息子が悪役令嬢だった件

新しいフラグ １２

「それに、この二人は、魔物討伐の最前線の第一騎士団に所属している」

　へえ、そこって、本物のアルがいたところだよね。

　「一番花形だけど、一番ハードなところだ」

　そうだった。

　アルがとってもじゃないけど、騎士団にいれないから、記憶喪失扱いで引退したんだった。

「とりあえず、レオンが卒業するまで、俺達の侍女と、騎士団と兼務してくれることになってる。レオンも卒業したら、また一緒に騎士団に戻る予定だそうだ。あと、因みにこの二人、恋人同士だからな」

　ああ、そうですかって、いえないよ。

　だって、色々と、ツッコミどころ満載だもん。

　リンさんが、

「本当に、イザベラは、勘がいいんだよな。俺達が二人だって、よく気が付いたと思う」

　と呟いて、慌てて私を見て、

「エリザベスが鈍感なわけじゃないからな」

「・・・」

　鈍感と言われれば、否定はできないので黙っておこう。

　アリスさんが、

「まあ、魔力のないエリザベスには、もともと無理だし、相当魔力を持ってても、リンは、黒魔術に関しては、この世界でトップだからな、普通見抜けないわよ」

　そうなんだ・・・よかった。

「あっ、でも着替えとかなら、一応、アリスが担当しているから、大丈夫だよ」

　りんさん・・・もう、何が大丈夫かわからないけれど、今更、そんなことどうでもいいよ。

　イザベラも、

「はあ、そうなんだ・・・」

　何とも気の抜けた返事だなあ。

　でも、私だって、びっくりし過ぎて、どうしていいやら、わからないけれど、

「そもそも、冷静に考えてみたら、一人でこなせる仕事量じゃなかったよね」

　イザベラも、肩をすくめて、

「確かにな」　

「あのう、騎士団と兼務って、ハードすぎません？」

　うん、うん、と、リンさんとアリスさんが頷いてるけどさ、レオンは涼しい顔してる。

「それに、仕事仲間って？恋人同士って・・・」

　アリスさんて、見た目、本当に、華奢だし、とてもじゃないけど、魔物を倒しているようには見えない。

　同じくリンさんも、穏やかそうで、読書が似合いそうなアウトドアより、インドア派っぽいんだけどなあ。

　恋人同士はわかる。

　二人の雰囲気が柔らかい空気が流れてて、お似合いだと思う。

　でもさ、はっきり言って、・・・情報過多過ぎる・・・よ。

「それにしても、なぜ、魔法が解けたんだ？」

　レオンが、リンさんに向かって心配そうに言う。

　いつも冷静なレオンが、本気で心配しているようだ。

　リンが肩をすくめた。

　すると、アリスさんが、笑いながら

「レオン、リンの魔法は完璧よ、でも、私には通じないわ」

「そうなのか？」

　レオンは信じられない顔をしている。