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息子が悪役令嬢? その3
しおりを挟むすると聡に、いつものように
「マジだよ」
と返されたけど、混乱中の私の次の言葉は
「何で悪役令嬢?」
だった。
そもそも、悪役令嬢ってなんだよって思ったけれど、
「うーん、俺、最近、悪役令嬢ものの、小説にはまってたからかな?」
聡も一応、動揺してるみたい。
そんな荒唐無稽な返事をするなんて!
「いくら聡が悪役令嬢の小説?にはまってたからって、こんなことが現実にあるわけないでしょうが、大体、私の記憶が正しければ、家族全員で日本という国に住んでて確か今日は夕飯におにぎりを食べましたよね?」
動揺しすぎて、今の記憶を確認してみた。
「うん、さすがお母さん。まだボケてない」
余計なお世話だ。
「それにしても、お母さんが夕飯を手抜きした日によりによって、日本で俺達に何かがおきたのかな?」
うん。それも余計なお世話だ。
手抜きっていうけれどおにぎりだって、立派な料理なんだからね。
それにちゃんと栄養を考えて豚汁も作ったじゃんと言おうと思ったけれど、話が進まなそうなので、肝心なことを聞く。
「ねえ、突発的なことって?」
そんなことあったっけ?
「例えば、巨大隕石が落ちたとか、大地震とか、富士山が噴火したとか・・・」
「うーん。記憶には全くないけどね・・・」
ただ、日本をはじめ、最近の世界情勢からは、正直何が起きてもおかしくないような雰囲気だったけど・・・
「それに俺も今でもただの夢落ちの可能性もあるかなって思って、何回か寝直したんだけどかなりのリアルの感覚だし、その俺の胸が・・・」
ちょっと待て・・・私が気が付く前から何回も寝直したんかいと突っ込みたかったけれど、目線がつい胸にいってしまう。
よく見ると悪役令嬢の服装は胸をかなり強調してるので、一応おばちゃんの私でもかなりテレる。
息子が巨乳って・・・どういうこと?
「聡・・・今、かなりの巨乳ですね」
「それな」
聡は私の前だからか、自分の胸に目線をいかないようにしている。
もったいないぞ。
その代わりなのか、ぽっちゃりだった私のダイナマイトボディーがなく、唯一自慢だった部分が随分とささやかになってしまった。
「ううっ、そんなことより俺が課金して大事に育てたゲーム・・・スマホが手元にないなんて地獄だ」
なんですと!聞き捨てならないな。
「あれだけ課金するなって言ったのに、全くどうしょうもない」
親の心、子知らずってやつだね。
「でも今更怒っても、何もかも遅くね?」
まあ、確かに。
「そういう私もスマホがないと何していいか、わからないかも・・・」
不安そうに言うと、
「ああ、お母さん、わからないことがあるとひたすら検索してたよね、よく騙されてたけど・・・」
私は少し遠い目をして、
「世の中は検索しないとわからないことだらけなんだよ。おそらくは、この世界もしかりね」
言ってることは、意外にかっこよく聞こえるようにしたけど。
「全く、ネットの情報の真実は半分ぐらいだぞ」
ネットで育った子に言われてしまう。
「でも、何もわからないよりはましだよ」
すると、聡が神妙な顔して、
「お母さん、多分だけど俺、この世界のことわかるよ」
と言った。
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