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第二部
第1章〜幼なじみは絶対に勝てないラブコメ〜⑬
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一方、放送室では残ったメンバーが、それぞれ勝手に好きなことを話し合っていた。
「白草さんが、広報部に入部するかも知れない、と聞いて、ナニか面白そうなことが起こるかもしれない、と思って来てみたけど……いや~、まさか、こんな展開になるとは思わなかったな~」
頭をかきながらも、まったく悪びれていないようすで、後輩のアザミと、その友人の葵を引き連れて来た部外者が語る。
「興味本位で、ウチの部をのぞきに来ただけなら、サッサと帰ってもらいたいんだけど……」
場をかき乱しにきたようにしか見えない生徒会長と吹奏楽部副部長を兼ねる美奈子に対し、生徒会副会長と広報部部長を兼ねる鳳花がチクリとクギを差すと、何事にもポジティブ思考な最上級生は、一年生に同意を求める。
「もう~ツレないな~。こうして、広報部に入ったカワイイ後輩と、吹奏楽部や文芸部の中心人物が出会えたんだから、イイじゃない! ね?」
「はい! 生徒会長や文化系のクラブのセンパイたちと、お話しできて良かったです!」
桃華が、ニコリと愛想よく返答すると、美奈子はすぐに質問を重ねた。
「ありがとう! ところで、佐倉さんは、どんなことが得意なの? 広報部は、相変わらず少数精鋭で活動しなきゃ、みたいだけど?」
「はい! 中学時代は、放送部で学校行事の司会やアナウンス全般を任されていました! くろセンパイとは、二人でラジオ形式の校内放送もしてたんですよ?」
下級生の答えに、「へ~、それはそれは……」と、美奈子はニヤニヤしながら、後輩のアザミに対してチラリと視線を送る。
「な、なんですか? 副部長……」
と、紅野アザミは、困惑気味だ。
そんな寿副部長と二年生のようすには気にもとめず、桃華は、
「でも、生徒会長も、オープン・スクールでの即興の司会ぶりは素晴らしかったですね! ステージ前で見せてもらっていたんですけど、参考になる点が、たくさんありました。吹奏楽部でも中心にいながら、ステージであれだけお話しできるなんてスゴいです!」
と、土曜日に行われた学内行事での美奈子の活躍を絶賛した。
「あら~、白草さんとは、なんだか険悪な雰囲気だったみたいだから、ちょっと心配したけど……佐倉さん、なかなか見どころのあるコじゃない」
下級生からの称賛に機嫌を良くした生徒会長を横目に見ながら、壮馬は、話題の中心にいる一年生を
(佐倉さんも、中学の頃に比べて、ずい分と性格が丸くなったな~)
と、眺める。さらに、
(白草さんの入部は、部長が阻止して揉め事の芽も摘まれたことだし……これ以上、彼女のご機嫌を損ねないように、ボクからもフォローを入れておくか)
そう考えて、スマホのLANEアプリを開き、白草四葉あてにメッセージを送った。
そして、放送室に集った、男子一名、女子四名のようすを観察しながら、文芸部の代表者にして、ここまでほとんど発言する機会のなかった葵は、少しうつむき加減で、あごに手をあてながら、ナニゴトかを思案しているようだった。
※
白草四葉との二人きりの時間を過ごした黒田竜司が放送室に戻ると、放課後直後に放送室に集っていた部外者の面々は、すでに室内から去っていた。
「ただいま戻りました!」
ドアを開けて入ってきた竜司に、部長の鳳花が声をかける。
「お疲れさま黒田くん。――――――それで、首尾はどうだった?」
「はい! 白草は、自分たちの考えを理解してくれたようです。今後も、広報部と白草の関係構築は問題ないと思います」
部長命令を課した二年生から報告を受けた鳳花は、彼の表情を観察しながらたずねる。
「問題を解決できた、という報告の割りには、浮かない顔ね? 黒田くん、白草さんと個人的になにかあったの?」
予期せず図星を突かれた竜司は、「いや、そう言うわけでは……」と、動揺を隠しながら返答し、
「あっ! そう言えば、もうひとつ伝えたいことがあったんだ!」
と、露骨に話題をそらす。
同じく部室に残っていた広報部部員の壮馬と桃華が口を開く前に、放送室に戻ってきたばかりの彼は、
「前から壮馬に提案されてた位置情報アプリの《Benly》を使ってみようと思う」
と、唐突に宣言し、友人と下級生を驚かせた。
「急にどうしたんだよ!? いままで、ボクが《Benly》のダウンロードを薦めても、頑なに拒否ってたのに……いったい、ナニがあったのさ?」
「くろセンパイ! ワタシも《Benly》使ってるんで、すぐに友だち申請します!」
竜司の発言に対して、異口同音の反応を示す下級生たちを眺めながら、部長の鳳花は、済まなさそうな表情で彼らにたずねる。
「みんなで盛り上がっているところ申し訳ないんだけど……もし、広報部全員で利用することになっても……私は、そのアプリ、ゴーストモードで使用させてもらっても良い?」
「もちろん! それは部長の考えが一番大事だと思いますが……」
「ほうかセンパイ、やっぱり、そういうの気になりますか?」
竜司と桃華が返答すると、
「そうね……私の個人的見解だけではなくて、私生活の位置情報を提供するには差し障りがある場面もあるから……それとも、みんなは、私のプライバシーを逐一、知りたいと思う?」
広報部の部長は、目が笑っていない笑顔で答えを返す。
その表情に顔を見合わせた下級生の三人は、
「「「いえ、結構です!!!!」」」
と、声を揃えて返答するのが精一杯だった。
「白草さんが、広報部に入部するかも知れない、と聞いて、ナニか面白そうなことが起こるかもしれない、と思って来てみたけど……いや~、まさか、こんな展開になるとは思わなかったな~」
頭をかきながらも、まったく悪びれていないようすで、後輩のアザミと、その友人の葵を引き連れて来た部外者が語る。
「興味本位で、ウチの部をのぞきに来ただけなら、サッサと帰ってもらいたいんだけど……」
場をかき乱しにきたようにしか見えない生徒会長と吹奏楽部副部長を兼ねる美奈子に対し、生徒会副会長と広報部部長を兼ねる鳳花がチクリとクギを差すと、何事にもポジティブ思考な最上級生は、一年生に同意を求める。
「もう~ツレないな~。こうして、広報部に入ったカワイイ後輩と、吹奏楽部や文芸部の中心人物が出会えたんだから、イイじゃない! ね?」
「はい! 生徒会長や文化系のクラブのセンパイたちと、お話しできて良かったです!」
桃華が、ニコリと愛想よく返答すると、美奈子はすぐに質問を重ねた。
「ありがとう! ところで、佐倉さんは、どんなことが得意なの? 広報部は、相変わらず少数精鋭で活動しなきゃ、みたいだけど?」
「はい! 中学時代は、放送部で学校行事の司会やアナウンス全般を任されていました! くろセンパイとは、二人でラジオ形式の校内放送もしてたんですよ?」
下級生の答えに、「へ~、それはそれは……」と、美奈子はニヤニヤしながら、後輩のアザミに対してチラリと視線を送る。
「な、なんですか? 副部長……」
と、紅野アザミは、困惑気味だ。
そんな寿副部長と二年生のようすには気にもとめず、桃華は、
「でも、生徒会長も、オープン・スクールでの即興の司会ぶりは素晴らしかったですね! ステージ前で見せてもらっていたんですけど、参考になる点が、たくさんありました。吹奏楽部でも中心にいながら、ステージであれだけお話しできるなんてスゴいです!」
と、土曜日に行われた学内行事での美奈子の活躍を絶賛した。
「あら~、白草さんとは、なんだか険悪な雰囲気だったみたいだから、ちょっと心配したけど……佐倉さん、なかなか見どころのあるコじゃない」
下級生からの称賛に機嫌を良くした生徒会長を横目に見ながら、壮馬は、話題の中心にいる一年生を
(佐倉さんも、中学の頃に比べて、ずい分と性格が丸くなったな~)
と、眺める。さらに、
(白草さんの入部は、部長が阻止して揉め事の芽も摘まれたことだし……これ以上、彼女のご機嫌を損ねないように、ボクからもフォローを入れておくか)
そう考えて、スマホのLANEアプリを開き、白草四葉あてにメッセージを送った。
そして、放送室に集った、男子一名、女子四名のようすを観察しながら、文芸部の代表者にして、ここまでほとんど発言する機会のなかった葵は、少しうつむき加減で、あごに手をあてながら、ナニゴトかを思案しているようだった。
※
白草四葉との二人きりの時間を過ごした黒田竜司が放送室に戻ると、放課後直後に放送室に集っていた部外者の面々は、すでに室内から去っていた。
「ただいま戻りました!」
ドアを開けて入ってきた竜司に、部長の鳳花が声をかける。
「お疲れさま黒田くん。――――――それで、首尾はどうだった?」
「はい! 白草は、自分たちの考えを理解してくれたようです。今後も、広報部と白草の関係構築は問題ないと思います」
部長命令を課した二年生から報告を受けた鳳花は、彼の表情を観察しながらたずねる。
「問題を解決できた、という報告の割りには、浮かない顔ね? 黒田くん、白草さんと個人的になにかあったの?」
予期せず図星を突かれた竜司は、「いや、そう言うわけでは……」と、動揺を隠しながら返答し、
「あっ! そう言えば、もうひとつ伝えたいことがあったんだ!」
と、露骨に話題をそらす。
同じく部室に残っていた広報部部員の壮馬と桃華が口を開く前に、放送室に戻ってきたばかりの彼は、
「前から壮馬に提案されてた位置情報アプリの《Benly》を使ってみようと思う」
と、唐突に宣言し、友人と下級生を驚かせた。
「急にどうしたんだよ!? いままで、ボクが《Benly》のダウンロードを薦めても、頑なに拒否ってたのに……いったい、ナニがあったのさ?」
「くろセンパイ! ワタシも《Benly》使ってるんで、すぐに友だち申請します!」
竜司の発言に対して、異口同音の反応を示す下級生たちを眺めながら、部長の鳳花は、済まなさそうな表情で彼らにたずねる。
「みんなで盛り上がっているところ申し訳ないんだけど……もし、広報部全員で利用することになっても……私は、そのアプリ、ゴーストモードで使用させてもらっても良い?」
「もちろん! それは部長の考えが一番大事だと思いますが……」
「ほうかセンパイ、やっぱり、そういうの気になりますか?」
竜司と桃華が返答すると、
「そうね……私の個人的見解だけではなくて、私生活の位置情報を提供するには差し障りがある場面もあるから……それとも、みんなは、私のプライバシーを逐一、知りたいと思う?」
広報部の部長は、目が笑っていない笑顔で答えを返す。
その表情に顔を見合わせた下級生の三人は、
「「「いえ、結構です!!!!」」」
と、声を揃えて返答するのが精一杯だった。
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