息子が悪役令嬢だった件

神様のお試し その５

「本当に他にいないの？」

　もう一度ダメもとで聞いてみる。

「知ってるくせに、確かに独身の友達何人かいるけど、みんな地方に散っちゃってるじゃん。それに一番の戦友だと思ってた仲間が裏切って婚約したでしょ？」

「ごめん・・・」

　それについては私も自分の人生の展開が早すぎて報告が遅くなったけどさ。

「冗談だって、たださ、結婚式に呼んでくれてるけどわかるでしょ？この歳で結婚式に行くのもプレッシャーなんだからね、独身者には遠慮なく結婚の予定を聞いてくる空気読まない人たちと笑顔で乗り切らないといけないんだからね」

　ああ、そういえばそうだった。

　前回の友達の結婚式で、二人してやけ酒のんだっけ・・・

「今回は新郎はかなり若いから、新郎の友達も若いでしょ、新郎側の友達は結婚なんて焦ってもないだろうからかえってこちらでグイグイいったら、おばさんが何張り切ってるのって思われるに違いないよ」

「そうかなあ・・・？」

　若いけど、彼の友達もしっかりしてたし、そんな失礼なこと言わないと思うけどな。

「でもそうなの、二次会で出会いを求めるのも希望がなさそうだし、私もこれが恋愛結婚を考えるラストチャンスかなって思ってこの合コンがダメだったら結婚相談所に行こうと思ってる」

「えっ？」

　つい最近まで、結婚相談所なんかに絶対に行かないわって言ってなかったっけ？？？

「結婚相談所って本気なの？前に二人で一緒に入ろうって言ったとき、入会金が高すぎるって文句言ってなかったけ？？？」

　一緒に入会なら行こうと思ってたけれど、付き合ってくれずに、私も勇気なくて断念したよね。

「あの時はまだ若かったのよ、彼氏も一応いたし・・・でも私の気持ちわかるでしょ？」

「あっ、うん、まあ・・・」

　確かに私だってあの頃は若くて、いざとなったら結婚相談所じゃなくても出会えるって高をくくってた。

　高望みしなければ、定職についていなくても結婚相談所で紹介されたら、すぐに結婚なんかできるわとつい最近まで心のよりどころにしていた時期があった。

　だが、最近では結婚相談所にも年齢の壁がのしかかり、仮に今の私が入ったとしても到底、結婚できないかもって反省してたところだ。

　そういえば、母にも一回ぐらい結婚相談所に言ったら？って言われたことがあったな。

　親戚の年下の子たちが結婚して孫自慢がはじまっていく中、よく考えたら子供の結婚って親も追いつめられるんだよな・・・

　今更ながら、彼に会うまでは結婚できるかの瀬戸際にいたんだなと改めて思った。