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第3章〜運命の人があなたならいいのに 現実はうまくいかない〜⑦
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銃に詰め込むコルク弾を選べる屋台の場合、射的の勝負は、すでに、このコルク弾の選択から始まっている。
空気で弾を押し出す空気銃方式では、久々知に助言した、レバーを引いてからコルク弾を込める意味と同様、弾丸となるコルク弾に、いかに強い圧の空気を押し付けられるかで、弾の発射される威力が変わってくるからだ。
オレは、コルク弾が盛られたお椀の中から、弾を手に取り、形が整っているか、欠けている部分がないかをチェックする。弾のどこかが欠けていたり、形がいびつなものだと、空気が抜けてしまって威力が落ちてしまう。
慎重に選んだ5つのコルク弾を手にすると、空気銃のレバーを引き、しっかりと弾を込める。
弾込めが終わると、肩をリラックスさせ、足を肩幅に開き、体重を均等に分散させた。銃身を持つ左手は自然な形で伸ばし、もう一方の右肩で銃床をしっかりと支える。正しい姿勢は、身体の揺れを最小限に抑え、精密な射撃を可能にするのだ。
体勢が整ったことで、的に狙いを定める。
小田先輩は、駄菓子を4つ落として、合計4点。
久々知は、ぬいぐるみを1つ落として、合計5点。
彼らを上回るには、小物の確実なヒットでも、大物狙いでもなく、3点が設定されている中段の棚の菓子類を2つ以上落とせば良い。
一発目は、ディズニーのキャラクターが描かれていることでもおなじみのチョコレート菓子・パック◯チョを狙う。
的の中心ではなく、右上の隅に照準を合わせ、引き金を引く。
パンッ!
発射音とともに飛び出したコルク弾は、狙いどおり、箱の右上に向かって飛んで行ったが、わずかに上部をかすめただけで、的としたチョコレート菓子の箱は、微動だにしない。
仕方ない。一発目は、コルク弾の弾道を図るための試射のようなものだ。
気を取り直して、二発目のコルク弾を込め、再び銃を構える。
今度は、一発目よりのときよりもやや左下を狙って引き金を引いた。
パンッ!
銃から放たれたコルク弾は、思ったとおりチョコレート菓子の箱の右上にヒットし、箱はクルリと回転しながら、棚から転げ落ちた。
まずは、3点ゲット!
あと1つ、中段の菓子類を落とせば、久々知と小田先輩に勝てる。
調子が出てきたことに気を良くしながら、三発目のコルク弾を込めつつ、次のターゲットを探す。
(つぎは、ちょっとだけ大きな的を狙ってみるか?)
と、考えたオレは、キョ◯ちゃんが描かれたパウチの袋の大玉チョ◯ボールに目をつけた。
弾込めを終えて、銃を構えたオレは、今度もターゲットの右隅狙って引き金を引く。
今度も狙いどおり、パウチの右隅にコルク弾はヒットしたのだが――――――。
パウチの下半身部分がズッシリしている大玉チョ◯ボールは、わずかに、袋が揺れただけで、二発目のパック◯チョとは異なり、棚から落ちるということはない。これは、久々知が狙ったクマのぬいぐるみ同様、一筋縄ではいかない的のようだ。
調子に乗って、菓子類の中でも大物を狙ってみたのだが、どうやら、ターゲットとするべき対象を間違ったようである。ここで、クラスメートのように、ターゲットにこだわり抜いて、大玉チョ◯ボールを狙い続けるのは得策ではない。自分には、残り二発のコルク弾しか残されていないし、久々知のように、連続でターゲットを撃ち抜くような荒技に賭けるべきではない。
残り二つのコルク弾で、確実に落とせそうなターゲットを探し、大玉ではないレギュラーサイズのチョ◯ボールを狙うことにする。的としては、やや小さくなるものの、これなら、箱の重量も大したことはなく、一撃での賞品ゲットが十分に狙える。
四発目の弾を込めて、キョ◯ちゃんが描かれたパッケージを慎重に狙い、引き金を引く。
パンッ!
今回も狙いどおり、箱の真ん中よりにコルク弾はヒットしたのだが――――――。
命中したのが、あまりにも的の中央に近かったためか、キョ◯ちゃんのパッケージは、ビリビリと振動を起こしたものの、棚から落ちるには至らなかった。
パウチの袋に比べて、的が小さくなったことで、狙いが慎重になりすぎたようだ。
「次が、最後の弾か……」
つぶやくように語った久々知に対して、小田先輩が返答する。
「あぁ、中段の菓子を落とせば、立花くんの勝ちだ」
この一発で勝負が決まると思うと、プレッシャーを感じるが、気持ちを切り替えて逆転勝利を最後の一撃に賭ける。
レバーを引いてから最後の弾を込め、慎重に射撃体勢に入る。
四発目の反省を活かして、さっきよりも銃口をやや右上に向けて引き金を引く準備に入った。
だが、呼吸を止め、トリガーを引こうとした瞬間、鼻にむず痒さを覚えたオレは、
ハックション!
と、盛大なクシャミをかましてしまった。その衝撃は、右手の人差し指とも連動し、
パンッ!
という乾いた音を発したあと、最後のコルク弾は、銃口から発射されてしまった。
「あっ!」
オレが、声をあげるのと同時に、コルク弾は、木製の棚の部分に跳ね返り、真っ直ぐに、オレの後ろで射的を見学していたギャラリーに向かって飛んでいく。
「あぶない!」
と声を発した小田先輩が、同じ上級生の腕を引くのと、コルク弾の射線が、彼女の顔に向かっているのに気付いたのは、ほぼ同時だった。
空気で弾を押し出す空気銃方式では、久々知に助言した、レバーを引いてからコルク弾を込める意味と同様、弾丸となるコルク弾に、いかに強い圧の空気を押し付けられるかで、弾の発射される威力が変わってくるからだ。
オレは、コルク弾が盛られたお椀の中から、弾を手に取り、形が整っているか、欠けている部分がないかをチェックする。弾のどこかが欠けていたり、形がいびつなものだと、空気が抜けてしまって威力が落ちてしまう。
慎重に選んだ5つのコルク弾を手にすると、空気銃のレバーを引き、しっかりと弾を込める。
弾込めが終わると、肩をリラックスさせ、足を肩幅に開き、体重を均等に分散させた。銃身を持つ左手は自然な形で伸ばし、もう一方の右肩で銃床をしっかりと支える。正しい姿勢は、身体の揺れを最小限に抑え、精密な射撃を可能にするのだ。
体勢が整ったことで、的に狙いを定める。
小田先輩は、駄菓子を4つ落として、合計4点。
久々知は、ぬいぐるみを1つ落として、合計5点。
彼らを上回るには、小物の確実なヒットでも、大物狙いでもなく、3点が設定されている中段の棚の菓子類を2つ以上落とせば良い。
一発目は、ディズニーのキャラクターが描かれていることでもおなじみのチョコレート菓子・パック◯チョを狙う。
的の中心ではなく、右上の隅に照準を合わせ、引き金を引く。
パンッ!
発射音とともに飛び出したコルク弾は、狙いどおり、箱の右上に向かって飛んで行ったが、わずかに上部をかすめただけで、的としたチョコレート菓子の箱は、微動だにしない。
仕方ない。一発目は、コルク弾の弾道を図るための試射のようなものだ。
気を取り直して、二発目のコルク弾を込め、再び銃を構える。
今度は、一発目よりのときよりもやや左下を狙って引き金を引いた。
パンッ!
銃から放たれたコルク弾は、思ったとおりチョコレート菓子の箱の右上にヒットし、箱はクルリと回転しながら、棚から転げ落ちた。
まずは、3点ゲット!
あと1つ、中段の菓子類を落とせば、久々知と小田先輩に勝てる。
調子が出てきたことに気を良くしながら、三発目のコルク弾を込めつつ、次のターゲットを探す。
(つぎは、ちょっとだけ大きな的を狙ってみるか?)
と、考えたオレは、キョ◯ちゃんが描かれたパウチの袋の大玉チョ◯ボールに目をつけた。
弾込めを終えて、銃を構えたオレは、今度もターゲットの右隅狙って引き金を引く。
今度も狙いどおり、パウチの右隅にコルク弾はヒットしたのだが――――――。
パウチの下半身部分がズッシリしている大玉チョ◯ボールは、わずかに、袋が揺れただけで、二発目のパック◯チョとは異なり、棚から落ちるということはない。これは、久々知が狙ったクマのぬいぐるみ同様、一筋縄ではいかない的のようだ。
調子に乗って、菓子類の中でも大物を狙ってみたのだが、どうやら、ターゲットとするべき対象を間違ったようである。ここで、クラスメートのように、ターゲットにこだわり抜いて、大玉チョ◯ボールを狙い続けるのは得策ではない。自分には、残り二発のコルク弾しか残されていないし、久々知のように、連続でターゲットを撃ち抜くような荒技に賭けるべきではない。
残り二つのコルク弾で、確実に落とせそうなターゲットを探し、大玉ではないレギュラーサイズのチョ◯ボールを狙うことにする。的としては、やや小さくなるものの、これなら、箱の重量も大したことはなく、一撃での賞品ゲットが十分に狙える。
四発目の弾を込めて、キョ◯ちゃんが描かれたパッケージを慎重に狙い、引き金を引く。
パンッ!
今回も狙いどおり、箱の真ん中よりにコルク弾はヒットしたのだが――――――。
命中したのが、あまりにも的の中央に近かったためか、キョ◯ちゃんのパッケージは、ビリビリと振動を起こしたものの、棚から落ちるには至らなかった。
パウチの袋に比べて、的が小さくなったことで、狙いが慎重になりすぎたようだ。
「次が、最後の弾か……」
つぶやくように語った久々知に対して、小田先輩が返答する。
「あぁ、中段の菓子を落とせば、立花くんの勝ちだ」
この一発で勝負が決まると思うと、プレッシャーを感じるが、気持ちを切り替えて逆転勝利を最後の一撃に賭ける。
レバーを引いてから最後の弾を込め、慎重に射撃体勢に入る。
四発目の反省を活かして、さっきよりも銃口をやや右上に向けて引き金を引く準備に入った。
だが、呼吸を止め、トリガーを引こうとした瞬間、鼻にむず痒さを覚えたオレは、
ハックション!
と、盛大なクシャミをかましてしまった。その衝撃は、右手の人差し指とも連動し、
パンッ!
という乾いた音を発したあと、最後のコルク弾は、銃口から発射されてしまった。
「あっ!」
オレが、声をあげるのと同時に、コルク弾は、木製の棚の部分に跳ね返り、真っ直ぐに、オレの後ろで射的を見学していたギャラリーに向かって飛んでいく。
「あぶない!」
と声を発した小田先輩が、同じ上級生の腕を引くのと、コルク弾の射線が、彼女の顔に向かっているのに気付いたのは、ほぼ同時だった。
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