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新美しき狼
新美しき狼
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新シリーズ小説、新「美しき狼」。。。。女復讐代行シリーズ1
1.女恨み節する。
月野ひとみは裁判官勤務をしていた、常に裁判で弱いものが負ける、民事事件では絶対と言っていいほど金のないものが敗訴して、損をする。
裁判官をしていて、思い知らされたのであった。日本の法治国家では、人は誰でも法律に守られていると言いながら、まるで話が違っていた。
世の中の権力者、金持ちたちが最終的にはいい思いをしていた。そんな裁判を主体とした世の中の仕組みにうんざりさせられた。
そして、社会で弱者と言われても、法治国家では守られなければと思い、新たに弁護士の道を選んだのであった。
月野ひとみは事務所を構えるにあたって、事務所勤務で調査もできるということで、母の弟で無職中の叔父である、月野泰三を茨城つくば市に訪ねた。
久しぶりに会った叔父には最初断られた。山籠もりをして自由気ままに生活している、今の自給自足がいいと言われたのであった。
しかし、月野ひとみが弁護士に転職した理由を話して、承諾してもらった。
一日泊りがけの交渉だった。
東京に戻った月野ひとみは事務所開設の準備をして、叔父の月野泰三が上京するのを待った。
叔父のために、事務所近くにワンルームマンションを用意した。
準備はできた、思いっきり、弱者のための裁判をしようと、心新たにしたのであっ
た。
事務所を開いたら、初めから依頼されていた弱者の第一号の織田信子の民事裁判を手掛けようと考えていた。
男に裏切られ、財産をすべて使い果たされた、離婚裁判と損害賠償であった。
弱い女の恨み節であった。
2.初陣。。。月野ひとみ弁護士
いよいよ、弁護士としての仕事始めであった。依頼者は織田信子、31歳で子供が一人いる。財産は建売住宅1件と、水商売をしているので銀座にクラブを持っている。
商売は経営してから5年がたち、順調であった。
離婚原因は夫の浮気と、競馬好きで家庭が崩壊寸前であった。
依頼者の織田信子は一度は許した、しかし、女好きと競馬好きは治らなかった。
特に、競馬好きでは借金をしてまで夢中になり、誰の言うことも聞かなかった。織田信子が銀座で商売をしていることもあり、また、自宅を担保に入れてまで、借金をしていたのであった。
今までも何度も借金の催促をされてきたが、まだ、織田信子の返済が可能だったことから、夫はいいきになり、最終的には仕事もやめてしまった。
毎日がすさんだ生活に追われ、夫もやくざたちとのつきあいもあり生活費まで待って行った。それを側で見ている信子は苦しい日々を送っていた。
一人娘を崩壊寸前の家においておけなった信子は千葉の実家に預けた。
そして、なんどもやり直そうとしたが、結果は悪い方向に向かってしまった。困り果てた信子は知人の紹介で、月野ひとみ弁護士を訪ねた。
相談の結果は離婚しなければということになった。
夫の鉄二は覚せい剤にも手を染めて、暴力沙汰にまでなっていった。借金まみれの夫、鉄二は話を聞いていくと悪事にも手を出していったのである。
覚せい剤絡みのトラブルで、警視庁新宿警察捜査2課の取り調べを受けていたが、まだ、逮捕にまではいかなかった。
しかし、新宿を勢力範囲とした「はんぐれ集団、ことぶき」に所属して、反社会的活動をしていたのである。
信子は夫鉄二の行動を知って、離婚を決意たのであった。
しかし、夫鉄二は反ぐれ集団「ことぶき」の中で、頭角を現して、責任者というか、一部のグループの旗頭になっていた。
そんな悪仲間の中心的存在に、いつしかなっていた。もともと、悪世界の中で生きる素質があったような。。。
そんな悪行世界でも、生活力が出てきて、信子に対しても欲が出て、束縛をするようななってきたのである。
信子はそんな鉄二をますます毛嫌いをするようになり、鉄二は信子に対して暴力を振るうようになってきた。そして、鉄二のもとから逃げたのであった。
鉄二は気ちがいのようなって、信子を探して、追うようになっていった。その繰り返しに信子は疲れ果てた。
そして、月野ひとみが依頼を受けたのである。
3.美しき狼、、、現れる
弁護士の月野ひとみは依頼者、織田信子の夫、鉄二と会うことになり、事務所に来てもらった。誰が見ても、堅気には見えなかった。
「初めまして、弁護士の月野です、、。鉄二さんですね。奥さんから離婚手続を依頼されてます。」
と挨拶をしてから、今回の離婚手続きの内容について話を始めた。
いきなり、鉄二から大きな声で怒鳴られた。
「信子から何を聞いているか知らないが、俺は離婚する気はないから」
と、言われた。
その後の話し合いでも、合意が得られず、話し合いは平行線をたどった。理屈が通らず、まるで子供のように駄々をこねましていた。時折、大きな声を出して、威嚇しているようだった。
月野弁護士は、事務方に元刑事の叔父にいてもらってほっとしたのであった。
何も言わないが頼りがいを、頼もしさを感じた。
信子の夫、鉄二は、、、、
「離婚問題では話は無い。これ以上、俺たちの離婚問題には口を出さないでくれ、、、俺がおとなしくしているうちに手を引いた方がいいよ」
半ば脅かしている風に態度を荒げた。
そして、事務所の応接セットの椅子を蹴った。その時、事務方の叔父が鉄二を諫めた。
そして、鉄二は捨てセリフを吐いて事務所を出て行った。
月野弁護士は話し合いはできないと思い、裁判において、鉄二の不利益状況を証明して離婚事項を成立させようと思った。
鉄二が帰った後で、叔父の泰三と相談をして離婚不成立の状況資料を、今までの調査資料を基に書き上げた。
そして、依頼人である織田信子に連絡を取り、裁判で決着をつけることを告げた。裁判も始まると、時間を要した。。
夫の鉄二が裁判には出てこなかった。なんだかんだと理由をつけて、、、
そして、嫌がらもして来た。
そんなある日、鉄二が死んだことを知らされた。事故であったが、新宿警察では、その事故を疑った。
離婚問題でトラブルを起こして、反ぐれ仲間でも問題を起こしていたのであった、、、金銭トラブルや覚せい剤問題でも、警察が捜査していたので、、、
新宿警察では反ぐれ仲間から、鉄二は殺されたのではないかと疑われていた。
場合によっては離婚問題で、金銭問題が絡んで、妻の織田信子に殺害されたのではとも疑われていた。
鉄二が死んで、一番、利を得たのが妻の織田信子であったからだ。
弁護士の月野は今回も相談を受けていた。
しかし、鉄二が死んだ理由を知っているのは、月野弁護士だった。
4.新宿警察の真田警部補が疑う
今回の離婚裁判は、夫の鉄二が死亡して審議が不適当になり、判決で離婚は成立した。しかし、夫の鉄二の不信死により、新宿警察が捜査を始めた。
新宿警察の真田警部補は、同じ反ぐれ仲間の諍いにより、殺されたという捜査目的とは別に、妻の織田信子のことも疑っていた。十分に殺意が感じられたからだ。
捜査方針から、月野弁護士のもとに真田警部補が訪ねてきた。
「新宿警察の真田と言いますが、離婚問題で扱っている織田鉄二の件で少々、聞きたいことがあるので、、、ご協力いただきたく、お願いします」
と、、、鉄二が殺されたことは知っていると思うが、真田警部補の話だと、殺された原因が妻の織田信子にもあると疑い、捜査を始めたことを告げた。
真田警部補の捜査では、鉄二が殺されたことにより、妻、織田信子には利害関係があり、殺された当時のアリバイがあいまいであったことによるものと判断された。
それでの捜査とのことであった。月野弁護士には聞かれた、必要なことを話して引き上げてもらった.
真田警部補の帰った後に、依頼人の織田信子の利益の保証を考えた。間違いなく、織田信子には殺意はなく、無実であることを証明しなくてはと、、、、
鉄二が殺された時間のアリバイを探さないと、作らないと、真田警部補はつきまとってくるだろう。
そして、叔父の泰三に織田信子の調査を頼んだ。必ず、あると思っていた。今回の殺人事件のアリバイが。。。。
弁護士月野ひとみには鉄二が殺された理由を知っていたからだ。
叔父の泰三は織田信子の身辺調査をしてみて、確信した。犯人は織田信子ではないと、、、、、
いくら、執拗に調査をしてみても、その日常行動に鉄二を殺すことは不可能であったからだった。
調査で分かったことは、月野弁護士の不可解な行動だった。他人にはわからないが、身内の泰三には直観で理解できたことがあった。
真田警部補が、どんなに捜査しても出てこない事実を知ったのであった。
月野弁護士の過去にあった。
その秘密は身内だからこそ分かったことであった。
泰三はその秘密を知ったけど、今回の調査報告書には記載しなかった。このことは、今後も自分だけの知りえた秘密にしておこうと思った。
そして、自分が守れるこては、影でしっかり、守っていこうと決心をした。
5.警察の対面で鉄二殺しは、。。。
新宿警察としては、反ぐれの鉄二に関わる殺人事件は犯人捜査が思うようにはいっていなかった。真田警部補は鉄二殺しが、反ぐれの仲間割れからの殺人事件とは思わなかった。
しかし、新宿警察は日本一の繁華街を控えているので、トラブルや殺人事件の類が頻繁に起きていた。そのために、反ぐれの仲間同士のいざこざには時間をかけていられなかった。反ぐれ「ことぶきグループ」には覚せい剤疑惑があるので、捜査目的を主体に考えていた覚せい剤捜査に重きを置いて、鉄二殺しはついでの事項として扱っていたのであった。
真田警部補は一人、鉄二殺しにも気を抜かなかった。彼の刑事感とも言う気性がほっておけなかったのであった。
真田警部補の執拗な捜査を聞かされるたびに、月野弁護士は寒気を覚えた。
月野弁護士が依頼されていた、離婚争議も鉄二の死亡で、一段落した。
離婚調停は保留となり、妻の織田信子から取り下げられた。
月野弁護士は鉄二殺人事件について、真田警部補の動きを注意しながら見守った。
離婚争議の裁判も落ち着き、月野弁護士事務所には次の弁護依頼が持ち込まれた。
事件内容は育児問題と育ての男親のトラブルだった。
訴訟した女性は細尾佳代子で、子供一人を抱えて、問題が起きてる男性、今田幸一とのトラブルであった。
現在は、問題を起こしている今田幸一とは同棲中なので、別れたいと争議をの手続きを月野弁護士に依頼してきた。
内容は一緒になったころは子供にも優しく、良く面倒を見てくれていた。しかし、今田幸一の会社が倒産してからは、仕事が見つからずに、毎日、パチンコをしていた。
そして、今田幸一の貯えがなくなるころには少しずつ、生活態度が変化して
6.育児放棄、困窮生活からの逃避行、子供への虐め、虐待
今の世の中、子供は産んだが育児が上手くいかない。大人の勝手で、結婚したり、同棲したりして最初は楽しく生活している。
しかし、世の中は甘くない。生活が苦しくなり、自分たちの欲望だけでは生きていけない。
男と女にとって、最初は可愛い子供がいつしか、いつの間にか邪魔な存在になり、時には憎しみさえ覚えることになる。
いつも被害者は子供だ、、、弱い子供が犠牲になる。
子供を守るべき、法律的な施設もあり、法律で守られていることにはなっているが、建前であり、思うようには生かされていない。
子供の緊急事態が起きて、児童養護施設の係員や行政の生活指導員が動いても、法律的な規制があり、機能していないことが多い。
そのために世の中では不幸な事件が多発している。
こんなご時世の中で、育児問題のトラブルを引き受けることは大変であり、月野弁護士は覚悟はしていた。
月野弁護士は叔父の泰三を伴って、依頼人の夫、細尾正一郎と会うことにした。事情を知っておくために、細尾佳代子宅を訪問した。
細尾佳代子は親の仕事を引き継いだために、実家の酒屋問屋を営んでいた。
親の実家は茨城県石下町で古くからのつくり酒屋であり、経済的には恵まれていた。
そんなこともあって、夫の正一郎は失業後も、毎日、好きなパチンコや競馬などの賭け事にしていた。
妻、堀尾佳代子も最初のうちは、次の仕事が見つかるまではと大目に見ていた。正一郎はパソコン関係の専門職に就いていた。特に経理には詳しく明るかった。次の仕事は紹介あったが、気乗りがせずに遊んでいた。
しかし、付き合う人たちが地元の、いわゆるやくざであったために、時間が不規則になり、話し方にも暴言が飛ぶようになった。
そして、子供を見ることもなく、家庭を帰り見なくなり、外泊が多くなっていった。
細尾佳代子は学生時代の同級生の紹介で、月野弁護士事務所に事情を説明して、離婚争議を依頼したのであった。
そのために月野弁護士は叔父の泰三を連れて、茨城県の石下町の自宅を訪問したのであった。
夫の正一郎は留守だったが、今日は戻るというので待たせてもらうことにした。
夫の正一郎が戻るまで、事情を詳しく話してもらい離婚の決意が固いことを知った。
1時間ぐらいしてから、夫の正一郎が戻ってきた。昼間から、どこで飲んでたか知らないが酔っていた。
そして、口調が荒かった。
「弁護士の月野ですが、、、お話しできますか、、、、」と言うと、、、
「話は聞いている、、、酔っているうちには入らないから、大丈夫だよ」
というものだったので、月野弁護士は話始めた。月野弁護士は内心よかったと思った。叔父の泰三を連れてきて、、、
月野弁護士が離婚について話始めると、、、
細尾正一郎は開き直った、そして、言い放った。
「離婚はしてやるよ、、、但し、離婚承諾金はもらうから、、、子供の面倒も5年間、見たからな。。。。」
正一郎は豪語した。そして、離婚承諾金は後で計算して、請求するよ」と、、、、
妻の細尾佳代子の調査では、つきあっている地元のやくざ「地回り」に借金があって、身動きできない状態であった。
月野弁護士が、借金はいくらあるかと聞いても、今は言えない。
後で連絡するからと、、、、、その借金の話が付けば、離婚はすると。。。
しかし、月野弁護士は信用できないので、叔父の泰三に踏査を依頼した。
その結果のはなし合いにした。
7.地回りに利用され、捨てられる、哀れな男
叔父の泰三の調査では、細尾正一郎は地回りやくざ「石毛興行」からの借財だけでも、1億円はあり、その他のクラブや小料理屋等のつけも相当溜まって、今では何処へ行っても酒一滴も飲めない状態であった。面倒見てた女にも縁を切られ、自分の家以外に寝るとところもなく、地回りやくざの「石毛興行」のところで厄介になっている。
そんな状況にありながら、家に帰ると大柄な口を聞いていた。
妻、佳代子は金で清算できればと思っていたが、現在の家業では支払いは不可能であった。
夫、正一郎に金を都合つけたやくざ「石毛興行」は現在の状況を見て、返済を迫ってきた。金が無いのを知っての催促であった。
石毛興行では細尾正一郎に対して、「この借金はどうするつもりだ、、どうやって払う、、、」と催促をされていた。なまじな言葉での催促ではない、、、脅しを超えたいた。石毛興行でも必死であった。
石毛興行からは、、、「正一郎、、、、お前、死んで払うか、、、生命保険でもかけてよ。。。」そうでもしないと払えないだろうと、、、。
「正一郎、、お前な、マグロ船に乗っても間に合わないぞ、、、なんかい乗ればいいんだよ、、、、命がもたないぞ、、、」
石毛興行からは毎日、脅かされてた。
正一郎も生きた心地はしない、、、何回、死のうかとも思った。しかし、元来が気の小さい男だから、そんな気持ちも一晩寝てしまうと、忘れてしまう、そんな能天気なところもあった。
正一郎が考えたことは、自分が婿に入った造り酒屋「きくや」を差し出すことだった。「きくや」には土地がある。それも造り酒屋の敷地以外にも、山林や田畑もあったので、、、、この話を「石毛興行」に持ちかけた。
そこで、相談をして、正一郎が土地謄本を持ちだして、その名義を「石毛興行」に書き換えることだった。
正一郎と石毛興行の若頭若本南海男は相談していた。返済する方法は他にはない。そして、正一郎が土地登記簿謄本の原本を持ち出し、勝手に名義を書き替えて、それを「石毛興行」に代別返済という方法で登記したのであった。
誰が見ても詐欺行為ではあるが、正一郎としては、義理とはいえ親子関係にあり、贈与するというかたちのの書類を作成したのであった。
そして、名義変更がおなわれた日から数日が過ぎて、石毛興行から通達書が届いた。
慌てた、妻、佳代子から弁護士月野事務所に連絡が入り、月野弁護士は石毛の細尾宅へ向かった。
妻、佳代子から通達書を見せてもらい,あぜんとした。
間違いなく詐欺行為であり、法的手続きを取った。しかし、先きいき厄介なことになると思った。
そして、事件が起きた。
離婚訴訟相手の夫、正一郎が殺されて、地元警察の取り調べが細尾佳代子にのしかかってきた。酒蔵「きくや」の車の中での死亡であった。死亡原因は薬中毒とのことではあるが、本当のところはまだわかっていない。噂はいろいろ飛び交った。
やくざとの金銭問題で殺されたとか、女がらみのトラブルで、女に薬を飲まされたとか、女房に浮気と金銭問題で殺されたとかであった。
そんなことで、妻、佳代子にも容疑がかかったのであった。疑われたが逮捕まではいかなかった。取り調べは続くようだが。。。。。
月野弁護士からみの、離婚争議はどういうわけか、殺しが絡んでしまっている。
そんなことで、以前より何か事件に絡みがあるのではないかと、新宿警察の真田警部は目を光らせ、興味津々とうかがっていた。証拠も何もないので、表立っての動きはできなかったが、月野弁護士絡みの訴訟事件には興味を持っていた。
正一郎の殺人事件の犯人は今だ、特定できていなかったが、石毛興行との金銭トラブルは本人が死亡したために両者の話し合いで、月野弁護士立ち合いのもとに合意が得られた。酒蔵「きくや」が現金を用意した。所有の土地を処分し、銀行借り入れをして、何とか現金を支払った。石毛興行以外の借財は、酒蔵「きくや」が分割で返済することになった。
正一郎だけ死亡して、その犯人は捕まっていなかったが、離婚争議の問題関係はかたずいた。
月野弁護士は、とりあえず細尾佳代子の依頼は終了したので、東京へ戻った。
8.京都の風は冷たい
京都と言えば、日本の歴史の故郷、、、なんの歴史を語るにも、物語の中心に当たる素敵な街、、、近代国家を築いた歩み、幕末時代の勤王の志士たちの話でも興味をそそる話は山ほどあるような、、、、
そんな街で、月野弁護士は事件の依頼を受けた。裁判官当時の知人の紹介で、今回は京都まで出張してきた。
知人の名前は桂桔梗という、京都花街の芸者のトラブルであぅた。16歳から仕込みを経て、芸子を経験して芸者になった女性であった。彼女は花街での経験も豊富で、客層も上客を持っていた。
いずれは置屋をやるつもりで準備をしていた。
ところが、長い付き合いの旦那と言われる人が突然死亡して、一番頼りにしていたスポンサーが消えてしまった。
彼女、桂桔梗、当てが外れてしまった。そこで、やりて姉さんと言われた彼女は後ろ盾に、何人かの旦那衆を付けたのであった。
最初は旦那衆も応援していたが、男とは勝手なもので、時が経つうちに欲が出てきて
己一人のものにしたくなったのであった。
色ボケした男どもの醜い争奪戦が始まってしまった。欲ボケした男どもが表面に出てきたので、色街の商いに支障をきたし始めた。
売れっ子芸者に、あまりにもはっきりした、色ボケ男どもがいては、誰だって面白くないはずだ。
それで何とかして、この問題を解決しようとして桂桔梗は考えて、知人に相談したのであった。その結果で月野弁護士が依頼されたのだった。
まるっきり、法律的な問題はなく、男と女のトラブル、花街の色恋問題であった。
依頼された月野弁護士も困っていた。
いい解決策はないものかといろいろと考えた。そして、叔父の泰三にも相談したのでった。
風流人の住む街での、男と女の風流世界の贅沢な話であった。
月野弁護士は叔父の泰三に、今回の仲裁というか、取り持ちをしてもらおうとしてた矢先に桂桔梗に熱を上げてた二人の、恋ボケ老人の一人が旅行先で銃殺されたのであった。二人の恋ボケ老人は、京都の広域暴力団秋田会の最高顧問で広田肇と局長代行の鴨志田功であった。
以前より何かというと、同じ秋田会でも気が合う二人ではなかった。金銭問題ではいつももめていた。
その最高顧問が有馬温泉で療養中に暗殺されたのであった。同行していた幹部組員の一人、相場三次郎も暗殺された。
この事件が起きて、組内でも、京都府警でも大騒ぎであった。組内の抗争であったが、このことが原因で秋田会は二つに割れ、一時もめにもめていた。
しかし、局長代行、鴨志田功側に勢力は傾き、抗争は収まった。
そして、桂桔梗、芸子の問題もいつしか静かになった。色恋沙汰ではなくなり、命のやり取り合戦は消えた。
世の中、色恋よりも、権力闘争に軍配は上がった。
この時の組内の抗争で銃殺された、最高顧問の死には疑惑が残った。
風流な京都の街にも、物騒な冷たい風が吹いていた。
しかし、今回のやくざの抗争問題で、月野弁護士が依頼されたトラブルは消えてしまった。
月野弁護士と泰三は、出張が多く、次の依頼主は鹿児島の女性からであった。
9.桜島は威風堂々
月野弁護士は九州鹿児島市千日町に住む、大学時代の同級生の大久保和江から久しぶりに連絡があった。京都まで来てるなら鹿児島まで来ないかと誘われた、彼女の嫁ぎ先は温泉ホテルを経営しているので、たまには骨休みに温泉でもと言われて。。。
大久保和江が住んでいる町は、鹿児島市千日町で南九州一の繁華街「天文館」の近くだったので、月野弁護士は叔父の泰三を連れて訪問した。
久しぶりに会った和江はすっかり、若女将が板についていた。子供3人で、夫の大久保光男とも夫婦円満そうに見えた。
ホテルに着くと,さっそく部屋に案内されて、夫婦であいさつに来てくれた。
優しそうな旦那で、月野弁護士は安心した。
仕事が一段落したら、夜にでも遊びに来ると言って、一端、和江は部屋を出たいつた。
和江が来るまで、月野弁護士も叔父の泰三も温泉でゆっくり、時間を過ごした。
温泉に入りながら、月野弁護士は鹿児島の歴史にふけっていた。
鹿児島は明治維新の立役者、西郷隆盛、大久保利通の出身地であり、近代国家の源でった。そして、維新の締めくくりとして「西南戦争」があった。
そんなひと時の昔を、歴史を楽しみながら温泉を満悦した。
夕食時には大学時代の友人、和江が時間を割いて付き合ってくれた。そして、楽しい食時と思い出を過ごすことができた。
その晩は本当に素敵な、楽しい時間を過ごし、満足した月野弁護士だった。
昨夜のうちに話があった、息子の博の相談に乗った。
息子は20歳になり、鹿児島の私立大学へ通っていた。現在付き合っている女性が妊娠中で、母親の和江は息子、博から事情を聞いていた。
付き合っている女性の父親は地元のやくざの親分で、その親から責任問題で迫られていた。
地元のやくざで「薩摩連合」という、古くから地元に根を張つている博徒一家であった。友人の和江は本人同士が認めあっているなら仕方がないと思っていた。
しかし、男親の大久保糸太郎は認めなかった。理由は昔から「薩摩連合」をしっており、大久保糸太郎と「薩摩連合」の大田原茂三との間でもめ事があったらしい。
それを大久保糸太郎は未だに許していなかったのであった。
大久保夫妻は頑固な男親を説得できずに困っていた。
息子、博の相手の親である「薩摩連合」の大田原茂三もそのことは忘れており、大久保夫妻もそのことにはこだわりはなかった。
頑固にこだわっているのは男親の大久保糸太郎だけだった。
そこで、月野弁護士を入れて相談したことは、、、
息子たちは一緒になったら、一定期間別に住むことにしたのであった。頑固な爺さんも顔を合わせなければ、それで周りの家族が良ければ仕方がないことと。。。
すべてが丸くは収まらいが、、、良しとすることにしたのであった。
まだまだ、鹿児島には頑固な一徹ものがいるようだ。。。。
鹿児島の桜島のように、火を噴く昔気質の人間がいるようだ。
わかつてはいるが、言い出したら後には引けない頑固者が。。。。。
9。東京へ帰る。。。美しき狼
月野弁護士は叔父の泰三とともに東京へもどった。事務所には手紙やファックスが溜まっていた。それらに目を通して、とどこった仕事の順位を決めた。
整理をしていたところに、警視庁捜査一課の真田警部補から電話が入った。
「ご無沙汰しています、、、先生にお聞きしたいことありまして、お邪魔したいのですが、ご都合はいかがでしょうか」と。。。。
「はい、月野ですが、、、明日なら何時でもいいですよ」ということで、、、
月野弁護士たちが東京へ戻った翌日に、真田警部補が訪ねてきた。
真田警部補は挨拶をして、事務所の応接セットに、、、、そして、
「お忙しそうですね、、、弁護士のお仕事も大変でしょう。。。」
真田警部補は今までに月野弁護士が処理してきた問題トラブルについて、特に依頼者の相手が死亡した件について、聞いてきた。
事件内容は月野弁護士の依頼者同士のトラブルから、事故死したようですが、真田警部補から見たら、不審死を感じていた。
そして、当時の死亡した依頼人の相手、離婚相手の夫の行動を真田警部補は自分なりに調査したのであった。その結果、二組の死亡の原因は反ぐれ仲間のいざこざとやくざとの金銭問題が原因であったが、本当の犯人は逮捕されていなかった。
どちらも金銭問題などの仲間同士の抗争的なものであり、殺人事件としての犯人は無く、自殺的なこととして処理されていた。
真田警部補から見たら不自然であり、何か第三者の手が加えられたように感じたのであった。恨み復讐的な匂いを。。。。
そこで真田警部補は確認を兼ねて、月野弁護士を訪ねてきたのであった。
二人の話を聞いていて、叔父の泰三も、その意味を納得しながら疑問を持っていた。
そして、真実は知りたかったのであった。
月野弁護士は真田警部補にはさらりと答えた。
「私には離婚争議を解決するために相談を受けたので、依頼者の夫に関しては、詮議していなかったので、そこまでは深く考えませんでした」と、、、
その後も真田警部補は、事件について訊ねてきたが、証拠があるわけではなかったので、表面上だけの質問、話になってしまった。
そして、一時間ぐらい真田警部補はいたが、何かあったら、また来ますということで帰っていった。
叔父の泰三は、これは厄介なことになったなと思いながら心配した。
10.月野弁護士の秘密
月野弁護士は両親を小学3年生の時に交通事故で亡くした。その後は姉夫婦に育てられた。月野弁護士の家は三重県松坂でも有名な呉服商であった。
呉服商の実家を継いだ姉夫婦には子供が二人いた。そのために、月野ひとみはどちらかと言えば、食べさせてもらっているだけで、ほとんどかまってもらっていなかった。よく言えば自由気ままに育った。悪く言えば洋服一つ、盆暮れに買ってもらえる程度で、自分で使えるお金はなかった。
松坂では立派な店構えであったが、月野ひとみはアルバイトをしていた。そして、バイトをしていることには、姉夫婦は何も言わなかったのであった。
それで、中学時代から学校が終わると、高校卒業まで合気道道場の掃除をしていた。
合気道道場の松坂師範は、月野ひとみの生い立ちを知っているので、何かと世話をしてくれた。また、彼女は運動神経もよくて、道場清掃の合間に稽古をさせてもらい、高校を卒業する頃にはには「合気道3段」にまで上達していた。
姉夫婦からは束縛もされず、アルバイトに合気道の稽古に励んでいた。その反面、地元の不良仲間からも一目がおかれていた。
そして、月野ひとみの所属する不良仲間と対決するグループとのいざこざにも、駆り出されていた。
ひとみがいるだけで不良グループの勝敗は決まっていた。
松坂では、女番長で振舞っていた。しかし、悪さをするわけではなかった。
不良仲間同士の争い、喧嘩に強かったのであった。そして、仲間に対する思いやりや、優しさを持つていた。
不良仲間でその親が子供苛めが酷く、家に帰るのを拒んでいた仲間がいた。
その仲間は柴田芳江と言って、何度か家出を試みた。そのたびに、親に連れ戻されて、暴力を受けていた。
その柴田芳江を自分の家に泊めたことがあった。しかし、その晩に柴田芳江の親が乗り込んできて、連れて行ったことがあった。
その時、柴田芳江を、月野ひとみの家から引きずり出して、ひとみの家族のいる前で、殴るの、け飛ばすのと酷かった。柴田芳江が泣きながら誤っているのに、やめない、その親に対して、月野ひとみの育ての男親が止めに入った。
「あんた、いい加減にしたら、子供が他人の家に泊まりに来たぐらいで、、、、
殴るのをやめろよ、、、」と真剣に怒った。
それを見てた月野ひとみは。。。「へえーー、いいとこあるじゃないか」
と少しだけは見直した。
月野ひとみは、子供を、女の子を殴るという暴力を許せなかった。
自分の父親に関しては、無関心、放任主義、かまってくれないと思っていた。友達の殴られる様子を見ていた、少しは救われた。
月野ひとみはその後の、不良同志の喧嘩に違いが出た。
不良仲間の家族関係を聞いて、知って、変わってきた。不良の道に走った家庭環境に腹を立てた。
そして、夫婦が結婚して子供を作って、その育てる家庭において、自分の子供を虐待する親を絶対に許せなかった。
不良仲間が親から虐待されていたのを見てから、変わっていった。
そして、自分の育ての親の対応を見て、少しだけ、親を見直したこともあつて、本気で将来を考えた。
そして、その時から勉強もした。
11.月野弁護士への脅迫電話
今回の出張から帰った後に、月野弁護士に脅迫電話が鳴った。
内容は彼女の故郷の不良仲間の柴田芳江と共謀して、彼女の父親を殺したという話であった。彼女の父親は上山温泉に行き、酒好きな性分で、その日も酔って崖から落ちて死んだことになっていた。実際に地元の警察の調べでも、転落死であり、一緒に行った柴田芳江もそう証言していた。
その時のアリバイに月野ひとみは嘘の証言を、柴田芳江より頼まれ証言していた。
その証言がなければ、柴田芳江は疑われていたのであった。
その事実は二人だけの秘密であり、柴田芳江はすでに亡くなつていたので、その秘密は誰も知るものはなかった。
それを今頃になって、電話で脅迫してくる人間がいることに不思議であり、疑問に思つた。しかし、電話をしてくる人間がいたことは事実であり、月野弁護士は不安を覚えた。
その日から、定期的にその脅迫電話は鳴った。
無視はしていたが、頻繁にかかる電話に恐怖さえ感じてきた。今更、証拠もなく、嘘のアリバイをしただけなのにと思った。しかし、弁護士という職業柄、まずいことになったなと、、、とも思った。
その脅迫電話が鳴った時に月野弁護士は話した。
「あなたは誰ですか、、、、なんの証拠があって、そんな電話をしてくるのですか」
と、、、しかし。電話の向こうで、、、笑うだけで、、、
何も話してはくれなかつた。。。
月野弁護士は何も話してくれない電話、一度、松坂での事件の話だけで。。。
その後は常に笑いが聞こえる電話だけだつた。
その不気味さに、震えを覚えた。
その後の弁護士活動にも、いつもの情熱をもって、当たることなく、少々負鵺になつたような。。。。
何時もそばにいる、叔父の泰三もいろいろ知っていたので心配した。
そんな状況の時に、離婚争議と、その夫に絡んだ贈収賄の事件以来があった。
昔の裁判所仲間からの紹介もあり、裁判所仲間と会って帰つてからは、少し元気になったようだった。
脅迫電話の件は、来たら来たで、その時対応すればいいかという、少し、開き直つた気分になった、、どちらかと言えば、気持ちは大きい方で、あっけらかんとしていたので。。。。しばらく、脅迫電あもならず、今回の依頼事件に没頭した。
12.久しぶりに法廷で、、
あきれる法治国家に月野弁護士は離婚争議の調停で久しぶりに裁判所に出廷した。懐かしい法廷であった。現在のあきれた裁判の判決に愛想をつかした月野弁護士であったが、今回は離婚相手の相場紘一からの申し出であり、裁判所で決着をつけたいということであったので、、、、
離婚相手の相場紘一は現在、談合贈収賄に絡んだ事件で取り調べを受けているのであった。国税庁と公正取引委員会から、厳しい捜査をされている。
場合によっては検察庁から逮捕状が出るとの噂もあり、法的規制の中で、離婚調停事件ではいつものように強い姿勢では構えてはいられなかった。しかし、相場紘一は大物政治家を要しているので、妻、相場直美に対しては甘く見ていた。離婚争議は最終的には金で解決できると。。。。
そして、政治的圧力で裁判所も大きな事件にならずに、揉み消せると思っていたのであった。
だが、今回の離婚争議には女性問題も絡んでおり、妻、直美も覚悟を決めていたので、相場紘一の思う通りに簡単にはいかなかったのであつた。
その後の裁判で、金銭問題と財産問題、特に住んでいる住宅「大邸宅」の問題では解決しないで揉めた。
そして、離婚争議に時間がかかっている間に、相場紘一は検察庁から逮捕されたのであった。今回の談合贈収賄事件は大物国会議員が絡んでおり、検察庁も簡単にはあきらめなかった。
しかし、月野弁護士にとっては、以外な落とし穴に吸い込まれてしまった。贈収賄事件には直接関係はなかったが、月野弁護士の過去の事件、脅迫電話の主が現れ、脅しを入れてきたのであった。
贈収賄事件は大物政治家や警察内部の造反によって、揉み消されたのであった。
そして、離婚争議に絡んだ金銭問題が問題になり、どうしても、この離婚争議は取り下げしないと、解決しない羽目になり、月野弁護士への圧力となったのであった。
また、離婚相手の妻にも甘い罠が投げかけられた。
人は最終的には金であり、富であり、地位が与えられると変わるんものであった。
相場夫妻の離婚争議は、争いではなく、まとまってしまったのであった。
13.月野弁護士怒る。。。。
今回の相場夫妻の離婚争議は、一見穏やかにまとまったようであったが、その後の展開は予想外になっていった。
相場夫婦は金銭問題でも、住宅の問題でも、妻の直美が欺かれた形になって、精神的に打ちのめされていった。時間が経過していくうちに妻、直美は夜眠れなくなり安定剤の服用が多くなり、自殺に追い込まれた。
余りにも悲惨な方向に進んでしまった。そして、夫の紘一にも不運は巡ってきた。
権力者であり、大物政治家と言われている、原田惣一朗にも今回は検察庁の捜査がしつこく行われていたのであった。いったんは揉み消された形になったが、月野弁護士があまりにもひどい、政治的圧力に対して抗議を申し立てたのであった。裁判官仲間にも、警察関係の仲間にも、久しい仲間は月野弁護士にもおり、出来る限りの手を尽くしたのであった。
その結果、再捜査が行われ、贈収賄事件の証拠を集めて、追い込んでいった。
追い込まれた原田惣一朗議員は、彼の持っている渉外係を利用した。渉外係は元やくざ、元警察官、元自衛隊特殊任務に就いていた者たちがいた。いってみれば「殺し屋集団」だった。
月野弁護士に脅迫電話をしていたのも、その渉外係であった。
従って、もみ消しの出来ない事項については秘密裏に彼らが動いていた。
今回の贈収賄事件についても、いよいよ、揉み消せないとなり、証拠隠滅が行われた。世の中でよく関係者が自殺とか、行方不明とかなる場合がある。
それが、この種の抹殺であり、この世から消えてしまう事件である。
警察、検察庁が原田惣一朗を今一歩で逮捕というところまで追いつめていながら、証拠隠滅が行われた。
相場紘一が自宅で狙撃されてしまった。。。。
ニュースによると強盗に襲われ、銃撃に倒れた。ということだった。
月野弁護士はニュースを知って、やられた、、、と思い、後悔した。
しかし、月野弁護士は怒りを覚え、考えた。
世の中、このままでいいのかと、、、絶対に許せないと、、、、
月野弁護士の反骨心が、沸き上がった。
14.美しき狼吠る
月野弁護士は今回の相場紘一に関する一連の事件でつくづく思った。日本の見せかけ法治国家の仕組みに、、、表面からは法律を重んじる法曹国家であるかのごとくに運営されているが、、、、
中身は嘘パッチの似非国家だ。
法治国家の形は成している、、、警察、検察と、、そして、裁判所はあり、立法国家として、裁判官、検事、弁護士といて、形式的な裁きは行われる。
しかし、現実はどうだろう、、、社会的な地位のあるものが、裏工作をしている。
今回の事件も贈収賄の中心人物が裁判中に事故死を遂げ、大物政治家、民友党幹事長の水野忠助の金力政策、暴力政策が
事実を捻じ曲げてしまった。
日本の民事裁判のいい加減なところで、証拠は隠匿され、事実は口裏を合わされ、うやむやになってしまう。
そして、時が経ち、人々の記憶から薄れてしまい、世の中から忘れられてしまう。
これが日本の法曹国家のような。。。。
月野弁護士はつくづく、法律に携わるものとして情けなく、いつも悔しい思いをしていた。
以前から警視庁捜査課の真田警部補が察知し、月野弁護士につきまとっていた、殺人事件は当たっていたような。。。
月野弁護士には非情なほど、冷酷な行動をとるところがあった。それを知っていた叔父の泰三は常に心配していたほどであった。
月野弁護士も我慢するところは堪えていいた。
しかし、反面に冷酷さ、残忍さを持つ、「美しき狼」は行動を起してしまうときがあった。
相場紘一が死亡してから数日後。。。号外が出た。
民友党幹事長、水野忠助が狙撃されたと。。。
そして、次のニュースで死亡したという、、、
15)真田警部補が迫る。。。
月野ひとみ弁護士はときたま、忘れたころにくる真田警部補が気になっていた。
月野弁護士には秘密があったので、、、叔父の泰三が何かを察したらしいとは思っていたが、、、何も言わないので,そのままにしておいたのである。
月野ひとみはあまりにも強引な権力で、、金力で押し切る「民友党幹事長水野忠助」が許せなかったのだった。
法曹国家の日本において,規則や規律を無視して、横槍を入れて捻じ伏せる権力者を野放しにしている国そのものを許せなかったのである。
そんな悪党社会で、罰を受けて倒れるものが居てもいいのではないのか、、、許されるのではないのか、、、そんな迷いの制裁を課してきた「美しき狼」もいてもいいのではないのかと。。。
暴力は許されるものではない、、しかし、法律にも社会的な制裁を受けずに、悪人が大手を振って歩いていいいのかと思う人間は多いと思う。
矛盾した社会で生きている弱小人間はどうするのだ、、、どこで恨みを晴らすのだ。。誰が悔しい思いをはらしてくれるのだ、、、
矛盾だらけの世の中で、誰が大悪党を懲らしめ、罰してくれるのだ、、、
ふざけた話ではあるが、、社会の矛盾を壊してもいいのではないのか、、、
と、、、、ふと、思うのであった。
言訳かも知れない、、、しかし、、一人ぐらいはやってはいけない「罰」を与えてもいいのではないのか、、、
罰を受けることを覚悟して、、、「地獄意気」で、、地獄に落ちることを覚悟しての生き方で。
そんな生き方をしている月野ひとみ弁護士に真田警部補が迫ってくるような予感をかんじていたのである。
そんなある日、新宿警察署の真田警部補が尋ねたきた。
今日は挨拶に来ましたので、、、「今度、警視庁特捜課に警部として赴任しましたので、宜しくお願いします」と、、、丁寧なあいさつであった。
「不審な殺人や暗殺が多くなったので、、その特別捜査班に配属になりました」
と、、、出世を知らせて来たのである。
月野ひとみ弁護士はそれだけの挨拶ではないと思った。
真田警部の不気味な暗示がうかがわれたのである。
16)美しき狼、殺し屋集団「渉外係」に挑戦
月野ひとみ弁護士は、不安な電話がまめにかかってくるので、調査をはじめたのである。
噂では警察外部の団体の「公安関係」かも知れない部隊が存続しているようなことをきいたのであった。
贈収賄や談合とか脱税に関わる「非合法」な事件が起きると、、、それをもみ消す圧力関係の組織があるような話も聞くのである。
そして、時の権力者や法律関係で都合の悪い担当者を抹殺する「殺し屋集団」ともいうべき、「渉外係」が存在して、闇の世界を暗躍していると。。。
怖ろしいことであった。
国家権力と結びついた「悪の秘密組織」があることを、、知った月野ひとみ弁護士は許せなかったのである。
国家に都合の悪い人間は消されてしまうということだ。
世の中で社会の都合の悪い「裁判判決」をするとその裁判官が地方の裁判所に左遷になったり、、都合の悪い訴訟を扱った検事が、世の中の権力闘争には無縁の地方検査庁に飛ばされることがある、、、
これらはみな、、その類の左遷であった。
日本という国は怖い法制国家である。社会で決められた司法の裁きは、時には権力者によって捻じ曲げられたり、、それでもだめなら「司法」を司る裁判官や検事更には警察関係までも横槍を入れて、、さほどに関係のない地方へ左遷という、上等手段を講じるのであるから、、始末の悪い国である。
歌の文句ではないが、、、
「どうすりゃいいんだ、、、」ふざけやがって、、規則や決まりで「掟」で罰を与えれことが出来ないのら、、、「社会制裁」しかないのでは。
その制裁という「手段補法」を国は講じているのだから、、、さらに、もっと始末がわるいのだ。
月野ひとみ弁護士は知恵を絞って、、、調べて、考えて「暗殺集団」を探すことに集中したしたのであった。
そんなある寒い朝、、、年も押し迫った木枯らし吹いた日に、、
警視庁特捜部の真田警部がやってきたのである。
「今年も終わりですね、、、月野先生どうでしたか、、忙しかったですか」
と、、、挨拶がてらに寄りました、、」
と、、、顔を出したのでした。
「今年も訳の分からない事件が多かったですね、、、特に銃殺狙撃事件が、、、
大物政治家たちが撃たれましたね、、、」
と、、言いながら、探るようにして。
「月野先生の所には何か情報が入ってませんか、、、もし、何かあったら教えください。。」
と、、冗談交じりでお茶を飲んでいったのである。
真田警部が帰り際に漏らした一言が、月野弁護士は気になった。
「最近,公安の動きが多いので、、忙しいんですよ」と、、、呟きながら
帰っていったのである。
17)国家警察の闇の捜査機関「公安第一課」
司法機関には警察、検察、裁判所などの表の顔がある、、、しかし、国を守るためには「公安機関」がある、、、秘密裏に国民全般の中に国を危うくするような団体が存在するのだ。危険団体としては「反社会勢力である暴力団組織」や「右翼などの政治結社」などがある。
それらの犯罪を常に起こすような集団が
存在している社会では、それらを常に監視して捜査をしている機関が「公安代一課」である。
真田警部補は警視庁特別捜査班に警部として配属になり、、反社会勢力の中でも危険を常に持っている「指定暴力団担当の監視捜査」をする様になったのである。
そこで、月野ひとみ弁護士の何かの「公安情報」を掴んだのかも知らないが、、月野弁護士の身辺をいろいろ嗅ぎまわる様になったのである。
「公安第一課」も確証には至ってはいなかったが、、、月野ひとみ弁護士に不信と疑惑を持ち、、捜査を始めたようだった。
叔父の泰三はもともと「公安」にも所属していたので、昔の仲間の部下たちが公安第一課にもいたので、、、姪の月野ひとみ弁護士が心配だったので調べてみたのである。
「ひとみ、少し気になるのだが、、、公安第一課がお前のことを調べているようだぞ、、、大丈夫なのか、、、」
と、、聞いてきた。
月野ひとみ弁護士は少し、驚いた、、、そして、内心心配だった。
覚悟はいつもしていたが、、「そうか、、とうとう来たか、、もっと、、慎重にやらないと」、、、そうおもったのである。
警視庁特別捜査班に転属なった真田警部が尋ねてくるのも、そのためだったかと得心したのである。
これからも根っからの悪人退治をするためには、、慎重に行動しないといけないな、、
と、思いながら行動を控えることに感謝したのである。
「おじさん、ありがとう、、」と、心の中で手を合わせた月野ひとみであった。
18)公安と美しき狼の知恵比べ。。。
月野ひとみも考えた、、、ここでしばらく休むか、、、それとも考えて行動するかであった。
この世の悪は待ってはくれないのだ。月野ひとみの社会悪退治や極悪人追放はホンの一握りの
排除に過ぎないようだった。
しかし、、やらないよりはいいような気がしたのである。
世の中の悪ていては、、極悪人を付け上がらせるだけであり、、法律を捻じ曲げた悪の道を斬り開くやつらを罰しないでどうするのだ。
やっぱり、、やめられない、、、国が法曹国家が正せないのなら、、正義の刃とは言えないが、
責めて「鬼の刃」を振り降ろさないと、、、
そうだよ、、悪を野放しにしてはならないのだ、、、この世から消し去らないと、、、
そう思う月野ひとみ弁護士であった。
公安の取り締まりが厳しくなろうが,月野ひとみ弁護士はやめる気はなかったのである。
悩む月野ひとみ弁護士は叔父の泰三に相談をした。
泰三が言うことには昔の同僚が嘱託で公安の仕事をしているのだった。特に同僚の大岡忠雄は特捜の隠密のようなことをしていた、、、
市中に会って、情報銃集を担当していたのであるので、、、泰三がそれとなく調査することにしたのである。
大岡忠雄は公安に在籍中に「公安第一課の課長補佐」をしていたので、部下にも多数気安く付き合える者がいた。
それで、大岡忠雄からの情報で、現在は「美しき狼」の内定捜査をしているとのことであったのである。
叔父の泰三は姪の月野ひとみ弁護士に今後の行動には細心の注意を払うようにと、、
厳命を言
い渡したのである。
19)美しき狼は死なず。。。
月野ひとみ弁護士は思ったのである。伯父の泰三には世話に成り、それとなく助言をもらい助けて来てもらっている。
感謝していた。伯父泰三が居なかったら、ここまではやってこれなかったと思っている。
本当なら叔父泰三の言葉通りに弁護士だけをしていればいいとは思うのであるが、、月野ひとみ弁護士の性格では出来なかったのであった。裁判官を辞めてまでなった弁護士稼業である。
日本の法曹国家では未だに一部の権力者によって、捻じ曲げられる「罰制度」を治すことも、正すことも出来ないのだ。
社会悪が蔓延り、強者が生き残るような社会では、弱者がいつも犠牲者となり泣きを見てしまう。
そんな世の中では偏り的な世界では、、何のために人は生きているのか。
許せるはずがないと月野ひとみ弁護士、、、は思うのであった。
最近でも「汚職贈収賄事件」があり、、国家事業であるオリンピックにおいても、政治家や権力者が甘い汁を吸っているではないか、、、
司法の力で「逮捕」は出来て、「起訴」まで出来ても、、最終的には「なんの力」が働いたか、、「保釈」な成り、、後は裁判ということになる。
そして、大金が動いたにも関わず「執行猶予」つきでの判決が出るのであった。
一時的期には検察庁に「逮捕」はされるけど、、高額な保釈金を払って「保釈」されるのである、、、要するに金持ちにしかできない芸当である。
そして、保釈されてから」までには約半年がかかる上に、、判決は「執行猶予」付であり、、判決後は条件は付いても社会復帰が出来る日本社会であり、、矛盾だらけの社会悪に対する「罰則」である。
何にも罰ではないのだ。悪事を働いた者が得をする日本社会なのだ。
月野ひとみ弁護士は到底許せないことであった。
「美しき狼」は消えることはない。。。。
20)月野ひとみ、、旅に出る。。。
月野み弁護士は叔父泰三と話をしたのだった。
「泰三おじさん、、私、しばらく旅に出るわ、、、まだ知らない国や見たことのない山々を歩いてくるね、、、」
叔父の泰三も賛成してくれた。
「それがいい、、お前は働き過ぎだったからな、、ゆっくり、心の洗濯をしてくるといいよ、、是非、行ってこい」
「うん、、泰三おじさんには世話になりぱなしで、ごめんなさい。。」
心から感謝して謝ったのである。
そして、月野ひとみは言った、、、「泰三おじさんも一緒に行かない、、、それがいいんだけどな、、」
叔父の泰三は、、「俺は年だし、田舎に帰つてゆっくりしたいよ、、のんびり畑仕事をするから、、気持ちは受け取っておく、、、ありがとう」
と、、二人の別れは済んだ。
それから月野ひとみは叔父泰三にも手伝ってもらい、事務所の中や事務処理を整理したのだった。
旅の準備も出来た、、、晩秋の日和のいい午後、、真田警部が訪ねて来たのである。
「やあ、、先生どこかへお出かけですか、、、事務所の中がさっぱりして、、どうしたんです、、」
と、、聞かれて、月野ひとみは何か覗かれたような気がしてどきりとしたのであった。。。。
「いら、っしゃい、、今年も後わずかだし、、早めの大掃除をしているのよ、、いつも散らかっていて、女のやっている
事務所には見えないのでね、、、警部にも言われているんで、、、たまには綺麗にしておこうと思っただけですよ、、、
「そうですか、、、先生が何処かへ引っ越すのかと思いましたよ、、」
真田警部に言われた時には少しは後ろめたかったので、冷や汗が流れた月野弁護士であった。
「そんなことは無いですよ、、きれいになった事務所で細やかな「クリスマス」をやりますので、、是非、遊びに来てください。。」
と、、誘いを掛けて置いたのである。
叔父の泰三が「ひとみ、、旅に出るのは早い方がいい、、、あの真田警部は何かを知ってるみたいだったな、、」
そして、、、旅の用意も出来ているので明日出かけることにした月野ひとみ弁護士だった。
翌朝、叔父の泰三が月野ひとみのマンションまで迎えに行き、成田食空港に向かった。
「ひとみ、、今度はいつ会えるか分からないが、、、元気で行って来い、、、はがきなどはおくるなよ、、電話もだからな、、分かったな、、」
叔父泰三は姪のひとみを心配していたのである。。
月野ひとみは叔父泰三とは今日が最後の別れの様な気がした。
「泰三おじさん、ありがとう、、、私が戻るまで元気でいてね、、、行ってきます、、」
と、、美しき狼は大空に消えていった。
1.女恨み節する。
月野ひとみは裁判官勤務をしていた、常に裁判で弱いものが負ける、民事事件では絶対と言っていいほど金のないものが敗訴して、損をする。
裁判官をしていて、思い知らされたのであった。日本の法治国家では、人は誰でも法律に守られていると言いながら、まるで話が違っていた。
世の中の権力者、金持ちたちが最終的にはいい思いをしていた。そんな裁判を主体とした世の中の仕組みにうんざりさせられた。
そして、社会で弱者と言われても、法治国家では守られなければと思い、新たに弁護士の道を選んだのであった。
月野ひとみは事務所を構えるにあたって、事務所勤務で調査もできるということで、母の弟で無職中の叔父である、月野泰三を茨城つくば市に訪ねた。
久しぶりに会った叔父には最初断られた。山籠もりをして自由気ままに生活している、今の自給自足がいいと言われたのであった。
しかし、月野ひとみが弁護士に転職した理由を話して、承諾してもらった。
一日泊りがけの交渉だった。
東京に戻った月野ひとみは事務所開設の準備をして、叔父の月野泰三が上京するのを待った。
叔父のために、事務所近くにワンルームマンションを用意した。
準備はできた、思いっきり、弱者のための裁判をしようと、心新たにしたのであっ
た。
事務所を開いたら、初めから依頼されていた弱者の第一号の織田信子の民事裁判を手掛けようと考えていた。
男に裏切られ、財産をすべて使い果たされた、離婚裁判と損害賠償であった。
弱い女の恨み節であった。
2.初陣。。。月野ひとみ弁護士
いよいよ、弁護士としての仕事始めであった。依頼者は織田信子、31歳で子供が一人いる。財産は建売住宅1件と、水商売をしているので銀座にクラブを持っている。
商売は経営してから5年がたち、順調であった。
離婚原因は夫の浮気と、競馬好きで家庭が崩壊寸前であった。
依頼者の織田信子は一度は許した、しかし、女好きと競馬好きは治らなかった。
特に、競馬好きでは借金をしてまで夢中になり、誰の言うことも聞かなかった。織田信子が銀座で商売をしていることもあり、また、自宅を担保に入れてまで、借金をしていたのであった。
今までも何度も借金の催促をされてきたが、まだ、織田信子の返済が可能だったことから、夫はいいきになり、最終的には仕事もやめてしまった。
毎日がすさんだ生活に追われ、夫もやくざたちとのつきあいもあり生活費まで待って行った。それを側で見ている信子は苦しい日々を送っていた。
一人娘を崩壊寸前の家においておけなった信子は千葉の実家に預けた。
そして、なんどもやり直そうとしたが、結果は悪い方向に向かってしまった。困り果てた信子は知人の紹介で、月野ひとみ弁護士を訪ねた。
相談の結果は離婚しなければということになった。
夫の鉄二は覚せい剤にも手を染めて、暴力沙汰にまでなっていった。借金まみれの夫、鉄二は話を聞いていくと悪事にも手を出していったのである。
覚せい剤絡みのトラブルで、警視庁新宿警察捜査2課の取り調べを受けていたが、まだ、逮捕にまではいかなかった。
しかし、新宿を勢力範囲とした「はんぐれ集団、ことぶき」に所属して、反社会的活動をしていたのである。
信子は夫鉄二の行動を知って、離婚を決意たのであった。
しかし、夫鉄二は反ぐれ集団「ことぶき」の中で、頭角を現して、責任者というか、一部のグループの旗頭になっていた。
そんな悪仲間の中心的存在に、いつしかなっていた。もともと、悪世界の中で生きる素質があったような。。。
そんな悪行世界でも、生活力が出てきて、信子に対しても欲が出て、束縛をするようななってきたのである。
信子はそんな鉄二をますます毛嫌いをするようになり、鉄二は信子に対して暴力を振るうようになってきた。そして、鉄二のもとから逃げたのであった。
鉄二は気ちがいのようなって、信子を探して、追うようになっていった。その繰り返しに信子は疲れ果てた。
そして、月野ひとみが依頼を受けたのである。
3.美しき狼、、、現れる
弁護士の月野ひとみは依頼者、織田信子の夫、鉄二と会うことになり、事務所に来てもらった。誰が見ても、堅気には見えなかった。
「初めまして、弁護士の月野です、、。鉄二さんですね。奥さんから離婚手続を依頼されてます。」
と挨拶をしてから、今回の離婚手続きの内容について話を始めた。
いきなり、鉄二から大きな声で怒鳴られた。
「信子から何を聞いているか知らないが、俺は離婚する気はないから」
と、言われた。
その後の話し合いでも、合意が得られず、話し合いは平行線をたどった。理屈が通らず、まるで子供のように駄々をこねましていた。時折、大きな声を出して、威嚇しているようだった。
月野弁護士は、事務方に元刑事の叔父にいてもらってほっとしたのであった。
何も言わないが頼りがいを、頼もしさを感じた。
信子の夫、鉄二は、、、、
「離婚問題では話は無い。これ以上、俺たちの離婚問題には口を出さないでくれ、、、俺がおとなしくしているうちに手を引いた方がいいよ」
半ば脅かしている風に態度を荒げた。
そして、事務所の応接セットの椅子を蹴った。その時、事務方の叔父が鉄二を諫めた。
そして、鉄二は捨てセリフを吐いて事務所を出て行った。
月野弁護士は話し合いはできないと思い、裁判において、鉄二の不利益状況を証明して離婚事項を成立させようと思った。
鉄二が帰った後で、叔父の泰三と相談をして離婚不成立の状況資料を、今までの調査資料を基に書き上げた。
そして、依頼人である織田信子に連絡を取り、裁判で決着をつけることを告げた。裁判も始まると、時間を要した。。
夫の鉄二が裁判には出てこなかった。なんだかんだと理由をつけて、、、
そして、嫌がらもして来た。
そんなある日、鉄二が死んだことを知らされた。事故であったが、新宿警察では、その事故を疑った。
離婚問題でトラブルを起こして、反ぐれ仲間でも問題を起こしていたのであった、、、金銭トラブルや覚せい剤問題でも、警察が捜査していたので、、、
新宿警察では反ぐれ仲間から、鉄二は殺されたのではないかと疑われていた。
場合によっては離婚問題で、金銭問題が絡んで、妻の織田信子に殺害されたのではとも疑われていた。
鉄二が死んで、一番、利を得たのが妻の織田信子であったからだ。
弁護士の月野は今回も相談を受けていた。
しかし、鉄二が死んだ理由を知っているのは、月野弁護士だった。
4.新宿警察の真田警部補が疑う
今回の離婚裁判は、夫の鉄二が死亡して審議が不適当になり、判決で離婚は成立した。しかし、夫の鉄二の不信死により、新宿警察が捜査を始めた。
新宿警察の真田警部補は、同じ反ぐれ仲間の諍いにより、殺されたという捜査目的とは別に、妻の織田信子のことも疑っていた。十分に殺意が感じられたからだ。
捜査方針から、月野弁護士のもとに真田警部補が訪ねてきた。
「新宿警察の真田と言いますが、離婚問題で扱っている織田鉄二の件で少々、聞きたいことがあるので、、、ご協力いただきたく、お願いします」
と、、、鉄二が殺されたことは知っていると思うが、真田警部補の話だと、殺された原因が妻の織田信子にもあると疑い、捜査を始めたことを告げた。
真田警部補の捜査では、鉄二が殺されたことにより、妻、織田信子には利害関係があり、殺された当時のアリバイがあいまいであったことによるものと判断された。
それでの捜査とのことであった。月野弁護士には聞かれた、必要なことを話して引き上げてもらった.
真田警部補の帰った後に、依頼人の織田信子の利益の保証を考えた。間違いなく、織田信子には殺意はなく、無実であることを証明しなくてはと、、、、
鉄二が殺された時間のアリバイを探さないと、作らないと、真田警部補はつきまとってくるだろう。
そして、叔父の泰三に織田信子の調査を頼んだ。必ず、あると思っていた。今回の殺人事件のアリバイが。。。。
弁護士月野ひとみには鉄二が殺された理由を知っていたからだ。
叔父の泰三は織田信子の身辺調査をしてみて、確信した。犯人は織田信子ではないと、、、、、
いくら、執拗に調査をしてみても、その日常行動に鉄二を殺すことは不可能であったからだった。
調査で分かったことは、月野弁護士の不可解な行動だった。他人にはわからないが、身内の泰三には直観で理解できたことがあった。
真田警部補が、どんなに捜査しても出てこない事実を知ったのであった。
月野弁護士の過去にあった。
その秘密は身内だからこそ分かったことであった。
泰三はその秘密を知ったけど、今回の調査報告書には記載しなかった。このことは、今後も自分だけの知りえた秘密にしておこうと思った。
そして、自分が守れるこては、影でしっかり、守っていこうと決心をした。
5.警察の対面で鉄二殺しは、。。。
新宿警察としては、反ぐれの鉄二に関わる殺人事件は犯人捜査が思うようにはいっていなかった。真田警部補は鉄二殺しが、反ぐれの仲間割れからの殺人事件とは思わなかった。
しかし、新宿警察は日本一の繁華街を控えているので、トラブルや殺人事件の類が頻繁に起きていた。そのために、反ぐれの仲間同士のいざこざには時間をかけていられなかった。反ぐれ「ことぶきグループ」には覚せい剤疑惑があるので、捜査目的を主体に考えていた覚せい剤捜査に重きを置いて、鉄二殺しはついでの事項として扱っていたのであった。
真田警部補は一人、鉄二殺しにも気を抜かなかった。彼の刑事感とも言う気性がほっておけなかったのであった。
真田警部補の執拗な捜査を聞かされるたびに、月野弁護士は寒気を覚えた。
月野弁護士が依頼されていた、離婚争議も鉄二の死亡で、一段落した。
離婚調停は保留となり、妻の織田信子から取り下げられた。
月野弁護士は鉄二殺人事件について、真田警部補の動きを注意しながら見守った。
離婚争議の裁判も落ち着き、月野弁護士事務所には次の弁護依頼が持ち込まれた。
事件内容は育児問題と育ての男親のトラブルだった。
訴訟した女性は細尾佳代子で、子供一人を抱えて、問題が起きてる男性、今田幸一とのトラブルであった。
現在は、問題を起こしている今田幸一とは同棲中なので、別れたいと争議をの手続きを月野弁護士に依頼してきた。
内容は一緒になったころは子供にも優しく、良く面倒を見てくれていた。しかし、今田幸一の会社が倒産してからは、仕事が見つからずに、毎日、パチンコをしていた。
そして、今田幸一の貯えがなくなるころには少しずつ、生活態度が変化して
6.育児放棄、困窮生活からの逃避行、子供への虐め、虐待
今の世の中、子供は産んだが育児が上手くいかない。大人の勝手で、結婚したり、同棲したりして最初は楽しく生活している。
しかし、世の中は甘くない。生活が苦しくなり、自分たちの欲望だけでは生きていけない。
男と女にとって、最初は可愛い子供がいつしか、いつの間にか邪魔な存在になり、時には憎しみさえ覚えることになる。
いつも被害者は子供だ、、、弱い子供が犠牲になる。
子供を守るべき、法律的な施設もあり、法律で守られていることにはなっているが、建前であり、思うようには生かされていない。
子供の緊急事態が起きて、児童養護施設の係員や行政の生活指導員が動いても、法律的な規制があり、機能していないことが多い。
そのために世の中では不幸な事件が多発している。
こんなご時世の中で、育児問題のトラブルを引き受けることは大変であり、月野弁護士は覚悟はしていた。
月野弁護士は叔父の泰三を伴って、依頼人の夫、細尾正一郎と会うことにした。事情を知っておくために、細尾佳代子宅を訪問した。
細尾佳代子は親の仕事を引き継いだために、実家の酒屋問屋を営んでいた。
親の実家は茨城県石下町で古くからのつくり酒屋であり、経済的には恵まれていた。
そんなこともあって、夫の正一郎は失業後も、毎日、好きなパチンコや競馬などの賭け事にしていた。
妻、堀尾佳代子も最初のうちは、次の仕事が見つかるまではと大目に見ていた。正一郎はパソコン関係の専門職に就いていた。特に経理には詳しく明るかった。次の仕事は紹介あったが、気乗りがせずに遊んでいた。
しかし、付き合う人たちが地元の、いわゆるやくざであったために、時間が不規則になり、話し方にも暴言が飛ぶようになった。
そして、子供を見ることもなく、家庭を帰り見なくなり、外泊が多くなっていった。
細尾佳代子は学生時代の同級生の紹介で、月野弁護士事務所に事情を説明して、離婚争議を依頼したのであった。
そのために月野弁護士は叔父の泰三を連れて、茨城県の石下町の自宅を訪問したのであった。
夫の正一郎は留守だったが、今日は戻るというので待たせてもらうことにした。
夫の正一郎が戻るまで、事情を詳しく話してもらい離婚の決意が固いことを知った。
1時間ぐらいしてから、夫の正一郎が戻ってきた。昼間から、どこで飲んでたか知らないが酔っていた。
そして、口調が荒かった。
「弁護士の月野ですが、、、お話しできますか、、、、」と言うと、、、
「話は聞いている、、、酔っているうちには入らないから、大丈夫だよ」
というものだったので、月野弁護士は話始めた。月野弁護士は内心よかったと思った。叔父の泰三を連れてきて、、、
月野弁護士が離婚について話始めると、、、
細尾正一郎は開き直った、そして、言い放った。
「離婚はしてやるよ、、、但し、離婚承諾金はもらうから、、、子供の面倒も5年間、見たからな。。。。」
正一郎は豪語した。そして、離婚承諾金は後で計算して、請求するよ」と、、、、
妻の細尾佳代子の調査では、つきあっている地元のやくざ「地回り」に借金があって、身動きできない状態であった。
月野弁護士が、借金はいくらあるかと聞いても、今は言えない。
後で連絡するからと、、、、、その借金の話が付けば、離婚はすると。。。
しかし、月野弁護士は信用できないので、叔父の泰三に踏査を依頼した。
その結果のはなし合いにした。
7.地回りに利用され、捨てられる、哀れな男
叔父の泰三の調査では、細尾正一郎は地回りやくざ「石毛興行」からの借財だけでも、1億円はあり、その他のクラブや小料理屋等のつけも相当溜まって、今では何処へ行っても酒一滴も飲めない状態であった。面倒見てた女にも縁を切られ、自分の家以外に寝るとところもなく、地回りやくざの「石毛興行」のところで厄介になっている。
そんな状況にありながら、家に帰ると大柄な口を聞いていた。
妻、佳代子は金で清算できればと思っていたが、現在の家業では支払いは不可能であった。
夫、正一郎に金を都合つけたやくざ「石毛興行」は現在の状況を見て、返済を迫ってきた。金が無いのを知っての催促であった。
石毛興行では細尾正一郎に対して、「この借金はどうするつもりだ、、どうやって払う、、、」と催促をされていた。なまじな言葉での催促ではない、、、脅しを超えたいた。石毛興行でも必死であった。
石毛興行からは、、、「正一郎、、、、お前、死んで払うか、、、生命保険でもかけてよ。。。」そうでもしないと払えないだろうと、、、。
「正一郎、、お前な、マグロ船に乗っても間に合わないぞ、、、なんかい乗ればいいんだよ、、、、命がもたないぞ、、、」
石毛興行からは毎日、脅かされてた。
正一郎も生きた心地はしない、、、何回、死のうかとも思った。しかし、元来が気の小さい男だから、そんな気持ちも一晩寝てしまうと、忘れてしまう、そんな能天気なところもあった。
正一郎が考えたことは、自分が婿に入った造り酒屋「きくや」を差し出すことだった。「きくや」には土地がある。それも造り酒屋の敷地以外にも、山林や田畑もあったので、、、、この話を「石毛興行」に持ちかけた。
そこで、相談をして、正一郎が土地謄本を持ちだして、その名義を「石毛興行」に書き換えることだった。
正一郎と石毛興行の若頭若本南海男は相談していた。返済する方法は他にはない。そして、正一郎が土地登記簿謄本の原本を持ち出し、勝手に名義を書き替えて、それを「石毛興行」に代別返済という方法で登記したのであった。
誰が見ても詐欺行為ではあるが、正一郎としては、義理とはいえ親子関係にあり、贈与するというかたちのの書類を作成したのであった。
そして、名義変更がおなわれた日から数日が過ぎて、石毛興行から通達書が届いた。
慌てた、妻、佳代子から弁護士月野事務所に連絡が入り、月野弁護士は石毛の細尾宅へ向かった。
妻、佳代子から通達書を見せてもらい,あぜんとした。
間違いなく詐欺行為であり、法的手続きを取った。しかし、先きいき厄介なことになると思った。
そして、事件が起きた。
離婚訴訟相手の夫、正一郎が殺されて、地元警察の取り調べが細尾佳代子にのしかかってきた。酒蔵「きくや」の車の中での死亡であった。死亡原因は薬中毒とのことではあるが、本当のところはまだわかっていない。噂はいろいろ飛び交った。
やくざとの金銭問題で殺されたとか、女がらみのトラブルで、女に薬を飲まされたとか、女房に浮気と金銭問題で殺されたとかであった。
そんなことで、妻、佳代子にも容疑がかかったのであった。疑われたが逮捕まではいかなかった。取り調べは続くようだが。。。。。
月野弁護士からみの、離婚争議はどういうわけか、殺しが絡んでしまっている。
そんなことで、以前より何か事件に絡みがあるのではないかと、新宿警察の真田警部は目を光らせ、興味津々とうかがっていた。証拠も何もないので、表立っての動きはできなかったが、月野弁護士絡みの訴訟事件には興味を持っていた。
正一郎の殺人事件の犯人は今だ、特定できていなかったが、石毛興行との金銭トラブルは本人が死亡したために両者の話し合いで、月野弁護士立ち合いのもとに合意が得られた。酒蔵「きくや」が現金を用意した。所有の土地を処分し、銀行借り入れをして、何とか現金を支払った。石毛興行以外の借財は、酒蔵「きくや」が分割で返済することになった。
正一郎だけ死亡して、その犯人は捕まっていなかったが、離婚争議の問題関係はかたずいた。
月野弁護士は、とりあえず細尾佳代子の依頼は終了したので、東京へ戻った。
8.京都の風は冷たい
京都と言えば、日本の歴史の故郷、、、なんの歴史を語るにも、物語の中心に当たる素敵な街、、、近代国家を築いた歩み、幕末時代の勤王の志士たちの話でも興味をそそる話は山ほどあるような、、、、
そんな街で、月野弁護士は事件の依頼を受けた。裁判官当時の知人の紹介で、今回は京都まで出張してきた。
知人の名前は桂桔梗という、京都花街の芸者のトラブルであぅた。16歳から仕込みを経て、芸子を経験して芸者になった女性であった。彼女は花街での経験も豊富で、客層も上客を持っていた。
いずれは置屋をやるつもりで準備をしていた。
ところが、長い付き合いの旦那と言われる人が突然死亡して、一番頼りにしていたスポンサーが消えてしまった。
彼女、桂桔梗、当てが外れてしまった。そこで、やりて姉さんと言われた彼女は後ろ盾に、何人かの旦那衆を付けたのであった。
最初は旦那衆も応援していたが、男とは勝手なもので、時が経つうちに欲が出てきて
己一人のものにしたくなったのであった。
色ボケした男どもの醜い争奪戦が始まってしまった。欲ボケした男どもが表面に出てきたので、色街の商いに支障をきたし始めた。
売れっ子芸者に、あまりにもはっきりした、色ボケ男どもがいては、誰だって面白くないはずだ。
それで何とかして、この問題を解決しようとして桂桔梗は考えて、知人に相談したのであった。その結果で月野弁護士が依頼されたのだった。
まるっきり、法律的な問題はなく、男と女のトラブル、花街の色恋問題であった。
依頼された月野弁護士も困っていた。
いい解決策はないものかといろいろと考えた。そして、叔父の泰三にも相談したのでった。
風流人の住む街での、男と女の風流世界の贅沢な話であった。
月野弁護士は叔父の泰三に、今回の仲裁というか、取り持ちをしてもらおうとしてた矢先に桂桔梗に熱を上げてた二人の、恋ボケ老人の一人が旅行先で銃殺されたのであった。二人の恋ボケ老人は、京都の広域暴力団秋田会の最高顧問で広田肇と局長代行の鴨志田功であった。
以前より何かというと、同じ秋田会でも気が合う二人ではなかった。金銭問題ではいつももめていた。
その最高顧問が有馬温泉で療養中に暗殺されたのであった。同行していた幹部組員の一人、相場三次郎も暗殺された。
この事件が起きて、組内でも、京都府警でも大騒ぎであった。組内の抗争であったが、このことが原因で秋田会は二つに割れ、一時もめにもめていた。
しかし、局長代行、鴨志田功側に勢力は傾き、抗争は収まった。
そして、桂桔梗、芸子の問題もいつしか静かになった。色恋沙汰ではなくなり、命のやり取り合戦は消えた。
世の中、色恋よりも、権力闘争に軍配は上がった。
この時の組内の抗争で銃殺された、最高顧問の死には疑惑が残った。
風流な京都の街にも、物騒な冷たい風が吹いていた。
しかし、今回のやくざの抗争問題で、月野弁護士が依頼されたトラブルは消えてしまった。
月野弁護士と泰三は、出張が多く、次の依頼主は鹿児島の女性からであった。
9.桜島は威風堂々
月野弁護士は九州鹿児島市千日町に住む、大学時代の同級生の大久保和江から久しぶりに連絡があった。京都まで来てるなら鹿児島まで来ないかと誘われた、彼女の嫁ぎ先は温泉ホテルを経営しているので、たまには骨休みに温泉でもと言われて。。。
大久保和江が住んでいる町は、鹿児島市千日町で南九州一の繁華街「天文館」の近くだったので、月野弁護士は叔父の泰三を連れて訪問した。
久しぶりに会った和江はすっかり、若女将が板についていた。子供3人で、夫の大久保光男とも夫婦円満そうに見えた。
ホテルに着くと,さっそく部屋に案内されて、夫婦であいさつに来てくれた。
優しそうな旦那で、月野弁護士は安心した。
仕事が一段落したら、夜にでも遊びに来ると言って、一端、和江は部屋を出たいつた。
和江が来るまで、月野弁護士も叔父の泰三も温泉でゆっくり、時間を過ごした。
温泉に入りながら、月野弁護士は鹿児島の歴史にふけっていた。
鹿児島は明治維新の立役者、西郷隆盛、大久保利通の出身地であり、近代国家の源でった。そして、維新の締めくくりとして「西南戦争」があった。
そんなひと時の昔を、歴史を楽しみながら温泉を満悦した。
夕食時には大学時代の友人、和江が時間を割いて付き合ってくれた。そして、楽しい食時と思い出を過ごすことができた。
その晩は本当に素敵な、楽しい時間を過ごし、満足した月野弁護士だった。
昨夜のうちに話があった、息子の博の相談に乗った。
息子は20歳になり、鹿児島の私立大学へ通っていた。現在付き合っている女性が妊娠中で、母親の和江は息子、博から事情を聞いていた。
付き合っている女性の父親は地元のやくざの親分で、その親から責任問題で迫られていた。
地元のやくざで「薩摩連合」という、古くから地元に根を張つている博徒一家であった。友人の和江は本人同士が認めあっているなら仕方がないと思っていた。
しかし、男親の大久保糸太郎は認めなかった。理由は昔から「薩摩連合」をしっており、大久保糸太郎と「薩摩連合」の大田原茂三との間でもめ事があったらしい。
それを大久保糸太郎は未だに許していなかったのであった。
大久保夫妻は頑固な男親を説得できずに困っていた。
息子、博の相手の親である「薩摩連合」の大田原茂三もそのことは忘れており、大久保夫妻もそのことにはこだわりはなかった。
頑固にこだわっているのは男親の大久保糸太郎だけだった。
そこで、月野弁護士を入れて相談したことは、、、
息子たちは一緒になったら、一定期間別に住むことにしたのであった。頑固な爺さんも顔を合わせなければ、それで周りの家族が良ければ仕方がないことと。。。
すべてが丸くは収まらいが、、、良しとすることにしたのであった。
まだまだ、鹿児島には頑固な一徹ものがいるようだ。。。。
鹿児島の桜島のように、火を噴く昔気質の人間がいるようだ。
わかつてはいるが、言い出したら後には引けない頑固者が。。。。。
9。東京へ帰る。。。美しき狼
月野弁護士は叔父の泰三とともに東京へもどった。事務所には手紙やファックスが溜まっていた。それらに目を通して、とどこった仕事の順位を決めた。
整理をしていたところに、警視庁捜査一課の真田警部補から電話が入った。
「ご無沙汰しています、、、先生にお聞きしたいことありまして、お邪魔したいのですが、ご都合はいかがでしょうか」と。。。。
「はい、月野ですが、、、明日なら何時でもいいですよ」ということで、、、
月野弁護士たちが東京へ戻った翌日に、真田警部補が訪ねてきた。
真田警部補は挨拶をして、事務所の応接セットに、、、、そして、
「お忙しそうですね、、、弁護士のお仕事も大変でしょう。。。」
真田警部補は今までに月野弁護士が処理してきた問題トラブルについて、特に依頼者の相手が死亡した件について、聞いてきた。
事件内容は月野弁護士の依頼者同士のトラブルから、事故死したようですが、真田警部補から見たら、不審死を感じていた。
そして、当時の死亡した依頼人の相手、離婚相手の夫の行動を真田警部補は自分なりに調査したのであった。その結果、二組の死亡の原因は反ぐれ仲間のいざこざとやくざとの金銭問題が原因であったが、本当の犯人は逮捕されていなかった。
どちらも金銭問題などの仲間同士の抗争的なものであり、殺人事件としての犯人は無く、自殺的なこととして処理されていた。
真田警部補から見たら不自然であり、何か第三者の手が加えられたように感じたのであった。恨み復讐的な匂いを。。。。
そこで真田警部補は確認を兼ねて、月野弁護士を訪ねてきたのであった。
二人の話を聞いていて、叔父の泰三も、その意味を納得しながら疑問を持っていた。
そして、真実は知りたかったのであった。
月野弁護士は真田警部補にはさらりと答えた。
「私には離婚争議を解決するために相談を受けたので、依頼者の夫に関しては、詮議していなかったので、そこまでは深く考えませんでした」と、、、
その後も真田警部補は、事件について訊ねてきたが、証拠があるわけではなかったので、表面上だけの質問、話になってしまった。
そして、一時間ぐらい真田警部補はいたが、何かあったら、また来ますということで帰っていった。
叔父の泰三は、これは厄介なことになったなと思いながら心配した。
10.月野弁護士の秘密
月野弁護士は両親を小学3年生の時に交通事故で亡くした。その後は姉夫婦に育てられた。月野弁護士の家は三重県松坂でも有名な呉服商であった。
呉服商の実家を継いだ姉夫婦には子供が二人いた。そのために、月野ひとみはどちらかと言えば、食べさせてもらっているだけで、ほとんどかまってもらっていなかった。よく言えば自由気ままに育った。悪く言えば洋服一つ、盆暮れに買ってもらえる程度で、自分で使えるお金はなかった。
松坂では立派な店構えであったが、月野ひとみはアルバイトをしていた。そして、バイトをしていることには、姉夫婦は何も言わなかったのであった。
それで、中学時代から学校が終わると、高校卒業まで合気道道場の掃除をしていた。
合気道道場の松坂師範は、月野ひとみの生い立ちを知っているので、何かと世話をしてくれた。また、彼女は運動神経もよくて、道場清掃の合間に稽古をさせてもらい、高校を卒業する頃にはには「合気道3段」にまで上達していた。
姉夫婦からは束縛もされず、アルバイトに合気道の稽古に励んでいた。その反面、地元の不良仲間からも一目がおかれていた。
そして、月野ひとみの所属する不良仲間と対決するグループとのいざこざにも、駆り出されていた。
ひとみがいるだけで不良グループの勝敗は決まっていた。
松坂では、女番長で振舞っていた。しかし、悪さをするわけではなかった。
不良仲間同士の争い、喧嘩に強かったのであった。そして、仲間に対する思いやりや、優しさを持つていた。
不良仲間でその親が子供苛めが酷く、家に帰るのを拒んでいた仲間がいた。
その仲間は柴田芳江と言って、何度か家出を試みた。そのたびに、親に連れ戻されて、暴力を受けていた。
その柴田芳江を自分の家に泊めたことがあった。しかし、その晩に柴田芳江の親が乗り込んできて、連れて行ったことがあった。
その時、柴田芳江を、月野ひとみの家から引きずり出して、ひとみの家族のいる前で、殴るの、け飛ばすのと酷かった。柴田芳江が泣きながら誤っているのに、やめない、その親に対して、月野ひとみの育ての男親が止めに入った。
「あんた、いい加減にしたら、子供が他人の家に泊まりに来たぐらいで、、、、
殴るのをやめろよ、、、」と真剣に怒った。
それを見てた月野ひとみは。。。「へえーー、いいとこあるじゃないか」
と少しだけは見直した。
月野ひとみは、子供を、女の子を殴るという暴力を許せなかった。
自分の父親に関しては、無関心、放任主義、かまってくれないと思っていた。友達の殴られる様子を見ていた、少しは救われた。
月野ひとみはその後の、不良同志の喧嘩に違いが出た。
不良仲間の家族関係を聞いて、知って、変わってきた。不良の道に走った家庭環境に腹を立てた。
そして、夫婦が結婚して子供を作って、その育てる家庭において、自分の子供を虐待する親を絶対に許せなかった。
不良仲間が親から虐待されていたのを見てから、変わっていった。
そして、自分の育ての親の対応を見て、少しだけ、親を見直したこともあつて、本気で将来を考えた。
そして、その時から勉強もした。
11.月野弁護士への脅迫電話
今回の出張から帰った後に、月野弁護士に脅迫電話が鳴った。
内容は彼女の故郷の不良仲間の柴田芳江と共謀して、彼女の父親を殺したという話であった。彼女の父親は上山温泉に行き、酒好きな性分で、その日も酔って崖から落ちて死んだことになっていた。実際に地元の警察の調べでも、転落死であり、一緒に行った柴田芳江もそう証言していた。
その時のアリバイに月野ひとみは嘘の証言を、柴田芳江より頼まれ証言していた。
その証言がなければ、柴田芳江は疑われていたのであった。
その事実は二人だけの秘密であり、柴田芳江はすでに亡くなつていたので、その秘密は誰も知るものはなかった。
それを今頃になって、電話で脅迫してくる人間がいることに不思議であり、疑問に思つた。しかし、電話をしてくる人間がいたことは事実であり、月野弁護士は不安を覚えた。
その日から、定期的にその脅迫電話は鳴った。
無視はしていたが、頻繁にかかる電話に恐怖さえ感じてきた。今更、証拠もなく、嘘のアリバイをしただけなのにと思った。しかし、弁護士という職業柄、まずいことになったなと、、、とも思った。
その脅迫電話が鳴った時に月野弁護士は話した。
「あなたは誰ですか、、、、なんの証拠があって、そんな電話をしてくるのですか」
と、、、しかし。電話の向こうで、、、笑うだけで、、、
何も話してはくれなかつた。。。
月野弁護士は何も話してくれない電話、一度、松坂での事件の話だけで。。。
その後は常に笑いが聞こえる電話だけだつた。
その不気味さに、震えを覚えた。
その後の弁護士活動にも、いつもの情熱をもって、当たることなく、少々負鵺になつたような。。。。
何時もそばにいる、叔父の泰三もいろいろ知っていたので心配した。
そんな状況の時に、離婚争議と、その夫に絡んだ贈収賄の事件以来があった。
昔の裁判所仲間からの紹介もあり、裁判所仲間と会って帰つてからは、少し元気になったようだった。
脅迫電話の件は、来たら来たで、その時対応すればいいかという、少し、開き直つた気分になった、、どちらかと言えば、気持ちは大きい方で、あっけらかんとしていたので。。。。しばらく、脅迫電あもならず、今回の依頼事件に没頭した。
12.久しぶりに法廷で、、
あきれる法治国家に月野弁護士は離婚争議の調停で久しぶりに裁判所に出廷した。懐かしい法廷であった。現在のあきれた裁判の判決に愛想をつかした月野弁護士であったが、今回は離婚相手の相場紘一からの申し出であり、裁判所で決着をつけたいということであったので、、、、
離婚相手の相場紘一は現在、談合贈収賄に絡んだ事件で取り調べを受けているのであった。国税庁と公正取引委員会から、厳しい捜査をされている。
場合によっては検察庁から逮捕状が出るとの噂もあり、法的規制の中で、離婚調停事件ではいつものように強い姿勢では構えてはいられなかった。しかし、相場紘一は大物政治家を要しているので、妻、相場直美に対しては甘く見ていた。離婚争議は最終的には金で解決できると。。。。
そして、政治的圧力で裁判所も大きな事件にならずに、揉み消せると思っていたのであった。
だが、今回の離婚争議には女性問題も絡んでおり、妻、直美も覚悟を決めていたので、相場紘一の思う通りに簡単にはいかなかったのであつた。
その後の裁判で、金銭問題と財産問題、特に住んでいる住宅「大邸宅」の問題では解決しないで揉めた。
そして、離婚争議に時間がかかっている間に、相場紘一は検察庁から逮捕されたのであった。今回の談合贈収賄事件は大物国会議員が絡んでおり、検察庁も簡単にはあきらめなかった。
しかし、月野弁護士にとっては、以外な落とし穴に吸い込まれてしまった。贈収賄事件には直接関係はなかったが、月野弁護士の過去の事件、脅迫電話の主が現れ、脅しを入れてきたのであった。
贈収賄事件は大物政治家や警察内部の造反によって、揉み消されたのであった。
そして、離婚争議に絡んだ金銭問題が問題になり、どうしても、この離婚争議は取り下げしないと、解決しない羽目になり、月野弁護士への圧力となったのであった。
また、離婚相手の妻にも甘い罠が投げかけられた。
人は最終的には金であり、富であり、地位が与えられると変わるんものであった。
相場夫妻の離婚争議は、争いではなく、まとまってしまったのであった。
13.月野弁護士怒る。。。。
今回の相場夫妻の離婚争議は、一見穏やかにまとまったようであったが、その後の展開は予想外になっていった。
相場夫婦は金銭問題でも、住宅の問題でも、妻の直美が欺かれた形になって、精神的に打ちのめされていった。時間が経過していくうちに妻、直美は夜眠れなくなり安定剤の服用が多くなり、自殺に追い込まれた。
余りにも悲惨な方向に進んでしまった。そして、夫の紘一にも不運は巡ってきた。
権力者であり、大物政治家と言われている、原田惣一朗にも今回は検察庁の捜査がしつこく行われていたのであった。いったんは揉み消された形になったが、月野弁護士があまりにもひどい、政治的圧力に対して抗議を申し立てたのであった。裁判官仲間にも、警察関係の仲間にも、久しい仲間は月野弁護士にもおり、出来る限りの手を尽くしたのであった。
その結果、再捜査が行われ、贈収賄事件の証拠を集めて、追い込んでいった。
追い込まれた原田惣一朗議員は、彼の持っている渉外係を利用した。渉外係は元やくざ、元警察官、元自衛隊特殊任務に就いていた者たちがいた。いってみれば「殺し屋集団」だった。
月野弁護士に脅迫電話をしていたのも、その渉外係であった。
従って、もみ消しの出来ない事項については秘密裏に彼らが動いていた。
今回の贈収賄事件についても、いよいよ、揉み消せないとなり、証拠隠滅が行われた。世の中でよく関係者が自殺とか、行方不明とかなる場合がある。
それが、この種の抹殺であり、この世から消えてしまう事件である。
警察、検察庁が原田惣一朗を今一歩で逮捕というところまで追いつめていながら、証拠隠滅が行われた。
相場紘一が自宅で狙撃されてしまった。。。。
ニュースによると強盗に襲われ、銃撃に倒れた。ということだった。
月野弁護士はニュースを知って、やられた、、、と思い、後悔した。
しかし、月野弁護士は怒りを覚え、考えた。
世の中、このままでいいのかと、、、絶対に許せないと、、、、
月野弁護士の反骨心が、沸き上がった。
14.美しき狼吠る
月野弁護士は今回の相場紘一に関する一連の事件でつくづく思った。日本の見せかけ法治国家の仕組みに、、、表面からは法律を重んじる法曹国家であるかのごとくに運営されているが、、、、
中身は嘘パッチの似非国家だ。
法治国家の形は成している、、、警察、検察と、、そして、裁判所はあり、立法国家として、裁判官、検事、弁護士といて、形式的な裁きは行われる。
しかし、現実はどうだろう、、、社会的な地位のあるものが、裏工作をしている。
今回の事件も贈収賄の中心人物が裁判中に事故死を遂げ、大物政治家、民友党幹事長の水野忠助の金力政策、暴力政策が
事実を捻じ曲げてしまった。
日本の民事裁判のいい加減なところで、証拠は隠匿され、事実は口裏を合わされ、うやむやになってしまう。
そして、時が経ち、人々の記憶から薄れてしまい、世の中から忘れられてしまう。
これが日本の法曹国家のような。。。。
月野弁護士はつくづく、法律に携わるものとして情けなく、いつも悔しい思いをしていた。
以前から警視庁捜査課の真田警部補が察知し、月野弁護士につきまとっていた、殺人事件は当たっていたような。。。
月野弁護士には非情なほど、冷酷な行動をとるところがあった。それを知っていた叔父の泰三は常に心配していたほどであった。
月野弁護士も我慢するところは堪えていいた。
しかし、反面に冷酷さ、残忍さを持つ、「美しき狼」は行動を起してしまうときがあった。
相場紘一が死亡してから数日後。。。号外が出た。
民友党幹事長、水野忠助が狙撃されたと。。。
そして、次のニュースで死亡したという、、、
15)真田警部補が迫る。。。
月野ひとみ弁護士はときたま、忘れたころにくる真田警部補が気になっていた。
月野弁護士には秘密があったので、、、叔父の泰三が何かを察したらしいとは思っていたが、、、何も言わないので,そのままにしておいたのである。
月野ひとみはあまりにも強引な権力で、、金力で押し切る「民友党幹事長水野忠助」が許せなかったのだった。
法曹国家の日本において,規則や規律を無視して、横槍を入れて捻じ伏せる権力者を野放しにしている国そのものを許せなかったのである。
そんな悪党社会で、罰を受けて倒れるものが居てもいいのではないのか、、、許されるのではないのか、、、そんな迷いの制裁を課してきた「美しき狼」もいてもいいのではないのかと。。。
暴力は許されるものではない、、しかし、法律にも社会的な制裁を受けずに、悪人が大手を振って歩いていいいのかと思う人間は多いと思う。
矛盾した社会で生きている弱小人間はどうするのだ、、、どこで恨みを晴らすのだ。。誰が悔しい思いをはらしてくれるのだ、、、
矛盾だらけの世の中で、誰が大悪党を懲らしめ、罰してくれるのだ、、、
ふざけた話ではあるが、、社会の矛盾を壊してもいいのではないのか、、、
と、、、、ふと、思うのであった。
言訳かも知れない、、、しかし、、一人ぐらいはやってはいけない「罰」を与えてもいいのではないのか、、、
罰を受けることを覚悟して、、、「地獄意気」で、、地獄に落ちることを覚悟しての生き方で。
そんな生き方をしている月野ひとみ弁護士に真田警部補が迫ってくるような予感をかんじていたのである。
そんなある日、新宿警察署の真田警部補が尋ねたきた。
今日は挨拶に来ましたので、、、「今度、警視庁特捜課に警部として赴任しましたので、宜しくお願いします」と、、、丁寧なあいさつであった。
「不審な殺人や暗殺が多くなったので、、その特別捜査班に配属になりました」
と、、、出世を知らせて来たのである。
月野ひとみ弁護士はそれだけの挨拶ではないと思った。
真田警部の不気味な暗示がうかがわれたのである。
16)美しき狼、殺し屋集団「渉外係」に挑戦
月野ひとみ弁護士は、不安な電話がまめにかかってくるので、調査をはじめたのである。
噂では警察外部の団体の「公安関係」かも知れない部隊が存続しているようなことをきいたのであった。
贈収賄や談合とか脱税に関わる「非合法」な事件が起きると、、、それをもみ消す圧力関係の組織があるような話も聞くのである。
そして、時の権力者や法律関係で都合の悪い担当者を抹殺する「殺し屋集団」ともいうべき、「渉外係」が存在して、闇の世界を暗躍していると。。。
怖ろしいことであった。
国家権力と結びついた「悪の秘密組織」があることを、、知った月野ひとみ弁護士は許せなかったのである。
国家に都合の悪い人間は消されてしまうということだ。
世の中で社会の都合の悪い「裁判判決」をするとその裁判官が地方の裁判所に左遷になったり、、都合の悪い訴訟を扱った検事が、世の中の権力闘争には無縁の地方検査庁に飛ばされることがある、、、
これらはみな、、その類の左遷であった。
日本という国は怖い法制国家である。社会で決められた司法の裁きは、時には権力者によって捻じ曲げられたり、、それでもだめなら「司法」を司る裁判官や検事更には警察関係までも横槍を入れて、、さほどに関係のない地方へ左遷という、上等手段を講じるのであるから、、始末の悪い国である。
歌の文句ではないが、、、
「どうすりゃいいんだ、、、」ふざけやがって、、規則や決まりで「掟」で罰を与えれことが出来ないのら、、、「社会制裁」しかないのでは。
その制裁という「手段補法」を国は講じているのだから、、、さらに、もっと始末がわるいのだ。
月野ひとみ弁護士は知恵を絞って、、、調べて、考えて「暗殺集団」を探すことに集中したしたのであった。
そんなある寒い朝、、、年も押し迫った木枯らし吹いた日に、、
警視庁特捜部の真田警部がやってきたのである。
「今年も終わりですね、、、月野先生どうでしたか、、忙しかったですか」
と、、、挨拶がてらに寄りました、、」
と、、、顔を出したのでした。
「今年も訳の分からない事件が多かったですね、、、特に銃殺狙撃事件が、、、
大物政治家たちが撃たれましたね、、、」
と、、言いながら、探るようにして。
「月野先生の所には何か情報が入ってませんか、、、もし、何かあったら教えください。。」
と、、冗談交じりでお茶を飲んでいったのである。
真田警部が帰り際に漏らした一言が、月野弁護士は気になった。
「最近,公安の動きが多いので、、忙しいんですよ」と、、、呟きながら
帰っていったのである。
17)国家警察の闇の捜査機関「公安第一課」
司法機関には警察、検察、裁判所などの表の顔がある、、、しかし、国を守るためには「公安機関」がある、、、秘密裏に国民全般の中に国を危うくするような団体が存在するのだ。危険団体としては「反社会勢力である暴力団組織」や「右翼などの政治結社」などがある。
それらの犯罪を常に起こすような集団が
存在している社会では、それらを常に監視して捜査をしている機関が「公安代一課」である。
真田警部補は警視庁特別捜査班に警部として配属になり、、反社会勢力の中でも危険を常に持っている「指定暴力団担当の監視捜査」をする様になったのである。
そこで、月野ひとみ弁護士の何かの「公安情報」を掴んだのかも知らないが、、月野弁護士の身辺をいろいろ嗅ぎまわる様になったのである。
「公安第一課」も確証には至ってはいなかったが、、、月野ひとみ弁護士に不信と疑惑を持ち、、捜査を始めたようだった。
叔父の泰三はもともと「公安」にも所属していたので、昔の仲間の部下たちが公安第一課にもいたので、、、姪の月野ひとみ弁護士が心配だったので調べてみたのである。
「ひとみ、少し気になるのだが、、、公安第一課がお前のことを調べているようだぞ、、、大丈夫なのか、、、」
と、、聞いてきた。
月野ひとみ弁護士は少し、驚いた、、、そして、内心心配だった。
覚悟はいつもしていたが、、「そうか、、とうとう来たか、、もっと、、慎重にやらないと」、、、そうおもったのである。
警視庁特別捜査班に転属なった真田警部が尋ねてくるのも、そのためだったかと得心したのである。
これからも根っからの悪人退治をするためには、、慎重に行動しないといけないな、、
と、思いながら行動を控えることに感謝したのである。
「おじさん、ありがとう、、」と、心の中で手を合わせた月野ひとみであった。
18)公安と美しき狼の知恵比べ。。。
月野ひとみも考えた、、、ここでしばらく休むか、、、それとも考えて行動するかであった。
この世の悪は待ってはくれないのだ。月野ひとみの社会悪退治や極悪人追放はホンの一握りの
排除に過ぎないようだった。
しかし、、やらないよりはいいような気がしたのである。
世の中の悪ていては、、極悪人を付け上がらせるだけであり、、法律を捻じ曲げた悪の道を斬り開くやつらを罰しないでどうするのだ。
やっぱり、、やめられない、、、国が法曹国家が正せないのなら、、正義の刃とは言えないが、
責めて「鬼の刃」を振り降ろさないと、、、
そうだよ、、悪を野放しにしてはならないのだ、、、この世から消し去らないと、、、
そう思う月野ひとみ弁護士であった。
公安の取り締まりが厳しくなろうが,月野ひとみ弁護士はやめる気はなかったのである。
悩む月野ひとみ弁護士は叔父の泰三に相談をした。
泰三が言うことには昔の同僚が嘱託で公安の仕事をしているのだった。特に同僚の大岡忠雄は特捜の隠密のようなことをしていた、、、
市中に会って、情報銃集を担当していたのであるので、、、泰三がそれとなく調査することにしたのである。
大岡忠雄は公安に在籍中に「公安第一課の課長補佐」をしていたので、部下にも多数気安く付き合える者がいた。
それで、大岡忠雄からの情報で、現在は「美しき狼」の内定捜査をしているとのことであったのである。
叔父の泰三は姪の月野ひとみ弁護士に今後の行動には細心の注意を払うようにと、、
厳命を言
い渡したのである。
19)美しき狼は死なず。。。
月野ひとみ弁護士は思ったのである。伯父の泰三には世話に成り、それとなく助言をもらい助けて来てもらっている。
感謝していた。伯父泰三が居なかったら、ここまではやってこれなかったと思っている。
本当なら叔父泰三の言葉通りに弁護士だけをしていればいいとは思うのであるが、、月野ひとみ弁護士の性格では出来なかったのであった。裁判官を辞めてまでなった弁護士稼業である。
日本の法曹国家では未だに一部の権力者によって、捻じ曲げられる「罰制度」を治すことも、正すことも出来ないのだ。
社会悪が蔓延り、強者が生き残るような社会では、弱者がいつも犠牲者となり泣きを見てしまう。
そんな世の中では偏り的な世界では、、何のために人は生きているのか。
許せるはずがないと月野ひとみ弁護士、、、は思うのであった。
最近でも「汚職贈収賄事件」があり、、国家事業であるオリンピックにおいても、政治家や権力者が甘い汁を吸っているではないか、、、
司法の力で「逮捕」は出来て、「起訴」まで出来ても、、最終的には「なんの力」が働いたか、、「保釈」な成り、、後は裁判ということになる。
そして、大金が動いたにも関わず「執行猶予」つきでの判決が出るのであった。
一時的期には検察庁に「逮捕」はされるけど、、高額な保釈金を払って「保釈」されるのである、、、要するに金持ちにしかできない芸当である。
そして、保釈されてから」までには約半年がかかる上に、、判決は「執行猶予」付であり、、判決後は条件は付いても社会復帰が出来る日本社会であり、、矛盾だらけの社会悪に対する「罰則」である。
何にも罰ではないのだ。悪事を働いた者が得をする日本社会なのだ。
月野ひとみ弁護士は到底許せないことであった。
「美しき狼」は消えることはない。。。。
20)月野ひとみ、、旅に出る。。。
月野み弁護士は叔父泰三と話をしたのだった。
「泰三おじさん、、私、しばらく旅に出るわ、、、まだ知らない国や見たことのない山々を歩いてくるね、、、」
叔父の泰三も賛成してくれた。
「それがいい、、お前は働き過ぎだったからな、、ゆっくり、心の洗濯をしてくるといいよ、、是非、行ってこい」
「うん、、泰三おじさんには世話になりぱなしで、ごめんなさい。。」
心から感謝して謝ったのである。
そして、月野ひとみは言った、、、「泰三おじさんも一緒に行かない、、、それがいいんだけどな、、」
叔父の泰三は、、「俺は年だし、田舎に帰つてゆっくりしたいよ、、のんびり畑仕事をするから、、気持ちは受け取っておく、、、ありがとう」
と、、二人の別れは済んだ。
それから月野ひとみは叔父泰三にも手伝ってもらい、事務所の中や事務処理を整理したのだった。
旅の準備も出来た、、、晩秋の日和のいい午後、、真田警部が訪ねて来たのである。
「やあ、、先生どこかへお出かけですか、、、事務所の中がさっぱりして、、どうしたんです、、」
と、、聞かれて、月野ひとみは何か覗かれたような気がしてどきりとしたのであった。。。。
「いら、っしゃい、、今年も後わずかだし、、早めの大掃除をしているのよ、、いつも散らかっていて、女のやっている
事務所には見えないのでね、、、警部にも言われているんで、、、たまには綺麗にしておこうと思っただけですよ、、、
「そうですか、、、先生が何処かへ引っ越すのかと思いましたよ、、」
真田警部に言われた時には少しは後ろめたかったので、冷や汗が流れた月野弁護士であった。
「そんなことは無いですよ、、きれいになった事務所で細やかな「クリスマス」をやりますので、、是非、遊びに来てください。。」
と、、誘いを掛けて置いたのである。
叔父の泰三が「ひとみ、、旅に出るのは早い方がいい、、、あの真田警部は何かを知ってるみたいだったな、、」
そして、、、旅の用意も出来ているので明日出かけることにした月野ひとみ弁護士だった。
翌朝、叔父の泰三が月野ひとみのマンションまで迎えに行き、成田食空港に向かった。
「ひとみ、、今度はいつ会えるか分からないが、、、元気で行って来い、、、はがきなどはおくるなよ、、電話もだからな、、分かったな、、」
叔父泰三は姪のひとみを心配していたのである。。
月野ひとみは叔父泰三とは今日が最後の別れの様な気がした。
「泰三おじさん、ありがとう、、、私が戻るまで元気でいてね、、、行ってきます、、」
と、、美しき狼は大空に消えていった。
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