息子が悪役令嬢だった件

帰ってこない悪役令嬢 2４

「エリザベス嬢、トルマリン王国の王子がどんなにポンコツでもこの国は侵略されないし、戦いの場所にもにならないことをご存じですか？」

　はあ、この国の王子のことをそんな風に言っていいのかなと思いつつも、思い当たることはたった一つだと思う。

　でも、それを私が答えてどうするのよ。

「サファイア王国はうまいこと自国に沢山の魔法使いを産み出すことに成功しましたよね」

　私の答えを待たないでそっちから答えを言いましたね、でも　言い方が嫌だな。

　産み出すって・・・

「サファイア王国はここ数十年で国内外問わず恋愛結婚を認めました。番制度の国がおかしなこと、いや、面白いことをするなって思ってました」

　前にサファイア王国は自由を尊重する国って聞いてたから、魔法使いを自国に産み出そうだなんて計画していたわけじゃなく、たまたまだと思うんだけどな。

　でも、相槌はしとこう。

「はあ、そうですか」

「実は我が国エメラルド王国において、あのころだと考えられないことです、元々エルフは滅多にほかの種族を受け入れないので・・・だが、本来は、サファイア王国も獣人同士、エメラルド王国もエルフ同士が主流でした」

「そういえば、そして、トルマリン王国も魔法使い同士でしたね、魔法使いは貴重でしたから・・・しかも管理していましたよね」

「えっ？管理？全然知りませんでした」

　本当に知らなかったので、おもわず、本音で答えちゃった。　

　エルフの留学生の表情が少し曇る。

　トルマリン王国は確かに魔法使いがいるけど、国の中は実際のところ、ほとんどは魔法ができない普通の人達って言ってたし、獣人の番は本能で選ぶって聞いていたけど、ここ最近だと血が薄まって、純粋な獣人がいない代わりにトルマリン王国の人だけじゃなくいろんな国のハーフが多くなっているってイザベラから聞いたことがあった。

　でも、エルフの留学生もハーフだ。

　しかも、私たちと同じ人間らしい。

　エルフの国だと珍しいのかな？でも、

「なぜ、そんな話を私にするんですか？」

　こんな話を私にする意味ってあるのかなあ？？？と思ったら、

「実は、あなたの周りの人間たちは優秀なので卒業したら是非とも我が国、エメラルド王国に来て欲しいと思います」

「はあ、それって留学生としてですか？」

「いえ、違います」

　やっぱりね。でも、まさか・・・

「お断りします」

　そりゃ断るわ。

　エルフの留学生は意外そうな顔をしたが、こんなデリカシーない話にのる人っているの？？？

「お相手なら、全力であなたに見合う者を紹介しますよ、エルフは長生きですし、お金持ちも多いです」

　いや、そんなことは一切聞いてません、もうこれを言うしかないか。