愚者の門番、賢者の聖杯

春森夢花

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どうかしてるぜ、どうかしてるぜ

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匂い。そう言いながらロルはうっとりとしながらジモンの尻穴を犯していた自分の人差し指をゆっくりと自分の口元に持っていくと。

べろりと舐めてから、含んだ。

ああ、とため息が漏れて。一筋の涎が口元から垂れる。

「おいしい……」

ロルの顔は満面の笑顔だった。美味い飯でも食っているような顔だ。だが、俺から見ればロルは自分の父親の糞の穴に入っていた指を舐めているだけだ、どうもゾッとするじゃないかと思いながら俺は退散しようと愛想笑いでごまかして返事をした。

「そうですか。良かったですねえ。じゃあアタシはこれでおいとましますよ。どうかお二人はごゆっくりどうぞ……」
「待ってよ、クドウ」
「へえ、なんでしょう」
「僕を見て」
「見てますよ」
「僕がジモンを自分の女にするところをきちんと見るんだ。見て、証人になってよ」
「……そりゃあ、どうして」
「だって、嘘だって言われたらいやだもの。お父様はそんなことをしていないと言うに違いないし」
「そうならお父様の目隠しや耳栓を外せばいいじゃないですか。そうしたら誰が自分を犯し……いやいやいや。ご自分が誰と交わっているかお解りになるでしょうが」
「馬鹿」
「え?」
「馬鹿だなあ、クドウは。お父様はね、きっと誰が自分の上に乗っているか知っているんだよ。だって本当に抵抗しているのなら、誰が自分の上に乗っているのかを知りたいのなら、とっくにそうしているはずなのさ。だって僕はお父様の手を戒めてはいないんだもの。ねえ。どうしてお父様は自分の手で目隠しを取らないんだと思う?」
「さあ、ね」
「この男は弱いんだよ。お母さまが死んだ時も、死に顔がどうしても見れずに顔を背けていた。僕やクロイにいばるのも、本当は弱くてみっともない自分をさらけだすのが嫌で偉そうにするんだ。僕に強く当たるのもそう。僕が、自分を殺して王様を乗っ取らないか、怖くて怖くて仕方がなかった。いいかい、クドウ。僕のお父様はね、弱虫なんだ。だから、本当は僕がお父様を犯しに来たと解っているけど、そうだと認めたくなくて、本当は目隠しも耳栓だって剥ぎ取れるのに、そうしようとしないんだ。そして僕が明日にでもお父様に「僕があなたを抱いたのですよ」と言ってみたところでお父様ったらね、きっとこう言うに決まっているんだ。「俺はそんなこと、覚えていない」。たとえ目隠ししていなかったとしてもそう言うだろうね」
「じゃあどうして目隠しなんかしたんです」
「うるさいから。僕が堂々とお父様を抱きに来たりなんかしたら、お父様は怒るでしょう?そうしてまた我儘な態度で僕を出来損ない扱いするんだ。そういう声を聞きながら、初めての交わりをするのは僕だって、嫌さ」


朗々と語りながらロルはジモンの体の上で立ち上がり、そして俺に見せつけるかのように、ゆっくりと脱いだ。薄暗い部屋の中で俺は瞬きを何度かした。

俺は最初、ロルの股間に蛇がいる、と思った。だがそうではない。十歳ほどの少年には大きすぎるほどのペニスがくっついていただけだ。それも、浅黒く、生々しい太さのそれが、鎌首をもたげている。その形状は元々だったのか、それともそれも神の酒のおかげなのか。俺は聞きたくなったが、どうもそんな雰囲気ではないのでやめておいた。それからロルは素早くジモンの尻の前に立ち、逃れようという素振りをするジモンの左太腿の裏側をぐい、と片手で押さえてもう片方の手で勃起しているグロテスクなその竿を自分の父親の穴にあてがった。

「やめろ」

弱弱しくジモンが呟いた。だが、ロルの前進はそんな声では止まらず、ぐぐぐ、と最初の亀頭がジモンのアナルにめりこんだ。その瞬間にジモンがぎくり、と肩を強張らせた。そのまま背中を丸めてぐずず、と大きなペニスが半分までジモンの穴に埋まった。そこで、少し停止。はあ。とロルが嬉しそうに笑って俺を見た。

「見て、クドウ。はいっている!でも……これ以上は狭くて動けないよ」
「あんまり無理しちゃいけませんよ、お父様は初めてなんだから」
「僕だって初めてだ」
「そうなんですが……」

俺だったらケツが切れてる。思わず金玉がひゅん、と縮む光景だ。俺がジモンの立場なら死にたくなる。

あんなでかいモノを突っ込まれて、無茶苦茶に動かれてみろ。おまけに相手は童貞だ。下手したら垂れ流ししかできなくなってしまう。想像しただけで痛い。

俺が想像しただけで痛いのだから、ジモンはもっと痛いのだ。

一度完全に奴は動きを止めた。

死んだみたいにぱたり、と全てが停止した。

それから酷く醜い唸り声を上げてジモンは全身で自分の中に入っている誰かの性器を取ろうともがいた。まな板の鯉。半分死にかけているが、まだ死ねていないからもがくしかないわけだ。

「やめ、ろおお!だれか、だれか、いたい、いたい」
「だめだよ、おとうさま、動いたら気持ちよくなってしまうよ」
「はなせ、よせ、抜け、抜け、だ、誰だ、誰なんだ」
「もっと、奥まで、行きたい、イきたい」

ジモンは逃げようと身をよじる、ロルはもっと挿れたいから前へ前へ。小さな体を大きな体に押し付けるようにして、大きな逸物を少しずつジモンの中に埋める、とうとう堪らなくなったのか、ジモンが泡を吹きながら髪を掻きむしり、耐え切れない激痛に耐えようと身悶えている時に、緩く縛ってあった目隠しがジモン自身の指に当たって、ずれた。ほの暗い部屋の中だ、先ほどまで闇の中にいたとしてもすぐに目が慣れるだろう。薄々気が付いていただろうが、直視は……残酷だ。

「なぜ……、なぜ……」

ジモンはそれしか言わなかった。

ロルは何も言わなかった。

ジモンの耳にまだ耳栓が残っていると解っていたからだろうか。

ただ黙ってさらに腰を動かすロルにジモンは頭を振って、拒絶をしたが、聞き入れられなかった。

「頼む……頼む……、せめて、後ろからやってくれ……、顔を見ないでくれ……頼む、頼む」

あのジモンが懇願している。どれだけ体をよじってもロルの力に負けてしまう自分がこの状況から逃げられることは不可能だと思ったのだろう。それを聞いてロルは声を出して笑った。

「あははは、聞いたかいクドウ。頼むだって。あははは、面白いや」

そう言ってロルはいかにも楽し気に挿入したまま、ジモンの体を反転させた。うう、と呻くジモンを四つん這いにして、その上に体を重ねてうっとりとジモンの体を貪りながら呟く。

「これであなたは僕のもの……」


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