湯めぐり事件帳

献残屋藤吉郎

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旅祭り

旅祭り

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短編小説「旅祭り」原作者 献残屋藤吉郎

第一話「祭り旅」

第二話「無用食道楽



〇「第一話」祭り好きな「いなせな男の一人旅」

祭り好きな全国一人旅。。。
祭次郎の喧嘩旅、、、男っ気のあるいい男
祭次郎は祭りが好きで、日本国中の祭りに見に行くのではなく、地域現地ですべての祭りに参加して、踊り明かすのであった。
祭次郎の最初の祭りは、、、四国徳島の「阿波踊り」であった。早稲田大学1年の夏だ、、、同級生に徳島出身の友達がいて3泊4日で泊りがけの祭りに参加した。
最初は何も知らないので、周りを見て、見よう見まねで踊った。阿波踊りは「踊らにソンソン、、同じ阿呆なら、踊らに
ソンソン、踊る阿呆に見る阿呆」と、、、
掛け声を賭けながら踊る、、、一度やってみたらやめられなかった。
それが祭り好きになったきっかけであった。
祭次郎は大学を卒業してから、大毎日報株式会社へ入社して、40歳の時に退社した。大毎日報時代は社会部に属して、主に事件記者として鳴らしていた。
自由の身になってからは全国の祭り取材を始め、主に祭りの写真を撮って、写真集を作っていた。いつかは好きな祭りを見て、参加して、写真を撮り、取材して、写真集を作ることを夢見ていた。
もともと事件記者をしていた経験で、その地域の特徴を取材しては、その関係する会社などに、写真集、取材雑誌を売り込んでいた。
その祭り取材も5年間続けたら、定期的な写真取材雑誌がある程度、定着していった。
「祭り」という雑誌で、会社や行政広報課などで宣伝を兼ねて使われるようになった。
行政広報課ではその地方の特産物と祭りを組み合わせて、宣伝雑誌を。。。会社などでは会社商品を売り出すために祭りとその地方の名物を乗せた広告雑誌を。。。
そんな仕事を依頼されて、信用が付いたころには、元新聞記者であり、取材が専門職であったことから、その地域の会社や行政関係などの信用調査なども依頼されるようになった。
特に地方選挙の時の候補者の信用調査なども頼まれた。
祭次郎の調査は高く評価されて、依頼が増えていった。
会社を倒産するまで食いつぶす、道楽坊主の事件控え

1.広告依頼と踏査祭り
祭次郎の取材報告書は評判が良くて、あちこっちの地方政治家や会社から依頼が増えてきた。
今回も青森県弘前市の市会議員の松前耕三という、現在弘前市の市議会議長をしている、地方の有力政治家から依頼があった。
弘前市は桜の名所であり、青森「ねぶた祭」の有名なところであった。
祭次郎はさっそく弘前に出かけた。
選挙前で、その応援を頼まれたのであった。そして、松前耕三市会議長の息子が新たに選挙に立つので、その応援及び調査を頼まれたのであった。
息子の松前真一が市会議員に出るのでということで、その息子を紹介された。
親の松前耕三議長から、選挙戦に出て、いけるかどうかを見てもらいたいということであった。
祭次郎の調査は評価が高く、信用されていたのであった。
元新聞記者であったことから、その調査はきめ細かく、正確さを示していた。
祭次郎は松前耕三が用意してくれたホテルに向かった。
(祭j次郎の調査}
祭次郎は松前真一の素行を含めた調査を始めた。
弘前市市会議員に出馬したらどうかという調査だった。
松前家は歴史的には松前藩の流れをくむ名門であった。
そんな名門意識を待った家族であり、父の松前耕三も出馬すれば当選するという自負を持っていた。
しかしは調査をすればするほどは、松前真一の人格を疑った。
大学は慶応大学経済学部を卒業をしているが疑わしいものであった。学生時代はほとんど学校へは行かずに放蕩をしていたようだ。卒業もどちらかというと金で多様なものだ。
授業も代役を使い、アルバイト料を払い、ふざけた学生時代を送っていた、
但し、どこで学んだか、話がうまく、演説などは特異だったようだ。
祭次郎の調査では表面的には世渡りが上手く、中身がなく、どちらかというと薄っぺらな人間のように見えた。
その男が大学を卒業して、故郷の弘前に帰ってくるのであった。そして、父親としては自分の秘書をさせながら、政治学を教え込もうとしていた。
その調査の結果をそんまま報告も出来ずに、祭次郎は困っていた。
報告がなかなか上がってこないので、松前耕三議長から催促を受けた。
祭次郎が父親に呼ばれて,議長宅を訪れた。
松前耕三が言うには、、、、「祭次郎さん、本当は困っているんでしょう、、、と」
「息子の真一は放蕩が酷くて、報告を書けないのじゃないかな、、アハハ、、やっぱりそうか」
松前耕三は自分の息子のことをよくしっていた。
「そうか、、、報告できないほどダメ息子か、、、」
それでもいいから、ありのままを報告して欲しいと頼まれた。
親というものは凄いな、、、自分の子供を知っているものだと。。。
祭次郎に対して、、、「本当のことを報告してくれてありがとう」、、、と言ってくれた。
子の松前耕三という議長は立派だなと思い、、、信用も出来た。その後、祭次郎は人生を長く付き合う一人となった。

2.祭り調査旅
祭次郎は青森に来たついでに、青森市本場の「ねぶた祭」を見ていこうと青森市内のホテルに宿をとった。
夜の最高潮の時に見に行ったが、熱気が溢れ、凄かった。
東北には4大祭りがある、、、、青森県のねぶた祭り、秋田県の竿燈祭り、仙台の七夕祭り、山形の花笠まつり。。。
そして、東北三大夏祭りと言われているのが。。。。
「青森ねぶた祭」「秋田竿燈祭り」「山形花笠まつり」である。兎に角、夏のお祭りはにぎやかであり、一見する必要はあるような。。。
祭次郎もねぶた祭りのにぎやかさ、一緒に掛け声をかけて踊るの様は見事で、豪華絢爛であった。
祭次郎がねぶた祭りを見物しながら、ねぶた祭りの写真を撮っていたら、自分の目の前で一人の老人が倒れた。
杖をついていたので足が悪いんだなと思いながら、気を付けないと危ないなと思っている矢先だった。
ねぶた祭りに気を取られて、誰も老人一人が転んだくらいでは助けようともしなかった。
人の熱気とは怖いもの、、一つのものに気を取られていると、自分の周りで起きたことなど、、、人とは気が付かないものだ、、、
祭次郎は一人だったので、その老人に声をかけた。
「大丈夫ですか、、、起きられますか、、」と言いながら、手を差し伸べて、その倒れた老人を抱え上げてた。
老人は、、、、「ありがとう、、、ありがとう」
と言いながら立ち上がって、祭次郎の手を引いた。
そして、祭次郎にお礼がしたいので、、、と言って。
祭次郎の手を離さなかった。
祭りを見ながら、その老人はよほどうれしかったのか、笑みを浮かべて、祭次郎を、、、とあるお店の前まで連れて行った。
そして、その店の中に入り、一人の娘に声をかけた。
「美美子、、、この人に助けてもらったんだよ、、、お礼をいっておくれ」と、、転んで助けてもらったことを説明した。
「この人に起こしてもらえなかったら、私は潰されていたよ、、、だから、良く礼を言っておくれ」と、、、
言われたその女の人は、深々と頭下げて、祭次郎にお礼をいった。
東北人特有の色白名な綺麗な人だった、
「もし、良かったらお茶でも飲みながら、うちの佐吉じいち
ゃんとお話でもしていただけますか」
と、言われて、祭次郎も話を聞くことになった。
(佐吉じいちゃんの昔話)
老人の娘さん、おかみでもある美美子にお礼を言われ、その老人と一緒に部屋に案内された。その部屋は老人専用の和室の客間であった。部屋に入っ.て。。。その老人から挨拶された。。。
「ここの主の佐吉と言います、実際のところは娘が仕切っていて、私は隠居と言ったところです。。。。
今日は本当にありがとうございました、、、
あんな人込みで倒れたら、間違いなくんで死んでしまいますよ、、、良くても大怪我です」
と。。丁寧に俺をいわれた。
祭次郎も恐縮しながら挨拶をした、
「祭次郎と言います、ただ、転んだ人を起こして助けただけですから、、、返って恐縮です」
「とんでもないですよ、、、大袈裟かもしれませんが、命の恩人ですよ。。。しかし、珍しい名前ですね」
挨拶をしていたら。先ほどの女将が入ってきて、お礼に料理をご馳走してくれるということ。
ここの「あおもり茶処」は料亭との事であり、その後に用意された料理を佐吉じいちゃんと美味しく頂いた。
食事をしながら佐吉じいちゃんの話を聞いた。
(佐吉じいちゃんの身の上話)
祭次郎はすっかり甘えてしまい、、、佐吉じいちゃんとの飲食が弾んだ、街はねぶた祭でにぎやかさが増して、東北の自酒が美味しく、祭次郎も心地よくなってきた。
話が弾み、佐吉じいちゃんの話だと、仕事も順調、娘美美子もよくできた子なので文句はないのだが、、、困ったことが一つだけある、、、
「祭さんは調査もするというので、話を聞いてください。。。そして、初めての人に斡かしいのですが、相談に乗って欲しいのです。」
と、、悩みを聞かされた。
この町の有料者である、金融会社社長の大川戸金平という人の紹介で、娘に縁談の話を持ち込まれていた。
縁談先は地元の有力会社「総合開発リゾート株式会社」の跡取り息子の浜田真一という青年だった。
いい話には違いないのだが、娘の美美子は嫌っていた。
佐吉じいちゃんは以前に大川戸金融からは借り入れをして世話になったことがあったので、断りづらかった。
謝金は今はない、、、しかし、困ったときに助けられたのだった。やはり、恩はある、義理もある。
しかし、娘は頑として嫌っていた。
「祭さん、、なんか方法はないもんですかね」と。。。。
「佐吉じいちゃんが困っているなら、、一肌脱ぎましょう」
と引き受けてくれた。
そこで、浜田真一の素行調査を始めることにした。
佐吉じいちゃんと楽しい食事をいただき、ねぶた祭を楽しみ、その晩はホテルで心地よく眠りについた。

3.祭次郎の身辺調査開始
祭次郎は佐吉じいちゃんと楽しんだ翌日から総合開発リゾートの跡取り息子、川田真一の身辺調査を始めた。
住居近辺の評判は悪くない、、普通一般の「いい人、、優しそうな人」であった。
会社勤務も悪くない、、、社長の跡取り息子ということもあって、社内では悪く言う社員はいなかった。取引先の顧客でも「まあまあ、、というところで、ずば抜けては良くないが無難にこなしている」
しかし、一端仕事を離れたところ、、、、夜遊びではいろいろと噂が飛び交っていた。
その一つに「女関係はだらしがなかった、、、金もあり、まあまあ、、の男前、、、よく言う銀流しのところがある。
酒癖もよくないような、、酔うと、人をさげすみ、馬鹿にするところがある。」
最も悪かったのは、、、父親の友人である大川戸金平の息子との付き合いであった。
大川戸金融のもう一つの顔である、、、組織暴力団いわゆの反社会勢力のやくざの大川戸興行の会長をしていた。そして、その会長の息子はバリバリのやくざであった。
その息子とのつき合いから「覚せい剤」を使用している疑いがあった。
以上の結果から、縁談を断ることは出来ると報告した。
しかし、佐吉じいちゃんは言った。
「誰も紹介者の大川戸会長がやくざであることは知っている、しかし、金融会社の社長でもあって、その地域の有力者であることも、、、ただ、それだけで、息子が覚せい剤をしているという噂高では断れないようだ。」
そういわれればそうだ。
逆に名誉棄損で訴えられることになるからな。。。。
佐吉じいちゃんも祭次郎も考えた。
その時、佐吉じいちゃんがぽろっと漏らした。
あの大川戸金平が言うことを聞く人、、、頭の上がらない人が一人だけいるんだが、、、私は付き合いがないからなーー
と、、。
ダメもとで、、、それはだれかと聞いた。
偶然か、、、奇跡か、、その人は弘前の「松前耕三」だった。
その話を聞いて、祭次郎は弘前へ飛んだ、、、そして、
面会を申し込んだら、快く時間を取ってくれた。
忙しい時間を割いて、、「祭さん、、、よく来てくれた、、
話を聞こうか」と、、
松前耕三議長は祭次郎の話を聞いてくれ、事情を知った彼は、、、、「わかった、、私と同じ、バカ息子を持った親に話してやろう、、、アハハ、そうか、あいつの息子も馬鹿息子か、、、子供には誰も苦労するな、、、アハハ、、」
と、大川戸金平に連絡を取ってくれた。」n。
祭次郎は松前耕三に礼を述べて、青森に向かった。
良かった、、、と、胸をなでおろした。
祭次郎が旅先で知り合った、最も男らしい、いい男だった。
「ありがとう、、、松前さん」と心から感謝した。
そして、青森に着いた祭次郎は、、佐吉じいちゃんに報告して、喜ばれた、、、そして、感謝してくれた。
祭次郎のいい旅、、、「青森、弘前」だった。」

3.秋田竿燈祭り旅
祭り次郎は秋田の竿燈祭りに来ていた。
JR秋田駅に着いた祭次郎は、丁度お昼だったのでお腹も空いていた。
駅中にしゃれた立ち食いソバがあったので、とりあえずそばを食べた。
お腹が空いてたこともあり、凄く美味しかった。
少し休憩しようと思い駅内ベンチに座って、ジュースを飲んでいた。
あったかいそばを食べた後の冷たいジュースはなんとも美味しく、心地よかった。
休んでいたら、隣に子供連れの色白な品のいい人が座った、
子供は自分のジュースを飲んでいるのを見て、、その女の人、、、母親だろう
に、。。。。
「ママ、、、喉が渇いたよ、、、ジュース飲みたいな、、」とせがんでいた。
祭次郎はまずいな、、、と、思いながら持ってたジュースを後ろに隠した。
すると、、母親らしい女は、、困った顔をして、子供に言った。
「もう少しだから、、、我慢してね。」と、、、
祭り次郎はわきにあったジュース販売機でジュースをもう一本買った。
そして、、、「暑いですね、、、もしよかったら、、どうぞ」と言って
その女の子にジュースを差し出した。
女の子は手を出して、ジュースを受け取り、、、「ありがとう」と、、、
母親が素直に娘と同じように「ありがとうございます、、、すいません、、、
気を使わせてしまいました、、本当にすいません」と、言いながら、、、
電車に乗っていった。
祭次郎は嬉しかった。。。ジュース一本の事で、、、親子ともども嬉しく思ってくれて、、、下手に親切心を起こして、嫌味をいわれたりするより、素直に人のやさしさとか、感謝されると気持ちがいい、、、
祭り次郎は二人の乗った電車をしばらく見送った。
(秋田の竿燈祭り。。。再会)
祭次郎は秋田の竿燈祭り見るために秋田市街地にカメラを持ってぶらり見物にでた。
どのくらい歩いたろうか、、、秋田竿灯のあとをついていった。あるお店の前で声をかけられた。
おじちゃん、、、おじちゃんと、、、」小さな声が足もとから聞こえた。
祭次郎が自分の脚元を見ると、小さな浴衣姿の女の子が、自分のズボンのすそを引いていた。
よく見たら、昨日、駅ホームでジュースをあげた子だった。
「やあ、、、こんばんわ、、、」と言ったら、
自分をお店の中に引っぱって行った。
そして、「おじちゃん、、、昨日はありがとう、、」
と言って、お母さんに声をかけた。
「どうもすいません、、気が付きませんでした。。」
母親が振り向いて挨拶をしてくれた。
話を聞くと、親がしているお店で、竿燈祭りの時には手伝いに来ていると。。。
そして、、「昨日はありがとうございました、、、お礼も言わずにきてしまい、、、すいませんでした」
そんな話をしていたら、小ぎれいな和服姿のおばあちゃんが出てきて、お店の中に入ってもらいなさいと、誘われた。
祭次郎も女の子に手を引かれ中に入った。
お店は三代続いた「お蕎麦屋」さんだった。
おしゃれな和風を装ったお店で、祭次郎も丁度、お腹が空いたところなので、冷たいざるそばを頼んだ。
声をかけてきた女の子、、、後で名前は分かったが、
その子の名前は「奈々」ちゃんだった。
祭次郎の座ったテーブルについて、、、「おじいちゃんのおそばはおいしいよ、、、」と、、、笑顔をいせてくれた。
おそばを持ってきてくれた母親が、、、「すいません、すいません娘の奈々が我儘行ってしまい」と言いながら、娘に負けずぐらいの笑顔を見せてくれた。
美味しいおそばを食べながら、、、なんとも言えない親子三代の笑顔を見たような。。。。
(秋田竿灯の旅で、、、親子三代の女の笑顔)
祭次郎は秋田竿燈祭りを偶然知り合った、待合駅での取り持つ「小さな縁」の子供とジュースから。。。楽しい竿燈祭りの夜を過ごすことが出来た。
小さな女の子の蕎麦屋は「秋田手打ちそば」と言った。そして、小さな女の子、、奈々の母親は千鶴子と名乗っていた。
千鶴子はその「秋田手打ちそば」の息子の嫁であったが、息子の交通事故で奈々と二人で身を寄せていた。
一人息子であったこともあり、蕎麦屋の老夫婦とは仲睦まじく、本当の娘のように暮しているような。。。
そんな家庭環境なのかもしれないが、奈々は妙に祭次郎に懐いてきていた。
その晩は奈々親子に甘えられ、老夫婦にも好かれて、祭次郎はちょっとばかり、馬鹿な夢を見た。
つかの間の心和やかな気持ちになっていた。
おそば時間は短く、、あっという間のひと時であった。
祭次郎は楽しい秋田の夜を過ごせたことに、お礼を言って、
お店の暖簾を潜った。
親子三代の写真をしっかり撮って、お祭りを撮ったので、後から写真を送る約束をして、ホテルの戻った。
秋田の竿燈祭りでの「お蕎麦屋景色」をしばし、思い出しながら湯船に浸かり、余韻を楽しんだ。

4.山形県の花笠まつりを訪ねて。
花笠まつりの山形には取材の関係で夜になってしまった。
予約していたホテルに直行した、午後7時を過ぎていたので、温泉に入り、食事を取った。山形牛のステーキが出てきた、凄く柔らかくて美味しかった。
祭次郎は一人食事だったが、、目の前のテーブルに老夫婦が和やかに話しながら、美味しそうに食事を楽しんでいた。
祭次郎は思った、、、楽しい食事とは目の前の老夫婦の食事だろうと。。。
いつか自分も家庭を持ち、子供たちが巣立った後は、二人そろって旅をしたいものだ、、出来れば目の前の老夫婦のように。。。楽しみだな、年を取るのも。。
たわいもない思いを描いていた。
素敵な風景だ、、、そんな色合いの夫婦になりたいものだ。
楽しいひと時の夕食を済ませて、部屋に戻り、取材した資料を整理した、明日はにぎやかな「花笠まつり」をゆっくり見たいと思っている。
しかし、一人旅の気楽さかな。。。

花笠まつり見物、、、
祭次郎は昨夜の食事の時に出会った、老夫婦の姿がまだ印象深く残っていた。
朝食を済ませて、花笠まつりの見物に出かけようとホテルのロビーで準備をして,いっぱいのコーヒーを飲んでいた。
気が付いたら昨夜の老夫婦が隣の席でお茶を飲んでいた。
「ばあさんや、、二人での旅は久しぶりだな、、、子供たちも独立して、、、何の気が値も要らなくなった。
これからは生きて、歩ける限り旅をしようか。。」
と、話しかけていた。
「あんたは随分と好き勝手なことをして来たからね、、、
そうしてもらいますかね。。。もう少し早く、一緒に旅をしたかったですね」
と、、、女の人は言いながら、微笑みを浮かべていた。
祭次郎から見たら、本当に心温まる光景だった。
眩しいくらい二人は輝いていた。
「しかし、花笠まつりはどう見て回ればいいのかわからいけど、、、大丈夫かな、、、年寄り二人で。。」
「そうですね、案内を頼みますか、、、タクシー巡りのように、、」
「それだと、ゆっくり見物が出来ないな、、、」
二人の会話を聞いていた、祭次郎は出しゃばりとは思ったが、、、
「もし、良かったら、、、案内しましょうか、」
という話になり、その老夫婦を祭次郎は花笠まつりを案内することになった。
(花笠まつりが縁で)
人の持つ縁などはどこで絡み合うか分からないものだ。
祭次郎がお節介やきということもあるけど、、
しかし、年寄りには親切にしておきたいという祭次郎の考方からかも知れない。
どんな場合も祭次郎は優先するのであった。年寄りと子供は、、生まれついてのものらしい。
そんなことで老夫婦を案内しながら、花笠まつりを見物してた、老夫婦の喜ぶ笑顔を眺めながら、祭次郎も楽しんでいた。
そんな時に群衆がざわめいた、、、
「きゃあ、、助けて、、、」とか、いろいろな悲鳴が、叫び声が聞こえてきた。
その声や見物人のどよめきが付かずいてきた。
そして、一人の男が手に刃物のような物を持って、刃物を振り回しながら近づいてきた。
祭次郎は不味いと思い、一緒に来た老夫婦の前に自分が立ち塞がていた、と同時に刃物を持った男が老夫婦の一人を捕まえていた。おばあさんだつた。
捕まえたおばあさんの後ろから、首に刃物をあてて、叫んだ。しかもその男は酔っているようなので、危ないと感じた。
「おーーい、道を開けて、後ろに下がれ、、、」と、、、
酒の力のせいか、大きな声で怒鳴なっていた。
そして、その人質を取って、叫んだ。。。
「こらーー、道子、出てこい、、、」と、その暴れている現場の前のお店に、、怒鳴っったのである。
お店は「大場酒蔵飲み処」と書いてあり、小料理屋のようだった。
「道子ーーー出てこないと、この婆を殺すぞーー」
「本気だからな、、おーーい、、糞女出てこーい」と言いながら、、いつの間にか手には拳銃を持っていた。
そして、店に向かって撃った、、
その拳銃の音に、周囲を取り囲んでいた、群衆も後ずさりした。
警察官も来た、、、パトカーが2台、、、警察官がその男を包囲したが、何もできなかった。
その男の叫んでいるお店の女、道子も出てこない。
拳銃を撃った男はイライラしている様子で、もう一発を撃った。
祭次郎は参ったな、、と思いながら、捕まっているおばあさんを心配していた。
そして、祭次郎は事件記者の時代から、このような修羅場を何度も経験していたので、、、その男の隙を狙っていた。
そして、二発目を撃った瞬間に、祭次郎は飛び掛かった。
狙いは上手くいった、
人質のおばあさんを突き放して、その男の体を突き飛ばしていた。
しかし、その男は倒れながら、更に三発目を撃ったのであるが、見た目には祭次郎に当たったようだった。
包囲していた警察官も飛び出していた。
その男は数名の警察官に取り押さえられた。
祭次郎は撃たれた、、、急所は外れていたが、その場に蹲ってしまった。
間もなく救急車が来て、祭次郎は運ばれた。
一緒に来た老夫婦はおろおろするばかりで、立ちすくんでいた。「ごめんなさい、、、ごめんなさい」と、、、
おばあさんは泣き崩れていた。それを支えながらおじいさんも突然のことで体を震わせていた。
老夫婦には降って沸いたような出来事だった。
しかし、助かった、、、命拾いしたのであった。
二人は祭次郎を心配した、、、おばあさんは泣きじゃくりなら、お爺さんを急かして、救急車の後を追った。
(病院で、、、心配する老夫婦)
祭次郎は山形市内の市民病院で3日間、昏睡状態で特別室に入院していた。傍らには老夫婦が心配そうに付ききりで看病していた。
「ばあさんや、祭さんが元気になったら,わしらの伊豆の国へ連れていき、療養してもらいたいな。。。」
「そうだね、あんた、、、伊豆の国の綺麗な海を見ながら、ゆっくりして欲しいね」
二人は小声で話していた。
入院してから4日目に、祭次郎は目が覚めた。
祭次郎が目が覚めて、老夫婦に話しかけてきた。
「ああ、、すいません、、、俺、寝てしまっていたんだ、」
と言いながら笑みを浮かべて、老夫婦にお礼を述べた。
「何ですか、、、私が助けてもらったのに、、、本当にありがとうございます、、、私たちの命の恩人ですよ、、、ありがとうございます」
と、、、二人で何度も頭を下げて感謝してくれた。
「祭さん、退院したら、私たちの家に来て、療養してください、、、何もできませんが、、」
「祭さん、私たちの家は海の見える高台あり、、とても景色が綺麗ですよ、、」
と二人で誘ってくれた。
海が見えて、朝は朝日が、、夕方には真赤な夕日が綺麗だと言ってくれた。
魚料理が美味しいですと、、、おじいさんは海釣りが好きで、魚を捌くことが上手だという。
祭次郎は退院したら、二人の誘ってくれる伊豆の国へ行ってみたくなった。
そして、しばらくは祭り旅を休もうかと、、、、、
二人の話を聞きながら、心は伊豆の国の海へと、、、朝夕の輝く海が見たいと、、、心はすでに伊豆の国へと。。



〇第二話「問答無用、食道楽坊主事件控え」


1.問答無用

世の中には我儘な、ワンマンな、独裁者的な会社経営者がいる、また、政治家にも、あらゆる世界に有力者がいる、本当に多いような、、、
陰の実力者と言われるようなフィクサー的な親分がいる、やくざの世界なら良いかもしれない。。
しかし、世間的な通常世界になると、誰にも誰にでもいいと言われるような良識ある人間は少ない。
悪く言えば「八方美人」というような人間は多い。
食生活でも人が上手いと言えば、上手いとなるようなものも多い。
不味いと言えばまずいとなり、不評が広まり、まずくなってしまう。
人の「舌」など、当てにならないものはない。
この世の中で「上手い」「不味い」を決めるのは己であるようなな、、、はっきり、「物言える、人間」が少なくなってきている。
一番基礎となる、活きるためのもとなる、「食」をよくよく考えないと。。。
高級なものは上手い、、、高級料理店の食は上手い。。。、
金を出せばうまいものは食べれるのは当たり前だ。
人間の世界には経済的な問題があり、食べたくても食べれないものもある、、、環境的な与えられた中での食生活があるような。。。
だから、与えれた環境で、食するものが一番うまいのではないのか、、、
会社を経営して、世の中の勢を得たものが、この世の食に物申す、、、「問答無用」と言いたい。
無用主水の食坊主旅物語。

2.食坊主の無用旅、、、
無用主水は会社を経営して、財を成したが、食に豪欲でありその儲けを食べ歩いてしまった。しかし、その食生活や料理店の食べ歩きは全国を股にかけ、、ではなく「口」にかけて豊富であった。
その挙句には財をなくして、若いころから修行を積んでいたこともあって、北国の寺に流れ込んだ。
そして、托鉢という修行をしながら全国を旅して歩いた。
しかし、人は食べないと生きていかない、、、運よく托鉢修行の御かげで「食」には不自由をしなかった。
禅宗の寺に身を寄せていたので、全国の禅宗の寺に「経文」を唱えれば一宿一飯に泊まれた。
無用主水は「経文」を唱えることは苦痛ではなく、楽しいものであった。
一宿一飯にあずかるのには「般若心経」を唱えることが必要だった。
お寺に泊まった場合は朝飯は出る、、、昼飯も出る、、、但し、夜飯は無しだ、、、焼き石を抱いて寝ろ」ということだった。
精進料理はおいしかった。
無用主水は寝る心配と、食べる心配はなく旅ができた。
そして、托鉢等で訪問した家で、ご馳走が出る場合もある、、、まさに天国極楽のらくちん旅だ。
この世の中で坊主ができる、坊主の特権のようなものだ。え
そして、世の中を見て回り、人を見て、好きかっ手なことを
言って、寝たいとき寝て、起きたいときに起きる、
不思議な特権だ。
お寺を巡るうちに無用主水は全国のお寺案内のような説明書、写真集ができた。

3.托鉢旅に出る前に。。。。
無用主水は托鉢の旅に出る前に、茨城県土浦市の東城寺で托鉢の心得などを教えてもらった。
まず、座禅は胡坐上に似た姿勢で座る、そして「目は半開き」で目を閉じてはいけない。目の前に「お線香」を一本立てて、それを見つめて手を組む。
お線香一本の燃え尽きる時間は「20分から30分」だ、、、簡単に言うけど、お線香を。一点を恨めて、座禅を組むには大変だ、、、目が痛くて、涙がこぼれる。
慣れてくると半開きも大丈夫になるような、、、、
托鉢には必ず「お経」が必要になる。朝と昼には「般若心経」」を唱える、、それが終わらないと食事が出来ないのであった。
夜はお経は休み、、、飯抜きで、寝る前に「焼き石」を抱。いて寝るのであった。
東城寺で、托鉢に必要な最低限の心得を教えてもらい、「座禅」「お経」を練習して、いよいよ、、、、
托鉢の旅に出ることにした。
無用主水であった。
たまたま、東城寺で座禅を組んでいるときに知り合った男がいる、、、名前は平正義と言った。
本人は平の将門の末裔と言っていた。
その彼が無用主水の話を聞いて、托鉢につれて行って欲しいといってきた。
彼は武道家で、今まだ修行中なので、武者修行をしたいとのことであり、東城寺の親戚筋にあたるので、一緒に旅することにした。

4.無用主水が最初に旅する処
無用主水が行きたいところがあった。今までに旅して美味い肉を食べたところだった、松阪だ、、、いろいろ食べ歩いたが、本当に肉の美味かった「すき焼き」だった。
松阪の有名肉料理店で「味の肉すき庵」だ、、、和風の座敷に上がって、丸いテーブルを囲んで、中居さんが料理してくれる「すき焼き」は天下逸品だった。
松阪に泊まり、美味いすき焼きを食べて、、、、次に選んだ先は和歌山県の那智寺であった、那智の滝があり、寺院の中にある五重塔は興味をそそった。
まず那智の滝は荘厳だった、、そして、五重塔の中に展示されていた曼荼羅は、凄いなと思った。
展示されていた曼荼羅は「性器が描かれ、色も鮮やかだった」
那智寺を参って、お経の真似ごとをして来た。
那智寺を参ってから、近くの料理屋に入り、びっくりした。まぐろ定食をたのんだ、、、そのでかいことでかいことで、、、頭が一匹まるまるついてきた。
那智は勝浦だったのだ、、、日本一のマグロ漁の漁港だから、、、
近くには熊野神社もあり、、、托鉢なのだからお参りした。
一緒に托鉢に参加した、平正義も感動していた。

5.気が向いたら行くという托鉢旅になった
無用主水とお供の平正義の旅は、足のむくまま、気の向くままの托鉢旅だった。
二人は那智の滝、熊野那智総社を参って、勝浦駅前のまぐろ料理店に入り、地元の名産料理をたらふく食べた。
次に向かうところは橿原神宮だ、、、奈良市橿原市にあり、御祭神として、初代神武天皇が祭られている。
広い敷地を巡り、寺院に参拝して歩いているときに、突然、、、、「」たすけてーー」と。、叫びながら一人の女性が駆け寄ってきた。
無用主水よりも武芸の長けた、平正義が駆け寄り、彼女を助けた。追いかけてきた男は、、、
「何、、、邪魔をするだ、、、その女は俺の女だから、構わないでくれよ」と言いながら、平正義が助けた女を引き離した。
すると、、、その女は「私はあなたの女なんかではありません、、何の権利があって、俺の女、よばわりするんですか、、、やめてください」
と、、助けてくれた平正義の後ろに身を隠した。
そこで、無用主水が、、、、
「まあまあーー」と言いながら割り込んできた。
息まいて追いかけてきた男に、、、「落ち着いてください、、彼女との言い分が違うので、話合いをしましょう」と、、、、
一端落ち着かせた。
両方の話を聞くと、付き合い始めたばかりで、一緒に出掛けてはきたが喧嘩になってしまい、、、あまりにも強引なので、嫌になり、逃げだしたというわけでした。
主水にすれば、ふざけた話であり、勝手にしてくれと言いたかった。
しかし、助けてくれと言われれば、黙って見逃すわけにもいかなかった。
仕方がなく、おせっかい焼きではあるが仲裁をすることになった。
そん場はなんとなく御染まった。そして、その女は主水たちと一緒に旅をした。

6.不思議な女
橿原神宮で仲裁をした女がどういう訳か、
無用主水たちに着いてきた。名前を聞いたら「流かすみ」と言っていて、九州久留米から、喧嘩していた男についてきたらしい。
久留米のディスコクラブで知り合い、その踊りが素敵で、いい男なので奈良までついてきてた、奇跡的な女に巡り合ったとか言って、、、是非、橿原神宮にお参りしたいと連れてこられた。
しかし、一緒にいる間につまらない男と知って、無用主水たちが知っていることになったというわけだった
そして、無用主水たちの旅を聞いて、連れて行って欲しいとなった。
無用主水たちは最初、戸惑ったが、慌てる旅でもなく、女連れの托鉢も悪くないと覆った。
そして、次に行きたいところ、奈良法隆寺に向かった。
旅はすべて歩きというわけではないので、これからは女
連れでり、交通機関も使うことにした。

7.女連れ托鉢旅、、、古都、、奈良の都
無用主水の女連れ托鉢が始まった、、、邪道のような旅ではあるが、もともと修行が目的ではないので、、、
「まあ、、いいか、いろいろと食する旅でもあるので、、」
と、、托鉢旅を反否定していた。
もう一人の平正義は武芸の武者修行を兼ねての、ついでの托鉢旅でもあるので、、、二人は気軽に人生旅を考えていた。
そこへ花が咲いた、、、一輪の花がたまたま、ついてくるのであった。それも橿原神宮で、偶然に咲いた花だった。
九州久留米までの托鉢旅となった。
知り合った、流かすみは一見みると、お転婆なじゃじゃ娘にも見えるが、なかなかしっかりしていた。
托鉢でお寺に泊まるときなどは、寺の住職の話をよく聞き、学んでいるように見える、、と言った要領よさも落ち合わせていた。
そして、頭もいいような、、お経や座禅のコツを習得するのが早かった。
そして、何よりも「酒」が強かった、、、一緒に飲んでいて楽しく、心地よかった。色気もほどほどに有った。
しかし、乱れることはなく、主水や正義につきいる隙を与えなかった。
考えてみれば、主水や正義には楽しいひと時を過ごせた。そして、、可愛い仕草も見せ、、、そんなところが男心をくすぐった。。久留米まで何としても無事に送り届けようと思ったのであった。
歴史ある奈良の都で、、古の事の風に吹かれ、三人は法隆寺、東大寺、興福寺と托鉢の真似事をしながら歩いた。
そして、法隆寺近くの洒落た料理屋の暖簾をくぐった。。。
奈良にも美味しい肉料理があった。
三人は歩いた疲れがあったのか、、、かぶりついた。
奈良の旅だった。

8.京都の旅、、、田辺市で一休寺を訪ねて、
無用主水寄り道したかった「一休寺」へ二人を引き連れて立ち寄った。昔から有名なトンチ話で、一休さんは子供のころの漫画や絵本でよく見ていたような。。。
そんな一休さんが眠るお寺、、最後の住職寺を見たくて立ち寄った。そんなに大きなお寺ではないが、郷愁を感じる。
訪れた時が秋だったのか、、寺に植えられた紅葉が綺麗だった、、、真赤に色鮮やかだった。
感激しながら、一休さんの足跡を少しだけ辿った。
托鉢で歩いていることもあり、一休さんに手を会わせた。
お寺を見学して、お参りをしてから、、、、近くの小料理屋に入り、腹ごしらえをした。
奈良は肉料理店が多く、焼き肉を食べた、、、そして、次の京都を目指した。
秋も押し迫り、肌寒さを覚えるようになった。

。。。京都を訪ねて
日本の歴史の中でやはり京都は都であった。
歴史の中で、何度となく中心的な存在であり、そして、由緒ある名刹の多いところ、、、
近くでは明治維新があり、倒幕だ、勤王だとざわめいていた時代がった。
無用主水にはもともとは武士でもなく、幕府に従っていた侍でもないのに、最後まで武士らしく忠義を尽くした集団、日本最強の機動隊ともいえる「新選組」が心を引いた。
そこで、新選組関わる名所を訪ねた。
誠の旗を掲げて、京都の治安に務めた新選組は心が温まる。
ひと昔前には、今歩いている京都大路を侍たちが駆けていた。負けることが分かっていながら、傾く幕府に忠誠をつくし、刀を振り回していた新選組がなんとも心揺さぶった。
無用主水は荘厳な寺社仏閣が至るとこに存在して、今なお古都の威厳を保っている。
幾多の戦果を潜り抜け、立ち並ぶ寺社にお参りをした。
改めて古都の重みを感じた。
托鉢旅を共にしている流かすみも初めて見る京都に感激しているようだった。
「主水さん、、何か食べたいな、、、」とせがまれて、
京都南禅寺の「湯豆腐料理」をご馳走することにした。
京都で一番の料理屋に連れていき、湯豆腐料理を満腹した。。。無用主水としてはかなり無理をした、散財であった。
京都巡りには三日間の時間を費やした。
殆どが寺院での宿泊でったが、三人で有意義な托鉢旅をしたような。。。
巡ったところは、清水寺、南禅寺、伏見稲荷神社、平安京、そして、祇園祭りの見物だった。
祇園祭りの山鉾は目を見張った。
この祇園祭りはその昔、稲作の豊作を願い、人民の健康を願ったといわれる。

京都を旅して、、美を求めて
無用主水は京都先斗町当たりを散策した、托鉢坊主が何を贅沢なことをと、、、、寺院を巡り、参拝して、お経を唱えて、寺の宿坊に泊まり、、、心の修行をすればいいに、、、
それを夜の京都の花の盛り場と洒落込んだ。
京都先斗町は料理屋やクラブに入るのにも「一見様お断り」だった。
しかし、鴨川のほとりを、先斗町の街通りを歩くだけで、京都色街の雰囲気が肌で身に感じた。
たまたま、、入れた小料理で飲食を楽しんだ、、、座敷に上がり、カウンターがある席に着き、お酒を飲んだ。
摘みは京都の柴漬けが付いてきた、、、そして、馬刺しがあったので、馬刺しを、、、
連れの流かすみが、、、
「やはり、、京都だね、、、座敷にカンターが付いてて、
バーテンダーも着流しよ、、、お洒落だ」
と、周りをキョロキョロしながら、一人で燥いでいた。
窓の外には鴨川が流れていた、、、侍時代にはその河原でチャンバラあったんだろうな。
佐幕だ、、、勤王だと。。。
同じ部屋で飲みながら飲食していた数人に、流かすみが怒鳴られた。
かすみも元気がいいので、突っかかって行った。
そこで生意気だということで喧嘩の用を呈してきたので、無用主水が間に入り。
しかし、遊び人風の男たちは酒も入っていたので、、、
「生意気な小娘だな、、、そっちが先に因縁つけてきて、、、今更ごめんだ、、、ふざけるなよ」
と、、上げ足を取ってきた。
やくざ特有の絡みであり、特異な因縁だった。
無用主水もあまりにも無碍な言い篝だったので、、、、
「謝ってだめなら、、、どうすればいいんですか」
と、、、強気で言い返した。
その間に平正義が入り、こわもてした顔をして、やくざたちをひるまさせた。
その遊び人風の男たちはぶつぶつ言いながら店を出ていった。
お店のバーテンダーが、、、
「すっきりしたわ、、、いつも少しだけお金を使って、他の客にたかってたから、、、でも、気を付けてくだよ」
地元京都の秋田連合会のチンピラだから、、、たちが悪いので、私たちもこまっているのよ、、」
と、、、言いながら心配してくれた。
秋田連合会も幹部の人たちは話が分かって、いいんだけどね、、、と。
なんでもそうだよ、、、どんな組織にもわかる人はいるけど、一皮むけば野獣だから、気を付けないとな。
無用主水たちもその日の寺の宿坊に戻った。
流かすみは二人を頼もしく思っていた。そして、優しいと。
(京都名刹巡り)
次の日、三人は京都の名刹巡りをしたいと、、まずは京都清水寺へ向かう予定でホテルラウンジで朝食を取った。
托鉢修行が目的なので、清水寺まで歩くことにした。
ホテル玄関を出て間もなくだった。
やくざ風な男たちが数人、近づいてきて。。。
「お兄さん方、、、昨夜はどうも恥をかかせてくれたな。。」と、、、因縁をつけてきたのであった。
そして、車に無理やり乗せられた、、、拳銃を突き受けられたので、仕方なく言うがままに車に乗った。
どこか工場跡のような建物に入って行き、降ろされた。
降りるや否や、、鉄パイプのようなもので殴りつけてきたが、平正義がいるので無用主水は安心していた。
相手は三人なので、平正義ひとりで十分だと思っていたら、拳銃の音がした。
平正義が撃たれたのであった、、、無用主水も喧嘩には自信があったが、拳銃には叶わない。
不味いと思った瞬間に、流かすみが飛び掛かっていった。
まるで軽業師ような身のこなしで、拳銃を撃った男を倒した。次にもう一人も足技の一撃で蹴り倒した時には、無用主水も最後の一人を倒した。
そして、平正義のもとに駆け寄り、、
「しっかりしてくれ、、今、すぐに病院に行くからな。。」
と抱きかかえているうちに、、、
流かすみはやくざたちの車を平正義のそばに寄せて、平正義を乗せて病院に向かった。
流かすみの動きは、無用主水は驚いた、そして、感謝した。
「正義、、しっかりしろよ」
と声をかけながら、腹をまじかから撃たれたので心配だぅた。
それにしても流かすみには驚いた、凄いと思った。
そして、こいつ何者かと。。。
今は感謝だ、、、正義が生きられることを願って、病院に着いた、
すぐに手術をしてもらい、何とか一命はとりとめた。
病院側にはすぐに事件と分かり、警察へ連絡されて、間もなく警察も来た。
無用主水は、、兎に角よかった、命があればんでも出来ると、、、
そして、「かすみ、、ありがとう」と。。。
主水はまたまた、かすみを見直した。

(無用主水の托鉢旅は続く)
主水たちの托鉢旅は、世の中の雑多悪に振り回されたが、正義も元気になり、再度、京都の名刹を托鉢して、、日本海に面した国々に向かった。流かすみの動きにも驚かされたが、彼女は九州久留米の合気道道場の娘で、幼いころから鍛錬しているとの事だった。
山陰道を鳥取、島根に向かった。
日本海の風は粗々しく、豪快さを感じた。何か男の荒海というような、、、
大きな砂丘を歩いていた三人は、自然の凄さを覚えた、、、
自然の海、荒波、、、そして、砂丘と人間にはない大らかさを感じながら、人間の小ささに寂しさを漂わせていた。
三人は鳥取砂丘を歩いてから、シジミで有名な穴道湖の近くのシジミ料理店に入った。シジミがデカいので吃驚だ。
かすみは、、「やはり、本場のシジミは美味しい、、それに湖の夕陽は綺麗だよ、、、」
感動していた、砂丘でラクダも乗り、シジミも食べたので、お風呂に入りたいと言い出した。
(松江城余談)
三人が松江に着き、松江城を見学しているときだった、途中から托鉢に参加した、流かすみが携帯電話で話している最中に、突然に泣き出した。
主水は何事かと、聞くと、、、、
実家の母からであり、父親が亡くなったという知らせだった。
兎に角、帰らないと、、そう、思ったのである。
「わかった、、、かすみ、すぐに久留米へ行こう、、、、
どんな理由にしても、久留米に行かなくてはと、、、
とりあえず、鳥取駅に行こうということで、急いだ。
そして、主水たちも一緒に久留米に向かった。
九州久留米に着いた三人は、流かすみの実家に行き、父親の葬儀に参列したのであった。
かすみの母親の話では、いつもの朝練に参加して、家に帰ってきて気持ちが悪くなってしまい横になったら、そのまま亡くなってしまったらしい。
死因はクモ膜下ということだった。
元気な父親があっ気なく亡くなったので、かすみは茫然と数日を過ごした。
そして、道場は手広くしていたので、合気道を習う生徒が多かった。
何日か経った朝、道場から合気道を練習する掛け声が聞こえてきた。正義の鍛錬練習であった、合気道を自ら習得しようという生徒たちの練習風景だった。
その様子を見た流かすみも練習に参加していた。
道場全体に活気が溢れ、かすみも元の元気な娘に戻ったような。。。
そして、「正義、、、ありがとう、、本当にありがとう」
と汗を流していた。
流れた汗は涙だったかも知れない。
人のやさしさの心ある誠意に違いなかった。
かすみが元気になるまで主水と正義は、久留米に滞在していた。。。
子供のいない両親だったこともあり、かすみが道場を継ぐことになった。
そして、正義も一人風来坊だったので、師範という形で合気道道場に残った。
一人になった主水は、ちょっぴり寂しいが托鉢に旅立った。
九州久留米から関東のつくばへ。。。
主水はかすみと正義の安寧を願ってた。
九州久留米の空は青かった、心すがすがしい旅たちであった。





〇第三話「湯めぐり事件帳」

温泉湯太郎、、全国お湯めぐり、
日本人にはお風呂が一番、、、家の中でもお風呂、、、そして「湯船には湯の花が咲く、、」
人の喜び、、、湯につかり、料理の花が咲く、、、

1。温泉湯太郎の湯船物語

人の世で。一日の終わりに湯船に浸かり、その日を振り返り、明日を夢見る「夢湯船」を巡る湯太郎の事件帳。。。
日本には本当に温泉が多い、、、火山国ゆえの楽園だ。
日本に生まれた喜び、楽しさであるような。。。
人生にはいろいろある、、、喜怒哀楽が、、、そして身の回りには日々、事件が起こる。
湯太郎は東京赤坂で「湯太郎探偵事務所」を開いていた。
業務内容は人探しから、人間トラブルの仲裁、素行調査などを主にしている。一人での探偵事務所なので事務所には留守番を兼ねた賄い婦の女性がいた。
名前は寿子と言って、事務仕事も何でもこなした。
湯太郎は依頼仕事が地方で多く、年中留守をしていた。
仕事兼ねて、彼はその地方の温泉を訪ね歩いた、その陰で全国の温泉委詳しくなった。
探偵仕事をしながら、脚日記をつけた、それは調査資料においても参考になった。
また、彼はどこへ行くのも列車を利用した。特にローカル線の場合は喜んで出かけた。
湯太郎の楽しみは汽車の旅で、古びた温泉に浸かり、その地方の食事をすることであった。

2.探偵仕事は温泉で、、、草津の湯,、
湯太郎が探偵事務所開いてから、初めての依頼者が草津の湯
草津温泉だった。
草津温泉のホテル「草津の湯宿」という老舗の温泉宿であった。依頼されて湯太郎は草津に向かった。
温泉好きな湯太郎であるから、温泉付きの話を聞いて飛びついた。
とりあえず、湯太郎の車、ジャガーで向かった。ジャガーと言っても年式は古く、ボロ車だった。
「草津の湯」について、依頼主のおかみの沙友里に会った、
和服姿の似合う、いい女だった。年のころなら37,8歳とうところかな、、、
観察はその辺にして、亭主富雄の浮気の調査だった。
亭主富雄は婿養子なので、浮気が事実なら離婚をしたいと考えていた。
詳細はおかみ沙友里から聞いたので、湯太郎は明日から調査をすることにした。
その晩は温泉宿なので、ゆっくり温泉に浸かった。
いいお湯だった、、、酸性の強い温泉のような、、、、
部屋に通されて、浴場に向かった、大浴場はしゃれた岩風呂だった。
一人。岩風呂に入っていたら、先客がいた。
堅気ではないな、、、と、思いながら、背中の彫り物を見てしまった。立派な鯉の彫り物だった。

3.湯太郎探偵動き始める
温泉湯太郎の本名は「徳川湯太郎」だ
次の日に依頼主の女将沙友里に説明をされた、亭主の富雄に女がいるらしいので、身辺調査をしてくれとの事だった。
亭主の富雄は草津温泉で不動産業を営んでいる、、、リゾート開発専門で、最近は温泉付き別荘を販売している。
それで、最近外泊が多くなったという、、、理由は出張販売で出かけ、販売物件が家から離れているので、仕事が遅くなると、そんまま売り別荘に泊まるという。
以前は販売物件が遠くても、必ず、帰ってきていた。
女将沙友里も仕事が忙しかったので、気にもしていなかった。
しかし、別荘販売も売れるようになり、自分で自由になる金ができるようになってからである。
女将沙友里は女の感というか、気になることが多くなり、夫婦喧嘩も増えてきたので、彼女は少々、面倒くさくなってきた。そこで、調査をして「証拠」を突き付けてやろうと思ったのであった。
女将沙友里は元来が男勝りであったので、好きだとか嫌いだとか苦手であり、、、決着をつたかったのであった。
女将沙友里は、すっきりさせたかったのであった。
亭主の富雄はどちらかというと、うじうじしているようなタイプであり、女将沙友里とは別れたくないのであった。
女将沙友里の性格を知っている兄が昨夜より来ていた。その兄が岡田友蔵で、、、湯太郎がお風呂で一緒になった男だった。
徳川湯太郎が亭主の富雄の調査を始めてから、3日後の事だった。草津を流れる四万川の上流で水死体が上がった。
湯太郎も富雄の行方が分からなかったので水死体が上がった現場に行ってみた。その足で草津警察に行き、その水死体が岡田富雄と確認ができた。
湯太郎はえらいことになと、、、内心思いながら報告がてら、依頼人の岡田沙友里を訪ねた。
湯太郎が宿泊先のホテル戻って、騒がしいことでも予知はできた。
女将の沙友里は警察の事情徴収で忙しかったので、一段落したら話をしようと、湯太郎は好きな温泉に入った。
御風呂に入りながら、湯太郎は思った、、、ややっこしくなったなと。。。,
でも、よくよく考えると、他人事だと思い、少しわくわくしてきた。
初めての身辺調査の途中で、まだ、わからいが人が死ぬということ、、、もしかしたら殺人事件または自殺と、、
湯太郎が調査をした限りでは「自殺は無い」と思えた。
そうすると殺人事件だ、、、調査をやるきになって入った。
兎に角、女将沙友里との話をしてからだ。。。。

4.女将沙友里からの再調査
女将沙友里から、湯太郎は頼まれた。
亭主の富雄が、どうして水死体であがったか、、、自殺なのか、それとも他殺なのか、調べて欲しいということを、、、
徳川湯太郎はさしずめ急ぎの仕事もないし、急いで東京へ戻ることもなかったので、改めて、岡田富雄を徹底して調べることにした。
まず、草津警察署に行き、許される範囲の情報を得た、そして、岡田富雄の仕事関係を調査した。
別荘取引で不正はなかったか、取引先とのトラブル、特に金銭関係を一つひとつ追っていった。
更に噂されている女以外に問題はなかったか調べていった。
そして、岡田富雄と関係のあった女の行方が分からくなっていた。
そこで、湯太郎は女将沙友里に尋ねた、行方不明の女を探すために、その女の戸籍を調べて、追跡調査をしないとと。。
そして、了解をもらい、その女の戸籍がある九州鹿児島まで行くことになった。

5.湯太郎、、、鹿児島へ
鹿児島に着いた探偵湯太郎は鹿児島市役所へ行き、岡田富雄が付き合っていた女、佐藤美幸の戸籍謄本、住民票は動いていなかった、それで、本籍地のあった鹿児島市田島町を訪ねたが、親兄弟が誰も住んでいなかった、住所地近くで聞き込みをしたら、中学を卒業して東京へ行ったという。
東京へ行ったというだけで、何も分からなかった。
探偵湯太郎は草津に戻った、そして、草津で働いていたというクラブを訪ねた、
しかし、岡田富雄と付き合っていたことまでは分かった。
女、佐藤美幸(源氏名はあけみ)との付き合いで、草津に別荘を買って、岡田富雄と暮らしていたという。
その別荘地での周辺での調査では目立った動きはなく、詳細についたわかなかった。
しかし、探偵湯太郎の調査では、その別荘からげ不明で、姿が見えなくなっている、、、その別荘絡みで何かがあったような、、、、
そして、その別荘に住んでいた女、佐藤美幸の姿が見えなくなったころに、岡田富雄も行方不明になっていた。
探偵湯太郎はこの辺の事情を調べてみようと、、岡田富雄の分譲別荘事務所から、聞き込み調査を始めた。

6.探偵湯太郎、、草津の調査
探偵湯太郎は、岡田富雄の別荘分譲販売事務所を訪ねた。
社長の岡田が死亡してからは事務所は閉められた。妻の沙友里が頼んでいる弁護士に事務所の整理をさせていた。
警察から捜査が入れば、弁護士立ち合いで行っていた。
経理上の問題は弁護士と担当経理事務所が調査をして、問題なく、不正も行われてはいなかった。
いわゆる使い込みは無かった、、、金銭的なトラブルもなく、順調に売り別荘は売れていたようだ
残るは行方不明の女との何らかなトラブルしか考えられなかった。しかし、女が行方不明のために、その理由が分からなかった。
そして、消えた女が謎めいていた。
それは水商売をしていた時も、人の付き合いはほとんどなく、目立つ女ではなかった。
見た目には派手ではあったが、性格は地味だったような、、、
そして、岡田富雄との付き合いも知らないようだった。
しかし、消えた、、、謎が多い。
今回の岡田富雄との間にもトラブルはなく、男と女の間も、派手には目立っていなかった。
調査していけばいくほど、不思議だった。
気になることは別荘の権利の事だった。女が住んでいた別荘は他人名義だった。
その名義人を訪ねると、それは女の弟名義だった。
今回わかることは、岡田富雄は死亡。その付き合っていた女は行方不明。そして、唯一、金銭が絡んでいれば別荘だけだったが、その名義は女の弟の名義だけだった。
謎だらけとなった、、、探偵湯太郎も考え込んでしまった。
しかし、調べているうちに大変なことが分かってきた。
女の弟たちは、まだ、無解決の5億円強奪に絡んでいたような。。。。

7.岡田富雄殺しの真犯人は。
探偵湯太郎は行方不明の女、佐藤美幸の弟たちが絡んでいると思われている5億円強奪事件を調べてみた。
2年前のニュースにもなっていたので、事件の内容を追ってみた。
佐藤美幸の弟、佐藤貞夫たちは三人グループで個人金融会社の情報を入手して、その会社の裏金を強奪してのであった。
金額については発表されていなかったが、後から表面化してしまったのであった。
そして、佐藤貞夫たちは疑われていたが、未だに行方不明なのだ。
警察でも未だに三人の行方が分からずに、事件は解決には足らなかった。
しかし、佐藤美幸が岡田富雄と付き合っていたころに、噂話で弟の佐藤貞夫が訪ねてきたという話もあった。
そして、佐藤美幸に5億円の隠し場所を教えてという話もあり、その真意については警察でも調べていた。
そんな取り調べがあったころに、岡田富雄は水死体で四万川に上がった。
そして、佐藤美幸も消えた。
警察では探した、、、二人の行方を、
しかし、二人の足跡は別荘付近で消えたのであった。
警察の推測では5億円強奪の仲間割れにより、二人は殺害されてしまったのではと、、、、
そして、岡田富雄は何らかの理由で、道連れ殺人にあったのではと、、、、
それも推察の域を出ていない。
探偵湯太郎も警察等の情報をまとめると、結論は三人とも既に死んでいるのではないかと思った。
そんな報告を依頼主である岡田沙友里に出して、草津の湯を後にした。
数年後、探偵湯太郎は岡田沙友里から依頼された事件が気になり、分譲別荘の場所を訪ねたみた。
別荘は取り壊されて、跡地だけに草が生い茂っていた。
当時の取材をかねて、草津警察に行き事情を聞きだした。
別荘には佐藤姉弟が埋められており、、5億円は行方知れずだったという。
金が絡んだ人間の争い、、、最終的は人とは命を賭けて争うものだと、、、この世の地獄図を見たような。。。。

8.探偵湯太郎旅、、、飛騨高山祭
下呂温泉に浸かる湯太郎
名古屋から飛騨高山線で下呂温泉まで、列車旅だ、、、山間を抜け、渓谷らしき川を横目に列車は走る。
下呂音泉に着き、お目当ての温泉宿に入る、素敵な檜風呂に浸かりながら、草津での探偵調査の疲れを癒した。
初めての探偵仕事だったので、いろいろ気を使い適度に疲れた、若さゆえにやり遂げられた。
下呂温泉は昔から美人湯と言われ、綺麗なお湯だった。
お風呂から出て、夕食まで時間があったので、近くを流れる河川敷に降りてみた、河原の石の間からお湯が沸きだして、小さなプールごときな穴を作って温泉欲をしていた。
気持ちよさそうな温泉風景を醸し出していた。
湯太郎は時間を見計らって、夕食の席に戻った。
山間の温泉にも関わらず、料理は美味しかった、川魚料理が中心で、鮎の塩焼き、ヤマメの刺身と、、、、
山菜料理も美味しく、天ぷらにした山菜も美味しかった。
食事中にその宿の若女将が挨拶に回ってきて、丁寧な料理説明や温泉話を聞かせてくれた。
湯太郎は聞き入っていた、、、綺麗な声に、、綺麗な顔立ちに。。しばし、うっとりと。。。
その御かげかも知れないが、料理が美味しく思われた。」
そして、次の日に行く、飛騨高山の話を聞いた。
(湯太郎、飛騨高山散策探偵)
探偵湯太郎は大学時代の友達が、飛騨高山に住んでいた。
地元でホテルを経営している父親の家業を継いでいた。
そして、相談事があるというので訪ねた。
老舗らしく荘厳な構えのホテルだった、少し街並みから外れた郊外に立っていた、冬の間は雪が多く、ホテルへ通じる道も困難なほどであった。
尋ねると友達の結城勝が出迎えてくれた。
「久しぶりだな、、、元気だったか、、」と、大きな声をかけてくれた。
探偵湯太郎も友達の結城勝と抱き合って、久しぶりの再会を「とりあえとりあえず、上がれよ、、、」
と、湯太郎を用意してくれていた部屋に案内された。
二人は再会を懐かしんだ、、学生時代は同じ学生寮にいたので、朝夕に顔を合わせていた、よき友であり、喧嘩相手でも会った。
雄太郎は友達の結城勝の話を聞いた。
「実話というと、、、、、」詳しい話によると、経営する父親が手形詐欺にあい、多額の借金で追い込まれている状況とのこと、、、人の良い父親は商売仲間に騙されたというのであった。
そこで法科卒業の湯太郎に相談してきたのであった。

(湯太郎、ちょっと前の法学生に)
学生時代の仲間、悪友でもあった結城勝の話を聞いた。
彼の父親は、小さなホテルでもあり、人で不足から、将来は飛騨高山の市街地に移ろうと考えていた。
息子勝と二人で、高山の街で、二人でできる小料理屋をひらいきたいと、常日頃から雪深い山間地で一人思っていた。
そんな時に、父親、茂は知人の紹介で知り合った、不動産リゾート会社の前田社長と懇意になった。
たびたび、茂のホテルにくる機会が多くなってきたので、相談をしてみた。
そして、ホテルごと、1万坪の山林を含む土地を買ってくれという話がまとまり,トントン拍子で契約になった。
茂の予想していた1億円でと。。。
そして、全てが現金でなかった、、、頭金、1千万であったが、残金は約束手形で分割となった。
しかし、茂は前田社長を信じていたので、、何度も宿泊してくれる人柄を信じてしまったのである。
後から考えれば、それも罠のうちだったかも知れない。
父親は頭金も受け取ったし、約束手形で決済したので、不動産物件の名義をかえてしまっていた。
そして、物件すべてを譲渡して、自分たちは近々、ホテル自体を明け渡すことになっていた。
約束手形を銀行に預け、不動産担保にして、現金が振り出される時になって、融資銀行からストップがかかったのであった。
慌てたのは茂だった、不動産の名義は第三者に渡り、明け渡す期日まで決まっているので、、、
買ってくれた前田社長に連絡をしたが、連絡取れずの行方不明となり、父親茂は困った。
不動産名義を変えた、第三企画リゾート株式会社からは確認連絡が入り、、茂は詐欺にあったことを痛感した。」
遅かった、、、見事に詐欺集団に、その計略の罠に落とされたのであった。
一人夢見た小料理屋が消えた。
それよりも無一文近くなってしまった。
実は受け取った一千万円はすでに、小料理買収の手付金で支払い済であり、、、茂は本当に無一文になってしまったのであった。

(8)騙された父親茂のために。。
(巻き返しの秘策)
探偵湯太郎は話を聞いて思い出した。
差し止めという言葉を、、、とにかく、不渡りという事実があるので、その原因となる不渡り約束手形の金員だけを差し押さえする訴訟を起こすことにした。
友人の結城勝に裁判手続きをさせたのであった。
そして、その売買を約束手形で履行したのであるから、その分の差し押さえを、「不動産担保」にしてあるので、不動産の使用禁止の差し止め手続きをした。
そのことにより、名義を変えた、「第三企画リゾート株式会社」はその名義を変えた不動産を使用できなくなった。
当然、第三企画リゾートは意義を申し立ててきた、しかし、法的には実際の売買金が結城茂に支払れていないことが、裁判で立証だれたので、「使用差し止め」が行われたのであった。
第三企画リゾートは結城茂のもとに商談に来て、譲渡してもらおうとした。そこで、不渡りになった金員だけをっ結城茂は要求したのであった。
その商談はまとまらなかった。
一方で結城茂は裁判で立証されて判決文により、前田社長を告訴した、、、そん結果、詐欺事件として前田社長は逮捕された。
そのために。第三企画リゾートも警察の捜査が入り、前田社長と計画的に詐欺をしたことが立証された。
そして、結城茂の不動産は時間は要したが、無事に戻った。
友人の結城勝は感心したと同時に湯太郎に感謝した。
そして、全て事件が解決したあかつ気には、、、
「湯太郎、、、遅くなるけどお礼をするよ、、、本当にありがとう、、、」
湯太郎は探偵というか経済的なトラブル調査を専門に、商売をしようと思ったのであった。
結城勝にお礼と言って、下呂温泉に招待されて、一晩ゆっくりして、東京へ戻った。
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妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
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男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

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