息子が悪役令嬢だった件

知花虹花

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アルの行方 その5

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 マリーちゃんのことを言われてさすがにちょっとイザベラの眉間にしわが寄ったが、

「とりあえずもどきとはいえ聖女がいるんだから一応このまま通常のエンディングの方向でうまくいくってそう思いたい気持ちも察してくれよ」

「うん、そっか」

「それに通常のエンディングは前に説明しただろ?とはいえ俺だって油断しないようにするつもりだ」

 たしかに前に説明された気がするけど・・・七人の攻略対象と聖女が協力し合って魔物を倒したら虹が出るとか何とか言ってたっけ???でも油断か・・・そりゃあ時々トラブルに巻き込まれるけど、今のところは結構平和だから気を引き締めた方がいいかも。

 油断してるというよりかは平和ボケしてるしな。

「ま、正直いって俺だって魔物の出現は100パーセントだと思うが、滅亡について本心を言えばほぼないと考えてる」

「ん?なんで?」

 魔物は100パーセント出現するんじゃ、やばいのでは???

「だっておかしなことにこの国には攻略対象のほかにも最高の人材がそろってるんだぜ、本当ならアルカナやオラクルたちだけでも国は守れるはずなんだ」

 それはなんとなくわかる。

「今はアルカナはトルマリン王国にとってはまだ犯罪者扱いだけど、いざ魔物が出てトルマリン王国が危機に面したら王宮だって存続の危機になるからどうなることか、アルカナより強い魔法使いなんてどこにもいないんだし、ある意味アルカナ達で倒せない魔物なんているなら見てみたい気もする」

 うん、確かに。

「それにレオンだって一人で倒しそうなチートをプンプン感じる。ただし万が一魔物を倒せなかったとしたら最悪の結末だからな、魔物はこの世界をわざわざ七日間かけて徹底的に滅ぼすバットエンドがあるからな」

 レオンについては本当に底が知れないので、イザベラが危険に巻き込まれる前に対処しそう。それにしても

「わざわざ滅ぼすのに七日間かけるって何それ?そんな話、私聞いたっけ???この物語って結局どんなストーリー展開なのよ???」

 つい大きな声が出る。

「ごめんって、小説版はホラー要素があること前にも話したじゃん、詳しくはホラー好きにしか話せないけど、魔物も残酷なうえに賢くてじわじわと滅ぼしていくんだよ」

「えっ、やだ、最低」

「でもそれは小説と違ってゲーム版ではオリジナルストーリーのハート王国の話を出現させようとするとゲーム上、世界が滅びきってから魔法で隠されてた幻の国が浮上するんだよ。でもそれはちゃんと兆候がわかるようになってる」

「兆候?」

「トルマリン王国が完全に滅びるちょっと前に悪役令嬢のイザベラがハート国の王子に攫われるんだけど、悪役令嬢だから誰も探さないし、いなくなったことに気が付いた人がいてもそのころには魔物退治でそれどころじゃないしね」
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