息子が悪役令嬢だった件

週末デート いちゃいちゃ成分 かなり多め １５

　預言の方が、ちゃんと答えを知ることができそうだけれど、逃れられない運命を知ってしまうのは怖すぎるし、と心の中で悶々と考えていると、

「そういえば、先生、まだケーキもお茶も出てませんよ」

　アリスが私の様子を見て、話題を変えてくれた。

　先生は笑って、

「久しぶりの占いに夢中になってしまったけど、占いは楽しいな」

　えっ？あれで？

「前回は、石でアリスを占って見たけど、結構、当たってただろ？」

　石で占い？パワーストーンとかじゃないのかな？

　アリスが、

「確かに当たってましたけど・・・」

「アリスは石占いだったんだ、石占いって珍しくない？」

「うん、例によって街で、綺麗な文字が書かれた石を見つけたからって、占いたいって言われて、先生の占い遊びに付き合っただけだったのに、見事に当てられちゃった」

　へえ、文字が書かれた石なんだ。

　それにしても、アリスって何を占ってもらったのかな？聞こうとした途端、先生が、

「そうだ、ご馳走出すんだんたんだっけ・・・」

　先生が手をちょっと振ると、テーブルにいきなりご馳走が並ぶ。

　同時に、ぼろい小屋に見えていた部屋が、立派な貴族の家になった。

　物凄く長いテーブルにもかかわらず、そのテーブルに負けないぐらいのご馳走がところ狭しと並ぶ。

　でも、お昼食べて間もないから、まだお腹いっぱいなんだけどな・・・すると、

「先生、ご飯じゃないです。お茶です、ケーキです、私、甘いもの食べたいんです」

　アリスがそういうと、テーブルからご馳走が消え、お茶セットが並ぶ。

　すると、今度は、可愛い丸型のテーブルに変化して、アフタヌーンセットが出てきた。

　ぱっと、食べ物を出せる魔法なんて羨ましい、でもこれって誰が作ったものなのかしら？

　アリスにこそっと、

「これって食べていいの？」

　と聞くと、

「うん、移動させただけだから」

　アリスが答える。

「えっ？どっから？」

「魔法協会の厨房からだから、味は確かだよ」

　ちょっとほっとした。

　出所が、怪しいところかと思って身構えちゃったよ。

「そういえば、アリスは時々、顔を見せてくれるけれど、あとの二人は全く来ないな？」

　先生は残念そうな口調で言うけれど、アリスが、

「そりゃそうでしょ、先生ったらあの二人が来ると、無理難題をいって困らせるし、あの二人、先生のフォローで何回死にそうになってるか・・・」

　死にそうになる無理難題ってなんだろう？

「ああ、とりあえずアリスには、この預言を渡しておくよ。リンとレオンとよく相談するように」

　アリスは先生に渡された紙を見て青ざめたが、すぐにいつものアリスに戻って、

「さあ、お茶とケーキご馳走になろう」

　笑顔で言った。