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パパ活の真相
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仮眠室で長めの仮眠を取っていた暁は、安曇から沙都希が失踪したことを聞かされる。
困惑する暁は、まだ目が完全に覚めていない感覚がして、ぶんぶんと頭を振った。
「桐ケ谷さんが失踪…っすか?」
「さっき、山下に様子を見に行かせたんだが、もぬけの空だったみたいだ」
「あの……中で……ってことはないっすよね?」
昨夜の沙都希の表情が脳裏に映る。
精神的に壊れてしまったような、冷たい無表情。
あの後、自宅に帰って娘の後を追うことも十分考えられた。
「山下が近所に聞き込みをしたら、朝早く出て行ったのを見た人間がいたらしい」
「そうっすか…」
暁が立ち上がり、ソファーの背もたれにかけてあった背広の上着を手に取る。
「ちょっと出てきます」
「まさか、探しに行くわけじゃねーだろうな?」
「……行かないっす。っていうよりいけないっす」
正直、沙都希を探しに行こうかと頭をよぎった。
だが、実際にどこから探そうかと考えた時に、あっさりと詰んでいることに気づく。
「桐ケ谷さんの行きそうな場所なんて知らないっすから」
「……ふん。頭は冷えてるみたいだな」
沙都希を探しに行けないとなると、やることは一つだ。
「ずっと気になってたことを確かめに行ってきます」
「ま、気が済むまでやってこい」
「はいっす」
暁は背広を羽織り、勢いよくドアから出ていく。
車の中。
信号待ちで止まっている暁は、トントンとハンドルを指で叩く。
早く進みたい気持ちが暁を苛立たせた。
こんなところで交通違反をするわけにはいかない。
ふう、と息を吐き、気を落ち着かせる。
そんなとき、ふと昨日のことを思い出す。
駅前で、女子高生から聞いたあの会話だ。
「ちょっと! それ、言わないようにって言われてるでしょ!」
「あ、そうだった」
やっぱり引っかかる。
暁は心の中でそう呟いた。
「そ、そんな……。桐ケ谷が……」
美流渡高校の応接室。
由依香の担任である元宮が青い顔をして頭を抱えている。
「俺はてっきり……。こんなことなら、あのとき、母親に調べるように言えば……」
元宮は今にも叫び出しそうな表情をしながら、ぶつぶつと呟いている。
「すいません。このことはまだ、秘密でお願いしたいっす」
「……そ、それはまあ……。わかりました」
暁に声を掛けられ、元宮は顔を上げる。
疲弊したような、生気のない顔をしている。
一気に10歳くらい老け込んだようにさえ見えた。
「それより、お聞きしたいことがあるんすけど」
「なんでしょう?」
「由衣香さんがパパ活をしていたって噂は知ってますか?」
「……ああ、そのことですか」
元宮は大きくため息をつき、背もたれにもたれ掛かる。
沙都希とは違い、動揺はない。
「やっぱり、知ってたんすね」
「ええ。まあ」
「なら、なぜ、由衣香さんはなんの処分も受けてないんっすか?」
「……」
「パパ活なんて、退学、良くて停学じゃないっすか?」
そう。それがずっと引っかかっていた。
違和感と言うには大きすぎるほどの問題だ。
「なのに由衣香さんは何の処分も受けているようには見えなかったっす」
「……最初から説明します」
もう隠す必要はないですし、と前置きをして、元宮はゆっくりと語り出した。
由依香がパパ活をしているという噂はすぐに教員たちの耳に入ったらしい。
そこで元宮は真偽を問うために由依香を呼び出したのだという。
「ですが、そこで予想外のことが起こりました」
「……というと?」
「桐ケ谷と一緒に、男性が学校に来たんです」
「……誰です?」
「噂の相手です」
「ええ! パパ活の相手が学校に来たんすか?」
確かに予想外のことだ。
まさか、当事者が来るなんてことは誰にも予想はできないだろう。
元宮は薄く笑い、首を横に振った。
「それは間違いでした」
「間違い? 何がっすか?」
「父親だったんです」
「……え?」
「つまり、桐ケ谷はパパ活をしていたのではなく、父親に会っていたというわけです」
暁の表情が一瞬で曇る。
元宮が何を言っているのか、よくわからなかった。
パパ活の相手が父親なんてことはあるわけがない。
「……それを信じたんすか?」
「もちろん、その言葉だけで信じたわけではありません」
元宮はスーツの内ポケットから一枚の紙を出して見せた。
「その男性はこれを出してきました」
暁は元宮からその紙を受け取る。
「これは……DNA鑑定書?」
紙にはDNA父子鑑定結果報告書と書かれている。
そして、被験者の子の部分には由依香の名前が書かれていた。
「はい。そこに書いてある通り、その男性と桐ケ谷は親子関係だったというわけです」
「……これが偽造という可能性は?」
「わざわざ、そんなことまでしますか?」
「0ではないかと」
物事を鵜吞みにするな。まずは疑え。
これが最初に安曇から教わったことだ。
人は嘘をつく。
わかっていたことだが、こんなにも真実が語られないことに、当時の暁は驚いたものだ。
そんな暁の言葉に、苦笑いを浮かべる元宮。
「どうやら、あなたは私たち、教師を信用していないみたいですね」
「え? いえ、そんなことは……」
慌てて手を振って否定する暁。
そんな暁をまっすぐジッと見てくる元宮。
「刑事さんも職業柄、わかると思いますが……嘘を付いている人間というのは何となくわかるものです」
「まあ……確かに」
「それに、私は桐ケ谷が1年の時から担任をやっています」
「あいつがパパ活をやっている、なんてことの方が信じられない」
そこで元宮は暁から視線を外し、上に向けた。
「父親に会っていた、という方がよっぽどしっくりきます」
「……」
その元宮の意見には暁も同意だった。
実際、暁は一度も由依香には会っていない。
だが、写真の印象や周りの人たちの話を聞く限り、パパ活なんてするようには思えなかった。
「学校側も、父親だと信じたわけっすね」
「逆にそのことを覆す証拠がありません」
確かにそれはそうだ。
なんか怪しいから信じないというのは通じないだろう。
「一つ、腑に落ちないことがあるっす」
「なんです?」
「なぜ、桐ケ谷さん……母親に確認しなかったんすか?」
これも引っかかっていたうちの1つだ。
教師たちの耳に入っているのに、当事者である母親の沙都希に知らせないことに違和感があった。
「桐ケ谷さんは男性に会っていたことを知らなかったっす。父親かどうかは、桐ケ谷さんに確認を取れば済む話っすよね?」
「……刑事さんは子供は?」
「へ? いや、結婚もしてないっす」
「それならわからないでしょうね。子供に会えない辛さというものが」
「……」
「父親は言っていました。桐ケ谷と17年、ずっと会えなかったと」
「17年?」
「裁判で親権を取られてからは、一度も会わせてくれなかったそうです」
同じ親としてなのか、元宮は感情移入しているようだ。
辛そうな表情をしている。
「母親の了承を取ろうとすれば、これからも会うことはできないと……」
「だから、桐ケ谷さんに確認を取ることができなかった、と」
「はい」
「なるほどっす。ありがとうございます。これで、もう一つの疑問も解消されたっす」
「もう一つの疑問……ですか?」
「おかしいと思ったんすよね」
「由衣香さんが父親と会っているのなら、生徒たちにそう言えばいい。けど、言うわけにはいかないから、この話自体、するのを禁止にした、ってわけっすね」
元宮が苦笑いを浮かべて、肩をすくめる。
「完全に噂を止められないとは思ってました。けれど、父親だと噂が流れるよりはマシだということになったんです」
今度は笑みを浮かべて、言葉を補足する元宮。
「桐ケ谷の友達なら、パパ活なんてしてないってわかるはずですし」
「貴重なお話、ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げた後、立ち上がる。
元宮もそれに続き、立ち上がった。
再度、会釈をしてからドアの方へと歩いていく暁。
だが、一番重要なことを聞き忘れたことに気づく。
振り返って、元宮に問いかける。
「あ、最後にもう一つ」
「由衣香さんの父親の名前は?」
「霧山と名乗ってました」
「ありがとうございました」
もう一度、今度は深々と頭を下げてから、暁はドアを開けて部屋を出た。
急ぎ気味で署へと戻った暁。
自席でコーヒーを飲んでいる安曇に戻ったことを報告する。
「戻ったっす」
「おう。母親の戸籍データ、届いてるぞ」
「マジっすか! いわさんにしては珍しく、仕事早いっすね」
「珍しいは余計だ」
学校を出て、車に乗り込む前に暁は安曇に電話をしていた。
沙都希の元夫という人物の名が浮上したことで、沙都希の戸籍を洗うことにしたのだ。
安曇はまんざらでもない表情をしながら、USBを暁に渡す。
暁は受け取って、自席に座りながら笑みを浮かべる。
「だって、いつもは頼むより、自分でやったほうが早いくらいじゃないっすか」
「……合理的なんだよ、俺は」
安曇は必要なさそうなことと、自分に関係なさそうなことは極力やらない努力をする。
今回、すぐに動いてくれたということは、少なくとも必要だと判断してくれたからだろう。
「さてと」
暁はさっそくパソコンを起動して、受け取ったUSBを差し込む。
パスワードを入力してデータの中身を見る。
「……すんません、桐ケ谷さん。個人情報、見せてもらうっす」
沙都希の元夫。
名前と年がわかれば、かなり動く選択肢が広がる。
犯人に繋がる手がかりは、沙都希が失踪した今、この元夫しか残されていない。
「……えっと、桐ケ谷さんの元夫は……」
が、しかし。
「なっ!?」
暁は目を見開き、困惑することとなったのだった。
困惑する暁は、まだ目が完全に覚めていない感覚がして、ぶんぶんと頭を振った。
「桐ケ谷さんが失踪…っすか?」
「さっき、山下に様子を見に行かせたんだが、もぬけの空だったみたいだ」
「あの……中で……ってことはないっすよね?」
昨夜の沙都希の表情が脳裏に映る。
精神的に壊れてしまったような、冷たい無表情。
あの後、自宅に帰って娘の後を追うことも十分考えられた。
「山下が近所に聞き込みをしたら、朝早く出て行ったのを見た人間がいたらしい」
「そうっすか…」
暁が立ち上がり、ソファーの背もたれにかけてあった背広の上着を手に取る。
「ちょっと出てきます」
「まさか、探しに行くわけじゃねーだろうな?」
「……行かないっす。っていうよりいけないっす」
正直、沙都希を探しに行こうかと頭をよぎった。
だが、実際にどこから探そうかと考えた時に、あっさりと詰んでいることに気づく。
「桐ケ谷さんの行きそうな場所なんて知らないっすから」
「……ふん。頭は冷えてるみたいだな」
沙都希を探しに行けないとなると、やることは一つだ。
「ずっと気になってたことを確かめに行ってきます」
「ま、気が済むまでやってこい」
「はいっす」
暁は背広を羽織り、勢いよくドアから出ていく。
車の中。
信号待ちで止まっている暁は、トントンとハンドルを指で叩く。
早く進みたい気持ちが暁を苛立たせた。
こんなところで交通違反をするわけにはいかない。
ふう、と息を吐き、気を落ち着かせる。
そんなとき、ふと昨日のことを思い出す。
駅前で、女子高生から聞いたあの会話だ。
「ちょっと! それ、言わないようにって言われてるでしょ!」
「あ、そうだった」
やっぱり引っかかる。
暁は心の中でそう呟いた。
「そ、そんな……。桐ケ谷が……」
美流渡高校の応接室。
由依香の担任である元宮が青い顔をして頭を抱えている。
「俺はてっきり……。こんなことなら、あのとき、母親に調べるように言えば……」
元宮は今にも叫び出しそうな表情をしながら、ぶつぶつと呟いている。
「すいません。このことはまだ、秘密でお願いしたいっす」
「……そ、それはまあ……。わかりました」
暁に声を掛けられ、元宮は顔を上げる。
疲弊したような、生気のない顔をしている。
一気に10歳くらい老け込んだようにさえ見えた。
「それより、お聞きしたいことがあるんすけど」
「なんでしょう?」
「由衣香さんがパパ活をしていたって噂は知ってますか?」
「……ああ、そのことですか」
元宮は大きくため息をつき、背もたれにもたれ掛かる。
沙都希とは違い、動揺はない。
「やっぱり、知ってたんすね」
「ええ。まあ」
「なら、なぜ、由衣香さんはなんの処分も受けてないんっすか?」
「……」
「パパ活なんて、退学、良くて停学じゃないっすか?」
そう。それがずっと引っかかっていた。
違和感と言うには大きすぎるほどの問題だ。
「なのに由衣香さんは何の処分も受けているようには見えなかったっす」
「……最初から説明します」
もう隠す必要はないですし、と前置きをして、元宮はゆっくりと語り出した。
由依香がパパ活をしているという噂はすぐに教員たちの耳に入ったらしい。
そこで元宮は真偽を問うために由依香を呼び出したのだという。
「ですが、そこで予想外のことが起こりました」
「……というと?」
「桐ケ谷と一緒に、男性が学校に来たんです」
「……誰です?」
「噂の相手です」
「ええ! パパ活の相手が学校に来たんすか?」
確かに予想外のことだ。
まさか、当事者が来るなんてことは誰にも予想はできないだろう。
元宮は薄く笑い、首を横に振った。
「それは間違いでした」
「間違い? 何がっすか?」
「父親だったんです」
「……え?」
「つまり、桐ケ谷はパパ活をしていたのではなく、父親に会っていたというわけです」
暁の表情が一瞬で曇る。
元宮が何を言っているのか、よくわからなかった。
パパ活の相手が父親なんてことはあるわけがない。
「……それを信じたんすか?」
「もちろん、その言葉だけで信じたわけではありません」
元宮はスーツの内ポケットから一枚の紙を出して見せた。
「その男性はこれを出してきました」
暁は元宮からその紙を受け取る。
「これは……DNA鑑定書?」
紙にはDNA父子鑑定結果報告書と書かれている。
そして、被験者の子の部分には由依香の名前が書かれていた。
「はい。そこに書いてある通り、その男性と桐ケ谷は親子関係だったというわけです」
「……これが偽造という可能性は?」
「わざわざ、そんなことまでしますか?」
「0ではないかと」
物事を鵜吞みにするな。まずは疑え。
これが最初に安曇から教わったことだ。
人は嘘をつく。
わかっていたことだが、こんなにも真実が語られないことに、当時の暁は驚いたものだ。
そんな暁の言葉に、苦笑いを浮かべる元宮。
「どうやら、あなたは私たち、教師を信用していないみたいですね」
「え? いえ、そんなことは……」
慌てて手を振って否定する暁。
そんな暁をまっすぐジッと見てくる元宮。
「刑事さんも職業柄、わかると思いますが……嘘を付いている人間というのは何となくわかるものです」
「まあ……確かに」
「それに、私は桐ケ谷が1年の時から担任をやっています」
「あいつがパパ活をやっている、なんてことの方が信じられない」
そこで元宮は暁から視線を外し、上に向けた。
「父親に会っていた、という方がよっぽどしっくりきます」
「……」
その元宮の意見には暁も同意だった。
実際、暁は一度も由依香には会っていない。
だが、写真の印象や周りの人たちの話を聞く限り、パパ活なんてするようには思えなかった。
「学校側も、父親だと信じたわけっすね」
「逆にそのことを覆す証拠がありません」
確かにそれはそうだ。
なんか怪しいから信じないというのは通じないだろう。
「一つ、腑に落ちないことがあるっす」
「なんです?」
「なぜ、桐ケ谷さん……母親に確認しなかったんすか?」
これも引っかかっていたうちの1つだ。
教師たちの耳に入っているのに、当事者である母親の沙都希に知らせないことに違和感があった。
「桐ケ谷さんは男性に会っていたことを知らなかったっす。父親かどうかは、桐ケ谷さんに確認を取れば済む話っすよね?」
「……刑事さんは子供は?」
「へ? いや、結婚もしてないっす」
「それならわからないでしょうね。子供に会えない辛さというものが」
「……」
「父親は言っていました。桐ケ谷と17年、ずっと会えなかったと」
「17年?」
「裁判で親権を取られてからは、一度も会わせてくれなかったそうです」
同じ親としてなのか、元宮は感情移入しているようだ。
辛そうな表情をしている。
「母親の了承を取ろうとすれば、これからも会うことはできないと……」
「だから、桐ケ谷さんに確認を取ることができなかった、と」
「はい」
「なるほどっす。ありがとうございます。これで、もう一つの疑問も解消されたっす」
「もう一つの疑問……ですか?」
「おかしいと思ったんすよね」
「由衣香さんが父親と会っているのなら、生徒たちにそう言えばいい。けど、言うわけにはいかないから、この話自体、するのを禁止にした、ってわけっすね」
元宮が苦笑いを浮かべて、肩をすくめる。
「完全に噂を止められないとは思ってました。けれど、父親だと噂が流れるよりはマシだということになったんです」
今度は笑みを浮かべて、言葉を補足する元宮。
「桐ケ谷の友達なら、パパ活なんてしてないってわかるはずですし」
「貴重なお話、ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げた後、立ち上がる。
元宮もそれに続き、立ち上がった。
再度、会釈をしてからドアの方へと歩いていく暁。
だが、一番重要なことを聞き忘れたことに気づく。
振り返って、元宮に問いかける。
「あ、最後にもう一つ」
「由衣香さんの父親の名前は?」
「霧山と名乗ってました」
「ありがとうございました」
もう一度、今度は深々と頭を下げてから、暁はドアを開けて部屋を出た。
急ぎ気味で署へと戻った暁。
自席でコーヒーを飲んでいる安曇に戻ったことを報告する。
「戻ったっす」
「おう。母親の戸籍データ、届いてるぞ」
「マジっすか! いわさんにしては珍しく、仕事早いっすね」
「珍しいは余計だ」
学校を出て、車に乗り込む前に暁は安曇に電話をしていた。
沙都希の元夫という人物の名が浮上したことで、沙都希の戸籍を洗うことにしたのだ。
安曇はまんざらでもない表情をしながら、USBを暁に渡す。
暁は受け取って、自席に座りながら笑みを浮かべる。
「だって、いつもは頼むより、自分でやったほうが早いくらいじゃないっすか」
「……合理的なんだよ、俺は」
安曇は必要なさそうなことと、自分に関係なさそうなことは極力やらない努力をする。
今回、すぐに動いてくれたということは、少なくとも必要だと判断してくれたからだろう。
「さてと」
暁はさっそくパソコンを起動して、受け取ったUSBを差し込む。
パスワードを入力してデータの中身を見る。
「……すんません、桐ケ谷さん。個人情報、見せてもらうっす」
沙都希の元夫。
名前と年がわかれば、かなり動く選択肢が広がる。
犯人に繋がる手がかりは、沙都希が失踪した今、この元夫しか残されていない。
「……えっと、桐ケ谷さんの元夫は……」
が、しかし。
「なっ!?」
暁は目を見開き、困惑することとなったのだった。
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