息子が悪役令嬢だった件

知花虹花

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現実世界 その10

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 久しぶりに居酒屋デートになった。

 最近のデートは、お弁当を持って公園や神社巡りが多くなっていた。

 でも、そのかわり、お洒落なカフェでお茶飲んだり、デザート食べたりしたので、結局その度に奢ってくれた。

 匠はチーズケーキが好きだと言う。

 私はチーズケーキだとガツンと食べ応えのあるベイクドチーズケーキが好きなのだけど。

 昔、太ってたから分かるけれど、チーズケーキっておそらくカロリーは高いと思う。

 匠はレアチーズケーキやスフレチーズケーキなど、チーズケーキってたくさん種類があることに驚いてた。

 ケーキは大好きだけど、太るのはトラウマに引っ掛かるので、

「太るの気にしてるから」

 正直にいってみた。

「気にしなくてもいいのに」

 と言ってくれたけど、

 それからはケーキやデザートは半分こを提案してくれた。

そんな訳で、久しぶりの居酒屋デートに、たまには私に奢らせてと必死に頼んだ。

 トルマリンのネックレスも、実はブランドのかなり高いものと判明したからもあるけれど、負担をかけたくない気持ちが大きい。

「じゃあ、今日は御馳走になろうかな」

 やっと折れてくれた。

 いつもとは違う居酒屋にして、ちょっとお高めで大人の雰囲気の場所にした。

 前からこのお店、気になってたんだよね・・・かなりロマンチックでカップル向きの個室もある。

 カップルじゃないと入れないなっていつも思ってたから嬉しくなって、

「何でも頼んでいいからね」

 って言ってみたけどメニューを見ると、おおっと、結構お高い。

 慌てて、

「よくあるメニューの端から端へなんて注文・・・はちょっと無理かな。」

 笑われた。

「でも、少しの贅沢なら今月は頑張ってシフト入れて稼いだから大丈夫」

 ちょっとお高めなマグロの盛り合わせや、シーザーサラダ、肉は牛タンや砂肝、うにや白子も頼んじゃった。

「初めて食べます」

 ウニを珍しそうに見ながら食べる。

「美味しい」

 って言われると、嬉しくなってしまう。

 聞き覚えのある声が、

「でも、パパは雲丹、今では好物だよね」

 パパって、私は父親のことは、お父さんと呼んでるんだけど。

 匠はあまり贅沢をしてないみたい。

 兄弟が多かったせいで、あまり両親にかまわれなかったって言ってた。

 私は一人っ子のせいか、両親が甘やかしてたので結構なグルメ舌だ。

 ちなみに今のバイト先も飲食店だ。

 賄いが美味しくて決めたのだけど、今は太らないようにセーブしている。

 だってこのところ、デートには勝負下着をつけている。

 腹筋だって100回づつ毎晩やっている。

 今日は思いきって赤色の総レースの下着にしてるんだけど攻めすぎてるかな。

 慣れてると思われても困るな。

 慣れてなくても困るよねって・・・

 慣れるもなにも、片寄った知識しかない立派な処女だけど、やっぱり漫画の中みたいに王道の白なのかな、と今だに正解がわからない。

 実家なので恥ずかしくて、あまりにも奇抜なのは洗濯できないのでTバックなんて買えなかった。

 一か八か本人に聞いてみる・・・なんて

 無理・・・だよね。

 もうすっかり大人のキスは慣れたんだけど、その先にはなかなかいけてない。

 今日も思いきって、遅くなってもいいように、友達のところに泊まるかもと言ってきた。

 空振りが続いているけどね。

 明日は二人とも仕事休みだし、素面は無理だから酔って誘ってみようかな・・・
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