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幕間②〜白草ヨツバのクローバーフィールド・その2〜後編
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彼の懸念の二つ目は、動画内で、白草四葉とのコラボレートが告知されたことにあった。
渋い表情の竜司に対して、壮馬がたずねる。
「竜司、なにか気になることがあるの?」
「オレも壮馬も、これまで、女子とは無縁の世界で活動してきただろ? だから、急に白草とカラミだしたことを身近な人間がどう思うかと考えるとな……特に、あの母親に、今回の企画が知られた日には……」
友人の一言に、壮馬は、「あ~」と、微苦笑をたたえた表情で声を漏らした。
ここまで、自分自身のアップロードした動画について語る竜司と壮馬の会話を黙って聞いていた四葉は、硬い表情でたずねる。
「なに? 黒田クンのお母さんに、わたしの動画やSNSの投稿が知られるとマズいことでもあるの?」
彼女の発した問いに、竜司は、そうなった時のことを考えたくもない、というようなウンザリした口調で、
「大いにあるね! 白草が、オレたちと一緒に活動してるコトを知ったら、あの母親のことだ…… 『ちょっと竜司! いつの間に、あんなカワイイ女の子と知り合いになったの? 私にも早く紹介しなさい!』って言い出すに決まってるんだ……親に交友関係のコトについて、口出しされることほどウザい出来事はないだろう?」
と、自身の母親の口調を真似て、自らの見解を披露した。
彼の発した言葉に、四葉はピクリと反応する。
「いま、アナタのお母さんなら、ナニを云うって言ったの?」
「ハァ? ウチの母親なら、『知り合ったコを早く紹介しなさい』と言うって……」
「そ・の・ま・え!!」
「『いつの間に、あんな女の子と知り合ったの?』」
「それじゃ、ネガティブな逆の意味になるでしょ!? その前の大事な形容詞が抜けてるよね?」
昨日と同じような暗黒微笑をたたえて、白草四葉は黒田竜司を問い詰める。
「『いつの間に、あんなカワイイ女の子と知り合いになったの? 私にも早く紹介しなさい!』」
「へぇ~、『カワイイ女の子』ねぇ~。黒田クンのお母さんは、わたしのコトをそんな風に見てくれるんだ?そ・れ・と・も……そこは、黒田クン自身の評価なのかな~?」
詰問口調から一転、ニマニマと笑みを浮かべながら、四葉は竜司を追い詰めにかかった。
苦々しい表情で言葉に詰まる男子の顔つきの変化を覗き込むのが楽しいのか、白草四葉は嬉々とした面持ちで自身が『非モテ男子』と断じた彼を見つめている。
一方、壮馬は、自分そっちのけでジャレ合う二人の様子にあきれながら、
(あ~あ……やっぱり、竜司と白草さんじゃ、最初から勝負にならないよね~)
(でも、白草さんも、『カワイイ』なんて、毎日一◯◯万人のフォロワーからコメントされてるだろうに、なんで、その一言に、そんなにこだわるんだろう?)
などと、物思いに耽る。
そんな壮馬をよそに、竜司は会話の立て直しを図るべく、語りだした。
「と、ともかく、だ……ウチの母親には関わらない方がイイぞ! 白草が、ミンスタグラマーやユアチューバーとして有名人と知ったら、間違いなく、『SNSで、ウチの商品を取り上げてちょうだい!』って、絡んでくるから……」
「そう言えば、昨日言ってたよね。このマンションの一階は、黒田クンのお母さんのお店だって……どんな商品を扱ってるの?」
四葉の問いに、壮馬が答える。
「輸入品のインテリア用品全般だよ。ツカサさん……竜司のお母さんは、主にオーナーとして海外に商品の買付に行ってることが多いから、お店には居ないことの方が多いみたいだけど……」
壮馬の解説に、「ヒトの身内のことをあまりペラペラ喋るな……」と、友人をたしなめつつ、竜司は、ぶっきらぼうに語った。
「今月もパリに出張中だよ……一年のうち日本に居るのは、半年くらいだしな」
「そうなんだ! インポートのインテリアショップか~。カワイイ物がたくさんありそう! あとで、お店を見に行ってもイイ?」
輸入品のインテリア用品という言葉を耳にし、『カワイイ』を追求するクローバー・フィールドの主宰者として、四葉は興味津々といった感じでたずねる。
「いいんじゃないの? マナミさんも、白草さんが来てくれたら喜ぶんじゃない?」
オーナーである竜司の母親・黒田司に、店舗とインターネット販売の運営を任されている大西真奈美の名前を出して壮馬が答えた。
しかし、
「まぁ、店をのぞきたいと考えるのは、白草の自由だが……」
と、あくまで、白草四葉と母親の経営する店舗との関わりを避けたい、と考えているのか渋い返答をする竜司に、彼は淡々と正論めいたことを語り、友人の説得にあたる。
「ナニ言ってんの? 新しいクッションも、ツカサさんとマナミさんの好意で用意できたんでしょ? 新しい友だちを紹介しておくのは当然じゃない?」
その一言に、四葉は、足もとを確認し、クッションに目を向ける。《竜馬ちゃんねる》の編集スタジオには、昨日の夕方から、クッションが一つ増えていた。
「このクッション、お母さんのお店のなんだ!? へぇ~、生地もカワイイし、フカフカで座り心地もイイよね!?」
彼女が感想を述べると、壮馬が反応し、
「でしょ? お値段もなかなかのモノらしいよ。ね、竜司?」
と、友人に回答を求める。
「あぁ……今どきクッション一つに、数万円も払ってくれるハイ・ソサエティな皆様のおかげで、ウチの親の会社も経営が成り立っているみたいだからな……ちなみに、その生地は、パリで買いつけてきたんだってよ」
またも、素っ気なく答える竜司の言葉に、四葉は、目を丸くして答えた。
「そんなにイイ物だったんだ!! それじゃあ、より一層お店に行って、キチンとお礼をしないとね!」
彼女の一言に、壮馬は微笑みながら、「……だ、そうだよ」と、竜司に声を掛ける。
「…………あ~、わかったよ! 今日は、土曜だから、昼間は来客が多いかも知れないからな。邪魔にならない時間に店に行かせてもらう、と真奈美さんに伝えとくよ」
彼から引き出した回答に、
「ありがと! 楽しみにしてる!!」
と答えた四葉は、
「じゃ、コラボ企画の打ち合わせに入りましょう」
と満面の笑みで二人にうながした。
渋い表情の竜司に対して、壮馬がたずねる。
「竜司、なにか気になることがあるの?」
「オレも壮馬も、これまで、女子とは無縁の世界で活動してきただろ? だから、急に白草とカラミだしたことを身近な人間がどう思うかと考えるとな……特に、あの母親に、今回の企画が知られた日には……」
友人の一言に、壮馬は、「あ~」と、微苦笑をたたえた表情で声を漏らした。
ここまで、自分自身のアップロードした動画について語る竜司と壮馬の会話を黙って聞いていた四葉は、硬い表情でたずねる。
「なに? 黒田クンのお母さんに、わたしの動画やSNSの投稿が知られるとマズいことでもあるの?」
彼女の発した問いに、竜司は、そうなった時のことを考えたくもない、というようなウンザリした口調で、
「大いにあるね! 白草が、オレたちと一緒に活動してるコトを知ったら、あの母親のことだ…… 『ちょっと竜司! いつの間に、あんなカワイイ女の子と知り合いになったの? 私にも早く紹介しなさい!』って言い出すに決まってるんだ……親に交友関係のコトについて、口出しされることほどウザい出来事はないだろう?」
と、自身の母親の口調を真似て、自らの見解を披露した。
彼の発した言葉に、四葉はピクリと反応する。
「いま、アナタのお母さんなら、ナニを云うって言ったの?」
「ハァ? ウチの母親なら、『知り合ったコを早く紹介しなさい』と言うって……」
「そ・の・ま・え!!」
「『いつの間に、あんな女の子と知り合ったの?』」
「それじゃ、ネガティブな逆の意味になるでしょ!? その前の大事な形容詞が抜けてるよね?」
昨日と同じような暗黒微笑をたたえて、白草四葉は黒田竜司を問い詰める。
「『いつの間に、あんなカワイイ女の子と知り合いになったの? 私にも早く紹介しなさい!』」
「へぇ~、『カワイイ女の子』ねぇ~。黒田クンのお母さんは、わたしのコトをそんな風に見てくれるんだ?そ・れ・と・も……そこは、黒田クン自身の評価なのかな~?」
詰問口調から一転、ニマニマと笑みを浮かべながら、四葉は竜司を追い詰めにかかった。
苦々しい表情で言葉に詰まる男子の顔つきの変化を覗き込むのが楽しいのか、白草四葉は嬉々とした面持ちで自身が『非モテ男子』と断じた彼を見つめている。
一方、壮馬は、自分そっちのけでジャレ合う二人の様子にあきれながら、
(あ~あ……やっぱり、竜司と白草さんじゃ、最初から勝負にならないよね~)
(でも、白草さんも、『カワイイ』なんて、毎日一◯◯万人のフォロワーからコメントされてるだろうに、なんで、その一言に、そんなにこだわるんだろう?)
などと、物思いに耽る。
そんな壮馬をよそに、竜司は会話の立て直しを図るべく、語りだした。
「と、ともかく、だ……ウチの母親には関わらない方がイイぞ! 白草が、ミンスタグラマーやユアチューバーとして有名人と知ったら、間違いなく、『SNSで、ウチの商品を取り上げてちょうだい!』って、絡んでくるから……」
「そう言えば、昨日言ってたよね。このマンションの一階は、黒田クンのお母さんのお店だって……どんな商品を扱ってるの?」
四葉の問いに、壮馬が答える。
「輸入品のインテリア用品全般だよ。ツカサさん……竜司のお母さんは、主にオーナーとして海外に商品の買付に行ってることが多いから、お店には居ないことの方が多いみたいだけど……」
壮馬の解説に、「ヒトの身内のことをあまりペラペラ喋るな……」と、友人をたしなめつつ、竜司は、ぶっきらぼうに語った。
「今月もパリに出張中だよ……一年のうち日本に居るのは、半年くらいだしな」
「そうなんだ! インポートのインテリアショップか~。カワイイ物がたくさんありそう! あとで、お店を見に行ってもイイ?」
輸入品のインテリア用品という言葉を耳にし、『カワイイ』を追求するクローバー・フィールドの主宰者として、四葉は興味津々といった感じでたずねる。
「いいんじゃないの? マナミさんも、白草さんが来てくれたら喜ぶんじゃない?」
オーナーである竜司の母親・黒田司に、店舗とインターネット販売の運営を任されている大西真奈美の名前を出して壮馬が答えた。
しかし、
「まぁ、店をのぞきたいと考えるのは、白草の自由だが……」
と、あくまで、白草四葉と母親の経営する店舗との関わりを避けたい、と考えているのか渋い返答をする竜司に、彼は淡々と正論めいたことを語り、友人の説得にあたる。
「ナニ言ってんの? 新しいクッションも、ツカサさんとマナミさんの好意で用意できたんでしょ? 新しい友だちを紹介しておくのは当然じゃない?」
その一言に、四葉は、足もとを確認し、クッションに目を向ける。《竜馬ちゃんねる》の編集スタジオには、昨日の夕方から、クッションが一つ増えていた。
「このクッション、お母さんのお店のなんだ!? へぇ~、生地もカワイイし、フカフカで座り心地もイイよね!?」
彼女が感想を述べると、壮馬が反応し、
「でしょ? お値段もなかなかのモノらしいよ。ね、竜司?」
と、友人に回答を求める。
「あぁ……今どきクッション一つに、数万円も払ってくれるハイ・ソサエティな皆様のおかげで、ウチの親の会社も経営が成り立っているみたいだからな……ちなみに、その生地は、パリで買いつけてきたんだってよ」
またも、素っ気なく答える竜司の言葉に、四葉は、目を丸くして答えた。
「そんなにイイ物だったんだ!! それじゃあ、より一層お店に行って、キチンとお礼をしないとね!」
彼女の一言に、壮馬は微笑みながら、「……だ、そうだよ」と、竜司に声を掛ける。
「…………あ~、わかったよ! 今日は、土曜だから、昼間は来客が多いかも知れないからな。邪魔にならない時間に店に行かせてもらう、と真奈美さんに伝えとくよ」
彼から引き出した回答に、
「ありがと! 楽しみにしてる!!」
と答えた四葉は、
「じゃ、コラボ企画の打ち合わせに入りましょう」
と満面の笑みで二人にうながした。
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