アナザー・リバース ~未来への逆襲~

峪房四季

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閑幕 2

閑幕 御縁司の自己啓発⑤

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 〝成長〟とは、なかなか主観だけでは実感出来ないモノだ。
 今まで出来なかった事が出来る様になった〝結果〟や第三者からの〝反応〟それらを感じることで初めて自身の〝成長〟を自覚する。
 そして、そんな定義に当てはめると、司は今紛れも無く自分が〝成長〟したと確信出来ていた。

「ハァ……ハァ……ハァ……くッ! くははッ!」

 一瞬に集中した動きの反動はもう収まりつつあるのに、何故か早鐘を打つ心臓が何時まで経っても落ち着かない。
 呼吸は浅い……だが、苦しいやキツいという負の感覚はまるで無く寧ろ逆。
 全身が痺れるほどに心地良く、踏ん張っていないと身体が浮かび上がってしまうのではないかとさえ思える昂揚感に包まれていた。

「あ、はは……どうしたんすか、紗々羅さん? 随分としおらしいじゃないですか?」

 口元が二ヤけて仕方ない。
 今、自分が床に抑え付けている圧倒的強者だと思っていた相手を完全に抑え込んでいる自分。
 その事実が司を滾り上がらさせていた。

「くッ!? う、うるさい! あ、あんたぁ……調子に乗り過――」

「あ゛?」

「――ひぃッ!?」

 一瞬覗いた反抗的な紗々羅の視線。
 それを顔を寄せて凄むとあっという間に紗々羅は震え上がり萎縮する。

「な、なんで? 違……こ、こんなの……違ぅ……」

 抑え込む司のが感じていた見た目相応のか弱い抵抗。
 だが、ついにそれすらも無くなり、紗々羅の手首を掴んでいる司の手には、彼女が放つ誤魔化し切れない恐怖の震えが伝わって来ていた。

「ち、ちょ……まッ! ズ、ズルいわよ司君ッ! こ、こんな! こんな……能力で、なんてぇ!」

「ははッ! 何言ってんすか? 紗々羅さんだって、速く動く能力でこれまで相手を圧倒して来たんでしょ? その言い分は通りませんよ」

 紗々羅を圧倒している。
 その昂揚感で思考の回転も増していていた司は冴に冴え、紗々羅の強さの秘密が次々と読み解けていく。

「紗々羅さんの能力……本当に汎用性が高いんですね。空気中の不純物を排した高速移動もそうですけど、その結合を上手く扱えは不純物を搔き集めてその小さな身体に不釣り合いな攻撃の〝重さ〟も生み出せるし、結合の〝強度〟に干渉すればどんな物でも斬れる。多分本気でその能力を使えば、そもそも。面倒臭がっているというよりは、剣客の矜持的に使いこなす気が無かったって感じですか?」

「――うぅッ!?」

 息を呑む紗々羅……どうやら当たりらしい。
 教えてないことを言い当たられるというのは思った以上に精神的な負荷を強いる。
 そして、それは彼女にとって人生での経験だった。

(良善さんと……同じ。こいつ、本当に良善さんの弟子としてあの人に近付いているっていうの?)

 〝Answers,Twelve〟の№Ⅲである紗々羅が人生で負けたことがあるのは二人だけだ。
 その相手はもちろん達真№Ⅰ良善№Ⅱ
 どちらが強かったかと聞かれたら、それは当然達真№Ⅰだ。
 だが、どちらがよりと聞かれると、紗々羅は間違いなく良善№Ⅱだったと答える。

 あの心の奥底まで見透かされている様な、自分という矮小な存在を巨大な掌で握り込んで来る様な圧迫感が、今目の前にいる青二才からビリビリと叩き付けられていた。

「あ、あはは……わ、分かった。今日はもう……認める。わ、私の負けだわ。いやぁ……凄いわね、司君? 凄い成長速度! あははは……あ、あの……だから、もう退いてくれない? ホント、今日はもう君の勝ちだから……」

「はぁ? そんなあからさまに「今日はたまたま」感を出されたら納得行かないだろ? 折角だからこの際……お前も俺の従僕になるって言わせてやりたいんだよね♪」

「なッ!? こ、このッ! 人が下手に出てやったら調子に乗っ――」


「だから……一生下手で居ろって言ってんだよ」


「ひぃッ!?」

 キュッと内股になり、目が潤んでしまう紗々羅。
 身体の震えがさらに激しくなり、傍から見る分には大人が怯える幼女を脅している様にも見えてしまえる酷い構図。

……この期に及んでまだ俺を下に見てるだろ? これじゃあ「後輩のくせに調子に乗りやがって!」ってな感じでいつ寝首を掻かれるか分かったもんじゃない。今日ここで一気にお前の心を……砕く」


 ――グィッ!!


「ひぃッ!? きゃあッッ!!」

 強引に両手を頭の上に動かされて片手でまとめ押さえられる紗々羅。
 それに対する紗々羅の悲鳴は、もう完全に弱者側のそれだ。
 そして、司は空いた片手で紗々羅の頬を挟み止め、紗々羅が司から目を逸らさぬ様に顔を固定する。

「ほら……誓えよ、紗々羅。「自分は今日からあなた様の下僕です」ってな」

 ニヤニヤと笑い見下しながら唇を舐める司。
 あえて三下的な所作をしてみたが、それに怯える紗々羅の様子からいよいよ彼女が本格的に余裕が無くなってきていることが察せられる。

「ハッ! ハッ! ハッ! や、やだぁ……ゆ、許し……許してぇ……あ、謝る……からぁ……」

「ん~~? 何を謝るのかな?」

 グッと顔を近付ける司。
 ついに涙が溢れ始めた紗々羅の目にとてつもなく邪悪な笑みを浮かべる自分の顔が見えて、司は内心苦笑してしまう。

(酷いヤツだな……他人に意思を捻じ曲げられる痛みを知ってるってのに、今目の前でって思っている奴の心を捻じ曲げ分からせるのがゾクゾクして仕方ねぇよ……)

 口を閉じていないと涎が垂れてしまいそうだ。
 自分の能力に自信が漲る。
 ただ、それを楽しむ気持ちと同時に、司の中で冷静に〝試し〟の考えも確固として同居していた。

「なぁ、何を謝るんだ? 言ってみろよ?」

 頬を挟んでいた手を優しく首へ滑らせて、親指と中指だけで軽くキュッと首を絞める司。
 それと同時に紗々羅の身体がビクッと跳ねる。

「やああああああッッ!! や、ややめぇッ! あぁぁ――ッ!! あああぁぁ――ッッ!!!」

 ガチガチと歯を鳴らし、涙の量が一気に増す紗々羅。
 少々気の毒な怯え様だが、司の顔は寒気がするほど無表情で、それを目の当たりにする紗々羅の精神は一気に錯乱の域へ心の針が振れる。

「やだぁッ!! やぁッッ!! やぁあだぁぁぁッッ!! や、やめッ! お願い殺さないでッ!! ご、ごめんなさいッ!! 生意気なこと言ってごめんなさいッッ!! やああぁぁぁッッッ!!!」

 ちょっと首を挟まれた程度で〝殺さないで〟は大袈裟に感じる。
 しかし、当の紗々羅は司の静まり切った表情で勝手に思考のループへ陥り、これまでの自分の上からな態度が実は彼に苛立ちを募らせてしまっていたのではないかと自己完結させてしまっていた。
 ただ、実際はそんなに複雑な話ではなく、司は単にこれまで確認している自分の能力の〝伝達手段〟を検討していただけだった。

(うはぁ……すげぇビビってる。これは多分〝視線〟や〝声〟だけじゃなくて〝接触〟でも圧を掛けられる感じだな? でも、さっき腕を掴んだ時にはそれらしい感じは無かったから……あぁ、なるほど! か)

 思考に当たりを付けた司は、紗々羅の首から手を離してその指先を窄めて尖らせてから紗々羅の左胸前でに近付ける。
 本当はそのまま指先を軽く押し込みたかったが、女の子の胸へモロに触れるのは少し日和った。
 でも……。

「ひぃぃぃッッ!? ごめんなさいぃッ! ごめんなさいぃッ! ごめんなさいッ!! やめてぇッ! お願いッ!! もう偉そうなこと言わないからぁッ!! あああぁぁ――ッ!! あああぁぁ――ッ!! あああああああぁぁぁぁッッッ!!!」

 真っ青な顔で泣き喚く紗々羅。
 首を絞める行為や心臓を突き刺す行為。
 その〝死〟を連想させる二つのモーションに、紗々羅はまるで気弱な幼子の様に悲鳴を上げる。

 普通に考えれば違和感しかない。
 あれだけ真剣を振り回して戦いに恋焦がれていた様な殺戮幼女が、単なる真似事だけでここまで怯えるというのは明らかに不自然だ。

 つまり、これが司の能力の効果。
 どうやらが司が与える〝意志〟は、精神力どうこうで防げる類のモノではないらしい。

(なんて言うのか……魂に直接届く声? みたいな? 絶対今までにも山ほど死線を潜って来ただろうこいつがこれだもんな。となると次は…………あ)

 効果は分かった。
 だが、まだ他にも〝有効射程はどれくらいだ?〟やら〝本当に防御不可なのか?〟など、もう少し情報を収集したいと考えていた司だったが……。

「ひぐッ! う、うぐぅッ!! や、ぁ……らぁ……やぁ……ぁ……や、ぁぁ……」

(やべぇ……やり過ぎた)

 濁った目で息も絶え絶えに泣く紗々羅。
 司が手を離すと紗々羅は震える両手で頭を抱える様にして顔も覆い身体を丸めてしまう。

「やぁ……らぁ……こ、怖いぃ……怖いぃ……」

「うわぁ……あ、えっと……ごめんごめん、やり過ぎたよ」

 ここへ来てある意味仇となる紗々羅の容姿。
 〝下僕になれ〟とまで言っておいて今更だが、流石にやり過ぎてしまった感は否めない。

「あぁぁ……だ、大丈夫だって! ほら、もう怒って無いよ~~?」

 能力を解き、身体を抱え起こしてやる司。
 すると……。


 ――ギュッ!


「うぅぅッ……こ、怖いの嫌ぁ……怒らないれぇ……いい子にするぅ。さ、紗々羅ぁ……何でも、言うこと聞く……からぁ……」

(お、おおぉぉッ!?)

 ベソを掻きながら司の胸に顔を埋めて震えながら抱き付いて来る紗々羅。
 とてつもなく悪趣味だという自覚はあるが、正直司は背筋が震えるほどゾクゾクしてしまった。

(マジかマジかマジか!? 完全に屈服させちまえた!)

 司は乱れる心を戒めるのに必死だった。
 自分の力は尋常ではない。
 これほど圧倒的な力を手にしては否が応でも鎌首をもたげる超越感。

 ――調子に乗ってはいけない。

 自重を促す心。
 いくら何でもここで天狗になるのはただのフラグでしかない。

(そうだ……まだ全容も掴めてないし、何より達真や良善さんの異次元っぷりを目の当たりにしたばっかじゃないか)

「すぅぅ……ふぅぅ……――よし」

 図らずも一度地獄を味わっている経験が活きた。
 腕の中に収めてプルプル震えている紗々羅。
 偉そうに頭を撫でてやると、寧ろようやく安心したみたいに少し落ち着きすらして身を任せて来る。

 これほどの実力者を手中に収めた。
 でもこうして再び冷静さを取り戻せたのは、間違いなくこれまでの過去があったからこそだろう。
 だが、そこでホッと息を吐いてギャラリーに目を向けた司は……

 紗々羅を掌握した司に驚きと共に拍手をする曉燕。
 その両脇で同じく司の強さを単純に賞賛して同じく拍手している美紗都と七緒。
 だが、そんな三人から少し離れた所で……。


「…………ッ……」


 明らかに顔が強張り冷や汗を滲ませているルーツィア。
 自分と互する実力者である紗々羅をただの見た目相応なか弱い幼女にしてしまった司。
 つまりこれは、自分も危ういのではないかという危機感を抱いている表情。

「――んぐッ!」

 司は無意識の内に喉が鳴ってしまった。
 依然として動揺が隠し切れていない様子のルーツィアは、自分と目が合った瞬間さり気なく視線を逸らす。その弱者側な態度に、司の胸中ではゾクリと甘い愉悦が滲み溢れてしまった…………。
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