息子が悪役令嬢だった件

知花虹花

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大切な記憶 1

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 ちょっと、寝ただけだと思ったけど、結構、寝てたみたい。

 目が覚めるとアルが、ベッドの端にいた。

 随分、端っこに座っているなあと思ったけど、そういえば、ここ座るところ、ベットしかないんだった。

 どうやら、ナイトドレス姿の私が寒そうに見えたのか、お布団にすっぽりと、いれてくれてた。

 でも、一応、この部屋、レオンが魔法で温度管理してるのか、寒くも暑くもないんだけど。

「起きたのか」

 と声をかけられた。

「うん」

 と答え、アルに近づくと、

「本当に悪かった」

 といきなり、土下座をされる。

「えっと・・・」

 そうだった、記憶が戻ったことを言わないと・・・と思ったが、

「監禁するつもりじゃなかったけれど、つい嫉妬してしまって、でも絶対に手は出さないから安心してくれ。そもそも合意が無いのは犯罪だから・・・」

 いや、まあ、それはそうだけど・・・

「この部屋の家具は俺が全部作った。お前の部屋の家具と一緒に。」

「そうなんだってね。私の部屋、とっても可愛い理想の家具だったよ」

 それに、この部屋って、あの時の部屋だよねと言おうと思ったんだけど、ちょっと、その記憶を思い出して、照れてしまった。

 あの記憶を取り戻す薬って、本当に忘れてた細部のことまで鮮明に思い出すんだもん。

「そうか、あの家具のデザイン担当は、聡だったからだな。」

 どおりで、さすが聡、私の好みが、わかっている。

「俺は、お前が記憶喪失になったって聞いた時、ちょっと、いや、大分取り乱してな、仕方ないだろ、やっとお前に会えて、またプロポーズして、後はお前が嫁に来るのを楽しみに待ってた矢先に・・・それで、とち狂いそうになったんだけど、レオンから、お前の記憶喪失の原因を聞いたら、何とか気持ちを持ち直したんだ」

 一息ついて、

「それに」

 と、ニヤッと笑って、

「お前、子供たちのことは忘れてなかったんだろう。」

 そうなんだよね・・・

「おっかしいなあ、子供達のことも、すごく大切に思っているんだけどな・・・」

「でも、子供達より俺が一番大切だって、証明されたから本当は嬉しかったんだ。でも大切に思っている記憶だけなくすって言ってたけど、まさか、俺に関すること、すべての記憶だったから、もし、このまま記憶が戻らなかったら、レオンが、仕方がないから、もう一回、ものにすればいいだけだっていってくれて、俺達の思い出の、この部屋を作ったんだ」

「うん」

「レオンから、三日三晩、閉じ込めておける魔法の部屋にするから、もし記憶が取り戻せなかったら、この部屋で、全力で口説けって、レオンがいってくれて。」

「・・・」

 本当に、お前等の発想が恐ろしいわ。

 でも、本当はとても・・・うれしい。
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