祭り旅

献残屋藤吉郎

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将軍金貸し権藤

将軍金貸し権藤

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時代を飛ぶ男「暗殺人間笑って飛び跳ねる」
(1)用心棒「柳生十兵衛」
用心棒稼業の柳生十兵衛は依頼されれば、必ず、命は守ることが身上で、、その用心棒相場は10日間で、24時間保障することで「200万円」。
午前8時から午後8時までの用心棒相場は1日「10万円」となっている。
用心棒相場は高いが、確実に守ってくれるので評判はいい。
今回も金融業者の権藤金一と言う、悪徳業者で有名な人間の用心棒である。
金融業者の権藤金一は金融業界では金はいくらでも貸してくれるが、取り立てがあくどいということであった。
しかし、やくざであろうが、素性は関係なく、担保さえあれば金額の多いことには文句はなかった。
この世の中に敵は多い。。。
赤坂の豪邸に住み、常にボデイーガードを雇っていた。と言うより、屈強な男たちを住まわせていた。
屋敷内には大型犬を5匹ほど放し飼いにしていた。
用心には用心をしており、外出するときは柳生十兵衛と言う用心棒を雇っていた。
まったく、金のために生きている男だった。
今回、柳生十兵衛を雇ったのは、脅迫状が届いたからだった。
「殺すぞ、、、7日の間に、必ず、殺すと」。。。
今までも脅迫状は何度も届いたけれど、、、日時指定の殺すは無かったので、、、。

(2)悪辣非道な金貸し「権藤金一」
権藤金一は金のためなら、何でもする男だった。金を貸せと言えば担保さえあれば、それに見合った金はいくらでも貸す。しかし、取り立ては厳しかった。
返済期日に返せないない時には、情け容赦なく、担保になる何かを持っていく。
例えば金の返済が出来ないときには、不動産、動産なんでも差し押さえだ。そして、もの無ければ、娘がいれば娘を、兎に角、泣いて頼もうが聞き入れないのだ。
その時に、担保になるものを取り立て、取り上げていく。
「鬼の権藤」と、言われている。
取り立ては鬼の権藤の代理人、「金鬼の番人」と、言われる人間たちがやってくる。
そんな金貸しでも、借りる人間がいるのであった。
返すときの地獄を知っているのに、自分だけは返せると思って借りてしまうのであった。
それが弱者の欠点であった。
やくざ組織に金を貸すときには、約束手形を振り出させて、取り立ての時は「用心棒」を付き添わせてのであった。
柳生十兵衛の役目でもあった。
彼は柳生一族を先祖にもち、不思議な魔剣を使った。
この世の人間とは思えないほど強かった。そして、どんな相手も倒した。
「鬼の権藤」の用心棒としては無敵であり、権藤金一としては、どんな高い用心棒代金を払ってもいいのであった。
そんな悪逆非道な金貸しの用心棒をするのが、柳生十兵衛だった。

(「鬼の権藤」にも涙)
鬼の権藤の用心棒、柳生十兵衛は兎に角強い、、、鬼の権藤を護衛してから一度も失敗はしていなかった。
金貸し「鬼の権藤」にはもろいところがひとつだけあった。それを知っているので、柳生十兵衛は用心棒をしていた。
鬼の権藤には一人娘がいた。然し、自分の不手際で一人娘を死なせてしまったのであった。
今でも幼い5歳前後の女の子を見ると、鬼の目にも涙が溢れるのであった。
その姿を見ると、柳生十兵衛は心穏やかになり、自分を取り戻すようだった。
その時だけが、柳生十兵衛を昔に戻すようだった。
十兵衛がこの世の事を忘れたように振舞われた。
十兵衛にも何か、心の隙魔ができたようだった。
そして、十兵衛の脳裏に幻想が浮かぶのであった。それが何かは分からなかった。
十兵衛には自分が過去に生きていたような現象に陥るのであった。
最初のうちは幻想が十兵衛の頭を揺さぶるだけだった。
それが数回、起きるようになってから、十兵衛は自分の不思議さに気が付き始めた。
自分は時代を超えて生きているようだと、、、思う世になってきた。
十兵衛はふと思った。。。人と争いをしているときに、自分の体が宙に浮いたことを、、、

(柳生十兵衛は別世界の人間ではないかと、、、)
金貸し「鬼の権藤」は人から悪逆非道と言われながらも、金を貸して、その時は助けているのであった。
柳生十兵衛は他人が何と言おうと、それは認めていた。
困ったときに金を難しいことを言わずに出して、助ける「鬼の権藤」が好きだった。
取り立てるときに恨まれはするけど、助けることには変わりはなかった。
ある時、返済ができなくなくなった、やくざ者が居直ったことがあった。年中、茶判事に起きていたことではあったが、、、やくざ者が日本刀を振りかざした時も、十兵衛にはさらりと抑えられてしまった。
その時に十兵衛は相手が振りかざした刀をよけるときに、十兵衛の体が空を飛んだ。無意識の行動だった。
普通なら、十兵衛とやくざ者の距離は切られてもいいはずだった。しかし、十兵衛は自分の体が咄嗟に宙を浮いたのであった。
十兵衛自身が不思議に思い、感じた。
剣術の修行では得られない技であった。なんか、得体の知れないものが十兵衛には宿っているような気がした。
それからは、相手が刃を振るおうが、銃で撃ってこようが、柳生十兵衛には当たらないような気がした。
気がしてきたような、、、何か「魔性」のようなものが守ってくれているような、、、
柳生十兵衛自身が何かの生まれ変わりのような。。。
「鬼の権藤」の用心棒をしながら、柳生十兵衛は変わっていった。

 (十兵衛、武家世界転生の人間では)
柳生十兵衛は人が言うほど、「鬼の権藤」を嫌いではなかった。十兵衛から見たら、困っている人間を「鬼の権藤」は助けるのであった。銀行が他の金融機関が金を貸さないところでも、困っている処には面倒を見るのであった。
柳生十兵衛は一度訪ねた。「鬼の権藤」に向かって、、、
「あんたは、人が言うほど悪人ではないな、、、困っている人間には手を差し伸べるからな、、、それがあるので、俺はあんたを助けているんだからな、、、」
本当に「鬼の権藤」は金に困っている貧乏人を良く助ける。
取り立ては厳しいが、どこかにやさしさがあるようだ。
「鬼の権藤」は言う。。。金を借りる人間にいつも言うことがあった。
「あんたは俺から金を借りて、人世がやり直せるのかと。」
その答えに応じて、貸す金の金額を決めていた。
助かる者の話だと多く貸して、ムダ金と分かった時には少しだけ貸すようにしていた。
十兵衛は側にいて、金を使える人間と、食べるだけの人間に分けて、貸し付ける「鬼の権藤」を見ていた。
決っして、ムダ金を貸してはいなかった。
だから、十兵衛も命がけで「鬼の権藤」を守った。
柳生十兵衛も自分が普通の人間とは違うことを悟ったので、
「鬼の権藤」の守り方を変えてった。
十兵衛の生き方、生きる道は、困っている人間に金を貸す「鬼の権藤」を生かすことであると自負し始めた。
「武家世界からの転生侍」を自覚したのであった。

(「鬼の権藤」襲撃される)
鬼の権藤は困っている人には、必ず、金を貸す。
しかし、貸し人生で、その哲学は決まっていた。
用心棒の柳生十兵衛はその才覚には驚かされていた。個人金貸しであったから、権力者とか政治力による圧力などは一切とらわれることは無かった。
ある時、、、「十兵衛さん、、わしは権力者とか政治力を傘にする人間は大嫌いなんだよ、、、わかるかな、、アハアハ」と、、、言っていたことがあった。
暴力で意を唱える奴もきらいなんだと。。。
本来は弱者の味方のような気もする、、、十兵衛だつた。
東京関東連合の反ぐれが、借入を持ち込んできた。資金調達が、話を聞いているうちに覚せい剤購入資金だと分かったら、「鬼も権藤」は申し込みを断った。
金利も高く、貸せば儲かる仕事でも、やはり、断ってきたのであった。
鬼の権藤がお盆の時の、墓参りの時だった。
その時にはガードマンもつけずに、柳生十兵衛と運転手だけで出かけた。
今までも暴漢から襲われることは度々あった。
しかし、今回は資金調達を断られた反ぐれ「東京関東連合」が10人ほどで襲撃してきた。
柳生十兵衛がついててよかったのであった。
今まで以上に柳生十兵衛は剣の裁きがすごかった、、、人とは思えないほどの速さと、空間を舞って、暴漢を切り捨てた。
十兵衛も人とは思えない動きで吃驚した。
「武家世界魔界の人間」に見えた。
鬼の権藤も十兵衛には感謝した。
帰りの車のなかで、、、「十兵衛さん、ありがとう、、これからもよろしくな。。」と、、、口元に薄笑いを込めていた。

(「鬼の権藤」昔を語る)

用心棒の柳生十兵衛は、「鬼の権藤」の屋敷に住んでいるのであった。
ある晩、鬼の権藤は十兵衛を相手に晩酌をたしなんだ。
「なあ、、、十兵衛さん、あんたには話したいことがあるので聞いてくれ、、」
と、人には話さない昔話を始めた。
「鬼の権藤」は東北の貧しい百姓の生まれであった。そして、子供のころから貧乏の辛さを知っていた。
だから、時間を惜しまず働いた。人にケチと言われようと、お金になることはなんでもしてきた。
人の嫌がることとか、汚い仕事はなんでも引き受けてきた。
学歴もない、、、何のとりえもない百姓のこせがれだから、子供のころから体だけは丈夫であったので、手間仕事を頼まれて、朝早くから夜遅くまでは働いてきた。
子供同士の喧嘩でも、手出助に行ったり、、、悪いことは全部、悪者になって引き受けてきた。
「鬼の権藤」には妹が一人いた、、、その妹が虐められたり、辛い目に合うといつも身代わりを務めて,かばってきた。
しかし、「鬼の権藤」が18歳の時に、妹は家族のために奉公に出された。身売りであった。
金持ちの豪商の妾となったのであった。
「鬼の権藤」は何もできなかった。悔しかった。
その時に思ったのであった。
「金持ちに」ならないとと、、、それからの「鬼の権藤」は人に何と言われようと、「ケチ」に徹したのであった。
そして、妹が身売りしてから30年、、、「鬼の権藤」と言われるような金貸しになったのであった。
「十兵衛さん、、、今夜はつまらない昔話を聞かせたね」と言う、」鬼の権藤には涙が見えた。
十兵衛にはそう思えた。。。。

(「鬼の権藤」狙撃される)
「鬼の権藤」は東京関東連合の反ぐれ集団に狙われていた.
鬼の権藤の護衛が手薄になると、最近は襲われるようになった。
鬼の権藤は金融業界では一匹狼的存在であり、他の金貸しとは組んでは仕事をしなかった。
十兵衛は心配していた。
鬼の権藤の生き方に好きではあるが、無償に心配だった。
十兵衛は言っていた。
「権藤さん、一人歩きはしないように、、、出来るだけ出かけるときは自分が付いていくからと、、、」
「ありがとうな、、、十兵衛さん」
反ぐれ集団よりも、何かに日本の黒い集団、得体の知れない魔の集団に狙われているような気がしてならなった。
困った人間に金を貸すのはいいのだが、、、時には貸してもらいたない集団があるようだった。
グループで、徒党を組んで、談合や贈収賄などを企てている連中には「鬼の権藤」は目障りだったのかもしれない。
金融機関や大手企業の中には、初めから弱小企業を騙すつもりで罠を仕組んでくることが多い。
そんな時に、金利は高いが、理由を聞かずに貸してくれる「鬼の権藤」は神様のような存在なのだ。
身元がしっかりしていれば、理屈さえ通っていれば、「鬼の権藤」は金を出してくれるのであった。
「鬼の権藤」のもとに来て、筋道を立てて、説明すれば、その場で助けてくれるのであった。
だから「鬼の権藤」は「仏の権藤」にもなるのであった。
十兵衛は側で見ていて、何があっても、命がけで助けているのであった。
そんなことで、悪徳商人や欲張り政治家グループに狙われるのであった。
脅迫状や脅しの電話などは日常茶飯事であった。
そんなこともあって、「鬼の権藤」は独り身であり、家族を持たないのであった。
そんなことを十兵衛に、、、「わしは独り身がいい、、、気軽でな」
と、、言っていた。
常に覚悟をしていた。

(悪逆非道な権藤、、弱者の仏様)
「鬼の権藤」を人は悪逆非道な金貸しと言うけれど、用心棒の柳生十兵衛はそうは思わなかった。
確かに金を貸すときは強くも、非道な言い方もするが、、、
「なあ、、、十兵衛さん、わしは言い方はきついが、今でも人助けをしていると思ってる」
そう言っている「鬼の権藤」であった。
他の金融業者は金を貸して、最後は命まで取っているのであることに比べれば、鬼の権藤は違っていた。助けるのであった。
最後はみんな、、、「権藤さん、、ありがとう」を言っている。。。みんな助かっているのであった。
「鬼の権藤」を恨んだり、憎しみを持つものは同業者であり、権力者たちであった。
「鬼の権藤」が同業者や権力者たち、金のガリガリ亡者が金儲けを邪魔されるからであった。
「十兵衛さん、、こんなわしの生き方だけど、敵が多い。。。大変だろうが守って下さいよ、、、」
柳生十兵衛は黙って頷いていた。
何時かは命を賭けて守る日が来るだろうが、、、
「人が人を信じること、命を賭けてやり通す、、、武士道」
「人の噂に動じず、、、信じた相手の言動を信じ」

(鬼の権藤、、、一度だけ恋をした)
十兵衛さんと「鬼の権藤」が酒を酌み交わしているときに、ポロリと漏らしたことがあった。
「十兵衛さん、わしも20代後半に女がいたことがあった。そして、一人だけ子供を授かったことがあるんだよ。。。
すぐに別れてしまったから、息子か娘も分からない意だな、、」
馬鹿な昔を反省していた。
それが風の噂で生きていることが分かって、調べさせたんだよ。。。そしたら息子だってことが分かった。
その息子が出来が良くなく、やくざをしているようなんだ、、、
困っているようなんだが、、、どうしたもんかな。
本人は助けを求めては来てはいないが。。。
しかし、命が掛かった仕事を失敗したようなんだよ。
母親がまだ生きているようなんだよ、、、
息子の男親がやくざで、理屈の通らない男らしい。
それとなく息子と母親を助けてやりたいのだが、、、、
「十兵衛さん、力貸してくれないかな、、、そのためにも様子をみてきて欲しいんだが。」
十兵衛さんは「鬼の権藤」さんに頼まれ、大阪まで行くことになった。
金で済むことならいいのだが、、、どうも、義理人情の世界が絡んでしまっているようだった。
息子の男親は立花一誠と言った昔堅気の極道だった。頑固一徹なやくざで、金には縁のないその日暮らしの半端者だった。
その親の頑固さに付き合わされて、引くに引けない出入りが起きてしまったらしい。
男親は小さな一家を構えた博徒であった。
兄弟分のやくざが関西きっての「関西聯合」と事を構えてしまい、出入りとなってしまったのであった。
挙句の果てに、兄弟分の実子が殺されてしまったから、始末が悪かった。
「鬼の権藤」の息子は義理堅い、男なので、今回は討ち死に覚悟であった。
その事情を知った「鬼の権藤」は何とかしようと画策した。
鬼の権藤は一度の恋の果の子供だったので、助けたかった。
十兵衛は理由を知っていたので、用心棒としての仕事をしようとしていた。

(覚悟の死に様、、、古い極道の生き様)
鬼の権藤の息子、前田新之助はやはり「鬼の権藤」の息子だった。母親が再婚した相手が頑固一徹な極道、前田一兆と言い、これまた馬鹿一筋な男で、義理に突き進む男で、その義理のために命を賭けようとしていた。
息子の新之助も、その父に義理を通そうとしていた。
今どきには馬鹿な親子であった。
そして、組織で巨大化した「関西聯合」と激突した。負けることは分かっていたが、一筋の義理のために男の命を散らしたのだった。
その闘争を止めることも、新之助を助けることが出来なかった、柳生十兵衛は新之助を助けて、関西聯合と戦った。
十兵衛も瀕死の傷を受けたが、もともとが魔界の人間なので生き延びた。
新之助も前田一兆も仲間も、見事に散った。初めから勝ち目のない闘争なので、、、ただ、ただ、男の意地を通しただけだった。
今どきの時代に流行らない、誰も賛美してくれない馬鹿な死に方だった。しかし、こんな世の中で無駄死にも必要なのかもしれない。
柳生十兵衛は「鬼の権藤」に詫びた。
折角、見つけた息子を助けられなかったことを心から詫びた。
人の世界には金はあっても、どうにもならないことがあるようだ、、、金の力の及ばない世界が。。。。
その日から、「鬼の権藤」は命が助かるならと言うことで、弱者を手助けしていった。

(仇討ち)
「鬼の権藤」は柳生十兵衛から、息子の前田新之助の最後を聞いて、涙した。
一緒に生きてはこなかったが、その生き方、男気質を聞いて、さすがは「鬼の権藤」の息子と言いたかった。
十兵衛の話だと、頑固一徹な男親を見捨てずに、最後まで殉じた息子がいじらしかった。生前は弱者を助けて、極道らしく生きてきたことも詳しく聞いた。
そんな息子に何もしてやれない自分が暇しかった。
柳生十兵衛を伴って、前田新之助の墓参りをした時に、偶然だったが母親の姿を見た。
かって、自分が愛した女性だったが、哀れみを覚えた。
大阪から帰り、「鬼の権藤」は一人、考え込んでいた。
何もしてやれなかった息子、前田新之助のために何かしてやれないかと。。。
柳生十兵衛に調べてもらった。
前田新之助には女房と子供一人がいた。その家族の事を考えると、死にきれなかったろうと。。。
その後は柳生十兵衛に頼んで前田新之助の家族を見守った。
そして、最もらしい理由をつけて、「鬼の権藤」は送金を続けた。
そして、柳生十兵衛と相談して、関西聯合への報復を始めた。息子は死んでつぶれたのだった。
「鬼の権藤」は何としても関西聯合を潰してやろうと、、、
知恵と金力を使って、追い込んでやろうと決意した。
柳生十兵衛も協力した。
心が決まった「鬼の権藤」は関西聯合について調査を徹底した。そして、弱みを見つけて追い込んでやろうと。。。
計画は着実に進んだ。

くだらないかもしれないが、、、「鬼の権藤」には復讐と言う目的ができた。

(復讐の始まり)
「鬼の権藤」は金貸しで財をなし、、何、不自由のない生活をしていた。只、家族がいなかった。
一時は家族を持ちたいと思い、真似事のような家族を持ったことがあったが、金貸しに自分の情熱を注いでいた。
しかし、年を重ね、金貸しをしながら、いろいろな人の情に触れてきた。
そして、過去の自分を振り返り、惚れた女がいたことや、子供ができた噂を耳にいていた。
そして、探した。。。見つけた子供が息子であった事や、極道をしていることをしった。
その生き様を知った「鬼の権藤」は逢いたかった。
しかし、その前に極道らしい道を選び、旅立ってしまった。
「鬼の権藤」は今更とは思うかもしれないが、、、旅立った息子を愛しく思った。
「鬼の権藤」は柳生十兵衛に、酒を酌み交わしながら話した。
「十兵衛さんよ、、、わしの人生は何だったのかな、、、と、最近つくづく思う。。。金は出来た、なんでも欲しいものは手に入るような。。。しかし、家族愛と言うか、何かを忘れてきたような、、、」
十兵衛は酒を飲みながら、頷いていた。
そして、「鬼の権藤」はポツリと話始めた。
「十兵衛さん、、、あんたとは長い付き合いになったな、、、付き合いいついでに、もう一つ付き合ってくれないかな、、、」
「それは、、、恥ずかしくて、十兵衛さんにしか言えないけどな、、、、」
「十兵衛さん、息子の仇討ちを手伝ってくれないかな。。。
人世が終わるかもしれないが、、、一緒に手伝ってもらえる人が十兵衛さんしかいないので。。。」
「とんでもない頼み事なんだがな、、、十兵衛さん」
十兵衛は飲む盃を一瞬止めた。
そして、「いいよ、、、、ここまで来たんだから、あんたの人生船に乗ってみるよ、、、」
十兵衛は「鬼の権藤」が人並みに戻ったような気がした。

(関東連合の弱み探し)
「鬼の権藤」も喧嘩する相手が、組織がデカすぎる。
初めから玉砕覚悟で、一矢報いてやろうかという気持ちで臨んでいた。柳生十兵衛も覚悟は決めたいた。
そして、「鬼の権藤」に仕えたいた用人たちも彼には恩義があり、今回の仇討ちには腹を決めて参加することにしていた。
体勢と覚悟が決まった「鬼の権藤」軍団は強かった。
まずは金融面で力をつけてきた「関東連合」の傘下の東京金融を責めた。
東京金融の大口の貸つけ先で、高金利で困っている事業所を見つけて、救済していった。
所有する金額では「鬼の権藤」は誰のも引けは取らなかった、通常の銀行とは肩を並べるほどであった。
その資金力で、東京金融の大口貸付先を潰していった。
この資金作戦には「関東連合」も根を上げた。
関東連合の資金源を潰せば、、、覚せい剤密売にも影響が出て来る。まずは資金面を徹底して攻めていった。
関東連合も黙ってはいなかった。
暴力を持って、「鬼の権藤」を責めてきたが、、、彼の屋敷は要塞化していて、いかにやくざといっても攻め込むのに悪戦苦闘していた。
関東連合の特攻が攻めてきても、柳生十兵衛たちに追い払われてしまっていた。
警察の目もあるので、軍隊のようには攻め込めず、、ゲリラ戦を展開していったのである。
関東連合はやくざが百人からいる、、、しかし、鬼の権藤の4人には刃が立たなかった。
関東連合は爆発物を使った、、、そのために、警察力が、国家権力が立ち向かい、、、関東連合の総長を始め、幹部が逮捕された。
壊滅状態になった。
関東連合は解散になり、総長はじめ幹部やくざは何らかの形で逮捕された。
「鬼の権藤」一家は建物の一部はこわされたが、怪我はしたものの死人は出なかった。
「十兵衛さん、、、ありがとう。。。息子の仇は撃てたよ」
と、、、金の力は凄な、、、と。

(鬼の権藤、十兵衛たちと旅に出る)
鬼の権藤は今回のやくざとの抗争が一段落したので、十兵衛たち連れて温泉旅出かけた。
赤坂の本拠地も大分壊されたので、全国の温泉各地巡りをすることにした。
九州別府温泉から始まり、湯布院温泉と心から温泉を楽しんだ。そして、湯船に浸かりながら「鬼の権藤」今回の関東連合との金貸し合戦を通じて考えるところがあった。
「十兵衛さんよ、、、金を貸して、感謝されて、儲かる仕事は良いものだ、、、、これからは、損をしない程度に金を貸していこうと思う、、あはあはあは、、」と
湯船に頭から浸かった。
その時々の夜の食事も美味かった。
これからはゆっくり、金を貸して、人生をゆっくり旅していこうと思った。
「佐々木、佐藤、、、お前ら二人にも随分と苦労かけたな。。。少しは楽しんでいこうか、、」
と、、、、「鬼の権藤」は心の変化を伝えた。
4人の温泉旅はそれから、福岡、広島、宝塚、有馬と楽しみながら東京へ向かった。
「鬼の権藤」も人生で一番ゆっくりした時期であった。
東京へ戻っってからは鬼の権藤も金融業の会社を設立して、銀座に事務所構えた。
本格的に社員を雇い入れ、ローン会社を始めたのであった。

(関東連合の残党の報復)
「鬼の権藤」との抗争に敗れて、会長を始め関東連合の幹部が逮捕されて、一段落はした。
しかし、ちりじりになった組員たちの中には、「鬼の権藤」に報復を考えている者もいた。
今回の抗争が集結したころに出所してきた、どこをとってもやくざな男だった。
中山安兵衛は関東連合の残党を集めた。
そして、「鬼の権藤」に対する報復を考えた。
「鬼の権藤」の中心人物は4人だけだったので、計画を練って、一人ずつ消していこうとしていた。
鬼の権藤は要塞ともいうべき赤坂の家からは滅多に出てこない。。。まずは、鬼の権藤の側用人のような二人、佐々木泰三と、佐藤幸之助を引き離して始末をすることにした。
しかし、二人とも強かった。
一人は空手の達人で、、、もう一人は槍の達人であった。
二人とも戦国時代から飛び出してきた荒武者のようだった。今回の抗争でも、二人は「鬼の権藤」を守って、良く戦った。
佐々木泰三は今回の抗争で片手を失ったしまっていた。
そこで、「人切安兵衛」はまずは佐々木泰三から狙った。根気よく隙を見つけて、深夜の犬の散歩を狙った。
人切安兵衛はやくざの子分たち5人で、赤坂の氷川神社の境内で待ち伏せて、襲った。
不意を突かれた、佐々木泰三は惨殺された。散歩していた犬2匹も切り殺されたいた。
連絡を受けて、柳生十兵衛が現場いにかけつけた。
「鬼の権藤」は心から涙した。金貸しを始めてからの付き合いであり、鬼の権藤には尽くしてくれた。
関東連合との抗争でも生き残り、いつもそばで守ってくれた泰三であった。
「泰三、、、すまなかった、、、今までありがとう」
鬼の権藤は合掌した。これからだという時に。。。
鬼の目からは留まらなかった涙が。。。。

 (鬼の権藤の心に怒りが燃えた。。。。)
鬼の権藤は今までにいろいろと金を貸して、人も泣かした,あくどい金儲けをしてきた。
しかし、息子が亡くなり、片腕の側用人も殺されて、、、考えた。金も大事だが、身近な大切な人間が死んでいく様に、、人世模様を見たような気がした。
十兵衛さんと酒を酌み交わしながら、、、わしも生き方を変えようと思うと、、、、
命には限りがある、、、金にも限りはあるような、、、どうせなら、人を生かせる金を使おうと、、、、
「将軍金貸し」となって、残りの人生を生きてみようと思う。「十兵衛さん、、、力を貸してくれ。。。」
側用人の佐藤も力貸して欲しいと。。。。
人助けの金貸しをするには、敵も多い。。。今の金融業の事務所では潰されてしまう。。。
「将軍金貸し」をするには、頭も良くて、度胸がいい、仲間を増やさないと、、、、
「十兵衛さん、知恵を出して、仲間を集めてくれ」
と、頼まれ、十兵衛は考えた。
余程、肝っ玉の据わったやつを見つけないとな、、、
十兵衛は先日の喧嘩相手の「人切安兵衛」こと、中山安兵衛にあうことにした。
やくざでも男気を感じたので、ダメもとで当たってみることにした。
鬼の権藤を親の敵と狙っている奴である。難しいことは分かっている。
承知の上で、柳生十兵衛は「人切安兵衛」と会った。」
初めから「鬼の権藤」の身内と分かっているに、時間を取ってくれた。
そして、、、柳生十兵衛は次第を説明した。
「馬鹿野郎、、、親の敵に力を貸すわけないだろう、、、」と、、、最初は散々だった。
しかし、人切安兵衛の男気をつっいていった。極道なら人を助けるのも極道だろう、、、恨みつらみを晴らすだけが男ではない筈だと、、、
そして、時間をかけて、説得した。
人切安兵衛が二人の子分を連れて、参加してくれた。
但し、条件があった。
「鬼の権藤」が、十兵衛さんの言う人のようだったら、力を貸してもいいということになった。
しかし、違っていたら、道を間違ったら、命はもらうと。。。
二人の男の約束は出来た。

(鬼の権藤が将軍金貸しに、、、悪童たちが良童に)
人切安兵衛こと、中山安兵衛を「鬼の権藤」に合わせることにして、日時を決めて赤坂の自宅に連れて行った。
今までに親の敵と狙っていた男が、全面的に信用できるとは思っていない柳生十兵衛は細心の注意を払っていた、
そして、鬼の権藤の屋敷の一室で、本人同士を合わせたのであった。
いざと言う時の覚悟は決まっていた。
人切安兵衛と言われた男である、十兵衛は二人の間に座り、事の次第を話始めた。
くどい話はいらなかった、、、どちらも,人生の白刃の下を潜り抜けた来た男同士である。
ましてや、信用している十兵衛の仲立ちであった。
暫く、にらみ合いが続き、、、、
「依存が無ければ、、、わしのほうは一向に構わないよ」
と、鬼の権藤は話始めた。
中山安兵衛も、、、「わかりました、、、十兵衛さんにお任せします」と言うことになり、、、
人切安兵衛から一つだけ、条件が出された。
「安兵衛さん、、、約束したことは良いですね」
と、念を押された。
柳生十兵衛は頷いた。
「それでは私は、引き受けたからにはやり遂げます、、、
よろしくお願いします、、、、将軍」
と、事は決まり、将軍金貸しは始まった。
柳生十兵衛との話で、中山安兵衛は銀座事務所の勤務となり、彼の二人の子分たちも仕事を手伝うことになった。
将軍金貸しの実務業務は、鬼の権藤の知り合いの銀行筋から入社した。
これで、強い金融業者店舗はできた。
柳生十兵衛は側用人の役目を果たすことなった。

(将軍金貸しは、、、人助け)
誰でも知っていることだが、銀行は小口で金を集めて、、、日本の場合は一般国民から預金と言う形で金を集める。
預金の形にはいろいろあるが、普通の人は僅かな利息で、銀行に操られてている。
集められた金は企業に、大手、中小企業に貸してけて「利ざや」を稼ぐのであるが、、、現代社会では経済界も複雑怪奇になり、、、株式、保険、国債などが入り乱れ、それぞれの独立した会社で、集めた金で利ザヤ、手数料、そして、多額に集めた金で、いろいろな金儲けをしている。
そして、それらの中間的な存在で詐欺的な商法がまかり通って、国民は庶民は騙されるるような。。。会社経営でも詐欺にあい、倒産と言う経済事件が起きている。
そんな中で、弱者は社会悪に騙されて、四苦八苦している。
生活に必要な僅かな金を騙し、巻き上げている悪企業を許せなかったのである
鬼の権藤、、、名称を改め「将軍金貸し、権藤」は、今までに自分がやってきた、悪辣非道な金貸しを辞めたのであった。
自分の息子の死と、側用人の佐々木が殺されたことにより、人の命の尊さをしみじみと知らされたのであった。
赤坂の店舗を任せた「中山安兵衛」には、十兵衛立ち合いのもとで、「将軍金貸し、権藤」は人助けが目的であると。。。
「将軍金貸し権藤」の金貸しは「第一が人助け、」「命が一番」と明記していたのであった。
赤坂店を任された「中山安兵衛」は肝に銘じた。
「将軍金貸し権藤」は金を借りに来て、金儲けがわかれば、変な話だが金はかさなかった。
本当に金に困り、その金がないと命にかかわるという場合のみに貸すことにしていた。
そのために潰れかけたリサイクル工場を買い取って、働き口のないものには、良ければ働いてもらうことにした。
そのリサイクル工場は潰れかけた会社の経営を「将軍金貸し権藤が」働く人たちのために、救済事業としてはじめたのであった。

(将軍金貸しの救済事業)
将軍金貸し権藤は、生活に困窮し、明日を生きる金に困る弱者を助けるために、返済するための、生きるための働く場所を造った。
参謀役兼用心棒の「柳生十兵衛」と相談して、産業廃棄物のリサイクル工場を設立した。
中山安兵衛も協力して、現場管理人となる人出を探した。
健康的で、ある程度は指導力のある人間を、知り合いを頼りに見つけたのであった。
中山安兵衛の弟分の桔梗辰之助と言う、元極道を見つけ出して、責任者にした。
今は極道を辞めて、建設会社で現場監督をしていたので、事の次第を説明して説得した。
住み込みでリサイクル工場の管理をしてくれることになった。柳生十兵衛も中谷安兵衛の身内ならと任せた。
「将軍金貸し権藤」には、噂を聞いて、生活困窮者が訪ねて来るようになった。
赤坂の「将軍金貸し権藤」に一人の男がやってっ来た。
みすぼらしい格好をした、老人だった。
受付の女子が嫌がるような対応をしていた、、、その様子を見ていた、中山安兵衛は声をかけた。
安兵衛はどこかで見覚えのある、その老人が懐かしかった。
「失礼ですが、、、もしかしたら、服部半蔵さんではありませんか。。。」
「やっぱり、服部さんですか、、、、安兵衛ですよ、、、
覚えていますか。。。」
と言って、その老人を事務所の応接間に案内した。
応接間の椅子に座った、服部半蔵は恐縮したように、挨拶をした。
「服部です、、、安兵衛さんですか、ご無沙汰していました。。。」
「本当にご無沙汰しました、、、来られた義理ではないのですが、、、」
「恥ずかしい話ですが、、、お願いがあってきました」
「何を遠慮しているんですか。。。なんでも言ってください」
と、、、昔話を交えながら、今日、尋ねてきた用件を聞いた
尋ねてきた内容は「金」を借りに来たのであった。
事情を聞いた安兵衛は、服部半蔵に金を貸した。
そして、仕事がないことを聞いたので、安兵衛は仕事の話もして、手伝ってもらうことにした。
服部半蔵の得意技である、「隠密調査」を依頼して、一緒に将軍金貸し権藤の主旨に沿った仕事をすることになった。
将軍金貸し権藤のもとに、一騎当千の旗本が集まったのであった。(続編あり、、、続く)
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