息子が悪役令嬢だった件

知花虹花

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失われた記憶 その6

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 えっと・・・困ったな。

 号泣しているオジさんをどうしたらいい?

 周りにいた侍女や、執事が必死に慰めているけど大丈夫・・・なのかな?

 レオンの屋敷に着くと、レオンのお屋敷の従業員一同が、私を出迎えてくれた。

 レオンの家って本当にお屋敷だったんだなと思いつつ、それはそうと、これからしばらくはお世話になるので、ちゃんと挨拶をしないとなと思って、

「初めまして、この度はお世話になります。ベルです。よろしくお願いいたします。」

 とちゃんと挨拶したつもりが、挨拶終えると、レオンの父親はいきなり号泣し出した。

 この人、私に会う度に号泣してない?

 はっきりいってドン引きだ。

 余計なお世話だけど、これじゃあ、イケメンでも、モテないのでは・・・と

 号泣によって、せっかくのイケメンが台無し・・・だもん。

 妻役って、もしかして、女の人に慣れるための練習なのかな、でも、この人、奥様いたんだよね、思いつつ、他の皆様にも挨拶する。

 すると、他の皆さんも、なにか言いたげだったけれど、すぐに一人の侍女が、

「奥様、こちらです」

 と言って案内されたのが、レオンが言ってた、私専用の特別な部屋だった。

 素敵・・・としか言いようがなかった。

 落ち着いた、ラベンダー色を基調とした、おしゃれな家具が揃えられていた。

 家具には花の模様が彫られている。

 カーテンもラベンダ色で、家具と同じく薔薇のようなお花の模様でお姫様気分に浸れる。

 衣装ダンスの中には、私好みの着やすそうなワンピースが揃っていた。

 この部屋の中だけで着る部屋着らしい。

 お屋敷では一応、貴族としてちゃんとドレスを着るらしく、ドレスは別の衣装部屋に管理していると言われた。

 ベットと、お風呂は猫足で、お金持ちの家って感じになっていて、金細工が施されている。

 トイレもこれでもかってくらい、豪華だった。

 食器棚には可愛らしいお茶セットが置いてある。

 食器もラベンダー色に統一されていてカーテンと同じ柄だった。

 本棚には、ご丁寧に一冊ずつ本があり、可愛らしいカバーが色別にかけてあって、それらがずらりと並んでいた。

 まあ、暇潰しぐらいにはなるかな。

 と思いつつ、端っこから、何気なく取った一冊読んでみると・・・

「おいおい、レオン・・・これ、官能小説だよ!」

 誰も居ないのに、思わずつっこんでしまった。

 最初はパラパラめくっただけだったけど、読んでいくうちに、
うーん、結構、これ過激だなあと思いつつ、つい、半分以上は読んじゃったじゃないか・・・

 でも、この小説・・・めっちゃ続きが気になる。

 すると、部屋をノックされたので、慌てて本をもとに戻す。

 なんか、エロ本を慌てて隠す、思春期の息子みたいだな。

「夕食の時間です」

 もう、そんな時間なんだ、本を夢中に読んでたせいか、時間がたつのを忘れてた。 

 荷物整理、結局できなかったな。

 それに、レオンの父親と一緒に食べるのかと思うと少し緊張する。

 気まずいので、ご飯パスして、この小説読んでたいな、なんて思ってしまった。

 でも、

「着替えましょうね、奥様」

 といわれ、おとなしく、ついていく。

 お世話になる身なんだから、仕方ない。

 衣装部屋に行くと、ところ狭しとドレスが並べられていた。

 ドレスと一緒に合わせるアクセサリーも並んでいる。

 ドレスも宝石も殆どが水色だった。

「綺麗な色のドレスですね」

 と言うと侍女が嬉しそうに言う。

「そうなんですよ、この水色ですが、全部、微妙に違うんですよ、奥様に似合うように特注で作られてますしね。」

 そうなんだ、なんだか悪いな、前の奥様が水色が好きだったんだなあ。

 そんな思いいれのあるドレス、私が着てもいいのかな?と思い、とりあえず聞いてみる。

「私が着てもいいのかな?」

「もちろんです。どれにいたしますか?」

 と聞かれたが、正直なところ、違いがわからなかったので、お任せしますと言うしかなかった。
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