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第二部
第1章〜幼なじみは絶対に勝てないラブコメ〜③
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竜司たち一行が放送室に到着すると、まるで、待っていたかのように、部長の花金鳳花が、彼らを出迎えた。ドアをノックして入室した竜司と壮馬に続いて桃華が室内に足を踏み入れると、
「久しぶりね、佐倉さん! 体調はもう大丈夫なの?」
一年生の来訪を歓迎した鳳花が桃華に声をかける。
「ハイ! 鳳花センパイ、お久しぶりです! 桃華は体調も良くなって、ノドの調子もバッチリですよ!」
気心のしれた感のある上級生と下級生の会話を耳にした四葉が、竜司にたずねる。
「ねぇ、花金部長と佐倉さんって知り合いなの?」
クラスメートの質問に、竜司は簡潔に答えた。
「あぁ……鳳花部長と桃華は、同じ中学出身だ。ついでに言うと、オレと壮馬もな」
その一言に、何かを感じたのかピクリと反応した四葉に、竜司の隣から壮馬が付け加える。
「ボクたちは、中学校で放送部に所属していたんだよ。ボクも、竜司も、佐倉さんも、中学の時から花金部長にお世話になってるんだ」
親切心からか、邪気のない笑顔で説明を加えるクラスメートに対して、彼女は、無表情をよそおいながらも、
「へ、へぇ~……そうなんだ……」
やや声をふるわせながら応じた。
そんな四葉の反応を見逃さなかった桃華が、今朝から自分にからんでくる二年生女子に対してマウントを取る絶好の機会がきた、と感じたのか、ここぞとばかりに追い討ちをかける。
「そうなんですよ! くろセンパイたちとワタシは、もう三年以上のお付き合いがありますから! 白草センパイは、広報部に興味を持っていただけるなら、せっかくなので、ワタシたちの息の合った活動を見て行ってもらえますか?」
その言葉に、広報部の活動の見学という名目で部室を訪問している白草四葉は、こめかみを引きつらせるほど、いらだっているようすが、壮馬からも見て取れた。
普段は、竜司や壮馬だけでなく、クラスメートたちを苦もなくあしらうほど、話術に長けた四葉だが、この下級生に対しては終始、押され気味の印象である。
見学者という立場でありながら、露骨に不愉快そうな表情を見せる彼女に気づいたのか、部長の鳳花が彼女に声をかける。
「白草さん、私たち広報部の活動に興味を持ってくれているの?」
「はい……クラブ紹介や先週のオープン・スクールのときは、舞台で歌わせてもらっただけなので、広報部の皆さんが、普段はどんな活動をしてるのかなって……」
四葉は、上級生の問いかけに、そう答えたあと、
「黒田クンは、下級生の女の子とずいぶん仲良く活動をされているみたいですし……」
と、言葉を付け加え、自らの苛立ちの矛先を(彼女の主張するところの)幼なじみである男子生徒に向けた。
「な……仲良くもナニも、桃華は、昨日、入部届をだして、活動するのは今日がはじめてだぞ?」
とつぜん、四葉からナイフの切っ先のような言葉を向けられた竜司が四葉の発言を言外に否定しようとすると、話題の渦中にある下級生は、室内の誰もが想定していない爆弾を投下した。
「え~、冷たいじゃないですか、くろセンパイ? 『いまの広報部には、後輩成分が足りない!』って言ってましたし……それに、くろセンパイは、いつも、『オレは、かわいい後輩の女子から、《センパイ》と呼ばれるサブスクがあれば、月額二千円までは課金する』って豪語してるじゃないですか!? 今なら、無課金でワタシが、『センパイ』って呼ばせてもらいますよ?」
後輩女子の地中貫通弾なみの破壊力ある一言に、桃華以外の一同は、あ然として言葉を失う。
そして、その中でも、大きな反応を示した四葉は、ギリッと歯噛みしたあと、竜司の向こうずねを、かかとで蹴り上げ、
(どういうことか、説明してくれる?)
と、氷点下の視線を彼に送る。
「ッ……!!!!!!」
突如おそった脚部の激痛に悲鳴を上げそうになった竜司が、下級生の女子に手刀を振り下ろす構えを取って、注意する。
「桃華! 『他人の発言を捏造するな』って、前から言ってるよな?『広報部は、常に人手不足だから、新入部員は歓迎だ』とは言ったが、《後輩成分》なんて言った覚えはナイ! あと、《サブスク》うんぬんの話しは、完全に作り話だろ!?」
四葉に、公衆の面前で一世一代の告白を袖にされて以来、ふさぎ込むことの多かった竜司が、彼本来の快活さを取り戻し、桃華にツッコミを入れる。
竜司の一言に、安堵の表情を見せる四葉だが、その流れに不満を覚えたのか、桃華は二の矢を繰り出そうとした。彼女が、
「それじゃ……」
と言葉を続けようとしたとき、
コンコン……
と、放送室のドアがノックされ、竜司たち室内にいる面々がよく知る生徒たちがあらわれた。
「久しぶりね、佐倉さん! 体調はもう大丈夫なの?」
一年生の来訪を歓迎した鳳花が桃華に声をかける。
「ハイ! 鳳花センパイ、お久しぶりです! 桃華は体調も良くなって、ノドの調子もバッチリですよ!」
気心のしれた感のある上級生と下級生の会話を耳にした四葉が、竜司にたずねる。
「ねぇ、花金部長と佐倉さんって知り合いなの?」
クラスメートの質問に、竜司は簡潔に答えた。
「あぁ……鳳花部長と桃華は、同じ中学出身だ。ついでに言うと、オレと壮馬もな」
その一言に、何かを感じたのかピクリと反応した四葉に、竜司の隣から壮馬が付け加える。
「ボクたちは、中学校で放送部に所属していたんだよ。ボクも、竜司も、佐倉さんも、中学の時から花金部長にお世話になってるんだ」
親切心からか、邪気のない笑顔で説明を加えるクラスメートに対して、彼女は、無表情をよそおいながらも、
「へ、へぇ~……そうなんだ……」
やや声をふるわせながら応じた。
そんな四葉の反応を見逃さなかった桃華が、今朝から自分にからんでくる二年生女子に対してマウントを取る絶好の機会がきた、と感じたのか、ここぞとばかりに追い討ちをかける。
「そうなんですよ! くろセンパイたちとワタシは、もう三年以上のお付き合いがありますから! 白草センパイは、広報部に興味を持っていただけるなら、せっかくなので、ワタシたちの息の合った活動を見て行ってもらえますか?」
その言葉に、広報部の活動の見学という名目で部室を訪問している白草四葉は、こめかみを引きつらせるほど、いらだっているようすが、壮馬からも見て取れた。
普段は、竜司や壮馬だけでなく、クラスメートたちを苦もなくあしらうほど、話術に長けた四葉だが、この下級生に対しては終始、押され気味の印象である。
見学者という立場でありながら、露骨に不愉快そうな表情を見せる彼女に気づいたのか、部長の鳳花が彼女に声をかける。
「白草さん、私たち広報部の活動に興味を持ってくれているの?」
「はい……クラブ紹介や先週のオープン・スクールのときは、舞台で歌わせてもらっただけなので、広報部の皆さんが、普段はどんな活動をしてるのかなって……」
四葉は、上級生の問いかけに、そう答えたあと、
「黒田クンは、下級生の女の子とずいぶん仲良く活動をされているみたいですし……」
と、言葉を付け加え、自らの苛立ちの矛先を(彼女の主張するところの)幼なじみである男子生徒に向けた。
「な……仲良くもナニも、桃華は、昨日、入部届をだして、活動するのは今日がはじめてだぞ?」
とつぜん、四葉からナイフの切っ先のような言葉を向けられた竜司が四葉の発言を言外に否定しようとすると、話題の渦中にある下級生は、室内の誰もが想定していない爆弾を投下した。
「え~、冷たいじゃないですか、くろセンパイ? 『いまの広報部には、後輩成分が足りない!』って言ってましたし……それに、くろセンパイは、いつも、『オレは、かわいい後輩の女子から、《センパイ》と呼ばれるサブスクがあれば、月額二千円までは課金する』って豪語してるじゃないですか!? 今なら、無課金でワタシが、『センパイ』って呼ばせてもらいますよ?」
後輩女子の地中貫通弾なみの破壊力ある一言に、桃華以外の一同は、あ然として言葉を失う。
そして、その中でも、大きな反応を示した四葉は、ギリッと歯噛みしたあと、竜司の向こうずねを、かかとで蹴り上げ、
(どういうことか、説明してくれる?)
と、氷点下の視線を彼に送る。
「ッ……!!!!!!」
突如おそった脚部の激痛に悲鳴を上げそうになった竜司が、下級生の女子に手刀を振り下ろす構えを取って、注意する。
「桃華! 『他人の発言を捏造するな』って、前から言ってるよな?『広報部は、常に人手不足だから、新入部員は歓迎だ』とは言ったが、《後輩成分》なんて言った覚えはナイ! あと、《サブスク》うんぬんの話しは、完全に作り話だろ!?」
四葉に、公衆の面前で一世一代の告白を袖にされて以来、ふさぎ込むことの多かった竜司が、彼本来の快活さを取り戻し、桃華にツッコミを入れる。
竜司の一言に、安堵の表情を見せる四葉だが、その流れに不満を覚えたのか、桃華は二の矢を繰り出そうとした。彼女が、
「それじゃ……」
と言葉を続けようとしたとき、
コンコン……
と、放送室のドアがノックされ、竜司たち室内にいる面々がよく知る生徒たちがあらわれた。
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