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Scene3 利害の一致
scene3-10 復讐と復讐 後編
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「え?」
無念を噛み殺して目を閉じていた七緒は、その語り掛けに顔を上げる.
すると司と奏の罵声が飛び交う戦い越しに、最初に立っていた位置から一歩も動いていない良善の姿があった。
「あ、あれ? なんで……?」
「ど、どうしたの? 七姉ぇ!? 七姉ぇってばッ!!」
司対奏の戦いを見守りつつ、微動だにしない良善と幼稚な戦いに若干飽き気味であくびをしている紗々羅を警戒している千紗がチラチラと七緒の方を向き問い掛けて来る。
しかし、七緒はそんな不安げな義妹の緊張をほぐしてやる余裕はなかった。
一体どういう事だ? 声が届かない距離ではないが、間に激しい罵り合いと戦闘音を挟んだこの状態で、ここまでクリアな会話が出来るとは考えられず七緒は困惑してしまう。
(静かに。妙に反応しないでくれ。これはそちらの責任者である君の理性的対応を見込んだ〝交渉〟の提案だ。今聞こえている私の声は、私の右手にある指向性スピーカーから送っている。読唇術は心得ているから、そちらは口元だけ動かしてくれたら大丈夫だ。あぁ、そうだ……隣にいるおチビちゃんにデーヴァの脳波会話は控えてくれよ? )
視線の先で口は開かず笑みを深める良善。確かにその手には七緒に向けられた万年筆サイズの棒状の機器が握られていた。
今この場の両陣営の責任者同士の内密な交渉。本当ならば聞く耳など持ちたくは無いのだが、それを突っぱねるほど七緒の性格は短絡的ではなかった。
(いいわ……聞きます)
隣にいる千紗には軽く片手を上げるだけの返事で応えておく。
声を掛けずとも反応があったことで、千紗も七緒は今この状況をどうにかする作戦を立てている最中なのだと受け取った様で冷静さを取り戻す。
(ありがとう。では単刀直入に言わせてもらう。とりあえず、今日の所は退いてくれないか? と言うのも今の司は〝羽化〟の途中の様な状態だ。現時点ではある意味常人よりも遥かに脆弱と言える。先ほどからそちらのアタッカー君と激しく殴り合ってはいるが、自分で足を踏み出す度に骨が折れ、拳を振るう度に筋細胞が断裂したりと、その体内はかなり酷い有様なんだ)
(え? そんな、まさか……あり得ない。もしそれが本当ならとても意識を保ってなど居られないはずよ)
(あぁ、普通なら脳がストップを掛けるために気を失わせるだろうね。しかし、彼はつい先ほどかなりの荒療治で脳だけナノマシン適合者としてほぼ完成させた。だが、その強靭な脳のせいで骨が折れようが肉が裂けようが気を失うことも気が狂うことも出来ない。〝D・E〟の回復力で誤魔化してはいるが当然痛覚は健在だ。彼は今、君達への恨みの強さだけでそれらに耐えているのだよ)
にわかには信じ難いが、七緒もナノマシンを内包して生きて久しい身。
如何に強靭な肉体を持っていても、それをどう動かすかを決めるのは最終的に脳だ。
身体よりも先に強靭な脳を手に入れてしまったことであの血みどろの姿なのだと考えれば、人間ではないデーヴァの感覚的には納得出来る流れだった。
(完成した脳に合わせた調整が済んでいない身体はナノマシンが活動するために必要なエネルギーを円滑に供給出来ていない。恐らくあと数分もすればナノマシンがオートファジーを始めて彼は死んでしまう。だから、もう今日のところはお開きにしたいのだよ)
(何を言っているのかしら? 私達はそれが目的なのよ? だったらこのまま戦いを続けるに決まって――)
(違うだろ? そんなことをすれば私か紗々羅嬢が割り込み君達を一瞬で惨殺する。君達小隊がこの状況で最も優先にすべきことは、今回の強襲で見聞きした情報を確実に自陣へ持ち帰るリターナーとしての役割だ。隣で戦闘不能の子を抱えさせているところを見るに、ついさっきまではどうにかこの場から撤退しようとしていたのではないのかい? それなのに司の姿を前にして思考が短絡的になっているのは感心出来ないね)
「うぐッ……」
残念ながら良善の指摘はぐうの音も出ない正論だった。
敵の言葉が正解であることを理解出来てしまえたからこそ、七緒の表情が明らかに不快に歪む。
(フフッ、政治家でも軍人でもないくせにいきなり建国などという無謀な手段に出る奴らの下にいる割に君はなかなか優秀だ。きっとたくさん勉強したのだね。実に好感が持てる。そんな君にご褒美だ……足下を見たまえ)
何やら優しい笑みになる良善を訝しみながらもチラリと視線を下げる七緒。
するといつの間にか彼女の爪先に人差し指ほどの細長いガラス容器が転がり当たっていて、中には赤い液体が封入されていた。
(これは……血液回収器?)
(あぁ、司が撒き散らしている血を採取しておいた。それを持って帰れば今回の君達小隊の強襲には十分過ぎる成果があったと言えるだろう。そしてそれを解析すれば、君達もナノマシン強化にも繋がる可能性は十分にある。何せ私が作った今君達の体内にあるナノマシンよりも遥かにバージョンアップした最新型ナノマシンだからね)
見逃して貰いおめおめと戻っても自陣での心証が悪かろうと手土産まで用意してくれた良善。
だが、こんな手厚い対応を素直に鵜呑みになど出来るはずも無い。
(どうしてこんなことを? お前からすれば今すぐ私達を始末してしまえばそれで済む話のはず。私達をあえて逃がす理由は一つも無いと思うのだけど?)
(フッ……君達の基準で考えたらそうなのかもしれないが、私には私の考えがある。四の五の言わずに早く決めてくれ。一旦苦渋を飲み仲間達と対策を立て直す猶予を手にするか、ここで無駄死にして何の情報も得られていない仲間をさらに危険に晒すか。隊長である君が判断したまえ)
「…………」
妥協点を付ける余地の無い二者択一。
そしてその選択肢の内、片方には望みがあり片方はただただ絶望。
迷わせすらしないその提案は、実に良善の性格の悪さが滲み出ていた。
「くッ! ……――奏ッッ!!」
突然大声を上げた七緒。
戦況を見守っていた千紗と太刀を杖の様に床に付いて立ったまま少しウトウトしていた紗々羅が一瞬ビクリとなり、片足が膝の辺りで不自然に捩じれて体勢を崩していた司のこめかみに戦闘棒を叩き込もうとしていた奏も思わずその手を止める。
「え? 七緒さ……――なッ!? 何をしているんですか! 七緒さんッ!?」
振り返った奏が見たのは、敵の眼前で〝Arm's〟を解除して私服に戻っていた七緒。
あまりの自殺行為に唖然としてしまい、奏は完全に戦意を落としてしまった。
「撤退するわよ」
「「えッ!?」」
「〝博士〟……お前が自信ありげに紹介したその男も、もうボロボロ。実験体の選定を間違ったんじゃないかしら? こっちも……ひ、必要な情報は手に入れた。今日の所は……退くことにするわ」
良善の顔が満足げな笑みを浮かべる。
咄嗟の捨てセリフは事情を知らない奏と千紗を言い包めるための物。
さらにアーマーを解除する時の閃光が瞬く隙に足下のアンプルをしっかり回収している点もいい機転だった。
殆ど脅しでしかなかった交渉に同意する屈辱も密かに自分一人で背負う七緒の姿は、確かに他人の命を預かる身としてしっかりと責任を果たしている。
「何を言ってるのよ七緒さんッ!? やっと私達の悲願に手が届くのよ!?」
「そうだよ七姉ぇッ!! 千紗達、あいつを殺すために今まで頑張って――」
「いいから下がりなさい!! 奏! あなた自分がその男のウォーミングアップに使われていることに気付いてないの!? 貴方が戦えば戦うほどそいつが実戦を積むことになるのよ!? もうこれ以上はただただ向こうの利益にしかならない! 撤収よ!」
踵を返して歩き出す七緒。
振り向きざまに見たその唇は悔しさのあまり噛み切ったのか微かに血が滲んでいた。
そして、そんな七緒を追う様に真弥を担いだ千紗が駆け出し、最後に残された奏は……。
「う、ぐぅッ!! くッ! 次は殺すッ!」
まるで納得は出来ていない様だが、隊長の命令には従わねばと戦闘棒を消して後を追う奏。
良善はそんな歩き去るデーヴァ達を眺め、最後にもう一度だけ七緒に声を送った。
(賢明だ……誇るといい、デーヴァ0259512748号……いや、桜美七緒。その判断は決して卑下されるモノではなく、仲間を守るための知性的で称賛に値するモノだったよ)
「――ッッ!!」
流石に背中で何を言っているかまでは読めなかった良善だったが、握り締め震える拳だけでおおよそその胸の内は図れた。さぞ悔しかろうと思わず口元がニヤけてしまう。
そして、四人が突入口から飛び出し夜の闇に消えるのを見送ると……。
――コツン!
「ん? お、おい……紗々羅嬢? いくら納刀しているとは言え、上役の脇腹を太刀で突くのはやめたまえ」
なかなかに不遜な態度を取る紗々羅をたしなめる良善。
しかし、ツンツンと切っ先側で突くのを止めない紗々羅の顔は酷くご機嫌斜めだった。
「良善さん……あの黒髪の子に何か渡したでしょ? アーマーを解く瞬間、光に隠して爪先で足下にある何かを拾って隠してた! 絶対面白いこと考えてる! 教えてよ!!」
「はてさて何のことやら……」
がなる紗々羅を適当にあしらい、良善は片膝を付いたまま動かない司の元へ歩み寄りしゃがみ込む。
「大丈夫かい、司? だから言っただろう……君の希望だから連れて来たが、今の状態では流石に勝てないと……」
俯く司の顔を覗き込む良善。
その顔はもはや死人の様に青白く、開いたままの口からはまた吐血の量が増していた。
「く、そ……がぁ……ぜ、絶……対……許さ……な……――ぐぶッ!? ごはッ!!」
血の塊を吐き出して床に手を付く司だが、片腕が鈍い音を立てて折れ曲がり倒れ込む。
咄嗟に受け止めそのまま背中を擦る良善だったが、そこであることに気付く。
(これだけ血を吐いてもまるで熱湯でも流れているかの様に身体が熱い? もうすでにナノマシンへのエネルギー供給は枯渇して活性化も鈍っているはず……――ハッ!?)
「チッ! 馬鹿め! 自分の細胞をナノマシンに食わせてまで出力を維持しようとしたな!?」
司の背中に置いた手に感じる骨の感触。
元々確かにひ弱な身体付きだが、皮と骨しか感じないその身体は明らかに良善から見ても異常だった。
「ゆ、許さ……ない!……ぜ、絶対……叩きのめし、て……――ごふッ!?」
もはや「まだ出るのか」といった感想しかない吐血をしてガクリと全身から力が抜ける司。
良善の腕に感じるその重さはとても成人レベルの男性の体重では無かった。
「はぁ……これが若者の思い切りと言うヤツか? 全くもって信じられん……――私だ。至急細胞培養器を備えたストレッチャーを用意しろ。急げ、これはいくら〝D・E〟持ちでもあと一時間も保たず死んでしまう」
通信機で応急処置の機材を手配する良善。
その顔は流石に少々焦りが見える。
無論、それはこれほど得難い観察対象をみすみす手放してなるものかという意図によるモノなのだが、少なくとも傍目にはそうは見えなかった。
「むふぅ♪ あれ~~? どうしたんですか? 良善さ~~ん? 情でも湧いちゃいましたぁ? なんだか不良が捨て犬を抱え上げてる的な感じで……――――ッッ!!」
糸が切れた人形の様な司を抱える良善の前にしゃがみ込んだ紗々羅が、ネチャネチャとした二ヤけ顔で冷やかしていたが、スッと無表情になった良善が紗々羅へ向けて片手を上げようとした瞬間、紗々羅の身体は掻き消える様に消えて廊下の奥の曲がり角になびく着物の袖が一瞬見えた。
「はぁ……そんな訳があるか。しかし、この狂気適性に関しては流石は先輩の祖先といったところか? やれやれ、これは忙しくなりそうだ」
苦笑しつつ、司の背を擦り吐血で窒息しない様に俯きに支え続けてやる良善。
その顔は紗々羅の冷やかしを黙らせようとしていたものの、やはりどこか司への入れ込みを感じさせる表情をしていた…………。
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