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次男坊はヒロイン? その2
しおりを挟む「お母さんそれ、今言っちゃだめ」
小声で聡にとめられて、とりあえずは黙る。
「なんで?」
「まだ決まった訳じゃない」
「でも・・・」
「とりあえず黙れ」
えっ?珍しく温厚な聡が・・・怖いな。
私は空気を読んで黙ることにした。
それに言われてみたらヒロインて確かピンク色の髪で肩に小鳥の形した精霊を乗せてるけれど、ペットだと思ってる痛い奴って言ってたんじゃなかったっけ???
こそっと聡に耳打ちで
「そっか、肩にはなにもいないから、ヒロインじゃないんだよね?」
と言うと肩をすくめて
「それはお母さんが魔力0だから見えないんだよ。でも俺もお店では見えなかった。だけど、今はちゃんと亮の肩に乗っかってるよ」
「へえ、見たいな・・・」
「あっ、でも、小鳥じゃなく、カラス並み・・・いや、鸚鵡ぐらいにでかい鳥だな・・・それにしても、小鳥じゃないなんてなぜだ?」
首をかしげて
「亮、お前の肩に乗ってる鳥だけど・・・」
亮の顔が輝いた。
さすがヒロイン、とっても可愛い。
言ったら殺されるけど。
亮はほっとした様子で、
「よかった、兄貴には見えるんだ。誰にも見えなくて幽霊か、俺の妄想のペットだと思ってた。フェニックスのこと・・・」
「ん?フェニックス?」
「うん、名前、かっこいいだろ?」
「うん、まあ名前はかっこいいけれど・・・」
「ん?」
なぜか聡が鳥の方を向いたら、鳥が・・・口パクしてる。
「えっ?でも、お前のその鳥、自分で名前は極楽鳥っていってるが・・・」
「へえ、そうなんだ・・・って、兄貴はフェニックスの言ってることわかるんだ」
「見えるのにお前はわからないのか?意外だな・・・」
「ねえ、亮のペットって極楽鳥なの?不死鳥なの?小鳥じゃなかったの?」
気になる。
「そうか、でかい鳥だから可愛い名前をやめたのか?しかもカラフルだしな」
「でかい?カラフル?」
亮は、可愛く首をかしげて
「フェニックスは雀ぐらいの大きさで、赤い小鳥だよ」
「えっ、亮はあれが小鳥に見えてるのか?でも、小鳥にフェニックスって・・・」
「赤いから」
聡が考え込む。
「まず、お母さんは全く見えない、亮は雀サイズで色が赤い鳥に見えてる、俺は鸚鵡並みにでかい鳥に見えてるし、おまけに南国の鳥みたいにカラフルだし、精霊の見え方は魔力によるのかな?でも俺が見たところ、亮の魔力は半端ないんだけれどな・・・」
とぶつぶつ言ったかと思ったら
「まあ魔力なくてもお母さんも、もしかしたら俺と手を繋げば見えるかも?」
聡が私の手を握ると
「本当だ。見えたよ。でかいカラフルな鳥だね」
うん、どう見ても南国の鳥だわ。
南国っぽい極楽鳥の名前がしっくりくる。
亮ったら、びっくりした声で
「えっ本当?フェニックスって、大きくもなるんだ・・・」
「うーん、亮は魔力強いのに、なんで小鳥に見えるんだろう???」
すると、突然、聡が極楽鳥の方を向いて
「えっ擬態?」
「お前、ただの鳥じゃないな。ああ、ごめん、精霊か、それにしても・・・」
「わかった」
独り言のように、おそらく、極楽鳥と会話をしているようだった。
「何がわかったんだよ?」
亮が心配そうに言うと
「ああ、その極楽鳥、お前に可愛く思われたかったんだって」
なんじゃ、その理由・・・と私は思ったけど
「へえ、でかくても、好きだといってよ」
と言う亮に対して、
「俺と手を繋いでみる?とりあえず本物が見えるぞ」
「なんか嫌だけど仕方ない」
しぶしぶ手を繋いでいるが、その姿は兄弟というより単に、美少女同士が手を握り合ってるので、とっても絵になる。
「うわっ、本当だ。フェニックスかっけー」
亮が感動してる。
「だから極楽鳥・・・あっフェニックスって呼ばれるのも、気に入ってるからいいんだって」
「へえ、名前にこだわりないんだね、この鳥」
「お母さん、一応、そいつ、鳥じゃなくて、だいぶ怪しいけど・・・おそらく精霊?だからな」
「怪しい?」
「まあ、それはおいといて・・・」
「ところで亮、ついでに聞くけど、お前の今の名前は何?」
聡ったらついでって言ってるけど、なんだか、唐突じゃない?
もっとも亮は気にしていないようでさらっと
「そういえば自己紹介してなかった。オレの今の名前はエミリアだよ」
あわわわ、やっぱりヒロインじゃん、と心の中で思った。
怒られるから、声に出して言わないけど、でも
「よりによって、やっぱりお前かよ・・・」
名前を聞いて、とどめさされたのか、聡は頭を抱え込んだ。
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