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切ない恋の大集合 その13
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聡はいつものようにわざとらしく大きくため息をついて、
「よく考えてみろよ、普通に考えればわかることだぞ。大体王家側がそんな大事な発表、学園の食堂ですると思うか?そんなわけないだろ」
「えっ?そうなの?」
言われてみるとなんとなく違和感はあったけれど、王子だってイメージアップのために庶民派の王子ってことでわざわざ食堂で発表したのかもしれないじゃん?
私が納得していないと思ったのか、今度は大きくため息をついてから説明する。
「そもそも王族の婚約発表と言えば華々しく王宮でやるのがこの国では通例だぞ、婚約発表なんてものは国中にお披露目するもんだからな。もちろんほかの国からも客人を呼ぶし、婚約者には自分のカラーである赤いドレスを着せて国宝の宝石をじゃらじゃらつけさせてさ」
うーん、確かにそうかも。
「じゃあ正式な発表じゃないのかなあ?王子が勝手に言ってみただけってこと?」
「そうさ、今回は学園の食堂の場所での発表だから、貴族の連中で正式に婚約ってとらえる親たちはいないだろう。もっとも俺達学生は面白おかしく噂するけどな。家にも婚約のこと話すだろうし・・・だがおそらくそれが狙いなんだろ、それに正式な婚約発表じゃないから内容も自由に改ざんもできるしな」
「婚約の内容を改ざん?」
「ああ、どう改ざんするかはまだわからないけれど、婚約破棄のイベントのため、何か仕掛けるに違いないと思ってたけどさ」
マジか・・・
「婚約破棄する予定の卒業パーティーは王宮だからな、王宮で起こったことの方が重要とされるだろうよ」
うぬぬぬ。
「それって本当だとしたら最低なんだけど。あの王子やっぱり女の敵だわ。でもそれってイザベラ本人は知ってるの?」
さっきの様子だと本物のイザベラは王子に対しての恋心を捨ててない感じだったけど大丈夫なのかなあ?
「それについては口酸っぱく俺はちゃんと忠告はしたけどさ、大体イザベラの幼馴染とはいえ、学園に入ってからはあの王子はつねにマリーといちゃいちゃしてたし今までだって特にイザベラと甘い雰囲気になることもなかったからな」
甘い雰囲気かあ。
「もっともそれについては、イザベラの中に俺が入ってしまったせいもあるけどな」
「そうじゃん、もしかすると聡がイザベラに入ったことで、ややこしくなってるんじゃあないのかな?」
「いや、俺が入る前の幼い頃にもあの王子にこっぴどく振られたって言ってたから、一概に俺がいる事が原因じゃあないさ。それに今では実際にマリーに王妃教育もしてるって聞いてたからイザベラだって婚約者はマリーで決定したんだと思ってたさ。だがまさか食堂でこんなことになるなんて、さすがの俺も油断してたな。しかも運が悪かったな。よりによって俺の体調が悪い日なんてな」
あちゃあ、やっぱりやらかした。
「それは本当に私が悪かったよ、確かに私が無理やり食堂に来なければこんなイベント始まらなかったんだから・・・」
聡がうなずいて、
「そのことも偶然にしてはおかしいと思うから、また後で調べてみようと思う。俺だっててっきりストーリーが変わって婚約発表は王宮でマリーとするんだって思ってた。だからイザベラがあいつなりにせっかく色々諦めてたのにどうなることやら・・・でも諦めてもらわないとな」
うーん、諦めるって簡単に言うけどさ、こんなこと言ったら不謹慎だろうけど、恋する乙女心は複雑なんだと思うよ。
「よく考えてみろよ、普通に考えればわかることだぞ。大体王家側がそんな大事な発表、学園の食堂ですると思うか?そんなわけないだろ」
「えっ?そうなの?」
言われてみるとなんとなく違和感はあったけれど、王子だってイメージアップのために庶民派の王子ってことでわざわざ食堂で発表したのかもしれないじゃん?
私が納得していないと思ったのか、今度は大きくため息をついてから説明する。
「そもそも王族の婚約発表と言えば華々しく王宮でやるのがこの国では通例だぞ、婚約発表なんてものは国中にお披露目するもんだからな。もちろんほかの国からも客人を呼ぶし、婚約者には自分のカラーである赤いドレスを着せて国宝の宝石をじゃらじゃらつけさせてさ」
うーん、確かにそうかも。
「じゃあ正式な発表じゃないのかなあ?王子が勝手に言ってみただけってこと?」
「そうさ、今回は学園の食堂の場所での発表だから、貴族の連中で正式に婚約ってとらえる親たちはいないだろう。もっとも俺達学生は面白おかしく噂するけどな。家にも婚約のこと話すだろうし・・・だがおそらくそれが狙いなんだろ、それに正式な婚約発表じゃないから内容も自由に改ざんもできるしな」
「婚約の内容を改ざん?」
「ああ、どう改ざんするかはまだわからないけれど、婚約破棄のイベントのため、何か仕掛けるに違いないと思ってたけどさ」
マジか・・・
「婚約破棄する予定の卒業パーティーは王宮だからな、王宮で起こったことの方が重要とされるだろうよ」
うぬぬぬ。
「それって本当だとしたら最低なんだけど。あの王子やっぱり女の敵だわ。でもそれってイザベラ本人は知ってるの?」
さっきの様子だと本物のイザベラは王子に対しての恋心を捨ててない感じだったけど大丈夫なのかなあ?
「それについては口酸っぱく俺はちゃんと忠告はしたけどさ、大体イザベラの幼馴染とはいえ、学園に入ってからはあの王子はつねにマリーといちゃいちゃしてたし今までだって特にイザベラと甘い雰囲気になることもなかったからな」
甘い雰囲気かあ。
「もっともそれについては、イザベラの中に俺が入ってしまったせいもあるけどな」
「そうじゃん、もしかすると聡がイザベラに入ったことで、ややこしくなってるんじゃあないのかな?」
「いや、俺が入る前の幼い頃にもあの王子にこっぴどく振られたって言ってたから、一概に俺がいる事が原因じゃあないさ。それに今では実際にマリーに王妃教育もしてるって聞いてたからイザベラだって婚約者はマリーで決定したんだと思ってたさ。だがまさか食堂でこんなことになるなんて、さすがの俺も油断してたな。しかも運が悪かったな。よりによって俺の体調が悪い日なんてな」
あちゃあ、やっぱりやらかした。
「それは本当に私が悪かったよ、確かに私が無理やり食堂に来なければこんなイベント始まらなかったんだから・・・」
聡がうなずいて、
「そのことも偶然にしてはおかしいと思うから、また後で調べてみようと思う。俺だっててっきりストーリーが変わって婚約発表は王宮でマリーとするんだって思ってた。だからイザベラがあいつなりにせっかく色々諦めてたのにどうなることやら・・・でも諦めてもらわないとな」
うーん、諦めるって簡単に言うけどさ、こんなこと言ったら不謹慎だろうけど、恋する乙女心は複雑なんだと思うよ。
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