湯めぐり事件帳

献残屋藤吉郎

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サスペンス推理・復讐シリーズ

サスペンス推理・復讐シリーズ

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「サスペンス推理、復讐シリーズ」原作者 献残屋藤吉郎

第一話「野望とその後の復讐」


1)警視庁鬼刑事と言われた、迷探偵・柳生幸次郎登場

警視庁特捜部の鬼刑事と言われた「柳生幸次郎」が桜田門一家から破門されたのであった。
数々の事件を解決してきた敏腕刑事であったが、、組織の中での生き方ができなかったのである、、常にはみ出して、一人捜査をしていたのであった。。そのために、上級幹部の指示通りに動くことはなかった。
ある談合、贈収賄事件で大物政治家を追いかけて,権力者からの横槍が入り、、政治的な圧力が入ったにも関わらずに、猪突猛進してしまい、、検挙してしまったのである、、、報道関係でも大騒ぎになったが、柳生幸次郎は一向に気にしていなかったのだ、、、そして、北海道警察署に転勤を命じらてたのであった。
階級も警部から警部補に格下げになったことをきっかけで、警視庁を退職して、、野に下り「探偵事務所」を開いたのであった。
柳生幸次郎は大学時代の同級生で蒲生重里という実業家の二代目が東京都渋谷区宮増坂にマンションを所有していたのでそのマンションの一部屋を借りたのであった。。
2DKの間取りなので住まい兼事務所で私立探偵事務所を始めた。
柳生幸次郎には強い情報網の友人がいた、その名前は警視庁記者クラブの井伊三郎という男で,呑み仲間であった。
私立探偵事務所の広告はインターネッとを使い、柳生幸次郎は仕事は当分ないだろうと、、広告を何度も出して待った、、
警視庁記者クラブの井伊三郎たちが屯している雀荘で時間を潰していた。
ぶらぶら麻雀をしながら時を過ごしていた時に携帯電話が鳴ったので、、柳生幸次郎が出た。
「助けて、、、」と叫びながら、、何度も「助けてください、、」と電話口で女の悲鳴ともいえる声がした、、、。
柳生幸次郎がよくよく話を聞いてら、、亭主に殺されるといって叫んでいたのであった。
電話口の女に住所を聞き出し、、尋ねることにした。
世田谷区成城の住宅街に住む、、「城之内洋子宅」を訪問したのであった。


2)柳生幸次郎、謎めいた不思議な事件に突き当たる、

柳生幸次郎は尋ねてみてビックリした。
玄関口に出て来た城之内洋子は、、、「助けてください、、私、命を狙われているんです、、、私を殺したい人間たちは
夫の弟夫婦や妹たちなのです、、お願いします、、」と言いながら、柳生幸次郎をなかに招いた。
「分かりました、、お話を聞かせてください、、、落ち着いて、順を追ってお願いします。」と、、話をしながら挨拶をしたのであった。
「改めまして、、私がお電話を頂いた、柳生幸次郎と申します、、それではゆっくり話してください、、」
柳生幸次郎は話を進めた。
やっと落ち着いた城之内洋子は事の仔細を話し始めた。
「実は、夫の城之内安太郎が病気で、医者から宣告を受けており、、残り時間が半年と言われています、、」と、、
そして、、夫が残した遺産が数十億と言われているということを話した、、自分たちには子供が一人だけで、遺産分けを要求してきたのであった。
そんな環境の中で噂がたち、、誰ということは無いが、、「私が死ねばいいのに、、」という話まで出てきたのであった。
その話を聞いた城之内洋子は恐ろしくなったのである、、もともと、付き合いの少ない弟夫婦や妹たちだったので、急に遺産相続の話で現れたので嫌な予感がしたのであった。
ほとんど、尋ねてくることも無く、、泊まるなどということは無かった。
夫の見舞いと称して訪ねて来たことが不思議だったのである、、明らかな「遺産相続狙い」だった。
そして、「私が恐ろしく成り、、助けてー」と電話口で叫んだのは、、、
夫の命はあと半年は大丈夫と言われていた、、しかし、彼らが泊まった夜に、、「昨夜、、突然に、、」
亡くなったのである、、、それを見て、怖く成り、突然に叫んであなたに電話をしたのであったというのであった。
どこに助けを求める訳でもなく、、携帯を開き、あなたの広告が目に入り、、叫んでしまったという。
偶然の「助け声」だったのである。
「分かりました、、、それでは呼ばれたついでと言っては変ですが、、ガードと真相究明について、引き受けますよ、、」
ということになり、柳生幸次郎が請け負ったのであった。


3)城之内安太郎が死んだ、、、

柳生幸次郎が警護と調査を請け負った夜に、城之内安太郎が死んだのだった。
城之内洋子から挨拶をということで、、、夫の安太郎の部屋に案内された迷探偵柳生は驚いた。
一目見た時に「おかしい、、安太郎の様子が変だと、、」と、、気が付いてベットに近付いた。。。
警視庁特捜部のやり手刑事だったので、、特に「殺し」のプロといわれた鬼警部はすぐに分かった、、死んでいると。
そのことを城之内洋子に伝えた、、、「えーーそんな馬鹿な、、今朝、おはようの挨拶をしたばかりなのに、、
変だわ、、、」と、、首を傾げた。
今朝は誰も来ていない筈なのに、、と、、「どうしてなの、、、」
「こんなことがあると、、もしかしたら、、私しかいないのに疑われるわ、、殺したのは私なの、、」
洋子は迷探偵柳生に助けを求めた。
「迷探偵さん、、殺したのは私でないことを証明して頂戴い、、お願いよ、、参ったな、、」と、半べそをかいていた。
「兎に角、警察へ連絡しましょう、、話はそれから、、、警察に事情を話して調査をして貰わないと、と、、柳生幸次郎は管轄の成城警察へ連絡をした。
やがて、、成城警察の担当刑事が二人来たのだった。成城警察刑事課の原田警部補と嶋田刑事部長が部屋に入ってきた。「あれ、、柳生警部ではないですか、、、どうしたんですか、、、」
「おう、、しばらくだね、、今は探偵事務所をやっている、、その関係で、城之内洋子さんの警備をしているんだよ、、、偶然、この現場に居合わせたので、、俺が連絡をした、、宜しく頼むな、、」
と、、現場事情を説明した。
そして、、、自殺なのか他殺なのか調べて欲しいことを伝えた。

4)城之内安太郎の謎の死、、、

成城警察が来て、、担当の原田警部補が安太郎の死が不自然だったので「鑑識課」を呼んだ。
そして、やって来た原田警部補が「なんとも妙な死に方なので、解剖をします、、」と、、言って救急車を手配した。
安太郎の妻は不安と心配で、、迷探偵柳生に尋ねた、、「柳生さん、、私、心配だわ、、大丈夫ですか。。」と、、、迷探偵柳生に近寄ってきた。
「ねえ、、病気が悪化して亡くなったんじゃないの、、可笑しいよ、、解剖だなんて、、」
怪訝な顔をして、半べそをかきながら、、やっと声を出して、、、
「まるで、、私が殺したみたいだわ、、誰も主人の傍には来てないので、柳生さん、、助けて。。」
と、、哀願してきた。
「取り合えず、、解剖の結果を待ちましょう、、警察の事情聴取が有るので、知っていること、聞かれたことを正直に話してくだい、、、私も発見者の一人ですから、、一緒にいますので安心してください、、、柳生は、、知り合いであった原田警部補に頼んだのだった。
城之内洋子は心配と緊張から、震えていたようだった。
城之内の家には妻の洋子と、、住み込みの家政家事全般の手伝いの
阿部夫妻が居ただけでと、、説明をした。
そして、迷探偵柳生が来て、、確かに、妻洋子に紹介された時は
城之内安太郎は笑顔を見せて、軽く会釈をしていたのであった。
そこまでの説明に嘘はなかった。
そして、、成城警察署の原田警部補と嶋田刑事部長は鑑識に調べさせた、、何か物的遺留品がないかどうかと、、、
また、、住み込みの阿部老夫婦にも事情聴取をして、、「解剖の結果を見てから、、捜査方針を決めてから連絡しますと、、引き揚げていった。
「柳生さん、、心配です、、、これからもよろしくおねがいします、、」と、、頼まれた迷探偵柳生は難しい事件ではあるが引き受けた。

5)殺人事件として

城之内家の人々が集まった。。安太郎が亡くなったという知らせは洋子が城之内家の顧問弁護士の大久保慎太郎事務所に依頼したので事務的なことはやってくれた。
城之内家の人々は「遺産相続の件」が一番大事であったので、、、
大久保慎太郎弁護士の通知で集まった、、安太郎の長女夫婦「大谷正美と夫の一郎」、、次女夫婦の「大沢安見と夫の光一」、、、三女の「安子、、独身で商売をしている」。。長男の安治路が居るが今日の集まりには間に合わなかった、、アメリカ在住であるので、、2,3日遅れてくることになった。
そして、、安太郎の女「内縁の妻」登記されているので、、、
相続権利者が顧問弁護士の大久保慎太郎から説明があった。
「現在、成城警察署で解剖検査が行われているので、、その結果が出てから城之内安太郎の「遺書」によって、話し合いをしょう、」と、、言うことになった。
「ところで、待つ時間はどのくらいかな、、、」と、、三女の安子が聞いた。
「警察のやることで、、殺人の疑いがあるので、いつまでとは言えないが、、連絡があり次第に通知を出しますので、、、」と、、説明があった。

調査と警護の依頼を受けた迷探偵柳生は今回の事件のことを考えた、
城之内安太が亡くなった、その朝には迷探偵柳生も城之内家にいて、妻洋子とも一緒だった、、、そして、、安太郎にも会い、挨拶をしているのだった。
その後、、お昼の薬の時間に妻洋子が異変を感じて、、迷探偵柳生が、、「安太郎の死」を確認したのである、、生きていることを見ている迷探偵柳生は、、「何が起きたのだろう、、わずかな4時間の間に、、」
と、、考えた。
今までの刑事時代の経験では想定外であり、、不思議に思った、、、しかし、現実には起きたのであった。
安太郎が亡くなったという事実が。。。。
その間の城之内家の環境の変化と言えば、、住み込みの阿部老夫婦が午前6時に起きた事実だけであった。しかし、、阿部老夫婦の話では、安太郎の死を聞くまでは一度も、二人の住む離れ家屋からは近づかなった。


6)成城警察署から原田警部補と嶋田巡査部長がやってきた。

「解剖の結果が出ましたので、その報告に伺いました、」と、、原田警部補から報告がされた。
城之内家の顧問弁護士の大久保慎太郎と、、城之内洋子の警護をしている柳生幸次郎が立ち合いのもとで行われた。
「解剖の結果は薬物による毒殺です、、、これからは殺人事件として捜査するので、、ご協力をお願いします、、、」と、、と言われて、今日から殺人事件として捜査本部を立ち上げて、捜査を開始したことも告げたのだった。
大久保弁護士は尋ねた、「そうですか、、、毒殺ですか、、それでは殺人事件では、、事件が解決するまでは
遺産相続は保留にした方がいいですね」と、、、
「そうか、、殺しか、、厄介だな、、なあ、、原田さん」と、、迷探偵柳生は問掛ける口調で話した。
原田警部補は特に大久保弁護士に云った。
「今回は殺された城之内保太郎には莫大な遺産が残っているので、、まずは遺産相続に絡んだ疑いも考えられる。。そして、経営している会社の人事継承なども絡んでいるので、、捜査に時間がかかりそうなので、、」
と、、説明がされた。。
迷探偵柳生も今までの経験で、、「遺産相続」「会社人事継承と株式保有問題」で、、かなり、人間模様に支障が生じて来るはずであると思われた。
人間の欲望、、金や会社的な地位に絡んだ争いが一番醜い、、「人の争い」であり、、「肉親いがみあい」であった。
見てはいけない「人の欲望絵図」をこれから覗いていかないと思うと「ぞっと、、」したのであった。


7)迷探偵柳生幸次郎、、、城之内家の家族を調べる。

城之内安太郎の子供たちの家族構成を、、迷探偵柳生幸次郎は知ったうえで、、経営している会社内容や役員構成を調べた。殺人事件なので成城警察署が全てを捜査するのであろうが、、一応は元警視庁の捜査一課の鬼警部であったので、、自分なりに調べて、、城之内安太郎の人間関係を調べて、、迷探偵柳生は驚いた。
娘たちもその夫の経営する会社や事業所は資金困難に陥っていた。。
アメリカへ行っている長男の事は情報が入ってこないのでわかなかったが、、「遺産」が欲しい状態であった。
この状態では、、全ての家族が疑われても可笑しくなかったので、、
成城警察としては疑い、、関係している人間のアリバイを徹底して調べる筈である、、、
迷探偵柳生幸次郎であっても、、捜査の鉄則から成城警察署の原田警部補たちと同じ捜査をするだろう、、と、思いながら状況を眺めていた。
迷探偵柳生幸次郎は、、城之内安太郎の妻洋子を最初から見ているので、、凡その想像はついていた。。。
しかし、、あくまで、、それは迷探偵柳生の想像なので、、確たる証拠もなく、、犯人を決めつけることも出来なかった。
その後の成城警察署の原田警部補と嶋田刑事の二人は捜査が行き詰っていた。成城警察署では他の刑事も駆り出されて、疑わしい関係者のアリバイを当たっていたが、、全て、アリバイが成立して,、犯人逮捕に繋がらずに困っていた。
原田警部補たちは城之内家に訪ねて来て、、柳生幸次郎が居た時に
「先輩、参ったよ、、柳生鬼警部補、手伝ってくださいな、、警備をして居るので、、何かわかったら、、教えてよ、、、」
と、、ほとほと、、壁にぶち当たって、困っていた。
「いや、、、俺も分からん、、犯人はどうやって、安太郎を毒殺したのか全く分からん、、密室の殺人だな、、」
と、、嘯いた。
迷探偵柳生が知りたかったのは、、長男の安治路のことである。
帰国が楽しみであった。


8)家族会議

城之内安太郎の遺産を巡っての家族の集まりがあった。
今回は長女大谷正美からの申し入れで、、顧問弁護士大久保慎太郎が招集したであった。
長女の申し入れは、、安太郎の死に関する成城警察署の中間報告を知りたいということで、、その説明を安太郎の子供たちと夫に知らせることであった。
長男の安治路もアメリカから帰国していたので、遺産相続の話と一緒にすることにしたのであった。
今回も迷探偵柳生は安太郎の妻、洋子のたっての願いで、、大久保弁護士が許可しての立ち合いであった。
全員が城之内家にある「会議室(普段は会社関係の会議に使われている)」で行われた。
20人から30人は参加できる豪華な会議用のテーブルが置かれていた、、、
住み込みの雑務係りの阿部執事が妻春江と共に入ってきて、、お茶を配膳してから、、大久保弁護士の話が始まった。
時間は午後1時であった。
「顧問弁護士の大久保です、、、本日はご苦労様です、、
故人安太郎の事件結果について、まだ、報告が出ていません、、只、途中報告としては毒物による殺人というだけで、、今、しばらく待ってくださいとの」、、報告でした。
「皆さまも取り調べを受けたと思いますが,、未だに警察としては犯人が分からずにいるとのことで、、困ってるとの話です。そして、故人安太郎の遺産相続は事件が解決するまで延期して欲しいと要望がありました」
と、、、、
その報告を受けた家族は仕方がないかというような顔をして、頷いていた。
特に長男の安治路は付け足したのでした、、、
「慌てても仕方がないでしょうが、、、親父の遺産が亡くなるわけじゃないのだから、、警察の結果を待ちましょうや、、、多分警察では家族の中に犯人が居ると考えてるかもしれない、、
嫌だな、、、遺産相続という奴は、、」と、、言いながらにやにやと薄笑いを浮かべて、、みんなを見回していた。
しかし、、、正直者で信用されていた長女の夫、一郎は困っていた、、不動産会社を始めとするグループの経理責任者を担当していて、、常に安太郎会長の指示に従い、、
資金の手当てをしていたのであった、、、
安太郎会長が亡くなる寸前まで行われていた資金繰りが出来なくなってしまったのである、、、非常に困っていた。
亡くなる前日まで安太郎会長に会っていたので、、今回も一番疑われて、、警察の取り調べのきつかったのであった。
もともと「小心者」だったので、、今回の警察の取り調べではげっそり痩せてしまった。
家族までもが、、親族が疑いの目で眺めているような気がしていたのであった。

9)家族会議は続いた

長女の夫「大谷一郎」は困っていた、、会社の資金が現在、凍結されているので、、非常に困っているのだった。
そこで大久保弁護士に依頼したのであった、、「何か法的な処置で、制限があってもいいのですが、、支払い関係だけでもできないか、、考えてくれませんか、、」と、、
大久保弁護士は「分かりました、、成城警察と話あってみます、、出来ないことは無いと思いますので、、、」
その答えを聞いた大谷一郎は安心した。
三女の安子が、、、「先生、、、何とか早く、遺産相続が進むようにしてくださいよ、、、お願いします、、」
金融業会社の常務取締役をしている次女の夫「大沢光一」が、、、「大谷常務、、、借り入れの住一銀行への返済期日が来ますので、、宜しくお願いしますよ、、、期日に遅れるとまずいですから、、」
と、、それぞれが自分の都合ばかりを云い始めた。
それを聞いていて、迷探偵柳生は呆れた、、、
腹の中で叫んだ、、、「馬鹿野郎、、ほざいてろ」と、、、
城之内安太郎に死なれた、、妻、洋子への気遣いは微塵も見られなかった。
救われたのは長男の安治路が言った言葉だった。
「お兄さんたちも、、ねえさんたちも。。少しは考えてくださいよ、、
親父が死んで時間もたっていなし、、犯人も見つかっていない、、、そんな時に。。少しは洋子さんのことも気づかって欲しいな、、、」
と、、優しい長男の言葉だった。
夫婦とは不思議なものだ。。長女の正美も、次女の安見も、、援護射撃をした。、
「安治路はアメリカなどに行っていて、、気楽なもんだわ、、」と、、皮肉めいた言葉を吐いていた。
そんな矢先に、、訃報が飛び込んできた。
安太郎と洋子の子供、長男が大阪事業所で亡くなったと云う。。。
「なんで、、、どうしてだ、、、こんな時に、、、」
その場にいた家族は驚いた、、、原因は大阪事務所に「爆弾」が投げ込まれたというのであった。事件が起きたのである。
城之内家の大事件であった、妻洋子はその知らせを聞いた時にその場に倒れた。
大阪事業所は「金融業」が主な業務で、、城之内グループの稼ぎ頭であった、、そのために、安太郎は自分の片腕とも、、懐刀と云われたいる、「榊原豪太郎」を長男の「安一郎」につけて、大阪事業所で金融の修行をさせたいたのであった。
将来の城之内グループの事業展開を考えてのことだった。
その一人が亡くなったという、、、何という不幸か、、
迷探偵柳生を洋子は別室に呼んで頼んだのだった。
「こんな時で、すまないけど、、柳生さん、、あなた大阪まで行って頂戴、、、」と、、依頼された、、、妻、洋子がいうのには「今は誰も信用できない。。あなたなら安心して頼めるの、、お願いね、、」と、、迷探偵柳生は大阪にむかった。


10)爆破事件

城之内グループの中で「金融業部門」で、、大きく資金が動いていたのは大阪事業所であった。
会社の構えは大きくはなかったが、、城之内グループの中の「闇」の事業運営方法があった。
城之内安太郎は大阪市住吉の生まれで、、大阪時代はあまり知られていなかった。
大阪では極道だったとか、、やくざ一家を持っていたとか、、いろいろな噂が出ていたが、、城之内グループでも、安太郎の過去を知っているものは、、現在では阪事業所の最高顧問をしている「榊原豪太郎」だけとなった。
城之内安太郎は大阪で金貸しをして「財」を築き、、今の会社組織をつくりあげたのであった。
大阪時代にはあくどい金貸しをしていたようであった。
特に、、金を動かすようになってからは「裏社会」への資金手当てが多く成り、、ほとんどが「闇金融」だった。
銀行へ預ける金は少なく、、大部分が「金庫預金」であった。
いわゆるすべてが「脱税」だ、、、そんな訳で目立つような会社運営はできなかったのである。
城之内グループでも秘密部隊を編成して、、「榊原豪太郎」の監理の元に、、やくざ企業への融資が主体であった。
しかし、、安太郎が表舞台に出なくなってから、、やくざ金融に陰りが出てきたのであった。
そして、城之内安太郎の長男「安一郎」が一人相撲を始め、、番頭役の榊原豪太郎の意見や窘めを効かなくなり、、今までの「やくざ企業」とは別の利益や条件のいい取引先に変えていったのであった。
そんな不満や苦情が、、番頭役の榊原豪太郎に文句が入ってきたので、、彼は心配していた。
そんな矢先の「爆破事件」であった。
ヤクザ絡みの事件なので大阪府警の捜査が入った。

迷探偵柳生が城之内グループの大阪事業所に着いた時には、、大阪府警が来ていた。。
取り込んでいたので、、大阪府警の担当刑事の矢野警部が部下を連れて、、現場検証をしていた。すると、、、「すいません、、関係者以外は出てください、、」と、、、
云われた迷探偵柳生は挨拶をして、、名刺を差し出して了解を求めた。
「亡くなった城之内安一郎の身内から依頼を受けてきましたので、、宜しくお願いします」と、、、説明をしていたら、、、
「あれ、、柳生さんじゃアないですか、、田島ですよ、、」と、、声を掛けたきた警察官が居た。
迷探偵柳生を「鬼警部」と知っていた、、もと警視庁捜査一課にいた田島勉警部補が近づて来た、、、「どうしたんですか、、柳生さん、、」
「おお、、、懐かしいな、、田島警部補、、」と、、言葉を返したら。。
「柳生さん、、私も今は警部ですよ。。先輩の良き指導の賜物ですよ。。ありがとうございました、、」
「丁度よかった、、今回の爆破で亡くなった安一郎の母親からの依頼で調査にきたんだよ、、」と、、事件内容について聞くことが出来た。
話を聞いた、迷探偵柳生は唸った。
今回の爆破事件の捜査で、、城之内グループの「暗黒部分」が表沙汰になり、、場合によっては会社そのもが偉いことになるような、、、
早い話が「遺産相続」ではなくなるような事件であった。


11)大阪事業所の脱税疑惑

大阪事業所の爆破事件は脱税疑惑に発展した。城之内安一郎の死亡、、、そして、全てを把握している番頭の榊原豪太郎の怪我で闇の会社経営の実態が分からなくなっていた。
更に事務所爆破により。。経理管理の帳簿が破壊されてしまい、、、金融状況、、貸出先の状況が消失して閉まっていた。
捜査にはいった大阪府警も、残った社員3人から聞き出すより仕方がなかった
事業所が爆破された時には3人の社員は外出をしており、、事務所には城之内安一郎と番頭の榊原豪太郎しかいなかったのであった。
大阪府警の捜査では僅かに残った書類から、、貸出先は個人名が多く、、その住所に基づいて調査したが、全てがでたらめであった。
すなわち、捜査のしようがなかった、、、そして、外出していた3人の社員は全て、、走り使いで、詳細については分かっていなかった。
捜査すればするほど「闇の世界」であった。
三人の社員は指示通りに「現金を運び」指定先のホテルのロビーなどで、指定された受取人に渡していただけであった。
そして、、受取人から会社に電話をして確認をするだけのことだった。
三人の社員は運ぶ現金がいくらだとかもしらされていなかった。
捜査の結果では「段ボールまたは袋の包」で届けるだけであったという。
従がって、取引金額や取引先も不明であり、、、巧妙な金融取引が行われていた。
大阪府警の話では重症で入院した番頭の「榊原豪太郎」から聞き出す以外に実態の解明は出来ないことがわかった。
その話を聞いた迷探偵柳生も唸った、、「凄い、、安太郎という人間は、、」と、思った、、全てを自分の死と共に「闇」に持って行ってしまったのである。
もしかして、、安太郎は自分の死を覚悟した時に、すでに考えていたのではないのか、、この「爆破」を、、、迷探偵柳生は「ぞっと、、」するほど背筋が寒くなった。
迷探偵柳生幸次郎は大阪府警の話を聞いて、、番頭榊原豪太郎が入院した大阪府立総合病院へ行き、、事情を話して、境原豪太郎の様態を聞いた、、、
担当医師の説明によると助かるのは「五分五分」とのことであった。
仮に命を取り留めても彼は何も話さないと確信した。。
それらの確認をしてから迷探偵柳生は東京へもどった。


12)大阪事業所の消滅

迷探偵柳生幸次郎は帰りの新幹線の中で、、今回の一連の出来事を思い出していた、、考えてみれば考えるほど、、城之内安太郎という人間が恐ろしく成った。。自分は感心したのであった。彼が想像しているような段取りをしていた事への驚嘆であった。
多分、、これからも起こるであろう出来事全てが、、城之内安太郎の計算上での事実である筈だ。。
迷探偵柳生は安太郎の考えを追っていくことにした。
なんか、安太郎の「闇の世界」が見えて来たようだった。大阪府警が、、成城警察が今までの考え方で捜査をすすめたのでは永久に犯人逮捕は出来ないはずだ。
警視庁捜査一課時代に「鬼警部」と言われて、、人並み外れた捜査力を持っていた迷探偵柳生だからこそ、、奇想天外の考え方ができたのであった。
今回の「城之内安太郎殺人事件」も「大阪事業所爆破事件」も安太郎の緻密な計画の一つであると、迷探偵柳生は考えた、、そして、自分なりに結論を導き出したのである。
そんなことを考えているうちに新幹線は東京駅に着いた。
その足で城之内家に向かった。
着いた時に、今日は城之内洋子だけがいたのであった。
家族会議も思うように進まずに、次回は明日開くことになっていた。
迷探偵柳生は大阪事業所の報告を済ませ、、帰ろうとしていたら、、城之内洋子が話しかけてきた。
「柳生さん、、お疲れさまでした、、息子の安一郎の遺体は昨日送られて来ました。そして、夫の遺体も成城警察から送られてきましたので、、、葬儀を行いたいと思います、、
警察の許可も下りましたので、、明日の家族会議で取り決めをしたいと思いますので、、宜しくお願いします、、」と、、告げられた。


13)家族会議三回目

成城警察署からも大阪府警からも城之内安太郎と、、城之内安一郎「後妻洋子との間の子供」の二人の遺体引き取りが許可に成り、、葬儀の許可も下りた。そこで二人の葬儀を一緒に行うことに成り、その打ち合わせをすることになった。
そこで会社関係のこともあり、、前回の家族での会議を開くことになったのであった。
今回の家族会議には、、会社役員も呼ばれていた、、更に内縁関係の島津涼子も呼ばれていたのであった。
大久保弁護士から話があった。
「成城警察署と大阪府警からも許しが出たので、、、城之内安太郎の遺言書を皆様の前で開けて、読み上げます、、、それでは聞いてください、、」
読み上げた。
そして「後ほど、、各自には文書で差し上げますので、、よろしいですね」と、、、念を押して遺言書を読みあげた。
「会社と個人資産がありますので、、それぞれに分けて相続しますので、、、」と、、、
「故人が住んでいた成城の住宅は土地建物のすべてを妻洋子に、、更に、成城及び渋谷の個人名義のマンションはやはり、、妻洋子に相続します、、、
そして、会社名義の不動産は全て、、それぞれの株式保有数により、、分割して所有することとする、、、
要するに、城之内安太郎が死んだら、「会社は清算して、終わりにするということであった」
親族会社の様なものであるので、、安太郎が居なくなれば会社の運営は難しくなるだろうとする思っていたのであった。
大阪事業所は爆破事件ですべてが消滅したので、、整理がしやすかった。
東京関係の会社も不動産が多く、、借りれもさほどになかったので整理が簡単であったので、、、安太郎は無くなる前に準備をしていた。。
不動産の売却や社員整理もしていた。
その整理に当たっていたのが「長男の安治路」であった。
城之内安太郎は分かっていたのだった、、現在のスタッフでは無理だと、、、
それで自由に動ける安治路を密かに読んで、不動産関係を整理していたのであった。
城之内安太郎が一番嫌っていたのが「倒産」であった。
更に「闇金融」の世界でのやくざ組織との取引が難しいと困難とみて、、早めに整理をしたようだった。
それは番頭の榊原豪太郎との打ち合わせ、計画だったのではと、、、
迷探偵柳生は思っていた。
東京関係の会社についても、、城之内安太郎が仕組んだ、、綿密な計画清算のようだった。
家族会議に臨んだ安太郎の子供たちは少々、、当てが外れたのであるが、、
それでも多額の遺産が転がり込んできたのであった。
しかし、、不動産の遺産相続の代わりに「所得税」が掛かった。
安太郎の不動産整理も見事だった。
そして、、売却した「ゴルフ場やホテル更にはスキー場などの施設」の利益などはこれからであった。
それらの売却に携わったのが「長男の安治路」であった。
故人安太郎が一番信頼していたのが安治路だったのである。。。家族会議の出席した家族以外の役員にはそれぞれの役員報酬やその他の収益を分配した。

14)城之内安太郎の計算

城之内安太郎は自分が経営している時には出来たことが、、自分が居なくなった時には企業その物が持続することは不可能とみて、、自分が死んだときには消滅することを計ったように見えたのであった。
そんな推理をしたのは迷探偵柳生だけだったかも知れない。。そのことは誰にも話してはいなかったのだった。
確認するには長男の安治路に聞くよりは道はなかった、、しかし、彼は話さないであろうと、、
迷探偵柳生は思った。
計画をした安太郎が居ないのだから、、「闇の中」なのだ。
安治路は大久保弁護士から「遺産相続」が、、報告された時から、見事に順次、手際よく事務的に処理をしていったのである。
安太郎が一番信頼していたのは安治路であった、、、若いころから家を飛び出し、、裸一貫でやり遂げた安治路に白羽の矢を立てて、、早くから彼を呼び寄せて、、準備をした居たのであった。
全ての整理が終わり、、城之内安太郎が築き上げた一人城が無くなった。
それから2日後に安治路はアメリカに旅立った。
迷探偵は感心したのであった、、余りに見事な人世の後始末であることに、、、
成城警察署も大阪府警も殺人事件の犯人も、大阪事務所に爆破事件の犯人も検挙出来ないままの幕引きであった。
真実を究明できたのは「迷探偵柳生幸次郎」だけであった。


15)迷探偵柳生幸次郎は再び。。

城之内安太郎の遺産相続の問題が一段楽したことで、、長男の安治路はアメリカに帰って行った。
その後、、安太郎の三女の安子が交通事故で死亡したのであった、独身で独り身だったので、、安太郎から受け継いだ遺産が宙に浮いてしまったので
また、、欲深な姉たちが大久保弁護士に迫った、、、三女の安子の遺産を巡って欲がぶつかりあったのである。
そして、、故人安太郎の妻、洋子はその遺産相続の件については放棄したのであった、、しかし、、余りにも醜い争いなので、、仲介を頼もうと思い、、迷探偵柳生に来てもらったのであった。
故人安太郎の妻、洋子は遺産相続で争う姉たちやその夫たちが目障りであり、、うるさかったのである、、一日も早く自分の前から消えて欲しかったのであった。
そこで、、迷探偵柳生の今回の行動を見て、、頼みガイがあるとみたのであった、そして、口が堅く安心して頼めるのだった。名探偵柳生を使うのには、城之内洋子にはある計算が働いていた。。しかし、、の真意は迷探偵柳生は知らなかったのである、
そして、、、迷探偵柳生と大久保弁護士の取り計らいで、、亡くなった三女安子の遺産は二人の姉に当分に分割して遺産手続きが行われた。。
アメリカに戻った安治路も今回は放棄した。
阿呆な姉二人は喜んだ、、、高い不動産取得税を払って、、、財産を持てば、、増やせるということは無かったのである、、、毎年掛かる「固定資産税」があることを知らずに。。。
城之内安太郎の会社整理は終わったが、、後始末は少々残った。
、、その後始末は株式の配分により、、それぞれに長女の夫「一郎」と次女の夫「光一」が受け持って処理にあたったのである。
その仕事を受け持った長女「正美」と次女「安見」はその整理を反対していたのだが、、、どちらかというとお人好しの二人は後始末をすることにしたのであった。

16)計算違いの逆襲

大阪事業所関係で、、貸し付けが主な仕事であったが、逆に融資を受けていたのであった。後妻の洋子の長男が事業拡大を狙って、やくざ金融から多額の借り入れをしていた。
「闇の金融」部分が残っていたのであった。
表に出ない、、「遺産相続」とは関係ないとこに落とし穴があったのである。。
「遺産相続」で一段楽した会社に、、大阪の「関西連合桜会」の若槻若頭がやって来た。3人の幹部やくざを連れて、威圧的な態度で訪れたのであった。
この時の後処理をしていたのは、、本社では経理担当の常務取締役の城之内一郎であったので対応した。
気の弱い「一郎」はびくびくしながら、話を聞いた。
「初めまして、、私は関西連合会桜会の若槻といいます。大阪事業所に絡んだ、、金銭借用書の件で来ました。
その件でお話できますか、、もし、出来なかったら、誰かできる人とお会いしたいのですが、、、」と言われた
城之内一郎常務取り締まり役は自分一人では不味いと思い、、
一日だけ時間を貰った
何しろ、金額が「10億円」という多額であったので、、残った身内で相談をすることにしたのであった。
参った、とんでもない話が舞い込んできたのである。。
関西連合会桜会の若槻若頭には引き取ってもらった。
城之内一郎は次女の夫の光一や、、城之内洋子に相談をしたのであった。
長男の安治路はアメリカに帰り、、話は出来なかったので、、大久保弁護士に相談して集まってもらうことにした。
故人安太郎の妻洋子は迷探偵柳生幸次郎を呼んだ。
急ぎの事なので、その夜に洋子の家に集まったのである。。
大久保弁護士に、、一郎がコピーしてきた「金銭借用書」を見せたが、、結論は支払うより仕方がないということになった。
妻洋子は遺産相続も終わり、、「私には関係がない、、」いうのであった。
「遺産相続」で、、長女の正美と次女の安見は二人で、、株式や不動産で20億は相続していたのであった。。
大久保弁護士の話で今回の「10億」は払わないと不味いということになった。
二人とも不平不満「ぶーぶー」だったが仕方がなかった。
その話合いは迷探偵柳生が委任状を持って、、「関西連合会桜会」若槻頭と交渉することになった。
遺産相続側の正美、安見にしてみれば大きな損失であった。
正直言って、、遺産相続は終わったが、、二人の夫である「一郎」と「光一」は何が出てくるか分からないので「おどおど」していたのであった。


17)遺産相続を受け継いだ正代や安見に災難が、、、

しばらく「遺産相続」の話が出なくなったある日、、故人安太郎の長女正代夫妻が、洋子の元を訪ねて来た。そして、、借財の頼みをして来たのであった。
「今日、、突然来たのは、洋子さんに助けてもらいたいくて、、お願いに来ました。
お願いだからお金を貸して欲しいの、、、3億円、、遺産相続の分から貸してもらえないかな。。」
と、、云われて洋子は薄笑いを浮かべて答えた。
「いいけど、、返済の充てはあるの。。。」と、、問い返した。
長女の正代と夫の一郎は頭を下げた、、「おねがいします、、頼むところがないので、、」と、、必死にしゃべった。
洋子は聞いた「どうして、、そんなに、、お金が、必要なの、、、、、
二人は訳を話し始めた。
必要な理由は、二人の一人息子が、、投資に失敗しての債権取り立てと、、クラブの女に手を出して、、
やくざが出て来て「脅しまい」と言って取り立てをされているのであった。
金を用意できなければ、息子の命の保証はないと、、東京連合会睦会に監禁されているのだと。。
親ばかではあるが助けたいので、、なんとかならないのかといってきたのであった。
そして、洋子の問いかけに応えてと迫った。
「分かった、、貸してもいいけど返済の充てはどうするの、、、その答えは。。」
と、、聞かれた二人は「なんとか返済をしますが、、分割で出来ませんか、、、」
そんな答えに満足する洋子ではなかった。
遺産相続が終わったからの洋子はかわったのである、、、
「なんとか返すでは貸せないわ、、、担保を用意してくれない、、、遺産相続で受け取ったマンションと、、いくつかの不動産を担保に入れてくれたら、、すぐに現金で用意するわ、、」
そして,長女夫妻は仕方がなかった、、、抵当権設定の担保借りれをした。
今回の債権取り立てと「女問題」で東京連合会睦会への支払いは「5億円」」となり、、長女夫妻は裸同然となった。
故人安太郎の妻には次女が受け継いだ遺産以外は妻洋子のものとなった。


18)次女「安子」」にも降りかかる災難

解決しない城之内安太郎の「殺人事件」で、未だに不信を持っている刑事が一人いたのであった、、原田警部補だった、、、
城之内安太郎の大阪事業所の爆破事件でも不自然であり、、余りにも偶然だったのである。
そして、、三女の突然の事故死と、、偶然が重なり過ぎていた。
原田警部補は仮説をたててみたのである、、
今回の「殺人事件」「爆破事件」「三女の交通事故」で、誰が一番得をしたかと、、考えた。
そして、、後から知ったが「長女夫妻の降りかかった災難で現実には5億円の損失」があったので、、、「遺産相続」で誰が一番多くの財産を手に入れたかを、、、
その結果は妻洋子と、、次女夫妻であった。
長男の安治路は財産放棄をしていたので、、原田警部補は妻洋子と、、次女安見夫妻を調べ始めた。
何か、、、捜査過程でミスはなかったか、、、
今までの捜査では浮かばなかった、、隠された事実はなかっかと、、、
それから2か月も立たないうちに、、次女の安見夫妻に不幸が訪れた。
安見夫妻が温泉旅行の途中で、交通事故に合い、、死亡したのである。。
原田警部補はこれまた、疑った。。「おかしい、、偶然過ぎる、、」と、、
しかし、何の証拠もない。
地元警察の判断で「交通事故」で処理された。
その次女安見夫妻の遺産は子供「康夫」に相続されるはずだったが、、その子供は若年痴呆症を患っていたので、、後見人となった、、洋子が管理することになった。
原田警部補は確信は持ったのであるが,,何一つ証拠はなかった。
見つからないのだ、、、、地団駄を踏んだ、、間違いなく、全ての黒幕だとおもった。し、完全犯罪だ、、何一つ証拠を残していない。
なにかあるはずだと 考えたが分からなかった。
原田警部補は大阪府警を訪ねた、、、大阪事業所の爆破事件から再調査をすることにしたのであった。


19)大阪事業と所の爆破事件の謎

当時の捜査課長であ「矢野警部」が在籍したいたのであった。
当時の話が聞くことが出来た。会社事務所は状況が分からないほどに爆破していた。まるで消滅させるための爆破だったような。まるで解体したような状態で、、何一つ識別できないほど粉々であった。
矢野警部は今でも、あの爆破は意図的にやったと思って、、鑑識を連れてまで調査をし
しかし、、物的な証拠になるようなものは出てこなかった。
今でもあの爆破事件の事は不振に思い、、疑惑が捨てられなかった。
「そうですか、、一度、田島刑事と一緒に捜査をさせてくれませんか,,どうですか、、お願いできますか」
と、、頼んでみた原田警部補だっ
矢野警部は承諾してくれた、、、原田警部補は歩けるところは歩いてみようと考えていた。
その日は矢野警部には聞けるだけ聞いた。
何せ、、参ったのは取引先の住所が全て「でたらめ」だったことや、、3人いる社員が何も聞かされていない「使い走り」だったとであったのだ、
全てが秘密主義であり、、「謎の商い」をしていた。
それは大阪府警の調べで分かっていた、、、巧妙な仕組まれた「闇商売」であった、
勿論「脱税」はしていた、、、その儲けた金を「東京へ」運び、運用していたのであるから、資金用達は故人安太郎がやっていたのであった。
その大阪事業所の資金管理帳簿がなかったから、、「闇商法」なのだった。
そして、、大阪事業所の仕組みを知っていた、後妻洋子の長男「安一郎」が一番知っていたのであるが、爆破事件で死亡していたので分からくなっていた。
番頭の「榊原豪太郎」は爆破事件で入院して、そんまま、、痴呆症になり、、真相を知るものが居なくなってしまったのだった。
更に一番知ってる「城之内安太郎」は殺されて亡くなっており、、、全てが「闇のなかに」消えてしまったのである。。
大阪府警でも困り、、暗礁に乗り上げていた。
そんな訳で、、今は矢野警部と田嶋刑事で、、他の事件の合間に捜査をしている

20)榊原豪太郎を訪ねる

原田警部補は爆破事件の真相は掴めずに、、全てが消滅したことを知った。
「藁を摘むような思いで」で、、大阪府警の田嶋刑事と、榊原豪太郎が入院している総合病院を訪ねた。
本人は寝たたきり状態であり、、話もできなかった、、、、その日は孫娘の「朱美」が見舞いに来ていた。、、原田警部補は挨拶をして、、「大変ですね、、、榊原さんはまだ、話はできないのですか、、」聞いたら、、
「そうですか、、、大事に看病してください、、」と、、原田警部補も状態を見ては何も言えなかった。顔中の包帯姿は痛々しかった、酷い爆破だったと想像が出来るのだった。
原田警部補たちが帰る時に、孫娘の朱美から、焼け切った手帳を渡された。
「すいません、、最近、少しだけ口がきけたときに、爺ちゃんから渡されてたのでが、、忘れていました、、私が信用できると思った人に渡せと、、」と、云われていました。。
それで、話を聞いて,原田警部補に渡すと決めたのであった。
原田警部補は、その焼ききれた手帳を見て驚き共に絶句したのであった。

21)榊原豪太郎からの焼きただれた手帳

原田警部補は渡された焼き爛れた手帳を見て、驚いた。
焼けたり、破れたりはしていたが、、金の貸し借りが走り書きのメモのように記されているので、、原田警部補は小躍りした。
なんの手がかりもなかった、大阪爆破事故の証拠の一部が出てきたのであった。
大阪府警に戻った原田警部補と田嶋刑事は矢野警部に報告をして、、その焼き爛れた手帳を鑑識に回して、調べてもらう事にした。
3人は楽しみにした、、、何が出るのか、、足がかりが出来ればいいのだが、、と、、結果を待った。
大至急で頼んだので、依頼してから3時間ほどで出来上がってきた。
その再生手帳を見て、、矢部警部が笑みを浮かべ、原田警備補にも見せて、田島刑事が喜んで歓声をあげた。
大阪事業所の裏帳簿にも似た、金銭の貸し借りが克明に記載されていたのだ。
全て、今まで分からなかった「組織やくざへの融資内容だった」
「原田さん、、これで摘発が出来るぞ、、脱税の全ても、、凄い収穫だよ、、大阪爆破事件の真相が解明できる、、、やったな、、凄いよ、、」
矢野警部は喜んで、、まずは「関西連合桜会」の家宅捜索だ、、京都連合橘会」のがさ入れだ、、と、、これから忙しくなることの気合が感じられた。
「原田さん、今回の事は貴方のお手柄だ、、一緒に参加してください、、何か東京の殺人事件の糸口が見つかるかもしれませんよ、、」
話をしながら、、大阪府警の上層部に報告をして、、次の家宅捜索の段取りをしたのであった。
原田警部補もやくざ事務所のがさ入れで、何かが見つかればいいなと思ったのであぅた。


22)家宅捜査「やくざ事務所」のがさ入れ、、

矢野警部は大阪府警の上級管理官の承諾を貰い、、京都府警にも協力を依頼して、、
「関西連合桜会」と「京都連合橘会」の家宅捜査に入った、容疑は「脱税容疑」と「無許可貸金業法違反」などで、検察庁も同時にがさ入れを行なった。
突然の家宅捜査であったので、、両連合会「組織やくざ」ともに、、最高責任者でもある、、「会長、若頭ともに逮捕出来た」そして、、「銃刀法違反で多数の幹部連中」を逮捕することが出来た。
裏付けの捜査であり、逮捕だったので、、「逮捕状」通りの検挙が出来た。
これからの捜査如何では、、東京での城之内安太郎の殺人事件の状況証拠もでる可能性も出てきたのであった。
これからは大阪府警も京都府警も忙しくなるようだった、、今までは迷宮入りかと思われるほど、、大きな障害にぶつかり、お手上げだった。
もちろん検察庁などでは「脱税」のかけらも見つからず、地団駄を踏んでいたのだ。
今までは噂どまりで進まなかったのである。
「一冊の焼けただれた手帳」の発見から、急展開をしたのであった。
正直言って、、逮捕された「組織やくざ」団体の方が肝を冷やしたはずだ、、しかし、、事実が出たのであるから堪らない。。。
時間をかけて、調べていけば事実は明らかになっていき、、「脱税」も「無許可営業の貸金実態」も判明してしまい、、警察も検察庁も証拠裏付けをしていくはずだ。
国家権力だから、、「なんだカンダ理由をつけて、、拘留期間をのばして」起訴に持ち込むはずである。。ましてや「指定暴力団」が相手だから、猶予はないのだ。
原田警部補は東京の殺人事件に絡んだ情報を流して貰うことを約束して東京へもどった。
此の大阪事業所の爆破事件に関する、関係者の逮捕情報は、東京にも流れた。

一番気が気でなかったのは、、故人安太郎の妻、洋子であった。
そこで、迷探偵柳生幸次郎が呼ばれたにである。
「柳生です、、暫くぶりです、、何のご用件でしょうか、、探偵業務は終わったはずですが、、」
と、、訪ねて来た。
「柳生さん、、お願いがあるのですが、、大阪事業所の爆破事件がその後どうなったか、、調査してもらえますか。。。」と、言われたので、、、
「いいですよ、、私は調査や警護が商売ですから、依頼されればやりますよ、、何を知りたいですか、、、」と、、、尋ねた。
「税金のことが心配なので、、榊原豪太郎の件と、、警察の状況を知りたいのですが、、、」
「お願いできますか、、、」と、、頼まれた。
迷探偵柳生幸次郎は察していた。。。今回のすべての事件の黒幕は、、「妻洋子」だと、、
しかし、彼は今は警察ではなく、、依頼されたことをやり遂げ、、「報酬」を貰えればという、、割り切った考えでいたので、、真相を明らかにする必要もなかった。
迷探偵の柳生幸次郎の推理では間違いなく、今回のすべてを計画して実行したのは「妻洋子」だと確信していた。
その理由はまだ、分かってはいなかった。


23)妻洋子は心配だった、、故人安太郎の妻であるから、、

大阪事業所の爆破事件の捜査が動き出したので、妻洋子は心配になった。
なによりも心配なのは「遺産相続」である、、大阪事業所の株式や、資産の相続がどうなっているか知りたかったのである。
故人安太郎が関わっていれば、、遺産相続で受け継いだ財産が、失うと思ったのであった。
出来るだけ妻洋子は関りたくなかった。
一番知りたかったのは、大阪事業に関わっていても、、、事業所の権利はないことを確認したかったのであった。
関わっていたら、、不味いと思った、妻洋子である。
そこで、迷探偵柳生幸次郎に調査を依頼したのであった。
迷探偵柳生幸次郎も結末を見たかったので、、妻洋子の頼みを聞いたのである。
元は警視庁のやりて、「鬼警部」であったので,そのくらいの調査は簡単であった。
迷探偵柳生の調査では、妻洋子にしてみれば大変なことが分かった。
故人安太郎は、大阪事業所は会社組織で「株式会社大阪金融」であり、、株式は故人安太郎が100%保有であった。
しかし、代表取締役は城之内安一郎で、、故人安太郎と、妻洋子の長男であった。
株式保有から見れば、更には不動産部門が、故人安一郎の名義であったので責任は引き継がれていた。相続権もあり、、「脱税」からくる、責任は取らざるをえないようだった。
報告を受けた妻洋子は、顧問の大久保弁護士に相談をした。
妻洋子にしてみれば非情事態になったのである。。
いずれにしても「脱税の追徴金」すなわち「負の財産」を相続しなくてはならなかった。
国税からいくらの「追徴脱税違反金」が言い渡されるかわからなかったのでるから、、妻洋子は気が気ではなかった。
故人安太郎がどれくらいの商いをしていたか分からなかったので、生きた心地はしなかった。
迷探偵柳生幸次郎は想像はしていた、、、今回の調査でわかったのであるが、、妻洋子の受け取った「遺産」では足りないような、、、

もしかしたら、、故人安太郎の計算だったのかも知れない。死んでも尚、、誰にも好きなようにはさせないという意気込みが感じられた。

24)故人安太郎の執念

城之内安太郎は一代で築き上げた男であった、、、もとは大阪の通天閣近くで育った浮浪児であり、、不良になり、、地元の博徒の「天王寺一家」で男を磨き、一人前の極道になった。
そして、、ガキの頃から「金儲け」に長けていた。
小銭を貯めて、、金貸しを始めて、男家業を売り出したのである。
若いころから「金にはシビアであり、、」いつの間にかやくざ連中への金貸しをしていた。
金を貸す目的は、、担保さえ保全できていれば「銃でも薬でも、なんでにでも貸した」
当時の安太郎のつけられた通り名は「蝮の安」と言われたいた。食いついた獲物は死んでも離さないと、、、しゃぶり尽くすという噂もあった。
そして、、金融部門だけを残して、東京へでたのであった。
後の「株式会社大阪金融」だった、、番頭に残した「榊原豪太郎」は城之内安太郎の右腕となり、辣腕を振るっていたやり手であった。
故人安太郎が信用していたのは「榊原豪太郎」ひとりのようだった。
とにかく、用心深く、人を寄せ付けないところがあり、、一人で資金繰りをしていたのであった、
そんな男が、、家族であろうが、、やすやすと財産を渡してしまうほど、優しくはなかった。
故人安太郎が後妻として迎えた洋子は、、彼からすれば「女中か家事手伝いで、、女のはけ口ぐらいにしか」思っていなかったのである。
妻洋子は、、故人安太郎の長男安治路が連れて来た女だった。凄いのは長男安治路の彼女だったのを、、金の力で奪い、妻にしたのであった。
この事実は、、今回の迷探偵柳生幸次郎の調査で分かったのであったが、、それを知った柳生幸次郎は、、故人安太郎が恐ろしくなった。
全てを知った上での「最後の安太郎の遠望企み計画だ」と迷探偵柳生幸次郎は思い、、唸った。
しかし、、何一つ、それを裏付ける証拠はないのだ。。
考えられることは、、これから出てくる「脱税疑惑」から出る、、「脱税未納金など」の算出で、どれほどの「追徴金」がでるかだ、、、
それは分からない。。国税の調査如何であり、、妻洋子はびくびくしていた。
妻洋子は上手くやったと思っているだろうが、、、故人安太郎の考えは大きかった。


25)大阪事業所の爆破事件の捜査は進んだ。

城之内安太郎の事実上の経営者の「株式会社大阪金融」の爆破事件が起きて、、「脱税疑惑」が浮上したのであった。
しかし、事実上の経営者、城之内安太郎も殺されて、爆破事件で「株式会社大阪金融」に携わっていた長男の安一郎も死亡しているので、、責任者追及が出来ない状態であった。
番頭の榊原豪太郎は、社員扱いで役員にもなっていない。
大阪府警は爆破事件の犯人究明に全力を傾けていたが、、犯人像は浮かんでこないのであった。
捜査していく過程では「やくざ同士の抗争」に絡んだ、爆破事件だという見解が濃厚だということになってきた。
その抗争の裏には、故人安太郎の作為があったようではあるが、、本人は死亡しているので裏付けが取れなかった。
国税としては、「脱税の額」がどのくらいあるか、、榊原豪太郎の残した手帳から算出しているところであった。
そして、取引のあった「組織やくざ」から、困難ではあるが証拠固めをしていた。
「大阪連合会桜会」と「京都連合会橘会」では資金の流れに食い違いが出てきたので、取り調べを強硬にしていた。
やくざ事務所は勿論であるが、、幹部個人一人一人の家宅捜査をして居るので、、ちらほらと、
資金の用途が明らかになってきた。
組織やくざの資金の流れを抑えて、、証明できたところから、、資産財産の差し押さえを始めた。資金面から組織やくざの殲滅をはかっていった。
今回の爆破事件の逮捕の裏側には「組織を解体に追い込む」ほどの金銭が動いていた。
故人安太郎の凄さが伺われる。
全てが明らかになった際は、、妻洋子が受け取った「遺産」などは吹き飛んでしまうほどであった。
その報告を聞いた「妻洋子」は愕然とした。

26)脱税額はまだ、国税庁から発表されず、、、

株式会社大阪金融と「関西連合桜会」と「京都連合橘会」の脱税問題は長期に渡る金銭貸借なので、、
簡単には算出できなかったのである。
番頭の榊原豪太郎の手帳に残る記録と、、組織やくざ団体で確認できる 財務状況から凡その判断をする以外に方法はなかった。
しかし、大阪府警と京都府警が検察庁に協力して、総力を挙げて調べた結果から「脱税額」を決めたのであった。その結果が概算で「両組織の脱税総額は30億円」となった。
その両組織に融資した「株式会社大阪金融」の脱税額も多額であった。
株式会社大阪金融の裏金工作があって。。やくざ組織との取り引きは「闇取りき引き」であったことから、、
「脱税行為」をしてたのであった。
従がって、「脱税行為による追徴金」「法律的な金融闇取り引きに関わる違反金」を合計すると、、、
妻洋子が「遺産相続」で受け取った「遺産金」を処分しても足りなかった。
この事件の解決と共に、「妻洋子は無一文」になる筈である。
故人安太郎には死んでも尚、「してやったりと思っていた妻洋子に、、」その上の仕打ちをしたのであった。
恐ろしい「復讐」の「報復」をしたのであった。
妻洋子のすべての、故人安太郎への「復讐計画」であったが、、それが終わってみれば「報復」となっていた。


27)報復を受けた妻洋子

城之内安太郎の妻洋子は、もとは長男安治路が付き合い、結婚するつもりで、家に連れて来て、父である故人である安太郎に合わせたのであった。
その洋子を故人安太郎が「金力」で奪い、妻にしてしまったのであるから、、長男安治路には恨みは残っていた筈で有る、、、それが原因で安治路はアメリカへ逃避行したのであった。
故人安太郎の妻洋子は「金に目がくらみ」もともと贅沢が好きな女であったから、「金と結婚」したようなものだった。
そんなことは百も承知ではあったが、、男とは不思議なものである。一緒に暮らすうちに醜い愛が芽生えていったのであった、長男安治路に対して嫉妬心を抱く様になり、、彼を近づけなかった。
そんなことも有って、安治路はアメリカで孤軍奮闘して、事業に成功したのであった。
故人安太郎の血を引いていたので、冷血に商いをして行ったのである。

妻洋子は金をかけ
て「妖艶」になり、、故人安太郎は年を老いていった。
そんな負い目から、、自分が死んだ後のことを想像しては、自己嫌悪に陥っていった、
そこで、故人安太郎は考えた。自分の残した財産で、妻洋子と長男安治路はいい思いをすると、、
下種の官繰りをし始めた。
そして、妻洋子には財産を残さないと、、自分が死んだ時には「無一文」にしてやると、、、
それが、城之内安太郎の殺人と大阪事業所の爆破事件であった。
故人安太郎の殺人事件も大阪事業所の爆破事件の真相は噂は出ているが、事実は判明出来ていなかった。
謎のままであるが、、、故人安太郎が妻洋子に対しての報復であると見抜いていたのが、、、
迷探偵柳生幸次郎であった。


28)長男安治路、、アメリカより帰国する、

今回の故人安太郎の「遺産相続」では一切、権利を放棄したのが,長男安治路であった。
その件で不思議におもったのは迷探偵柳生幸次郎である、、それは謎であった。
誰でも遺産の欲しくない人間はいない筈だ、、しかし、あっさりと放棄したのである、、いくらアメリカで仕事が旨くいっているからと、金の欲しくない人間はいないと思っている迷探偵柳生幸次郎であった。
ましてや、故人安太郎に恋人を奪われたのであるから、、恨みもあり、故人の財産を奪ってやろうと思うの当然の理である。
しかし、故人安太郎の遺産は全て放棄したのであるから、大きな謎であった、
そこで迷探偵柳生幸次郎は誰にも頼まれない、金にもならない調査を始めたのである、、、余りにも不思議に思ったので、彼の興味本位からであった。

迷探偵柳生幸次郎はまず、アメリカの会社調査から始めた。
そのためにアメリカまで飛んだのである、、、安治路の会社の有る「オーガスタ市」人口約20万のメイン州の首都に、、、
東京から飛行機で片道「22710円」の都市で、日本でも人気の有る「ロブスター」が漁獲量アメリカ一番で年間「約60万トン」の水揚げがある。
アメリカの東海岸はロブスターロールの有名料理店も多く。メイン州の「コープ協同組合」を通して市場へ発送している。
そんなロブスターをコープ協同組合を通して、日本の市場に販売しているのが「城之内安治路の会社であった」、、、「ヤスロオマール株式会社」であり、、日本販売の最大手であった。
迷探偵柳生幸次郎はアメリカ調査を終えて納得したし、、その後の調査で意外な事実を突き止めた。
それは日本に於ける安治路の商いであった。
そして、金融界の「闇将軍」と、、呼ばれる謎が分かってきたのであった


29)闇将軍

裏社会に君臨する「闇将軍」の噂を聞いたのは、迷探偵柳生幸次郎が城之内安治路の調査をはじめてからだった。彼の調査をしているうちに、行く先々で「闇将軍」の話がでた。
そして、その闇金融の元締めが「闇将軍」だと、、、しかし、その正体は誰も知らなかった、
そんな噂が気になり、、迷探偵柳生幸次郎は「闇将軍」を追跡調査をした。
元警視庁特捜課の鬼警部であった、柳生幸次郎には朝飯前であった。
「闇金融の事務所」は東京都内にいくつもあった。すべて、古びた小さなビルであり、、所有者が別であり、所有者住所を訪ねると、所在不明か死亡していたのであった。

しかし、利用者が元の所有者のままで「固定資産税」を納付しており、、建物そのもが目立たない、誰が見ても資産価値のないものばかりであった。
従がって「固定資産税」も安かった。
そんなビルの中に,個人金貸しが居ても、誰も気にしない事務所であった。
その金融事務所が「闇金融」をしているのだから分からない筈だった、もぐりの金貸しである。そんな金貸しの金の流れなどは見つけようにも見つけられなかった。
全てが闇の中の取引であり、、借りる方も脛に傷もつ身であるから、必要に応じて借りるので、文句も言わなかった。
更に、不味くなると、事務所を移ってしまうから始末が悪かった。
そんな金貸しではあるが[上はヤクザ組織から、、数億の単位での取り引きもあり」
「下は浮浪児からピンからキリまで貸していた」
税金ゼロの商売を組み立てた「闇将軍」とは凄いと思った、迷探偵柳生幸次郎であった。
踏査で仕組みはわかったが、肝心の「闇将軍」は浮かんでこない。
どうしたものかと、、考えていた。


30)どこにいるのか「闇将軍」は、、、、

迷探偵柳生幸次郎は探した、、今までの刑事時代の情報網を駆使して、あらゆる方面から調査の手を伸ばした。
しかし、金融関係の裏情報も集めた。
何としても噂はあるが、実際には見たことも、会ったこともないと言う。
柳生幸次郎は一つだけ、闇金融の世界の金貸しに手がかりを見つけたのだった。わずかな望みを掛けて、
その金貸しをマークして、、四六時中、付け回した。
闇金融のブローカーなので、叩けば何かが出ると、、昔の刑事の勘というものに頼ってみたのである。
刑事時代のように「警察権力」が無いので、脅して言わせれば「脅迫罪」になりかねないので、柳生幸次郎も慎重になった。
闇金融のブローカーは清水宗一郎といって、東京都内のもぐりの金貸しに資金を回していた。
しつこく辛抱強く、付け回していたので、闇金融業者でのトラブルが起きて、、ブローカーの清水宗一郎は、貸金の取り立てから、貸したもぐり金貸しを監禁したのであった。
そして、清水宗一郎は普段利用している「反ぐれ軍団、紅組」に、取り立て監禁をさせたのである。
その監禁状況を抑えて、、柳生幸次郎は闇金融ブローカーの清水宗一郎を捕まえて、脅迫したのであった。
「なあ、、清水よ、、お前の知っているところで、、お前らの金種もとは誰なんだか教えてくないかな、、、いいよ、、教えなくても、、俺の古巣の仲間にお前を渡すから、、」
と、、脅した。
更に「違法金融取り締まり、、監禁罪、、教唆脅迫罪だから、、当分出れないな、、」と、、強要したのだった。
「旦那、、俺たちは本当の金種もとは知らないんだよ、、俺たちの先に仲介元がいるから、、金さえ出して貰えば、後はどうでもいいというのが、俺たち闇金融のルールなんでね、、勘弁してくださいよ」
と、、泣きを入れられた。
迷探偵柳生幸次郎は警察ではないので、逮捕することにはこだわらなかった。
「分かったよ、、清水、、お前の資金元である、仲介元を教えろ、、誰にも言わないから、心配するな、、」と、、聞きだそうとしたが、、
「旦那、勘弁してくださいよ、、しゃべったことが分かったら、俺、消されちゃうよ、、」
と、、半べそをかきだした。
「心配するな、、お前も知ってるだろう、、俺は言わないと言ったら云わない、、」と、、宥めながら、脅かしながら聞き出した。
「分かったよ、、ありがとう、、いいか、清水、もっとうまく立ち回れよ、、闇金貸しで儲けたら、たまには飲ませろよ、、じゃ、元気でな」
と、、聞き出した貸金の仲介元に当たることにした。

31)柳生幸次郎、、闇貸金の仲介元に当たる。

柳生幸次郎は、闇金業者の清水宗一郎に教えてもらった,仲介の金種元を調べて訪ねてみた。
新宿大久保の駅前裏通りにその会社はあった。
大久保は今は韓国関係の店が多く、、賑やかな街通りは見た目には日本人街のようだが、韓国の街だった。そんな街並みの裏通りの一角に韓国風な料理屋が、、教えられた住所だった。
なんの変哲もない韓国風の焼き肉店であったので、、柳生幸次郎は客を装って中にはいった。
「いらっしゃいませ、、注文は何がいいですか、、」と、、流暢な日本語で韓国女が聞いてきた
ので、、「何が一番、旨いかな、、」と、、尋ねたら、、、
女は笑顔をみせて、、「何でも、美味しいよ、、好きなものを頼んでください、、」
と、、メニュー表を渡してきた。
それで、、柳生幸次郎は「焼肉定食」と書かれていたものを頼んで,待った。
待つ間、柳生幸次郎は店内を観察したが、、何もなかった、
そして、、どうやって、、闇金業者の清水宗一郎が云っていた、人物に会えばいいかを考えた。
考えているうちに頼んだ「焼肉定食」が運ばれてきた。
食べたが旨かった、、しかし、考えたが知恵は浮かばなかつた。そして、、食べ終えた柳生幸次郎は店を出て、その周辺を歩いた。
なんかいい方法はないものかと、、いきなり訪ねて行っても何も聞きだせないだろうし、、また、荒治療で脅しても言わないだろうから、、と、、悩んで考えた。
柳生幸次郎が調べているうちに、一つだけ分かったことがあった。
その韓国料理店「焼肉風流」は、今、焼き肉用の仕入れが高いので、仕入れ先を探しているとい
う噂を聞いたのであった。
早速、準備をして、焼き肉用肉の卸問屋に化けて潜り込もうと、、柳生幸次郎は「焼肉」の勉強をしたのであった、そこまでしても「闇将軍」にたどり着いてやろうと、燃えたいたのであった。
そして、損を覚悟の卸値で、「焼肉風流」と、取引を始めた。
始めて「焼肉風流」の店主が訪ねて来た。。「どうして、あんたのところは安いの、、」と、、、
柳生幸次郎は、、「来たな、、そう来るとおもった、、」と、、用意周到に用意した答えを話した。
あらかじめ、、段取りをしておいた、精肉業者と打ち合わせをしていたので、ボロは出さずにすんだ。
安くて上質な焼肉用の肉を卸したので、何度も会ううちに気に入られるようになり、、張谷社長はゴルフが好きというので、、柳生幸次郎はゴルフを誘うまでになった。
柳生幸次郎はゴルフの上前は「シングルクラス」で、、警察関係の大会では優勝するほであった。
「柳生さん、、あなたはゴルフが旨いね、、私のコーチをしてくれませんか。。」というような、、
付き合いになり、、柳生幸次郎が、「闇金仲介業者でもある男」に近付いたのであった。
飲食も付き合いうようになり、、闇金仲介業者である、張谷社長の人脈を少しづつ知る様になっ
ていった。相手も巧妙であり利口な男なので,そう簡単にはボロを出さない。。
根気のいる調査であった。
そして、、信用されるまでに半年が過ぎた、、暮のクリスマスパーティーに誘われたのであった。

32)クリスマスパーティの夜

迷探偵柳生幸次郎は,やっと、掴んだ「闇将軍」への道のコネである、張谷社長の招待を受けた、港区赤坂に有る、「中宮寺明子」のクリスマスパーテイが行われている邸宅へ出かけた。会場へ入って、柳生幸次郎はビックリしたのであった。
仮装大会のように、それぞれが仮面をつけており、、誰がだれだか分からなかった。
考えたものである、、、主催者は相当に用心深く、注意を払っているようだった。
柳生幸次郎は仮面をつけて、会場に入ったら、まるっきり、誰が来ているかは分からずに、招待してくれた「張谷社長」がどこにいるかも分からなかった、
声を掛けられて、やっと 分かったのであった。
「柳生さん、わたしですよ、、覚えておいてください、、私の仮面は狼ですから、、」と、云わ
れて安心したのであった。
「誰かが分からなくてももいいのですからと、、」云われた。
「お酒を呑んで、デイナーショウを楽しんでください、、」と、、、
そして、、今夜のクリスマスパーティーは仮面をつけたままで、素敵な女性を見つけて、楽しんでいいのですからとも言われた。
柳生幸次郎は思った、、「金持ちの乱痴気乱交パーテーィ」ではないか、、、
ふざけた奴らだ、、金を儲けて、ふざけた人生を楽しんでいたのであった。
許せない奴らだった。
この中に「闇将軍」が居るかと思うと腹がたった。
柳生幸次郎は近付いたと思ってきた。


33)クリスマスパーティーの主催者「中宮寺明子」と、、、

迷探偵柳生幸次郎には「乱痴気乱交パーティー」は気が進まなかった。一人、寒空の庭に出ていた。今夜のパーティーを期待していたのは、「もしかしたら、、それらしき闇将軍に会えるか
も、、」との思いが見事に外れたので、少しがっかりしていたのであった。
仮面姿の仮装とは予想もしていなかったので、、、、
しかし、、この中にいるはずだ、、「闇将軍」は必ず、、、、
そう、確信した柳生幸次郎だった。
会場には30人前後の男女が居るだけだから、、強盗の真似事をして、全員の仮面を外させることぐらいは出来る、、そんなことしても、「闇将軍」は正体を出さないだろう。
ここまで、たどり着いたのだ、、もう、、暫く待つことにしたのだった。
時間はあるのだから、、迷探偵柳生幸次郎には、、寒空の庭で振舞われた「シャンパン」を呑みながら、もうすぐ会えるだろう「闇将軍」にと思いを膨らませていた。
ぼんやり冬の透き通った夜空を仰いでいたら、、一人の仮面女性に声を掛けられた。
「よろしいですか、、ご一緒しても、、」と、近付いてきた女性のバラの香りが、その冬の白い景色の中で男心を揺さぶった。
一瞬、迷探偵柳生幸次郎は自分を失いそうになった。
「はい、、、どうぞ、、外は寒いですよ、、」訳の分からない返事をしてしまった。
「このような場所は始めてなので、、どうも、苦手なんです、、」と、、云いながら、、また、招待されておきながらのチグハグナ言葉を発してしまった。
「ふふ、、面白いお方ですね、、私もあまり好きではありませんの、、」と、云いながら、持っ
てきた「シャンパンボトル」を空けていた。
「私ね、、踊るパーティーより、、お酒が好きなんですの、、、のん兵衛なのよ、、」と、笑みを浮かべながら、柳生幸次郎に近付いてきた。
「もし、、よろしかったら、、飲みなおしませんか、、」と、、云いながら迷探偵柳生幸次郎を誘って歩き出した。
庭の離れの部屋へ入った仮面の女の誘いのままに、柳生幸次郎も入って行った。
そして、,二人で仮面の女の薦めのままに、ブランディーを呑んだ、、柳生幸次郎も酔った。
気が付いたら仮面の女は別の部屋のベットに横たわっていた、、、仮面も外れたいたが、、
気品のあるいい女だったが、柳生幸次郎も少々呑みすぎたのか、寝入ってしまった。
翌朝、先に目が覚めた柳生幸次郎は黙って家を出たのである、、、一緒に飲んだ仮装女性が「中宮寺明子」と分かったのはあとからであった。
一緒にパーティーに行った、張谷社長が一部始終を見ていたのであった。


34)闇将軍、粛正をする

「中宮寺明子」のクリスマスパーティーでの参加者チックが行われた。
常に「闇将軍」は用心深く、あらゆることに気を配っていたので、、その組織は上手く保たれて
いたのである。どんな小さなミスも許さなかった。
間違いに二度は無かったのであった。ミスを犯した者は必ず、何らかの形で粛正をされてきた。今回の招待客の中の、、柳生幸次郎に疑問の目が向いたのである。
彼を招待したのは誰かと、、組織の許しを得ないで招いた責任を取らせるためだった。
すぐに分かった、、新宿区大久保の張谷誠一社長と分かり、、柳生幸次郎の身元を調査させたのであった。
何と柳生幸次郎は城之内安太郎の妻洋子の依頼人の探偵と分かり、、「闇将軍」は直ちに、「中宮寺明子のパーティメンー」から外させた。
その行為は「闇将軍」の失敗であった。そのことを聞いた迷探偵柳生幸次郎は「ピーン」とくるものがあったのである。刑事の勘という奴だった。
さらに、、パーティーが終わった数日後、新宿区大久保の「焼肉風流」が閉店して、張谷社長との連絡が取れなくなってしまったのであるから、、余計に柳生幸次郎は合点がいった。
間違いなく張谷社長は「闇将軍」に粛正されたと確信した。
そして、迷探偵柳生幸次郎とかかわりの持つ人間を「闇将軍」の組織に近付けたくなかったのだと、、それは、、、柳生幸次郎が知っている人間だと云っているようだった。
考えた、、誰なんだ、、柳生幸次郎に会わせたくない奴は、、、
柳生幸次郎に会いたくない奴、、都合の悪い奴、、それは一人しかいないのだった。
まさかと思いながら、、「中宮寺明子」が心配になり、、先日に聞いた電話に連絡をして見たが留守だった。
迷探偵柳生幸次郎は心配になり、、尋ねることにした、、あのクリスマスパーティーの夜を共に酒を呑み過ごした女性である。。訪ねてみたら、留守番の女性が出て、昨日からアメリカへ行っていますので、当分は戻りませんと、、告げられた。
迷探偵柳生幸次郎は「しまった、、お
そかったか、、」と、、地団駄を踏んだ。
これでまた、「闇将軍」への手掛かりは無くなり、、やっと、、なんとなく、たどり着けると思った道筋がゼロになってしまった。
手ごわい相手だと、、しみじみ思ったのである。
しかし、なんとなく分かってきたことから迷探偵柳生幸次郎は「闇将軍」を追いかけ調査することにした。

36)元の依頼人「城之内洋子」を訪ね。。。

迷探偵柳生幸次郎は、「闇将軍」の策略により、やっと、掴んだ調査の道を絶たれたので、今回の事件の発端である、城之内洋子を訪ねた。
彼女は住んでいなかった、以前の豪邸は競売に掛かり、他人名義になっていた。
大阪国税の差し押さえによるものであった。城之内洋子が、故人安太郎から受け継いだ遺産、、特に不動産資産は全て差し押さえされていた。
城之内洋子の相続やその他の方法で取得した「現金」は、彼女と共に消えていた。噂ではアメリカへ逃げたとも、、しかし、大阪国税の追及は厳しいので、逃げたとしても逃げ切れるものでわない、、噂通り、消されてしまったような気がした、、柳生幸次郎であった。
故人安太郎の遺産は、いろいろな流れはあったが、最終的には城之内洋子に相続はされたが、国税に差し押さえされたりして、全てが消滅したのであった。
「現金」の部分は妻洋子が手にしたが、、闇に消えた。
この遺産相続に関することは、、故人安太郎が妻洋子や自分の身内への報復であったような、、
故人安太郎も恐ろしい人間であった。
しかし、「闇将軍」は更に恐ろしい人間だ、、悪魔の化身かも知れないと思うようになった、柳生幸次郎であった。
城之内洋子も行方が分からず、、謎の女「中宮寺明子」も行方知れずであり、、新宿区大久保の
「焼肉風流」の張谷社長も行方が分からなかった。
殺されたとかの殺人事件があったのなら、、納得はいくのであるが、三人とも行方不明のままであったので、、迷探偵柳生幸次郎は合点が行かなかった。
これまでのアメリカでの調査や、行方不明の人間たちから分かったことは、、、間違いなく、
「闇将軍」は「城之内安治路」だと言いきれた。
その「闇将軍」の行方を何としても探し出してやろうと決めた、柳生幸次郎であった。

35)闇将軍はどこに、、、

迷探偵柳生幸次郎は、此処まで来たら、何としても「闇将軍」に会いたかった。
城之内家の遺産相続から、、安太郎の殺人事件、大阪事業所の爆破事件と、、まだ、犯人は逮捕されていなかったので、、その辺の状況を再度、把握しようと動いたのであった。
最初、成城警察署の原田警部を訪ねた、、城之内安太郎を殺した犯人は未だ分からずであり、、捜査は細々と行われていた。
「原田警部、、ご無沙汰しております、、あの安太郎は本当に殺されたのですか、、もしかしたら、自殺と言うこは無いでしょうね、、俺が考えるのに、殺人事件にしては妙だと思うので、
「巧妙に仕組まれたトリックの元での、、殺人事件に見せかけた、、安太郎の一人芝居ではな
かったのかなと思えば納得のいくことが多いのだが、、、どう、思います、、」と、、柳生幸次郎に云われてみれば、そう、考えられる。
「柳生さん、、もしかしたら、あなたの推理が正しいかも知れないな、、此処まで犯人が浮かばないのも合点がいくよ、、」
「そうでしょう、、、」柳生幸次郎も相槌を打った。
原田警部は言ってくれた、、再度、捜査の見直すと、、、
迷探偵柳生幸次郎は確信したのである故人安太郎の「芝居殺人事件」と。。そう、考えることにより、、、大阪事業所爆破事件も、故人安太郎の遠望な計画の一つだと思うようになった。
全ての真犯人は故人安太郎だと、、、そのために、いくら捜査をしても犯人は検挙出来ないでいるのだった。
迷探偵柳生幸次郎は大阪へ向かった、大阪府警も相変わらずに「脱税」関係は摘発が出来たが、事業所爆破事件については、関係暴力団も認めなかった。
それを知った柳生幸次郎は、退院した榊原豪太郎を訪ねた。
多分、真相を知っているのは彼だけだと思ったのである。
迷探偵柳生幸次郎の推理では、故人安太郎の指示で榊原豪太郎が爆破事件を起こしたと考えていた。。
迷探偵柳生幸次郎が豪太郎を訪ねた時には意識がなく、危篤状態であった。
これも個人安太郎の計算のうちだろうと思い、真実を聞き出すことは諦めた。
しかし、柳生幸次郎の推理で間違いないと確信して東京へもどった。
帰る新幹線の中で思った、、故人安太郎は恐ろしい、執念の男だと。。。
そして、考えた、その息子の「安治路」も恐ろしいと、、、


37)「闇将軍」現れる、、、

迷探偵柳生幸次郎は考えた、、、城之内安太郎の妻洋子に警護と調査を依頼された時から、故人安太郎には見透かされていたような気がした。
今回の故人安太郎の「殺人事件」も考えれば不思議であった。死んでも可笑しくない人間が最後に、死ぬ間際に、これだけの芝居が出来るのかと疑問を持つようになった、柳生幸次郎であった。
更に復讐とはいえ、、自分の実の息子を爆破事件に絡めて、殺すことが出来るのかと、、
疑問を抱くようになったのであった。
不幸に陥れることが出来るのか、、、どんな「バカな子供達でも可愛い筈なのだ、」そんなこと
から、、考えてみたら「謎」だらけであった。
そして、親不孝からアメリカに渡った、長男「安治路」にも、それだけの器量が有たかと、思われたのあった。
何か不自然な、、疑惑が沸き上がって来た迷探偵柳生幸次郎であった。
そこで柳生幸次郎は大阪時代の「極道稼業」の時に遡って調べてみた。
意外な事実が飛び出してきた。
城之内安太郎には「双子の弟」が居ることが分かったのである。
同じ極道稼業をしており、、常に兄、安太郎の陰になって生きてきたので、、悪事は全て引き受けて、、二人で「陽と陰」の関係で生き抜いてきた兄弟であった。
兄「安太郎」が死んだ時には、まだ、熊本刑務所に服役中であり、出所してから兄「安太郎」の死んだことを知った、弟の「安二郎」であった。
双子の弟「安二郎」は度胸も頭脳的にも兄「安太郎」より、優れていたのであったが、、人との接し方が不器用だった。。
この事実を知っていたのは榊原豪太郎であった。彼は亡くなる前に書き残した日記があり、、それを孫娘「朱美」が預かっていたのである。
その孫娘「朱美」は云われていたのであった、、、豪太郎の日記は、一番公平に判断できる迷探偵柳生幸次郎に白羽の矢が突き立てられていたのであった。
それを見て、柳生幸次郎には納得がいった。
熊本刑務所から出た、弟「安二郎」は死んだ双子の兄「安太郎」の無念を悟り、、全ての今回の復讐劇を考えたのであった。
そっくりな双子の兄弟の思いを晴らしたのだった。
アメリカにおける事業も故人安太郎が起こしたことであり、、長男安治路は走り使いをしていただけのようだった。
そのために、迷探偵柳生幸次郎が安治路の追跡調査をしても出てこないわけが、やっと理解できた。
すでに、長男「安治路」もこの世から消えているだろうと想像が出来た。
迷探偵柳生幸次郎は双子の弟「安二郎」を探すことにしたのであった。
全ての犯人は双子の弟「安二郎」の復讐であったのだと、、確信がいった。


38)双子の弟「安二郎」の復讐


双子の弟「安二郎」は兄「安太郎」が生前に熊本刑務所まで面会に来てくれた時に、話はすべて
聞かされていた。最後の最後まで弟「安次郎」に何も恩に報いられずに、済まなかったと謝った。
そして、その「義」に報いるためにも、、兄「安太郎」は全財産を弟「安二郎」に譲る、約束をしたのであった。そんなことでは足りないことは分かっていた。
しかし、兄「安太郎」は苦労させて、命を掛けて、一緒にやってきたことへの「人生の借り」は返せないともわかっていたが、、、そうしないと気が済まなかった兄「安太郎」であった。
兄「安太郎」は自分の死が近づいていたことを知った、、半年前のことだった。
その後、双子の弟「安二郎」は、、兄「安太郎」から,家庭の事情や会社内容などを聞いていたので、、出所するまで考えた。
そして、大阪事業所の榊原豪太郎の元に手紙を書いて、熊本刑務所まで面会にきてもらった。
兄「安太郎」と番頭「榊原豪太郎」の付き合いは古く、、極道時代からの兄弟分のつきあいであった。
そのために、、榊原豪太郎からも話を聞いておきたかったのである。
兄「安太郎」と榊原豪太郎の話は信用ができた。
面会に来た榊原豪太郎は「ご無沙汰しました、、お元気な様子なので安心しました、、本当に不義理ばかりですいません、、兄貴、、」と、、涙ぐんでいた豪太郎であった。
「おう、、とっつあんも元気みたいだな、、あはあはあはっ」と、、云いながら、東京と大阪の
事情を詳しく聞いた。
「そうか、、兄貴も苦労したんだな、、なまじ家族なんか持って、、やっぱり,財産を持ちすぎたな、、なあ、、とっつあん、、」
「そうですね、、少々、大きく成り過ぎましたね、、みんな欲の皮が突っ張すぎて、、腹の中が分かりません、、、家族も身内も無いような、、」
と、、今から「遺産相続」争いが見え始めたというのであった。
誰一人として、「会長の仕事を継いで、やり遂げようとする意欲が見えません、、ただ、自分の取り分を守り、自分の欲を満足させようと、そればかりを考えている様子ですね、、」
そんな話や、会社事情を話してくれた。
また、会長の妻洋子が元は、長男の恋人だったという話もしたのであった。
余りにも「金目当ての家族であり、親族であった」と、、豪太郎は話した。
「そうか、、よくわかったような気がする、、、出所したら、取り合えず大阪のお前の家に行くから、、宜しくな、、それから相談しようか、、、今日はありがとうな、、」
そんな話をして、境原豪太郎は大阪へ帰って行った。


39)安太郎が亡くなる1か月前の話。。。

城之内安太郎が亡くなる1か月前に、双子の弟「安二郎」は出所して、大阪の榊原豪太郎の家に出向いたのであった、まだ、豪太郎が元気な時だった。彼は孫娘の「朱美」と二人暮らしであった。
孫娘「朱美」は豪太郎に似ているところがあり、、度胸もよく、悧巧な娘だったので、、豪太郎も傍に於いて可愛がっていた。
未だ、若かったが、それとなく金融関係の手ほどきを教えていた、、、朱美は覚えが早く、豪太郎の走り使いは出来ていた、やくざ組織の者たちからも、、「朱美ちゃんは女にしておくのは惜しいな、、」と、、、豪太郎は言われていた。
其のたび豪太郎もそう思っていた。
そんな暮らしの中に「安二郎」が帰ってきたが、、孫娘「朱美」は平然と暮らしていた。
「爺ちゃん、、安二郎おじさんが帰ってくるのだったら、、達磨寿司に席を取っておくね、、」
と、、気が利く娘でもあった。
やって来た、、20年振りの大阪に、、帰って来た安二郎は、豪太郎の家に入った時に、涙が零れ
た。
余りにも懐かしすぎたが、、変わっていない豪太郎の家を見た時に、嬉しいのと、豪太郎の気の使い方に感謝した。安二郎が逮捕された時のままの家だったので、、贅沢をしないで、懲役に行っている者への心使いが嬉しかった、、豪太郎は「義」を知っている男だった。
20年間、義理を貫いて「兄、安太郎」の身代わりで務めた豪太郎には、贅沢は禁物であり、してはいけない「男の誠」であった。
「豪太郎、、ありがとうな、、俺は帰るうちを間違えなかったよ、、」と、、双子の弟「安二郎」は頭を下げた。
そんな湿っぽくなった二人に、、「安二郎、おじさんの好きだった達磨寿司を予約してあるから、、お祝いだもの早く行こうよ、、」と、、孫娘が誘ってくれた。
その晩は、三人で楽しい食事をした、、
達磨寿司の親父さんも入って、、「安二郎さん、ご苦労様でした、、待ってましたよ。。」と、、年老いた寿司屋の親父と女将さんが出迎えてくれた。
「さあ、、今日はお店は休みだぜ、、みんなで20年分を楽しもうよ、、おめでとう。。
ここに安太郎さんが居てくれればな、、、」と、、ぽつりと光るものがあった。
「ありがとう、、みんな,嬉しいよ、、兄貴も病気だからな、仕方がない、、本当にありがと
う、、」
安二郎も豪太郎も明日から始まる地獄絵図を知らない兄「安太郎」に誓ったのであった。


40)城之内安太郎が亡くなる前の東京で、、、

双子の弟「安二郎」は大阪で、豪太郎と打ち合わせを済ませて、孫娘「朱美」を連れて東京へ出た。ホテル住まいをして、兄「安太郎」の殺人事件の準備をした。
住み込みで働いている、阿部夫妻を呼んで話をした、阿部夫妻は兄「安太郎」には古くから仕えて働き、夫妻は恩義を感じていた、困っているといる時に助けてもらっていたので、、、
それで、打ち合わせをしたのだった。双子の弟「安二郎」の事は知っていた。
阿部夫妻は協力を引き受けてくれたのである、、兄、安太郎が亡くなる数日前に、その体はそっくりな弟。安二郎に入れ替わっていたのであった。
それで、迷探偵柳生幸次郎が有った時には、元気そうに見えて、会話も交したのであった。
その間、本人の兄、安太郎は住み込みの阿部夫妻の離れに潜んでいたのであった。
そのトリックを考えた弟、安二郎は兄、安太郎が亡くなる前に入れ替わって、打ち合わせ通りの
毒薬を飲ませて、死んだのであった。
兄、安太郎の覚悟の決断であり、行動であった。
そのために、迷探偵柳生幸次郎は不振の思ったのであったが、、故人安太郎が双子の兄弟であることには気が付かなかった。
ましてや、成城警察署もそのことは知らなかったのである。そのための失態というか捜査ミスであり、、その後の捜査を攪乱したのであった。
そして、双子の弟、安二郎は豪太郎の孫娘、朱美と大阪に戻り、大阪事業所の爆破を実行したのであった。
豪太郎と画策して、一度の爆破事故で、全てが消滅するように、準備をしたのであった。
そのために、大阪府警や京都府警がやくざ組織を追及しても、爆破事件の証拠は挙がらなかった。爆破した張本人が怪我をして、入院してしまい、その後、後遺症で記憶が薄れてしまったので闇の中に消えてしまったのである。
豪太郎の孫娘が事情を知っているとは夢にも考えずに見逃してしまっていた。
そして、、双子の弟、安二郎の存在は微塵も考えなかった警察であった。
やくざのいいとこと言えば、、知らないことは知らないと、、突っ張る度胸を持ち合わせていることぐらいかも知れない。
やくざ組織も、双子の弟、安二郎が出所していることには気が付かなかったのであった。
その後、双子の弟、安二郎は兄、安太郎からの遺産相続の話は持ち出さずに、別の方法手段を講
じたのであった。
この事実を迷探偵柳生幸次郎が知ったのは後のことであり、、その事実を知って納得した事件であった。


41)双子の弟「安二郎」によって、兄「安太郎」の恨みは晴らされた。。。

双子の弟「安二郎」は兄「安太郎」と打ち合わせをした恨みを晴らしたのちは、、兄「安太郎」が残した闇金融の仕事をまとめ上げることに専念したのであった。
その走り使いに動いたのが、榊原豪太郎の孫娘「朱美」であり、、よく機敏に動いた。
アメリカのメイン州オーガスタ市にも安二郎は朱美を連れて行っていた。そこで、安太郎の長男
の安治路のいい加減さが分かった安二郎は彼を始末したのであった。
そして、兄、安太郎の築いた闇金融の組織を引き継ぎ、、「闇将軍」に変身したのであった。
それ以後、、アメリカメイン州のオーガスタに拠点を構え、、事実上の動きは全て朱美を動かし、彼女に仕事覚えさせたいた。
そして、東京との往復も朱美がして、金融の仕事もロブスターの輸出仕事も彼女が仕切る様になっていた。。
そのために「闇将軍」になった、安二郎はメイン州オーガスタ市を動かなかったので、、迷探偵
柳生幸次郎が探しても見つからなかったというか、、巡りあうことはなかったのである。
姿が見えない「命令の闇将軍の声」だけが聞こえてきたのであった。
それもあとで分かったことであった。
しかし、迷探偵柳生幸次郎は会いたかった。
曰く付きで、追いかけ踏査していた「闇将軍」に会いたくて、再びアメリカメイン州のオーガスタ市を訪ねた。
そして、、迷探偵柳生幸次郎は、故人安太郎の妻から依頼されて
から、15年が経った日に会うことが出来た。
メイン州は日本の軽井沢のような避暑地に似ていて、、森林の多い街であった。
海も川もあり、、東海岸はロブスターの産地でもあり、旨い料理店が多かった。そんな街で、迷探偵柳生幸次郎は知り合いからディナーパーティーに誘われて出かけた。
そこで、主催者の城之内安二郎を紹介されたのであった。そして、以前に榊原豪太郎の病院であった、、朱美という孫娘に再開したのであった。
朱美から近付いてきて、、「ご無沙汰しております、、柳生さんでしたよね、」と挨拶をされた。。びっくりした柳生幸次郎だった。
そして、朱美に誘われて、安二郎の席に就き、挨拶をしたのだった。
その安二郎という人は白髪で、車いすに乗り、90歳を過ぎた老人に見えた。
笑顔を見せて、、人懐こい老人であった。
迷探偵柳生幸次郎は急に自分が年老いた感覚に陥ったのである。。。
「自分は、この老人に会うために、、闇将軍を追いかけていたのかと、、」少々気が抜けたのだった。
そして、その老人の傍らでてきぱき動く朱美を見ていて、何か不気味な恐ろしさを感じた。



第二話「落ちこぼれ花」

1。どこで間違えた「こぼれ花」

人は誰でも生まれた時は可愛い、そして、みんなから愛される、花のように咲いているときは持てはやされて、優しくされる、、、
やがて成長し、世の中の雨や風や誇りにまみれて、色覚めるような。。。
晴には「桜が咲き」多くの人たちが酒を酌み交わしながら花を愛でる、.、
夏の日には朝顔が朝露を運び、太陽の輝きのもとではひまわりが咲き誇り、、、
秋には木々の葉が紅葉し、、また、酒を呼ぶような、、
冬には白い花が咲く、、、寒い雪化粧を。
人の人生にも人生花が咲く。人生道で成功すれば笑いの笑顔花が、、、、
しかし、人生道に躓き、花が萎れてしまうとき、、、寂しい泣き顔が、、、
人生とは面白い。人生が上手く往っているときにはいつも桜の花が咲いているような。。。
一端最後まで咲かずに、萎れてしまうときがある。
人は離れていく、、どこまでも、振り返ることなく、、離れていく。寂しいもの、悲しいもの、、、そんな首を垂れた花のようにだ、、、、
「落ちこぼれ花」になってしまう。
そんな男たちの、、、女たちの「こぼれ花」は悲しい。


3.夢をみると、、、最後まで

法界太郎の金貸し物語。。。
数多くの失敗者を見てきている、金に困り、息詰まり、金に引き回され、金に溺れたもの、、、いろいろだ。
人は面白いもので、金を借りるときは「神様仏様」と手を合わせ、涙を流す。
しかし、金に困り、返済する時にはののしり、神様仏様と言ったものが恨み事を言う。
借りておきながら、恨み事を言いながら、あべこべの言い方をする。人とは不思議な生き物だ。
法界太郎は東京港区麻布で金融業を営んでいる。
彼は産業廃棄物処理業や太陽光発電事業で財を成した。
不動産業も看板を出していたので、自然に土地に絡んで「金融業」も始めた。
法界太郎は常に現実的であり、何事にも緻密な計画をもってことに当たってきた。
不動産業は観光地のレジャー施設に安い売り物があれば買ってきた。そして、自分で商いをするときもあれば、転売もして来た。
法界太郎は合法的に、ものは安く買って、高く売る方針を貫いてきた。
金融業も合法的金利で金を貸す、、、但し、出来るだけ安く、負けさせて、、、合法的に売りさばく方法である。
法界太郎が社会の生き様を見るようになったのは金融業を始めたころからだった。
余りにも金だけが絡んだ取引、金貸しという商いは人生の、人の裏側を見てしまう。。。
それでも金がないと商いは行き詰まり、困って、がむしゃらに借りる、、、なりふり構わずにだ。
そんな人生のどん底に咲いた「落ちこぼれ花」は人の哀れを誘う、、、


4.人生道にはぐれて、、、、

人とは不思議な生きもの、普通に考えれば、その人間の収入に応じ支出を合わせれば、何も問題もなく生活ができる筈である。しかし、人は借金をする。
収入以上に借金をするようだ、、、そして、苦しむ生活をする、、、まったく、馬鹿げた話である。
今の世の中、金が借りられる仕組みになっているような。。。
あらゆる、カード会社、ローン会社、銀行までもが何事も起こさなければ借りられる。そして、余裕があれば証券取引き、先物取引と上手い話が転がっている。
そして、貸す方もあの手この手で貸しまくるようなシステムがあり、借り手はついつい借りてしまう。
今の世の中、使ってから返す、支払うという後払いがある。一昔前なら、金が溜まったら使う、、、
堅実な方法で生きてきた。しかし、どこで間違ったか、使ってから払うという、、、、楽しみを,先に得ておき、支払うという苦しみが後から追いかけて来る。
そんなことで、借金も手軽に、簡単に出来るので、、、トラブルが起きる。
法界太郎は、金を借りて、生きる死ぬを繰り返している人間を、、、いやだというほどみてきている。
法界太郎のところに借金を申し込んでくる人間には、借金には「利息」が付くことを、、、いやだというほど、耳にタコができるほど説明している。
そして、今、借りている金を返すのには時間がかかることを話すのだ。誰もが今借りている金の利息は高い、、、、
それを法定金利で返済するには時間がかかると、、、、
法界太郎は借金で苦しむ人々を救済しようとしているのだった。
今は金を借りたら、さらに高い金利で金を借り、という。
馬鹿な現象で事が推移している。
人と生まれたからには、「借金地獄」は経験したくないのだ。
其のためには、、「まず金を借りない」「金は貸せぐもの」
「金はもらうもの」を守ることだ。


5.道をまっすぐに、、金も範囲内で綺麗に。。。

人の道はどこまでも真っすぐに、笑って歩きたいものだ。
正々堂々と胸を張って、活きている間は生きていきたい。
人に後ろ指さされないように、背中に正義を翳して歩いていきたい。
人は誰でも、本当はそう思っている筈だ、、、
しかし、人生道には坂道もあり、下り路もある、ましてや凸凹道も、、、回り道もある。
そのどこかで躓き、気が付いてみたら、自分の思う道とは違う道を歩いているような、、、
人の心に差し込んだ暗闇は捨てて、日のさす道を選ぶように、、、少しでも努力をしないと。。。。
人生は長い、、、命も長く燃えている。
間違い、誤りは早くに訂正して、生まれた時からの心を見出して、、、活きなければ損だよ、「時間がもったいない」
人生長いと言っても「限り」はある。
だから限られて時間を精一杯、楽しく生きないと。。。
短い人生で「借金」でくよくよするな、、、借金で苦しむならほかのことに時間を使え。。。借金は考えるな。。。
自分の稼げる金で、、、自分の能力で。。。与えられた金を有効に使え、、、余計な金の事は考えるな。。。
自分で稼げるようになったら、余計な金の使い道を考えろ。、
(才能、器量)
人にはそれぞれ、もって生まれた器があるような、、、
頭の大きさには関係ないが、どうあがいても「能力、才能」以上のことは不可能なことのようだ、、、
努力すれば「人より水は飲める」「人より飯は食える」
しかし、そこまでだ。
誰しもが悪人になり、悪事を働くことは出来ない、、、人には良心があるから、、、、
誰しもが大金持ちにはなれない、、、人には「運」というものが、、、働けど働けど稼げないこともある。
人とはちょっとしたことで、、、右へ行く所を左に行っただけで運が開けることもあるようだ。。。
だから、一概に才能や器量があるようなことを言っても駄目だ、、、人には「運命」があるように。。
(環境、周りの人間関係)
人とはどんなに性格がいいか。。。それは生まれ、育ちが左右してくる。
人より余裕がある、、ゆったりした、穏やかの人柄は、生まれや育ちが、、、環境が影響してくるような。。。
せっかちやはやとじりも生まれながらが多い。
人には育つ環境が必要だ。。。植物だって、いい土壌、いい水が必要だ、、、
人とは生まれも大事だが、、、育る環境が大事なのだ。
教育だ。。。。
何度も言うが、働け、、、働けだよ。
勉強だ、、勉強だよ。。。そして、その人に合った分相応の生き方を見つけることだ。
「背伸びをするな。」
「努力と背伸びは違う」
人とは己の器量が左右する、、、「大将には大将の」
器量がある、、、人の器の大きさを知ることだ。。。
幸せになるための。。。「幸福切符」は己を知ることだ。


6.笑いの日常

人は誰しも平穏な日々がいい、、、過ごせるものなら、静かに笑っていたい。
四季折々の花を愛でていたい、そして可愛がって楽しく過ごしたい。誰も好んで苦労はしたくない。
法界太郎も働いた、そして「金」を儲け、貯めた。
人とは違うところは無駄な金は使わなかった。
人は誰しも。いつでも稼げるわけではない、人にはチャンスが訪れるのだ。日々。精一杯努力して、精進していればいつの日にか好機はやってくる。
それが人の持つ「運」なのだ、、、しかし、、誰もが気が付かずにやり過ごしてしまう。
もったいない話だ。
一度や二度のチャンスは必ず来る、、、だから、日々、気を張り巡らして、いつか訪れる好機を見逃すな。。。
法界太郎は人にいつも言っている、、、
「一日、一日を只、活きているな」
「自分に起きたことを偶然と思うな、、、いいと思ったら、記憶しておけ、、、記録しておけ」と。。。
「人が生きていることで、決して無駄なことはない、、、
何かにつながるから、、、日々、注意して生きて行け」
そう人にも話し、、、自分にもい聞かせていた。
人が生きている以上、、目的をもったなら、、、
法界太郎は言う、、、、、、
「時間を大事にしろ、、、無駄にするな」
「時間は待ってくれない、、、通り過ぎた時は戻らない」
「時間を大切には、、、時は今と思ったらすぐに実行」
「動き出した時は、、、止めるな」
人にはおもいっ切りが大切だ。。。
法界太郎は言う。。。
「進んだら迷うな、、、自分を信じろ」
「時には諦めも必要だ、、、いつまでも尾を引くな」
人生進んで、笑って、後悔のない人生を、、、、
「落ちこぼれ花」を咲かせずに、、、笑い花を咲かそう。


7.法開太郎の追い立ち

東京の下町、、、北区王子あたりで生まれたらしい、両親はいたが男親が呑兵衛で仕事もしなかったらしい、
それで15歳で法界太郎は家を飛び出し、知恵と腕力を頼りにあばれていたらしい。
18歳までいろいろなアルバイトをしながら、夜間高校を卒業して、大学も早稲田大学商学部を8年かけて卒業した。
ガキの頃から金はなかった、しかし、宵越しの銭は持たぬと言いながら,意地を張って生きてきた。法界太郎のとりえと言えば「キップがよくて、お人好しだ、」
大学も8年かかったのは、背活費、学費を稼ぐためにアルバイトが多かったためであった。
決して馬鹿ではなく、要領が悪かったためではない。人一倍に機転がよく効き、何事も慎重で考え深い男であった。
ガキの頃から腕ぷっしが強く、良く喧嘩をしていた。子供のころから頼れるものもいなく、なんでも一人で行動を決めていた。今も決断力はあり、こうと決めたらやり遂げる人間になった。
彼は自分の先祖には、江戸時代に有名な大泥棒、「鼠小僧次郎吉」と言われていた。「義賊」であつた。と言っている。
(法界太郎の裏話)
彼は運動神経もよく、動きも身軽だった。ガキの頃は頼る者もいなく、金はなかった。それで「コソ泥」をしていた。
捕まることもなく上手くいっていたので、どうせやるなら「大金」があるところ、、、ということで。
法界太郎は考えた、、、盗んでも、訴えの出来ないとないところ、、、そして、悪銭を稼いだいるところ、、、
ガキながら考えたことが「やくざ事務所」だった。
危険はあったが、先祖の「鼠小僧次郎吉」を思い出して、大袈裟ではあるが、少しだけは「義賊」を気取った。
先祖と違うところは自分のために使ったことだ。
法界太郎が、現在の低金利の金貸しができるのは、当時の泥棒基金があったからであった。いいわけでもぶってるわけだは無かったが、少しでも弱者、貧困者を助ける意味で、低金利での金貸しをしているのだった。
いいわけでも、責任逃れをするわけではないが、、、、
可笑しなことをしているような。。。


8.法界太郎の進撃、、、

法界太郎は頑張った。己一臂しかいないこの世の中を、只、がむしゃらに走った。横を向く暇もなく、てっぺんを目指して。。。金融業界でのし上がろうと挑戦してきた.
そして、合法的な生き方で歩いてきた。
ガキのころにやっていた「鼠小僧次郎吉」は忘れて、正攻法で知恵を出しきって、精進した。
人とはやれば出来るもので、気が付いたら一角の金貸しになっていた。大学を卒業してから金貸し修行を5年間務めた会社を訪ねてみた。
名古屋市内にあった浅野金融は無くなっていた。元、浅野金融で働いていた社員を探して見つけたので会うことにした。
営業担当の吉田輝夫という、今は名古屋市郊外で夫婦二人で細々と農業を営んでいた。
法界太郎が尋ねたら、喜んで迎えてくれた。
そして、夫婦二人の家に通され、昔話を聞いた。その中に、浅野金融の倒産の話が出た。
その話は悲惨なものだった。大手金融に騙されて、浅野社長は責任の後始末をして自殺してしまった。
残された一人娘の美香さんはその後無理がたたり、過労で倒れてしまった。
この話を聞いて、、法界太郎は涙した、悔しかった。
。。。相談してくれればよかったのに。。。。
と、本当に悔しがった。
法界太郎は浅野社長のお墓の場所を聞いて、東京へ戻った。


9.法界太郎の仇討ち前夜

金貸しの手ほどきを受けた浅野金融の浅野社長の話を聞いた法界太郎は悔し涙を流した、相談してくれればよかったのにと、、、しかし、後の祭りだ。
一人娘の浅野美香は苦労と心労が重なって、名古屋市立総合病院に入院していた、精神的な病が強く、話ができなかった。
法界太郎は、浅野社長を死に追い込み、一人娘の美香を廃人同様にした、第一総合信用金融を恨んだ。
出来たら一矢報いたかった。法界太郎が一人前の金貸しになれたのは、すべて、浅野社長のおかげであった。そして、美香さんには親切してもらい、感謝していた。
法界太郎は調べた、、、そして、第一総合信用金融を訪ねた。勿論、チャンスがあれば仕返しをしてやろうと隙を狙った。
第一総合信用金融は東京都中央区銀座に5階建ての自社ビルを
構えていた。見るからに大手金融会社に見えた。
興信所の信用調査でわかったが、会社ぐるみで罠に嵌めようと、計画的に狙われたら、信用してししまうだろう。
浅野金融は北海道、札幌郊外に山林を含めて原野を80万坪所有していた。いずれは、ゴルフ場、スキー場を含めたeジャー施設をと、計画は持っていた。
(策略、、、罠)
第一総合信用金融は子会社の銀座開発興行株式会社を表舞台に立てた。買い入れの申し込みは銀座開発興行の大和田信蔵社長と肥後信康専務が二人で名古屋まで訪ねて。
浅野金融の浅野社長も民政党の大物政治家と言われる織田信次郎の紹介もあって、会うことにした。
民政党の織田信次郎政調会長は今は時めく実力者であり、彼が関係することにより、許認可や融資の面で融通が効いたのであった。浅野社長は銀座開発興行の二人と、浅野金融の会社で商談をした。
だ一回目は挨拶と契約内容の説明などをして、検討するということになって、引きとぅてもらった。
(交渉そして契約)
浅野社長と銀座開発興行の2回目の話し合いは、東京銀座の銀座開発興行の本社で行った。
浅野社長も踏査もして、見当もして、今回の保証人は民政党の織田信次郎議員がしてくれると、、、織田信次郎議員が大株主であり、事実上の代表で、長男の信一が代表取締役をしている銀座土地開発株式会社が連帯責任をしてくれるということになった。
それならということで契約を結ぶことになった。
契約条件は「契約売買代金は90億円」で、、、契約金として「20億円を現金」で支払い、残金は約束手形で「14億円で5回分割とする、但し、1回目の支払いは契約日から2か月後とする」
以上の契約内容で、浅野金融の本社で決済することにした。
誰が見ても信用する契約内容であった。
しかし、この契約には罠が待っていた。
(第一総合信用金融グループの計略、罠)
浅野金融と銀座開発興行の契約がおわり、契約金20億円と約束手形で70億円の支払いが完了した。
「浅野社長、、ありがとうございました、、、来月から工事に着工しますんで、よろしくお願いします、、、」と、、
銀座開発興行の大和田社長が握手を求めてきた。
「こちらこそよろしくお願いします。。。わが社の担当窓口は吉田輝夫営業部長がしますので、これからの連絡業務は彼に願します、、」
と、、、吉田輝夫営業部長を紹介した。
その夜は名古屋市内の浅野社長行きつけの寿司料理屋で乾杯をした。
(銀座開発興行の策略)
浅野金融と銀座開発興行の契約がおわり、契約後2か月後の第一回目の約束手形支払い日がきた。
しかし、不渡りになった。
浅野金融はびっくりした、すぐに問い合わせをしたが担当の
大和田信蔵社長も肥後信康専務も留守だった。
「連絡を待ってますので、至急電話をするように」と、話を頼んだ。
浅野金融では二人からの連絡がなかなか来ないので、催促の
電話を入れた。しかし、留守だった。
浅野金融では浅野社長と吉田営業部長で、兎に角、銀座開発興行へ行くことにした。
約束手形は2回目が不履行になって初めて取引中止となり、不渡りが確実となる。
そんこともあって、銀座開発興行の近くにホテルを取った。着いた翌日、銀座開発興行を訪ねたら、会社事務所には電話番一人がいただけで、社員の姿は見えなかった。
浅野社長たちは慌てた。。。。
「大和田社長はどうしたんですか、、」すると、、
留守番の女子社員が言うには会社は倒産したとのことで、、、「社長は連絡が取れません、、社員は昨日から誰も出社していませんし、、、私は留守番を頼まれてるだけです、、そして、誰かが訪ねてきたら連絡先を教えるように言われてます。」
と、言って。。。大東京弁護士事務所、大岩幸次郎という名刺を差し出した。
浅野社長は、、、「やられたぞ、、やられたな、嵌められたな罠に、、」と、、、
そして、弁護士事務所に連絡を取った。
浅野社長は吉田営業部長がいたが、、全身の震bえええが止まらなった。
大東京弁護士事務所に連絡をとり、事務所が赤坂にあったので、すぐに向かった。全身がまだ震えたいた。
(銀座開発興行の巧妙な罠)
浅野社長たちは大東京弁護士事務所について、大岩幸次郎弁護士にあった。連絡をしておいたので、時間を空けていてくれた。
「初めまして、、、浅野です。どういうことか説明してくれますか、、、」と問い詰めた。
「大岩です、、銀座開発興行は債務過剰になり、行き詰ってしまったのです。不渡りは出したが会社は倒産はしていません、、、」と、担当弁護士からは簡単な説明があり、追加
説明があった。
「銀座開発興行は財務過剰により、親会社の総合信用金融の本社ビルに移転して、財政立て直しをしているところです。」と、、、、
「冗談じゃあないよ、、、連絡もしないで、いきなり不渡りを出してくれて。。。」
浅野社長はかみついた。
「連絡をしたはずですけど、、、連絡はいっていませんでしたか。。。おかしいですね」
大岩弁護士にはとぼけられてしまった。
大岩弁護士は会社が倒産していないので、確かに不渡りは出したけど、、業務はしていると言い張って、、、
子供の喧嘩ではないので、話し合うことにした。
「兎に角、不渡りの場合の保証人も要るので、、私は保証人と掛け合ってくるよ」と、、、
只、大岩弁護士が言うには、二度の不渡りは出ているが、会社は業務をしているので、保証人も話にはならない筈だ、、
と。
「ふざけるな、、、70億の不渡りだぞ。そんな馬鹿な話があるか、、、」と少々、興奮気味になってきた。
しかし、浅野社長も、吉田営業部長に言われて、少し冷静になってきた。
そこで、大岩弁護士の話で、銀座興行開発も交えて話し合うことになった。
浅野社長は自分の会社の顧問弁護士に連絡を取って、相談することにした。

(浅野社長の反撃)
浅野社長は顧問弁護士の足立法律事務所を訪ね連絡をしておいたので待っていてくれた。,、、
「先生、えらいことになったよ、今回の取引で、70億円の不渡りをくらったよ、、、どうしたらいいかわからない」
浅野社長は本当にどうしたらいいか分からなかった、、、慌てていた、、、「先生、細かく説明はしますが、教えてください、、」と、、、
浅野社長は不渡りになった内容を足立弁護士に説明した。
そして、指導を受けた。
まず第一は不渡りになった事実を証明して、その金額を請求する。手形発行者に、、、そして、保証人にも連絡をする。
すべて、文書での行動を足立弁護士にしてもらう。
相手の出方を待つ。
今の時点ではまだ、倒産をしていない、、、だから不渡りは出したが、その不履行金員については話し合いをしたいと言ってきいる。
しかし、浅野社長は不渡りを出した約束手形については清算をしてほしいと思っている。そして、当人がだめなら保証人に弁済をして欲しいと考えている。
だが、足立弁護士の話だと、そうは上手くいかないような、、、保証人も個人保証ではなく、法人保証をしているので、振出人が逃げずにいる場合は、保証の責任が無いのであった。
足立弁護士が言うには、初めから仕組まれた罠のようだと、、、,
不渡り手形分については双方の話し合いしか方法がないと言っている、しかし、法的に出来ることは、、、、
不渡り分の差し押さえができるので、訴訟に持ち込んで回収するしか方法はないという。
浅野社長は本当に騙されたと思った。現金20億円に引っかかったような、、、
足立弁護士の言うように訴訟で取り立てをするより仕方がなかった。
この気が遠くなりそうな話である、裁判になれば時間かかる、そして、長期分割は払いとなれば、、、70億円の長期分割である、
浅野社長は参った。今までの事業計画、これからの事業計画に狂いが生じてしまう。
今回の売り上げで、新規事業をもくろみ、すでに動きは始めてしまったのであった。
どうやっても、今回の70億円の回収がないと、すべてが崩壊してしまう。
そして、裁判で勝訴しても時間がなかった。
(浅野社長の失敗、甘かった計画)
浅野社長は今回の契約による売り上げ「70億円」を自分の新規事業に投資していたのだった。
それはレジャー施設を備えた、高級分譲マンションを計画して、工事を発注して始まってしまったのであった。
資金繰りは今回の約束手形の入金を充当させて。。。従って、すべて、今回の約束手形を担保に入れてだった。
回収に時間がかかれば、担保にしての回し手形が不渡りになり、その支払いをしなければならない。
今の浅野金融にはその余裕はない。間違いなく、破産に追い込まれれる。
そんなことで、回収しないと絶対絶命なのだ。
浅野社長は方法はないものかと、足立弁護士と話し合った。
浅野社長には不渡りを出したら、銀座開発興行のような言い訳はきかなった。
今回の新規事業の支払いには、手形分だけは自分の財産を賭けてしまったので、、、もとには戻らなかった。
しかし、足立弁護士の話では裁判をしてからの回収なので、間に合わないうえに、裁判中に銀座開発興行が事実上の倒産をしたら回収不能になり、回収金はゼロになってしまう。
浅野社長に残された時間はわずかだ、、、
地団駄を踏んだ、、、悔しかった。。。人生最後に来て騙されたとは、、、
いくら考えても資金のあてはなく、、、破産しかなかった。
出来る限りの清算をしたが、、とても、追いつかななった。
そして、、、「死」へと、、、、

10.法界太郎の仇討ち
自分が巣立った金融会社、浅野金融が社会悪の悪だくみに陥り、見事なまでに罠に嵌ってしまった。
この事実を知った時に、法界太郎は決意した。
今、いるのはすべて浅野社長が自分を育ててくれたからだ。
法界太郎には男気が合った。
自分の知恵、能力を使い、自分の持っている財力を使って、この社会悪ともいえる罠に、悪だくみを崩してやろうと、。。
そこで、浅野金融を潰して、騙しとった資金を、、、、
罠を使って、計略を緻密に組み上げて、回収かまたは親会社である「第一総合信用金融」を陥れてやろうと考えた。
(第一の罠を仕掛ける)
法界太郎は第一総合信用金融株式会社が担保に取って販売している東京赤坂の高級マンションを購入した。
買収価格は「50億円」だった。
現金で、法界太郎は即金で払い込んだ。まずは信用をつけたのであった。
それから半年間、法界太郎は第一総合信用金融とは手形割引きなどの取り引きをしていった。
そして、第一総合信用金融の大和田信蔵社長とは個人的な付き合いも重ねてゴルフなども行くようになった。
大和田社長は大のゴルフ好きであった。そして、法界太郎がシングルでゴルフ場を回った居たので、ますます、ゴルフの回数が多くなった。
そして、法界太郎は、第一総合信用金融が手掛けた「200億円のリゾート施設」」を買収することになった。
そこで法界太郎は頭金を「50億円」として分割で買収契約を済ませた。
150億円の分割手形であった。
先に購入した「50億円」の高級マンションも担保に入て、、、、
法界太郎は一人、微笑んだ。。。。
「やったと。。。さあ、、、これから料理してやるか」
これから始まる復讐劇が、、、第一総合信用金庫の断末魔の叫びが聞こえるようだった。
(復讐劇の幕引き)
法界太郎と銀座総合信用金融の大和田社長の付き合いは密になり、手形割引という商業でかなりの金員が割引されていた。人とは不思議なもので、一端信用すると、人にもよるが、、、法界太郎は初めから罠に落とす計画であったから、自分の財産もかなぐり捨てて、計略に突き進んでいった。
そして、手形割引も1000億円と膨大になり、大和田社長も抜き差しならないところまで行っていた。
法界太郎は初めから罠に嵌め、とことん追い詰めようと捨て身で構えたのだからたまらない。
人の世には採算を度外視した考えかたがあることを、自分を捨てて、、「肉を切らして骨を切る」という考えかたを持って進むと人間がいることを知らなかったのであった。
世の中すべてが合法的に進むと信じているものも、、、
世の中のすべてが「理」で片付くものと、、、
世の中には気ちがい花があることを知らない。
命を捨てて、身を捨てて咲いた花、、、落ちこぼれ花は美しい



11)仇討は桜吹雪、、、


法界太郎は割り引いた約束手形分については初めから不渡りにする計画であった。今までに割り引いてきた「約1000億円」分の手形の引き落し期日が近づいてきたのである。
そして、第一回目の不渡り期日が来て、、「約50億円の約束手形」が不渡りになった、、、法界太郎にしてみれば予定通りであった。 不渡りを出された銀座総合信用金融株式会社としては慌て、、大和田社長から法界太郎あてに連絡がはいったのである。
「大和田ですが、、、法界社長をお願いします、、」と、、、留守番の事務員が応えた。
「只今、法界は香港へ出かけていますので留守です、、、帰りは来週になりますが、、」と、返事があった。
大和田社長は慌てた、しかし、不渡りは出たのであるから、、なんとしても法界太郎と連絡を取りたかったのである。
「なんとか、、、法界社長に連絡をして、、、電話を欲しいと伝えてください」と、頼むより仕方がなかった。
しかし、、待てど暮らせど連絡はなかったのである。
大和田社長は更に焦った、、、
そして、親会社の「第一総合信用金融株式会社」へ連絡をしたのであった。
関連会社の「銀座土地開発株式会社」の織田信一社長にも連絡がはいっていたのである。
グループ企業である銀座土地開発(株)も法界太郎との契約で「約20億円」の約束手形を受け取っていたのであった。当該会社とは土地取り引きでの売買契約金である。
織田信一社長も親会社の「第一総合信用金融(株)」本社へ飛んできた。
そして、親会社の第一総合信用金融(株)本社で会議が開かれたのである。
親会社の織田剛三社長や本社役員を交えて、、、
「大きいな、合わせて70億円か、、先方には連絡して会うようにしてくれ、、、
それと顧問弁護士の大東京弁護士会の大岩幸次郎を呼んで打ち合わせをしてな、、、
絶対に対処しろよ、、、いいな」と指示を出して、今後の対策を練ったのであった。
大和田社長が参加した役員に、、、「1000億円の手形だからな、、、」
「回収に失敗すると、、倒産の危機に追い込まれるかもしれないので、、、全力を挙げて当たる様に。。。」
参加した役員全員が慌てたり、ざわついていた。
大和田社長は民友党の織田新次郎政調会長に連絡をして、、、関東連合睦会の辰巳権蔵会長への根回しも頼んだのである。
場合によっては反社会勢力の力を借りなければならないと考えたのであった。
法界太郎の「仇討桜」は咲いたようだった。
覚悟を決めての命がけの仇撃ちであり、、、法界太郎は桜吹雪を散らすつもりであった。


12)食われる覚悟の「1体100」の喧嘩

法界太郎は香港ではなく鹿児島にいたのであった。
大阪時代の悪ガキ時代の兄弟分が鹿児島で「薩摩隼人会」というやくざ組織の会長をしていたのである。そして、法界太郎はその薩摩龍馬会長と会っていた。
「太郎、、大丈夫か、、、先日頼まれた件は全てやっておいたから心配するな、、、お前には命の借りがあるから、、最後まで付き合ってやるよ、、、」
法界太郎が一番信用している男である。
「おお、、龍馬、頼むぞ、、、俺の最後の仕事だからな、、、命はお前に預けるよ」
と、、法界太郎も頼りにしていた。
日本国中、どんなやくざ組織が来ても引かないと約束してくれたのである。
「龍馬、、、今回は1体100の喧嘩だからな、、、命はすてているよ、、、骨はひろってくれ、、」
覚悟を決めた法界太郎に、薩摩龍馬も男をかけたのである。
その晩は久しぶりに天文館で飲んで、次の朝早く法界太郎は新幹線で東京へむかった。
そして、法界太郎はなんの憂いもなく、、、桜吹雪を散らせると、、、心で笑っていた。
東京の法界太郎の会社事務所についた、法界太郎は「銀座総合信用金融(株)」の大和田社長に連絡をしたのである。
「法界ですが、、、先日は留守をして失礼しました、、、不渡りの件は謝ります、、、資金ショートを起こしまして、2回目は大丈夫ですから、、、それと不渡りの分は急いで手当しますので、心配しないでください、、」
と、、言っても先方は不安で一杯になっており、、
「法界社長、、、大丈夫と言われても信用することが出来ませんので、時間を作ってください」
と、、、言うことになり、両者の顧問弁護士を入れての話し合いになったのである。
そして、確約書を取り交わしての罰則まで決めたのであった。
始めから「銀座総合信用金融(株)」を罠に陥れるつもりであるから、、どんな約束でも出来たのである。
一旦「和解」から安心はしてはいないかも知れないが、、、「銀座総合信用金融(株)」の大和田社長たちを安心させたのあった。

そして、計画通りに法界太郎は2回目の不渡りを出したのである。
「銀座総合信用金融(株)」と「銀座土地開発(株)」の2社に「総額70億円」の不渡りであった。
この不渡りには大和田社長は腰を抜かすほどの慌て方をしたのである。。。
この時には大和田社長も馬鹿ではないので、、、「やられた、、、騙された」と、、気づいてようだった。
今度こそ、「第一総合信用金融(株」グループ全体で慌てふためいたのである。。
しかし、、後の祭りだった。
法界太郎が見事に食ったのである、、、「1体100の喧嘩」はこれからであったのである。


13)法界太郎の喧嘩は始まった。

法界太郎に二回目の不渡りを掴まされた「第一総合信用金融(株)グループは大騒ぎとなったのである。。
グループ全体での不渡り金額は「約1000億円」であり、、場合によってはグループ企業の倒産もあるのであった。
今回は不動産売買による損害と、「現金貸し付け」という損害が発生するので、負荷が付いてくるのである。
その負荷部分の方が恐ろしかったのであった。
不動産売買による物件の行方が分からないので、どんな尾鰭が付いてくるかが心配であったのだ。
今回の第一総合信用金融(株)の損害は法界太郎のやり方では「2000億円にも3000億円にも」膨れ上がるのであった。
大和田社長たちが恐れているのは、、、売買した物件の流れを心配して、、すぐに手配をしたのであった。
北海道のリゾート用地や東京都内のマンション売買である。。。すべてが手形決済なので不渡りが出ると、大きな損失がでるのである、、、
「1000億円の手形支払いは800億円が不動産売買によるものであり、、すべてが損失になる」不渡り手形分の回収が出来ないと大和田社長たちグループは大打撃を被ることになる。
グループ全体の会議が第一総合信用金融(株)の織田社長のもとに集められて、、大号令がでたのであった。
顧問弁護士の大岩幸次郎が呼ばれて、、、今後の後始末の法的処置を依頼した。
そして、大和田社長や織田一郎社長にも支持を出したのである。
対処の仕方では資金崩壊を起こして、最悪は倒産ということもありうると厳命を下したのであった。

各部署で動いた、、、法界太郎の行方は捕まらなかった。
そして、売買した不動産登記簿謄本を取り寄せたのである、、すでに、名義は変更されて、第二、第三の担保が付いており、その金額3000億円を超えていた。
今回の不動産売買は「譲渡賃貸権つきの売買」なので、法界太郎から名義を第三者に変えることが可能だったのである。
その辺が法界太郎の巧妙な売買作戦で、口車に乗ってしまった大和田社であった。
ゴルフ誘導と女好きな大和田社長の落とし穴だったのである。
後の祭りだった。
第一総合信用金融(株)としては、第三者からの要求額で不動産を取り戻すか、、、損害を承知ですべての不動産を放棄するしかなかったのであるが、、、大東京弁護士会の大岩幸次郎が訴訟を起こしたのであった。
法界太郎としては「まってました」と、、受けて立ったのである。
法廷闘争となると時間がかかり、、最終的は「和解」となる。
和解となると法界太郎の思う壺であった。


14)法界太郎、表舞台で喧嘩する。

法界太郎は旅先の有馬温泉から戻ってきた。
「第一総合信用金融株)」から訴訟が起こされたことを顧問弁護士の足立法律事務所から連絡が入ったので、、法界太郎は会社事務所にでてきたのである。
当然の如く、大和田社長からも連絡が入り、、、会うことになった。
そして、大和田社長と銀座土地開発(株)の織田信一社長が、顧問弁護士の大岩幸次郎弁護士とやってきたのである。
事務所に入るなり、、挨拶なしで「どうしてくれるんだ、、、この不始末は、、、ええー」と、偉い剣幕で怒鳴りこんできた。
大和田社長と一緒の織田信一社長などは、、、「ふざけた真似してくれたな、、覚悟はしているんだろうな、、」と、、まるでやくざ並みの口調で言いよってきたのである。
流石に大岩弁護士は静かだった。
「一応、、、法的処置は取りましたよ、、、場合によった刑事事件で告発も考えていますので、、、」
と、、3人で迫ったきたのである。
そして、大岩弁護士が「法界さん、、、どうするかのご返答をしてください」と、、言ってきたので。
法界太郎は「すいませんでした、、、ご迷惑をおかけいたしまして、、何とか資金繰りを考えて、返済方法を考えますので、時間をください、、」と、頭をさげた。
若い織田信一が「頭下げて、すいませんですむことじゃ無ないだろうよ、、、ええーー、ふざけるなよ。
今でもすぐに1000億を用意してこいや、、」と、、怒鳴ったのである。
法界太郎は落ち着いて静かに話した、、相手の怒りに乗って対応してたら、いくつ命があっても足りないことを
知った上での対処であった。
「すいませんとあたま下げているじゃないですか、、、そして、弁済をしますと言ってるじゃありませんか」
と、、答えて先方の喧嘩口調にはのらなかったのである。
「法的手続きを取ったなら、、、それを受けますから、、、また、、、刑事事件にするなら仕方がないですね、、しないでくれとも言えませんから、、」
大和田社長が「わかった、、あんたがその気なら、徹底して訴訟と刑事事件で告発するから、、逃げるなよ。。」
啖呵らしき、脅しにもとれる言葉を吐いて帰っていった。
法界太郎は全面きっての喧嘩だと覚悟したのである。。。
浅野社長の仇討が出来るとほくそ笑んだ。
本当は「ざまーみろ、、、」といいたかったのである。


15)法界太郎、第一総合信用金融と全面戦争に、、、


法界太郎は第一総合信用金融(株)が割り引いて、現金化していることも知っていた、、第一総合信用金融(株)は元来が金貸しで有るので、法界太郎から受け取った約束手形は割り引いて「金貸業務」をしていたのである。
従って、法界太郎から不渡りされた金額は割り引いた金融会社から催促、取り立てをされているわけであるから、、、「1000億円の不渡り分は場合にっては2000億円」にふくれあがっているのであった。
そんな訳で慌てているにである、、、

法界太郎は第一総合信用金融(株)の大和田社長たちと別れてから、、新幹線で九州鹿児島に来ていた。
「薩摩隼人会」で、薩摩龍馬会長と会っていたのである。
「龍馬、、、いよいよ始まるぞ、、、頼むな、、、第一総合信用金融(株)が持ち込んだ先の一覧表だけど渡しておくな、、、不渡り分の回収はできる分から動いてくれよ、、、」
「龍馬、不渡り分の手形は50%から30%での買戻しでな、、、資金は500億円用意して持ってきたから、、」
それと不動産物件の買戻しの話が来たら「全て倍でな」と、、、打ち合わせをしたのであった。
「今後は電話連絡無しでな、、、俺が直接に来るから、、、宜しくな」
法界太郎は完ぺきにやったなと思ったのであった。
約束手形の買戻しは、薩摩隼人会長に任せったのである。
法界太郎は告げといた。
第一総合信用開発(株)グループについているやくざ組織は「東京連合睦会」だと、、薩摩隼人会長には知らせておいた。
当然、龍馬たちは知っての行動であった。


16)薩摩隼人会に手が伸びる。。。

東京連合睦会の若頭若槻大二郎から直接に薩摩隼人会の薩摩会長に連絡がはいった。
「電話で失礼します、、薩摩会長にお会いしたいのですが、、時間を取っていただけないでしょうか、、、誠に申し訳ありませんが、、鹿児島まで行きますので、宜しくお願いします」と、、、
薩摩隼人会としては断る理由もないので、、申し込みを受けることにしたのである。
そして、約束した日に東京連合睦会の若槻若頭が大岩弁護士を連れてやってきたのだった。
若槻若頭は二人の配下の者を二人従えていた。
薩摩隼人会の薩摩会長は本部い事務所で出迎えたのである。
「初めまして、、若槻と申します、、こちらが第一総合信用金融の顧問弁護士の
大岩幸次郎先生です、、、よろしくお願いします。」
と、挨拶をしてから、、話は分かっていると思うので、、、
「直接、本題に入らせて頂きます、、、法界太郎さんの不渡り手形の件で、、、会長に買い戻してもらいたいのですが、、、不動産名義が会長名義になっていますので、、、」
「私が薩摩隼人ですが、、、都合で買い取っていますので、、話は聞きます」
と、、答えた。
「若槻さん、、、分かっていると思いますが、、私はそちらの不動産売買では保証人もしていなし、、その取引には何の関係もありませんので,買い取る理由もありません」と、、、跳ね返したのである。
確かに、薩摩会長からして見れば、第三者のしたことなので何ら責任はないのだった。
大岩弁護士が聞いてきた、、、「薩摩会長は法界太郎さんとは関係ないのですか、、」と、、、
「私は直接には関係ありませんよ、、」と、、答えた。
「それでは、、どうして今回の様な不動産取引をしたのですか、、」
「あのねーー、どうして、、商いの中身をあなたに話さないとならないんだよ、、」
と、、答えて、、裁判なら別だけど。
薩摩会長は上からのような質問の大岩弁護士に腹が立ったのである。
そして、、そんな話なら、、薩摩隼人は話すことは無いから、、引き揚げて欲しいと言ったのであった。
若槻若頭が謝って「そんなつもりはありません、、ただ、、不渡りになった手形の件で相談に来ただけですから、、」
という話に戻り、、話を聞いて、出来る相談なら受けますということになった。
大岩弁護士のような質問責めなら、帰ってくれと言いたいのだと薩摩会長はいったのである。
そして、薩摩会長は自分も検討するから、、日を改めて、「答え」というか「何をしてほしいか」の返事を持ってきてくれということになり、、引き揚げてもらった。

17)東京連合睦会の若槻若頭と大岩弁護士が再び、、、

薩摩隼人会の事務所に翌日、東京連合睦会の若槻若頭と第一総合信用金融の大岩顧問弁護士が訪ねて来た。
「薩摩会長、、、ざっくばらんで言いますと、、法界太郎さんの振り出した約束手形を買い取ってほしいんですわ、、、」
と、、若槻若頭が言ってきたのである。
「なんのための買い取りですか、、、俺のところで買い取る責任はあるのかな、」
聞き返した薩摩会長であった。
大岩弁護士が「薩摩会長、、あんたらが仕組んだ芝居商いでしょう、、責任取るのが当たり前じゃないのかな、、」と、、、言ったから堪らない。
「大岩さん、、あんた、俺に喧嘩売りに来たんか、、そのつもりなら買ってやってやるよ。。。」
と、、薩摩会長に啖呵をきらせてしまったのである。
「若槻若頭もそのつもりですか、、、それでもいいですよ。。」
「いやいや、、、そんなつもりはないですから、、私は今回の不渡りに関してはまとめたいのです、、買取は全額とは言いませんよ、、考えてみてください、、」と、、大岩弁護士とは違って考え方が柔軟であった。
それから大岩弁護士は黙ったのである。
そして,薩摩会長と若槻若頭の二人の話し合いが続き、最終的には、、、
30%での買戻しで決着がついた。
薩摩会長は承知したのである、、、法界太郎との打ち合わせでは50%までは飲む覚悟であったのであるから。。。
法界太郎の思惑通りにはったのであった。
この第一総合信用金融(株)との不渡り喧嘩は、初めから法界太郎は捨て身で臨んでいたのである、、、元もとが世話に成った浅野社長の復讐劇であったので損失は覚悟の上であった、、従って、その目的がかなってきたのである。
手形の買戻しなどは気にしていなかった法界太郎であり、、、
薩摩会長に会いに行った法界太郎は、その話を聞いて満足したのであった。
まずは最初の復讐劇は成功したのである。


18)法界太郎の追い打ち戦法。。。


第一総合信用金融(株)は法界太郎を「手形詐欺」で告訴をしたのであった。
刑事事件として告訴されたので、、法界太郎は警視庁特捜部から呼び出しをされて、取り調べを受けたのである。
逮捕まではされずに、当初は「任意」での取り調べであった。
第一総合信用金融(株)は後ろ盾の織田政調会長に依頼して、、警視庁特捜部に政治力圧力をかけての捜査であり、、取り調べであった。
しかし、、法界太郎は覚悟していたので「任意」の取り調べに耐えたのである。。
あくまでも返済をして行く姿勢を示し、、故意に不渡りを出しての詐欺行為を否認したのであった、、、どこまで行っても「不起訴」に持っていこうと考えていたのである。
警視庁も困った、、、法界太郎は「手形詐欺」とはみちめなかったのである。
一週間の取り調べで事情聴取が行われたが、、、警視庁特別捜査班は確実な「起訴体制」で起訴を検察庁に提出出来ないままに、、
起訴をしたのであった。
検察庁に送られた「確定証拠」「確定供述」が無ければ、、検察庁は起訴にはしないのであった。
たとえ起訴して裁判になっても「無罪」か「不起訴」になる可能性がある場合には、検事も起訴を控えることが多い。
そんなことを経験で知っていた法界太郎は「不起訴」を勝ち取ったのである。
残るは「民事裁判」であった。
この民事裁判は時間がかかり、、第一総合信用金融(株)は,裁判で勝っても資金回収に時間がかかり、、まかり間違えれば倒産も起こりうるのであった。
全てが法界太郎の計画通りに進んでいたのである。
法界太郎は思った、、、「浅野社長、、待っててくださいよ、、」と、、久しぶりに
浅野社長の墓前にお参りして花を手向けた。。。

19)騙した法界太郎が民事裁判での法律闘争。。

第一総合信用金融(株)の織田社長を始め、、銀座土地開発(株)の織田信一社長、銀座総合信用金融(株)の大和田社長
は、、会議を開いた。そして、、終わってみれば法界太郎に騙されたのであった。
第一総合の織田社長は、「完全にやられたな、、、法界太郎に、、、不渡り手形で「1000億円」そして、買戻しで30%「700億円の損失」を被ったな、、」と、ため息をついた。
そして、不動案物件をまるっきり失ったのであるから、、、その損失は大きい、、更に開発工事の分での不渡りも大きい、、どうやっても損害は大きかったのである。
「リゾート開発工事部門の損失は2000億円はあるだろう、、とても取り返しはつかない、、、」
「この際だから、、銀座総合信用開発(株)と銀座土地開発(株)の2社は整理することにするぞ、、そして、第一総合信用金融(株)は事業縮小するから、、その準備にとりかかるように、、」と、、指示を出したのである。。
「裁判などはなまるっこい、、、何年も待ってられるか、、このお礼はしないと、、、」と、、、織田社長は何法界太郎に恨みは残った。
「ふざけやがって、、、今に見てろよ、、」と、、覚悟を決めたのであった。
そして、東京連合睦会の若槻若頭を呼んで段取りをしたのである、、、
「若頭、、、俺は我慢が出来ない、、、ここまでコケにされたのだから、あいつをこの世から抹殺したいのが俺の望みだ、、、高くついでもいいから、、やってくれ」と、、織田社長は若槻若頭に頼んだのだった。
そんなある朝に,織田社長に書留郵便で封筒が届いた、、、

20)手形不渡り事件が復讐と知る、、、

法界太郎が第一総合信用金融(株)グループに起こした「不渡り事件」は、過去に同社が罠に嵌めて騙した「浅野金融}の復讐劇だったことを知ったのであった。
「そうか、、、そうだったのか、、、それでは話がまとまる筈がない、、俺たちに対しての復讐だったのか、、」
と、、織田社長は唸った。
「いいか、、相手の法界太郎は捨て身だ、、、復讐ならそれらしく対処しないとな、、
俺が、連合会の若槻に連絡して、指示したことに間違いはない、、」
そう、確信した織田社長であった。
「法律的な裁判など糞くらえだ、、、待ってられるか、、、今すぐにでも法界野郎を捕まえろ、、いいな、、」
と、、更に織田社長は怒鳴りまわしたのである。
そして、織田社政調会長にも連絡を取り、、時間を取ってもらった。
また、連合会の若槻若頭にも行動を移すよに頼んだ。
織田社長は思ったのである、、、民事裁判で勝っても元通りに資金を戻って来ない、、
時間がかかるのであった。
二つの会社も整理した上に事業も縮小したので、、これ以上に失うものはなかったのであるから、、、逆に織田社長は法界太郎に復讐をしてやろうと思った。
法界太郎が考えてた復讐劇とは違った方向に進んだが、、とにかく、浅野社長の仇討は済ませたのであった。
その年の秋の夕暮れ、一人の男が名古屋の古びれた寺に入って行った。
法界太郎である、、、その寺に永代供養を頼んだ。。。
これで浅野社長の墓参りも出来ないと思った法界太郎であった。
これからは命を掛けた闘いになるからだ。。。
覚悟を決めての墓参である、、、
「浅野社長、、安らかに休んでください、、、悔しかったでしょう、、、でも、
これで我慢してください、、、そして、もう、二度とこれ無いですが、、」
と、、法界太郎は花を手向けて合掌したのであった。
その晩に名古屋市郊外に住む、浅野金融の元営業部長の吉田輝夫宅を訪ねたのである。そして、、今回の復讐劇を話した。
「そうですか、、、浅野社長も喜んでいるでしょう、、よかった、、」と、、涙を流して喜んでくれたのである。
法界太郎はその夜は名古屋市内のホテルに泊まった。
次の日に浅野社長の娘「美香」が入院している「名古屋市立総合病院」へよったのである、、、病院の入院費用は保険で、足りないところは吉田輝夫が補っていた。
法界太郎が「美香」の入院していることを知ってからは彼が全てを面倒を見て来たのであった、、そして、今回はしばらく入院が出来るように段取りをしたのである。
何も分からなくなってしまった、娘「美香」が哀れで仕方がなかった。
その原因を作った第一総合信用金融(株)グループが憎かったのである。。
法界太郎は浅野社長の娘「美香」に無言の別れを告げて、病院を後にした。
そして、、起こるであろう残酷な男たちの闘いが、、復讐劇の応酬が始まろうとしていたのである。


21)復讐劇の報酬は、、、

法界太郎は浅野社長の墓参を済ませて、、彼の東京事務所を閉めた、、、
「当分の間、休業いたします、、法界太郎」と、、入り口に張り紙をして東京から消えたのである。
法界太郎は充ての無い旅に出たのであった。
今回の浅野社長の仇討はやってのけたので、、後は第一総合信用金融(株)の出方だけであった。
ただ、待っているのは御免被りたいので、、、ひと先ずは旅にでたのである。。
復讐劇に使った気づかいや労力を癒そうと思い、、彼の好きな温泉に出かけた、、、中でも心が癒せる、ゆっくりできる鹿児島の「茗荷谷温泉だ。
一山の頂上に作られた一つだけの温泉、、寝室もキングベットで部屋中がガラス張りで夜景がすべて見えるのであった。夜空が綺麗だった。
大きな板の間の洗い場、まるで劇場の舞台のような、、そして、それには不釣り合いのような湯舟があり、、囲いは何もない、、、あるのは自然の木々があるだけで、世の中の汚い風邪で汚れた体を洗い流してくれるのだった。
その広い板の間の脇には、「ガラス張りの休憩場があり」澄んだ星空を見せてくれた。
食事はその山の中腹まで、迎えに来てくれた車で下り、、一人食事ができるのであった。食事処の脇には野菜畑があり、、選んで料理を楽しませてくれたのである。
そんな温泉で命の洗濯をした法界太郎は鹿児島駅前の「薩摩隼人連合会」を訪ねた。
「龍馬、、別れの挨拶に来たよ、、、今回は世話に成ったな、、ありがとう、、」
と、、法界太郎は龍馬の事務所に入った。
「太郎、、、やったな、、でも、別れか、、、寂しいな」
と、、薩摩龍馬の胸はいっぱいいっぱいだった。
「太郎、、、段取りは出来てるから、、、しばらく旅してこいよ、、」と、、送り出してくれた。

法界太郎が龍馬の事務所を出たところで、、銃声が聞こえたのであった。
龍馬が「しまった、、」というなり、、事務所を飛び出していった。
「太郎、、、大丈夫か、、、」と、、声を掛けながら拳銃を撃ってきた男に反撃をしたのであった。
法界太郎を襲ってきた男達は、薩摩龍馬にあっという間に斬り倒されたのである。
法界太郎も腕は撃たれたが大丈夫だった。。龍馬と一緒に飛んできた若い者に運ばれた。
事務所に入った法界太郎は応急処置を施して、、龍馬に連れられて、そん場を脱出したのであった。
龍馬は早く太郎を船まで連れて行かないと思い、、、
龍馬を襲ってきた「東京連合睦会」の連中のことは事務所の若い者に任せせて、法界太郎を船に乗せたのであった。
「太郎、、借りた命は返したぜ、、達者でな、、いいか、生きてろよ」
と言って薩摩龍馬は事務所に戻った。
法界太郎は龍馬の手配してくれた漁船で鹿児島を後にしたのである。。
いつ帰れるか充てのない旅に出たのだった。
「龍馬、ありがとう、、お前も生きてろよ、、」と、心の中で別れを告げた。



第三話「片目のジャガー」

1)片目のジャガー

銃声の音で家に飛び込んだ、流健次郎警部補だったが、、、遅かった、、犯人は拳銃で狙いを定めて待っていた。

そして、流健次郎は撃たれたのであった。

狙い撃ちだから堪らない、、、流健次郎警部補は撃たれてその場に倒れた。

気が付いた時には病院のベットだった。

そして、知らされた。。。残酷であったが妻の芽衣子と子供の正一も襲われていた。

流健次郎が気が付いたのは銃撃されてから、1か月が経っていたのであった。

妻の芽衣子と子供の正一は即死だったと。。。

流健次郎警部補は左目を撃ちぬかれ、頭部に弾痕が残ったのであった。

即死状態だったのが一命を取り留めたのが奇跡だった。

流健次郎は退院してから、まずは二人の墓前に花を添えた。

そして、、、一人で涙した。

見えぬ目にも涙が流れたような気がした。

流健次郎は誓った。

必ず、犯人は逮捕すると、、、二人の仇討ちはすると。。

墓参りを済ませた後、誰もいない我が家に戻り、一人酒を飲んだ。


2)酔いどれ、ジャガーの復讐心

病院から退院した、流健次郎警部補は警視庁の過去の事件記録を調べた。同僚の如月弥生巡査部長が記録室に勤務していたので、流健次郎警部補が過去5年間に関わった事件で、犯人を銃殺した記録を作ってもらった。

その記録資料を見て、びっくりした、、、5年間で120件もあり、その全ての事件を逮捕時に銃殺しているか、重軽症を負わせていた。

同僚の如月弥生巡査部長が、、、

「びっくりしたな、、、流、、、ほとんどを殺しているな、、でなければ片輪にしているよ、、」

「これでは本人か、、家族がいれば、恨まれても仕方がないな。。。復讐もあるよ、、、きっと」

と言われ、流健次郎警部補もびっくりした。

これらを全部、捜査するのは大変なので、、、本人で出所している者、、、遺族で生きている者をリストアップしてもらった。

「ありがとうな、、、如月。。。また、何かを頼むかも知れないからよろしくな。。。」

と言って、流健次郎警部補はリストアップした資料をひとつ一つ潰していった。

警視庁殺人課に所属していたので、、、本庁の事件も捜査しなくてはならなかった。

大和田捜査課長からも。。。「流、自分の捜査は休みにやれよ。。。勝手は駄目だからな。。」

と、念を押された。

流健次郎警部補は休みは、、、資料を潰していった。

そんな流健次郎を見ていた、、、如月弥生が捜査を手伝ってくれた。

休みの今日も疲れて、、、、いつもの居酒屋に来ていた。

居酒屋八千代は流警部が独り身であることを知っていたので、夕食を用意していてくれた。

流警部補にしてみれば、癒しの時間であり、いっぱいのビールが美味かった。
夏の暑い盛りだったので、、疲れた後の冷えたビールは格別だったのである。居酒屋八千代のママが気遣ってくれいた。

そんな蒸し暑い夏の夕暮れで、捜査は思うようにいかず、、捗らなかった。
居酒屋八千代の夕食の時間は心休まるひと時であった。

そして、流健次郎は諦めなかった。



3)今回の休みも情報を頼りに九州博多へ

流健次郎警部補は休みを利用して、流れてきた情報をもとに九州博多を訪ねた。自分が逮捕時に射殺した家族ががいるというので探し求めて、尋ねてみると、犯人の妻は再婚して幸せに暮らしていた。

もう一人の女は鹿児島にいた。子供と二人で水商売をしながら生きていたが、娘の近藤彩芽は18歳になって、行方不明だった。

娘、近藤彩芽は16歳の時に傷害事件を起こして、:少年院に服役していたが、出所していた。

流健次郎警部補は思った。。。この、近藤彩芽と言う少女を探さないと、、、、

最終の新幹線で東京へ戻り、同僚の如月弥生巡査部長に調査を頼んだ…少年院を出所してからの近藤彩芽の足取りを。。。

流健次郎警部補は翌日から合同捜査に戻りながら、考えていた。

そして、近藤彩芽の近況報告を待った。

その後、少年院の記録によると、東京へ出て、万引きで補導されたいた。その足取りも如月巡査部長に追ってもらった。

その間に流健次郎警部補が逮捕時に重傷を負わせて、現在は出所してい大木戸誠が千葉県松戸市に在住していることが分かって、尋ねることにした。

大木戸誠は松戸で施設に入っていた。逮捕時の銃弾がもとで、半身不随になっていた。とても、流健次郎警部補を襲えるようなことは不可能だった。しかし、流健次郎警部補はしみじみした、、、事件を起こした犯人を逮捕す時とは言えど、自分の行動で一人の人間を片輪にしてしまったことに、、、何か仏心が出た。

半身不随にして生かしているよりは、、いっそ、殺した方が良かったのではと、、、

そんな時に、如月巡査部長から連絡が入った。

調査を頼んでおいた、近藤彩芽の報告が入った。現在、住んでいるところが分かったので、今度の休みに行くことにした。、、、、



4)近藤彩芽を訪ねて、、、、、

流健次郎警部補は自分の休みを利用して、過去の自分の事件簿を追いかけたいた。資料は同僚の記録室に勤務する、如月巡査部長から情報を流してもらったいた。

過去の捜査記録を見ると、普段気に気にしていなかった資料から、自分がいかに犯人逮捕をしたか、、びっくりした。

そして、逮捕時に射殺したり、負傷させていたかが分かり、

少々、反省をした。

今回は殺人課で事件が起こり、その捜査をしながらだったので、流健次郎警部補も忙しかった。

上司の大和田課長から、、、「おい、、流、、殺人課の捜査にも力入れてな、、、、頼むぞ」

と念を押されていた。

しかし、流健次郎警部補は自分の捜査も手を抜かなかった、

今回の休みも如月巡査部長からの情報をもとに、千葉県千葉市に出かけた。

流健次郎警部捕は一番関係が有るような気がした、近藤彩芽と期待していたのであったが、千葉市の自宅マンションを訪ねてみたら、本人は交通事故で亡くなっていた。

千葉市の帰り、電車の中で考えていた。本当の下手人は何処にいるんだよ、、、、必ず、見つけてやるからな。。。

「待ってろよ。。。」と、、、更に探す意思を固めた。

流健次郎警部補は東京へ帰ってから、殺人課の捜査に戻った。

殺人課の相棒、轟肇と今回の殺人事件の捜査に当たった。

「流さん、、、休みなくて大丈夫ですか、、、心配ですよ。

自分が動く時には、少し、休んでください」

と、後輩の轟刑事部長は気を使ってくれた。

「ありがとう、、、心配するなよ」

と流健次郎警部補は感謝をしていた。

今回の事件は人質を取っての引き籠り事件で有った。

今までの流健次郎警部補なら乗り込んで、強引に犯人を射殺して済ませたいたような事件で有った。

なぜか、今回は慎重だった。

自分の過去の事件記録を見ているうちに、変わり始めたのであった。

余りにも犯人を射殺し過ぎている、、、そのために、復讐されたのではないかと思うようになって来たのであった。

出来れば、射殺無しで逮捕したかったのであった。

流健次郎警部補は相棒の轟巡査部長と引きこもりの現場に着いた。しかし、今回は突入をしなかったのであった。

引き籠りした新興銀行代々木支店の周囲には、警察官と報道関係でいっぱいだった。

警察の説得が思うようにいっていなかった。

その現場の状況を見ているうちに、流健次郎警部補は少し苛ついてきた。



5)流健次郎警部補は、事件記録を見て、少しは変わったような気がしたが、

そうではなかった

流健次郎は事件現場に戻ると捜査エンジンがかかってしまう様な。。。

「轟、、人質立てこもりで、何をやっているんだ、、、まだろっこしいいな。。。俺はいくぞ。。。」

「流警部捕。、まずいですよ、、、他の係の事件ですし、ちょいと控えましょうよ、、」

「馬鹿野郎、、、犯人は待ってくれないよ、、早く要求を呑まないと。。。人質事件の時は要求を断るか、飲むかだけだよ、、、」

と言いながら、人質を取っている犯人の前に立ち肌っていた。

流健次郎警部補は、、「あんたの要求は呑むから、、、人質を離せよ、、」と、近距離2mのところまで近づき、拳銃を素早く打ち込んだ。。

犯人はびっくりして、後ろに仰け反った。

流健次郎警部は人質を撃って、その撃った銃弾が近距離だったので、犯人まで貫通して倒れていた。

銀行強盗はもう一人いた、、人質の中にまぎれていたが、その犯人が拳銃を構えた瞬間に流健次郎に撃たれた。

その瞬間に周囲を取り囲んでいた警察が
犯人たちが取り押さえた、、、そして、救急車も来て、怪我した人質を運んでいった。

犯人逮捕もしたが、犯人にも、人質にも怪我人がでたので。。。

警視庁殺人課の藤田課長から苦言が出た。

「流、、、死人が出なかったら良かったけど、、、控えろよ」と、、、、

事件を解決しながら思った。

そうか、犯人ではないが、事件解決の時に巻き添えを食った人間からの恨みもあるな。。。。

警視庁に戻ってから、記録室の如月巡査部長に会いにいった。

そして、過去の犯罪記録の中で、巻き添えをした第三者がわかったら、調べて欲しいと。。。。

それから1週間たった日に、如月巡査部長から連絡が入り。。。

その晩に流健次郎警部補はいつものいつもの居酒屋八千代で如月巡査部長とあった。

流健次郎は疲れていたが、、如月巡査部長の話を聞いて、いくつか気になる事件があった。



6)流健次郎警部補が気になった事件を見つけた

流警部補は今回の銀行強盗で分かったことがあった。

どんな事件でも第三者を犠牲にしてはいけないと、、、、犯人が逮捕出来れば

多少の犠牲は仕方がないと思っていた自分が、恥ずかしくなった。

警視庁記録室に如月巡査長を訪ねて、、、、流警部補は聞いてみた。

「流警部補の逮捕には第三者の犠牲者が多すぎます。。。犯人逮捕はいいのだけれど、

その際のケガ人や、死人が多すぎる感じがする。。。。」

いわれて、、、流警部補はやっぱりと思った。

その関係の犠牲者の恨みを忘れてたような気がする。。。

「如月、、、巻き添えを食った、関係者を調べてくれないか。。。大変だと思うけどな、、」

「わかった、、、警部補、この調査は高くつくからね、、、」

流警部補は了解した。。。。




7)流警部補の事件簿控えの調査

流警部補に依頼された如月巡査長は、過去の事件記録の調査を始めた。

そして、1週間後に調査結果が出た。

如月巡査長もびっくりした。犯人逮捕は殺人課ナンバーワンであったが、その事件の被害者が多いことであった。事件の巻き添えを食って,怪我人の多いことで。

死人は出なかったが、第三者からの苦情が多かった。

その結果の後始末には時間を要していた。

そのことに気が付いた、流警部補はその第三者を調べることにしたのであった。

恨み、苦情を受けていたのだと。

自分のやってきたことが恐ろしくなってきた。

そのいくつかの恨みの中に、、、今回の妻と子供の復習があったのだと。。。。

すべてが、自分のなすが故の結果のような。

流警部補はその晩に如月巡査長といつもの居酒屋であった。

「如月。。。いろいろとありがとうな、、、本当にありがとう」

事件記録を調べてくれたお礼を告げた。

「如月、、、俺の捜査は間違っていたような、、、少々強引過ぎたかな。。。

あの記録簿を見ると、第三者の犠牲が多すぎる。。。」

「如月もそう思うだろう。。。少し、反省しないとな」

「警部補の捜査が間違ってるとは言えないと思いますが、、、」と言葉を濁した。

自分の復讐のことばかり考えていたような気がする






8)流健次郎は過去の事件簿を調べた



流健次郎は過去の事件簿を調べてみた。確かに逮捕数は多い、、、しかし、その逮捕に伴って犠牲が多いような、、、

その結果の恨みを買っているのではと思うようになって来た。

そして、如月に巡査部長に逮捕時の犠牲者を詳細に調べてもらった。

その結果を流健次郎警部補は追跡調査を追ったのである。

そして、いくつかの犠牲者が浮かんできた。

その射殺した犠牲者の中に、意外な人間がいた。殺人課の後輩の轟刑事部長の家族が含まれていた。

それも、轟刑事部長の妹さんが犠牲者の中にいたのであった。

流警部補が担当した通り魔連続殺人事件があった、、、その中の犠牲者の中に轟刑事部長の妹さんがいたのである。

妹さんが拉致されて、犯人が追い込まれ、妹さんを人質に取って立てこもった時である。

流警部補が強引に逮捕に踏み切り、犯人を撃ち殺したときに、妹さんも巻き添えを食ってしまっていた。。

轟刑事部長がまだ、警察官になる前のことだったので、、、流警部補も知らなったのであった。



9)過去の事件帳のなかに、轟警部補の妹がいた

以前に通り魔事件の犯人逮捕の時に、偶然であったが、被害者の中に轟警部補の妹が含まれていたのだ。
当時は犯人逮捕にだけ気を配り、周辺の人々への配慮がなかった。
ただ、がむしゃらに犯人逮捕にだけ集中して、検挙率ばかり考えいた。こうして過去の事件控え簿をみて、恥じるところ出てきた。
犯人逮捕だけが先ばしってしまい、よくよく考えてみれば、過ちであると、、、、
今になると反省だけである。
流警部補は自分勝手な捜査をして、第三者に迷惑をかけていたと。。。。
流警部補は過去の事件控えの資料をみて、、、、ただ、単に事件関係者というか、、、その家族だけを調べていたような気がした。
事件に関係のない第三者を巻き込んでいたことを見落としていた。
その中に後輩刑事の轟警部補の妹さんが、事件に関係のない第三者にいたのであった。
。。。。「きっと、、、轟警部補は恨んでいるだろうな、、、」と痛感した。
すぐにでも、話をして、謝ろうと思ったが、、、それが出来なかった。
いつかは事情を話して、心から謝ろうと思った。
しかし、なかなか出来なかった。
そして、他の事件控え簿を丹念に調べ直した。
しかし、他には見つからなかった。
それから、如月巡査部長と夕食をした時に、、、流警部補は思い切って、彼女に話をした。
「如月、、、過去の事件控えをみて、後悔していることがあるんだよ」
「それはな、、、俺の捜査はあらっぽいだろう、、、、だから、犯人逮捕の時にすぐに拳銃を使ってしまう。。
そんな逮捕時に、第三者に怪我をさせたりしている。。。」
「その第三者の被害者に。。。。轟警部補の妹さんがいたんだよ。。。そして、運悪く死亡していたんだ。。
俺、本当に後悔している。。。」
「如月、、、本当に今、参って要るんだよ。。」
流警部はことの次第を、、、悩みを話して、さらに悩みながら酒を飲んだ。
話を聞いた如月巡査部長も困っていた。
その夜、流警部補は深酒をしてしまった。
晩秋も終わりに近づき、街並みの木々の葉は落ち切っていた、、寂しい秋の夜の色模様であった。心も寒く、冷え冷えとして、人肌恋しくなった。


10)深酒で寝覚めが悪い流警部

前夜、飲み過ぎたのか頭が痛い。。。。
寝床から出るのが辛かったと同時に、、
正直悩んだいた、、、、同僚の轟警部補の妹の件では、、、
謝って済むものではないことも分かっていた。
しかし、話さなければならないと。。。
もし、轟警部補が妹の復讐のために、俺を撃ち、家族を殺していたらと
思うと、、、
正直言って、どうしていいかわからなかった。。。。
流警部はもう少し時間をおいて、、、様子を見て判断しようと思った。」

11)流警部の心揺らぐ

流警部はいくら考えても、正直言って考えがまとまらなかった。、、、
自分の過去の行動が、今回の引き金になっていたとは、、、、のである
若さにはやり、検挙率一番と逸っていた自分が蒔いた種とは思いもよらなかった。
自分の軽挙妄動が人を不幸に落とし入れ、取り返しの付かない過ちを起こしていたことの、、、
罪の重さを思い知ったのであった。
自分の軽挙妄動が恨めしかった。
しかし、反省しても遅かった、、、、どう、接していいか、分からなかったのである。
今頃になって、過去の過ちが、自分に覆いかぶさってくるとは、、、、
それでも何とかしなければならない。
部下でもあり、同僚の轟警部補にはどうすればいいのか、、、正直分からなかった。。。
今まで、轟警部補の心中を察したら、、、なんと,詫びればいいのか。。。
自分への最初の攻撃というか、、、仕打ちを見れば分かる。
彼は妹さんの恨みを自分に向けてきたのだ、、、、そして、片目を失い、、、今も銃弾の破片が
流警部補の頭の中には残っているのであった。
轟警部補にしてみれば、、、今すぐにでも、流警部補を撃ち殺したいのだと、思ってる筈だ。
それをじっと、、しているのだ、、、、仇が 目の前にいるのに,、、
そのことを思うと、流警部補は耐えられなかった。
流警部補としては、、、死んで詫びなければならないところだったが、自分の場合も妻と子供を殺されているので、、、
どうしても、割り切れなかった。
今の流警部補には、、、どうしていいのか、分からなく、、、、毎日、酒を飲んでいた。暮れも押し迫り、木枯らしが吹き始めた帰り道で独り、、酔っぱらいながら、何故か分からないが涙が出て来たのであった。




12)流警部の心を決めたものは、、、、

毎晩、居酒屋で酒を飲み、悩んでいた時に、、、警視庁殺人課から連絡が入った。
当時、汚職事件で担当刑事が行方不明になり、、、その担当刑事が殺されたことが分かり、
流警部にも召集が掛かった。
そして、その犯人が立て籠っていて、、、人質を取っていたのであった。
その人質は小学生3年生とのことであり、、、、警察としては、今、説得してる最中で
、その周囲を取り囲んでいるところであった。
流警部補も、轟警部補と合流して、逮捕のための準備をしていた。
以前の流警部補だったら、強硬突入していたところであったが、、、、出来なかった。
指示を待って、取り囲んだ中にいた。
そこへ、上司の殺人課長が来て、、、
「流、、、どうだ、、、強硬突入出来るか、、、」と聞かれたが
返事が出来なかった。
依然の流警部なら、やっていたかも知れない。
しかし、今は出来なかった。
そして、轟警部補を見た、、、、
その時、「流警部、、、あなたなら出来るよね、、、」
と言われたが、体が震えた。
そして、みんなが思っているのだ,、、
流健次郎警部補は思った、、、
今度こそ話そうと、、轟警部補に真実を話して、謝れるものなら心を尽くして謝ろうと。
それで、人質救出に立ち向かうことを決めたのであった。
「おい、、、今からそっちへ行くから、、撃つなよ、、、話があるから」
と、、、流警部は拳銃を犯人の見えるとこで地面に置いた。
「いいか、、、拳銃は持っていない、、丸腰だからな、、撃つなよ」
そうして、犯人の目のまえに歩いて近付いた。。
犯人が「止まれ、、、それ以上近付いたら子供撃つぞ、、」と、脅してきたのである。。
「わかった、、、あんた、子供を撃ったら罪が重くなるから、、どうだ、、俺と人質の交換をしないか、、、俺は丸腰だし、片目片手の片和だから何も出来ない。。」と、、言って更に近付いて行った。
そして、犯人も流警部の容姿を見て、安心したらしく、子供との人質交換を飲んでくれたのである。
無事、人質の子供を返してもらい、子供が轟警部補のもとに戻ったことを確認した流警部補は犯人を撃ったのであった。
失った片手から銃が撃たれて、犯人は崩れるように倒れた。
流警部の行動を見ていた周囲の警察官は流石にと思ったのである。
特に轟警部補は人質を庇いながらその逮捕劇を見ていたのであった。
轟警部補は思ったのである。。。流警部は警察には必要な警察官であり、
頼りがいのある刑事だと。
しかし、、流警部補は命を捨てて犯人逮捕に尽力をしていく姿を轟警部補にみせたかったのである。
そして、心の中では葛藤して、、迷いが生じていた。



13)流警部補を狙っている奴は別だった。

流警部補は轟警部補を誘って、居酒屋八千代に飲みに行ったのである。
どうしても、轟警部補とははっきりしておきたいと思った、、、それで、思い切り聞いてみたのである。
「轟よ、、、お前に聞いておきたいことがある、、もし、それが事実なら、お前はどうする気でいるのか、、本当のところを教えて欲しい、、正直に答えてくれ、、、」と、、、ずばり、聞いてみたのであった。
「もし、そのことで,拘っていたら、正面向かって言って欲しい」
轟警部補は逆に聞いてきた。
「なんですか、、、改まって、、僕は警部には何も言うことはありませんよ、、警部補は凄い人だと思っています、、
警察官として尊敬していますから、、、」
と、、答えが返ってきたのである。
「じゃあ、、、轟よ、お前の妹さんを俺が犯人逮捕の時に撃ってしまったことを恨んではいないのか、、、本当の気持ちを教えて欲しい、、、言って欲しい」
と、、、流警部補は短刀直入に云ったのだった。
「ああ、、、そのことですか、、、恨んでなんかいませんよ、あれは不可抗力ですから、、、仕方がないことですし、、妹も恨みになんか思っていませんから、、
安心してください、、」
と、、轟は遠い昔の思い出話をする様に答えてくれたのだった。
流警部補は信じがたかった、、、本当なのかと。。しかし、轟警部補が言うのだから信じないわけにはいかなかったのである。
一緒に仕事をしている仲間を信じないわけにはいかなかった、、、信じなけれなこれからの警察業務を、、時には命がけの警察業務を出来ないのである。
流警部補は轟警部補の言葉を信じた。



14)流警部補は初めから自分のやってきた警察業務を見直した。

流警部補は自分のやってきた捜査をもう一度、見直すことにしたのであった。自分の逮捕した犯人の再捜査を全て、人を頼らずに自分の手で、目で確認し始めたのである。今までは全ての資料を如月巡査部長に調べてもらっていたが、今回は見える片目で資料をみたのであった。如月巡査部長を信じないわけではないが、、、すべてを再確認したかったのである。
勿論、如月巡査部長には手伝ってもらってはいるが。。。
「如月、、、ごめんな、二重手間になってしまって、、どうしても、見落としが無いか、調べたいのでな、、、宜しく頼む」
と、、流警部補は誤った。
過去の記録も膨大なものであったが、、流警部は出来るだけ記憶を辿ったのである。。。
犯人逮捕の時に、犯人や関係者を射殺した事件や、誤認逮捕が無かったか、資料を見ながら過去の事件を追っていった。
流警部補も余りにも犯人逮捕が多く、強引な捜査が多かったので、思い当たる事件が浮かんで来なかったのである。
一緒に再資料の検査をしていた如月巡査部長が一つの奇妙な事件を見つけてくれた。
7年前になるのかな、、、立て籠り事件で、一緒に捜査していた先輩警部の館林総一郎という警察官が殉職したことがあったのである。
その時の事件は、まだ警部補時代であり、館林警部の指揮下にあって、流警部補は犯人逮捕時に発砲はしていなかったので、見落としていたが、、、犯人の撃った拳銃で館林警部が撃たれたのであった。
確かに、犯人逮捕時には現場にいたが、直接には銃撃戦には参加していなかったのである。
その殉職した際に、館林警部の援護射撃の中の一人ではあった。
しかし、まだ、警視庁捜査一課に配属になったばかりで経験も浅かったので、援護射撃が出来なかったのである。
流警部補は如月巡査部長から、その資料を見せられたので、、、そんなことは無いとは思うが、、、調べてみることにした。
そして、館林総一郎警部の住まいを訪ねることにしたのである。
埼玉県草加市の住居に家族は住んでいなかった。
館林警部の家族は妻の里美の実家に引っ越していたのである、、、茨城県つくば市に家族3人で済んでいたのであった。
息子の修一は現在23歳になり、陸上自衛隊特殊部隊勤務で、、娘の茜は22歳になり、警察学校を卒業して現在は警視庁生活安全課勤務であった。
実家を訪ねた流警部補は奥さんの里美さんから話を聞いてびっくりしたのである、、、
館林警部が殉職したのは、援護射撃を担当していた当時警部補だった「流健次郎」の射撃ミスであったと聞かされていたという話であった。
当時、館林警部と同僚の「大河内重一」から聞かされていたのである。現在は警視まで出世して管理官を務めている。
その話を聞かされて、奥さんの里美さんは流警部補を恨んだこともあったというのであった。。多分、二人の子供たちも恨んでいたと思います、、、聞かされて愕然とした。
「そうだったのか、、それでは人を恨むよな、、、」そう思った流警部補であった。


15)人に恨みを残すことは、、、

流警部補は警察間としての仕事に誇りを持って生きて来たのであった。世の中の悪に向かって、社会悪を、そして、悪事を働いた人間を罰することが正義と思い、悪人退治をしてきたつもりだった。
しかし、人の道にはやってはいけないことが、、、正しいと思っても、その悪への向き合いが間違うこともあるようだったのではないかと、、今となっては思うのである。
どんな悪にも、社会悪にも理由はあるのだと、、それらを正しての裁きが必要なのではないのか、、、
昔の歴史物語にもあるような「大岡裁き」が出来ればと、、最近の流警部補を思うこともある。
ただ、がむしゃらに「猪武者」のような突進は違うような気がして来たのであった。
流警部補は悪への怒りから、何が何でも目の前の敵を倒さなければ、、逮捕しなければと「しゃにむに」犯人へ向かっていったような気がするのである。
そのための犠牲は仕方がないと、、、今の流警部補に出来ることは反省と後悔だけだった。
しかし、何か出来る筈と日々、葛藤する流警部補である。
自分が撃たれた事や家族の命を奪った奴は、殺したいほど憎い、、、その原因を辿ればすべて自分の至らなさに返って来るのであった。しかし、、それでも犯人は憎い。
流警部補は事情を知った上でも、今回の犯人に復讐行為が出来るかと、、自問自答したのであるが、、、自分に自信が持てなかった。
流警部補は館林警部の事件を、当時の状況を調べた、、、入念に調べたのである。
自分に落ち度はなかったかと、、、あの時の自分の行動に迷いはなかったかと、、、何故、援護射撃が出来なかったか、、、もし、援護射撃が旨くいってたら、、自分が犯人を銃撃していたら、、館林警部は死ななかったかも知れない。確証はなかったのである。。。
自信を持って、あの時の行動は間違っていなかったと言えるのか、、、何度も思い返した。
しかし、はっきり、「間違っていなかった」と、、言えなかったのである。
迷ったそんな、ある晩に如月巡査部長を誘って居酒屋「八千代」で飲んだ。
今回の流警部補の計画を初めから知っていたのは、如月巡査部長だったので、、その晩は「愚痴」を零したのである。
その晩は酔ったせいもあるのか、、、流警部補も自分の心の迷いを覗かせたようだった。
「警部補、、、難しいですよ。人の気持ちを知るということは、、、」
と、、、如月巡査部長はぼそりと答えたのである。
そして、居酒屋八千代のママが。。。「
「ケンちゃん、、、人に答えを求めては駄目だ、、、私もうっすらと話は分かるけどね、、
如月ちゃんも困っているよ、、、大変だけど自分の人生だから、今夜はうーんと飲んで寝てしまえば、、明日は明日の風が吹くから、、、」
と、、慰めにはならない慰めを聞きながら夜は更けた。
真冬の夜風は冷たかった、、然し、二人の女性の真心風は暖かかった、、二人の優しい風に吹かれながら、足取りもふらつきながら家路に付いた。

16)流健次郎警部補は悩んだ。

今朝は目が覚めた時に、、、頭が少し痛かった。飲み過ぎたようだった。
今日は休日だったかと、目が覚めてから気が付き、もうすこし寝ることにして、ベット流健次郎は久しぶりに休みらしい休みを取ったのである。
仕事から離れてのんびりしようと、近くの公園に散歩しながら出かけた、、、本当に久しぶりだったので、素足で下駄を履いて歩いてみた。公園の木々が風に揺れ、気持ちがすがすがしかった。
公園を散歩する老夫婦や子供連れが眩しく、、世の中の自然に歩く人々を見ていたのである。
自分には忘れていた光景だった。
やさしかった妻と愛しい子供が浮かんできた、、、懐かしい、あの頃に戻りたい。
流健次郎の目の前には素晴らしかった過去がある、、、
失った妻と子供は戻らないのだ、、、何をどうしても戻らない。
本当に悔しかった、、、しかし、過去は戻らないのだった。
急に妻と子供に会いたくなって、、流健次郎は二人の墓参りに出かけたのであった。
二人の墓前に妻が好きだったバラと子供が好きだった、どら焼きを備えて一人、マンションに戻ったのである。
そして、部屋で考えた、、、犯人への恨みは恨みだった。
やはり、許せないのだ、、、自分よりも、やさしかった妻と、甘えん坊の息子を奪ったことを、、
これからあるだろう人生を消されたことへの憎悪の念が沸き上がってきた。
妻と子供を奪った犯人を許せなかったのである。

流健次郎警部(いつしか警部に昇給していた)は警視庁に出勤してから、もう一度、館林警部が担当した、あの人質事件を調べ直した。
そして、あの援護射撃が出来たのは自分だけでは無かったのである。あの周囲には犯人射撃が出来る警察官が3人もいたのであった。
その警察官は3人とも一人は定年退職、そして、大川警部は新宿警察署、生活安全課課長として転属になり、、一番、館林警部の近くで、すぐ後ろにいた太田警部は現在、警視となって大阪府警に転属になっていたのである。
若かった流警部は当時は警部補だったが、、警視庁殺人課に部署転属をしたのであった。
よくよく考えてみたら、、流警部を入れて4人の警察官に容疑を掛けることも出来るような気もしたが、、、
今となっては確かめることも出来なかった。
流健次郎は不思議に思ったのである、、、当時の状況からすると4人の容疑が浮かんでくるのであるのに、、、どうして、自分が狙撃出来たのかと。疑いを駆けられたのかと、、
それが謎であった。それを確かめるべき流警部は動いた。
そして、流健次郎警部はすでに退職している坂田三郎、元警部補の自宅を訪ねることにしたのであった。
現在は実家のある青森県弘前に住んでいいくので、休暇を取って行くことにしたのである。


17)3人の元警部補の誰かが嘘をついている、、、

流警部は青森県弘前市に住んでいる坂田三郎元警部補の自宅を訪ねた。弘前市に住んでいたのである。
「こんにちわ、、、坂田さんですか、、、先日連絡いたしました流健次郎です」と、、、挨拶した老夫婦はいかにも田舎のおじさん、おばさんといった優しそうな人たちだった。
とても元警察官には見えなかったのである。
「はい、、、坂田です、、ご苦労様です、、、こんなに遠い田舎まで疲れたでしょう」と、、出迎えてくれた。
坂田さんの奥さんが、、「田舎の家ですが、、、さアー、中に入ってお茶でも飲んでくださいな、、」と、、案内してくれた。
流警部にはこの坂田夫婦には出来ないな、、、まるっきり、善人だと見えたのである。
「坂田さんはおいくつになられました、、、」腰が少し曲がった坂田さんに尋ねた。
「あはっは、、、あはっはは、、もう、70を過ぎましたよ、」と、笑みを浮かべながら答えてくれたのである。
そして、家の中に入ってから坂田三郎さんは静かに話してくれた。
「覚えていますよ、、、私にとっては大きな事件だったので、、忘れることの出来ない不祥事でしたからね」
と、、その当時を振り返りながら、ぼそぼそと語り始めた。
「以前も私のところに、亡くなった館林警部の息子さんで、修一さんだっかな、、、あなたと同じことを聞きにこられましたよ、、、私は正直に答えました」
坂田三郎さんは、、、「あの時、私も援護射撃の指示を受けていましたけど、、私などは警察官になってから拳銃などは撃ったことが無かったので、撃てませんでした」と、、、教えてくれた。
「私は確かに聞きました、、、あの時に拳銃を撃った音が二発だったと、、、そのことを聴聞会でも言いましたが、、止められたのです、拳銃の発砲した音は一発と言えと、、、当時の監理官だった菅田浩一郎警視に指示をされたのでした」と、、聴聞会で嘘の供実を述べたことを反省したのである。
菅田監理官から半ば脅しのような態度で迫られたので、、、
「あれから、時間が経ち、、私も年を取ったので怖いものは無いので正直に話しますよ、、、それが事実です」
と、、、言ってくれたのである。
「館林警部の息子さんの時には嘘のままの供実で話でしています、、まだ、聞かれていないので訂正をしていません、、」と、、真実を話してくれたのである。
話を聞いた流警部は拳銃を一発なのか二発なのか、、その辺に謎があるような気がした。
その晩は遅くなったので、、図々しいとは思ったが、坂田さんに甘えて泊めて貰ったので、、さらに、詳しく話が聞けたのである。


18)館林警部の死には不可解な秘密があった。

流警部は青森の弘前市に坂田元警部補を訪ねて良かったと思いながら、東北新幹線で東京へもどった。
流警部は考えた、、、帰りの新幹線の中で、、、館林警部の殉職には何があったんだろうと。
あの時の援護射撃はなんのための発砲指示であったのだろうか、、、何か警視庁内部に何かの事情があったのか、、、
流警部はもう一度、大川警部の生活安全課と太田警視のいる大阪府警に行く前に調べる必要があると、思い警視庁に戻ってから事件の背後というか、当時の警視庁事情を調べてみることにしたのである。
警視庁監理官であった菅田浩一郎警視についても調べることにした。
流警部には今回の人質事件には、何か腐れた秘密というか、、謎がある様に思えたのである。

あの事件の時の犯人も射殺されたのであった。そのために、担当した警察官には詳細は知らされていなかった。
そして、警視庁内部の上層管理職だけで処理をれたのであった。
今になって考えてみれば不思議な事件であり、不透明な解決をしていたのである。
あの人質事件の犯人は柴田一臣で、人質になったのは、民友党の相田次郎政調会長の秘書である息子の相田安生であった。
あの事件は脱税疑惑の事件であり、、、犯人の柴田一臣がその事件の暴露記事で相田政調会長を脅していた人質事件であったのである。その辺りに秘密裏に解決しなければならない理由があったようだ。


19)館林警部の息子と会う。。。

真相を知り、確証を得た流警部は館林警部の息子、修一と連絡を取り会う約束をいたのであった。
修一が休みの日に東京駅内にある「東京駅ホテル」のロビーで待ちわせたのである、、
決められた時間に流警部が行くと、、連れが一人いた。
修一の妹で茜と言って、挨拶をしてくれたのである。。
彼女は警視庁生活安全課に勤務していた、、、流警部の近くで見られていたのであった、、、悪くいえば監視されていたようなものだった。
「初めまして、、、修一君、、、茜さん、、嫌だとは思いますけど、俺が調べたことを聞いてくれますか、、、それからでも敵討ちは遅くないよね、、、
いいかな、、、それから、妹さんの茜さんは何度か会っていますね、、事件の関係で、、、」
と、、説明してから、今回の事件の内容を詳しく話したのである。

流警部が事件の流れを説明して、、警視庁内部の上層部官僚が政治力で動された話や、、政治力の力で捻じ曲げられた事実を話したのである。
警視庁生活安全課に勤務する妹さんの茜さんは事情を呑み込み、、警察の都合も分かるような気がしたが、、、息子の修一は納得がいかなかった。
流警部は修一に対して。。。。
「俺の説明で納得がいかなかったら、、あなたの父親の仇を討てばいいよ、、、
しかし、、俺も事実を知ったからには黙ったは討たれないからな、、、」
そして、言った、、、
「それでも仇を取りたいなら、、やればいい、、、その前に、、あなたに討たれる前に、俺はやらなけらばならないことがある。。。」
「修一君、俺が済ませた後にしてくれないかな、、、」
と、、、流警部は頼んだ。
妹さんは理解してくれた、、、そして、、
「お兄ちゃん、、よく調べて、考えた方がいいよ、、」と、、助言をしてくれた。
そして、、館林修一は答えを出した。
「わかりました、、、考えてみます、、、結論が出たら連絡をしますので、、、
今日はありがとうございました。。」と、挨拶をして妹と二人で帰って行った。
流健次郎警部もやっと見つかったような気がした、、そして、覚悟が決まったのである。二人が帰った後は心が清々しかった。


20)真の仇が見つかった。。。

流警部は館林警部の子供たちと会い、、思いを告げたので、、今までの曇っていた心が晴れたのであった。
やっと自分の思いが遂げられると思い、、流警部は妻と子供の墓参に、、、
そして、、妻の芽衣子に長男の正一に言葉をかけたのである、,、今までに云えなかった言葉を。。。
「芽衣子、正一。。。待っててくれよ、、俺ももうすぐに,お前たち所に往くからな、、、」
と、別れを告げた、、二人の墓前に花を手向けて。
忠臣蔵の仇討と同じように、、やり直しが出来なかったのである。
流健次郎警部は調べた、、、相田政調会長の予定を、、、
そして、時を決めたのである、、
流健次郎警部が拳銃で撃たれたように、、拳銃を使って襲撃したのであった。
相田政調会長の自宅に乗り込み、、射殺したのである。。
覚悟の上の襲撃であるから、、堂々としていた。。
そして、流健次郎警部は死亡を確認してから、、警視庁特捜部に出頭したのである、、
翌朝のニュースで報じられた。
相田政調会長が暗殺されたことが、、、
民友党本部でも警視庁でも大騒ぎになったのであった。


21)相田政調会長暗殺の取り調べ。。。

流警部に轟警部補は取り調べをすることを述べて、、警視庁特捜部での現場検証や事情聴取が開始された。
「警部、、何んでもいいですから、、連絡するところがあったら言ってください。。」
と、、言ってから轟警部補は今回の事件を聞き始めた。
「轟警部補、、、一つだけ託をお願いします、、今回の事や今までのことで、如月巡査部長には世話に成ったので、、ありがとうと一言だけ伝えてください、、
そして、俺とは一切関係ないことを伝えてください、、迷惑をかけるかかも知れないが、、すまないとだけ、、」
と、、流警部は頼んで、取り調べに応じたのである。
そう、、話した流警部には清々しい潔さを覚えた轟警部補であった。
まるで仇討を済ませて引き上げる赤穂浪士の面々の雄姿の幻影を見たような気がした、、男を見たのであった。
命を捨てた覚悟が、やり遂げたことの日本古来の武士道を感じた。
その後の取り調べは順調であったが、、事件の流れの中で、、相田政調会長から指示命令が曖昧であった。
極悪人相田政調会長は憎いのであるが、、途中の指示関係を受けた警察官僚たちは政治力に脅かされて動いた、その人たちも弱者のひとりであり、、被害者でもあったような気もするのである。
流警部にしてみれば憎いことは憎いけれども殺すまでは無いとかんがていたのであった。
今回の取り調べでは名前を挙げることではないと思ったのであり、、、警察内部官僚の判断に委ねることにした流警部であった。


22)館林警部の子供二人が面会に。。。

流警部の取り調べは、警察拘留が2日間、検察拘留が10日間,裁判所拘留が10日間で合計で「22日間」が拘留期間である。
その期間に取り調べを行い、、起訴に持って行き、、、検察庁に起訴して、、被告人が罪状を認めた時に「保釈申請を行い、、裁判所が認めた時に保釈が認められる」のである。
「保釈金」が払えない被告人は裁判が終わるまで、「判決」が決まるまで「留置所」に拘留されるのであった。留置所の拘留期間は、日本の場合、、約6か月を要する。その間は特別のことが無ければ留置所での生活になる。
「朝は6時起床、それから雑居房の掃除、そして、朝食で、昼食は12時、夕食が4時であり、5時になったら雑居房にある布団を敷き、6時の就寝である、
9時の消灯、電気が消える」
それが毎日の日課である。。雑居房の中に布団は一番古参の囚人が一番上に積まれて、、新参者は一番下でぺちゃこであった。
昼間は雑居房の中での会話は自由であり、、囚人仲間が犯罪の自慢話をすることが多い。
留置所での注文は自由に頼める、、「お金」次第であり、、金が無いと惨めであった。
そんなシステムであり、、取り調べが終わると「面会」も出来るのであったが
「一日一組」だけである。。
誰でも規則は一緒で、破ることは出来なかった。
面会が出来るようになってから、、、館林警部の子供たち二人が面会に来たのである、、、
「流さん、、、ご無沙汰しました、、会いたかったのですが、こんなことになって、会うのが今日になってしまいました。。。でも、驚きました、、」
と、、息子の正一が挨拶をしたのでした。
「流さん、、父のことで真実を知って、、本当に良かったです、、それから、本当に心から謝ります、、早まったことをしてすいませんでした、、」
と、、深々と頭を下げて正一は謝ったのでした。
「この通りです、、ごめんなさい、、何といって詫びたらいいか分かりません」
と、、正一は面会室で土下座をしたのでした。
「正一さん、、、もういいですから、、手を挙げてください、、、それから、あなたたちのことは何も話していないから、、これからも黙っていて欲しい、、、どんなことがあっても、誰にも話さないでくださいよ、、私たちの秘密にしてくださいね、、」
流警部は固く念を押したのであった。




23)流警部は覚悟は決めていた、、

自分の復讐劇で館林警部の子。間違った復讐心を抱いていた心を吹き払ったので、、彼らに恨み事を残さずに罪に服することが出来るので憂いはなかった。
流警部には妻「芽衣子」長男「正一」の恨みも晴らしたので、、どんな罪に成ろうが後悔はしていなかった。
自分が襲われてから、、犯人探しに心を砕いていた流警部であった、、、自分のしてきたことに反省心を持ちながら、、事件にがむしゃらに立ちむかい、、犯人逮捕に専念したことを思い出しながら。自分の警察生活を懐かしく思ったのである。
取り調べが終わった夜、、留置所の中で静かなに考えた、、、考える時間を与えられたような気がしたのであった。。。
留置所の中も9時に消灯就寝なので、布団の中での時間が長かった。
警察署の留置所は朝は6時に起床で点呼が始まり、雑居房に敷いていた布団を片付けて、所定の戸棚に終う、、それから洗面を支持されて、朝食になる。
朝食はお金を持っている被告人は弁当を特別に好きなものをメニュー表に従って注文が出来るのだった。昼食も同じで、夕食も同じに注文できた。。。お金を持っていない被告人は決められて弁当を食べるのである。。
ここの世界でも「金次第」であった。
普通,留置所は2人から3人収監であり、、畳が3枚敷いてある。
今の時代は環境関係の団体が煩く、、冷暖房つきである。一昔前までは「毛布」だけ支給されて、枕も布団も無かったのであった。
今、留置所の中は布団、毛布、掛布団、枕付きであり、、悪事を働いた人間には極楽である。
警察の取り調べは朝は8時から始まり、、5時には終わる、、、余程の事がないと夜通しの取り調べは無い。
取り調べが期限内に終わる「22日間」と、、起訴されるまで暇になってしまうのである。
留置所の中でのお風呂は一週間に2回あり、、中で来ているズオンやシャツなどは、、留置所によって違うが「看守さん」が洗濯をしてくれるのであった。
今の留置所は居心地がいいので、、暮などには「コソ泥」をして、わざと掴まってくるやつがいるというのであった。始末の悪いことである。
そんな留置所で流警部は取り調べを受けて、、全て犯行を認めたので「22日間」で起訴された。、、彼は保釈申請をせずに、裁判まで留置所で過ごしたのであった。


24)流警部脱獄する。。。

流警部が留置所に移ってから4か月がたったある日に、同じ雑居房に入ってきた被告人がいた。。銃刀法違反で逮捕されて、起訴されたが保釈金が払えずに入ってきたのである。。
雑居房に入る時に挨拶があるので、、人通りに罪状を言って末席に付いた。
その被告人が最近の事件について話をした。。。その中に流警部が気になった事件があったのである。。
それで、その被告人に詳しく聞いたのであった。
話によると、、館林警部の子供たちが逆恨みで、警視庁の菅田浩一郎監理官を襲撃したとのことであった。
もう一人は大阪府警に転属になった太田警視が襲撃されて、、両方とも襲撃された警察官たちは無事であったが、襲った二人の犯人は射殺されたのことであった。
悲劇だとニュースで報道してたと、、、
その話を聞いた流健次郎警部は怒りを覚えたのである。。。
「ふざけてる、、、なんで、あの子供たちが殺されなきゃあならないんだ」と、、
無性に腹が立った。
「正一さん、、茜さん、、悔しかったろう、、無念だったろう、、」
と、、流警部は一人雑居房で涙したのであった。
そして、、数日たったある日に、流健次郎警部は腹痛を起こしてのた打ち回った。
留置所の担当看守が腹痛の薬を持って来てくれたけど、、収まらなかったので、、
看守が付き添いで病院に行くことになった。
病院に行くためには一人の病人に付き、5人の警察官が付いていくのであった。。
流警部は知っていたので、5人の警察官に付き添われて病院にいったのである。。
警察の決まりで病人一人に対して5人の警察官が付く理由は、逃走しようとした時の為に、、二人は両足をひとつづつ、両手を一人で方ほうづつ、そして、もう一人は頭を押さえるためだということだった。
それを知っている流健次郎警部は逃げるチャンスを伺っていたのである。
その時は手錠も外してあるので、逃げることは出来ると考えたのであった。
そして、武道に自信のある流健次郎警部は診察中の監視の3人を倒して、、外へ出て残りの二人を倒し、、運転手を襲って逃げたのである。。
逃走後の経路は分からずに、結果的には逃げられた。
流警部にはやることがあっての、、覚悟の脱走であった。


25)流警部は怒る。。

脱獄した流警部は盗んだ警察車両で、あるスクラップ置き場に走りこんだ。
昔、命を助けた秋葉組の元ヤクザの「秋葉浩一郎」がスクラップ屋をやっていたので、、とりあえず逃げ込んだのである。。
秋葉浩一郎は一人で住んでいたので、、流健次郎は事情を話して、中古の走るだけでいい、車を借りた。脱走の理由も言って、納得をして貰った。
「俺と秋葉、、:お前の関係は知られていないので、しばらく黙っていてくれ、、」
と言って、少々の金を借りた。
「流さん、、いいですよ、、、車はいらなくなったら捨ててください、、おなたには命を助けてもらったのですから、、少しとは言わずに、必要でしょうからここにあるだけ持って行って下さい。。」
秋葉は流健次郎に「20万円」を渡してくれたのである。
「ありがとう,、秋葉、、本当にありがとう、、、返せないぞ、、すまない、、」
と、、頭を下げて礼を言った。
「最後にすまないが、、、ドスかチャカは無いよな。。。」
すると、、秋葉は黙って出してくれたのである。銃弾つきでチャカを、、、
「ありがとう、、秋葉、、面倒懸けるな、、、時間がないので行くから、、
本当にありがとう、、、礼はあの世でな、、」
流健次郎は出て行った。

秋葉浩一郎にズボンや上着も借りての復讐仇討であった。
流健次郎の動きが早かったので、、目的地の目黒区碑文谷に住んでいる、警視庁監理官
菅田浩一郎宅へ直行したのである。。
まだ、流健次郎が脱走したことは伝わっていなかった。たとえ、知られていても流健次郎が脱獄して、復讐に来るとは思ってもいなかったのであった。
それが、突然に表れたのであるから、、菅田浩一郎は驚いたのである。。。
流健次郎は家族が居ようがいまいが関係なかった。偶然にも菅田浩一郎はひとりだった。
流健次郎は「問答無用」で、狙撃して暗殺したのである。
そして、その足で大阪に向かった。
警視庁特捜部では大騒ぎであったのである、、、脱獄と菅田監理官の暗殺事件で、、
警視庁内部で騒いでいる頃には流健次郎は大阪に向かっていた。
警察も馬鹿ではない、、、流健次郎が大阪に向かうことを察知して、、大阪府警の太田警視に連絡を取り、、身の安全を守る様に指示を出していた、、そして、大阪府警には緊急体制を取る様に手配もしたのである。
流健次郎はそれ位は予測していたので、、すぐには大阪府警には攻め入らなかった。
高速を使わずに日本海沿いに大坂に向かったのである。
途中、様子を見ながら、ゆっくりと、野宿生活をしながらの復讐旅であった。


26)大阪府警には手配がされていた。

流健次郎警部は脱獄してから、菅田浩一郎監理官を暗殺したので、大阪府警に着くまでには手配が回っているだろうと思い、時間を掛けて狙撃するつもりで計画を立てていた。
そのために、大阪入りは日本海方面に迂回してから、時間差で行く予定であった。
国道や県道を使わずに田舎道を遠回りして走ったのである。
そして、野宿やホームレステントを利用しながらの道中旅であった。
流健次郎は秋葉浩一郎から借りた金があるうちに、復讐相手が隙を見せるまでにやり遂げればいいと、思っていたので見つからないことが大事であったのである。
警察の手配も地方の田舎道までは監視するまでには至らなかった。
流健次郎は北陸まで突き抜けて、、福井県敦賀付近の田舎街を走り、、山間部の山村に入った。
山道を走って夜になった、そして、錆びれたお寺があったので山門で野宿をすることにしたのである。
夜中に雨が降ってきたが、その山門は雨避けにはなった。
流健次郎はいつしかうとうと寝てしまったいたのである。どのくらい寝たか、、人の声で起きた。
「旅の人、、風邪をひきますよ、、よかったら温かいお茶でもいかがですか、、」
そのお寺のお坊さんに起こされて、、その言葉に甘えて中に入り,温かいお茶をご馳走になった。
流健次郎は冷えた体が、、いっぱいのお茶で温まり、、救われた。
人の情けが心に沁みた。
「ありがとう、、ございました、、もう大丈夫です、、すいませんが明日の朝まで山門の隅で休ませて貰いますか、、」と、、流健次郎は丁寧に頭を下げた。
「よかったら、、古い壊れそうなお寺の庵ですが休んでください、、」と、布団と毛布まで用意してくれたのであった。
ありがたかった、、流健次郎はお坊さんに礼を言って休ませて貰ったのである。
今までの疲れが嘘のように無くなり、、いつしか寝てしまった。
流健次郎は次の朝、早く起きて、、自分が寝たお寺の床の掃除をしたのである、、、寺院の庭もさほどに広くはなかったがほうきで掃除をしたのであった。
今の彼にはそんなことしか出来なかったので、、、
夕べの僧が入ってきて、、、「おはようございます、、寝れましたか、、旅の人、掃除まで心使いしていただきありがとうございます、、、何にもございませんが朝飯を用意したのでよろしかったら、、ご一緒にどうでうか、、」
と、、案内してくれたのであった。
流健次郎はその言葉に甘えて朝飯をご馳走になった。「旨かった、、」と、思った。
「御馳走さまです、、、泊めて頂き、、食事までご馳走になって、、名前も告げられずに、本当にごめんなさい、、
許してください、、」と、、流健次郎は心から謝ったのである。
寺の僧、、住職だったのであるが、、「いえ、、気にしないでください、、旅の人でいいですよ、、」
と、、笑ってその後も話をしてくれた。


27)山寺「安寧寺」に流警部は世話に成る。、、

流警部は体調を崩していたのであった。山寺の住職はすぐに流警部が体に支障をきたしているとわかり、、、
「もし、旅の人、、、お加減が悪るそうですね、、急ぎの旅でなければ、少し、休まれてはいかがですか、、」と言われた後に、、流警部は倒れた。高熱を出していたのであった。
倒れてから二日後に目が覚めたのである。。。
山寺の住職に、、「よく寝てましたよ、、随分疲れていたみたいですね、、おかゆが出来ていますので食べてください。
元気になりますから、、」と、言われ、やさしくしてもらった流警部は深々と頭をさげた。
「大分、疲れが溜まっているようですね、、こんな山寺ですが、私一人ですので体調が戻るまで休んで行って下さい。。何も出来ませんが、、」、
と、、言われたので流警部は事情を話す気になったのである。
何か、山寺の僧にはすべてを話してもいいような心持になった、、、何故だかは分からないが、、仇討がここで終わってしまっても後悔しないような気がしたのであった。
何もない山の中での古びた寺での一人の僧の出会いが、流警部の心を癒してくれた。
自分が今、やっている復讐は何のためか、、どうして感情的になったのかを考える余裕が出てきたのであった。
しかし、後戻りは出来ない、、、やってしまったのであるから、、最後まで館林兄妹の悔しい思いは果たさないと、、再び言い聞かせたのである。。
そして、住職さんに話した、、、「本当にお世話に成りました、、ありがとうございます。。私は流健次郎と言います、、もとは警視庁の警察官ですが、今は脱獄犯で、ある目的のために逃亡中です、、、これ以上、住職さんにご迷惑はかけられませんので、今から逃げます、、、本当にすいませんでした。。」
と、、真実を告げたのであった。
山寺の住職は、、「そうですか、、何か深い事情はあるとは思いましたが、、しかし、あなたをみてると悪人には見えません、、人の世は全て「善悪」では判断はできません、しかし、「死」「生」は別です。死ぬ覚悟ですね、、
人は生まれて、やらなければならないこともあります、、それが「非情」でも、世の中の道理に「矛盾」していても、進まなけらばならない時もあります。」
その言葉を聞いた流警部は少しだけ救われた気がしたのである。
自分がしようとしていることは、人間の道に反しているかも知れない、、しかし、「矛盾」に刃向かっていくのであった。
山寺の住職は更に話してくれた。
「流さん、、それだけの覚悟があるのでしたら、、少しだけ考える時を作ってください、、そして、それでも、やらなければならない「非情」ならば、あなたが「死」を持って償えるならばその「矛盾道」を進んでください」
そして、、言ってくれた。
「こんな山寺でよかったら、少しだけ「座禅」でもして心を鎮てくだい、、もし、あなたに天運があれば、人生の寄り道をしても目的は叶うでしょう、、、」と、、、
流健次郎は体が復調するまで、山寺で世話に成ることにしたのである。


28)別れの日に、、、「最後の仇討」

流警部は山寺「安寧寺」で、体が復調するまでと、一か月近くも世話になった。
安寧寺の住職は「安念」といった。
滞在する間に流健次郎は健康も取り戻し、精神面の回復もしたのであった。しかし、、悩んだ。
自分が見逃した、許した人間たちが、流健次郎の居ないところで、館林警部の子供たちを殺したことに憤りを覚えたのである、、、そして、その行為が許せなかったのであった。
館林警部の子供たちは、一人の警察官同僚と上司の担当警視を許すことが出来ずに、行動に移ったのである。
その結果が失敗して、返り討ちにあってしまった。
そのことを考えると親を愛する子供たちが不憫でならなかったのである。
流健次郎は世の中の規則も何もなかったのであった。二人の無念を晴らしてやろうということで、、わが身の命を投げ打ったのである。
流健次郎はある晴れた朝、安寧寺の住職「安念」に礼を尽くして挨拶をして、旅だった。
「和尚、、お世話に成りました、、どうしても「非情」に生きるような運命ですので、、ありがとうございました、、」と、、、山門を出ていったのである。
その後の流健次郎の消息は無かったが、、風の便りで大阪での事件を「安念」は知った。




























































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