息子が悪役令嬢だった件

知花虹花

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懐かしの我が家? 6

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 懐かしい両親がどうしても見たくて、慌ててリビングに戻ると、

「えっ?」

 思わず声を出したが、誰にも聞こえないようだ。

 だって・・・私がいる。

 こうして他人の目線で見ると、思ったより自分がかわいくて、びっくりする。

 今まで自分で自分の事を可愛いと思ったことがなかったが、客観的にみるとちょっとしたアイドル並みに、かなり可愛い分類だったんだなって思ってしまった。

 私ってこんなに可愛かったっけ???

 記憶の中の自分と比べてみたけれど、いまいち思い出せない。

 おかしいな、こんなに可愛いのに、何で自分が可愛いと思ってなかったんだろう?

 今見ている私は、ほとんど化粧をしていないのに、肌がつやつやしていて、しかも年上感が全くない。

 おまけにくびれもちゃんとあって、もの凄く瘦せていた。

 そういえば、ホラー映画とかで自分のドッペルゲンガーに会っちゃダメとか、自分が同じ空間に存在しちゃダメとか言わなかったっけ?と思ったけれど、幽霊である今の状態もホラーみたいなもんだったっけ?と思い返す。

 それにしても、こうして客観的に自分をみると自分だと思う人物が赤の他人に見えてしまう。

 今は幽霊の状態だけど、私はいつの間にかエリザベスとして生きていることがしっくりしている?のかな。

 それに、私の隣には若い時のパパもいた。

 パパも若いな、若すぎるからかスーツを着ているのに、なぜか制服を着た学生のように見える。

 けど、なかなかカッコイイな。

 彼は両手に大きな紙袋を持っているけれど、おそらく両方ともお土産の菓子折りだ。

 二つも持っているのはなぜかというと、一つは私が用意したからだ。

 こちらから親に挨拶の強要をしたので、あれほど手土産はこっちで用意するって言ってたのに、なぜか自分でも手土産持ってきたんだよね。

 あれ?ということは・・・この日って私の親に挨拶した日じゃん。

 思わず動揺して、懐かしい両親のことに浸っている場合じゃなくなってしまった。

 この挨拶の日、彼には普段着でいいからって言ってたのに、ちゃんと挨拶したいからと言って、なぜかスーツを着てきたんだよね。

 両親に会わせた時、両親には結婚のことを期待させないようちゃんと説明していたにもかかわらず、彼の見た目があまりにも若かったので最初はあからさまにがっかりしていた。

 事前に結婚は絶対にない、ただ付き合っているという挨拶だけだと念を押してたが、母親としてはさすがにこの年齢の娘と付き合うってことは、結婚前提なしに挨拶に来るなんて、普通ないはずだと思ったのか、少し期待していたみたいだった。
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