息子が悪役令嬢だった件

週末デート いちゃいちゃ成分 かなり多め ３１

　
　それにしてもリンってば王妃を見たことがないのに、どうして美しいってわかるのかな？

　まあ、エルフってイメージだけで私は美しいと思っちゃうけど、気になったので思わず聞いてみる。

「何で王妃様が美しいってわかるの？」

　そう聞きつつも、そういえばエルフの留学生も綺麗な顔してたっけ・・・と思う。　

「ああ、そうだな、確かに俺は見たことがないけど、先生が見たことがあるって言ってた。この世のものとは思えないほどの絶世の美女だったってさ」

　絶世の美女・・・それはぜひ見てみたい。

「先生はああいう性格だけど、こういうことに関しては本当のことしか言わない。でも体が弱いって言って王妃はめったに公共の場に出ないらしいから、先生も王妃を見たのは一度くらいだって言ってたよ。後妻に入ったときにお披露目があったらしい」

「へえ、そうなんだ」

「だから今、見るのは奇跡に近いんじゃないかな」

　リンが口ではくそ教師と言ったりしてたけど、意外と先生のこと信頼しているんだなって思うのと同時に、そんなに美しいのに姿を見せないって、トルマリン王国は王妃も国王もなんだか存在感が感じられないんたけど。

　それって、なんだかおかしくない？

「いくら国王が騎士団長と仲たがいしてたとしても、王妃様が体が弱いのにもかかわらず、わざわざ騎士団に魔物退治を指図したりするものなのかなあ？」

　リンは、考え込むように答える。

「おそらく魔物退治は騎士団を王宮から追い出す口実で、国王じきじきの命令って思われたくなかったんじゃないかな？一応騎士団長とは親友だったんだし・・・それに政治的に今まで優遇していた騎士団のかわりに、今度は今王宮にいる貴族達を優遇させるためだろうと思う。王宮は警備を厳重にしなくても、王宮にも少しは魔力の持った貴族や精霊使いもいるしな」

　リンは一息ついたけど、そのまま話を続ける。　

「それに他国に対してはすでにトルマリン王国は魔法で守られてるって有名だから、今までと同様に他国が攻めてくることもめったにないだろうからな」

　他国か・・・私、今のところサファイヤ王国ぐらいしか思い当たらないけどサファイヤ王国とは仲がいいイメージしかないんだけどな。　

「本来ならばトルマリン王国の国王だって魔力が高く、魔法にたけてるはずだから一応、国を守ってるだろうし、王妃の方も、噂とはいえ国王と仲がいいってことだから、相談はしてると思うぞ」

「そうだよね・・・」

　国王と王妃の仲がいいのなら問題ないのかな？と思ったけれど、そもそも騎士団長とも噂だったんでしょ？だから全部噂話ってところが、どうしても引っかかるんだよね。