息子が悪役令嬢だった件

溺愛される理由 ４

「番探しって、なにそれ、ブルーノはご飯を食べに来てただけだよ。」

「本当にのんびりしてるな」

「獣人は、本能で番を決めるから厄介なんだよ」

「番って嫁ってことでしょ」

「わかっているじゃん、まさかアルフォンスじゃなくて、あの獣人が本命だったとか」

　確かにイケメンだもんね、ブルーノは。

　透明すぎるあの、ブルーの瞳で見つめられると、ものすごく、どきどきしたけどさ。

「でも、色っぽい感情と言うよりは、やみちゃんが猫ならブルーノはワンコに懐かれた的だったんだけど。」

「失礼だな、ベルってば。」

「それに、ブルーノが私をなんで、番にしないといけないのよ、確かブルーノって国賓だったよね、護衛がうじゃうじゃいたし、身分違いも甚だしいよ」

「バカだな、ベルは」

　やみちゃんは、大袈裟にため息をついて、

「サファイヤ王国には、身分制度がないよ」

「へえ、そうなの、もしかして珍しいんじゃない?」

「あそこの国王は、人間と結婚しているしな」

「ああ、だからブルーノは容姿が人間ぽいんだね。」

「街にいくと、耳やしっぽのある、いかにも獣人ですって人、沢山いたもんね。」

「番を探す為ならって、各国に出向いて来るからな。それで住み着くやつもいるからな。」

　結構自由じゃん。

「噂では、サファイア国の国王が、どこから来たのか、わからない人間を番にしたと一時、大騒ぎになったけど、今じゃ、その国王は賢王って呼ばれているしさ」

「へえ」

「おまけにサファイア王国の王女は子沢山で、アイツは９番目の王位継承者らしいぞ、玉の輿だな」

「ふーん」

「のんきだな、奴に噛まれても知らないぞ」

「えっ、噛むの?」

「なんでも、噛んで番の契約になるらしいけど、詳しくは俺にもわからない」

「それに、獣人はとんでもなく一途だし、だからある意味幸せになるかも知れないけど、縄張り意識も高いから、捕まったら、最後、監禁されるかもな。」

　監禁なんて、マジで勘弁。

「奴だったらきっと、王位継承者だから、国に連れていかれて監禁され、死んでも、どこにも行けないようにされるぞ」

「ええっ、そんなことないと思うけど、それは嫌だよ。どうしよう」

「サファイヤ王国には、実際に人間の王妃をみたものは数少ないらしいし、ね」

「まさかと思うけど、国王に美味しく、喰われたんじゃないよね」

「ナイナイ、違う意味では、きっと、すぐに喰われてると思うけどな。その王妃は、毎年、子供生んでるし、ベルも
噛まれたら、諦めるんだな。」

　本当にそれ、こわいから。