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第五章 新婚旅行
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しおりを挟む ダンビエール公爵夫妻は午後をすこし過ぎた頃、ようやく公爵邸を出発した。
王都を囲む城壁の大門が日没とともに閉まるので、それまでには王都を出なければならない。
今夜は王都から一番近い街道沿いの宿場に泊まる予定になっている。
生まれてからほとんど王都から出たことがなかったベルティーユは、旅そのものが新鮮だった。
幼い頃からアントワーヌ五世の妃候補と目されていた彼女は、事故や事件を避ける意味もあって、カルサティ侯爵家の領地に行ったことも二度ほどしかなかった。まして、旅行など初めての経験だ。
「まぁ……とても素敵な景色ね。こんなに畑が広がっているなんて」
馬車の硝子窓に顔をくっつけるくらいに接近し、ベルティーユは外の風景を楽しんでいた。
王都の城壁を越えると、街道の両側は麦畑や林が広がっている。
人家もぽつぽつと建っているが、王都のように家々が密集している場所はない。
牛や馬、羊などが放牧され、厩舎などが点在しているところもある。
物心つく前にカルサティ侯爵領へ両親と行ったことはあるが、その当時のことなど一切覚えていないので、今回の旅がほぼ初めての王都外への旅行だ。
「あの畑はなにも植えられていないのね」
「麦畑ですよ、奥様。もうすでに刈り入れが終わっているので、いまは畑を休ませているのです」
馬車の中で向かいの席に座る家令が答える。
ベルティーユと同じく王都から離れたことがないミネットも、広大な畑に目を丸くしていた。
「あれが麦畑なの? あんなに広い土地を耕しているの?」
「大勢の農夫が麦や野菜を畑で育て、王都で売ります。いま見えている畑だけではとても王都の住民すべての胃を満たすことはできないので、もっと遠くの地域で作られた麦も王都へ届けられます。ダンビエール公爵領で収穫した農作物の一部も、王都へ運んでいます」
「そうなの!?」
街道の両側には白楊樹が林立している。
王都内ではあまり見かけない木だ。
まっすぐ空に向かって伸びている姿は、まるで壁のようにも見える。
「明日お泊まりいただく宿は漁師町の近くですから、海の魚も召し上がっていただけますよ」
「海!? それはぜひ見てみたいわ! わたし、海を見たことがないの!」
王都は内陸地にあるため、ベルティーユは海というものがよくわからなかった。
地図を見ると、かなり広く、それは湖よりも広く、岸の向こう側は水平線だと文字では読んで知っていたが、実際にどういうものなのかは想像がしづらい。
海の魚というのも、これまでほとんど食べたことがなかった。
塩漬けにした海の魚が王都まで運ばれてくることはあるが、王都で食べられる魚のほとんどは川魚だ。
王都の外に大きな川があるので、川魚は豊富に食べることができるが、海の魚は川の魚よりもかなり大きく身が締まっている物も多いという。
また、海にしかいないという烏賊や蛸、牡蠣などの貝類もぜひ食べてみたかった。
「海は危ないよ」
心配性なのか、オリヴィエールが渋い顔をした。
「海に落ちたら波に攫われて遠くに流されてしまうそうだよ」
「でも、海の中には塩がたくさん入っているから、湖や川と違って身体が浮くんでしょう?」
「服が水を吸えば重みで海に沈んでしまうし、流されてしまうと岸までは泳いで戻ることも難しいそうだよ。それにベル、君は泳げるの?」
「泳げないわ。泳いだことなんてないもの」
水泳というものが運動のひとつとしてあることは知っているが、川で泳いだことはない。
湖も川も溺れると危険だからと言って、誰もベルティーユを近づけさせてくれなかったのだ。
前カルサティ侯爵の趣味は釣りだったが、彼は可愛がっていた孫娘を釣りに連れて行くことだけはしなかった。
野原を走り回って転んでも服を汚すか擦り傷を作るだけだが、水に溺れると命の危険があると言って強く主張していた。
せいぜい、カルサティ侯爵邸の庭の池で水遊びをするくらいしか、ベルティーユには許されなかった。
「じゃあ、海には近づいてはいけないよ。岸で足を滑らせでもしたら大変だ」
「そんなに海は危険なの?」
「それはもう、とても危険だよ」
オリヴィエールは小難しい顔で頷いた。
ベルティーユの隣に座るミネットも同意を示すようにこくこくと頷いている。
「そう……残念だわ」
渋々ながら、ベルティーユは周囲の忠告を聞くことにした。
自分がそれなりに世間知らずであるという認識は、彼女も持っている。
本を読むことで知りうる知識と、実際に自分の目で見て知ることとは違うのだ。
これまでたくさんの勉強をしてきたベルティーユは博学ではあるが、それを実生活で使ったことはないし、使えるような知識もない。
ダンビエール公爵夫人として、これからたくさんのことを見聞きし、知識を増やしていくしかないのだ。
*
一刻半ほど馬車を走らせて、街道沿いの小さな町で最初の休憩を取った。
町には雑貨屋や食堂、旅籠が数軒あり、馬を休ませる広場もあった。
御者が馬に飼い葉や水をやっている間、ベルティーユはオリヴィエールと一緒に町を散策した。
ふたりの後ろに付くように、ミネットと家令、護衛のディスたちが付いてくる。
今日は午前中ずっと礼状を書くために椅子に座り続け、午後も長時間馬車に乗っていることもあり、ベルティーユは腰が痛んで仕方なかった。
散歩をしていると身体を動かせるのですこしはましになっていたが、もっと思いきり手足を伸ばしたくて仕方なかった。
そうはいっても、人目があるのであまり手足を振り回すわけにはいかない。
「旅行って大変ね」
存外疲れるものだと思ったベルティーユは、差していた日傘をくるくる回しながら溜め息をついた。
「もう飽きた?」
「飽きてはいないわ。見たことがない景色が見られるのは楽しいもの」
近くに牛舎があるのか、草の匂いに混じって牛の臭いがする。
部屋や馬車の中に籠もっているよりも開放感があり、寝不足ではあるが初めて訪れる町を歩くだけで心が躍る。
石畳で舗装されていない土道はでこぼこしているし、ところどころが水たまりになっていたが、町の人々は皆自分たちの暮らしに満足しているのか穏やかな表情を浮かべている。
貴族はそう珍しくないのか、着飾ったベルティーユたちを見てもあまり驚いた様子はない。
「奥様、よろしければ市場を案内しましょうか。この町の市場は日没頃までやってるんですよ。食べ物を売る屋台もあるので、面白いですよ」
ベルティーユが退屈していると思ったのか、ディスが提案した。
「屋台? それは面白そうね!」
市場というものは物を売っている場所であるとしか知らないベルティーユは、ディスを振り返ると目を輝かせた。
屋台というものがどんな物かはよくわからないが、ディスが薦めるのだからなにか楽しいものなのだろう。
「ぜひ見てみたいわ」
「じゃあ――」
ディスが「あちらへ」と案内しようとしたときだった。
「駄目だ」
オリヴィエールはきっぱりと拒否した。
「市場なんて、公爵夫人が足を運ぶところじゃない」
「でも、ここは王都ではないし……」
「誰が見ているかわからないんだ。庶民しか行かないところに貴女が行くべきではない」
強い口調でオリヴィエールは諭す。
「――わかったわ」
なんとかオリヴィエールを言い包められないかとベルティーユは思考を巡らせたが、短時間で説得するのは無理だという結論に至った。
「君も、立場をわきまえるように」
厳しい口調でオリヴィエールはディスに言い放つ。
「失礼いたしました、公爵様」
慇懃な態度でディスが謝る。
その姿に、ベルティーユは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
王都を囲む城壁の大門が日没とともに閉まるので、それまでには王都を出なければならない。
今夜は王都から一番近い街道沿いの宿場に泊まる予定になっている。
生まれてからほとんど王都から出たことがなかったベルティーユは、旅そのものが新鮮だった。
幼い頃からアントワーヌ五世の妃候補と目されていた彼女は、事故や事件を避ける意味もあって、カルサティ侯爵家の領地に行ったことも二度ほどしかなかった。まして、旅行など初めての経験だ。
「まぁ……とても素敵な景色ね。こんなに畑が広がっているなんて」
馬車の硝子窓に顔をくっつけるくらいに接近し、ベルティーユは外の風景を楽しんでいた。
王都の城壁を越えると、街道の両側は麦畑や林が広がっている。
人家もぽつぽつと建っているが、王都のように家々が密集している場所はない。
牛や馬、羊などが放牧され、厩舎などが点在しているところもある。
物心つく前にカルサティ侯爵領へ両親と行ったことはあるが、その当時のことなど一切覚えていないので、今回の旅がほぼ初めての王都外への旅行だ。
「あの畑はなにも植えられていないのね」
「麦畑ですよ、奥様。もうすでに刈り入れが終わっているので、いまは畑を休ませているのです」
馬車の中で向かいの席に座る家令が答える。
ベルティーユと同じく王都から離れたことがないミネットも、広大な畑に目を丸くしていた。
「あれが麦畑なの? あんなに広い土地を耕しているの?」
「大勢の農夫が麦や野菜を畑で育て、王都で売ります。いま見えている畑だけではとても王都の住民すべての胃を満たすことはできないので、もっと遠くの地域で作られた麦も王都へ届けられます。ダンビエール公爵領で収穫した農作物の一部も、王都へ運んでいます」
「そうなの!?」
街道の両側には白楊樹が林立している。
王都内ではあまり見かけない木だ。
まっすぐ空に向かって伸びている姿は、まるで壁のようにも見える。
「明日お泊まりいただく宿は漁師町の近くですから、海の魚も召し上がっていただけますよ」
「海!? それはぜひ見てみたいわ! わたし、海を見たことがないの!」
王都は内陸地にあるため、ベルティーユは海というものがよくわからなかった。
地図を見ると、かなり広く、それは湖よりも広く、岸の向こう側は水平線だと文字では読んで知っていたが、実際にどういうものなのかは想像がしづらい。
海の魚というのも、これまでほとんど食べたことがなかった。
塩漬けにした海の魚が王都まで運ばれてくることはあるが、王都で食べられる魚のほとんどは川魚だ。
王都の外に大きな川があるので、川魚は豊富に食べることができるが、海の魚は川の魚よりもかなり大きく身が締まっている物も多いという。
また、海にしかいないという烏賊や蛸、牡蠣などの貝類もぜひ食べてみたかった。
「海は危ないよ」
心配性なのか、オリヴィエールが渋い顔をした。
「海に落ちたら波に攫われて遠くに流されてしまうそうだよ」
「でも、海の中には塩がたくさん入っているから、湖や川と違って身体が浮くんでしょう?」
「服が水を吸えば重みで海に沈んでしまうし、流されてしまうと岸までは泳いで戻ることも難しいそうだよ。それにベル、君は泳げるの?」
「泳げないわ。泳いだことなんてないもの」
水泳というものが運動のひとつとしてあることは知っているが、川で泳いだことはない。
湖も川も溺れると危険だからと言って、誰もベルティーユを近づけさせてくれなかったのだ。
前カルサティ侯爵の趣味は釣りだったが、彼は可愛がっていた孫娘を釣りに連れて行くことだけはしなかった。
野原を走り回って転んでも服を汚すか擦り傷を作るだけだが、水に溺れると命の危険があると言って強く主張していた。
せいぜい、カルサティ侯爵邸の庭の池で水遊びをするくらいしか、ベルティーユには許されなかった。
「じゃあ、海には近づいてはいけないよ。岸で足を滑らせでもしたら大変だ」
「そんなに海は危険なの?」
「それはもう、とても危険だよ」
オリヴィエールは小難しい顔で頷いた。
ベルティーユの隣に座るミネットも同意を示すようにこくこくと頷いている。
「そう……残念だわ」
渋々ながら、ベルティーユは周囲の忠告を聞くことにした。
自分がそれなりに世間知らずであるという認識は、彼女も持っている。
本を読むことで知りうる知識と、実際に自分の目で見て知ることとは違うのだ。
これまでたくさんの勉強をしてきたベルティーユは博学ではあるが、それを実生活で使ったことはないし、使えるような知識もない。
ダンビエール公爵夫人として、これからたくさんのことを見聞きし、知識を増やしていくしかないのだ。
*
一刻半ほど馬車を走らせて、街道沿いの小さな町で最初の休憩を取った。
町には雑貨屋や食堂、旅籠が数軒あり、馬を休ませる広場もあった。
御者が馬に飼い葉や水をやっている間、ベルティーユはオリヴィエールと一緒に町を散策した。
ふたりの後ろに付くように、ミネットと家令、護衛のディスたちが付いてくる。
今日は午前中ずっと礼状を書くために椅子に座り続け、午後も長時間馬車に乗っていることもあり、ベルティーユは腰が痛んで仕方なかった。
散歩をしていると身体を動かせるのですこしはましになっていたが、もっと思いきり手足を伸ばしたくて仕方なかった。
そうはいっても、人目があるのであまり手足を振り回すわけにはいかない。
「旅行って大変ね」
存外疲れるものだと思ったベルティーユは、差していた日傘をくるくる回しながら溜め息をついた。
「もう飽きた?」
「飽きてはいないわ。見たことがない景色が見られるのは楽しいもの」
近くに牛舎があるのか、草の匂いに混じって牛の臭いがする。
部屋や馬車の中に籠もっているよりも開放感があり、寝不足ではあるが初めて訪れる町を歩くだけで心が躍る。
石畳で舗装されていない土道はでこぼこしているし、ところどころが水たまりになっていたが、町の人々は皆自分たちの暮らしに満足しているのか穏やかな表情を浮かべている。
貴族はそう珍しくないのか、着飾ったベルティーユたちを見てもあまり驚いた様子はない。
「奥様、よろしければ市場を案内しましょうか。この町の市場は日没頃までやってるんですよ。食べ物を売る屋台もあるので、面白いですよ」
ベルティーユが退屈していると思ったのか、ディスが提案した。
「屋台? それは面白そうね!」
市場というものは物を売っている場所であるとしか知らないベルティーユは、ディスを振り返ると目を輝かせた。
屋台というものがどんな物かはよくわからないが、ディスが薦めるのだからなにか楽しいものなのだろう。
「ぜひ見てみたいわ」
「じゃあ――」
ディスが「あちらへ」と案内しようとしたときだった。
「駄目だ」
オリヴィエールはきっぱりと拒否した。
「市場なんて、公爵夫人が足を運ぶところじゃない」
「でも、ここは王都ではないし……」
「誰が見ているかわからないんだ。庶民しか行かないところに貴女が行くべきではない」
強い口調でオリヴィエールは諭す。
「――わかったわ」
なんとかオリヴィエールを言い包められないかとベルティーユは思考を巡らせたが、短時間で説得するのは無理だという結論に至った。
「君も、立場をわきまえるように」
厳しい口調でオリヴィエールはディスに言い放つ。
「失礼いたしました、公爵様」
慇懃な態度でディスが謝る。
その姿に、ベルティーユは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
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