初恋♡リベンジャーズ

遊馬友仁

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第9章〜To Love You More(もっとあなたを好きになる)〜①

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5月7日(土)

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clover_field 今日は、いよいよオープン・スクール当日!
わたしも、午後一時から校内の特設ステージで歌わせてもらうから、楽しみにしててね!
(ミンスタライブで配信予定)
あと、昨日までの『白草四葉の恋愛塾』を楽しんでくれたみんなへ……。
先月からコラボレートしている《竜馬ちゃんねる》の二人と、サプライズ企画を用意しているよ。
こちらの方もお楽しみに!

#オープン・スクール
#特設ステージ
#白草四葉の恋愛塾
#竜馬ちゃんねる
#乞うご期待
====================

 五月初めの連休が終了した二日後、オープン・スクールが開催される土曜日は、朝から一点の雲もなく晴れ渡る、まさに『日本晴れ』という言葉がピッタリの青空が広がっている。
 ゴールデン・ウィークの休日を返上した上に、通常の登校日でもあった前日も最終下校時刻ギリギリまで会場の設営や放送用機材の設置に追われていた黄瀬壮馬は、心地よい緊張感を覚えながら、オープン・スクール当日を迎えていた。
 午前八時過ぎに更新された白草四葉の《ミンスタグラム》の投稿は、週末の朝にも関わらず、わずか三十分ほどで、一◯◯件以上のコメントが付くほどの活況を呈している。
 彼女の投稿にリンク先が貼られていた自分たち《竜馬ちゃんねる》のYourTubeライブも、配信開始まで四時間以上の間があるにも関わらず、すでにアクセスするユーザーが増え始めていた。

(スゴい……これ、配信が始まったら、同接一万近くまで行くんじゃない?)

 ゲームの攻略情報など、ガチで再生数を取りに行ったコンテンツとは異なり、これまで、お遊び程度に配信していたライブ映像では、多くても三桁に満たなかった同時接続数の表示が、みるみる上がって行くことに、壮馬は興奮を隠せなかった。
 いつもの登校時間と同じく、八時三十分に放送室に入室した黒田竜司は、そんな親友に、

「どうだ、壮馬? 世間からの注目度は?」

と、声を掛ける。

「爆上げって言葉ですら収まらないレベルだよ……対前回比をパーセントで表せないくらいの伸び率を記録してる」

 壮馬はそう言って、監視用として使用している学園支給のクロームブックに表示させている《竜馬ちゃんねる》の管理画面を友人に提示する。
 接続数の数字を目にした竜司は、「マジか……!?」と、口にしたあと、念のため、壮馬に確認する。

「本番まで、まだ四時間以上あるよな?」

 壮馬は、この日の主役になるであろう友人の言葉にうなずき、返答した。

「プレッシャーを掛ける訳じゃないけど、同接一万は行くと思うから覚悟しててね」

 再び、「か~! マジかよ……」と、つぶやいた竜司に、

「時間帯も時間帯だし、接続数のリアルタイムランキングで、全国二十位以内には入りそうだから、がんばって!」

 壮馬は、笑顔で付け足した。
 親友の言葉に、苦笑のみで応じる竜司。
 すると、当日の行程表を再確認していた上級生が、資料に視線を落としたまま、口をはさむ。

「黄瀬くん。出演者には、重圧を感じさせるようなことは言わないこと」

 花金鳳花部長の重みのある一言に、壮馬は、「わかりました~」と応じて、

「竜司! なにか、トラブルがあったら、連絡して。すぐに対応できるようにしておくから」

と、付け加えた。

「わかったよ。信頼してるからな、壮馬……」

 そう言って、いつになく神妙なようすでいる竜司を一瞥し、壮馬は、

(さすがの竜司も、緊張を隠せない、ってところか……まあ、ボクも気合いを入れないとね……)

と、友人の表情を感じ取りながら、パンッと両手のひらで、ほおを軽く叩き自らにも喝を入れる。
 竜司と壮馬が、それぞれに自分の役割について、想いをはせる中、行程表の再確認を終えた鳳花が、パチンと手を叩いて、

「みんな集まってる?」

と、広報部の集合確認を行った。

「「「「「「「はい!!!!」」」」」

 十名に満たない部員たちが声を揃える。
 三週間ほど前の白草四葉のパフォーマンスは一年生たちの注目を集めることについては、大いに役立ったが、現段階で広報部の戦力として使える人材の入部は皆無だった。
 それでも、現状を悲観することはなく、ニ・三年生のみの少数精鋭のメンバーを前に、彼女は直立し弁舌を振るう。

「いつも言っているように、私たち広報部の間にチームプレイなどという都合のよい言い訳は存在しません。あるとすればスタンドプレーから生じるチームワークだけです。『広報部は、各員がその義務を尽くすことを期待する』以上です」

「「「「「「「Yes! Mam!!!!!!」」」」」

「よろしい! では、準備ができた部員から、持ち場に着いてください」

 普段とは異なり、おっとりとした口調ではなく、厳格さを感じさせる花金鳳花部長の指示の下、広報部の面々は、各自の持ち場に散って行った。
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