息子が悪役令嬢だった件

週末デート いちゃいちゃ成分 かなり多め ２２

「何の話かは、明日、じっくり聞くことにする。とりあえずは、預言の件は片付けておいたから」

　リンは、今まであまり私に見せたことがない、ものすごく不機嫌な顔をしてたけれど、夜も遅いので、とりあえず、その日は許してもらえた。

　アリスは、久々に怒らせちゃったなと独り言のように呟いたけれど。

　それにしても、あの、ラブラブぶりで、アリスが生娘だったなんて、衝撃的なアリスの告白で、ついうっかり、リンに余計なことを言ってしまったので、明日にリンにはちゃんと謝ろうと思ってた反面、アリスには、早いところ色々と教えた方がいいのかなと思った。

　この世界の性教育がどうなっているのか、さっぱりわからないけれど、やっぱり、ちゃんとした知識は持っておいた方がいいような気がする。

　余計なお世話と言われようが、こういうところが、お節介おばちゃんなのかな。

　でも、次の日、リンもアリスも、いなかった。

　食堂で、先生とアルに挟まれた席で、私は用意された朝食をモソモソと食べる。

　先生が魔法で出したのか、アリスが作ってくれたのか、わからなかったけれど、かなりおいしい食パンだと思う。

　それに加えて、別のお皿にオムレツや、ベーコン、ソーセージもあって、なんだか朝のホテルの食事みたい。

　朝食はとっても美味しんだけど、この空気を読まなそうな二人がそろうと、なにが飛び出すかわからない怖さがあるなあ。

　それに、かなり広い家のはずが、キッチンまでガラクタに占領されている今、さっさと食べて、終わらせないと、また、ここに泊まらないといけないし、これ以上、アルの不機嫌な顔を見るのも、忍びない。

「とっとと終わらせますか・・・」

　気合いを入れて言ったつもりだけど、気合が入らない。

　なぜなら、昨日より、ガラクタがまた増えたからだと思う。

　それにしても、アルカナって、こんなに大量に、何の為に悪意の種なんて蒔いたんだろう？

　ぼんやり思っていると、手に取ったガラクタが全部消えた。

「何事？」

　びっくりしていたら、先生が

「やられた」

　と言って飛び出していった。

　何が何だかわからないけれど、とりあえずはガラクタから解放されたらしい。