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SceneM 真弥の動揺
sceneM-2 知らなかった事実
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「ぶはぁッ!! はぁ……はぁ……何とか乗り込めたな」
暴れ馬どころではない暴走バイクにしがみ付き、どうにか〝ルシファー〟に乗り込んだ司達。
腕に抱えた真弥を落とさなかったのは殆ど奇跡に近い。
おまけにあまりにも不安定な体勢だったせいで自分さえいつ振り落とされていてもおかしくなかったので、割とこれまでで一番身の危険を感じた。
「閣下、私はブリッジへ戻ります! 今回はかなり強度のある戦闘だったのでさぞお疲れとは思いますが、艦内の反重力を展開している余裕はありません! フルマニューバでこの側流世界を離脱しますので、どこかに掴まっていて下さいッ!!」
バイクを飛び降りたルーツィアは、司が抱える真弥を受け取りその手足に拘束具をはめ、口に自害防止の猿轡を噛ませると床下へ愛車を収納し、すぐさま格納庫を走り去って行ってしまった。
「え!? いや、待っ…………行っちゃった。まぁでも、ここはもう流石に任せるしかないよな?」
戦闘ならまだしも、戦艦の操縦はどう考えても本来自分の出る幕じゃない。
司は溜まっていた圧を抜く様に息を吐いて肩を下してその場に座り込む。
確かに疲れた。
前回の七緒との対戦の時は、割と能力の階層が上がる勢いで余計なことを考えず全開になっていたが、今回はかなり意識的に戦った。
そのせいか、身体も頭も疲れてしまいもうこのまま横になってしまいたい疲労感がある。
「あぁ……う、ぅ……あ、でもダメだ。どこかに掴まっとけって言われ…………え? いや、どこも掴まる所無くないか? ……ん?」
格納庫と言う性質上、広さを確保するためかまともな柱も無く焦る司。
しかし、そんな周囲を見回していると壁の端にポストの投入口ほどのサイズの覗き窓があることに気付き、司は外がどうなっているのかが気になり、気怠い身体を起こして覗き込んで見た。
「…………マジかよ」
気密性が高いのか全く音は聞こえない。
ただ、今まで見たことは無いが〝この世の終わり〟とは、まさにこんな感じなのかもしれないという光景がそこにはあった。
「これは……流石に酷いだろ」
空から降り注ぐいくつものレーザーが森を消し飛ばしていく。
砕け散る木々も、捲り上げられる地面も、まるで何もかも焼却される様に跡形も無く消失していた。
「なんで……こんなことをするんだよ? いくら本当の世界じゃないからって……――あッ!」
狭い窓の視野角でギリギリ見えた地上付近。
木々の間を走り抜けているのは、この側流世界の住人である〝ディグニティ・ナイツ〟
司が能力で堕とした者や見覚えが無い者も、迫り来る破壊の前には関係無いと言った感じで、彼女達は傷付いた仲間に肩を貸したりと協力し合いながら迫り来るレーザーから必死に逃げていた。
「はぁ!? う、嘘だろ? 協力してくれてたあいつらを置き去りにしたのか!?」
自分に従うと宣言した者達を置いて来てしまったことを今更になって思い出したが、もうとても今更助けになど行けない。
そして、服従を誓っていない者達は、こちら側にとって敵である〝ロータス〟に協力していた者達なのだからそもそも助けてやる義理も無い。
だが、それでも死の淵で見捨てられた姿はあまりにも痛ましく気の毒だった。
そして……。
「あッ……」
薙ぎ払われたレーザーが女騎士達を呑み込む。
〝D・E〟の動体視力は彼女達が消え去る刹那をしっかり捉えていた。
幸い……と言ってよいかは怪しいが、血肉が焼け爛れ人が千切れ散る様な瞬間は無く、この側流世界に来た時最初に見せて貰った木の葉の消失と似た様な感じで、女騎士達の身体が端から光の粉の様になって消えて行った。
生々しいグロテスクさは無かったが、それでも人の死にざまとしてあまりに惨く思えてしまう。
「こんなのアリかよ……――くッ!」
司は振り返り、床に寝かせた真弥を見て歩み寄る。
この惨劇は叩き起こしてでも〝ロータス〟側に見せるべきだと思った。
こんなことをしておいてどの口が正義を語るのか。
「ふざけるのも大概に――うわぁッ!?」
突然踏み出した足が空を掻き〝床〟が〝壁〟になった。
足裏で踏んでいたはずの場所が目の前に来て、さっきまで覗き込んでいた小さな窓が足元の遥か下に見える。
「え? えぇッ!? うわわわッッ!? っとッ!!」
慌てて壁に手を付く司。
しかし、指を掛ける所など無く、おまけに背中側から強烈なGが掛かりその壁に押し付けられたかと思えば、今度はその壁が〝天井〟になったりと、さながらパニックルームの様に方向の概念が狂い出す。
「くぉおッ!? うぐぐッ!! これ、ひょっとして〝ルシファー〟飛んでるのかッ!?」
先ほどルーツィアが言っていた反重力未展開での機動。
それはこういうことだったのかと驚愕する司は、もはやどこかにしがみ付くよりも〝D・E〟をフル活用して飛び回っている方がいくらか安全だと適応し始めるが、そんな彼の横をまだ気を失っている真弥が通り過ぎる。
「あッ!? うぐぅぅ~~ッッ!! だぁぁッッ! くそッ!!」
手足を拘束され、間違いなく受け身も取れない。
このまま放置していれば、上下左右も無く延々と全身を周囲に叩き付けられることになるだろう。
そして、司は一瞬……『むしろそうなってしまえ』と思った。
かつてサッカーボールの様に扱われた自分の幼少期を思い出せば多少は留飲が下がるというものだ。
しかし、どうにも胸の不快感を誤魔化せ切れなかった司は壁に叩き付けられる寸前だった真弥の腕を掴んで身体を入れ替え、加速して勢いが付いた自分の身体の衝撃と真弥の分の衝撃も合わせて背中で全て受け止める。
「うぐぁッッ!? う、ぐぅ……痛ッ……な、何やってんだよ、俺……――うぉわッ!?」
自分で自分の気持ちに納得出来ない苛立ちと痛い背中に悪態を付きつつ、司は真弥を抱え直して〝ルシファー〟の動きに合わせて格納庫内を飛び回る。
そして、何回か天井と壁と床を跳ね回っていると、またさっきの覗き窓が見れる位置に来た。
司は外がどうなっているのかもう一度確認しようとしたが、すでに艦外はマーブル模様の時元空間になっていた。
「どうなったかも……もう分んないのかよ」
呆気無さ過ぎる。
何百人もいた人達が死ぬ瞬間が、こんな電車の窓から眺める外の景色の様に簡単に過ぎ去っていいのか?
改めて感じる〝Answers,Twelve〟と〝ロータス〟の戦いの規模。
なんたる傍迷惑だろうか。巻き込まれた方はたまったモノではない。
「気持ち悪い……でも、もう俺はそういう所にいるんだもんな」
今更一般人振る資格は無いし、別に〝ロータス〟との戦いをやめようとも思わない。
司は今、自分がいよいよ本当の意味でボーダーの上に差し掛かっているんだということを察した。
人の命は何よりも優先されるべきだと口に出来る一般人側から、他人の命などどうなろうが知ったことではない異常者の域へ踏み込む。
「…………無理だな。もう俺は他人を思ってやれない」
ブチッと心から何かが千切れた。
人として死ぬまで持っておくべき大切な何かを手放してしまった様な喪失感と共に、それに手を伸ばして何とか繋ぎ止めようとする意思が働かない。
「いい……別にいい。曉燕とか、七緒とか……紗々羅とか、美紗都とか……新しい仲間が出来たし、十分だろ」
無秩序に襲い掛かって来ていたGが止んで来た。
多分〝ルシファー〟が平行姿勢になったのだろう。
ただ、時折左右や上下に動く感覚がり、恐らくあのレーザー砲を放っていた〝ロータス〟の戦艦と追いかけっこをする様な状態になったのだと思うが、ルーツィアに任せていれば問題は無いだろう。
改めて床に降り立った司。
ふと見れば、真弥はまるで寝ている様な穏やかな顔をしていた。
「チッ……クソがよ」
その身体を床に下ろして自分も座り込む。
別に飛び回ってさらに疲れたといった感じはないが、やけに心臓がドクドクと荒れた脈を打っている。
(あぁ……変わってるんだ俺。百人死のうが千人死のうがどうでもいいと思える俺になろうとしてる。だったら早くしてくれ……これは、ちょっと……しんどい)
胡坐を掻いて項垂れる司。
風邪を引いて熱が出た時に解熱剤を飲み効き目が出て来るのを待つ様な感覚。
このしんどい気持ちからさっさと解放されてしまいたい。
そう思った司は、目を閉じて少し意識を手放すことにした…………。
「――ま! ――――様! ――――司様!!」
身体を揺すられる感覚。
ジワリと目が開き、視界に色が戻ると心配そうにこちらの顔を覗き込んでいる紗々羅の顔が見えた。
「…………え? あれ? さ、紗々羅?」
「紗々羅? じゃない! もう何してるの司様! 拘束してるとはいえ敵の前で居眠りとか舐めプし過ぎよ?」
紗々羅が頬を膨らませてグリグリと頬を白鞘の柄で突いて来る。
それでもしばらく微睡んでいた司だったが、ハッと我に返り顔を上げると紗々羅の後ろにはオドオドした美紗都と、紗々羅と同じ感想なのか少し呆れた感じのルーツィア。
そして、まだ意識が戻っていない真弥の襟を掴みぞんざいに持つ良善の姿があった。
「お目覚めかい、司? ご苦労様だ。粗を突けば色々と出て来るところだが、とにかく本格的な初陣お疲れ様だったね。曲がりなりにも一応戦果を挙げた辺りは流石私が見込んだだけはある」
そう言って良善は片手に掴んだ真弥を軽く振る。
自分の戦果……敵を一人捕虜にしたということか?
だとすると、あまり手放しにその誉め言葉を受け取れない気分だ。
「どうもっす……でも、俺の戦果かは怪しいですよ。俺はただ去り際に拾い上げて来ただけですし」
「フフッ……若い内から謙遜する癖は良くない。自信が育たないぞ? 素直に受け取っておきたまえ。とにかく無事に帰還した。完膚なきまでに我々の勝利だ」
「帰還? ……あ」
立ち上がった司は三度目になる覗き窓に目を向ける。
そこから見えたのは暗闇の遠くで煌めく街の明かりと高層ビルの上に鎮座する様な満月。
分かり過ぎるくらいにかつての日常の風景。
どうやら最初に〝ルシファー〟に乗り込んだ時の港湾地区へ戻って来た様だ。
「本流世界に……な、なんでわざわざ?」
「コーヒー豆のストックが切れたのが八割、本流世界に戻れば〝ロータス〟もそうそう安易に戦闘を行えないというのが二割の理由だ」
「……割と真面目に聞いてるんですけど?」
「失敬だな、真面目に返しているよ」
だったら理由の配分がどう考えてもおかしいだろうと突っ込みたかったが、多分この男を相手に正論の問答など不毛だろう。
それか、存在の尺度的にこの男の二割が自分にとっての十割に等しいのかもしれない。
(あぁ、なんかそっちの方がしっくり来るか)
余計なことを考えるとさらにしんどい。
今はもうなんだかベッドに倒れ込んで本格的に眠りたい気分な気がするのだが……何だか妙に目が冴えて多分今はもう横になって寝付けそうに無い気がした。
「これからどうするんですか?」
「うむ、まぁ少し休憩だね。まず曉燕と七緒がしばらく治療ポットから出れない。君がこの子を捕まえたのと合わせ、私も君が定めた四人の標的の内の一人……一番小さい子を捕まえた。あ! 勘違いしないでくれ? 私が倒した訳でなくたまたま目の前で死に掛けていたので拾って来ただけだからね?」
「一番小さい……あぁ、曽我屋千紗か。うん、まぁ……だったら別に……」
「あと、君も少し落ち着く時間が必要そうだ。〝D・E〟が精神面の改修を始めているだろ?」
「うぐッ……なんで分かるんですか?」
「君よりは大人だからね。とりあえず、しばらく〝ロータス〟も手は出せまい。あっちの被害の方が甚大だろうからね。精々新たな側流世界を作り出して本流世界に我々には都合の悪い影響をチビチビ与えて来るくらいが関の山だ。ルーツィア……破損した〝ルシファー〟の修理を頼む。紗々羅はここへ着くなり街に遊びに行ってしまった首領の監視だ」
「Jawohl」
「えぇ……デーヴァ千人相手にするより大変なんですけど……」
「頑張れ。美紗都……紗々羅から話は聞いている。壁を一つ越えたそうだね。流石は私の起源体だ。君も司と同じで少し休んで〝D・E〟を慣らしておきなさい」
「あ、うぅ……は、はい」
「フフッ……では諸君、一旦解散だ。次の動きを起こす段階になればまた改めて招集する」
「あッ! り、良善さんッ!」
その場を締め、先んじて格納庫を出て行こうとする良善。
その背中を司が呼び止めると、良善はあっさり振り返った。
「どうしたね、司? あぁ……これのことかい? 心配しなくても、もう一人と合わせて解剖したりなどはしないよ。これは君の獲物だ。軽く治療だけして牢に閉じ込めておく。気が向いたら取りにおいで」
そう言って良善は司の言葉を待たずに再び歩き出し格納庫を出て行ってしまった。
「おい、紗々羅。さっさと無比様の所へ向かえ。博士様の命令だぞ?」
「うっさいわね……分かってるわよ! 司様? とりあえずゆっくり休んどいた方がいいよ」
「はい、それがよろしいかと存じます。では、失礼します閣下」
「またあとでね~~! 美紗都! あんたも身体を休めときなさいよ~~!」
背筋を正して一礼するルーツィアが去り、紗々羅は笑顔で手を振っていたかと思えば忽然とその場から消える。
そして、残された司と美紗都はしばらく呆然と立ち尽くしたあと、自然とお互いを向き……。
「……ゆっくり休める感じ、する?」
「ううん……なんか、目が冴えてる。身体の奥で変に心臓がドクンドクンしてて寝れそうにないよ」
「ははッ、一緒だな……いいや、ちょっと遊びに行っちゃおうぜ。多分、まだそんな遅い時間じゃないだろ」
「え? い、いいのかな?」
「構うもんかよ。今更夜遊びで怒られる程度のご身分か? 俺達」
「…………あははッ、そだね」
何だかお互いに乾いた笑いが漏れた司と美紗都は、そのまま〝ルシファー〟を抜け出し二人で街に出る。
お互いこれまで夜の街で遊ぶなんてこととは無縁だったので、少し馴染めない感じはあったが適当にファーストフード店で食事をして、何となく思い付きでカラオケボックスに入ってみたりなど『こんな感じなんじゃないか?』と思う若者の夜遊びに興じてみた。
「おぉ、すげぇ! 九十五点。美紗都、歌上手いな」
「えへへ……あのど田舎にも辛うじてカラオケとボーリング場があったから、高校生の時はその二つでずっと遊んでたからね。あぁ……久しぶりで楽しい! あはは……楽しい……や……」
「「…………」」
タイミングが被り無言になる二人。
次の曲も入れて無くて、モニターにCMが流れ出した頃。
司は背もたれに身体を預け、ローテーブルに足を乗せて思い切って口を開いてみた。
「なんか、すげぇな……俺達。ついさっきまで異世界にいて、その異世界がぶっ壊れてそこに住む人が消し飛んでいくのを横目に帰って来てこうして遊んでる。すげぇ人でなしだよ」
「あはは……言えてるね~~。私も見たよ……あの光線で何もかも消し飛んで行ってたところ。まぁ、ルーツィアが紗々羅ちゃんから操縦変わった後は振り回されてそれどころじゃなかったけど」
行儀悪くした司に合わせる感じで美紗都はソファーに寝転んで仰向けになる。
そして、また沈黙。
ただ、意外に気不味くはなかった。
多分一番今現在の感性が近い者同士なので、他の者より安心出来るのだろう。
「ねぇ……司様? 私達……もう大量殺人鬼かな?」
「微妙じゃね? とりあえずあの異世界の住人を人間換算していいかはっきりしないし、何より周りが桁違い過ぎるからな」
「そっか……そうだね。良く分かんないね」
「あぁ……良く分かんねぇ」
「「…………」」
また無言。
そうしてダラダラ過ごしていると、内線が鳴りフロントから終了の合図が来た。
「この後どうしようか?」
入る時に渡された手籠にマイクと伝票を入れる美紗都が尋ねて来る。
それに対して少し黙っていた司がふとあることに気付いた様に顔を上げた。
「なぁ? ちょっと俺事なんだけど、行ってみたい場所があるんだ。……いいか?」
「行ってみたい場所? うん、いいよ? どこ? 何かのお店?」
「あぁ……まぁ、多分もう普通に閉まってるとは思うんだけどさ。ちょっと……喫茶店にな」
時間的に閉まっているだろうと分かっている喫茶店に行く。
おかしな話だが、美紗都は司の表情に何か察したのか、特に突っ込むことなく彼に付いて二人で夜の街を通り抜けて行った…………。
暴れ馬どころではない暴走バイクにしがみ付き、どうにか〝ルシファー〟に乗り込んだ司達。
腕に抱えた真弥を落とさなかったのは殆ど奇跡に近い。
おまけにあまりにも不安定な体勢だったせいで自分さえいつ振り落とされていてもおかしくなかったので、割とこれまでで一番身の危険を感じた。
「閣下、私はブリッジへ戻ります! 今回はかなり強度のある戦闘だったのでさぞお疲れとは思いますが、艦内の反重力を展開している余裕はありません! フルマニューバでこの側流世界を離脱しますので、どこかに掴まっていて下さいッ!!」
バイクを飛び降りたルーツィアは、司が抱える真弥を受け取りその手足に拘束具をはめ、口に自害防止の猿轡を噛ませると床下へ愛車を収納し、すぐさま格納庫を走り去って行ってしまった。
「え!? いや、待っ…………行っちゃった。まぁでも、ここはもう流石に任せるしかないよな?」
戦闘ならまだしも、戦艦の操縦はどう考えても本来自分の出る幕じゃない。
司は溜まっていた圧を抜く様に息を吐いて肩を下してその場に座り込む。
確かに疲れた。
前回の七緒との対戦の時は、割と能力の階層が上がる勢いで余計なことを考えず全開になっていたが、今回はかなり意識的に戦った。
そのせいか、身体も頭も疲れてしまいもうこのまま横になってしまいたい疲労感がある。
「あぁ……う、ぅ……あ、でもダメだ。どこかに掴まっとけって言われ…………え? いや、どこも掴まる所無くないか? ……ん?」
格納庫と言う性質上、広さを確保するためかまともな柱も無く焦る司。
しかし、そんな周囲を見回していると壁の端にポストの投入口ほどのサイズの覗き窓があることに気付き、司は外がどうなっているのかが気になり、気怠い身体を起こして覗き込んで見た。
「…………マジかよ」
気密性が高いのか全く音は聞こえない。
ただ、今まで見たことは無いが〝この世の終わり〟とは、まさにこんな感じなのかもしれないという光景がそこにはあった。
「これは……流石に酷いだろ」
空から降り注ぐいくつものレーザーが森を消し飛ばしていく。
砕け散る木々も、捲り上げられる地面も、まるで何もかも焼却される様に跡形も無く消失していた。
「なんで……こんなことをするんだよ? いくら本当の世界じゃないからって……――あッ!」
狭い窓の視野角でギリギリ見えた地上付近。
木々の間を走り抜けているのは、この側流世界の住人である〝ディグニティ・ナイツ〟
司が能力で堕とした者や見覚えが無い者も、迫り来る破壊の前には関係無いと言った感じで、彼女達は傷付いた仲間に肩を貸したりと協力し合いながら迫り来るレーザーから必死に逃げていた。
「はぁ!? う、嘘だろ? 協力してくれてたあいつらを置き去りにしたのか!?」
自分に従うと宣言した者達を置いて来てしまったことを今更になって思い出したが、もうとても今更助けになど行けない。
そして、服従を誓っていない者達は、こちら側にとって敵である〝ロータス〟に協力していた者達なのだからそもそも助けてやる義理も無い。
だが、それでも死の淵で見捨てられた姿はあまりにも痛ましく気の毒だった。
そして……。
「あッ……」
薙ぎ払われたレーザーが女騎士達を呑み込む。
〝D・E〟の動体視力は彼女達が消え去る刹那をしっかり捉えていた。
幸い……と言ってよいかは怪しいが、血肉が焼け爛れ人が千切れ散る様な瞬間は無く、この側流世界に来た時最初に見せて貰った木の葉の消失と似た様な感じで、女騎士達の身体が端から光の粉の様になって消えて行った。
生々しいグロテスクさは無かったが、それでも人の死にざまとしてあまりに惨く思えてしまう。
「こんなのアリかよ……――くッ!」
司は振り返り、床に寝かせた真弥を見て歩み寄る。
この惨劇は叩き起こしてでも〝ロータス〟側に見せるべきだと思った。
こんなことをしておいてどの口が正義を語るのか。
「ふざけるのも大概に――うわぁッ!?」
突然踏み出した足が空を掻き〝床〟が〝壁〟になった。
足裏で踏んでいたはずの場所が目の前に来て、さっきまで覗き込んでいた小さな窓が足元の遥か下に見える。
「え? えぇッ!? うわわわッッ!? っとッ!!」
慌てて壁に手を付く司。
しかし、指を掛ける所など無く、おまけに背中側から強烈なGが掛かりその壁に押し付けられたかと思えば、今度はその壁が〝天井〟になったりと、さながらパニックルームの様に方向の概念が狂い出す。
「くぉおッ!? うぐぐッ!! これ、ひょっとして〝ルシファー〟飛んでるのかッ!?」
先ほどルーツィアが言っていた反重力未展開での機動。
それはこういうことだったのかと驚愕する司は、もはやどこかにしがみ付くよりも〝D・E〟をフル活用して飛び回っている方がいくらか安全だと適応し始めるが、そんな彼の横をまだ気を失っている真弥が通り過ぎる。
「あッ!? うぐぅぅ~~ッッ!! だぁぁッッ! くそッ!!」
手足を拘束され、間違いなく受け身も取れない。
このまま放置していれば、上下左右も無く延々と全身を周囲に叩き付けられることになるだろう。
そして、司は一瞬……『むしろそうなってしまえ』と思った。
かつてサッカーボールの様に扱われた自分の幼少期を思い出せば多少は留飲が下がるというものだ。
しかし、どうにも胸の不快感を誤魔化せ切れなかった司は壁に叩き付けられる寸前だった真弥の腕を掴んで身体を入れ替え、加速して勢いが付いた自分の身体の衝撃と真弥の分の衝撃も合わせて背中で全て受け止める。
「うぐぁッッ!? う、ぐぅ……痛ッ……な、何やってんだよ、俺……――うぉわッ!?」
自分で自分の気持ちに納得出来ない苛立ちと痛い背中に悪態を付きつつ、司は真弥を抱え直して〝ルシファー〟の動きに合わせて格納庫内を飛び回る。
そして、何回か天井と壁と床を跳ね回っていると、またさっきの覗き窓が見れる位置に来た。
司は外がどうなっているのかもう一度確認しようとしたが、すでに艦外はマーブル模様の時元空間になっていた。
「どうなったかも……もう分んないのかよ」
呆気無さ過ぎる。
何百人もいた人達が死ぬ瞬間が、こんな電車の窓から眺める外の景色の様に簡単に過ぎ去っていいのか?
改めて感じる〝Answers,Twelve〟と〝ロータス〟の戦いの規模。
なんたる傍迷惑だろうか。巻き込まれた方はたまったモノではない。
「気持ち悪い……でも、もう俺はそういう所にいるんだもんな」
今更一般人振る資格は無いし、別に〝ロータス〟との戦いをやめようとも思わない。
司は今、自分がいよいよ本当の意味でボーダーの上に差し掛かっているんだということを察した。
人の命は何よりも優先されるべきだと口に出来る一般人側から、他人の命などどうなろうが知ったことではない異常者の域へ踏み込む。
「…………無理だな。もう俺は他人を思ってやれない」
ブチッと心から何かが千切れた。
人として死ぬまで持っておくべき大切な何かを手放してしまった様な喪失感と共に、それに手を伸ばして何とか繋ぎ止めようとする意思が働かない。
「いい……別にいい。曉燕とか、七緒とか……紗々羅とか、美紗都とか……新しい仲間が出来たし、十分だろ」
無秩序に襲い掛かって来ていたGが止んで来た。
多分〝ルシファー〟が平行姿勢になったのだろう。
ただ、時折左右や上下に動く感覚がり、恐らくあのレーザー砲を放っていた〝ロータス〟の戦艦と追いかけっこをする様な状態になったのだと思うが、ルーツィアに任せていれば問題は無いだろう。
改めて床に降り立った司。
ふと見れば、真弥はまるで寝ている様な穏やかな顔をしていた。
「チッ……クソがよ」
その身体を床に下ろして自分も座り込む。
別に飛び回ってさらに疲れたといった感じはないが、やけに心臓がドクドクと荒れた脈を打っている。
(あぁ……変わってるんだ俺。百人死のうが千人死のうがどうでもいいと思える俺になろうとしてる。だったら早くしてくれ……これは、ちょっと……しんどい)
胡坐を掻いて項垂れる司。
風邪を引いて熱が出た時に解熱剤を飲み効き目が出て来るのを待つ様な感覚。
このしんどい気持ちからさっさと解放されてしまいたい。
そう思った司は、目を閉じて少し意識を手放すことにした…………。
「――ま! ――――様! ――――司様!!」
身体を揺すられる感覚。
ジワリと目が開き、視界に色が戻ると心配そうにこちらの顔を覗き込んでいる紗々羅の顔が見えた。
「…………え? あれ? さ、紗々羅?」
「紗々羅? じゃない! もう何してるの司様! 拘束してるとはいえ敵の前で居眠りとか舐めプし過ぎよ?」
紗々羅が頬を膨らませてグリグリと頬を白鞘の柄で突いて来る。
それでもしばらく微睡んでいた司だったが、ハッと我に返り顔を上げると紗々羅の後ろにはオドオドした美紗都と、紗々羅と同じ感想なのか少し呆れた感じのルーツィア。
そして、まだ意識が戻っていない真弥の襟を掴みぞんざいに持つ良善の姿があった。
「お目覚めかい、司? ご苦労様だ。粗を突けば色々と出て来るところだが、とにかく本格的な初陣お疲れ様だったね。曲がりなりにも一応戦果を挙げた辺りは流石私が見込んだだけはある」
そう言って良善は片手に掴んだ真弥を軽く振る。
自分の戦果……敵を一人捕虜にしたということか?
だとすると、あまり手放しにその誉め言葉を受け取れない気分だ。
「どうもっす……でも、俺の戦果かは怪しいですよ。俺はただ去り際に拾い上げて来ただけですし」
「フフッ……若い内から謙遜する癖は良くない。自信が育たないぞ? 素直に受け取っておきたまえ。とにかく無事に帰還した。完膚なきまでに我々の勝利だ」
「帰還? ……あ」
立ち上がった司は三度目になる覗き窓に目を向ける。
そこから見えたのは暗闇の遠くで煌めく街の明かりと高層ビルの上に鎮座する様な満月。
分かり過ぎるくらいにかつての日常の風景。
どうやら最初に〝ルシファー〟に乗り込んだ時の港湾地区へ戻って来た様だ。
「本流世界に……な、なんでわざわざ?」
「コーヒー豆のストックが切れたのが八割、本流世界に戻れば〝ロータス〟もそうそう安易に戦闘を行えないというのが二割の理由だ」
「……割と真面目に聞いてるんですけど?」
「失敬だな、真面目に返しているよ」
だったら理由の配分がどう考えてもおかしいだろうと突っ込みたかったが、多分この男を相手に正論の問答など不毛だろう。
それか、存在の尺度的にこの男の二割が自分にとっての十割に等しいのかもしれない。
(あぁ、なんかそっちの方がしっくり来るか)
余計なことを考えるとさらにしんどい。
今はもうなんだかベッドに倒れ込んで本格的に眠りたい気分な気がするのだが……何だか妙に目が冴えて多分今はもう横になって寝付けそうに無い気がした。
「これからどうするんですか?」
「うむ、まぁ少し休憩だね。まず曉燕と七緒がしばらく治療ポットから出れない。君がこの子を捕まえたのと合わせ、私も君が定めた四人の標的の内の一人……一番小さい子を捕まえた。あ! 勘違いしないでくれ? 私が倒した訳でなくたまたま目の前で死に掛けていたので拾って来ただけだからね?」
「一番小さい……あぁ、曽我屋千紗か。うん、まぁ……だったら別に……」
「あと、君も少し落ち着く時間が必要そうだ。〝D・E〟が精神面の改修を始めているだろ?」
「うぐッ……なんで分かるんですか?」
「君よりは大人だからね。とりあえず、しばらく〝ロータス〟も手は出せまい。あっちの被害の方が甚大だろうからね。精々新たな側流世界を作り出して本流世界に我々には都合の悪い影響をチビチビ与えて来るくらいが関の山だ。ルーツィア……破損した〝ルシファー〟の修理を頼む。紗々羅はここへ着くなり街に遊びに行ってしまった首領の監視だ」
「Jawohl」
「えぇ……デーヴァ千人相手にするより大変なんですけど……」
「頑張れ。美紗都……紗々羅から話は聞いている。壁を一つ越えたそうだね。流石は私の起源体だ。君も司と同じで少し休んで〝D・E〟を慣らしておきなさい」
「あ、うぅ……は、はい」
「フフッ……では諸君、一旦解散だ。次の動きを起こす段階になればまた改めて招集する」
「あッ! り、良善さんッ!」
その場を締め、先んじて格納庫を出て行こうとする良善。
その背中を司が呼び止めると、良善はあっさり振り返った。
「どうしたね、司? あぁ……これのことかい? 心配しなくても、もう一人と合わせて解剖したりなどはしないよ。これは君の獲物だ。軽く治療だけして牢に閉じ込めておく。気が向いたら取りにおいで」
そう言って良善は司の言葉を待たずに再び歩き出し格納庫を出て行ってしまった。
「おい、紗々羅。さっさと無比様の所へ向かえ。博士様の命令だぞ?」
「うっさいわね……分かってるわよ! 司様? とりあえずゆっくり休んどいた方がいいよ」
「はい、それがよろしいかと存じます。では、失礼します閣下」
「またあとでね~~! 美紗都! あんたも身体を休めときなさいよ~~!」
背筋を正して一礼するルーツィアが去り、紗々羅は笑顔で手を振っていたかと思えば忽然とその場から消える。
そして、残された司と美紗都はしばらく呆然と立ち尽くしたあと、自然とお互いを向き……。
「……ゆっくり休める感じ、する?」
「ううん……なんか、目が冴えてる。身体の奥で変に心臓がドクンドクンしてて寝れそうにないよ」
「ははッ、一緒だな……いいや、ちょっと遊びに行っちゃおうぜ。多分、まだそんな遅い時間じゃないだろ」
「え? い、いいのかな?」
「構うもんかよ。今更夜遊びで怒られる程度のご身分か? 俺達」
「…………あははッ、そだね」
何だかお互いに乾いた笑いが漏れた司と美紗都は、そのまま〝ルシファー〟を抜け出し二人で街に出る。
お互いこれまで夜の街で遊ぶなんてこととは無縁だったので、少し馴染めない感じはあったが適当にファーストフード店で食事をして、何となく思い付きでカラオケボックスに入ってみたりなど『こんな感じなんじゃないか?』と思う若者の夜遊びに興じてみた。
「おぉ、すげぇ! 九十五点。美紗都、歌上手いな」
「えへへ……あのど田舎にも辛うじてカラオケとボーリング場があったから、高校生の時はその二つでずっと遊んでたからね。あぁ……久しぶりで楽しい! あはは……楽しい……や……」
「「…………」」
タイミングが被り無言になる二人。
次の曲も入れて無くて、モニターにCMが流れ出した頃。
司は背もたれに身体を預け、ローテーブルに足を乗せて思い切って口を開いてみた。
「なんか、すげぇな……俺達。ついさっきまで異世界にいて、その異世界がぶっ壊れてそこに住む人が消し飛んでいくのを横目に帰って来てこうして遊んでる。すげぇ人でなしだよ」
「あはは……言えてるね~~。私も見たよ……あの光線で何もかも消し飛んで行ってたところ。まぁ、ルーツィアが紗々羅ちゃんから操縦変わった後は振り回されてそれどころじゃなかったけど」
行儀悪くした司に合わせる感じで美紗都はソファーに寝転んで仰向けになる。
そして、また沈黙。
ただ、意外に気不味くはなかった。
多分一番今現在の感性が近い者同士なので、他の者より安心出来るのだろう。
「ねぇ……司様? 私達……もう大量殺人鬼かな?」
「微妙じゃね? とりあえずあの異世界の住人を人間換算していいかはっきりしないし、何より周りが桁違い過ぎるからな」
「そっか……そうだね。良く分かんないね」
「あぁ……良く分かんねぇ」
「「…………」」
また無言。
そうしてダラダラ過ごしていると、内線が鳴りフロントから終了の合図が来た。
「この後どうしようか?」
入る時に渡された手籠にマイクと伝票を入れる美紗都が尋ねて来る。
それに対して少し黙っていた司がふとあることに気付いた様に顔を上げた。
「なぁ? ちょっと俺事なんだけど、行ってみたい場所があるんだ。……いいか?」
「行ってみたい場所? うん、いいよ? どこ? 何かのお店?」
「あぁ……まぁ、多分もう普通に閉まってるとは思うんだけどさ。ちょっと……喫茶店にな」
時間的に閉まっているだろうと分かっている喫茶店に行く。
おかしな話だが、美紗都は司の表情に何か察したのか、特に突っ込むことなく彼に付いて二人で夜の街を通り抜けて行った…………。
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