初恋♡リベンジャーズ

遊馬友仁

文字の大きさ
122 / 454

第11章〜よつば様は告らせたい〜⑦

しおりを挟む
~黄瀬壮馬の見解~

 A4用紙三枚分にビッシリと書かれた内容に目を通したあと、白草さんは、「フ~」と息をひとつ吐き、ボクに向かって問いかけてきた。

「これが、名探偵・天竹さんの推理の内容ってこと?」

「名探偵の推理と言えるようなシロモノではないと思うけど……今回のオープン・スクールでの一件についての天竹さんとボクなりの考察ってところかな?」

 そう答えると、会議室の長机でトントンと紙束を整理しながら、再びたずねる。

「いくつか、指摘したいところがあるんだけど、イイ?」

「どうぞ! 訂正するべき箇所があれば、ぜひ聞かせてほしい」

 こちらの返答に無言でうなずいた彼女は、指摘事項を語り始めた。

「まず第一に、わたしは、黒田クンのことをファースト・ネームで呼んだことは無い。もっとも、彼がそうしてほしいなら、断らないけどね」

 少し笑みを浮かべながら語る彼女に、ボクはうなずく。

「第二点は、一人称の表記。わたしは、一人称を文章にするとき、漢字は使わないんだけど……天竹サンも黄瀬クンも、わたしの《ミンスタ》や《トゥイッター》をあんまり見てくれていないのね……残念」

 彼女は、今度は、わざとらしく泣きマネをするような仕草をするので、こちらとしては、こう答えるしかない。

「それは、申し訳ない……もっと、注目するようにするよ……」

 すると、彼女は、

「まぁ、それは別にイイけどね」

と、微笑みながら言ったあと、こんな指摘をしてきた。

「三つ目の指摘は、わたしが確認した動画についてかな。あの時、《YourTube》じゃなくて、『ストーリーズに最近のコンテンツを追加しました』って通知を見て、まずは《ミンスタグラム》の動画を確認したから、ちょっと、ディテールが異なるかな?」

「そうだったんだ……《ミンスタ》の動画の方は、二十四時間で消えちゃうから、視聴したのなら、《YourTube》だと思ってたんだけど……白草さん、もしかして、竜司とボクのアカウントをかなり細かくチェックしてる?」

 今度は、ボクが彼女に問い返す。
 しかし、目の前の同級生は、曖昧に笑ったまま、その質問には答えず、

「最後に指摘したいのは、紅野サンのこと……クロ、黒田クンのことについては、特に言うことはないけど……紅野サンに対して、わたし、こんなに粘着した覚えはないんだけど?」

と、憤慨するように、主張してきた。

「そ、そこは、紅野さんの友だちの天竹さんの観点も強く反映されているので……白草さん、転入してきた日に、竜司が告った相手を熱心に探ってたみたいだからさ……紅野さんと天竹さんに、警戒されてたんだよ?」

 白草さんの語気に気圧されるように、ボクが伝えると、彼女は、

「そうだったんだ……それなら、わたしにも原因があるかもだけどーーーーーー」

少し口ごもったあと、

「でも、これじゃ、まるで、わたしが、彼女に逆恨みしてる可愛くない女子みたいじゃない!?」

と、再び反論する。
 しかし、この点については、ボクも天竹さんも引くわけにはいかない。

「その辺りは、白草さんの気持ちを勝手に推し量ったのは、申し訳ないと思うけど……ただ、あくまで、今回の件が、白草さんと竜司だけで収まる話しなのだとすれば、勝手に恋愛アドバイスの標的にされて、振り回された紅野さんは、被害者のハズだ……そこは、ハッキリと認識しておいてほしい」

 ボクが、キッパリと伝えると、彼女はそれ以上、言い返してくることはなく、

「そう……たしかに、紅野サンには悪いことをしてしまったかも……彼女、イイ人だもんね……落ち着いたら、お詫びを兼ねて、紅野サンに何か埋め合わせできるようなことをしないとね……」

と、殊勝な言葉を口にした。
 意外なほど、アッサリと自らの非を認めた彼女に、少し拍子抜けしつつ、

「うん……それが良いと思うよ」

ボクも、白草さんの発言に同意する。

 こうして、お互いに自分たちの思っていることを言い終えた、と感じたためか、小会議室に、しばしの静寂が訪れた。
 その沈黙を破るように、ボクの斜め前の位置に座る同級生は口を開く。

「いま思ったんだけど、なんだか、この会議室に来てからのわたしって、二時間サスペンスの終盤に、崖の上で刑事に問い詰められる犯人みたいね……」

 彼女の発言に、ボクがクスリと笑うと、

「ウチの母親は、犯人を追い詰める役の方が多いから、我が家からすると、ちょっと新鮮かも……」

と、白草さんは付け加えた。

「ドラマみたいに鋭く問い詰めることが出来たかはわからないけど……読んでもらったテキストからもわかるように、今回の推察の大半は、天竹さんが考えたモノだから……当たっている部分は、彼女の功績だよ」

 ボクがそう伝えると、彼女は興味を持ったように食いついてくる。

「犯行動機について、ここまで想像の翼を広げられる天竹サンはスゴイわ……将来、ミステリー作家にもなれるんじゃない?」

 苦笑いしながら語る白草さんに、無言で同意すると、

「細かな点はともかく、こんなにわたしの心情に想像力を働かせてくれるなら……わたしが回顧録を出版する時は、彼女に執筆を依頼しようかな?」

と、冗談とも本音ともつかない言葉を発した。

「その言葉、天竹さんに、伝えておくよ……」

 彼女の発言に、微笑みながら答えると、同級生は、笑みをたたえたまま、静かにうなずく。
 こうして、天竹さんに依頼されていた内容の確認を終えたところで、ボク自身が気になっていたことをたずねてみることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

処理中です...