった。
その後は大阪府警天王寺警察署を訪問した、流川鬼警部であった。
そして、暴力対策課「通称丸棒」の浜田警部補が応対してくれたので、流川鬼警部も警視庁特捜部の手帳を示したのである。
そこで「大阪天王寺興行株式会社」のことを聞いて、浜田警部補から現在の状況を教えてもらった
古くからの大阪の「天王寺一家」の流れを組む博徒であり、もともと、天王寺周辺を縄張りとしていたが、今は「金融業」を主体とした、企業やくざであると 、、
金融業と言っても早い話が「高金利の金貸し」で、誰にでも貸すが、その取り立ては厳しいとのことであった。
しかし、法律で定められた金利範囲なので、文句は言えなかったらしい。
その取り立てには情容赦がなかったので、その間に関してはトラブルは起きていたが、問題が大きくなると「顧問弁護士の田沼正二郎」という、悪名高き弁護士事務所が対処していたので始末が悪かったのであった。
あくどい金貸ではあるが、全てを合法的して居るので、警察としては手出しが出来なかったのである。
流川鬼警部は浜田警部補から話を聞き、大枠では理解できた。あの太田黒清三のことがやることだから想像は付いた。
そして、浜田警部補にお礼を述べて、今後の協力もお願いして引き上げた。
大阪での捜査活動も最初なので少し疲れたので、、好きな酒でも飲んでからホテルへ戻ろうと思い、、酒どころを探そうと、夜の赤提灯街を歩いてみた。
秋も深まり、夜風が少しだけ肌寒く感じるようになったので、程よい暖かさの酒が恋しくなってきたのだった。
赤提灯がぼんやりと綺麗に見えた、小ぎれいな縄暖簾を潜り、入って行ったカウンターだけの中に一人の美人ママらしき女(ひと)が一人いた。
流川鬼警部は何となく「いい店だ、、大坂にいる間はここで呑もう」と決めて、カウンターに座った。そして、熱燗での日本酒を頼んだのであった。
15)流川鬼警部の強硬捜査
ビジネスホテルで目が覚めた流川京十郎警部は、ホテルで朝食をすませて、、太田黒清三の事務所に出かけた。。。
こせこせ、捜査するより本人に、まずは会ってやれと言う、、捨て身の戦法を執ったのであった。
金融業をしている「大阪天王寺興行(株)」の看板の出ている事務所に入って行き、、「ごめんよ、、太田黒清三会長はいるかな、、警視庁の流川京十郎が来たと伝えて欲しいんだが、、、」と、、受付の女子社員に告げた。
「はい、、分かりましたけど、太田黒会長は見えてません、、」と、、云われた。
そして、「太田黒会長は約束をしないと、こちらに、来ることはありませんが、、何か約束はありましたか、、」と、、聞かれた。
ガードが固く、しっかり太田黒清三は守られていたのである。
やはり、大阪の場合も太田黒清三は隠れて、陰の支配者になっていた。何とか、太田黒清三を引きづり出さないと、、、
なんか旨い餌を巻かないと駄目だと考えた流川鬼警部であった。
そんな時に情報屋の「鼠」を思い出した。
そして、早速連絡を取った、、暫くすると、情報屋の「鼠」から電話が入ったのであった。
丁度、「鼠」は京都に来ていたので、その晩に会う約束をした。
昨日、行ったばかりの赤提灯の「曙」を教えて、待ち合わせをしたのである。赤提灯街の灯りが真っ赤に燃えているような飲み屋街であった。
鼠は7時丁度に来てくれた、、流川鬼警部はカウンターの隅に座って待っていた。
「悪いな、、京都に来てる、お前を呼び出したりしてな、しかし、お前が頼りなんだよ、、」と、、言いながら、酒を勧めた。
「いえ、、いいですよ、、旦那には世話に成ってますからね、、こんな時にしか役に立ちませんで、、」と言いながら、、鼠はビールしか飲まないことを告げて、冷たいビールに変えてもらった。
「いいお店ですね、、、酒好きな旦那にはぴったりですよ、、」と、、挨拶をしてから本題にはいった。
鼠は流川警部とだけが分かるような話し方をしたのであった。
「旦那が知りたいのはあの有馬温泉の人でしょう、、やはり、消えましたか、、、そうですか、、、」と、、鼠は大阪の仲間を使って、探すことを約束してくれた。
「旦那、東京では若頭があんなことになったので、副若頭が頭になって、狙っていますよ、、しつこくね、、会長の件は引き受けましたけど、、気を付けてくださいよ、、」と、、鼠と1時間ぐらいは食事をしながら飲んだのだった。
鼠が帰った後、流川警部は一人で酒を呑んだ、寒い冬なので熱燗は五臓六腑に染み渡った。
他に客もいなかったので、、ママが話掛けて来た、ママの名前は砂由美と云った。
「はずれたら、ごめんなさいね、、お客さんは刑事さんですか、、」と、聞いてきたので、刑事では不味いかな、、と、、聞き返した。
「いえ、そんなことはありません、、心配しないでください」と、、言いながらお酌をしてくれた。
そして、美味しい料理を出してくるれので、嬉しくもあり、料理を楽しんでいる京十郎であった。
暫くは捜査で大坂にいるので、寄らせてもらいますと、、言って、その晩は大阪の冬の風を受けながら、ホテルに戻った。
そして、情報屋の鼠の連絡を待つことにしたのである。
16)情報屋「鼠」から連絡が、、、
流川鬼警部は楽しみに「鼠」からの連絡を待っていた、、その待ち合わせ場所が
赤提灯「曙」だった。しかし、待ち合わせ時間になっても「鼠」は来なかった。
代わりに来たのは、「鼠」の仲間で託を持って来てくれた。
「すいません、、流川さんですか、、、大室さん「鼠の本名だった」から、これを預かってきました、、」と、、メモ書きを渡された。
そして、、鼠がこれ無い理由を聞かされたのである、、太田黒一家に殺されたというのであった。太田黒清三会長の住処を聞きこんでいた時に、太田黒一家にその聞き込みがバレて、掴まり、誰に頼まれたかと、、拷問されたという噂ですが、確かな殺され方は分かりません、、と、言って、そのメモ書きを持ってきた男は帰って行った。
流川鬼警部は「くそ、、鼠すまんな、、勘弁してれ、、」と、、地団駄を踏んだ。
そして、、「鼠、仇は執るからな、、本当に済まなかった、、」と、、心の中で手を合わせた。「あの、太田黒の野郎、、必ず、しとめてやるぞ、、今にみていろよ、、」と、鼠の為の「弔い酒」を飲んだ。
流川鬼警部の目には「鬼の涙」が零れた。
「曙」の砂由美ママは無言で、酒を注いでくれた。その晩は黙って酒を呑んで、流川鬼警部は帰って行った、その夜の世風は冷たかった。人の世の儚さを知った夜の帰り道だった。
17)流川鬼警部の目に涙が、、
流川鬼警部は怒りに燃えた、、都合が悪ければ抹殺するという、太田黒清三のやり口にはどうにも我慢が出来なかった。今回の情報屋「鼠」の、死には悔し涙が溢れた。
彼は悪党ではあったが、「義」を弁えた子悪党だった。そして、流川鬼警部には協力もしてくれたし、考え方によっては「良き友」でもあった。
独りホテルに帰った流川鬼警部は、今回は自分のために、わざわざ、京都から,来なくてもよかった大阪で殺されてしまったのである、心から済まないと、手を合わせて謝り、祈った。
流川鬼警部は、もし仮に、この世に天国があったなら、「鼠」には成仏して欲しかったのである。
「ありがとう、、わが友よ、、」と、一人、涙したのであった。
」に誓ったのである。
太田黒清三に関する確かな情報源の一つが消えたのであった。
東京駅へ着いた,その脚で芝浦桟橋へ向かったのだった。そして、流れ者たちの溜まり場でもある「パラダイス」を訪ねた。
そして、元「暁会の幹部」の太田次郎のいる、事務所に顔を出した。
「あれ、、暫くですね、、旦那、元気でしたか、、、そう云えば鼠が大阪で殺されたってね、、噂が入って、、きましたよ、、太田黒会長に、、」
「そう何だよ、、実は俺が頼んだ件でな、、本当に済まないことをしてしまったよ、、」と、、言いながら、頼みがあって,お前のところに来たことを話した。
「そうですか、、まだ、太田黒会長には手をやいているみたいですね、、あの人は腹黒狸みたいだから、、大変ですよね、、」と,、同情してくれたのだった。
「兎に角、あいつは逃げ足が速くてな、、いつも、後手に回ってしまう、、この前、有馬温泉で会った時にケリをつけて置けばよかた、、」と、、後悔している流川鬼警部だった。
「旦那、、鼠と同じくらいに、悪知恵の回る情報屋を一人,紹介しますよ、、そいつは、あだ名がルパンという男ですが、、明日、来ますので、此処へ来てください、、」と言われた。
そして、次の日に決められた時刻に、流川鬼警部は太田次郎を訪ねたのである。
「旦那、この男がルパンですよ、、、名前は名乗りたがらないので、おいおい、聞いてください」と、、一人の小男を紹介してくれた。
「ただし、、このルパンは金をとりますよ、、それで寡黙だし、、いい仕事をしますから、、それは俺が保証します、、使って見てください、、料金も後払いで、納得しない情報なら払わなくても大丈夫ですので、、」と、、太田次郎は言ってくれた。
流川鬼警部は、太田黒清三の調査を依頼した、、連絡はルパンからの一方通行であった、、
始めは太田次郎が仲介をして、連絡を問いますから、信頼関係が出来たら直接の連絡をということになったのである。用心深い男だったので、逆に流川鬼警部は安心したのであった。
そして、流川鬼警部はパラダイスを出て、、警視庁にも寄らずにに大坂へ向かったのである。
今度こそは、太田黒清三を逃がさないぞと覚悟の上での大坂入りであった。
18)情報屋「ルパン」から連絡が、、、
流川鬼警部が大阪のホテルに着いた時だった、情報屋ルパンから電話が鳴り、太田黒清三の隠れ家が分かった、、神戸にある「六甲山の高級別荘地の一角」に城壁のような塀を巡らした屋敷に居たのだった。
その砦のような屋敷からは外には出ずに、指令を出していたのである。
そんな訳で消息は掴めなかったのだった。
その砦のような屋敷の前に立った、流川鬼警部は考えた、真正面から行っても出てこないだろうし、どうしたものかと、、、少しばかり困った。
太田黒清三も今度ばかりは逃げないで、屋敷で悠然と構えていることと思うのであった。
まさか、流川鬼警部が、自分の屋敷の前まで来ているとは夢にも思わないだろうと、、安心はしていた。
しかし、普通の警察官とは違うのであった。
泥棒の真似をしても、中に入ろうと考えていた流川鬼警部である。
太田黒清三のことだから、警備は固くしていると思われた。
しかし、何かある筈だと、様子を見ていて、今更、捜査令状を取ったところで間に合わない筈であり、、そんな情報は流れて、太田黒清三には逃げられるのであった。
そんな時に、出前が正門の脇にある、くぐり戸から入って行った。出前は寿司屋で、流川鬼警部はしっかり、寿司屋の名前を覚えた。そして、その寿司屋を訪ねた。
流川鬼警部はその寿司屋の大将に会い、事情を説明して、了解してもらった。最初は大事なお客なので出来ないと断られたのであるが、太田黒清三の素性を話し、とんでもない極悪人であることを、流川鬼警部は説明して納得してもらった。
彼の為に、どれだけの人が、、ただ,欲徳の為に殺されたかを話したのである。本来は捜査内容を話してはいけないのであったが、、そして、今回は自分が一人で、乗り込み、社会の悪人を退治することまで話したのであった。
寿司屋の大将も流川鬼警部の覚悟を聞いて、「分かりました、、いいでしょう、、おなたの男義に感じました、、、協力しましょう」と、言ってくれた。
「私が、失敗して、、太田黒清三の一派に殺された時には、大将、、あなたにも迷惑が掛かりますので、
その時は警視庁特捜班の江戸警視課長に連絡してください、、守ってくれますので、、本当に無理な頼み事で申し訳ありません。」と流川警部は大将に頭を下げた。
「いいですよ、、あなたも命がけで、国民の為に闘っているんですから、、頑張ってください」と、、言って、その寿司屋の出前用の車を貸してくれたのであった。
流川鬼警部は感謝し、、寿司屋の出前の半纏まで貸してもらって、すし皿の受け取りに出かけたのである。流川鬼警部は覚悟を決めていた、、半纏の下には防弾チョッキを付けて、彼得意の拳銃を隠した。
流川鬼警部も今度ばかりは問答無用の「極悪刑事」に成りきろうと、、、、
19)流川鬼刑事、決戦へ
流川鬼刑事は太田黒清三の堅固な城攻めを始める決意をして、出前のカラ皿を受け取りに太田黒邸の正門脇の潜り戸を叩いて、開けられた小門から中へ入った。
警護の者も不審に思わずに、流川鬼警部を入れてしまったのである。
その後は太田黒清三宅の裏口に廻り、、堂々と邸宅内に侵入して行き、、来ていた寿司屋の半纏を脱ぎ捨て、大声を出した。
「おーーい、、太田黒、、出て来い、、今から行くぞ、、覚悟しろよ、、」と、、怒鳴りながら奥へ進んだ。
途中から警護のやくざ連中が出たきたので、、、
流川鬼警部は出て来て、前を遮る奴らに片っ端から銃弾を撃ち込んでいった。情無用の銃殺であった。
騒ぎを知った太田黒清三は慌てて、、警護のやくざ達を叱咤しながら、大声を張り上げていた。
「馬鹿野郎、、何をもたもたしてるんだ、、相手は一人じゃないか、、早く、片付けろ、、みんなを集めて、撃ち殺せ、、」と、怒鳴り廻していた。
しかし、流川鬼警部の方が進入が早く、迎え撃つ、やくざ簾中の方が後手後手に回っていたのである。
「どけ、どけ、、邪魔するな、、お前ら雑魚には用がないんじゃ、、死にたくなかったら、どくんじゃ、、」と、叫びながら、拳銃を撃ち込み、やくざ達を片付けて行った。
そして、銃を構えた警護のやくざ達に守れた部屋に、流川鬼警部が入って行った、、一斉に鬼警部に銃弾が放たれたが、、同時に流川鬼警部も撃ち返した。
やくざ連中も全員倒れた、、流川鬼警部も撃たれた、、しかし、力を振り絞って、太田黒清三の前に立ち塞がったのである。
そして、、「太田黒、、今日はお前の命日だな、、死ねや、、」と言って、これでもかと銃弾を撃ち込んだ。
流川鬼警部は太田黒清三の最後を確認してから、床に膝まづいたのである、、
「やっと、、決着がついたな、、、少し、疲れたよ。。」と言いながら、撃たれた流川鬼警部も倒れた。
警視庁特捜部の江戸課長は大阪府警から連絡を受けて、飛んで来ていた。。江戸課長は特捜部の仲間を引き連れて、大阪府警の力を借りて乗り込んで行ったのであった。
そして、倒れた流川鬼警部に駆け寄り、、「しっかりしろ、、死ぬなよ、、京十郎、、こんなに撃たれやがって、、救急車呼んで有るからな、、死ぬなよ、、馬鹿野郎、、」と、、抱きげた。
20)誰を守る、、警察とは、、捜査とは、、、
流川鬼警部は倒れて、、救急車で運ばれた。運ばれる救急車の中には、江戸警視課長が付き添っていたのである。
「死ぬんじゃあ、無いぞ、、お前みたいな阿呆はいないよ、、いいか、、死ぬなよ、、」と、、祈りながら病院に着いた。
流川鬼警部には家族は居なかった、恋女房はいたが、やり過ぎた捜査の果てに、逮捕した犯人の家族の恨みをかって、殺されたのであった。その日から、彼の犯罪を犯した者への態度は変わった。
捜査態度も一変して、一人捜査が多くなったのである。
そして、犯罪者、特に権力者に対しては容赦なく対応していった。まるで、復讐者のような態度で、、誰の言うことも聞かなく、強引な捜査をして行くようになった。
しかし、、そんな捜査をする流川鬼警部を、陰ひなたで援護していた江戸警視課長であった。
組織第一にしている警察の中に、流川鬼警部のような、権力者に立ち向かう捜査官が居てもいいと、、思っていた江戸警視課長であった。
そんな意味でも、流川鬼警部には死んで欲しくはなかった、
警察がなんであるか、、国民の安全を守るために、誰にも出来ない、持つことの出来る「捜査権」があるのではないのか、、、
その捜査権を束縛したり、、抑止のために圧力をかけるような、警察であってはならない、、、そう、思い、信じていた江戸警視課長であった。
一人、手術室の前で、、待っていた時間は長かった。
手術室の赤い灯りが消えて、担当医師が出たきた、、そして、、
「命は取り留めました、、、凄いですな、、あれだけ撃たれて生きていることが不思議です、、」と、、江戸警視課長に告げた。
「よかった、、、本当に良かった」と、、呟いていたのである。
第二話「桜田門一家の戦い、、無常道」
「無常道」原作者 献残屋藤吉郎
1)非情な無常道を走る刑事
この世には巨悪な悪事を働き、、弱者を叩き潰す悪人が多い。
その巨悪に立ち向かう熱血漢刑事の物語で、、傷つき痛められようと立ち上がる男もいるのだった。今の世のなか、、弱きものが悪人になることも有り、、悪人が正当化されてしまうことも多い、、変な世の中でである。
間違いを間違いと云えないようなことも有るのだから不思議なのだ。
それを「間違いだ」「悪いのだ」と言える人間に成りたいもの、、、しかし、、捻じ曲げらることも有るような、、、
世の中で起きる事件にはいろいろある、、「殺人」「強盗」「傷害」「談合」「脱税」「贈収賄」
とあるのだ、、、それにかかわる関係事件と多種多様だ。
しかし、、人は何故、悪行をするのだろう、、誰も悪行はしてはいけない、、と人は思うのである。
この世に生まれたばかりの幼子や子供たちには「悪事」をやろうとか、悪行をしてやろうとかの心は無い筈だ、、、あったら、それは「悪魔」だ。
その純真無垢な人間が社会の波や風に吹かれていくうちに、世の中の「ごみ」が染みつき,やがては知恵となっていくような、、、
それがいい知恵であれば善行の道を歩き、、卑しき、悪知恵であれば悪行の道を歩くのかも知れない。
そんな世の中で、悪行に走った人間を取り締まる人間も必要なのだ。
だからこそ、、間違いのない正しい道へ導くためにも、警察や検察、司法機関が必要な筈であり、、、
間違った取り締まりや間違った判決は駄目なのである。
しかし、世の中は矛盾ばかりが横行する、、、権力や金力で、法律を捻じ曲げることも有るようだ。
そんな時こそ、、矛盾をただし、、、非情なまでにも悪を正す力が必要であり、、規則を守る
非情なまでの「無常道」を歩かなければならない。
2)警視庁特捜部、、詐欺集団を追いかけて。。
警視庁の中には「詐欺集団や詐欺師」を専門に追いかけ、取り締まっている「特捜部」がある。
世の中には騙される人が多い。。そして、騙す人間が居るのだ。
通常「詐欺」は捜査二課が担当している、、知能犯係は特別な捜査員が追跡をしている。
最近は携帯電話の普及、特にスマートホンによる、「詐欺が多い」のだ、、、特に老人が騙される、、、「投資詐欺」とか「オレオレ詐欺」とかが多い。
スマートホンによる詐欺が多く、、つい、うっかりとメールなどを空けていまうと、、それだけで騙されるようだ、、、
騙す側に、知恵の働く、、スマホの扱いが旨い人間が居ると堪らない、、、情報化時代であるから、、、うっかり「カード暗証番号」などを教えてしまうと、、自分の預金通帳から現金が引き出されて利用されるのだった。そして、利用された現金は数日後には戻されているのであった、、
その数日間に現金は利用されて、その現金で儲けて、元金だけは戻されるのだから始末が悪い。。その利用する金額が大きいほど、儲けは大きい、、、
これはスマートホンがあっての悪行だ、、、一時的には詐欺行為であるが、、一時的に借りて、元金を戻すのだから、、本質的には執られていないのだった。
とんでもない詐欺だ。
しかし、今どきの詐欺は「スマートホン」を利用して、、世界中のどこからでも指示が出来て、詐欺が出来るのだから、、どうして防げばいいのか、、特別捜査班が必要になってきたのであった。
これから、ますます、、増えるであろう携帯電話に関する詐欺事件には防ぎきれないこともあり、、問題が多すぎると思われる。
高齢化社会に向かって便利になった携帯電話に絡んだ、詐欺を防ぐのは容易ではないように思われた。
特殊班の活躍が期待される。
3)ますます増える知能犯、若者に、、
現代は「パソコン」「スマートホン」という風に、電子化社会に進でいる。
どうにも高齢者には棲みにくい社会になってきたようだ。
すべてが、いずれは「カード化社会に」行政も「マイカード」を、推し進めている。
銀行もすべての金融会社でも、、便利なカードを進めている。
まるで「犯罪」を推奨しているようだ。
最終的には全て、自分のする側の都合にしか見えないのだ。
行政は「カード化」することにより、管理が容易となり、、税金などの回収が簡単に管理できるという便利さからではないのか、、、「盗難防止か言っているが、少し意味が違うような、、、金融関係も管理が一目で分かり、金を集中管理が出来るという一言のような、、盗難がどうのこうの言うなら「現金」が一番安全なのだ。
いろんな各種の販売店でも、レジでの計算が簡単になり、、経費節約となることが多く、、その設備投資は馬鹿にならない。。。
あらゆることで、「カード化」は利点が多いようだが、、難点、欠点もある。
そんなかでの、盗難防止を防ぐことも困難である。
「カード化」すればするほど、、進むのが「頭脳的詐欺」だ、、、機械化すればするほど、増える犯罪でもあり、、対応する人間が機械に特化した
人間が必要になってくるのだった。
やはり、、パソコンやスマートホンの取り扱いに慣れた、若い年代の捜査官を養成しなければならないようだ。
そこ で警視庁特別捜犯として「特別電子化組織捜査班」を設けた。
指揮官に吉良純一警視を任命したのであった、年齢は30歳の若さであるが「電子工学」に長けた東大卒業のエリート官僚だった。
ただエリートというだけでなく「空手4段の猛者」であり、、射撃も警察の中で優秀であった。
かと思えば「落語愛好家」でもあり、、ユウモアもあった。
そんな指揮官の元に全国の警察署から、選び抜かれた「電子工学の猛者」が集まって来た。
4)特別電子化組織捜査班が動き出す。。。
警視庁特捜部の中に「特別電子化組織捜査班]が、設けられた。警視庁内部でもあまりにも問題になって来た「知能犯による組織サギ」を撲滅するために本部刑事部長境原浩一郎警視正の指揮下に設けた捜査班であった。
そのトップに東大卒業のエリート官僚の吉良純一警視が任命されて、その部下に全国の電子工学の猛者を集めたのであった、その猛者は10名ほどであった。
好き勝手にパソコンや携帯電話などの電子機器を操って来た、犯罪集団を撲滅するための「狼煙」を国家権力の組織警察が挙げたのであった。
やる気にな成れば、国家暴力組織の警察が一番だった。
吉良純一警視はやる気十分な若さもあり、、心配す家族もなく、後ろ髪惹かれるものとていない一人身であった。
全国の警察署から配属になって来た警察官も、独身者が選ばれた。
組織犯罪、特に知能犯と言われる、頭脳的犯人と対処するには決められた時間もなく、、始まったら終わるまで、、これで良しという終わりはなかった。
24時間、世界中を相手に戦うことしかなかった。
眠ることがなかったのである、、、電子犯罪は休みがなく、、常に闘わなければならなかった、、、殲滅させるまで終わりがないのである。
その覚悟で吉良純一警視は就任したのであった。
そして、全国から集まって来た電子工学の専門警察官を前にして訓示を言い渡した。吉良警視の覚悟を伝えたのだった。
「特別電子化組織捜査班」は警視庁庁舎の最上階に設置されて、部屋中にパソコンなどのコンピューターがびっしり詰まったいた。まるで、何かの研究所の様相を呈したいた。
そんな部屋には常に,科学者のような警察官が10人ぐらい、パソコンを捜査していたので、、警察署とは思えなかった。
常に機械とのにらめっこのような捜査員が、無線や携帯電話で連絡を取りながらの捜査なので、今までのような歩いて、車で追跡捜査をするのではなかった。
そして、詳細が分かった時に、警視庁庁舎の一階に待機していた,機動捜査部隊の警察官が動き出す仕組みになっていた。
その機動捜査隊は常に完全武装で、目的地に向かう体制が出来ていたのであった。
機動捜査隊の隊長は大石隆警部で、荒法師と言われる坊主出身の殺し屋でもあった。
「電子化組織捜査班」が入手した情報をもとに、速やかに動き出して、「振込詐欺」や「投資詐欺」の指示者の元を急襲していた。
そして、どんな場所であろうとも、殲滅をしていたのである、、、必ず、何らかの指示があり、何らかの方法で連絡を受けた手段を見つけ出しての、、組織犯罪対策であった。
目的は詐欺グループの撲滅であった、、、従って、逮捕が目的ではなかった。
あくまでも撲滅をはかり、、容赦なく一人残らずに皆殺しを狙っていた。
電子化による詐欺集団の全滅を狙っての、犯罪撲滅国家権力であった。
誰もが「詐欺を働き」人の金を騙しとったら、、命は助からいぞという、、国家威嚇であった。
詐欺という手段で人の物を執ったり、騙したりしたものは「裁判もへちまも無いぞ、、」という国家の脅しであった。。
やるからには「死」を覚悟して、詐欺をしろという、、最後通達であり、死の宣告を与える警察署であるぞ云う姿勢を示していた。
5)詐欺集団に情けは無用。。。
吉良純一警視班長は詐欺集団の元凶である「組織暴力団」を殲滅すことが大事ではあったが、、目の前の実行犯を潰していく方が早道だと考えて、、特別機動捜査隊の大石警部と打ち合わせをしたうえで、、ローラー方式で撲滅することにしたのであった。
詐欺をしたら、、人を騙したら、、許さないという方針で、詐欺集団に臨んでいった。
そして、吉良警視特別班は「特権」を持って、「振込詐害」や「投資詐欺」の関係犯罪人には容赦なく排斥していったのである。
「罪」の重い、軽いは関係なく、同罪と見なして、殲滅を計っていったのであった。
詐欺をしたら、、見つかる、見つからないに関わらず、、詐欺行為に携わったら「死刑」だと思い知らせることが大事であった。
起訴してから、裁判がどうだとか、、罪が軽いとかも言わさせずに、、詐欺をしたら「死刑」になると思わせることが必要な気がする、世の中だ。
詐欺集団の犯人の「人権」とか言うけど、、騙された人間の人権はどうするのだと、、と、、云いたい。
そんなことを考えながら吉良警視班長は、特別機動隊隊長の大石警部と会って、お昼を一緒に過ごした。
そして、機械に囲まれ、、詐欺悪人に囲まれ、、悪人面に囲まれている警察署内から、二人で逃げ出した。
桜田門外の日比谷公園にいた、、、木陰のベンチに座り、、少しでも緑の風にあたりたかた、、そして、二人は無言でベンチに横たわっていた。
二人の警察官は警視庁でははみ出して居た、、、上層部のお偉いさんからは、、、
「我が国は法治国家なのだから、、犯人検挙の際には、出来るだけ無傷で逮捕して、射殺は控えるようにと、、、」指示を受けていた。
しかし、日本の裁判のなまるっこさを嫌い、、ついつい、、過剰逮捕に走ってしまっていた。
そんな二人は検挙した後の後始末を見ながら、、いつも笑みを浮かべて頷いていた。
過剰防衛の逮捕劇に、、、、
悪事を働く人間に情けは無用なのだと、、、言い聞かせて犯人逮捕の現場に臨んでいた。
悪行を働くものを許してはいけないのだ、、、間違いを正して、云うことを聞くのは人間も3歳ぐらいなものだ、、、だから、間違ってやったという「悪事」「悪行」は無いのだから、、罰するしかないのだと、、、吉良警視班長は思うであった。
庭木が間違った方向に延びれば剪定をするのだ、、森の木々も余計な枝は切り落とし、、花も余計な枝葉は取り除く様に。。人の世界の悪人は「悪行」は排斥しなくては、、
出来れば早い方がいい、、、、
6)騙す人間は「人間の屑だ」容赦なく叩け、、、
詐欺事件の犯罪組織撲滅班の責任者となった「吉良警視班長」は情無用と取り締まりを容赦なく始めた、同時に機動特別捜査班の大石警部隊長も検挙の際の協力を惜しまずにしてくれた,その成果も挙がり、詐欺犯罪の検挙率が高く成り、、詐欺犯罪組織を少しは怖がらせ始めたのであった。
携帯での高級アルバイト募集が目立って、減少をして来たのであった。それは表面上のことかもしれないが、、その広告は無くなって来た。
詐欺行為の「呼子」や「受け子」は逮捕された時のリスクが大きく成り、、間違えば命を失うことが起きるようになった為であった。
吉良警視班長の方針は当たったようであるが、、まだまだ、振り込み詐欺や投資詐欺は減少しなかったのである。。
元の悪人たち、、組織やくざは悧巧であるから、、違う方法を考えたようだった。
吉良警視班長達は見つけなければならなかった。
悪人たちはまた、、何かを見つけたような、、、吉良警視班長は考えた。
何かある筈だと、、、そうしないと、オレオレ犯罪が出来ないのだから、、詐欺した資金を回収する方法を考えた筈で有る。
そして、吉良警視班長は組織犯罪班の捜査員にも考えてもらった。
直接、受け子などを使わずに、詐欺した資金の回収方法を、、、今の時代はやはり、、利用するのは「カード」であった。
そのカードの「暗証番号」を聞き出す方法手段を考えたのであった。
その結果、今なら「高齢者狙い」を徹底してやれば、、「下手な鉄砲も数うちゃ当たる」の例えで、電話攻撃をかけてくるようだった、
その電話攻撃をするアルバイトの募集は、懲りない携帯電話募集を掛けていたのだった。これも「犬も歩けば棒に当たる作戦」で、数多く出しているようだった。今の時代、携帯電話、スマートホンを止めることは不可能だった。
まるで悪業をするために、犯罪を起こすために有るような気がするものだった。
しかし、何かある筈だと思いながら、悶々とする吉良警視班長だった。
毎晩、桜田門一家の屋上にあがり、、夜空の星屑を眺めながら、、黒い闇の世界を恨んだ、、何故に流れ星のように、きれいな人たちが流されていくのだろうと、、止めることの出来ない流れ星か、、、
7)吉良警視班長は考えた、、詐欺防止を、、
悪行を働く詐欺集団の屑人間たちは、更にどうしたら、人を騙せるかと考えていたのである、、、騙される人を守るのは難しい、、騙す悪を、目につくところから叩き出すことを考えた。
電子工学犯罪部門で、徹底的にサーバー乗っ取りを考える奴を見つけ出して、潰していくという、、地道ではあるが、どんな小さな携帯電話利用違反でも見つけ出すことに集中もした。そして、不審と思う記事を叩き出していく方針を執っていったのである。
犬も歩けば棒に当たるとか、、下手な鉄砲も数うちゃ当たるとかであった。
そして、どんな小さな不審点も見つけ出す方法を執っていったのである。
何処までも追いかけて、極刑にして行った。
詐欺は呼子も売り子もみんな同じであるという考えから、、罰していった。
此処までの犯罪なら軽いとかはなく、「騙し」は悪行で有るから、許してはならないのであった。
そうすることにより、罰が重いので、恐ろしく成り、やらなくなるという作戦をとっていったのであった。
極端な話が「人を騙したら死刑」という、、「死」が待っていることを知らせたのである、、騙しをしたら「死」だと、、簡単に手を出せないように仕向けたのであった。
「呼子」をさせられたから「勘弁してください、、二度としません」は無いのだと、、
「受け子」だとは知らないでやったも「無いのである、、絶対にダメなのであった、、」
この世で人を騙して、「金」を巻き上げてはならないのであることを徹底させることを、目的とした犯罪取り締まり係りなのであった。
吉良警視班長は容赦なく行ったので、、いつのまにか「鬼警視」と呼ばれるようになった。桜田門に咲いた「鬼花」であった。
8)吉良警視班長、暴漢に
警視庁組織犯罪班の吉良警視班長は、余りにも強引な捜査手段方法を講じていたので、警察内部でも少々、問題になっていた。
しかし、「オレオレ詐欺」や「投資詐欺」が減少していることも事実であり、、効果が出ているので無下には駄目とも言えなかった。
そうは言っても「マスコミ」などでも叩かれているので、警視庁上層部としては頭が痛かったのである。
肝心の吉良警視班長は一向に気にしていなかった。
上層部が何を云おうが、、無視であった。。云えば、、「そんなんことを云うなら、、自分を首にすればいいじゃあないか、、」と、、居直るのであった。
始末が悪いのだ、、悪行や違反をしている訳ではないので、、、
そんな吉良警視班長が狙われているという噂が入ったが、それも無視であった。
少々、甘く見ていた悪組織の暴力を、、ついに、狙われたのだ。
吉良警視班長の昼食は日比谷公園の中で販売している「ほっドック2本と、その店のミルクセーキ」が好きで、よく食べていた。
天気のいい日は決まって,日比谷公園のベンチで、木々に囲まれて過ごすのが日課であった。
そして、日当たりのいい、ベンチでうたた寝をするのが好きだったのである。
そんな吉良警視班長の日常を調べて、一番隙を見せている時に狙われたのであった。
吉良警視班長は銃弾を数発、撃ち込まれ即死状態で、連絡を受けた。
警視庁殺人課の捜査員が駆けつけたが、息絶えていたのである。
警視庁上層部では連絡を受けて、、「やっぱりな、、」と、、ため息が出ていた。
しかし、慌てた、、すぐに、上層部では次期責任者を決めなければならないこともあって、もめたのである。。
9)特別機動隊捜査班の大石隆一隊長を抜擢。。
吉良警視班長と共に組織犯罪逮捕に貢献していた、特別機動隊捜査班の大石警部を組織犯罪班の責任者に抜擢したのだった。
大石警部は組織犯罪班の捜査員とも顔馴染であり、気心が知れていたので、引き継ぐことに支障が少なかったことも有ったのである。
そして、吉良警視とも気が合っていたので、、今回の暗殺は許せなかった、、何が何でも大石警部は自分の手で、検挙したかったのだった。
吉良警視班長の捜査は強引ではあったが、、詐欺集団には効き目があった筈で、、かなりの痛手であった。そのための報復手段であり、、詐欺集団にとって、吉良警視は目障りだったからの暗殺であったのだ、、、そんな道理が通って溜まるかと、、大石警部班長は憤慨していた。
吉良警視を暗殺した詐欺集団は、そのグループを動かして、反ぐれ集団の辰巳会を操っている「関東連合東西会」だと睨んでいたのである。。吉良警視はその組織暴力団に的を絞り、追い詰めていったのであった。
関東連合会東西会の目黒浩二若頭の逮捕の為の証拠固めをしていた矢先の狙撃であり、狙いは若頭検挙の阻止のためであった。
引き継いだ、大石警部班長は燃えていた、、そのために、違法ではあったが潜入捜査もしていたのである。
なにがなんでも、組織暴力団の勝手な暴力に対しては、国家暴力で対抗しようとしていた。
そして、、大石警部班長は、自ら捜査にも参加して、反ぐれ集団辰巳会の覚せい剤密売を
していた、辰巳会の幹部の大森三郎を現行犯で逮捕して、強制的に吐かせたのであった。
新宿歌舞伎町での一斉取り締まりの網にかかったので、、大石警部班長は半ば、拷問的な攻めをしたのだった。
吉良警視が暗殺されていたので、、大石警部班長は殺してもいいと思い、大森三郎をゆさぶったのである。
そして、、そのまま、反ぐれ集団辰巳会の事務所に急遽、乗り込んでガさ入れをしたのだった、、その結果、覚せい剤を押収、更に銃刀法違反で拳銃と日本刀を押収した。
更に、反ぐれ集団辰巳会リーダーの辰巳修一を検挙したのであった。
その後の取り調べの結果で東西会へのガさ入れの足掛かりをつけようとしていたのであった。
10)吉良警視の後を引き継いだ大石警部班長は敵討ちと燃えた。
組織犯罪の撲滅を狙い、、吉良警視は電子工学の専門家で構成する捜査班を立ち上げ、「オレオレ詐欺」や「投資詐欺」などの捜査や摘発を強行的に行い、指揮してきた、吉良警視が暗殺をされて、その逮捕に協力してきた大石警部特別機動隊の隊長が吉良警視の後を引き継ぎ、燃えたのである。
大石警部班長は「詐欺集団」の元締めは組織暴力団が巧妙に操っていることは分かっていたので、、組織犯罪班は反ぐれ集団の辰巳会代表「辰巳修一」を逮捕してから、攻めまくり、更に関東連合会東西会の幹部、大森三郎も逮捕して、二人の東西会幹部と傘下の反ぐれ辰巳会のリーダーを徹底的に、拷問に近い形で吐かせたのである。
関東連合会東西会の若頭目黒浩二を「暴行教唆」で、検挙に連合会事務所に向かったが逃げた後であった。
完全に逃亡したのである、、大石警部班長は組織犯罪班を上げて、東西会の目黒浩二若頭を追ったが、行方をくらました。
地下組織に隠れ、、指示を出していたのである。
大石警部班長も、亡くなった吉良警視も元を絶たなければ、、臭いものには蓋をしろ、、の考えだったので、関東連合会東西会を潰さなければ、今回の一連の「詐欺事件」は解決しないと、、、全力を挙げて、若頭の目黒浩二を逮捕しなければ、と、、動いていた。
関東連合会東西会でも、目黒浩二若頭の指令で、吉良警視の時と同じような「暗殺命令」が出ていたのである。
その情報が入った時に、、「ふざけれな、、、馬鹿野郎、、二度と同じ手は食わぬわ、、」と大石警部班長は警戒をしていた。
「来るなら、、来てみな、、皆殺しにいてやるぞ、、、」と、言いながら手ぐすねを引いていたのである。
東西会も必死であり、、桜田門の警視庁に、、一人の男が入り口で大石警部班長に発砲したのであった。警視庁の警察官が居るところで、、しかし、防弾チョッキを付けていたので、命拾いをしたが、、、警察官が集まり、、騒めいていた間から一発の銃弾が撃ち込また。敵も考えての命がけの殴り込みであった。
大石警部班長は右脚を撃たれたのである。警察側は不味いと思い、囲みを人波で警護したのである。
犯人たちは捨て身であり、鉄砲玉であった。
11)大石警部、、大いに怒る
桜田門一家の警視庁入り口で狙われた大石警部は怒りに燃えた。。
「嘗めたことをしてくれたな、、警察をなんだと思ってんだ。」
腹から憤慨した。
負傷した大石警部は、入院中のベット中から組織犯罪班の部下たちに指示を出したのである。
「俺が退院するまでに、、狙撃犯の身元を調査しておいてくれ、、どの係よりも、突き止めて置く様に、」と、強く厳命をしたのであった。
吉良警視に引き続き、またも、担当責任者を狙撃してきた、「詐欺グループ」集団の悪行を許す訳にはいかなかったのである。
警察の威信とかではなく、大石警部の誇りが黙ってはいられなかった。。そして、大石警部班長は松葉杖を附いて、早めに退院して、陣頭指揮にあたったのである。
何がなんでも、今回の様な暴挙を認める訳には出来なかったのだった。
警視庁の上層部が何と云おうとと、、強引でも、関係暴力団事務所を急襲しようとしていた。
その為の、どんな小さな「綻び」でも探して、こじつけてでも、その関係やくざ組織を潰してやろうと考えていたのである。
秋も深まり、年末が近づき、騒がしくなってきた初冬の街に、大石組織対策班は動き回った。
そして、組織対策班の沢田警部補が常に使っている情報屋の「街の蝙蝠」と言われる男から、耳よりの情報が入って来た。
関東連合会東西会の逃げた目黒若頭の隠れ家が分かったのである。
すぐに組織対策班の沢田警部補たち精鋭を向かわせたが、またしても逃げられたのだった。
大石警部は不思議に思った、、その時、大石警部は考えたのだった。あまりにも早い逃亡であったので、、情報が洩れているのではと疑いを持った。誰か通報者がいるのではないか、、警察内部に、、
そんなことまで考えるようになった。
大石警部班長は、、なんとなく理解が出来た、、吉良警視が暗殺されたのも、大石警部自身が狙撃されたことも、全て、情報が洩れていたのだと、、
この「詐欺集団グループ」の捜索に関しては、捜査員を厳密に調査して、選び抜かなくてはと、、少数精鋭で、検挙時には当たらないと駄目だなと思ったのである。
そして、信頼のできる沢田警部補と、、組織対策班の中から、寡黙で行動力の有る警察官を3人選んだ。
そして、突入するまでは特別機動隊には場所を告げずに、行動を起こすことにしたのであった。
今度こそは、逃がすものかと沢田警部補たちが網を張ったのである。
12)詐欺グループを殲滅するためには、、、、
大石警部班長は負傷した傷も痛々しく、松葉杖を付いての指揮であった。
常に隠れて、甘い汁を吸っているやくざ組織を崩さなくてはと思う、大石警部班長であった。人を騙して、人の物をもぎ取る行為を許すことが出来ないという、一心で捜査に臨んでいる大石警部班長の指揮する「組織犯罪班」であった。
その詐欺犯罪も、文明の発展の科学の成果である「携帯電話」が利用されているという皮肉が悲しかったのである。
詐欺犯罪の被害者には高齢者がほとんどであることも皮肉であった。
騙す側は携帯電話特に「スマートホン」の扱いに慣れている悪人たちが、、文明の成果の「スマートホン」の扱いに不慣れな高齢者が騙されているのであった。
騙される人の話を聞くと、恐ろしい、、知らず知らずの間に、詐欺の道へ導かれてしまうのだった。
その騙された人も80歳近い人だったので、、携帯に入ってくるメールには手を出さないことが肝心であると言っていた。
誘導が巧みであって、気が付くと詐欺集団の罠に嵌ってしまうらしい。
騙されないためには、知らないメールは無視することが一番だと、、、防犯側のガードである。
そして、警察署関係に相談することが大事であり、、素人判断をしないことである。
知らないことや知識のないことを知ったふりはしないことが肝心であった。
その為に、どんな小さな情報でも、大石警部の組織犯罪班は捜査を繰り返し,見逃がさないことを、各捜査員に指示を出していた。
「いいか、、どんな小さな情報も漏らすなよ、、、それからな、、内部情報を漏らすなよ、、いいな、、」と、、強く言い渡したのである。
そんな捜査体制の中で、関東連合会東西会の目黒浩二若頭の潜伏先の情報が入ったので、、大石警部班長は沢田警補たち、数名に特別捜査機動隊20数名を待機させながら、隠密裏に動いた。
年も明けた冬の寒い明け方だった、、場所は箱根の別荘地の一角の隠れ家を取り囲み、蟻の出る隙も無いくらいに特別捜査機動隊を配置した。その別荘の裏手は芦ノ湖で有るので、もしもとい
うことで船も手配していたのである。
箱根の朝は雪が降っていた、、まるで忠臣蔵の討ち入りさながらであり、、大石警部班長も松葉杖支度で、陣頭指揮をしたのであった。
大石警部班長の合図の元に、乗り込んだ、、銃声も鳴り響いたが、正月気分でいた東西会の連中も取り押さえられて、その中にパジャマ姿の目黒浩二若頭も、負傷しながら雑じっていた。
そして、、大石警部班長は目黒浩二若頭を、沢田警部補と二人だけで本人確認をしたのちに、、「やっと、、会えたな、、目黒さんよ、、あんたは人間の屑だ、、この銃撃戦で死んでも
誰も可哀そうだとは思わないからな、、俺があんたを殺してやろうか、、
お前なんか、正当な裁判など駆ける価値もないからな、、」と言いながら拳銃を目黒若頭の額に当てた。
「なんだよ、、あんた、警察官だろう、、そんなことしていいのかよ、、」と、、食って掛かってきたので、
「何を寝惚けてやがる、、そんな口を、一兆前に聞くなよ、、この野郎」と、突き付けていた拳銃で。目黒若頭を殴りつけた。
「いくら、殺しても飽きたれねぇ、、野郎だ、、、俺を他の警察官と同じにみるなよ、、」
と、、言って、もう一発殴りつけた。
そして、若頭目黒浩二の脚に銃弾を一発撃ち込んだのである。
13)東西会本部を急襲
大石警部班長は、ここで一気に関東連合会東西会を殲滅してやろうと、目黒浩二若頭を検挙した勢いで、東西会本部事務所を急襲した。箱根山荘襲撃から日をおかずでのガさ入れだったので、
東西会もまさかと、少々油断をしていたのであった。
また、東西会本部では目黒浩二若頭が逮捕されたので、今後の対策を練るために、大岩檀次郎会
長も出席しての会合であるために、東西会幹部の殆どが顔を揃えていた。
その会合への大石警部班長の家宅捜索であるために、会合場所の東西会本部ビルには多数のやくざ達がガードしていたので、入り口付近で銃撃戦が始まった。
親分たちを逃がすために、子分のやくざ達は必死に抵抗したのである、、、駄目な時代とは言ってもやくざはやくざだった、命がけで自分たちの親分を守るために奮闘していた。
そして、東西会やくざは、いざという時を考えて、逃げ道を造っていたのだった。
東西会本部ビルの隣の古びたビルに屋上で繋げてあり、、大岩檀次郎会長以下の数名の幹部は逃げて、逮捕から免れたのである。
一挙に壊滅してやろうと計画した大石警部班長の目論見は崩れたのであった。
逃走した大岩檀次郎会長たちと、国家権力警察の暴力戦争は過激さを増したのである。
何としても「詐欺犯罪」の元を断ち切るためには必要な、暴力団壊滅であったので、、、
大石警部班長は「組織犯罪対策班」の力と情報を結集して、大岩檀次郎会長たちの追跡捜査を強化していった。
闇に消えて、地下組織に潜った、彼らを追うことは困難を極めたのである、、大石警部班長は今回の強硬ガさ入れを失敗したことを悔いた、、もう少し、調査してからの踏み込みをすればよ
かったと、自分を責めた。
闇に隠れた大岩檀次郎会長たちは、これからの活動には用心して、容易に表に出てこないので、
組織暴力団の壊滅が難しくなったのある。
ますます、、「詐欺犯罪」は巧妙化していくだろう、、、と、心配した大石警部班長であった。
その為に「組織犯罪対策課」の電子工学部門の活躍を期待する大石警部班長であった。
そして、今までに逮捕したなかに、詐欺グループでパソコン専門に携わっていた男を見つけたのである、、、どう見ても、やくざには見えず、犯罪組織に何等かの理由で巻き込まれたような、気がしたので、大石警部班長が特別に取り調べることにした。
大石警部班長の勘は鋭かった、、案の定、弱みに付け込まれて、無理やりにやらされたいたのだった。そこで、身の保全と、弱みであった家族の保全を図り、その男を説得したのである、、
最初は組織の怖さを知らされている男は話に乗らず、口を噤んでいた。
そこで、まずはその男の家族を、大石警部班長は国家力で住居移転をして、身の全確保を示したのである。勿論、移転先は記載せずに。。。
それを確認した男は、初めて口を開き、自分の名前
そして、詐欺グループの巧妙な仕組みを話してくれたのである、彼の作った罠である、誘い携帯電話の仕組みや、資金回収システム、更には高齢者向きの罠の数々を説明してくれた。
警視庁組織犯罪対策課としては参考になったのである、、これからも男「名島達夫」は
詐欺対策には役に立つ人間であろうと思われた、
そして、一番肝心なっシステムを考案していたのであった、電話回線でもなく、無線でもなく、特殊な連絡技術をもっていた、、そのための、今回の脱出劇であったのである。
14)名島達夫の活躍、、、
犯罪組織やくざの「詐欺の手口」は大石警部班長達も、、警視庁電子計算班の研究、捜査でおおよその検討は付いていたが、、回収した資金の流れはまだ、解明できていなかった。
黒い金は全て、ロンダリングされて、暴力団の資金源となり、覚せい剤の購入資金や銃など武器の購入資金などにも流用されたが、、ほとんどは「闇金融」に流れて、更に資金を増やしていたのである。。
また、構成員の増強資金などにも、、更に、いざという時の「逃亡資金」にも準備したいたので
あった。
組織やくざが使用する場所、設備には逃げ道を造っていたので、、その設備にも金はかけていた、、更に、一番肝心な情報収集の手段には、さらなる資金を投入していた。
悪行をするからには、、必ず「警察」が動くので、その対策、、つまり、逃げる方法は常に準備
したいたのである。
いくら金儲けをしても、掴まっては元も子も無いので、、やるからには捕まらない手を打たなければならなかった、、いざとなれば、、やくざの大本の幹部連中は残酷であった、蜥蜴の尻尾きりを平気で行う、、自分たちが助かるなら、捨てるのであるから、恐ろしい。
やくざとはそんなものである、、、そん訳で雑魚は逮捕されるが、大物はにげてしまうのであった。そのための通信方法は特別で、、末端のやくざ幹部にも教えられていなかったのである。
本当の大幹部だけが持っている、特殊携帯電話であるために、分からなかった筈なのだった。
その特殊電話は警視庁と繋がっていたのである、、そのことが分かった時に、、大石警部班長は怒りに怒った。命まで駆けて、詐欺グプと闘い、組織暴力団を追いつめて、最後の詰めで味方に裏切られていたので、あったのだから悔しかった。
15)警察内部に裏切りが、、、
詐欺グループの司令塔というか、一番の元になっていたのが組織暴力団ではあったが、、常に本部を急襲して逮捕を目前に親玉が消えるのである、、それは、家宅捜査が直前に漏れるのだった。
それは内通者に直前に漏れて、連絡が行くからであった。
その罠を仕掛けたのが「名島達夫」であったのである。元警視庁の通信担当を受け持ち、警視庁
上層部の担当者の弱みを掴み、脅しての内通であった。そのために、内通されていたのである。
大石警部班長にしてみれば、、「この野郎だ、、今にみてろよ、、必ず、失態をさせてやるからな、、」そのためにも名島達夫は利用できるのであった。
「いくら、、命がけで捜査して、がさ入れをしても、、仕掛けた罠から逃げられたのも、ふざけた野郎が居るからだったと、、悔しがった大石警部だった。
詐欺グループの本拠地の組織暴力団へのガさ入れは、大石警部班長の特捜班だけで、秘密裏に動く計画を立てることにした。
そして、電子工学部係りにも情報は漏らさないように厳命を下した、連絡は全て、今回の決着が
着くまでは、大石警部班長のみとしたのであった。
なにがなんでも、詐欺グループの本部を、肝心の頭を押さえたかったのである。
雑魚をいくら、釣り上げても留置所がいっぱいになるだけで、拉致があかないのであった。
例え、繰り返し、やくざ組織が変わり、犯罪が行われようが、、罪を重くして,悪事の代償としての代価が合わなければ、、現在、行われている犯罪は減る筈である、
しかし、時代が変われば、犯罪も巧みになるが犯罪は、また、増えるだろう。。その時はその時
の捜査方法も変わる筈だ、、世のなかの「善と悪」は消えることがないだろう。。
まったく、イタチごっこかも知れない。
16)組織を大事にする警察、、「それも大事ではあるが、、馬鹿野郎だ」
大石警部班長は「詐欺グループ」を陰に隠れて操る知能的を許すことが出来なかった、、そのための、今回の組織やくざ団体である、、関東連合会東西会を潰すまでは諦めないと決めていたのである。特に、大岩檀次郎会長一派は逃がさないと、、更に、捜査網を強化して行ったのであった。
詐欺で荒稼ぎをしている東西会には「資金」があったので、資金にものを言わせて、政治家たちに鼻薬を聞かせていた。たちが悪い、、今の世の中、どうも「金力」と「暴力」が大手を振って歩いているようだった。
考え方によると「金が一番」、そして、その金に群がる「ハエエナ」が金欲しさに、悪行を平気で行う社会構造のような、、、
その資金源の元を潰さなければと、、、「臭い物には蓋を」の精神で、徹底的に壊滅しなくてはと、、大石警部班長は、捜査員たちに激を飛ばしていた。
そして、情報を集めて、大岩檀次郎たちの隠れ家を突き止めたのだった。
今回こそは逃がさないという体制を整えて、準備をして、、、隠れ家を急襲した。
情報が漏れないように,急襲現場は一部の捜査員だけで、特別捜査機動隊の隊員にも知らせずに、
襲ったのである。
今回の襲撃には大石警部班長が自らが指揮を執って、隠れ家の別荘を二重、三重に取り囲んだのであった。
襲撃班には銃の携帯を許し、、囲いを破って突破する者は射殺を命じて、狙撃班を配置したので
ある、、今回は絶対に逃がさないぞ、、と、、言う覚悟であった、
大石警部班長が指揮して、暴力団との銃撃戦は1時間も経たないうちに、鳴りやんだ。
東西会のやくざ連中もしつこく立ち向かってきたが、、最終的には国家暴力の警察には制圧されたのだった。
大石警部班長は乗り込んで、大岩檀次郎会長に云ったのである、、、
「大岩会長、、あんたは許せない、、」と、、言ってから、、周囲には信頼できる部下だけだったので、、「あんたは、、死ねや、、絶対に許せない、、、」と、、言いながら銃弾を数発、撃ち込んだ。
自分が殺人罪になっても、、「詐欺グループ」のトップの大岩檀次郎を許せなかったのである。
第三話「桜田門一家の戦い、 紙風船」原作者献残屋藤吉郎
1)新宿警察署に起きた「殺人事件」
新宿警察署刑事課に特別捜査班が設置された、、、それは新宿管内では風俗に絡んだ事件が
多かったので、風俗取り締まり班を特別に置き、管理指導するための捜査班であった。
責任者に浜野内涼子警部が就任して、担当捜査官が5人配属になった。
いずれも各課のはみ出し刑事ばかりで、一癖も二癖もあるような捜査官であった。
班長に就任した浜野内涼子警部は北海道警からの転属であり、、その異名が「暴力女デカ」であった、柔道3段の猛者で、、取り調べも荒ポッカたのである。
二人の警部補がいた、、、荒木由美、添田真澄の覚せい剤取り締まりの専門警部補であったが警視庁からの配属であった。
残る3人のうち二人は若手の巡査部長であり、、管内の交番勤務からの配属であった。
残る一人はベテラン刑事で出世などには程遠い、巡査部長で、新宿警察署内から移った物知りオジサン的な警察官であった。
そんな刑事集団が新宿の繁華街を取り締まるのであるが、、朝から晩まで市中見回りが多かった。
海千山千の風俗街の女たちや男達なので、、、取り締まるのではなく取り締まられてしまうのではないかと思われた。
しかし、、浜野内班長の取り締まりは厳しかったのである、、更に二人の女警部補の覚せい剤摘発取り締まりも激しかった、、そして、二人の後輩の若手部下も一緒に強く厳しく取り締まっていった。
一人だけベテラン刑事の平松権兵衛はのんびり構えて、、事後処理をこなしていた。
周囲から見ると動きが激しく、、取り締まりも厳しくしており、、いつも神経を研ぎ澄ましているようで、、いつ弾けても、破裂しても可笑しくないように見えた。
ベテラン刑事の平松権兵衛には気を張り過ぎて、、、危なくみえたのであった。
たずなを執る浜野内班長は一人で走り過ぎるように見えるし、、、二人の女警部補も手柄優先で検挙を急ぎ過ぎるので、、若い二人の部下ももたもたしているように見えて、いつ破裂しても可笑しくない集団に見えた。
ベテラン刑事の平松権兵衛は、その危なっかしい集団を「紙風船集団」と呼んでいた。、、
そのためについたあだ名が「紙風船」だった。
2)風俗取り締まり班「紙風船」が出会った「田舎育ち」
新宿繁華街は夜中でも人通りが多かった、しかし、酔っ払いが多く、、道路に座り込んでいる若者や、路地裏でシャブ「覚せい剤」を密売している奴や、、酔っぱらって喧嘩をして居る奴とか、、いろいろだ。
そんな若者の集団の中には寝る所もなく、、路上で寝る奴もいた。
見回りをしていた「紙風船」が叫び声を耳にして路地裏にとんでいった。
「きやぁ、、、誰か死んでるみたいだよ、、、」と、、らりってる風な女が悲鳴を上げていた。
「紙風船」の荒木由美警部補と若手の杉田巡査部長が駆けつけた。
確かに確認したが「死んで一人の男が横たわっていた」ので、、応援を要請した。
見た目には殺人事件に見えた。
すぐに、浜野内涼子班長が飛んできた、、一緒に新宿管内の事に詳しい、平松権兵衛刑事が付いてきていた。。
浜野内班長は北海道警察から転属なので新宿管内、歌舞伎町繁華街の状況が把握できていなかったので、、その補佐役として、平松権兵衛刑事が付いてきた。
放置された死体は「新宿紅組」という反ぐれ集団の副長太田武と分かったが。
赴任したばかりの浜野内班長は気が短かったので、すぐに、身元確認を兼ねて反ぐれ集団紅組に踏み込もうとした、、しかし、平松権兵衛刑事は止めた。
死体が出たからには用心している筈なので、、調べてから乗り込んだ方がいいと、、
新宿界隈を知っている平松権兵衛刑事は助言をしたのであった。
用意周到に準備した事務所に捜査に入ってたところで何も出ないのがいいところであり。
殺人は殺人課の担当刑事に任せた方が、いいのだと考えた。
その辺の事情を知っていた平松権兵衛刑事は止めた。その晩は「紙風船」忙しかったのである。。。
青森からの家出娘を5人も補導したのであるから。
3)家出娘にてこずる「紙風船」
殺人事件は警視庁殺人課に任せて、新宿区歌舞伎町で補導した5人の女のこたちに、振り回された「紙風船」であった。
担当した「荒木由美」「添田真澄」の警部補二人と、交番勤務から来た若い警察官は、田舎弁というか「東北弁丸出しの言葉」に、、その晩は振り回されていた。
荒木由美警部補がまず、尋ねた、、、
「あなたたちは何処から来たの、、新宿歌舞伎町に何しに来たの、、、」と、、、
すると、年長者のようだった女が答えた。
「あれぇ、、おらーたち、青森からきたんだよ、、、ホストクラブをみたくってよ、、
いい女ならモテるっていうべえ、、だから、来てみたんだべーな。。」
と言われて唖然とした。
すると、添田警部補が、、答えた、、、
「そのホストクラブは危険なところだから、、いかないように、、」と、、諭した。
飛んでも無い「甘い情報」で、つられてくるものだとおもった、
5人の女の子は年が15歳から17歳までの世間を知らない田舎育ちであった。
荒木由美、添田真澄の二人の警部補は恐ろしかった、、こんな純真無垢な女の子が騙されて、いずれは夜の蝶になるのかと。。。
二人の警部補は自分たちの仕事が、、補導がいかに大事で、、必要であるかを実感したのであった。
新宿歌舞伎町をふわふわと飛んで流れる「紙風船」がいかに大事かを知った夜だった。
4)新宿歌舞伎町にきらきら舞う不良花一輪
新宿歌舞伎町には毎夜の如く、不良花が咲いては散っていくような甘い蜜を振りまく毒蜂が飛んでいるような溜まり池があるようだった。
飛んでいる毒蜂を振り払い、、汚れそうな花を守る「紙風船」も、毎夜飛んでいる。
通称「紙風船」の荒木由美警部補は「麻薬取り締まりのエキスパート」であったので、、部下の若手の杉田巡査部長がペアを組んで巡回していた。
もう一組は添田真澄警部補と若手の中村巡査部長がペアを組み,ミニパトーカーで不審者の取り締まりをしていた。
荒木由美警部補と杉田巡査部長が屯する少女たちを見つけて、、傍に近付いていった。
彼女たちは「覚せい剤」を買う金が無いので、、俗にいう「アンパン」を使用して、ふらふらと正気を失って「らりって」いたのである、、、まるで、夢遊病者の如くに、意識が半分ぐらいなくなっていた。そして、悪ガキが近づき、売春をさせていたのであった。
悪ガキの上の組織には「反ぐれ集団」が居た。やくざより始末が悪かった。
彼らは組織と言っても、若さでぐれて、、やくざの真似事のような集団をつくり、麻薬密売、売春管理などをしていたので、、不良少女は彼らの餌食になっていたのであった。
しかし、、反ぐれ集団も最終的には麻薬を扱うので、組織暴力団に組み込まれていった。
新宿には全国の指定暴力団が入り込み、しのぎを削りあっていた。
そんな組織の力と資金力で、反ぐれ集団が組織化されていった。
新宿歌舞伎町では、反ぐれや不良少女が粋がる場所はなく、暴力で抑え込まれていき、その組織で動かされるようになるのであった。
現代やくざは頭脳的であり、巧妙であった。
そんな環境の中の不良少女たちを少しでも救おうと、、「紙風船」は日ごと巡回を繰り返して、努力していた。
荒木由美警部補と部下の杉田巡査部長を意識朦朧な少女たちを補導した。
そして、保護したのであった。
一旦は警察署内に留置して、正常な状態になってから事情いて、対処していった。
補導した少女たちは全てが家出娘だった。
事情を聴くと、、親と旨く行かずに家を飛び出している、、、中には、付き合い家出もあった。
しかし、、大部分が両親との不仲が原因であり、、荒木由美警部補たちは悩んだ。
どうすれば、、家出を防ぐことができるのかと、、家出をした少女たちの話を聞くと同情するところもあった。
紙風船では補導だけして、その事情で補導施設に送ればいいという問題ではないことを痛感させられた。それでも、、悪の牙から守るためには「補導」するしか、今は方法手段がないと、、思われたのであった。
5)新宿歌舞伎町で奮闘する「紙風船」、、、
新宿警察署の中に「風俗取り締まり班」が設けられて、、北海道警察署からの転属であり、、その捜査は男勝りであり、新宿とは何の癒着も関係のない「女猛者の警部」が赴任して来ての取り締まりだった。しかし、、新宿歌舞伎町の隅から隅まで知る尽くしているベテラン刑事の「平松権兵衛」が補佐役として、新宿警察生活指導から配属となっていた。
そして、若手女警部補の荒木由美、麻薬密売専門の刑事が公安から配属になり、新宿歌舞伎町管内の麻薬密売撲滅を推進することになった。
もう一人の女警部補は「売春取り締まり専門職」の添田真澄で、大阪府警からの転属となっていた。
他に若手の巡査部長二人を、、東京都内の交番勤務と機動隊から選抜したのであった、、、全てを、新宿歌舞伎町という、、悪のやくざ組織が蔓延る街の清涼剤にと、、警視庁本部の刑事局長「大前田総一郎」の計らいで、、新宿警察署内に設置してあるが、、直属の指揮系統は警視庁に属している、、特務機関であった。
若手の巡査部長は二人とも柔道と剣道の有段者を選び、射撃の腕も一流である、、、中村太一巡査部長と杉田寿三郎巡査部長で、、、敏腕な女警部補の早い話がボディーガードであった。
荒木由美警部補と杉田巡査部長がペアで、、添田真澄警部補と中村巡査部長が一緒の巡回をしていた。
二人の女警部補はやる気満々で、、捜査取り締まりをビシビシやっていった。
特に「反ぐれ集団、紅グループ」の関係事務所や経営する店舗には毎日のように顔を出して、、、「今日は大丈夫かな、、責任者の青山にいっとくようにな、、薬はやるなよ、、すぐに情報が入るから、、がさ入れをするからと、、、」
麻薬を扱わなければ維持できない「反ぐれ」に意地の悪い冗談を言っては帰った言った。
「まったく、うるせえ奴らだな、、糞くらえ、、」と言いながら、毎日塩を巻かれていた。そんなことは百も承知の荒木警部補たちであった。
とにかく、毎日顔を出して、すこしでも権勢を掛けて、忘れたころにがさを入れて、違反者を検挙を繰り返していた。そして、、添田警部補の売春取り締まり班は目星を付けたクラブや酒場を巡回して、様子を見ていたのであった。
荒木班も添田班も手を緩めずに巡回取り締まりをして、、時たま「がさ入れ」をして、、事件を未然に防ぐことに専念していた。
そして、時たま班長の「浜野内警部」が同道することもあった。
荒木警部補も添田警部補も手抜き捜査や巡回をすることは無く、、歌舞伎町内の街角で屯している少年少女たちには気配りをしていた。
そんなある晩に、、新宿警察風俗係りに連絡が入った、、、「助けてーー殺される、、」という悲鳴にも似た叫びであった。夜の巡回をしていた、添田班に至急、連絡を取り、現場に行かせた。
不良少女たちが喧嘩をしていたので、、駆け付けた添田警部補と中村巡査部長は仲裁に入り、喧嘩をとめた。
その中の一人の少女が、ナイフを振り回していたので、それをとめた、、さすが中村巡査部長であった。
そして,落ち着かせてから添田警部補が事情を聴いた、、、理由は不良少女たちの縄張りがどうのこうのであり、、売春行為でもめていたのであった。
彼女たちには売春による売り上げが、縄張りによっては客の取り合いがあるようなのだ。
添田警部補によれば、、「ふざけるな、、他人の土地で、、しかも売春だよ、、何が縄張りだと言いたい、、」のであった。
その個人的な感情は抑えて、警察仕事をした。
彼女たちを管理しているのは「反ぐれ集団、紅グループ」であり、、売春管理元はひとつであった。そこで応援を呼んだ。
その場の喧嘩していた全員を補導した。「売春取り締まり」で、、そして、詳しく取り調べて、今回は「反ぐれ集団紅グループ」と、それらを管理している「組織暴力団」の捜査まで食い込んでやろうと、、浜野内班長警部は燃えたのであった。
6)浜野辺警部班長は燃えた。
毎日、荒木警部補の話を聞き、添田警部補の報告を聞いているうちに、浜野内警部班長は腹が立ってきたのだった、、二人の警部補と二人の若手巡査部長が張り切って、新宿歌舞伎町管内を巡回して、取り締まりを繰り返しても、検挙できるのは末端の雑魚ばかりだった。
それでも立派に社会には貢献してはいるが、、おおもとで胡坐をかいている、組織やくざたちを許せなかったのである。。。なんとしても、、竈の火を消さないと、、煮だったお湯は焼けどを繰り返すのだった。
そこで、浜野内警部班長は部下の捜査員全員で相談をしたのであった。
特にベテラン刑事の平松権兵衛捜査員には、いいアイデアを期待したのだったが、、それは外れた。
彼は経験は豊富であったが、新宿歌舞伎町に慣れ過ぎというか、なれ合いに染まってしまっていた。
刷新的なアイデアは若手巡査部長たちの方が、その考え方はユニークであった。
不良グループに潜入スパイを潜り込ませるとか、、、軽い罪の不良たちを許す代わりに情報屋に仕立てるとか、、極端な話は「国家権力」を盾にとって、拷問に近い脅しをかけて、白状させるとか強硬な考えまで飛び出した。
浜野辺警部班長は聞いていて、どれもいいアイデアではないように思われたが、意見が無いよりはましだと考えた。
二人の女警部補は、裏付けというか「証拠固め」のための、、絶対的な証拠がほ欲しかった。
そのためには、「違法捜査」ではあるが、、若手巡査部長たちが言っていた「潜入捜査員」を送り込んだ方が早道ではあるという結論が出たのであった。
危険ではあったが、、その方法をとることにしたのである。
浜野辺警部班長は全国の女囚刑務所の中から、気骨があって、度胸も備わっていて、、頭脳明晰な模範囚を二人、選んで来たのであった。
危険な賭けではあったが、、浜野内警部班長は自分の警察官生命をかけたのである。
浜野内警部班長は警視庁刑事部長「大前田総一郎警視」の許可をもらっての行動であった。
そして、浜野内警部班長は若手の杉田巡査部長を連れて、九州佐賀刑務所へ向かった。まずは暴行障害の懲役に服している「御影京子20歳」を迎えに行った。
始めた有った浜野内警部は、、静観な狐顔をしたいい女だったので、直観ではあるが気にいった。
そして、佐賀刑務所を出る時にも、、「いいんですか、、手錠をはめないで、、」と、、刑務所担当係りに云われたが、、、「ああ、、いいよ、、心配しなくても、、」と、、豪快な笑いが出たのであった。
もともと、浜野内警部は男勝りの女刑事であった。
行動そのものが男ぽっく、大胆であったのである、、、性格的に一目見て信用できると思えば、どこまでも信じ、騙されるまで付き合うのであった。
そんな彼女の性格を知った上での登用であった、、警視庁刑事部長「大前田総一郎」は彼女の父親を良く知ってもいたので。
一緒に行った杉田巡査部長も心配そうに「大丈夫ですか、、、」とっ言ってきたが、笑い飛ばした。
帰りの新幹線の中で、、御影京子に対して「あんた、、お昼の弁当はなにがいい、、」と、聞いておいて、、「そうだ、自分で好きな弁当を買ってくればいいと、、」と、、お金を渡した。
そして、「私の弁当も買って来てくれ、、、肉がいいな、、、」と、、一人で行かせたのであった。
御影京子は二つ弁当を買って戻って来た。
それを見た杉田巡査部長は「凄いな、、、」と感心したのである。
帰りの新幹線の中では、まるで母娘のような感じで東京についた。
そして、東京駅に迎えに来ていた平松権兵衛刑事と荒木警部補に、御影京子を預けて、その足で栃木刑務所に向かった。御影京子を手配しておいたワンルームのマンションに連れていく指示をだして、、、
同じように栃木刑務所からも障害暴行の刑で服している「白鳥恵子」を連れて、浜野内警部は戻った。
7)浜野内警部は大胆な潜入捜査を指示した。
浜野内警部班長は全国から選んで連れて来た女囚二人を一日だけ特訓したのであった。
頭のいい、悪女である二人の女囚の、、御影京子と白鳥恵子は呑み込みも早かった。
「ねぇ、、警部さん、私らを信用して大丈夫なの、、途中で屯ずらしたらどうするの、、私ね、、あんたには義理も恩もないから、逃げるよ。。」と、言い出した
すると、、もう一人も「私なんか、、鼠とりが鼠になるよ、、、面白いもの、、、新宿歌舞伎町だもな、、天下の歌舞伎町だ、、、薬も手に入るしな。。遊んじゃうよ、、きっとな、、
まるっきり、警部さんの言うとりにはならないけど、、いいの、、」
と、、二人とも今から、遊びに行く気分であった。
浜野内警部班長は平然として云った。。。
そして、、「好きなようにするといいよ、、、私はそんな軟じゃあないからな、、お前らを信じることにしたから、、、一度決めたら、どこまでも一緒だ、、、、あはあはあはっ、、」と、笑い飛ばした。
二人の女囚は驚いた、、「たまげたな、、あはあはは、、そこまで信じられたら、、やるしかないな、、、私は引き受けたよ、、、」御影京子は承諾した。
すると、、白鳥恵子も「面白そうだ、、やってみるか、、」と、、然し、、「まずく成ったら、私は逃げるからね、、命あってのものだからね、、」と、、やることにしたのであった。
二人の女囚の御影京子と白鳥恵子は新宿歌舞伎町の夜の雑踏に消えたいった。
歌舞伎町の闇は深かった。
浜野内警部班長は心配する部下たちを気遣いながら、、夜の巷に消えた行った二人の女囚を信じて待つことにしたのであった。
ネオン輝く街並み、彩る女たちの夜の蝶が羽ばたく歌舞伎町に、今夜も散るであろう花弁を、どれだけ救えるかと、巡回する「紙風船」であった。
そんな潜入捜査を進めながら、荒木警部補チームと添田警部補チームは、夜の街なみを、、公園のベンチに寝てはいないかと心配しながら、歩き廻っていた。
僅かに残る街路樹の木々の葉が風にそよぐのを見ては秋が深まってきたことを肌で感じながら。。頑張る「紙風船」であった。
8)潜入捜査の御影京子から連絡が入る、、
新宿歌舞伎町の暮れも押し迫り、、街路樹に木枯らしが吹きあたり、落ち葉もなくなった、そんな夜に潜り込んだクラブ「花弁」の御影京子から連絡が入った。
連絡内容は、「売春現場」を見つけ、その仕組みを明るみにしたので、一度,下見がてらに来て欲しいと言ってきた。
場合によっては、その時に現行犯で、売春元の主犯格やくざを挙げてもいいのではないかと言ってきたのであった。
浜野内警部班長は考えた、、「やるなら、、一気に潰したいので、、」と言って、警視庁特別警察官の「響竜子警部補」を行かせたのであった。
潜入捜査の更に潜入捜査であった。
御影京子を疑うわけではないが、、更に念押しをしたうえで、がさ入れに入ろうと決めたのであった。
寒い冬空の暑い戦いであった。
新宿歌舞伎町は女の闘いで燃えたいたのである、、黒い闇夜に赤々と、、、
そして、御影京子がクラブ「花弁」で、売れっ子になり、、そのクラブを経営している「新宿花園会の若頭、花岡寿」に気に入られていたのだった。
危ない賭けでもあった。
御影京子は半年をかけて、新宿花園会に食い込んでいた。
そして、、男と女である、、売春の仕組みを知ることが出来たのであった。
そこで、更に警視庁特別捜査官の「響竜子」が更に潜り込んだのであるから、、浜野内警部班長はしたたかであった。
そして、確証を掴んで、浜野内警部班長は、警視庁特別機動隊を引き連れて、新宿花園会本部の事務所に乗り込んだ。
有無を言わさず、、がさ入れだった、、「銃刀法違反での検挙」「売春防止管理法違反」や。「反ぐれ集団紅グループの覚せい剤密売」などの一斉検挙で、新宿花園会の花岡寿若頭を始め、数人の幹部連中を連行して留置したのであった。
浜野内警部班長はこれで、売春組織の一角を潰すことは出来たと確信した。
まだまだ、、その他の指定暴力団が仕切る犯罪組織は多い、、気は抜けなかった。
更に、捜査方法は手段を考えないと、、、思う浜野内警部班長であった。
そして、もう一人の潜入捜査の「白鳥恵子」の連絡を待ったのである。
浜野内警部班長は年の瀬も押し迫った、新宿歌舞伎町の夕暮れを独り歩きながら、枯れ葉舞い散る街並みを、、、この花街を守ることの難しさを冬空の星屑を見つけるより難しいと思ったのであった。
9)潜入捜査員、「不良女囚、白鳥恵子」
浜野内警部班長が送り込んでおいた潜入捜査の「女囚白鳥恵子」は新宿歌舞伎町で女不良番長になっていた。関西からの流れよたくれ女として、名前を売っていたのであった。
当然のことに。反ぐれ集団「紅グループ」に目を付けられて、もめた挙句に。
そして、歌舞伎町で女番長にのし上り、、歌舞伎町のネオン街を闊歩して歩いていた。
証拠の裏付けを執るために、、覚せい剤の密売にも関わっていったのであるが、、白鳥恵子は、潜入捜査でやってはいけない、、情を絡めてしまい、、同じ田舎「福島」から出て来た少女を助けて、逃がしたのであった。
それが、反ぐれ集団のリーダー、青木次郎にバレて、リンチをされたのであった。
グループでの掟ともいうべき、決めごとを破ってしまい、、わからない筈の少女を逃がしたことが、反ぐれ集団の中でしのぎを争っていた、別女番長グループにチクられてしまったのであった。
裏切りに対する見せしめともいうべきリンチはきつかった。
大概の拷問には平気であった白鳥恵子も,、根を挙げそうになったのであるが、、逃がしたはずの少女が戻って来た、助けてくれたのであった。
もともと悪の女囚の白鳥恵子も黙っては居なかった、新宿警察署の浜野内警部班長に連絡する前に、リンチをしてくれた、、反ぐれ集団の青木次郎リーダーと、同グループの別不良女番長「矢島洋子」に報復をしたのであった。
女囚白鳥恵子は暴力的な残虐をしての服役であったから、、歌舞伎町で女不良グループを集めて反撃に出たのであった。
男も女も喧嘩すれば、、道具をもってすれば女も強かった。
新宿歌舞伎町のネオン街で、集団でリンチをすれば、ビルの合間の出来事だから目立たなかった。
その喧嘩様子を、白鳥恵子は浜野内警部班長に連絡をとり、、一斉に検挙させたので
有った。。。頭脳的な反ぐれ集団のリーダー青木次郎の逮捕であり、、女不良グループの摘発であった。覚せい剤の密売も暴かれて、反ぐれ集団茜グループの解体に繋がった。
浜野内警部班長の潜入捜査摘発は上手く行ったので、、違法捜査ではあるが、青少年を守るために、、社会悪の毒我退治にはいいような気がした、浜野内警部であった。
10)秘密警察組織を創る。。。
浜野内警部班長は進言をした、、、今回の潜入捜査による成果を、、そして、覚せい剤密売組織撲滅には浜野内警部班長が計画した、女囚犯による秘密裏に行った捜査が組織やくざの一部を壊したのであった。
その結果を管理職である、警視庁刑事部長「大前田総一郎」に相談をしたのであった。
「危険すぎると反対をされたが、、」浜野内警部の熱意に押し切られて、承諾をしたのだった。
浜野内警部はせめて、自分が管轄する新宿警察署管内だけでも、彼女は「秘密警察」なるものを創り、覚せい剤密売や売春から若い少年少女を守りたかったのであった。
新宿歌舞伎町の夜の街で、、反ぐれや組織やくざの資金源に利用されていると分かっていながら、阻止できない悔しさを味わってきた警察であった。
そして、そのことを知ってか知らずか、、肩で風切る無法者を許せなかった。
浜野内警部班長であった。
「秘密警察」組織から得た情報をもとに、、荒木警部補や添田警部補たちが巡回や捜査がやり易い環境を確立したかったのである。
今一歩のところで逃げられた、犯罪を阻止して、悪行が蔓延る世界を少しでも無くしたかったのであった。
今回の御影京子や白鳥恵子が任務遂行して、、浜野内警部班長の元に帰ってきた時に、心の底から感謝した。「ありがとう、、二人ともお疲れさまでした、、これで、あんたらは自由の身だからね、、自分の好きな道を歩けばいい、、本当にありがとう、、」と、、二人が無事に戻ってくれたことを喜んだのだった。
二人は意外とけろっとしていた、、「良いよ、、そんなに頭下げなくても、、」と京子は言ってくれた。そして、恵子も「結構、楽しんだよ、、こっちこそありがとう」
と、、笑顔を見せてくれた。
「案外さ、、人の為になるって思いながら、悪さをするのも、なかなかいいもんだな、、」と、、云いながら、二人で相談したのかも知れなかっが、、、
「班長さん、、暫く、警察の真似事してもいいかな、、これといって、やることもないから、、手伝うよ、、」と、言ってくれた。
浜野内警部班長はこの二人なら大丈夫だと確信したのだった。
そして、、浜野内警部は休暇を取り、二人を連れて骨休みを兼ねて、温泉旅行に出かけた。
二人も喜んでついてきたのだった。浜野内警部班長は二人の頼もしい「秘密警察官」が出来たと嬉しかった。
寒い冬も終わり、心地よい春風が吹く、、日光の温泉街を歩く3人の姿があった。
11)女囚探し、、、全国の刑務所へ。
春風がそよぎ、、桜の花もつぼみが大きく膨らみ、桃色の淡い花が開くのもまじか、中禅寺湖畔を散歩しながら、浜野内警部は呟いた。
湖畔を渡る波風が清々しかった、、、「京子、、恵子、、今回は本当にご苦労様でした、、あなたたちは凄いよ、、本当は素敵な女(人)だったのね、、、よかったら、これからも付き合ってほしいな、、」と、、云いながら、二人の素敵な悪女を眺めていた。
「一度は捨てた女だから、、チャンスをくれた班長には感謝してるよ、、、素敵な楽しい人生をありがとう、、」と、いう、、御影京子だった
白鳥恵子も、、「私みたいな、、世の中のはみ出し女を信じてくれて、ありがとう、、私も楽しかったよ、、、」笑みを浮かべてた。
そして、自由の身にはなったが、、自分たちと一緒で、、中途半端なやさぐれ人生を歩いている奴らを救ってやりたいと思い、、これからも、浜野内警部の唱える「秘密警察」とか、、云い組織で動いてもいいと、、承諾をした二人であった。
春うらうらの東武東急電車で東京浅草に戻った二人は、、雑踏の中に消えて行った。
連絡は常に浜野内警部班長に直接取ることで、、二人の「女囚秘密捜査員」は東京の巷を徘徊し始めた。
浜野内警部班長に連絡が取れない場合は、、新宿警察署風俗取締り課の平松徳兵衛刑事に連絡をすることにしていた。
浜野内警部班長は、更に、全国の女囚から、、秘密捜査員にするための、女囚候補者を絞って、選んでいた。
そのために、全国の女囚刑務所を訪ねた。広島刑務所の青少年育成施設から、一人の女囚を見つけた面接をしたのであった。
集団強盗の一員であったが、、その責任の取り方の潔さと、、腕っぷしの強さに目を付けたのであった。運動神経も抜群であり、、頭脳テストも群を抜いていた。
名前は「海道八千代」であった。
そして、もう一人は仙台刑務所の障害で服役していた、、「大鳥竜子」であった。両親に早く死なれて、里子に出されて、15歳から流浪の旅をしていた不良少女であった。流れ着いた先が的屋の貸元の家であったために、「女的屋」の修行をしていた。
その家業のいざこざから出入りになり、、女だてらに斬りこんで、怪我して、挙句の果てに逮捕された女極道であった。
そんな二人を、浜野内警部班長は東京へ連れてきたのであった。
12)女囚「海道八千代」「大鳥竜子」が秘密捜査員に、、、
浜野内警部班長は新宿歌舞伎町から「覚せい剤密売」「売春」を殲滅するために、新たな潜入捜
査を計画していた。
新宿歌舞伎町の街並みに、さわやかな春風が吹くような、誰もが安心して楽しめる街にしたかったのである、、日本の町は何処へ行っても、濁った風は吹いているが、、せめて、女の涙風が吹かないような、、健全な街並みにしたいのだった。
そのために、、どんな小さなことでも努力をしていきたかった。
そして、荒木由美警部補チームも添田真澄警部補チームも歌舞伎町の巡回、捜査摘発を日々、努力していた、、更に、秘密捜査員の御影京子も大鳥恵子も悪行退治のために地下組織に潜入していたのであった。その上に秘密捜査員を二人増やしたので、浜野内警部班長はその管理で忙しかった、その補佐役をベテラン刑事の平松権兵衛が補っていた。
平松権兵衛刑事は警察組織内のことも、新宿歌舞伎町の事も知り尽くしているので、浜野内警部班長は助けられていた。
彼は出世欲もなく、、黙々と刑事生活を送ってきたので、冷静に物事を判断できる男であった。
そんな体制を敷いている、新宿警察署風俗係に、秘密捜査員の「大鳥恵子」から連絡が入った。その日は浜野内警部班長が法事で、北海道に帰っていたので、平松権兵衛刑事が対応した。
新宿歌舞伎町には「反ぐれ集団紅グループ」とは別に、、指定暴力団「関東連合会」の傘下の
「反ぐれ集団があって、それらの勢力争いも激しかった。
彼らの資金源である「覚せい剤の密売」は鎬を削っていたのだった。その、縄張り争いは日ごとに起きていた。
その争いに関して、秘密捜査員の大鳥恵子が情報を入れてきた。
新宿警察としても、その都度、取り締まることは大事であったが、覚せい剤密売の取り引きが、まとめて行われるという事実を知ったので、連絡を受けた平松権兵衛刑事はすぐに、浜野内警部班長の了解をもらって、警視庁本部に連絡を入れた。
そして、その取引は未然に防ぎ、関係した「反ぐれ集団橘会幹部」や立ち会った「関東連合会」幹部やくざ数人を検挙出来たのであった。
足がかりを付けた警視庁麻薬対策課が、それらの組織の撲滅を計った。
13)新宿警察署風俗係の荒木警部補チームを助ける大鳥竜子
覚せい剤や「あんぱん」を使用して、幻覚症状を起こしている不良少女グループに絡まれて、歌舞伎町の裏通りに曳きづり込まてた、荒木警部補チームの二人が警察官にも関わらず、暴行を受けていた時、、
極道崩れの女囚「大鳥竜子」に、助けられた。
「こら、、てめぇら、何晒してんねぇ、、、辞めんか」と言って、不良少女たちを蹴散らしてきた、女番長がいた、、、いかにも極道ねぇーちゃんみたいだった。
10人ぐらいいた不良少女たちはたじろいた。
「お前ら、、まっぽをいびって、どうするんね、掴まるのがいいとこだろ、、くだらん、辞めときゃ」
と言って、「それより、、お前ら、歌舞伎町でとぐろ巻いているんなら、もっと、金になることせんか、、」と、、云いながら、不良少女をまとめてしまった。
、不良女たちを連れて、ネオン街の闇に消えていった。今、新宿歌舞伎町で売り出し中、、
「大阪の龍」という女番長だったのである。
浜野内警部班長が潜り込ませた「女囚秘密警察官」であった。
荒木由美警部補と杉田巡査部長は急場を救ってくれた、、二人とも武道は有段者であり、決して不良少女たちに劣っては居なかったが、、女子供相手では状況が悪かったので、辛抱していた。
そして、二人は救ってくれた女極道のような女番長が「女囚秘密警察」とは知らないのであった。
そのころ、浜野内警部班長が新しく、ネオン街のクラブ「花美」に潜入させた、街道八千代は夜の蝶に紛れて羽ばたいていた。容姿健美な海道八千代は、源氏名を「さゆみ」と名乗り、男好きのする顔で男を酔わせたいた。
そのクラブ「花美」で瞬く間に、ナンバー1に追いつく売り上げを挙げる女になっていた。
毎夜、通ってくる助兵衛な男蜂からちやほやされていた。そんな女、街道八千代に目を付けたやくざがいた。新宿に巣くうやくざ組織「中道狂人会」という、武闘やくざ集団の大浜参与部長という男だった。凶暴でいったん怒ったら、相手を殺すか片和になるまで殴り倒すような大男でもあった。
そんな危険な男に目を付けられたのでは、不味いと思った、街道八千代であった。
頃合いを見て、、消えた方がいいと、、女の勘で思えたのである。
そんな二人の「女囚秘密捜査官」の身の危険も察知したので、守らなければならなかった、浜野内警部班長は気の休まる暇はなかった。
今夜も歌舞伎町には色とりどりの夜の花が咲き、、そして、散っていくのだと思うと、、寂しい街だった。
14)女囚「御影京子」組織やくざに正体がバレる
潜入捜査してた女囚「御影洋子」が、やくざ組織の懐深く入り過ぎたために、その組織の幹部「服部五郎」に、その正体がバレたのであった。
服部五郎は関東連合会櫻木会の中でも知恵者で通り、会長二階堂譲三の信任が厚かった、、次期若頭の出頭候補で有った。
そして、新宿歌舞伎町に乱立する組織暴力団の中でも、巧妙さでは群を抜いていたのである。また、経営する高級クラブ「花の園」は、監理売春でも有名であったが、掴まるようなミスはしていなかったのであった。
浜野内警部班長も何度も試みたががさ入れは失敗していたので、、女囚御影京子を、高級クラブ「花の園」に潜入させていたのであったが、
服部五郎に見抜かれ、組織やくざの事務所内に監禁されてしまっていた、、そして、拷問を受けた。
その話を、後から潜入した女囚「白鳥恵子」が知り、、浜野内警部班長へ連絡をしたのであった。
それを知った浜野内警部班長は関東連合会櫻木会事務所に乗り込んだ。
なにがなんでも助けないと、、自分の命に代えても救出しなければならないと、、腹を括って、部下の杉田巡査部長と中村巡査部長の猛者を引き連れて、、服部五郎を目掛けて飛び込んだ。
そして、強引に銃で威嚇射撃して、服部五郎を捻じ伏せた、、、
「この野郎、、舐めるなよ、、監禁した女を出しな、、、」
「捜査令状だと、、ふざけるな、、手前のような屑には、関係ねえ、、」
と、、威嚇どころか、脚に銃弾を撃ち込んだのであった。
服部五郎が悲鳴のような声で叫んだ。
「助けてくれ、、警察がこんな非道をしていいのか、、」と、、、
浜野内警部班長は、、「何がたすけてくれーだ、、この下種野郎、云わないと、、殺すぞ。。」と、、云いながらに二発目の銃弾をもう一方の脚に打ち込んだのだった。
服部五郎も浜野内警部の鬼のような形相に肝を冷やして、、
呻くような声で、、「誰か、、奥の部屋の女をつれて来い、、」と、命令をしたのであった。
御影京子が血だらけになって、連れて来られた。
すぐに、杉田巡査と中村巡査が近づき、ぐったりした御影京子を支えたのであった。
その姿を見た浜野内警部班長は腹の底から怒りがこみあげて来たと同時に涙が何故か溢れた。
そして、浜野内警部班長は、服部五郎に銃弾をこれでもかと打ち込んで殺したのであった。
更に、事務所内にいた「関東連合会桜木会」全員を皆殺しにしたのである。。
それを見ていた杉田巡査と中村巡査は恐怖を覚えた。
ぐったりした女囚「御影京子」を病院に連れて行ったが、、彼女は意識が無くなっていた。
新宿総合病院で手当てがすんで、病室のベットに、、、その横顔は拷問を受けた彼女にしては清々しかった。
浜野内警部は、、「すまない、、ごめんな、、京子、、許してくれ。。」と、、御影京子の無事を祈った。
「京子、、死ぬなよ、、生き延びてくれ、、頼む、、」と、、願いながら、京子の病室から離れられなかった。
一緒に日光へ温泉旅行に行った、「白鳥恵子」も来てくれた。
15)女囚秘密捜査員「御影京子」療養に、、、
関東連合会桜木会の本部事務所に乗り込んだ、浜野内警部班長たち3人は、御影京子を救い出して、覚せい剤密輸関係の服部五郎幹部やくざたちを殲滅したが、その見返りに受けた、
御影京子の拷問の傷は大きかった。
浜野内警部の心は痛んだ、、「すまなかった、、京子、許してくれ、、もう少し早く、助けだすことが出来なかったと、、」後悔した。
今は、御影京子が元気になってくれることだけを願った。
そして、女囚秘密捜査員「白鳥恵子」が、病院に駆けつけてくれたので、浜野内警部班長は頼んだのだった。
「恵子、、関東連合会桜木会の潜入捜査は中止して、、京子についていてやってくれ、、
それから、完全に回復するまでの間、療養中もや頼むな、、」と、、頼んだのであった。
「分かった、、任せておいて、、」と、、京子の身を心配してくれた。
その後、浜野内警部班長は、新宿警察署風俗係を挙げて、関東連合会桜木会のガさ入れを行い、、変わったばかりの櫻木会の櫻木太蔵会長を「暴行教唆」や「麻薬取締法違反」更には「銃刀法違反」などで検挙したのであった。
関係幹部やくざ連中の事務所も方端から、浜野内警部班長は無茶とも思える捜査検挙を行っていった。
傍から見れば、国家暴力の暴走とも取れた、、彼女から言えば悪くいえば「報復」であったような、、、そんな風評はお構いなしだった。
そんな行動に、白鳥恵子は嬉しかった、、自分のような女囚の為に命を掛けてくれたことに感謝したのだった。後でその話を聞いた御影京子も、嬉し涙を流した。
そして、今、歌舞伎町の潜入捜査をしている、、
「海道八千代」と「大鳥竜子」にも連絡をとり、、「中道狂人会」の大浜参与には十分気を付けるようにと指示をしたのだった。
今までの組織やくざの中では武闘派で危険すぎるので、深入りをしないように念を押した。
なるべく早く、引き揚げるようにと、、
確かに潜入捜査は成果を上げてはいるが、今回の御影京子を見ると、、やはり、危険すぎたと反省する浜野内警部であった。新宿歌舞伎町の夜のネオン花も、気持ちではあるが、濁った花が綺麗になったような気もしたのであった。
今年の夏こそは古き時代の打ち水が似合う街並みなって欲しいと願うばかりであった。
16)女囚「海道八千代」と「大鳥竜子」の働き
新宿歌舞伎町で最も武闘派で、悧巧な商売をしているのが「中道狂人会」であり、、その陣頭指揮を執っているのが大浜五男参与部長であった。
思いっきりがよくて、ことが起きた時の後始末がいいのである、、、証拠をすべて消滅させてしまうのである。早い話が、この世から消してしまうのであったから、、彼には「もったいない」の心がないのであった。
どんなに自分が必要であっても、「まずい」「やばい」と思ったもの、、思った人間は切り離し、処分してしまうのである。言い換えれば「冷酷無比」というか「残忍」な男であった。
「間違いました、、、許してください、、、勘弁してください」は無いのである。
それを知っている人間は、謝る前に逃げ出していた、、然し、どこまでも追いかけて始末するのであった、、、睨まれたカエルのごとくであり、、逃げた者に対しての処刑は「残酷残忍」であった。
そんな男が経営する、高級売春クラブ「花美」へ、潜入捜査で潜り込んだ,海道八千代と大鳥竜子の二人に、なぜか不安と危険を感じた、浜野内警部班長は引き上げの指示を出したのである。
以前より、潜入捜査員の女囚の彼女たちを守るために警視庁特任課の「響竜子警部補」を潜り込ませたいた浜野内警部であった。
そして、響竜子警部補から連絡があり、、中道狂人会の大浜参与部長の動きが可笑しい、、二人の女囚秘密捜査員が「危険だと、、、」
それで、、浜野内警部班長は二人に指示を出したのであった。
海道八千代は間に合ったが、、大鳥竜子はすでに、大浜参与部長たちに拉致されたあとだった。
「まずい、、、」と、思い、単身で浜野内警部班長はクラブ「花美」に急いだ。
そして、、クラブ「花美」はオープン前だったので、クラブ事務所に大浜参与部長は数人の配下を従えて、大鳥竜子を拷問にかけようとしていたところだった。
一糸まとわぬ白鳥竜子は天井から下げたロープで吊るされていた。
「やめろ、、、てめーら、、ぶち殺すぞ、、」と、、云いながら、浜野内警部は自摸の通りに、拳銃を撃ちながら、大浜参与部長に、、云うなり銃弾を撃ち込んだ。
廻りにいた数人のやくざ達にも銃弾を放った。
大浜参与部長も撃たれながら、、浜野内警部班長に撃ち返したのであった。
彼女も慌ててきたために防弾チョッキを付けていなかったので、撃たれた、、しかし、怯まずに、大浜参与部長に、、「この野郎、、」と、云いながら行き根が止まるまで打ち込んで、
彼女も倒れた。
銃撃戦が終わったところに、、潜入捜査で潜り込んでいた響警部補が飛び込んで来た。
「浜野内警部、、、しっかりしてください、、、大丈夫ですか、、」と、、抱き起すと、、
「大丈夫だ、、大鳥竜子をおろしてくれ、、頼む、、」と、、云いながら、響警部補に指示をしたのだった。
下ろされた大鳥竜子は浜野内警部に近寄り、、「班長、しっかつしてください、、」と、、云いながら、抱き着いて泣きじゃくった。
「班長、、死なないで、、起きてよ、、」と、、自分の姿より、浜野内警部を心配したのだった
その後の処理は響警部補がてきぱきと片付けた、そして、、救急車もすぐに来て浜野内警部は警察病院に運ばれた、白鳥竜子は付き添っていった。
中道狂人会は監理売春法違反、麻薬取締法違反、銃刀法違反、暴力教唆違反などで、多数の逮捕者が出て、、解散までに追い込まれたのであった。
今回の浜野内警部班長の活躍で、新宿歌舞伎町の夜の巷は。かなり静かになった。
しかし、悪行の栄える夜のネオン街は、また、そのうちに濁るのであろうと、、繰り返し繰り返し人は、悪を好んで蜜を吸い求めてやってくるから不思議だ。
浜野内警部は危機一髪で有ったが、一命を取り留めたのだった。
ある晴れた春の陽に、、怪我をした浜野内涼子が4人の女囚と言われた女たちと、中前寺湖の水辺の洒落た山荘にいた。
浜野内涼子は銃弾で撃たれ、下半身麻痺を起こして、車いす生活になったので。
警察を辞めて、、4人の女囚と山荘経営を始めたのであった。
湖畔には5人の笑い声が響いていた。
17)女囚と共に。。。。
浜野内涼子は清々しかった。車椅子の生活になったが、素晴らしい女性4人に囲まれていた。
人は悪女というけれど、この世で最も素晴らしい彼女たちであった。
浜野内涼子の人生は悔いのない、、充実した日々を過ごし、、今また、悔いのない人生を歩いていた。
小さな山荘ホテルだけど、娘たち4人に恵まれた、いつも笑いの絶えない、日々を楽しんでいた。
そんな、ある日、嬉しい客が来てくれた。
新宿警察署の風俗係りの連中と、、昔の仲間が揃って、顔を出したのであった。
退職した平松権兵衛さんと、、新宿警察署風俗係りの班長に出世した響警部補が、警部に昇進して、二人の荒木警部補と添田警部補を連れて、、、
風俗係りも捜査員が増えたので、揃って来られたのであった。
杉田巡査と中村巡査は今回は来られなかったが、次回は参加したいということで。。。
「浜野内警部、、班長のお陰で、みんな元気です、、そして、逞しく成長しましたよ、、ありがとうございました、、、」と、、響警部は深々と頭を下げた。
「みんな、浜野内警部の働きで、新宿歌舞伎町も大分、静かになりましたよ、、それを持続したいとみんなで頑張りますから、、見ててください、、
更に、4人のあなたたちの働きは素晴らしかったわ、、本当にありがとうね、、」と、、4人の元秘密捜査員であった彼女たちに礼を尽くした。
そして、その晩は楽しい食事会になり、、それぞれに歌舞伎町の街を懐かしんだのだった。
第四話「桜田門一家の戦い、、危険な刑事」
1)太一警部補
法治国家の大物政治家と言われる建長寺雄一郎を親に持ち、何一つ不自由なく育った、はみ出し刑事が建長寺太一で、国立大学京都大学卒業のエリートで、将来の官僚警察官を約束されたいた。
エリートでありながら、大学時代には空手の選手として活躍して、空手会では有望視されていた。空手4段の猛者でもあり、金持ちのおぼちゃんタイプではなかった。
そんな建長寺太一は官僚警察官になるようなタイプではなく、捜査刑事として、現場畑から出発した。
もともと、優秀だったので試験で昇給する警察組織では、すぐに警部補となり、警視庁捜査第一課に配属となった。
建長寺太一は利口ぶるでもなく、エリート意識は全くなく、刑事仲間に打ち解けていった。
元来が負けん気で、正義感の強い男だったので、悪行犯罪には燃えていったのである。
勢い余って、勇足も何度かあったが、警視庁捜査第一課に勤務してからは、刑事としての検挙率は群を抜いていた。
常に先頭に立ち、捜査に立ち向かい、悪事を憎んでいるようだった。
建長寺太一の父は民友党幹事長の建長寺雄一郎であったが、その権力を利用するようなことは無かった。
建長寺太一の母親は、政治家の妻と言うこともあり、ある講演会で暴漢に襲われて死亡していた。そんなこともあって、悪事を憎んでいた。
ある時に談合贈収賄事件が起きた時にも、父の建長寺雄一郎の立場を離れて、捜査に打ち込んでいた。
父が関係していた事件でもあったので、建長寺太一警部補は家を出て、一人住まいをした。
そして、今も一人住まいを続けている太一であった。
(2)燃える刑事「太一」は走る
建長寺太一は警視庁捜査一課に配属になり、意欲に燃えていた。彼は大物政治家、建長寺雄一郎の長男に生まれたが、父が後妻を貰ってからは、その継母とは反りが合わなかった。
大学卒業までは親の元にいたが、卒業と同時に独立して、一人住まいを始めた。
異母兄弟ではあったが、弟の裕次郎とは気が合い、学生時代は好きな野球を一緒に見に行っていた。
弟は高校時代から、剣道に励んでいた。そして、スポーツマンらしく、すがすがしく、誰からも好かれていた。
太一が家を出てからも、兄弟中がよく、弟裕次郎は兄太一を訪ねてきていた。
太一が警視庁捜査一課に配属なってから、初めての事件を担当したのが殺人事件だった。
捜査一課の直接の上司となり捜査を担当したのが西園寺警部だった。経験豊富な刑事であり、面倒見のいいような刑事に見えた。
「おい、建長寺警部補、今夜は時間は空いてるか。。」
と、誘われて、西園寺警部の馴染の居酒屋に出かけた。
「よろしくな、、、建長寺警部補、、、これからは太一でいいかな、、呼び捨てにするけど」
ぶっきらぼうな、男らしい刑事だった。
そして、「太一、、、刑事になったんだから、事件に集中して、因果関係は忘れろよ、、」
と、、、初めから、親の力などは関係ないからなと、釘を刺されたような気がした。
勿論、太一は自分の力で、警察の中で生きていこうと思っていた。
「西園寺警部、、、大丈夫です。人を頼らなく、自分の力で生きていくつもりです、、、よろしくお願いします」
と、、太一も覚悟を決めて、刑事道を歩こうと、自分に云い聞かせた。
いい酒を飲んで家に戻った。
3)(男一匹刑事野郎)
太一は一人暮らしを始めて、朝は目覚ましをかけて、やっと起きていた。朝飯は抜きの状態が多かったので、移動中にいつもサンドかハンバーグをかじりながら朝食を取っていた。
その様子を何回か見ていたので、先輩刑事の西園寺警部が、、、
「太一、、おにぎりを持ってきたから、、、お前はいつも寝坊助か、、朝飯も食う暇がないのだったら、ちょとだけ早く起きて家へ来い、、、朝飯ぐらい用意してやるから。」
西園寺警部は言った。
「太一、、朝飯ぐらい食べないと、いい仕事が出来ないからな、、明日から、必ず来いよ」
と言うことになり、太一は毎朝、西園寺警部の家に通った。
何か力が入るような、一日、頑張ってやろうという気になるようだった。
警視庁捜査一課に事件が舞い込んできた。
銀座で殺人事件が起きた、、、夜の銀座のクラブ街で、酔っぱらった客同士の喧嘩で人が殺された。
太一には初めての殺人事件であるので、なんか張り切って現場に向かった。
先輩刑事に従って、現場検証に立ち会った。
ナイフのようなもので、腹を刺され、血だらけになって倒れていた。
犯人はすぐに分かった。クラブの女から聞いて、すぐに逮捕に向かった。
犯人は室町明と言う、反ぐれの男だった。その男のアパートを訪ねたが留守だった。
住まいの近所で聞き込みをしたが、昨夜から戻っていなかったようだった。それで、反ぐれの室町明がいつも屯している
御徒町の麻雀屋を訪ねた。とんずらをしたようだった。
太一が西園寺警部と捜査をして分かった事は彼らは覚せい剤を巡ってトラブルをしていたようだった。
新宿に事務所を構える暴力団「あかね連合」に組する反ぐれ集団に室町明はいたのだが、覚せい剤の集金をゴマかしたということで、追われていたようだった。
太一たちも聞き込みをして、室町明を探した。どこに逃げたのか見つからなかった。
そこで室町明の実家のある千葉市市川を訪ねた。聞き込みでは一度は来たようだったが、行方をくらましていた。
室町明の友達関係を当たっていた時だった、偶然に太一は室町明に出会った。
先輩刑事の西園寺警部は、その時に昼食用のパンと牛乳を買いにお店に入って行った。
室町明に出会った太一は、相手が逃げたので追いかけた。
逃げる途中で子供が飛び出し、運悪く犯人に捕まり、人質になってしまったのである。
「こらーーそれ以上、動くと撃つぞ」と、、、拳銃を取り出して、子供の頭に擦り付けていた。
太一は咄嗟に、拳銃を撃った、自信があったのだ。
射撃では警察学校でも一番だったので。。
運よく、命中した。犯人の頭を打ち抜いていた。
偶然に犯人を倒し、子供も無事に救えた。。。結果的は良かったのだが、、、銃声を聞いて、飛んできた西園寺警部に殴り飛ばされた。
4)(殺しの太一刑事となる)
建長寺太一警部補が捜査一課に配属になり、二つ目の殺人事件が起きた。
大手企業である「総武不動産開発株式会社」の営業第一課の長嶋係長が本社営業室で倒れていたのであった。頭から血を流して即死状態だった。
太一警部補の上司西園寺警部は思った、、、厄介な事件が起きたなと。
総武不動産開発株式会社にはいろいろ政界の大物政治家、経済界の重鎮が絡んでおり、今までにも談合贈収賄事件、汚職絡みで黒い噂が流れていた。
その上に反社会勢力と言われるやくざ組織までが絡んで、ことごとく談合や贈収賄、汚職に絡んだ事件を揉み消したり、捩じ上げた判決を生み出していた。
それらの事情を知っていた西園寺警部は気が進まなかった。
弟分の太一警部補は燃えていた。
「太一、、お前、大分やる気でいるな、、、褌を占めてかかれよ。」と、、、
西園寺警部は激を飛ばしていた。
いつもの通り、二人は今回も相棒を組んでの捜査に当たることになり、、とりあえずは「総武不動産開発」の本社現場に行った。
「ひどいな、、、鋭利なもので、刺され、その上を鈍器なようなもので割られているよ。」
西園寺警部は見立て、、、「結構、恨まれているな。この殺し方は、、」と、、太一警部補に呟いた。
「太一、、会社の人間に事情聴収といくか、、、」と言ってから、当たり前の筋書き通りの事情を聞いて回った。
西園寺警部は太一警部補にあらかじめ、会社状況を説明しておいた。これからの捜査には気を配るようにと。。
最新の注意を払って、人間関係を捜査することと念を押した。
下手な捜査をすると、裏から、、、上から圧力が掛かることを教えておいた。
西園寺警部と太一警部補の凸凹コンビの捜査を大雑把にまとめると、汚職臭いと考えた。
会社の裏金隠しに纏わるトラブルと睨んだのだった。
兄貴分の西園寺警部は、、、気を付けないと、気を引き締めた。
「太一、今のうちに言っとくぞ、、、今回は一人では絶対に動くなよ。」と、、、
初めから、西園寺警部は嫌な予感がしたのだった。
その夜、太一を誘って夕食をした、、美味い蕎麦屋があるので。。。
5)(最初の圧力が始まる)
日本の国とは不思議な処だ。法治国家なのに悪事が罷りとおってしまう。捻じ曲げられてしまう。
なんと不思議な国だろう。
西園寺警部は、弟分の太一警部補に言って聞かせた。今回の事件は気を付けないと警察官破滅があるからと。
今までの経験だと金持ちが絡んだ事件、裏金作りには余程気を付けないと馬鹿を見るからだ。
権力者たちは、自分の身を守るためには何でもするということだ。あらゆる手段、攻略を講じる、、人の命までも犠牲にして、、、何が正儀か分からない。
己の地位を守り、堅持するためには、時には悪行も断行するのであった。
その時のために、手を汚す人間たちまでも買っているようだ。さらに、法を守る人間にまで毒牙を伸ばしているのだった。
だから、汚職が絡んだ事件、殺人などを突き詰めていくと、初めから答えが準備されているのであった。
そして、都合が悪くなると、担当警察官などが責任を取らされてしまい、事件は幕が引かれる。
そんなことがあるから、弟分の太一警部補には苦湯を飲ませたくなかった。どういう訳か、西園寺警部には自分を慕ってくれる太一が可愛かったのである。
しかし、親心、子知らずなのか、太一警部補は燃えていた。今回の事件に、やけに熱心であった。
そして、抜き差しならない羽目になったのであった。
今回の総武不動産開発株式会社には、父親の建長寺雄一郎が絡んで来たからだった。
太一警部補が捜査を始めたのは、死亡した長嶋係長の身辺からだった。
家族にあたった。奥さんの長嶋智子は総武不動産開発の経理部に勤務していた。従って、総武不動産開発の経理部の仕組みと言うか、内情を良く知っていた。
そして、夫の長嶋三郎係長が営業に関する資金管理をしていたので、資金運用が会社社長である、二階堂保の決済である程度処理できたのである。
捜査によれば、北海道小樽のリゾート用地買収に50億を要していた。しかし、太一の調べでは30億と分かった。
それでは残りの20億はどうしたのかとなる。
そのカラクリは見事なものだった。
太一警部補たちの捜査でも、用地買収には50億が使われていた、しかし、太一警部補の執拗な調べで、そのカラクリが暴かれたのであった。
その結果、西園寺警部は「やばい、、まずいな」と、思った。
その資金内訳が暴かれなけらば、長嶋係長の事件は自殺で処理されていたのであった。
6)(太一警部補に試練が、、、)
太一警部補が小樽に捜査に言った時だった。その時は西園寺警部が都合が悪かったので、同僚の大石警部補と捜査をしていた。
総武不動産開発の用地買収に関わった地元の柴田不動産を調査した時だった。偶然、同僚の大石と洒落た居酒屋に入った、先方は気が付かなかったが、噂話をしていた。
その話を聞いていた太一警部補は、、、、
「そうだったのか、、、ごまかしがあったのか、、、」
反面、どえらいネタを掴んだなと思い、、
翌日、柴田不動産を責めた。少し、強引過ぎたかも知れないが、その裏付けを取った。
太一警部補は鬼の首を取った気分で、東京に戻った。
太一警部補は正儀溢れる、熱血漢刑事であった、誰が何と言おうと、今回の裏付けを取ったネタは折れないという覚悟を持って警視庁に帰り、上司の西園寺警部に報告をした。
話を聞いた西園寺警部は「まずい、、」と唸った。
必ず、今回の事件はクレームがつく筈だと、、、
しかし、太一警部補は強い意志を表して、クレーム覚悟していた。
今、横槍が入っいてることも知っていた。
西園寺警部補は、、「太一、本当にいいのか、、覚悟は出来ているのか、、」と、念を押してきた。
横槍は警察幹部や政治家絡みのものであり、最終的には民友党幹事長の建長寺雄一郎が出張ってくる筈だ。
太一警部補は覚悟していた。
自分の首をかけて、、、、、
一度は父親と対決しようと思っていたので。
兄貴分の西園寺警部は太一警部補の覚悟を知り、確認した。
そして、自分も一度ぐらいは警察官としての誇りを持って、望むことにしたのであった。
警視庁内部では大騒ぎとなった。
何としても、揉み消そうという、警視庁組織、、、しかし、太一警部補は引き下がらなかった。
7)命を賭けた警察官としての誇り
(誇り高き男たち)
西園寺警部は、安定した生活を送ることも一生、男一匹、人生最後を太一警部補にかけてみたくなった。
男としてロマンに夢にかけてもいいような。。。太一警部補には何かを感じていたのであった。
「太一、、、お前の思う通りにやってみな、、、俺な、、人生を間違うかも知れないが、、お前にかけるからな。。。」
「太一、お前の馬にのったぞ、、、走れよ、、しっかりな」
西園寺警部に尻を叩かれた。
太一警部補も走り出したのであった。
もう何があっても戻ることは無い。。。。
競馬で言えば最終コーナーだ。
走って見せるぞ、、、太一は心に誓った。
「西園寺先輩、ありがとうございます。力が湧いて来ましたよ。。。警察官生命をかけて、頑張ります」
太一警部補は父親との確執もあったが、跳ねのける覚悟をしていた。
場合によっては警察官生命を絶たれるかも知れなかった。
太一警部補の見方は西園寺警部だけだった。
8)父親建長寺雄一郎との対決
太一警部補は呼ばれた。父、建長寺雄一郎に、、、
太一に電話があり、、、「太一、、今夜でも明日でもいいから、久しぶりに飯でも食わないか。。」と。誘いがあった。
太一は「来たか、、、覚悟するかな」と、思いながら父の誘いに向かった。
向かった先は六本木の寿司屋だ、、、父、建長寺雄一郎が好きな寿司屋で、注文の出来ない寿司屋であった。
しかし、魚は超一流のものが揃っている。
太一警部補に言わせれば、大人の見栄だ。不思議なことに太一は、その寿司屋へ行くと、決まって、次の日には腹を壊していた。行きたくなかったけど、今回は父親に顔を立てたのであった、
「太一、、お前、頑張ってるみたいだな、、張り切り過ぎるなよ、、、話は聞いているけど」
「ああ、親父の脚は引っ張らないようにとは思っている」
「おやじ殿、俺はやっぱり、カエルの子だよ。。。。こうと決めたら、止まらないようだ。。。」
太一と父雄一郎は酒を酌み交わした。
そして、 太一は言った。
「おやじ殿、、、俺に構わずに親父は親父の道を行ってくれ、、」
無言だけど、親父の道にあがらうと、決心をしていることを太一は告げた。
「そうか、、、太一、、お前は俺の子だ、、、分かった」
そう言って、父、雄一郎は盃を干した。
「太一、、、俺は帰るぞ」と、お店を後にした。
何処かに息子を誇らしげに思いながら、いつもの黒のハットを被りながら、背中で手を振ったようだった。
太一も思った。
「おやじ殿、、ありがとう、、、命を賭けてぶつかっていくよ」
頑固な親子の話し合いは終わった。
太一が夕闇の六本木の街へでた、、、明日もまた、腹が痛くなるだろう、、、、
(9)男の戦い
太一警部補は思った。これで悔いなく思いっきり戦えると、、、今回の汚職事件を解決するためには、幕引きをするためには、どうしても父、雄一郎との対決を避けずには通れない道であった。
西園寺警部には本音を話した。今回の決着をつけるためには、どうしても、民友党幹事長、建長寺雄一郎をも潰さなけらばならに事を、、、
西園寺警部は太一警部補の覚悟を聞いて、どこまでも応援しようと決めたのであった。警察官の誇りをかけて、最悪の場合は警察官の職を辞しても仕方がないと。。。
「太一、、、わかった。思いきりやれよ、、、悔いを残さないように。」
二人は覚悟を決めて、今回の汚職及び殺人教唆事件の最終捜査会議に臨んだ。
合同捜査会議に入り、まずは担当課長から話があった。
「今回の汚職疑惑及び殺人教唆の疑惑に関して説明をします。、、、捜査の結果、汚職は無かった、また、殺人教唆ではなく、本人の自殺であったことが判明した。そのことによって、今回の事件は終了。」
と言う捜査結論に達した。
太一は怒りをぶちまけることにして、反論をした。勿論、全ての捜査からなる証拠を出して、警察の今回の暴挙に対して自分の警察官生命をかけて、捜査結論に対する意見を述べた。
捻じ曲げられた事実を訴えた。法治国家であるべき日本の警察のやるべきことではないと。。。
そして、太一警部補は自分の意見を取り入れて、再捜査なり、再検討をしてくれと訴えた。
しかし、結論は変えられなかった。初めから覚悟していたので、その場の報道機関に訴えたのであった。
会議は大混乱を起こした。警察内部の上層部も慌てた。
まさか、太一警部補がここまでやるとは思ってもいなかったのである。
この捜査会議の記事が報道された。
パニックを起こしたのであった、警察内部でも責任問題が起こり、収まりがつかなくなっていた。
(10)決着
太一警部補の反乱ともいうべき行動によって、警視庁内部は大パニックになった、、、検察庁も同然であった。民友党事務局内でもてんやわんやの大騒動になった。
普通なら、政治力により捻じ伏せられた事件であったが、太一警部補が警察官生命をかけて、ぶちまけたことにより、全てが白日の下にさらけ出されたのであった。
どうにも止まらない、止めることが出来ない状況になり、社会悪が表面化したのであった。
手始めに民友党幹事長、建長寺雄一郎が辞任に追い込まれるとともに今回の汚職に絡む賄賂受託罪に問われた。
警察内部の刑事局長水野忠助、検察庁検事副総裁が起訴された。
また、総武不動産開発株式会社の鳳社長、経理部長の堀尾利助が汚職に絡む嫌疑で逮捕された。
更に北海道小樽の柴田不動産の柴田社長も汚職に絡んだ嫌疑で逮捕され。
一網打尽であった。
更に、殺人教唆に関わったと思われる暴力団青龍会の青田隆二幹部も逮捕された。
これまでの汚職などに関する事件では、大部分が隠蔽されてしまったいた。しかし、今回は処罰されたのである。
勿論、正義の味方である、太一警部補は警視庁から飛ばされた。遠い南の沖縄に左遷となった。
警部補から一巡査に格下げされて、交番勤務となったのである。
西園寺警部も左遷となった。
日本と云う法治国家では社会悪を撃退すると、はるか彼方に飛ばされてしまうようだ。。。
なんとも空しい、馬鹿げた法治国家なんだろう。。。。
優秀な熱血刑事は消えたしまったのである。
11)沖縄に流されて。。。
建長寺太一は警視庁時代は警部補を拝命していたが、今回の脱税汚職事件の摘発に関しての功労者ではあるが、、日本の法治国家の不都合で、不始末を咎められ沖縄県波照間島にある警察署管内の交番勤務になり、、、巡査部長として転属なったのである。
早い話が左遷であり、、日本最南端の波照間島に飛ばされた。
八重垣山警察署管轄の「最南端の交番「波照間駐在所」に転属になったのである。
波照間島駐在の先任者が定年となったためのことであり、、駐在員は1人だけであった。
沖縄県石垣市矢崎町に存在する波照間駐在があるところは「日本最南端で南十字星に一番近い島」であり、、空がきれいで海が美しい島である。
人口500人足らずで、面積も約13キロメートルと小さな島であるが、、最近観光客が多くなってきた。
島内にはホテルや民宿、ペンションもあり、、、観光ツアーが組まれている。
東京からは羽田空港経由で石垣島空港へ約3時間、そして、高速船で波照間島まで約1時間40分の距離であった。
太一巡査部長は交番勤務も一人なので気楽であり、、、島の人々も親切でやさしく住みやすかった、、
二人住まいの老夫婦の所に下宿をしたので、、、近所の人たちも面倒を見てくれたのである。。
下宿先の中曽根忠治さんは釣りが好きで、太一が休みのたびに連れて行ってくれた。
海も綺麗だし、、、食べる魚も新鮮なので、太一は色も黒くなり、、少し太ったのである。。沖縄の波照間島に来て、心が落ち着き、ゆったりして、、左遷ではあったが良かったと思っていた。
波照間島の部落の屋根は「赤煉瓦屋根が残り」塀はサンゴの石垣が、、、白砂の道の上を「水牛車がゆっくり歩いている」そして、屋根の上には「シーサー」がある。
太一は沖縄で生きていることを肌で感じた。ずっと、沖縄に居てもいいかなと思うようになっていたのである。
そんなある日,警視庁時代の上司でもあり、、兄貴のように世話に成った西園寺警部から電話が入った。
現在は太一と同じに左遷をさせられて北海道警察勤務であり、、警部補に格下げになっている、、、その西園寺警部補が尋ねて来るというのであった。
仕事を兼ねての来訪であるが,、、太一には嬉しかった。
8)恩人の西園寺警部補が訪ねて来た。
西園寺警部補が沖縄県波照間島まで北海道から来たのであった、、、仕事を兼ねての警察旅である、、、飛行機で石垣島まで来て、高速船で最南端の島までの旅であった。
太一の赴任した波照間島駐在には太一が一人勤務するだけであるが、ホテルや民宿、ペンションはいくつかあるので、、、太一が世話に成ってる「民宿うるま家」を予約しておいたのである。
「民宿うるま家」は海が見える大浴場が気持ちがよく、、魚料理が旨いのであった。
西園寺警部補が港に着くころに太一は,駐在のぼろ車で迎えにだたのである。。。。
西園寺警部補と同僚の大和警部補を車に乗せて「民宿うるま家」に案内する間、、太一は波照間島のガイドをしていた。
「この波照間島は日本の最南端で、、、南十字星が見られる島なんです、、空の綺麗な海の素敵な島で、最近は観光客も多いよ、、」
と、自分の家を自慢するように話したのである。
「西園寺のおやじさん、、、今夜の民宿のお風呂はいいですよ、、魚も旨し楽しみして居てください、、、」と、太一は旅行でも行くようにはしゃいでいた。
「事件のことは大体、聞いていますけど、、本人は家にはまだ、もどっていませんよ、、」と、、太一は報告だけはしておいたのである。
「わかった、、細かい話は飯でも食いながら、夜話そう」ということで、目的の民宿に着いた。
「親父さん、、まずはお風呂に入ってください、、」と、、太一は案内したのである、、、我が家を案内するように。。。
太一も一緒に風呂に入った、、
「親父さん、、、久しぶりに背なかを流すよ、、どうです、、海が眺めていいお風呂でしょう、、」
太一は久しぶりに会う西園寺警部補が懐かしかった。
夕食の時に民宿の中曽根夫婦が挨拶に来てくれたのである。。
「初めまして中曽根です、、太一さんからお話は聞いていますので、宜しくお願いします。。。」と、、、
西園寺警部補も軽く会釈をして「よろしくお願いします、、西園寺です、、、一緒に来ているのが大和です、、今回はしばらく、お世話に成りますので、、、」と、、中曾根さんの釣ってきてくれた魚の刺身と煮つけを食べた。
西園その恨みで寺警部補と大和警部補は舌鼓をうつほどの美味しさであった。
太一たちも仕事の話は明日ということにして、美味しい料理と旨い酒に包まれて、南海の島の夜を楽しんだのである。
ほんのわずかな警察官の癒し時間であった。
12)太一の刑事魂が燃える
沖縄県の最南端である波照間島の駐在に赴任してからの太一は自然に恵まれて、精神的にのんびりし過ぎた気がした。。
余りにも綺麗な海や南十字星の見える島で、正直言って事件らしい事件も起きないので、太一は警察官でいることを忘れてしまったようだった。
そこに、西園寺警部補が刑事としての仕事を持ってきてくれたのである。
その犯人に今の自由党幹事長である松平重太郎の娘婿の松平史郎が殺されたと、、、そして、その犯人が実家のある沖縄波照間島に逃げてきているというのであった。犯人の名は中曽根三郎といい、、その犯人の母親が重病で明日をも知れぬ命であるというのであった。
西園寺警部補から話を聞くと、、、犯人の中曽根三郎はやくざ組織の組員とのことであり、、、北海道開発(株)とはリゾート開発での利権が絡んでるようだった。
詳しい話では、、、東京の本社「北海道開発(株)」が自由党幹事長松平重太郎の口利きで始まった開発事業であり、、「1000億円」からの開発内容で、、ホテルからスキー場施設やカジノまで併設した事業規模であった。
プロ野球球団の総合野球施設も含んだ大規模開発であるらしい。
そんな開発事業に黙って指を咥えてみているようなやくざ組織はいなかった。北海道に勢力を持っている「北海東北連合榎本会」が横車を押してきたのであった。
そんな利権争いの渦の中で、北海道開発(株)本社から松平史郎専務取締役が、、支社長として送り込まれてきたのである。
松平史郎支社長は「イケイケ行動派」だったので、強気の営業展開をしていたのであった。
札幌に近い石狩平野のどまんなかでの開発事業だった。
強きの松平史郎支社長は、「北海東北連合榎本会」にしてみれば、、邪魔だ
榎本連合会の榎本武会長は、、、
「幹部会を開き、、松平支社長は今回の俺たちの仕事には目障りだ、、邪魔だよ。。」
と、、言っただけで石田若頭が動いたのである。
そして、、今回の中曽根三郎組員が松平史郎支社長の暗殺となったのだった。
やられた「北海道開発(株)」の後ろ盾の自由党幹事長松平重太郎も黙ってはいなかったのである。。。
松平幹事長が悪事商売を全てやらせていた、東京赤坂の総武不動産(株)の二階堂保社長に連絡を取り手を打たせた。。。総武不動産は反社会勢力のやくざ組織であったので、、
母体組織の「東京連合睦会」と今後の打ち合わせをしたのであった。
総武不動産(株)の不動産トラブルの専門やくざを3人チームを作って北海道へ乗り込ませたのである。
西園寺警部たちも太一を入れて、、、3人で波照間島へ来た犯人、中曽根三郎を探した。
太一も本来が熱血刑事であるので、、暇を惜しんで探したのである。
狭い島である、、人口500足らずの島なので簡単に探せると思っていたが、、、なかなか、思うようにはいかなかった。
犯人の中曽根は必ず、会いに来ると思っていた、、、
島の人たちの話では「母親思いの息子」らしいので、必ず来る筈だと、、太一たちは辛抱して待っていたのである。
しかし、中曽根三郎は現れなかつた、、
こない筈で有った、、、彼も島では「いい人」」で通っていたのである。
警察に追われているけれど、、、島の彼を知る人たちは「一目だけでも」会わせてやりたいというのが人情であり、、たとえ逮捕されても、その前に会わせてやりたいと思っていたのであった。
そんために彼を知る人たちの協力が得られなかったのである、、、そして、太一も警察でも社会でも「苦水」を飲まされいるので,その辺の「武士の情け」を知っていたのである。
そして、、、中曽根三郎が母親を尋ねて来た夜に、太一は寝ずの見張り番だったが、、寝た振りをして、彼を見逃した。
親子の別れは出来た筈だった、、
中曽根三郎が母親と別れを済ませて出てきたので、、「中曽根、、別れは出来たかな。。」と、、太一は声を掛けた。
彼は頭を下げて、、、「ありがとうございました、、、母とは別れを済ませました」と、、潔く太一に両手を差し出したのである。
「よかったな、、、お母さんと会えて、そして、別れが言えて」、、、、
太一は思った、、、中曽根三郎は男だったなと、、、
自分は親父に別れを言ってなかったと後悔をしていたのである「残念無念」だ。。。
13)太一刑事、、転属に成る。。。
西園寺警部補たちが中曽根三郎を逮捕して、北海道に帰ってから、しばらくして太一刑事のもとに「転属命令書」が届いた。
海の綺麗な南十字星の見える南の島から、、冬は雪景色ばかりの北海道警察署への移動である太一刑事にしてみれば「復帰昇給」の嬉しい知らせであった。
しかし、太一刑事は心から喜べなかったのである、、、余りにも沖縄の波照間島の美しい自然に惹かれていたからであった。
世話に成った優しい人たちと別れての旅たちであったのだ。
そして、波照間島に別れを告げて北の新天地札幌にある、「北海道警察捜査一課」に向かった。
急の転属であった日が、、真っ白な雪景色に覆われた寒い冬だったのである。
西園寺警部補が寒い朝の札幌駅に出迎えてくれた。
「太一、、寒いだろう、、大丈夫か、、よく来たな、、警部補に昇給出来ておめでとう、、、」と、、歓迎してくれたのである。
「太一、、今回の昇給は犯人逮捕というお手柄の褒美でもあるが、、、注意しろよ、、、お前の悪に対する正義感が功をなしてるが、、、転属,昇給は政治力によるものだからな、、、」と、、話してくれた。
更に、自由党松平幹事長の思惑での事情のようだったのである。
それは組織暴力団「北海東北連合榎本会」に、太一警部補を担当させて、それらの行動を封じ込めようとしての陽動作戦だった。
松平幹事長は国家権力を利用しての金儲けの事業対策であり、、前回の父親であった「建長寺幹事長」を引きずり下ろした手腕をかってのことだった。。。
松平幹事長は自分は建長寺幹事長の二の舞はごめんなので、、、用意周到に準備はしていたのである。
悪くいえば罠を張っての悪巧みの国家権力の利用であった。
西園寺警部補は承知の上で、太一に今回の捜査作戦を打ち明けたのである、、、二人だけの作戦であり、企業秘密でするからな。。」
と、、、西園寺警部補は太一警部補に作戦を授けた、、、
その上で太一警部補にも考えて行動を擦る様にと告げたのである。
今回は警察の都合や面子ばかりで動くのではなく、、あくまでの二人のここまでの経験を生かしての捜査をしていくことにしたのであった。
勿論、松平幹事長たちの都合は後回しであったのである。
寒い北海道で燃えるような熱血漢が吠えたのであった、、、燃える相棒の復活である。
14)西園寺警部補は気になった、、、政治家の罠ではないのかと、、、
「太一、、今晩、飯でも食いに行こうか、、北海道にも馴染の店が出来たのでな、、
お前、、寿司が好きだったな、、帰りは一緒に出ようか、、」
と、、西園寺警部補と約束をしたのであった。
西園寺警部補は心配なのだ、、、今回も政治家が絡んでの転勤であったので、、、
どうも、太一の過去の実績を見ての自由党松平幹事長の思惑がありそうなのである。
太一警部補の行動力、捜査能力をかっての移動であってと思う西園寺警部補であった。
今度だけは政治力に、、悪だくみに利用されないように注意しないと、、そればっかりを考えていた西園寺警部補であった。
夜、、太一警部補は西園寺警部補に連れられて、、札幌市内の「狸小路商店街」にある、縄のれんの有る寿司屋に入った。
小ぎれいなカウンターだけの寿司屋で、老夫婦でやっているようだった。
「いらっしゃい、、西園寺の旦那、ご無沙汰ですね。。。」
と、、意気のいい声で挨拶をされた。
「おお、、こんばんわ、、今夜は俺の警視庁時代の愛弟子を連れ来たので、、
親父さんお奨めの寿司を握ってくれ、、」
頼むと威勢のいい返事が返ってきたのである。。
「西園寺の旦那は元気でしたか、、、」と言いながら,おかみさんがお茶を出してくれた。
そして、、太一警部補の前に旨いと言われる寿司が出てきた。
「旨いです、、久しぶりの美味しい寿司ですね、、ありがとうございます」
と、、太一は旨そうに頬張っていた。
「ところで、太一、、今回の締めくくりは上手くな、、、馬鹿を見ての責任取は絶対に御免だからな、、」
念を押したのである。。
「いいか、太一、どんなことがあっても最後は松平に、、そして、連合に泥を被せないとな、、、忘れるなよ」
と、、西園寺警部は何度も念を押したのであった。
「太一、、よくよく考えとけよ、、、俺たちが責任を取るのではなく、、仕掛けてきた奴らに、全てを押しつけて責任を負わせることを絶対に忘れるなよ、、」
と、言いながら西園寺警部補は好きな日本酒を「冷酒」飲んだ。
15)太一警部補に戻っての初仕事
夕べは西園寺警部補と久しぶりに、、、「親父、、、太一、、」と呼び合いながら楽しい夜を過ごした。
そして、太一は肝に銘じたのである、、、今回は前回のようなバカな責任を取らずに、事件を解決してやろうと自分に言い聞かせた。
北海道警察に赴任した朝に、、上司の清水捜査課長から言い渡させられたこと、、それは「北海道開発(株)」と「北海東北連合榎本会」の争いを鎮てもらいたいことであった。今回の北海道開発の松平支社長暗殺の逮捕の実績から突破口を見つけて、事件解決に奮励努力をして欲しいと、、、言うことであった。
そして、、「西園寺警部補と力を合わせて欲しい、、」
指示命令を受けての捜査開始であった。
そのあとで太一警部補は西園寺警部補から云われたのである、、、
「太一、、慌てるな、、じっくり構えていくぜ、、いいな、、」と、、念を押された。
「太一、、まずは逮捕した中曽根三郎の取り調べから行くからな、、、事情をしっかり聴けよ」
ということで、、暗殺犯人を取り調べ室に呼んで事情聴取から始めたのである。
中曽根三郎は逮捕時の太一警部補の対応に感謝していたので、、「刑事さん、、沖縄ではありがとうございました、、
本当にありがとうございました、、」と、、何度も頭を下げた。
西園寺警部補と太一に感謝の態度を見せながら、取り調べに素直に話をしてくれたのであった。
中曽根三郎組員は自分が事実を話せば、どうなるかを覚悟しての「やくざ掟」を破っての暴露である、、、
それは沖縄で取った太一の中曽根に対する対応であった、、、死に際の母親に合わせてくれた温情であり、、人間としての思いやり、やさしであった。
その行為に引き換えても余りあると、中曽根は感謝していたからであった。
中曽根の供述があったことで、、「殺人教唆」で「北海東北連合榎本会の榎本会長」を逮捕出来たのである。。
榎本会では慌てた、、今後の相談をして、北海東北連合の指示を仰いだのである。
一方、北海道警察側は「中曽根三郎」の身の安全を守るために、警戒を厳重にしたのであった、警察側も中曽根三郎を釈放はせずに、、逆に監禁状態にして、ヤクザからの報復を守つたのである。。
太一たちは知っていた、、、「やくざ所以は殺しが出来るから、、裏切りは死に値する」というやくざ組織の鉄の掟があった。
そして、今回は裏切った中曽根を許す筈がないと、、、太一は真実を話してくれた中曽根三郎を殺させる訳にはいかなかったのである。。
裏切ったやくざは、、いつか娑婆に出た時に狙われ殺されるのであった、、、「殺された後はミンチにされて、豚か鶏の餌にされてしまうのであるか、、または海に蒔かれて魚の餌になる」
そして、、死体が消えるのであった。
この世の怖ろしい残酷物語がある、、それが「やくざの恐ろしさ」である。。
太一は事件解明に当たると同時に、、中曽根三郎の身の安全を考えた、、、どんなことがあっても、、
守ると決めたのであった。
16)太一警部補の作戦、、、
太一警部補は中曽根三郎の命がけの証言により、、「北海東北連合榎本会」の榎本会長を殺人教唆で逮捕出来たのであった。、、「北海東北連合会」の大熊繁蔵会長は、月野若頭に号令をかけて幹部会を招集したのである。
「月野、、、いいか、、榎本が挙げられたのだから、、けじめはつけろよ、、、今回の「北海道開発(株)」の事業は潰せよ、、、いいな。。」
と、、大熊繁蔵会長から厳命が出された、、、「北海東北連合会の面子にかけてな、、」と、、、
月野若頭が先頭を切っての戦争であった。
そして、月野若頭を中心に作戦を練ったのである。
「殺人教唆」でトップが執られたからにはトップを狙えでいくことにしたのであった。
月野若頭のもとに「ヒットマン」が仕立てられた、、、「榎本会」と「連合会本部」から4人が決められたのである。
北海道開発(株)本社の松平社長と自由党幹事長松平重太郎が今回のターゲットであった。
榎本会の狙いは二人である、、、そのほかの関係者は枝葉であり、、戦いを望んできたら料理すればよかっただけである。
準備の出来た北海東北連合会榎本会は動き出したのであった。
連合会と榎本会の「ヒットマン4人」は東京へ向かったのである。
太一警部補が仕組んだ作戦、、、それは、後処理で「政治力が圧力」がかからないように、、喧嘩相手に始末をさせるということだった。。
東京へ出た「4人のヒットマンたち」は獲物を狙って、機会を待っていた。
そして、、関東連合会睦会が放った不動産プロたちよりも行動が早かったのである。
自由党幹事長松平重太郎と、、、北海道開発(株)の松平社長を暗殺したのであった。
テレビニュースなどで、、、大題的に報道された。
北海道開発(株)のリゾート開発に絡んだ事業は頓挫したのであった。
17)企業は強い、、頭なしでも前に、、、
北海道開発(株)の平林専務取締役は総武不動産(株)の二階堂保社長と相談をしたのであった。松平社長と自由党幹事長の松平重太郎が暗殺された後は事業が頓挫したように見えたが、、、残った幹部社員と総武不動産が力を発揮したのである。。
特に総武不動産(株)の二階堂保社長は本来のやくざ魂をむき出しにして前に出てきたのであった。
総武不動産(株)は「東京連合会睦会」の傘下であり、まるっきりのやくざ不動産屋なので、、二階堂保社長は思っていたのであった。
二階堂社長は「やられたな、、田舎ヤクザに参ったな、、何が何でもやり返したやるよ、、東京やくざの面子に懸けてな、、、」
と、、イラついていたのである。
今までは北海道開発(株)の言いなりに動いていたが、、今度はそうはいかないぞと、、意気が上がっていたのであった。
北海道開発(株)グループの中心的な存在になっての開発業務の推進を図った。
二階堂社長は「東京連合会睦会」本部から指示を受けて、今回の北海道開発の指揮権を任せられたのである。
そして、、攻めた。
「北海東北連合会榎本会」の月野若頭を狙えということで、、睦会の鉄砲球が飛んだのである。
やったらやり返せということになり、、やくざ同士の戦争が始まったのであった。
太一警部と西園寺警部補の思う通りになってきたのであった。
お互いのやくざ同士の争いになり、、警察としては取り締まるだけとなったのである。
政治力の圧力はかからなかったのであった。
18)やくざ抗争始まる、、、
東京連合会睦会の黒田利三郎会長に自由党沼田源太郎幹事長から直接に言い伝えがあった。
組内の総部不動産(株)二階堂保社長を引き立ててやって欲しいと、、、北海道開発の仕事を引継いだので、これからの指揮を執るからということになったのである。
太一警部も西園寺警部補もうんざりしたのであった。
頭を失っても、、尻尾を斬っても、、入れ替わり立ち代り、、諦めずに攻めてくるしつこさに参ったのである。
何を斬り落とせば止まるのか、、、悪事事業はと思った太一警部であった。
太一と西園寺警部補は捜査会議方針とは違った動きをしないと、北海道開発の事業に絡んだトラブルを解決するのは難しいと考えた。
しかし、一度には出来ないので個々に潰していく作戦を立てたのである。
まずはやくざ抗争で一番困るのは、一般市民が巻き込まれることであった。
太一たちは正確な情報を仕入れることに集中した、、、そのためには常に情報屋を駆使したのである。
まずは東京連合会が放った「鉄砲球」を探すことだった。その結果、太一たちは血眼に成って炙り出したのである。
秘密裏に逮捕して、裏付け捜査をして証拠固めをしたのであった。
そして、北海東北連合会榎本会の月野若頭に太一たちは情報を流したのである、、
街の情報屋を使ってであった。
その情報をもとに榎本会の月野若頭は再びヒットマンを東京へ送ったのである。
北海東北連合会の大熊繁蔵会長は気が荒くて、決めたら相手を殺すというやくざ戦法を取っていたので、今回も
月野若頭に命令指示を出していた、「絶対に引くな、、最後まで闘い続けろ、、」と、、
それに常に忠実に随ってきたのが月野若頭であり、、大熊会長の信頼も厚かった。
東京へ向かったヒットマンは数人で、一挙にかたずける指示を出していたのである。
狙われる者は弱く、、狙うものは強かった。
そして、総武不動産(株)の二階堂保社長、東京連合会の大橋若頭が銃撃されて死亡したのである。
更に二人の葬儀の時に連合会黒田利三郎会長が襲撃された。
その襲撃事件で警視庁特捜部が動いたのである。
警視庁特捜部と北海道警察が合同で、、北海東北のがさ入れが行われた。
その結果、北海東北連合会の大熊繁蔵会長と榎本会の月野若頭は「殺人教唆」で、、幹部連中は「銃刀法違反」で、
犯行に携わった組員たちは「殺人罪」で逮捕されたのである。
太一と西園寺警部補の計画は上手くいった。前回の失敗そして左遷を考えての作戦であった。
二つの組織暴力団を壊滅状態に追い込み,「解散届」までに至ったのである。
ここまでくると、政治力も役に立たなかった、、、マスコミが大々的に報道したので、、、
北海道開発事業も頓挫した、、、そして、法律的な処理が行われた。
今回は太一警部の悪人退治が出来たのである。
19)太一東京へ帰る。
太一警部と西園寺警部補は今回の北海道事件の解決で警視庁特捜部に復帰できたのであった。
反社会勢力の暴力団「北海東北連合会榎本会」を解散に追い込み、、更に「東京連合睦会」を壊滅状態にまで攻めこんだ業績で褒美のような形での名誉を回復しての転属である。。
太一は警部のままで、、西園寺警部補は定年を控えての警部昇進で戻って来たのであった。
二人は「よかった、、よかった、、」と、喜んだ。
そして、西園寺警部の家で、辛抱して待っていた奥さんと三人で乾杯をしたのであった。
久しぶりの我が家であり、奥さんの手料理が美味しくて堪らないという風な西園寺警部である。。
「太一、ありがとうな、、、すべて、お前のお陰だよ、、、定年を東京で迎えられるとは思ってもいなかったので、、本当に嬉しい。。。」
と、、笑顔を見せていた。
「親父さん、、本当によかったよ、、奥さんにも心配を掛けてすいませんでした、、」
今夜の西園寺家には明るい笑顔があった。
「親父さん、、定年までは1年ちょっとだから、、しばらくはじっとしていますか、、、あはっあふぁっ、、、」
太一は心から今日が戻って来たことを心から喜べたのであった。
20)反社会勢力「暴力団」やくざ組織は生き返るのだった。。。
警視庁捜査一課に警部として戻れた太一と西園寺の親父は、出来れば「親父」が定年までは静かに平穏に暮らしていたかった。
しかし、、東京大都会の悪人たちは静かにはしていなかったのである。
日本の中心に「巣喰っている悪の亡者たち」は夜も眠らずに蠢いていた、、、
東京連合会睦会は黒田会長に代わって、、新しい会長が出来た。睦会直系の大前田会の大前田健次郎が総裁になり、、若頭も大前田会の熊田純一が就任して、、組織固めが行われたのである。
武闘派で慣らした大前田総裁と、東大出身のエリートやくざと言われる知恵者の熊田純一若頭が東京へ事務所を構えたのであった。
熊田若頭の指揮下のもとに組織もやくざ幹部の人事も一新した。そして、関東全域の責任者を決めて、、それぞれの地域を大前田会の幹部やくざが本部の熊田若頭の補佐役として「副若頭」となり
指揮系統を一本化したのである。
そして、、東京連合会大前田会は動き出した、、、北海道開発(株)の後始末を引き受けて、北海道に総武不動産(株)も復活させたのであった。
大前田会の熊田若頭の動きは目覚ましかったのでる。
北海東北連合会も立て直しを計り、、榎本会に代わり、「旭会の篠田大四郎組長」が北海東北連合会の理事長に収まり、、旭会の若頭である「藤堂肇」が同じように連合会の若頭に就いた。
そして、新しい対立抗争が始まったのである。
その話を聞いた太一は思った。
世の中の悪人どもの「欲望」は収まることがないと、、これからも続く、社会悪の汚い闘いが、、、
そんなことで、太一たち警察官に安らぐ時はないような、、、うんざりするのであった。
悪人たちが永久に眠ることはないなと、、太一は覚悟した。
これからも、徹底した悪人退治をして行こうと、、唸ったのである。
21)西園寺警部が定年を迎える。。。
「おめでとうございます、、、」太一は心から西園寺警部の定年退職を祝った。
「本当によかった、、親父さん、いろいろありがとうございました、、、これからは奥さん孝行をしてください。。」
と、、西園寺警部の家で、奥さんの手料理でお祝いをしたのであった。
「太一、、本当にありがとう、、子供の居ない俺たちにはお前は、俺たちの子供だ、、これからも遊びに来てくれよ」
と、、無事に退職が出来たことが嬉しかったようであり、、西園寺警部も奥さんに感謝の気持ちを表したのである。
「今日からはもう、警部ではなく,、ただの親父さんだな、、ゆっくり骨休みをしてください、、」
と、、太一もその夜は楽しく呑んだ。
一晩泊まって、太一は朝飯を食べて出かけたのである、、
「太一、、、無理はするなよ、、、困った時にはいつでも来いよ、、、」と言われて、出かけた。
太一は少し寂しかった、、、
警視庁特別捜査課に出勤した太一にはゆっくりする暇はなかった。
北海道警察から連絡が入り、、東京連合会の大前田会が札幌に関連企業の「総武不動産(株)」の支店を出して、北海東北連合会の旭会との問題を起こしたというのであった。
それで警視庁特別捜査班に応援の要請の相談が入ったので、、、北海道警察にいたことのある太一警部に白羽の矢が当たったのであった。
西園寺警部が退職したので、その補強人材で「沖田守警部補(29歳)」が東京機動隊から転属になったのである。。その新人警部補と北海道警察に行くことになったのである。
沖田守警部補は185cmの大男であった、そして、射撃が得意とのことであった。
22)北海の地で再び、、、太一暴れる。。
北海道開発(株)の手掛けたリゾート開発事業の不動産は競売に掛けられたのであった。、、不動産の固定資産税や脱税の疑いで「国税」の調査が入り、不動産取得税や事業税の滞納からの競売であった。
構造物が未完成の為に「価値はなかった」のである、、、もともとが山林原野がほとんどなので「評価証明」低かった。。
従った「競売価格」も低かったが、、、「構造物が未完成」の為と、誰もが知っていたのである、、ヤクザ抗争があり、、関係政治家が逮捕されたり、、関係者が死亡というか「殺されている」事を、、、
そのために「競売」に参加する者がいなかったのである。
反社会勢力のやくざ組織にとってはありがたいことであった。
東京連合会傘下の「総武不動産(株)」の支店を札幌に出していたので、、、その段取りをしたのが連合会大前田会の熊田純一若頭が、、大前田健次郎総裁の意を組んで、北海道開発(株)の競売に乗り出したのであった。
そして、「競売価格」の2倍で落札したのである、、、「総武不動産(株)」と関連のある、、「北海道不動産(株)」を使ってのことであったが、、、
誰が見ても見え見えの行動である。。。
北海道不動産(株)の社員は前から準備をして、東京連合会の企業舎弟を養成して大前田会から出向していたのであった、、、全て、熊田若頭の采配であり、、着々と事業を合法的に進めたいた。
黒田会長たちの失敗はしたくなかった、エリートやくざの熊田若頭は作戦を練り、、北海東北連合会旭会との「連合開発」を考えたいたのである。
東京連合会大前田会の前田健次郎会長の強気に、知恵が混じっての、熊田若頭であった。。。
そんために、噂だけで北海東北連合会旭会の下部組織が動いたのであるが、、、
熊田若頭からの連絡で収まり、、その話合いの日を待ったのであった。
23)太一警部と熊田若頭の知恵比べ
太一警部は考えた、、、今までのやくざとは違うぞと、、、、
今までは勢力争いをして、力で抗争を起こして仕事を奪う。それがやくざ商法だったのである。
しかし、大前田会の熊田若頭は、敵対して争わずに協力して、助け合って、利益を分配しようとしているのだから、
始末が悪いのだ。
この話は時間はかかったが、北海東北連合会旭会も手を打ったのであった。残る問題は「利益分配」だけとなった。
この利益分配のシステムが凄かった。熊田若頭は欲張らずに、地元やくざに花を持たせて、、北海東北連合会旭会に「利益の6分」そして、熊田若頭たちは「4分」としたのである。
文句のつけようがない采配だった。
「北海道開発(株)」の監理は地元の「旭会」に任せ、、東京聯合会大前田会は利益だけを徴収した。しかし、会社経営の管理者は大前田会の企業舎弟が加わった。
これで北海道開発(株)のトラブルは全て解決して、、企業運営も動き出した。
北海道警察が心配した暴力団抗争は無くなったのである。
やくざ組織も、見てくれは「やくざ」ではなくなったが、、一皮剥けばやくざはやくざであった。
なんの問題も起きずに、商いが平穏に進めば、ヤクザは出てこない、、、これからのやくざは企業戦士にならなければという、、大前田会の熊田若頭の方針通りに動き出したのである。
北海道警察捜査課から相談を受けた太一警部は、やくざ組織が巧妙になり、、ヤクザの組員が「やくざ戦士」となって、企業戦士になり動くとなると厄介であった。これからのやくざは表向きには会社員であり、、一皮剥けばやくざになるという構図が出来る。
この熊田若頭のやり方というか「やくざ運営」が広まると、組織暴力団は地下に潜ってしまう。
見てくれは、恰好では「一般サラリーマンもやくざも」見分けがつかなくなるような。。そんなことを考えながら、警視庁に戻った。
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