息子が悪役令嬢だった件

知花虹花

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アルの行方 その4

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「ねえ、魔法を使えるのってトルマリン王国だけなの?」

 私的には異世界ってあちこちで魔法を使えるイメージなんだけど。

「それが設定ではそのはずだったと思う・・・けど最近は違うみたいだな。サファイヤ王国を見ればわかるだろ?サファイヤ王国は早い段階からトルマリン王国の国民を受け入れてたもんだから魔法を使える人たちが増えてるし、しかも混じったことでより強力な人材が出ていたよ」

 混じるって言い方・・・何となくぞっとする言い方なんだけど気のせい???

「サファイア王国では王妃が人材こそが武器になるといい、王国が舵きっていち早く移民や才能のある人物やら子供たちの教育に力入れたからな、ま、教育と言ってもその、色々あるけどサファイア王国は番って特殊だからなあ・・・それも上手く取り入れてたのは王妃が俺達と同じ異世界人だったからもあるけどな」

「人材が武器?」

「ああ、やり手の王妃さまさ、決して自分は表に出ないで国王に名声を一身に集めて、自分は影で色々動いててびっくりするほどパワフルな人だけどさ、ブルーノ以外にも子供や孫たちだけでも何人いることやら・・・王妃はむしろ主人公格で一本書けそうなぐらいストーリーをもってるよ、何より一癖も二癖もあるサファイア王国の国王が運命の番だって言って溺愛してるし・・・」

「あれ?ドロドロとした話かと思ったら意外とロマンチックの話なの?」

「ロマンチック・・・うーん、ハードな溺愛系の話もありそうだな、ほぼ王妃を監禁のために城を作ったらしいし、いやあれはヤバい。何せ人の目を気にしないでベッタベタの甘々だったからそのある意味野生を感じるという・・・」

 イザベラが遠い目をしたけど、すぐに自分を取り戻して

「ブルーノが番にこだわるわけがようやくわかったよ、あれは本能だから防ぎようがないんだろうけどな」

 思い出したのかイザベラの顔が赤くなる。留学先でイザベラ一体何見てきたんだろう・・・野生って・・・気になるからちょっと見てみたい。

「まあサファイア王国についてはまた行く機会もあるだろうからその時いろいろ教えるよ、とりあえずはトルマリン王国を守ることに専念しなきゃな。今はまだ攻略対象達がほかの国に流出していないからさ、ちゃんと七人全員揃ってるからまだ魔物を倒す望みはあると俺は思う」

「そうかなあ?」

「そうだよ、トルマリン王国で魔物を倒さないルートもあるからな。留学生たちが国に帰って各国で魔物を倒すことになるんだけど悪役令嬢編になるからそれは絶対避けたい。そもそも悪役令嬢編のハッピーエンドはハート王国のみだし、でもそっちに話がいくと最悪なんだよ。いまはとりあえずラッキーなことにオランや親方や親父がいるからドワーフ達と何とか仕事できるのも何かの縁だし、伝説の剣を完成させるのは今回で最後のチャンスだ。きっとこれはうまくストーリーが進んでいる証拠で俺らができるトルマリン王国が破滅しないようにする切り札なんだよ」

「そんなにうまくいってるって感じはないけど・・・だって聖女がマリーちゃんなわけだし・・・」

 最悪の切り札を出してみる。マリーちゃんが聖女で攻略対象の人たちが守ろうと一致団結する姿がどうも目に浮かばない。

 特にレオンなんかイザベラ以外の女性に協力しなさそうと思うのは私だけかな???
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