息子が悪役令嬢だった件

息子が悪役令嬢？ その６

　
「ゲーム版にはそもそも、小説版にない隠しキャラ設定の話があって、それは、このトルマリン王国が破滅しないとフラグがたたないから、あんまり考えなくていいんだけど・・・」

「トルマリン王国？」

　トルマリンって宝石だよね。

「そう、この世界はトルマリン王国をはじめ、エメラルド王国、ダイヤ王国、ルビー王国、サファイア王国などがある」

「ふーん、何か名前がゴージャスだね」

　と言いつつ、全部の国が宝石の名前でとりあえず乙女っぽくしてるんじゃ・・・と思ったのは、一応飲み込んだ。

「ちなみに破滅したらどうなるの？」

「ありがちの設定だよ。ゲーム版ではトルマリン王国が滅びて草も生えないってやつ。ちなみに滅ぼすきっかけになるのはハート王国の王子」

「えっ？」

　衝撃が走る。

「国の名前・・・宝石じゃないじゃん・・・」

「疑問点って、そこ？」

　聡があきれたように言ったが、気を取り直して
　
「ゲーム版のシークレットだから、ゲーム版の攻略本にはキャラのシルエットだけ登場している。プロフィールもほとんど謎だったな。霧に囲まれてた謎の国の王子が、トルマリン王国が破滅する前に、悪役令嬢のイザベラを迎えに行くんだよ。幼い頃出会ったとかで。ちなみに呼び名は漆黒の王子」

「幼いころに会っただけなのに、なんで迎えに来るのよ？」

　少し考えこんでたけど、

「何で悪役令嬢を迎えに来るにか、わからないなあ・・・とりあえずは、幼馴染設定だったと思うんだけど」

「確か、ゲーム版も攻略したけど、そもそも俺、破滅しなかったからな・・・」

　でも、そのキャラって、漆黒の王子って言うんでしょ？

「ふーん、でもそのキャラって亮あきらがなりそうなキャラじゃない？」

　この世で一番好きな色は、黒だって言ってたし・・・いや、本当は、金だったっけ？

「確かにあいつ、服は黒しか着なかったけど・・・でもこのゲームは基本激甘、溺愛ルートだよ」

　顔を見合わせて、

「ないな」

「ナイナイ」

　まあ、今更だけどとりあえず、私達の記憶があってるか確認しようと思う。

　まずは息子の佐藤　聡さとし。

　日本の大学生だった。
　
　私は佐藤　里子さとこ　

　パート主婦　
　
　弟が佐藤　亮あきら

　高校生　

　親父が佐藤　匠たくみ

　職人だった。

「でオッケー？」

「うん」

「そして今の俺、悪役令嬢の名前はイザベラ」

　悪役令嬢っていう割には、妖精のようなはかなげな感じだけどいいのかな？

「イザベラはこのトルマリン王国の貴族の令嬢なんだけど、イザベラの母親が王家の血筋の遠い親戚らしくて、その関係で学園にはいると同時にトルマリン王国の王子の婚約者になるんだよな」

「へえ」

「そしてヒロインは、一学年下のエミリア。平民だけど後に王立学園に入学して王子と出会う」

　ふむふむ。

　あと、七人の攻略対象はこんな感じらしい。

　赤色がイメージカラーのトルマリン王国の王子。

　橙色が魔法具の職人の息子。

　藍色が騎士団長の息子。

　黄色が王立学園魔法教師。

　紫色が王立図書館の司書。

　緑色が留学生のエルフで人間とのハーフ。

　青色が留学生の獣人で人間とのハーフ。

　これらが全員が攻略対象だよ。

　もしかしてだけど、私も重要のキャラだったりして・・・と期待を込めて聡を見る。

「そしてお母さんは・・・」