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待ちに待った学園生活 その1
しおりを挟む学園生活が始まって、私が一番気になったのは、やっぱり攻略対象のことだった。
攻略対象と言えばまず王子だが、聡の予定どおりこの王立学園にイザベラがトップ入学したせいか、少しストーリーが変わったらしい。
「聡、よくトップになれたよね」
しみじみという。
「まあ、完全にチートだな。フッフッフッ、俺の鑑定スキルが効いたな」
「へえ、鑑定スキルって、やっぱり貴重な魔法なんだね、特技として認められたの?一芸入学みたいに?」
「はあ?お母さんはバカなの?そもそも鑑定ができるなんてチート、ばれたらそれこそ王家が出てきて、王子とすぐ政略結婚させられるよ」
「そうなの?」
「そうだよ、そこで俺は、テスト問題をコッソリ鑑定したら、なぜか答えがわかって・・・」
こっそりテスト問題を鑑定っって・・・もしかしてカンニングですかね?
「でも、鑑定でカンニングできるのかな?人や、物の価値がわかるだけじゃなかったの?」
「まあ、使い方にもよるけど、そもそも変わった試験だったよ。それがかえって、俺には有利に働いたな」
「そう言えば亮の魅了も、ばれたら大変なんだよね?」
「魅了に関しては魔力制御で押さえられるよう、魔力を扱うプロに家庭教師を頼んだから大丈夫だ」
にやりと笑って
「金積んだけどな」
あっ、物凄く遠い目をしてる。
「何しろ魅了はばれたら冗談じゃなく、厄介だからな」
「そうなんだ」
「そもそも、あいつが魔力をもて余してるのは、光属性の魔力を封印してるせいだから、極楽鳥に光属性の精霊を呼んでもらって、もう一度、亮と契約するように頼んであるから」
極楽鳥と仲いいなあ。
あっ、でも、
「だとしたら、極楽鳥の餌がなくなるんじゃないの?」
「大丈夫だ。魔道具職人の息子に聞いたら、どうやら、魔石に余分な魔力は溜められるらしい」
「魔石って?」
「この世界の宝石だよ。トルマリン王国はトルマリンが魔石なんだってさ。亮の魔力をできるだけ、魔石にためて、極楽鳥に渡すことになってる」
「宝石に入れるなんて、なんて贅沢・・・」
「まあそんなことより、お母さん、俺、最初のフラグは折ったぞ」
「よかったね」
そういえば、王子が、特別クラスに入らなかったのだ。
成績はまあまあよかったらしいが、色々な経験を積みたいということで、普通のクラスになったのだ。
聡がいうには特別クラスにはいっても、またイザベラに負けたら王家としては面子がたたないからだと思う、っていってたけど、本当にそうなのかな?
でも、特別クラスは案の定、攻略対象の魔法の教師が担任だったそうだ。
あと攻略対象の騎士団長の息子と、魔法具の職人の息子とエルフのハーフの三人は特クラにいるみたい。
聡はにやりと笑って、
「全員イケメン」
ほほーっ
「ぜひ見たいな、いや拝みたい」
「ちょっとなら気持ちがわかる。確かに、俺でもうっかり見とれるぐらいだからな」
「ええっ、大丈夫なの?お母さんは、恋心に性別は関係ないと思っているけど・・・」
もはや、幸せのかたちは、自由だと思う。
「理解のある親・・・それはありがたいけれど、まだ俺は諦めてないから」
でも、聡は、特別クラスに入って、攻略対象に初めて会った訳じゃなく、夜会や舞踏会ですでに、エルフのハーフや、獣人のハーフ、騎士団長の息子には面識があるらしい。
そして、お茶会では、魔道具職人の息子に会ったらしい。
お茶会で、お金持ち相手に、魔道具の御披露目をするらしく、例の精霊が見える私の眼鏡もその時買ったらしい。
夜会や舞踏会では、本来は騎士団長が警備でいるらしいが、騎士団長が病気だったらしく、息子が代理で出てたとか。
後の二人は、留学生として招待されていたらしいが、聡は微笑んでいるだけで、特に会話しなかったみたい。
一応、社交界デビューの時に挨拶したとき、イザベラの親から騎士団長の息子はイザベラと幼馴染みだったと聞かされた。
王子を含めて、三人で幼い頃よく遊んだみたいだけど、イザベラの記憶はなぜか王子中心だから、聡はあまり覚えてなかったらしいが・・・
「へえ、でも攻略対象でしょ?フラグたたないように、気を付けてたんじゃないの?」
「まあ、そうだけど友達としては、意外に話が合うしな」
大丈夫か心配になってきた。
「恋が生まれちゃうんじゃない?」
「俺はないね。それに攻略対象だけあってあの三人は引くぐらいめっちゃめっちゃもてるぞ。特クラの中がすでにハーレム化してるし、授業中なのに攻略対象の二人は、けっこうお盛んだし・・・」
聡は、思い出したのか、赤い顔してる。
「へえ・・・」
なんか引くわ。
「そっか、普通クラスの方も、王子と獣人の留学生を人が取り囲んじゃっていて私まだ、まともに顔見てないよ」
そう、私はお世話係の特権として、普通クラスの一般常識の授業だけは受けれるようになってる。
そして、このクラスには王子と獣人のハーフがいるはずなんだけど、授業中も護衛もいるせいか、つねに人垣があり、まともに姿が見えたことがなかった。
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