息子が悪役令嬢だった件

騎士団長がパパ？ その5

　
　それにしても、街の温泉旅館って、とっても豪華なんだな。

　呆然として建物を見上げる。

　って、おい、こら

　これってほとんど城？お城じゃん。

　温泉って旅館じゃないの？

　せめて露天風呂はないかな。

　お城のロビーの躍り階段の隣に、ライオンに似たような彫刻からお湯がでてますよ。

　あれが温泉の源泉なんだよってどうなってるの？

　まあ、人も沢山いるから一応、泊まるところなんだろうなって思ってたが、やけにカップルだらけだな。

　まあ、それはおいといて、お城の中はもちろん豪華絢爛だったけど、食堂も食事もそれに負けず劣らず、すごい豪華だった。

　本格的に、最初のアミューズからはじまって、かわいらしい一口大のオードブル、スープは透き通ったタイプでパンがついてる。

　白身魚だと思われる魚料理。

　柑橘系だと思われる、お口直しのシャーベット。

　なんの肉かわからないけど、臭みのない柔らかいヒレ肉で、これまた柑橘系のソースがかかっている。

　旨い。

　うますぎるううう。

　デザートは、小さいのに濃厚なチョコレートケーキに、ちょっとした果物が添えられている。

　最後に珈琲と一口サイズのクッキーが、スプーンの上にのっていた。

　ここって本当は天国かな？

　お腹が一杯すぎて、なんにも考えられないよ。

　まあ、馬車は膝の上とはいえ、疲れるもんね。

　ボーッとしてる間に部屋に通されていた。
　
　部屋にはいると、ど真ん中になぜかお風呂がある。

「温泉旅館だからな」

　いやいや、これは違うと思う。

　少し、部屋を散策すると、違う部屋にもお風呂があった。

　一体、何個お風呂があるんだよ、思わずつっこむ。

　パパはイケメンスマイルで

「一緒に入ろう」

　真顔でいったけど、どんなイケメンでも私は騙されないぞ。それに食べすぎて、おそらく、せっかくの括れが、消えているに違いないもん。

「えっ無理」

「見ないから」

「いや、見えるでしょ？」

「絶対見ないから」

　そもそも、部屋の中央にあるお風呂っておかしくない？

　その同じ部屋に、大きなベットもある。

　部屋の結露とか考えてないのかな？

　まあ、天井から、床も、大理石のようだから、カビが生えても大丈夫そうだし、大きなお世話なのかもしれない。

「レオンが、お前にって用意してくれた」

　といってクローゼットを開けると

　全部・・・透け透けじゃん。

　レオンめ、本当に帰ったら、聡に言いつけてやる。

　結果としては、一緒にお風呂にも入り、ベットでも寝たが、一応と言っていいかわからないが、一線はちゃんと守られた。

　でも、なかされるだけ、なかされた。

　なかされるの漢字はご想像におまかせしますが。

　本当に勘弁してほしい。