息子が悪役令嬢だった件

知花虹花

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現実世界 その9

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 私の顔が一気に赤くなったのを見て、匠は冗談だよって笑った。

 焦った。

 冗談なんだ。

 何で、私ったらすぐに顔に出るんだろう。

 バトミントンをしたせいもあるけど、すごい汗がでる。

 恥ずかしいな。

 汗をタオルでこっそり拭く。

 制汗剤もこっそりつける。

 汗かいたときは、みんなどうしてるのかな。

 余裕のある大人の女性ってどうすれば正解なの。

 けれどさ・・・

「私としてはもう、首輪でも鎖でも何でもつけていいんだけどな。」

 私もそろそろ、余裕を見せないと。

「えっ、本当に?」

「えっ」

 思ってた反応と違う・・・な。

「なら、遠慮しない」

 えっ、えっ、まずい。

「でも、さすがに人目のあるところでは大人として、首輪や鎖はちょっと・・・」

 さすがに人目は気になる。

「俺も本物の鎖は持ってないから安心していいよ」

 グッと抱き寄せられて、

「だから印だけつけさせて」

 といって強くキスをされた。

 ここ昼間の公園だよ。

 ちょっと距離はあるけど人がいるって・・・

「んっ」

 大人のキスをされると何も考えられなくなると思ってたけど、意外に脳みそはフル回転し始めた。

 そういえば、バトミントンであんなに汗かいちゃったよ。

 どうしよう、ヤバい、焦る。

 少しパニックになる。

 匂い、大丈夫かな・・・

 でも、匠も汗の匂いする。

 いい匂いに感じる。

 体臭をいい匂いに感じるって、私って変態かな。

 でも安心するような、いい匂いに感じる。

 そういえば人間て遺伝子が違う人と魅かれ合うって聞いたことがあるなあ。

 ぼんやり思っていると、年甲斐もなく、リクエストされたポニーテールの下の首筋にちょっと痛みが走る。

「次、会うまでのマーキングしといたから」

 と言われたのに。

 それが有名なキスマークとは思わなかった。

「首、後ろ、赤くなってますね」

 バイト先の男の子に指摘されて、湿疹でもできたのかと思ったら、男の子はニヤニヤして、

「彼氏さん、独占欲強いですね。」

 と言われる。

 へええ、これが漫画でよくあるやつか。

 見たいけど自分では見えない。

「本人が見えないところにつけるなんて牽制以外、ないですよ。」

「そうかな」

「最近里子さん、めっちゃかわいくなったから心配なんだろうな」

「しかも、天然だし、年上とは思えないですよ」

 はい、はい、

「お世辞でも嬉しいよ、でも何にもでないからね。」

「お世辞じゃないですって、最近はお客さんにも声かけられてたじゃないですか。」

 そうなのだ。

 ここにきて、またなぜか、急にモテ始めたのだけど大抵は歳を聞くと逃げていくのであまり本気にしていない。

 でも、適齢期の歳上の人にも声をかけられるようになってた。

 この人だったらすぐに結婚とか考えるんだろうなとは思いつつ、心が全く動かない。

 結婚がしたいんじゃないな。私はもう自分から彼に縛られている。

 ピンクのトルマリンを見るとキラキラと光ってる。

 私の大事な首輪・・・なの。
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