息子が悪役令嬢だった件

帰ってこない悪役令嬢 ７

 　カモミールティーは、私の好きなお茶の上位にはいる。

　学園内でハーブを育てているらしく、ハーブ系のお茶の購入は、学園印で売っているので困らないし、思ったより安く手に入るのだ。

　それに帰ってきてシリアスな話をしたせいか、なんだか疲れてもいるから、ハチミツとミルクも入れてもらった。

　お茶菓子の方は、ハーブティーを甘くしたので、ハーブとチーズの効いた、甘くないサクサクのクッキーにした。

　これは亮のお店に依頼したクッキーで、ものすごくおいしいのだ。
　
　はじめは甘くないクッキーということで、大反対されたレシピだったのだが、とてもおいしいので今では亮のお店の裏メニューで知る人ぞ知るおやつになっている。

　本当はお煎餅などのしょっぱいおやつを開発したいのだけれど、この国ではおやつは甘いものと設定されているのか可愛くて甘いおやつが多く、しょっぱいおやつを求めると奇妙な目で見られてしまうから、今のところはこのクッキーで我慢している。

　はじめにアリスに学生課に説教食らったことを説明すると、どういう手を使ったかはわからないが、

「ちょっと、学生課に行って来ますね」

　と出って言ったかと思うとほんの数分後にアリスが帰ってきて、学生課から百枚の反省文を十枚になったと言われた。

「まあ、とっても反省していますって、繰り返し書けば大丈夫ですよ」

　軽い調子で言って励ましてくれたけど、一応魔法でできた紙だから本人が書かないとばれてペナルティが増えるので残念ながらお手伝いできませんと言われ、百枚から十枚ならましよねと思い、反省文を書きながらアリスの惚気を延々と聞くということになってしまった。

　アリスによると、帰りの馬車で今日こそ覚悟を見せようと思って、リンの服を全部脱がしたらしい。

「えっ？リンの服・・・？」

　なぜリンの服が先？

「服、脱がないとできないでしょ？」

「う・・・うん」

　まあ、全部脱がなくてもできないことはないけど、それはアリスもなんだけど・・・

「それからリンを押さえつけて、キスして、リンの大事な部分を咥えたら、返り討ちにあって・・・」

　えっ？なんて言いました？

「なんでいきなり咥えるの？？？」

　びっくりして声がでかくなっちゃった。

「やったことはなかったけれど、騎士団にいたとき、それが男には気持ちいいって聞いたから…えっ？駄目だったの？？？」

　駄目というかなんというか・・・

「いきなりはちょっと・・・それに、処女がいきなり・・・咥えるのもどうかと・・・」

　つい、ごにょってしまう。

　それにしても、リンが教えるんじゃないの？？？