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小説の世界 再び 匠 その4
しおりを挟む俺としては、ほぼ既成事実を作ったので、今日にでも、今すぐにでも、結婚していいのだけれど、さすがにラブホテルでプロポーズはまずいよなと思いとどまる。
そういえば、婚約指輪の宝石はダイヤモンドでいいんだよ・・・な。
さり気なく、確認しておくか。
チエックアウトまで、まだ時間があったので、少しだけ、いちゃいちゃする。
彼女の胸元にあるピンクトルマリンのネックレスを触りながら、他に、好きな宝石があるかどうか聞いてみる。
すると、彼女の目がきらきらした。
「ええっと、ペイナイト、ベニトアイト、ポートレッタイト、エレーメージェバイト」
えっ・・・絶句。
「なんだって・・・それって買える?」
「えっ買うの?ごめん、希少すぎて無理だと思う。」
それに、アクセサリーのプレゼントはこれで充分だから、と言われる。
婚約指輪なんだけどな・・・と思いつつも、驚かせたいから、言わなかった。
やっぱり一筋縄ではいかないか。
でも、あきらめるわけにはいかない。
他にはないか、聞いてみると、インペリアルトパーズ、アレキサンドライト、インカローズ、ウオーターメロントルマリン、インディゴライト、パライバトルマリンとまた呪文のように言われた。
俺、覚えられる・・・かな。
ラブホテルを出ると、朝日が眩しかった。
朝食を食べて帰ることにして、近くのカフェに入って、モーニングを食べながら、今度行くデートコースを二人で選んだ。
このカフェは当たりで、コーヒーも、モーニングについているパンも、スクランブルエッグも、サラダも全部美味しかった。
美味しいから、また来たいと彼女は呟いて、今度はすぐに赤くなる。
美味しいカフェだけど、ラブホテル街なんだよなと改めて思ったが・・・
「もちろん、いいよ」
と返事をした。
今日は朝だし、明るいから駅でいいと言われて、彼女と分かれた。
さてと、俺は、覚えているだけの宝石の名前を急いで検索する。
トルマリンを確か二つは言ってたな・・・と思い、検索すると、インディゴライトもトルマリンだったことに気づいた。
へえ、やっぱり、トルマリンが好きなんだな。
ウオーターメロントルマリンも見つかる。
可愛いスイカ色の石なんだな。
確かに、キャンディーみたいに可愛くて、彼女が、好きそうだが、婚約指輪にはちょっと向かなそうだな。
インディゴライトはブルートルマリンだった。
藍色の深い色は、俺も、好きだ。
百貨店が開店したので、下見のつもりで宝石コーナーに行ってしまった。
そこで、俺は、パライバトルマリンに出会ってしまった。
エレトリックブルーという色らしい。
歴史は浅いらしいが、希少性の高い宝石だった。買えない値段じゃ・・・ないな。
うん、買える。
うん、買おう。
買ってしまった。
俺は、まだ、プロポーズもしてないのに・・・な。
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