息子が悪役令嬢だった件

知花虹花

文字の大きさ
上 下
133 / 295

王子の秘密 不毛な恋の行方 6

しおりを挟む
 私はおそるおそる聞いてみる。

「ねえ、それって多分だけど、本物のイザベラって女の子にありがちな乙女のフィルターが働いてるんじゃない?好きな人に対しては、どんなに嫌なところがあっても、多少目をつぶってしまうときあるよね。要するに、どんなダメ男でも、恋をしているときはダメ男ってことがわからなくて、周りの人の意見も聞かない状態になるって」

「うーん、俺もそう思うんだけど・・・違うって言い張る」

 こりゃ重症だ。

「乙女フィルターかどうかは分からないけれど、イザベラの記憶の中の王子は、幼いながらも攻略対象らしい王道の王子の輝きを持った顔しているんだよな」

 イザベラが首をかしげながら言う。

 ふーん、それは参考のためちょっと見てみたいけど・・・

「俺は思いっきりエフェクトがかかりすぎているって思ってるな」

「そうなんだ・・・ってイザベラはカッコイイ王子が見えるの?」

「本物のイザベラに、映像見せられて、王子がどんなに素晴らしい人間か、ずっと説明されて、惚気られた」

 同一人物なのに、そんなこともできるんだ・・・

 「まあ、どんなに王子がいい奴と本物のイザベラが思ってても、俺とイザベラは全く別人格だから、俺がポンコツ王子に惚れることはまずないけどな」

 それなら少しは安心か、そういえば、

「イザベラの中に本物のイザベラがいるって他に誰か知ってるの?」

「ああ、特に秘密にしてないけど、聞かれないから言わないだけで、やみには言ったことがあるけど、でも、やみは信じてくれなかったな」

「そうなの?」

「気のせいだって言われたな」

 ええっ、意外・・・やみちゃん、イザベラと一心同体だと思ってたから、やみちゃんが否定してるとなるとなんだかなあ。

 一気に怪しくなったので、

「やみちゃんが、そういうなんて・・・何度も言うようだけど、本当に気のせいじゃないんだよね?」

 疑いのまなざしを再び向けると、イザベラはため息をつきながら、

「でも、よく考えてみろよ、そもそも、貴族の細かいマナーも知らなくて、ダンスなんてもってのほかの俺がここまでぼろを出さずにいられたのが証拠じゃん、それに、運動神経ゼロなのの知ってるだろ」

 確かに、それについては筋金入りだったから、認めざるを得ないけど、でもやみちゃんがね・・・

「俺の苦手分野を全部イザベラが代わってくれたから、協力体制はばっちりだったな、今でも・・・」

 だから、夢見るような、とろけるような顔するのは勘弁して。

 イザベラ自身が恋をしている事を絶対自覚してないことは分かったけど・・・どうしたらいいのかな?

 いや、これはもうどうしようもないな。

 私は思いっきり頭を抱えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...